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JP2004325736A - カラーフィルタ及びその製造方法並びにカラーフィルタを用いた液晶素子 - Google Patents

カラーフィルタ及びその製造方法並びにカラーフィルタを用いた液晶素子 Download PDF

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Abstract

【課題】カラーフィルタをインクジェット方式を利用した簡易なプロセスで安価に製造するに際して、「混色」、「白抜け」、「色ムラ」といったインクジェット方式特有の問題を解決し、信頼性の高いカラーフィルタを歩留まり良く提供することにある。
【解決手段】少なくとも光透過性基板上にブラックマトリクスとブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを塗布し、着色部を形成するカラーフィルタの製造方法において、上記開口部に着色インクを塗布する工程と、上記着色インクを硬化させる工程を繰り返して着色部を形成する。なお、着色インクが有機溶剤に顔料をインク全体の重量に対して少なくとも10%以上の濃度で分散させたものであること、着色インクが熱、光、電子線のいずれかのエネルギーにより硬化することも含まれる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録技術を利用した電界放射型表示装置、蛍光表示装置、プラズマディスプレイ(PDP)及び液晶表示装置などの表示装置用のカラーフィルタ及びその製造方法並びにカラーフィルタを用いた液晶素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、主としてコストダウンを目的として、インクジェット方式を利用したカラーフィルタの製造方法が検討されている(特許文献1参照)。しかしながら、インクジェット方式によりカラーフィルタを作成する際には、特に「混色」、「白抜け」、「色ムラ」といったインクジェット方式特有の問題がある。
【0003】
ブラックマトリクスを隔壁として、該ブラックマトリクスの開口部にインクを付与して着色部を形成するカラーフィルタの製造方法においては、ブラックマトリクスの開口部の容積に対して、数倍〜数十倍の体積を有するインクを付与する必要がある。仮にインク中に含まれる着色剤や硬化成分等の固形分濃度が高い場合、即ち付与するインクの体積が比較的少ない場合においては、ブラックマトリクスが十分に隔壁として機能し、該ブラックマトリクスの開口部内にインクを保持することができる。よって付与されたインクがブラックマトリクスを乗り越えて、隣接する異なる色の着色部にまで到達することはない。
【0004】
しかしながら、インクをインクジェットヘッドノズルより安定して吐出させるためには、粘度を低くする必要があり、即ちインク中の固形分濃度を低くせざるを得ない。この場合、着色部を形成するには多量のインクを付与する必要がある。この時、隔壁となるブラックマトリクスを越えてインクがあふれてしまうため、隣接する着色部間で「混色」が発生してしまう。
【0005】
また近年、TFT型液晶素子用のカラーフィルタにおいては、TFTを外光から保護する目的で、或いは、開口率を大きくして明るい表示を得る目的で、ブラックマトリクスの開口部形状が複雑になってきている。そのため、複数のコーナー部を有することになり、インク中の固形分が高い場合に該コーナー部に対してインクが十分に拡散しないという問題が発生する。また、ブラックマトリクスを形成する際には、一般的にレジストを用いたフォトリソグラフィ工程が使用されている。該レジストに含まれる種々の成分により透明基板の表面に汚染物が付着して、インクの拡散の妨げとなる場合もある。
【0006】
これが「白抜け」と呼ばれる問題である。該白抜けは色ムラやコントラストの低下といった表示不良の原因となる。
【0007】
【特許文献1】
特開昭59−75205号公報(第3図)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、カラーフィルタをインクジェット方式を利用した簡易なプロセスで安価に製造するに際して、「混色」、「白抜け」、「色ムラ」といったインクジェット方式特有の問題を解決し、信頼性の高いカラーフィルタを歩留まり良く提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、少なくとも光透過性基板上にブラックマトリクスとブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを塗布し、着色部を形成するカラーフィルタの製造方法において、上記開口部に着色インクを塗布する工程と、上記着色インクを硬化させる工程を繰り返して着色部を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法である。
請求項2に記載の発明は、上記ブラックマトリクスの厚みが0.5〜2.0μm、開口率が60%以上である請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法である。
請求項3に記載の発明は、上記着色インクが有機溶剤に顔料をインク全体の重量に対して少なくとも10%以上の濃度で分散させたものであることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法である。
請求項4上記着色インクが熱、光、電子線のいずれかのエネルギーにより硬化する請求項1又は3の何れかに記載のカラーフィルタの製造方法である。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4に記載の製造方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルタである。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のカラーフィルタと対抗基板間に液晶を挟持したことを特徴とする液晶素子である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の製造方法の一実施形態を示した工程図である。以下、図1の(a)〜(g)は下記工程(a)〜(g)に該当する断面図である。
【0011】
[工程(a)]
光透過性基板1を用意する。本発明においては、光透過性基板として一般にガラス基板が用いられるが、液晶表示装置等最終的な用途に必要な特性、例えば透明性、機械的強度等を満足し、後工程に耐えるものであればガラス基板に限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、等のプラスチック基板なども用いることができる。
【0012】
[工程(b)]
光透過性基板1上にブラックマトリクス3を形成するための遮光性樹脂組成物層2を形成する。該遮光性樹脂組成物層2は、最終的にブラックマトリクスとして使用されるものであり、十分な遮光性を有する必要がある。したがって、上記樹脂組成物中に、遮光剤を分散せしめた黒色樹脂組成物を用いる。該遮光剤としては、カーボンブラックを用いることが望ましく、該カーボンブラックとしては、チャネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラックと呼ばれているコンタクト法で製造されたもの、ガスファーネストブラック、オイルファーネストブラックと呼ばれているファーネスト法で製造されたもの、サーマルブラック、アセチレンブラックと呼ばれているサーマル法で製造されたものなどを用いることができるが、特に、チャネルブラック、ガスファーネストブラック、オイルファーネストブラックが好ましい。さらに必要に応じて、R、G、Bの顔料の混合物などを加えても良い。また、一般に市販されている黒色レジストを用いることもできる。必要に応じて高抵抗化した遮光層を用いても良い。さらにブラックマトリクス3は遮光性、インク付与時にインクが隣接着色部へ漏れ出さない為の隔壁としても作用する為、少なくとも0.5〜2.0μm程度の厚みを持ったものが良い。また、より鮮明な画像を得る為には開口率60%以上が必要である。
【0013】
また、遮光性樹脂組成物層2の材料としては、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミドイミドを含むポリイミド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニル系樹脂などの感光性の樹脂材料を用いることができるが、250℃以上の耐熱性を有することが好ましく、その点から、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂が好ましく用いられる。
【0014】
遮光性樹脂組成物層2は、スピンコート、ロールコート、バーコート、スプレーコート、ディップコート、ダイコート、或いは印刷法等の方法により形成することができる。
【0015】
[工程(c)]
フォトマスクを用いて遮光性樹脂組成物層2をパターン露光、現像処理を行ってパターニングし、ブラックマトリクス3を形成する。
【0016】
[工程(d)]
インクジェット記録装置を用いて、インクジェットヘッド5より、ブラックマトリクス3の開口部4にR、G、Bの各色のインク6a〜6cを下塗りする(下塗り層という)。下塗りとは、開口部全面にインク6a〜6cが濡れ広がった状態であり、開口部の深さに対して30%程度のインク量を付与することを指す。
【0017】
本発明においてカラーフィルタの形成に用いる着色インクとしては、染料系、顔料系共に用いることが可能である。また、熱処理あるいは光、電子線照射等により硬化し、インクの着色剤として使用される染料あるいは顔料を固定化する成分、即ち架橋可能なモノマー或いはポリマー等の成分を含有する硬化型インクであることが好ましい。インクの主成分としては水、有機溶剤共に用いることが可能であるが、揮発性、溶解性、また塗布性、分散安定性等から有機溶剤であるほうが好ましい。溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジクライム、シクロヘキサノンなどが用いられるが、塗布性、分散安定性、等から選択され、単一または複数の溶剤組成の溶剤を適宜選択する。また、インクの着色剤として顔料を用いる場合、所定の濃度達成の為には顔料の割合がインク全体の重量に対して少なくとも10%以上であることが好ましい。
【0018】
さらに、インクジェット方式としては、エネルギー発生素子として電気熱変換体を用いたバブルジェット(登録商標)タイプ、或いは圧電素子を用いたピエゾジェットタイプ等が使用可能であり、着色面積及び着色パターンは任意に設定することができる。
【0019】
[工程(e)]
上記下塗りしたR、G、Bの各色のインク6a〜6cを熱処理あるいは光、電子線照射等必要な処理を施し、インク6a〜6c中の溶剤成分を除去して硬化させることにより下塗り層7a〜7cを形成する。その結果、下塗り層中の濃度が上昇することとなった。
【0020】
[工程(f)]
再び、インクジェットヘッド5を用いてブラックマトリクス3の開口部4、すなわち下塗り層7a〜7cの上から、R、G、Bの各色のインク6a〜6cを付与する。
【0021】
上記のように、下塗り層の上にさらに、下塗り層を形成したインクと同じインクを重ね塗りすることによって、インクが隔壁によって囲まれた領域内(開口部4)に十分且つ均一に拡散することができる。すなわち、「白抜け」の問題が解消され、「色ムラ」のないカラーフィルタ基板を得ることができる。なお、上記工程(d)〜工程(f)を更に繰り返すことにより、着色層中の濃度が上昇し、「白抜け」、「色ムラ」の問題が更に解決する。
【0022】
[工程(g)]
熱処理あるいは光照射等必要な処理を施し、インク6a〜6c中の溶剤成分を除去して硬化させることにより、着色部(画素)8a〜8cを形成する。
【0023】
さらに、必要に応じて保護層9や透明導電膜を形成する。この場合の保護層としては、光硬化タイプ、熱硬化タイプ、或いは光熱併用硬化タイプの樹脂材料、或いは、蒸着、スパッタ等によって形成された無機膜等を用いることができ、カラーフィルタとした場合の透明性を有し、その後の透明導電膜形成プロセス、配向膜形成プロセス等に耐えうるものであれば使用可能である。また、透明導電膜は、保護層を介さずに直接形成してもよい。
【0024】
図2に、本発明のカラーフィルタ基板を用いた液晶素子の一実施形態の断面図を示す。図中、10は基板1と同様の光透過性基板、11a、11bは電極、12a、12bは配向膜、13は液晶で、14a、14bは偏光板である。本実施形態は、図示しないTFTを用いたアクティブマトリクス型の液晶素子である。
【0025】
図2の液晶素子の製造方法について説明する。先に述べたカラーフィルタ基板の保護膜9上に、(共通)電極11b、配向膜12bを形成する。一方、対向する基板10にはTFT(図示せず)と(画素)電極11aがマトリクス状に形成され、さらにその上に配向膜12aが形成される。これらの基板を、カラーフィルタの各着色部8a〜8cが画素電極11aに対向する位置に配列するように対向配置し、封止材を介して接着し、その間隙に液晶化合物13を充填して図2に示した液晶素子が構成される。上記配向膜12a、13bの表面は通常ラビング処理等配向処理が施されており、これによって液晶分子を一定方向に配列させることができる。
【0026】
さらに、基板1、10の外側にはそれぞれ偏光板14a、14bが接着されている。
【0027】
バックライトとしては蛍光灯と散乱板との組合せ(図示せず)が一般的に用いられており、上記液晶素子を、バックライトの光15の透過率を変化させる光シャッターとして機能させることにより表示を行なう。
【0028】
本発明において用いられる液晶化合物としては特に限定されず、TN型液晶や、強誘電性液晶(FLC)などが好適に用いられる。また、本発明は、上記実施形態で示したアクティブマトリクス型の液晶素子に限らず、例えば単純マトリクス型の液晶素子も構成することができる。
【0029】
また、本発明のカラーフィルタ基板は、液晶素子以外にも好適に利用することができる。
【0030】
【実施例】
ガラス基板(コーニング社製、品番7059)上にカーボンブラックを含有する黒色レジスト(新日鐵化学製「V−259BKレジスト」)をスピンコータによって、約1.5μmの塗膜に形成した。さらに、所定の露光、現像、ベーク処理を行って、線幅20μm、100μm×100μmの正方形の開口部を有する開口率60%のブラックマトリクスパターン(隔壁)を作製した。
【0031】
(着色インクの調整)
赤インクについては、アクリル樹脂(メタクリル酸20重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート15重量部、メチルメタクリレート10重量部、ブチルメタクリレート55重量部を、エチルセロソルブ300重量部に溶解し、窒素雰囲気下で、アゾビスニトリル0.75重量部を加えて、70℃、5時間反応させ得られたアクリル樹脂)を、樹脂濃度20重量%になるようにエチルセロソルブで希釈した。この希釈樹脂90.1gと、赤色顔料クロモフタルレッドA2B(C,I,Pig Red177 65300:チバガイキー社製)6.95g、黄色顔料パリオトールイエローL1820(C,I,Pig Yellow 139:BASF社製)2.05gと分散剤0.9gを添加して、ビーズミル分散機で冷却しなから3時間分散した。溶剤としてエチルセロソルブを用い、粘度が5cp以下になるように希釈し、よく攪拌して赤インクを調製した。
【0032】
緑インクについては、アクリル樹脂(メタクリル酸20重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート15重量部、メチルメタクリレート10重量部、ブチルメタクリレート55重量部を、エチルセロソルブ300重量部に溶解し、窒素雰囲気下で、アゾビスニトリル0.75重量部を加えて、70℃、5時間反応させ得られたアクリル樹脂)を、樹脂濃度20重量%になるようにエチルセロソルブで希釈した。この希釈樹脂90.1gと、緑色顔料リオノールグリーン2YS(C,I,Pig Green 36:東洋インキ製造社製)7.55g、黄色顔料パリオトールイエローL1820(C,I,Pig Yellow 139:BASF社製)1.45gと分散剤0.9gを添加して、ビーズミル分散機で冷却しなから3時間分散した。溶剤としてエチルセロソルプで粘度が5cp以下になるように希釈し、よく攪拌して緑インクを調製した。
【0033】
青インクについては、アクリル樹脂(メタクリル酸20重量部、ヒドロキシエチルメタクリレート15重量部、メチルメタクリレート10重量部、ブチルメタクリレート55重量部を、エチルセロソルブ300重量部に溶解し、窒素雰囲気下で、アゾビスニトリル0.75重量部を加えて、70℃、5時間反応させ得られたアクリル樹脂)を、樹脂濃度20重量%になるようにエチルセロソルブで希釈した。この希釈樹脂91gと、青色顔料ヘリオゲンブルーL6700F(BASF社製)0.8g、紫色顔料リオノゲンバイオレットRL(東洋インキ社製)0.1gと分散剤0.9gを添加して、ビーズミル分散機で冷却しながら3時間分散した。溶剤としてエチルセロソルブで粘度が5cp以下になるように希釈し、よく攪拌して青インクを調製した。
【0034】
次いでピエゾ方式、ノズル解像度180dpiのヘッドを搭載したインクジェット記録装置を用いて、ガラス基板上のマトリクス状遮光層の開口部に上記に示す方法で調製したR、G、Bの顔料分散インクを付与した。この時、付与したインク量はマトリクス状遮光層の開口部の厚みに対して乾燥した段階で20〜30%程度の高さになるように調節した。インク付与後、70℃で20分間の熱処理を行い、上記インクを仮硬化させ、R、G、Bの着色部からなる下塗り層を形成した。
【0035】
次いで、上記インクジェット記録装置を用いて、上記R、G、B の各インクをブラックマトリクスの開口部(下塗り層)上に重ね塗りし、230℃で1時間の熱処理を行って該インクを硬化し、R、G、Bの着色部からなるカラーフィルタを形成した。
【0036】
さらに、保護膜として二液型の熱硬化性樹脂SS−7625(JSR製)を膜厚1μmとなるようにスピンコートし、230℃で1時間の熱処理を行って硬化させた。
【0037】
このようにして作成された液晶素子用カラーフィルタ基板を光学顕微鏡により観察したところ、混色や白抜けは観察されなかった。また、濃度も高いものであった。また、各着色部の平坦性を観察したところ、各着色部ともほぼ平坦に形成されていた。各着色部間の色差(■Eab)は3以下と良好であり、信頼性の高いカラーフィルタが作製できた。
【0038】
そして、このカラーフィルタと対抗基板(アクティブマトリクス型TFT)間に液晶を挟持した液晶素子の表示特性は良好であった。
【0039】
(比較例1)
実施例と同様にしてガラス基板上にブラックマトリクスを形成し、下塗り層を設けず、一工程のみで実施例と同量のインクを開口部に対して付与し着色部を形成、カラーフィルタを作製した。
【0040】
さらに、保護膜として二液型の熱硬化性樹脂SS−7625(JSR製)を膜厚1μmとなるようにスピンコートし、230℃で1時間の熱処理を行って硬化させた。
【0041】
このようにして作成された液晶素子用カラーフィルタ基板を光学顕微鏡により観察したところ、多量のインクを付与した結果、開口部からインクが溢れ出したことにより、各着色部が重なり混色し、良好なパターン状着色層は形成されなかった。
【0042】
そして、このカラーフィルタと対抗基板(アクティブマトリクス型TFT)間に液晶を挟持した液晶素子の表示特性は好ましいものではなかった。
【0043】
(比較例2)
実施例と同様にしてガラス基板上にブラックマトリクスを形成し、下塗り層を設けた時と同量のインクを開口部に対して付与し着色部を形成、カラーフィルタを作製した。
【0044】
さらに、保護膜として二液型の熱硬化性樹脂SS−7625(JSR製)を膜厚1μmとなるようにスピンコートし、230℃で1時間の熱処理を行って硬化させた。
【0045】
このようにして作成された液晶素子用カラーフィルタ基板を光学顕微鏡により観察したところ、混色は確認されなかったが、付与したインク量の不足により白抜けが確認された。また、形成された膜厚が薄いことにより実施例よりも濃度が薄く、現行のカラーフィルタとの色差(■Eab)は10以上となり良好なカラーフィルタは形成されなかった。
【0046】
また、各着色部の平坦性を観察したところ、各着色部ともに平坦性は悪く、色差(■Eab)は10以上であった。
【0047】
そして、このカラーフィルタと対抗基板(アクティブマトリクス型TFT)間に液晶を挟持した液晶素子の表示特性は好ましいものではなかった。
【0048】
【表1】
Figure 2004325736
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、隔壁で囲まれた領域内にインクを付与する際に、隣接する着色部間での混色を防止し、且つ、該領域内でインクを十分に拡散、濃度を向上させて白抜けのない着色部を形成することができる。すなわち、混色、白抜け、色ムラのない着色部を備えた信頼性の高い光学素子をインクジェット方式により簡易なプロセスによって歩留まり良く製造することができる。よって、上記カラーフィルタを用いて、カラー表示特性に優れた液晶素子をより安価に提供することができる。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一実施形態を示す工程図である。
【図2】本発明の液晶素子の一実施形態の断面図である。
【符号の説明】
1 光透過性基板
2 遮光性樹脂組成物層
3 ブラックマトリクス
4 開口部
5 インクジェットヘッド
6a〜6c 着色インク
7a〜7c 下塗り層
8a〜8c 着色部
9 保護膜
10 光透過性基板
11a、11b 電極
12a、12b 配向膜
13 液晶
14a、14b 偏光板
15 光

Claims (6)

  1. 少なくとも光透過性基板上にブラックマトリクスとブラックマトリクスの開口部にインクジェット方式により着色インクを塗布し、着色部を形成するカラーフィルタの製造方法において、
    上記開口部に着色インクを塗布する工程と、上記着色インクを硬化させる工程を繰り返して着色部を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
  2. 上記ブラックマトリクスの厚みが0.5〜2.0μm、開口率が60%以上である請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  3. 上記着色インクが有機溶剤に顔料をインク全体の重量に対して少なくとも10%以上の濃度で分散させたものであることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタの製造方法。
  4. 上記着色インクが熱、光、電子線のいずれかのエネルギーにより硬化する請求項1又は3の何れかに記載のカラーフィルタの製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載の製造方法により製造されたことを特徴とするカラーフィルタ。
  6. 請求項5に記載のカラーフィルタと対抗基板間に液晶を挟持したことを特徴とする液晶素子。
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