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JP2004322082A - セラミックハニカムフィルタ - Google Patents

セラミックハニカムフィルタ Download PDF

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JP2004322082A JP2004105995A JP2004105995A JP2004322082A JP 2004322082 A JP2004322082 A JP 2004322082A JP 2004105995 A JP2004105995 A JP 2004105995A JP 2004105995 A JP2004105995 A JP 2004105995A JP 2004322082 A JP2004322082 A JP 2004322082A
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Abstract

【課題】 ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる微粒子を浄化する連続再生式の浄化装置に使用される、セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質の隔壁に排気ガスを通過せしめる構造のセラミクハニカムフィルタにおいて、極めて低い圧力損失特性、使用時の機械的振動や衝撃、或いは熱衝撃等に耐えうる強度特性、を併せもつセラミックハニカムフィルタを提供する。
【解決手段】 セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質隔壁に排気ガスを通過せしめることにより、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するセラミックハニカムフィルタであって、前記多孔質隔壁の全細孔容積が0.55〜0.80cm/gであって、100μm以上の細孔容積が0.02〜0.10cm/gであるセラミックハニカムフィルタ。
【選択図】 図5

Description

本発明は、ディーゼル機関の排気ガス中に含まれる微粒子を除去するためのセラミックハニカムフィルタに関するものである。
ディーゼル機関から排出される微粒子を除去するため、セラミックハニカム構造体の隔壁を多孔質構造とし、その隔壁に微粒子を含んだ排気ガスを通過せしめる構造の微粒子捕集用のセラミックハニカムフィルタを採用する検討が進められている。このセラミックハニカムフィルタの正面図を図1に、排気ガス中の微粒子を捕捉するセラミックハニカムフィルタの使用例の一例を示す要部の模式断面概略図を図2に示す。通常セラミックハニカムフィルタ11の端面外周の形状は略円形状で、その外周壁11aとこの外周壁11aの内周側に各々直交する隔壁11bにより形成された複数の流路11cを有し、この流路11cの両端部が交互に流入側目封止材1a、流出側目封止材1bで目封止されている。このセラミックハニカムフィルタ11は、図1に示すように金属製収納容器12内に、支持部材14を介して圧着把持され、また、支持部材13を介して貫通孔方向に挟持され、収納されている。ここで、支持部材14は一般に金属メッシュ或いはセラミックス製のマットで形成されるが、使用条件に応じて併用される。従って、セラミックハニカムフィルタ11をディーゼル機関に装着して使用した際には、支持部材13及び14を介して、エンジンや路面等からの機械的振動や衝撃がセラミックハニカムフィルタに負荷される。
このような構造のセラミックハニカムフィルタでの排気ガス浄化作用は以下の通り行われる。先ず、流入側排気ガス2aは収納容器12に収納されたセラミックハニカムフィルタ11の流入側端面の開口している流路11cから流入し、矢印で示すように、隔壁11bを通過し流出側排気ガス2bとして排気される。流入側排気ガス2aが隔壁11bを通過する際に、流入側排気ガス2aに含まれる微粒子は、隔壁11bに捕捉され、浄化された排気ガスが流出側排気ガス2bとして、大気中に放出される。隔壁11bに捕捉された微粒子は一定量以上になるとフィルタの目詰まりが発生するため、バーナーや電気ヒーターにより燃焼させ、フィルタの再生が行われていた。
以上説明したように、ディーゼル機関の排気ガス中に含まれる微粒子を除去するためのセラミックハニカムフィルタは、金属製容器中に収納、支持され、フィルタ上で微粒子の捕集、及び燃焼が繰り返し行われ、且つ、機械的振動や衝撃を受けることから、このセラミックハニカムフィルタの特性に関しては、微粒子の捕集効率が高いこと、圧力損失が低いこと、支持部材による支持力に耐え、且つ、機械的衝撃や熱衝撃にも耐えうる強度を有することと共に、微粒子燃焼によるフィルタの再生を効率よく行うという、多くの特性を満足することが要求されている。
このセラミックハニカムフィルタの必要特性のうち、圧力損失と微粒子の捕集効率、及び、強度とは相反する関係にあることから、これらを両立させるため、セラミックハニカムフィルタの多孔質隔壁の気孔率、平均細孔径、細孔分布、或いは、隔壁表面に存在する細孔の大きさを制御する技術が特許文献1、2、及び3に記載されている。特許文献1に記載の発明では、隔壁表面に孔径5〜40μmの細孔と孔径40〜100μmの大孔とを形成させ、該小孔の数を該大孔の数の5〜40倍とし、更に、隔壁内部の細孔の平均孔径は15μmより大きく、累積細孔容積は0.3〜0.7cm/gであるフィルタにより、捕集効率を初期から高い値に維持することができ、かつ、圧力損失は低く維持されるとされている。また、特許文献2に記載の発明では、細孔径10μm未満の細孔容積が全細孔容積の15%以下であり、細孔径10〜50μmの細孔容積が全細孔容積の75%以上、細孔径50μmを超える細孔容積が、全細孔容積の10%以下である多孔質ハニカムフィルタにより、微粒子の捕集効率が高く、且つ、細孔の目詰まりによる圧力損失の増大が防止できるフィルタが得られるとしている。また、特許文献3に記載の発明では、細孔径5〜20μmの範囲内の細孔容積が全細孔容積の30〜40%の範囲内にあり、細孔径20〜200μmの範囲内の細孔容積が全細孔容積の50〜70%の排気ガス浄化用フィルタにより、微粒子の捕集効率及び燃焼特性に優れたフィルタが得られるとしている。
特公平3−10365号公報 特開2002−219319号公報 特許第3446558号公報
しかしながら、従来技術である特許文献1〜3に開示されているようなセラミックハニカムフィルタに関する技術のみでは、以下のような問題点があり、低圧力損失特性を有し、且つ、使用時の機械的振動や衝撃に耐えうる強度を有するセラミックハニカムフィルタを得ることはできなかった。
特許文献1に記載されているフィルタにおいては、その第4図に隔壁内部の細孔分布が記載されているように、全細孔容積が0.3〜0.7cm/gであって、細孔径1〜100μmの細孔に対して、取りうる累積細孔容積の範囲が明記されているものの、100μm以上の細孔については、最大でも細孔容積が0.01cm/g以下である。この細孔径100μm以上の細孔については、微粒子を含有した排気ガスが細孔内部を通過し易いことから、隔壁中に適量存在させることにより、フィルタの圧力損失を低減させることが可能となるが、特許文献1に記載されているフィルタでは、100μmを超える細孔の累積細孔容積は0.01cm/g以下であるため、低圧力損失特性が得られないという問題があった。また、1〜100μmの細孔についても、第4図に示されるように、その累積細孔容積は、広い範囲を取りうることが記載されているものの、1〜100μmの細孔の詳細な分布については何ら規定されていないことから、低圧力損失特性と高強度を両立させたフィルタが得られないという問題があった。
特許文献2に記載されているフィルタでは、細孔径10μm未満の細孔容積が全細孔容積の15%以下であり、細孔径10〜50μmの細孔容積が、全細孔容積の75%以上、細孔径50μmを超える細孔容積が、全細孔容積の10%以下であることが記載されているが、細孔径10μm以下の細孔や、細孔径10〜50μm、細孔径50〜100μm、細孔径100μm以上の細孔の詳細な分布について一切考慮されていないことから、低圧力損失と高強度を両立させたフィルタが得られないという問題があった。
特許文献3に記載されているフィルタでは、細孔径5〜20μmの範囲内の細孔容積が全細孔容積の30〜40%の範囲内にあり、細孔径20〜200μmの範囲内の細孔容積が全細孔容積の50〜70%であることが記載されているが、細孔径5〜20μm、及び細孔径20〜200μmの細孔の詳細な分布について一切考慮されておらず、また、気孔率や全細孔容積の記載が一切ないことから、低圧力損失と高強度を両立させたフィルタが得られないという問題があった。
本発明は、上記問題を解決し、低圧力損失であって、且つ支持部材による支持力や機械的衝撃に耐えうる強度を有するセラミックハニカムフィルタを提供することを目的とする。
本発明のセラミックハニカムフィルタは、セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質隔壁に排気ガスを通過せしめることにより、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するセラミックハニカムフィルタであって、前記多孔質隔壁の全細孔容積が0.55〜0.80cm/gであって、100μm以上の細孔容積が0.02〜0.10cm/gであることを特徴とする。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記多孔質隔壁の細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.80cm/g、5μm以上の細孔容積:0.50〜0.80cm/g、10μm以上の細孔容積:0.40〜0.70cm/g、20μm以上の細孔容積:0.20〜0.50cm/g、40μm以上の細孔容積:0.05〜0.25cm/gであることが好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路が、両端部において目封止されていることが好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、外周壁近傍の流路の両端部を目封止する目封止材のフィルタ端面からの長さが、セラミックハニカムフィルタの全長の8.2%以下であり、且つ、前記両端が目封止されている流路は、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することが好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記隔壁の間隔が2.54mm以下であって、セラミックハニカムフィルタの流路を目封止している少なくとも一部の目封止材の外端面が、隔壁端面に対して流路方向に0.01〜5mm突出し、前記突出部分が少なくとも流路方向に対して傾斜面を有することが好ましい。
また、本発明の別発明のセラミックハニカムフィルタは、セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質隔壁に排気ガスを通過せしめることにより、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するセラミックハニカムフィルタであって、隔壁の間隔が2.54mm以下であって、前記目封止している少なくとも一部の目封止材の外端面が隔壁端面に対して流路方向に0.01〜5mm突出し、前記突出部分が少なくとも流路方向に対して傾斜面を有し、且つ前記セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路が両端部において目封止されていることを特徴とする。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、外周壁近傍の流路の両端部を目封止する目封止材のフィルタ端面からの長さが、セラミックハニカムフィルタの全長の8.2%以下であり、且つ、前記両端が目封止されている流路は、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することが好ましい。
次に、本発明における作用効果につき説明する。
本発明のセラミックハニカムフィルタは、セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質の隔壁に排気ガスを通過せしめることにより、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するセラミックハニカムフィルタであって、多孔質隔壁の全細孔容積が0.55〜0.80cm/gであって、100μm以上の細孔容積が0.02〜0.10cm/gであることを特徴とする。このように全細孔容積を0.55〜0.80cm/gと設定することにより、ハニカムフィルタの圧力損失を低くすることができるとともに、圧力損失に大きな影響を及ぼす、100μm以上の細孔容積を0.02〜0.10cm/gとして適量含有させることにより、強度低下させることなく、更に圧力損失を低減することができる。ここで、全細孔容積を0.55〜0.80cm/gの範囲に限定するのは、0.55cm/g未満とすると、細孔の絶対量が減るため圧力損失が上昇し、0.80cm/gを超えると、強度が低下するからである。また100μm以上の細孔容積を0.02〜0.10cm/gの範囲に限定するのは、0.02cm/g未満であると、圧力損失低減に有効な100μm以上の細孔が減るため、圧力損失低減の効果が大きくないからであり、0.10cm/gを超えると、100μm以上の大きな細孔が増えるため、これら大きな細孔同士が連通して破壊起点となりやすく、強度が低下するからである。
ここで、セラミックハニカムフィルタの、多孔質隔壁の細孔分布を、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.80cm/g、5μm以上の細孔容積:0.50〜0.80cm/g、10μm以上の細孔容積:0.40〜0.70cm/g、20μm以上の細孔容積:0.20〜0.50cm/g、40μm以上の細孔容積:0.05〜0.25cm/g、とすると好ましい理由を以下に説明する。多孔質隔壁内に2μm以下の小さな細孔から、100μm以上の大きな細孔までを所望の割合で含有させることにより、各種大きさの細孔が連通して、細孔間の連通割合が増加して低圧力損失特性を得ることができるのと共に、実用に耐えうる強度特性が得られるからである。
具体的に、より最適な範囲は、前記多孔質隔壁の全細孔容積が0.57〜0.80cm/gであって、細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.75cm/g、5μm以上の細孔容積:0.54〜0.74cm/g、10μm以上の細孔容積:0.45〜0.65cm/g、20μm以上の細孔容積:0.25〜0.45cm/g、40μm以上の細孔容積:0.07〜0.20cm/g、100μm以上の細孔容積:0.02〜0.08cm/gであり、更に好ましくは、全細孔容積が0.63〜0.78cm/gであって、細孔分布を、2μm以上の細孔容積:0.58〜0.73cm/g、5μm以上の細孔容積:0.57〜0.72cm/g、10μm以上の細孔容積:0.48〜0.63cm/g、20μm以上の細孔容積:0.3〜0.45cm/g、40μm以上の細孔容積:0.10〜0.20cm/g、100μm以上の細孔容積:0.02〜0.07cm/gである。このように、細孔分布がより最適な範囲に調整されることにより、各種大きさの細孔の連通割合がより改善されるため、圧力損失の低減がより図れる。全細孔容積、及び細孔分布は、例えばMicromeritics社製のオートポアIII9410を使用し、水銀圧入法で測定することができる。
以上説明のように、本発明のセラミックハニカムフィルタは、その細孔分布が適切な範囲に調整されていることから、圧力損失が有効に低減され、且つ強度特性も確保されているため、ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置に使用されるセラミックハニカムフィルタに好適である。
ここで、本発明のセラミックハニカムフィルタにおける多孔質隔壁の細孔分布の好ましい範囲について、図5を用いて説明する。図5は細孔径と累積細孔容積の関係を示す図であり、点△(52)は、本発明の全細孔容積の上限を示し、点▲(51)は、本発明の全細孔容積の下限を示し、点○(54)は、本発明の細孔径100μm以上の累積細孔容積の上限を示し、点●(53)は、本発明の細孔径100μm以上の累積細孔容積の下限を示し、点□(56)は、本発明の細孔径2μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、40μm以上における好ましい累積細孔容積の上限を示し、点■(55)は、本発明の細孔径2μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、40μm以上における好ましい累積細孔容積の下限を示す。また点◇(57)は、本発明を実施するための最良の形態で記載している実施例2のセラミックハニカムフィルタの多孔質隔壁の細孔分布を示す。本発明の好ましいセラミックハニカムフィルタでは、各細孔径に対する累積細孔容積を、点△(52)、点□(56)、及び○(54)と点▲(51)、点■(55)、及び点●(53)の間に存在させれば良い。この図5に示すように、各細孔径に対する累積細孔容積を狭い範囲に収めることによって、低圧力損失と高強度の両立がはかれる。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、外周壁近傍の流路が両端部において目封止されていることが好ましい理由を図3及び図4の模式図を用いて説明する。図3は、本発明の好ましい形態のセラミックハニカムフィルタの正面図を、図4は要部断面図を示している。本発明の好ましい形態のセラミックハニカムフィルタは、外周壁11aとこの外周壁の内周側に各々概略直交する隔壁11bにより形成された複数の流路11cを有し、この流路11cの両端部が交互に流入側目封止材1a、流出側目封止材1bで目封止されていると共に、外周壁近傍の流路は両端部で目封止材1cにより目封止されている。このような構造を有する本発明のセラミックハニカムフィルタは、外周壁近傍の流路両端部が目封止材で補強されていることから、セラミックフィルタの端面角部が破損しにくくなり、結果としてセラミックハニカム構造体の強度が改善され、支持部材の支持力や、使用時の機械的振動や衝撃により破損しにくくなるからである。更に、外周壁近傍の流路の両端部が目封止された流路は、断熱空間として作用して、フィルタ再生の際に微粒子の燃焼熱がフィルタ内から外周壁を介して金属製収納容器へ伝わりにくく、フィルタ中心部の温度が高温に維持されるようになり、微粒子の燃焼が良好に行われるからである。ここで外周壁近傍の流路とは、図3及び図4に示すように外周壁に隣接する流路群及びそれに隣接する流路群のことを言う。また、外周壁近傍の流路が、外周壁に対して傾いており、ハニカム構造体の両端面に到達していない場合は、一方の端部は端面において目封止材で目封止され、もう一方の端部は、外周壁で目封止されていれば良い。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、外周壁近傍の流路の両端部を目封止する目封止材のフィルタ端面からの長さがセラミックハニカムフィルタの全長の8.2%以下であり、且つ、前記両端が目封止されている流路は、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することが好ましいのは、外周壁近傍の両端が目封止された目封止部の存在範囲を適切に調整することにより、低圧力損失及び両端目封止によるセラミックハニカムフィルタの強度向上の効果を維持しつつ、微粒子燃焼によるフィルタの再生が良好に行えるからである。
ここで、流路の両端部を目封止している目封止材の端面からの長さをフィルタ全長の8.2%以下としていることが好ましい理由は、外周壁近傍の流路両端部の目封止材により、セラミックハニカム構造体の強度向上の効果を維持しつつ、当該流路が断熱空間として有効に機能して、微粒子燃焼時の燃焼熱の金属製容器へ放散が無視できる程度に押さえることが可能になるからである。ここで、目封止材の端面からの長さがフィルタ全長の8.2%を越えると、微粒子燃焼時の燃焼熱の目封止材を介しての金属製容器へ放散が無視できなくなり、捕集された微粒子の燃え残りが生じ易くなり、フィルタ再生率が低下することもあるから好ましくない。ここで、外周壁近傍の流路が、外周壁に対して傾いており、ハニカム構造体の両端面に到達していない場合は、一方の端部は端面において目封止材で目封止され、もう一方の端部は、外周壁で目封止されることになるので、目封止材の端面からの長さをフィルタ全長の8.2%以下とする目封止材とは、ハニカム構造体の端面に存在する目封止材のことを言う。
また、両端が目封止されている流路が、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在する流路としていることが好ましい理由は、フィルタの圧力損失上昇を最小限に押さえることができるからである。即ち、流路の両端部を目封止することは、排気ガスが当該流路を流通しにくくなるため、フィルタ機能を有する多孔質隔壁の割合が減り、セラミックハニカムフィルタの圧力損失上昇に繋がるという悪影響の出る場合もあるが、図2で示したように外周壁近傍の流路は支持部材13a及び13bで両端部を塞がれる場合もあることから、外周壁近傍の両端が目封止されている流路の割合を一定の範囲に納めることにより、フィルタの圧力損失上昇を最小限に押さえることができ、エンジン性能の低下を招くこともないからである。一方、両端が目封止されている流路が、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲を越えると、相対的にフィルタ機能を有する隔壁の割合が少なくなることから、フィルタの圧力損失が上昇するため、エンジンの排圧が上昇し、エンジン性能の低下を招くこともあることから好ましくない。ここで、両端が目封止されている流路が、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在するとは、セラミックハニカムフィルタの端面において、両端が目封止されている流路が、外周壁から中心に向かって、最大で隔壁ピッチの5倍の長さの位置に該当する流路に存在することを意味する。すなわち、隔壁ピッチの5倍の長さの位置に該当する流路の全てが、両端が目封止されている必要はなく、部位により、両端が目封止されている流路は、最大で隔壁ピッチの5倍の長さの範囲に存在することである。ここで、前記両端が目封止されている流路が、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することを、図3を用いて具体的に説明する。図3は、前記両端が目封止されている流路は、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、2×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することを示した図であり、仮想線15は外周壁に対して端面中心に向かって2×(隔壁ピッチ)の長さだけ小さい輪郭を示し、仮想線15と外周壁との間に存在する流路は両端で目封止されている。この図3では、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、2×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在する流路全てが両端で目封止された例を示したが、これらの流路のうち、個数割合で80%以上の流路が両端で目封止されていれば、同様の効果が得られる。
さらに、本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記外周壁近傍の流路を両端部で目封止した目封止材の端面からの長さが、セラミックハニカムフィルタの全長の3.3%以下とすることにより、両端目封止によるセラミックハニカム構造体の強度向上の効果を維持しつつ、外周壁近傍の流路が断熱空気層として働く効果が更に大きくなり、フィルタ外周壁から金属製容器の熱放散が更に少なくなり、捕集された微粒子を効率よく燃焼除去でき、フィルタ再生効率が更に優れるようになる。
また、前記両端が目封止されている外周壁近傍の流路を、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大3×(隔壁ピッチ)の範囲に存在する流路とすることにより、両端目封止によるセラミックハニカム構造体の強度向上及び優れたフィルタ再生効率の効果を維持しつつ、フィルタの圧力損失を更に低減できるため、エンジンの排圧が低下し、エンジン性能が更に向上する。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記隔壁の間隔が2.54mm以下であって、セラミックハニカムフィルタの流路を目封止している少なくとも一部の目封止材の外端面が隔壁端面に対して流路方向に0.01〜5mm突出し、前記突出部が少なくとも流路方向に傾斜面を有していることが好ましい理由を説明する。本発明のセラミックハニカムフィルタの目封止部の好ましい形態の代表例を図6に示す。本発明のセラミックハニカムフィルタは、目封止材の流路方向に傾斜面1dを有する突出部により、図7(a)(b)に示すような目封止材の外端面15が平坦で、隔壁外端面16と同一平面内に存在するように形成されているもの、図7(c)に示すような、フィルム厚さの分だけ突出した突出部を有するもの、或いは図7(d)に示すような、目封止材の外端面15が凸面状であり、且つ目封止材の外端面15がハニカム構造体の隔壁外端面16に対し、完全に埋没して隙間18が形成されているものに比較して、目封止材の突出部分が傾斜面1dを有して突出していることから、流路11cの排気ガス流入側の実質的な開口率が大きくなり、排気ガス流に対する抵抗が小さくなり、排気ガスは流路方向へと円滑に流れるため、目封止材の外端面に微粒子が堆積しにくくなり、結果として、堆積した微粒子により発生する流路入り口狭窄による圧力損失の上昇を防ぐ効果が大きくなるからである。
ここで、外周壁付近の流路は、支持部材13aが当接して塞がれることもあり、排気ガスの微粒子浄化には寄与しないことから、目封止材の外端面が隔壁端面に対して突出しなくても良い。突出部形状としては、例えば、図8に示すような形状である。また、微粒子浄化に寄与する範囲に存在する目封止材であっても、全ての目封止材が、突出して傾斜面を持つ必要はなく、およそ50%以上の目封止材が突出して傾斜面を持てば、圧力損失の上昇を低減する効果を大きくできる。ここで、突出長さ23を0.01〜5mmとしているのは、0.01mm以下では、突出部が有する傾斜面により、排ガスを流路方向へと、円滑に流す効果が得られず、目封止材の外端面に微粒子が堆積し、流路入り口の狭窄による圧力損失の上昇が起こりやすくなることもあるからである。一方、突出長さが5mmを越えると、目封止材の外端面に機械的負荷が作用した際に、目封止材の隔壁端面近傍に作用する曲げ応力が大きくなるため、金属製収納容器への挿入等の取り扱い時に突出部分を破損させ、結果として目封止材の突出長さが0.01mm未満になることがあるからである。
さらに、突出長さは、0.1mm以上の場合、排気ガス流に対する目封止材の抵抗がより小さくなることから、突出長さ2mm以下では、目封止材の突出部分の破損がより発生しにくくなることから、突出長さ0.1〜2mmがより好ましい範囲である。
また、目封止材の隔壁端面に対する突出部分が有する傾斜面の流路方向に対する角度は2°以上であることがより好ましい。この理由は、傾斜面の流路方向に対する角度が2°未満では、突出部分により排ガスを円滑に流路方向へ流す効果が小さく、また、突出部分が有する傾斜面の流出側端部に形成される角部25(図6)に微粒子が堆積しやすく、この部分を核として微粒子の堆積部分が成長することにより、流路入り口の狭窄による圧力損失の上昇が起こることもあるからである。尚、目封止材の隔壁端面に対する突出部分が有する傾斜面の流路方向に対する角度は80°以下であると、排気ガス流に対する抵抗を小さくし、排気ガスを流路方向へと円滑に流すという観点から、より好ましい。
本発明において、目封止材の外端面が、隔壁端面に埋没しないことが好ましい。この理由は、目封止材の外側面が隔壁端面に対して突出していたとしても、図7(d)のような隙間18が形成されていると、隙間18に微粒子が堆積し易くなり、流路入り口の狭窄による圧力損失の上昇が起こり易くなるからである。
また、本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、目封止材の外端面の表面粗さ(最大高さRy)は200μm以下であることが好ましい。これは、最大高さRyが200μmを越えると目封止材外側面の表面に微粒子が付着、堆積し易くなり、流路入り口の狭窄による圧力損失の上昇が起こり易くなるからである。
本発明のセラミックハニカムフィルタについて、主に排気ガス入口の目封止材形状を中心に説明したが、排気ガス出口側の端面の目封止材形状については、特に限定する必要はなく、本発明と同様に突出部を設けても良いし、従来技術のように隔壁端面と目封止材端面が同一平面内に存在するように形成しても良い。
本発明の別発明のセラミックハニカムフィルタは、セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質隔壁に排気ガスを通過せしめることにより、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するセラミックハニカムフィルタであって、隔壁の間隔が2.54mm以下であって、前記目封止している少なくとも一部の目封止材の外端面が隔壁端面に対して流路方向に0.01〜5mm突出し、前記突出部分が少なくとも流路方向に対して傾斜面を有し、且つ、前記セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路が両端部において、目封止されていることから、低圧力損失特性と強度の両立を図ることができる。即ち、本発明のセラミックハニカムフィルタは、目封止材の突出部分が傾斜面1dを有して突出していることから、流路11cの排気ガス流入側の実質的な開口率が大きくなり、排気ガス流に対する抵抗が小さくなり、排気ガスは流路方向へと円滑に流れるため、目封止材の外端面に微粒子が堆積しにくくなり、結果として、堆積した微粒子による流路入り口の狭窄による圧力損失の上昇を防ぐことができるのと共に、外周壁近傍の流路両端部が目封止材で補強されていることから、セラミックフィルタの角部が破損しにくくなり、結果として、セラミックハニカム構造体の強度が改善され、使用時の機械的振動や衝撃により破損しにくくなり、低圧力損失と強度を両立させることができる。また、外周壁近傍の流路の両端部が目封止された流路は、断熱空間として作用して、フィルタ再生の際に微粒子の燃焼熱がフィルタ内から外周壁を介して金属製収納容器へ伝わりにくく、フィルタ中心部の温度が高温に維持されるようになり、微粒子の燃焼が良好に行われるからである。ここで外周壁近傍の流路とは、図3及び図4に示すように外周壁に隣接する流路群及びそれに隣接する流路群のことを言う。また外周壁近傍の流路が、外周壁に対して傾いており、ハニカム構造体の両端面に到達していない場合は、一方の端部は端面において目封止材で目封止され、もう一方の端部は、外周壁で目封止されていれば良い。
本発明の別発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、外周壁近傍の流路の両端部を目封止する目封止材のフィルタ端面からの長さがセラミックハニカムフィルタの全長の8.2%以下であり、且つ、前記両端が目封止されている流路は、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することが好ましいのは、外周壁近傍の両端が目封止された目封止部の存在範囲を適切に調整することにより、低圧力損失及び両端目封止によるセラミックハニカムフィルタの強度向上の効果を維持しつつ、微粒子燃焼によるフィルタの再生が良好に行えるからである。
ここで、流路の両端部を目封止している目封止材の端面からの長さをフィルタ全長の8.2%以下としていることが好ましい理由は、外周壁近傍の流路両端部の目封止材により、セラミックハニカム構造体の強度向上の効果を維持しつつ、当該流路が断熱空間として有効に機能して、微粒子燃焼時の燃焼熱の金属製容器へ放散が無視できる程度に押さえることが可能になるからである。ここで、目封止材の端面からの長さがフィルタ全長の8.2%を越えると、微粒子燃焼時の燃焼熱の目封止材を介しての金属製容器へ放散が無視できなくなり、捕集された微粒子の燃え残りが生じ易くなり、フィルタ再生率が低下することもあるから好ましくない。ここで、外周壁近傍の流路が、外周壁に対して傾いており、ハニカム構造体の両端面に到達していない場合は、一方の端部は端面において目封止材で目封止され、もう一方の端部は、外周壁で目封止されることになるので、目封止材の端面からの長さをフィルタ全長の8.2%以下とする目封止材とは、ハニカム構造体の端面に存在する目封止材のことを言う。
また、両端が目封止されている流路が、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在する流路としていることが好ましい理由は、フィルタの圧力損失上昇を最小限に押さえることができるからである。即ち、流路の両端部を目封止することは、排気ガスが当該流路を流通しにくくなるため、フィルタ機能を有する多孔質隔壁の割合が減り、セラミックハニカムフィルタの圧力損失上昇に繋がるという悪影響の出る場合もあるが、図2で示したように外周壁近傍の流路は支持部材13a及び13bで両端部を塞がれる場合もあることから、外周壁近傍の両端が目封止されている流路の割合を一定の範囲に納めることにより、フィルタの圧力損失上昇を最小限に押さえることができ、エンジン性能の低下を招くこともないからである。一方、両端が目封止されている流路が、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲を越えると、相対的にフィルタ機能を有する隔壁の割合が少なくなることから、フィルタの圧力損失が上昇するため、エンジンの排圧が上昇し、エンジン性能の低下を招くこともあることから好ましくない。
また、本発明のセラミックハニカムフィルタを構成する材料としては、本発明が主としてディーゼルエンジンから排出される排ガスを対象とするため、耐熱性の良い材料を使用することが好ましい。このためコージェライト、ムライト、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、LAS等を主結晶相とするセラミック材料を用いることが好ましいが、中でもコージェライトを主結晶相とするセラミックハニカムフィルタは、安価で耐熱性に優れ、化学的にも安定なため最も好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタの隔壁厚は0.1〜0.5mmが好ましく、隔壁のピッチは1.3mm以上が好ましい。隔壁厚が0.1mm未満の場合は、特に外径が150mmを越えるようなハニカムフィルタを製造する際に隔壁の強度が低下し、好ましくない。一方、隔壁厚が0.5mmを超える場合は、ハニカムフィルタの排気ガスに対する隔壁の通気抵抗が大きくなり、圧力損失が大きくなるからである。より好ましい隔壁厚さは、0.2〜0.4mmである。また、隔壁のピッチが1.3mm未満の場合は、ハニカムフィルタのセルの開口面積が小さくなることから、ハニカムフィルタの入口の圧力損失が大きくなるためである。ハニカムフィルタの圧力損失が大きくなると、エンジンの出力低下につながることから好ましくない。
本発明において、セラミックハニカムフィルタの外周壁が、厚さが0.3〜2.0mmであり、セラミックス粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとから構成されていると更に好ましい。この理由は、該外周壁において、両端面を目封止された外周壁近傍の流路の断熱効果がいっそう有効になるからである。このような外周壁は、セラミックハニカム構造体の外周部を加工により除去して、軸方向に延びる凹溝を有する外周面に、セラミックス粒子とコロイド状非晶質酸化物を含むコート材を充填、塗布することにより形成することができる。或いはハニカム構造の成形体の外周部を除去加工した後に、焼成してコート材を充填、塗布しても良い。この除去加工の際に、流路と外周壁が傾くように加工しても良い。なお、外周壁の厚さは、厚い方が断熱性からは好ましいが、2.0mmを越えると、フィルタに熱衝撃が加わった際に外周壁の割れが発生しやすくなり、また、0.3mm未満では、断熱効果は得られないことから、0.3〜2mmの範囲が好ましい。また、外周壁がセラミックス粒子と、それらの間に存在する非晶質酸化物マトリックスとから構成されていると、外周壁が単一のセラミックスで構成されている場合に比べて、外周壁内におけるセラミックスの連続性が損なわれるため、熱が伝わりにくく、外周壁での断熱効果が更に改善されるからである。ここで、セラミックス粒子としてはコージェライト、アルミナ、シリカ、ムライト等耐熱性のものを使用することができるが、中でもコージェラト粒子やシリカ粒子は、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃に有利なためより好ましい。さらに、セラミックス粒子の大きさは、50μm以下の平均粒径を有する粉末であれば、断熱性と強度の両立が図れるため良い。また非晶質酸化物マトリックスはセラミックス粒子を結合して耐熱性を有する外周壁を形成するためのものであるが、外周壁を形成する際にコロイド状となるコロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、水ガラス等を使用することができる。尚、外周壁には上記セラミックス粒子とコロイド状物質から形成された非晶質酸化物マトリックス以外にも、耐熱性や強度を損なわない範囲で、セラミックファイバー、アルミナセメント、等を適宜添加しても良い。
以上説明したように、本発明のセラミックハニカムフィルタによれば、セラミックハニカムフィルタの多孔質隔壁内に形成される細孔の分布を所望の範囲に最適化していることから、低圧力損失であって、支持部材による支持力や、機械的振動及び衝撃に耐えうる強度を有する、圧力損失と強度を両立させたセラミックハニカムフィルタを得ることができる。更には、フィルタの外周壁近傍に両端を目封止材で目封止した流路を設け、または、目封止材の端面を突出させていることから、強度向上と圧力損失低減が確実に達成でき、圧力損失と強度を両立させた信頼性の高いセラミックハニカムフィルタを得ることができる。また、フィルタの外周壁近傍に両端を目封止材で目封止した流路を設けることにより、微粒子を効率よく燃焼させ、燃え残り微粒子による圧力損失の上昇を回避できる効果も有している。
本発明のセラミックハニカムフィルタは、例えば、以下のようにして製造することが出来る。
カオリン、タルク、シリカ、水酸化アルミ、アルミナなどのコージェライト化原料粉末を調整して、化学組成が質量比で、SiO:48〜52%、Al:33〜37%、MgO:12〜15%、CaO:0〜0.05%、Na
:0〜0.05%、KO :0〜0.05%、TiO :0〜1.0%、Fe:0〜1.0%、PbO:0〜0.1%、P:0〜0.2%となるよう調整した後、このコージェライト化原料粉末に、造孔材、バインダーを投入して乾式混合した後に、水を投入後、混練し、可塑性を有する坏土とする。この坏土を公知の押出成形法によりハニカム構造の成形体を押出成形した後、公知の乾燥法、例えば、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、熱風乾燥等の方法により、成形体の乾燥を行う。次いで、乾燥されたハニカム構造の成形体を、焼成炉内に配置し、1350〜1440℃の温度で焼成を行い、隔壁中にコージェライトセラミックス固有の微細孔及び造孔材燃焼除去後の痕跡により形成された細孔を有するセラミックハニカム構造体を得る。
ここで、コージェライトを主結晶とする材料からなるセラミックハニカム構造体の多孔質隔壁の全細孔容積を0.55〜0.80cm/g、100μm以上の細孔容積を0.02〜0.10cm/gとするには、使用するコージェライト化原料の粒径や造孔剤の粒径を調整することにより、達成できる。また、多孔質隔壁の細孔分布を、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.80cm/g、5μm以上の細孔容積:0.50〜0.80cm/g、10μm以上の細孔容積:0.40〜0.70cm/g、20μm以上の細孔容積:0.20〜0.50cm/g、40μm以上の細孔容積:0.05〜0.25cm/gとするには、使用するコージェライト化原料の粒径や造孔剤の粒径を調整することにより、達成できる。ここで、コージェライト化原料のうち、タルク及びシリカには平均粒径は10〜30μmのものを、造孔剤には、平均粒径10μm以上で、粒径10〜100μmが50%以上を占めるものを少なくとも使用すると有効である。
なお、造孔材は、公知のグラファイト、小麦粉、樹脂粉末等であり、平均粒径10μm以上、粒径10〜100μmが50%以上を占める粒度分布となるように調整するのが好ましい。また樹脂粉末を使用する場合、その製造条件を調整して、平均粒径10μm以上、粒径10〜100μmが50%以上を占める粒度分布としても良い。また、造孔材は略球状であると、隔壁中に形成される細孔も略球状となることから、細孔への応力集中を低減することができ、優れた機械的強度を有するセラミックハニカム構造体が得られることから好ましい。更には造孔材が中空であると、造孔材を燃焼除去する際に、容易に隔壁中から除去することが可能となり、燃焼除去の際に隔壁に亀裂が入るといった問題が起こり難く、製造歩留まりが向上することから好ましい。
図3に本発明によるセラミックハニカムフィルタの端面の模式図を示す。また、図4に本発明によるセラミックハニカムフィルタの流路方向の断面模式図を示す。仮想線15は外周壁に対して端面中心に向かって2×(隔壁ピッチ)の長さだけ小さい輪郭を示し、仮想線15と外周壁との間に存在する流路は両端で目封止されている。ここで、目封止材の流路への充填は、公知の技術、例えば、セラミックハニカム構造体の端面にマスキングフィルムを配置した後、ハニカム構造体の流路に対して交互に穿孔部を形成し、別に準備していた目封止用のセラミックスラリーに、セラミックハニカム構造体の端面を浸漬し、マスキングフィルムの穿孔部を通じて、セラミックハニカム構造体にセラミックスラリーを導入する。この際、外周壁近傍の流路については、マスキングフィルムを配置しないことにより、外周壁近傍の流路全てにセラミックスラリーが導入される。この、導入されたスラリ−が固化後に、ハニカム構造体をセラミックスラリーから抜き出し、乾燥させ目封止材を形成する。さらに、ハニカム構造体の他端側も同様の手法で、セラミックスラリーを導入、固化、乾燥させて目封止材を形成した後マスキングフィルムを剥がす。その後、目封止材の焼成を行い、隔壁と目封止材を一体化せしめ、排気ガスの流入側と流出側の所定の流路が目封止されたセラミックハニカムフィルタを得る。尚、所定の流路へのセラミックスラリーの導入は、乾燥後のセラミックハニカム構造の成形体に対して行った上で、成形体と同時に目封止材を焼成、一体化させても良い。
更に、セラミックハニカム構造体の外周壁近傍の流路については、その目封止長さをハニカム構造体の中心部の流路とは異ならせるため、マスキングフィルムを使って、ハニカム構造体の中心部の流路と外周壁近傍の流路へのセラミックスラリー導入を別工程で行うこともできる。例えば、セラミックハニカム構造体の端面にマスキングフィルムを配置した後、ハニカム構造体の中心部の流路に対して交互に穿孔部を形成し、外周壁近傍の流路に対しては穿孔部を形成せずに、別に準備していた目封止用のセラミックスラリーに、セラミックハニカム構造体の端面を浸漬し、マスキングフィルムの穿孔部を通じて、セラミックハニカム構造体にセラミックスラリーを導入する。導入されたスラリ−が固化後に、ハニカム構造体をセラミックスラリーから抜き出し、乾燥、焼成させ、中心部の流路の目封止材と隔壁を一体化せしめる。その後、中心部の流路端面全域にマスキングフィルムを配置し、外周壁近傍の流路にのみセラミックスラリーを導入して、固化、乾燥、焼成させ、中心部の流路と外周壁近傍の流路の目封止材の長さの異なるハニカム構造体が得られる。
ここで、本発明の実施の形態は図3乃至4の形状に限定されるものでなく、図9に示す他の発明例の形状でも、外周壁近傍で両端を目封止された流路が断熱空気層として働くため、フィルタ外周壁から金属製容器の熱放散がなく、捕集された微粒子を効率よく燃焼除去できると共に、フィルタの圧力損失を最小限に押さえることができるため、エンジン性能の低下を防ぐことができる。
尚、本発明の好ましい形態である、セラミックハニカムフィルタの流路を目封止している少なくとも一部の目封止材の外端面が隔壁端面に対して流路方向に0.01〜5mm突出し、前記突出部分が少なくとも流路方向に対して傾斜面を有しているセラミックハニカムフィルタは以下のように製造することが出きる。まず、所定の目封止材の突出部が得られるように、樹脂製材料に開口部を形成させた樹脂製マスク21を準備した。ここで、傾斜面21aを有する開口部を形成するには、樹脂製板材料に機械加工、加熱加工等を施したり、或いは、射出成形法等を用いることにより、可能となる。次に、目封止材スラリーを準備し、図10(a)に示すように、ハニカム構造体の貫通孔における一端側の所定の開口端部を予め作成しておいた樹脂製マスク21により閉塞し、当該ハニカム構造体の一端側に所定の深さが得られるようにスラリーを浸積した。スラリーが乾燥した後に、樹脂製マスク21を除去することにより、図10(b)に示すように隔壁端面に対して目封止材外端面が突出した、セラミックハニカムフィルタを得た。この際、樹脂製マスクの厚さ、開口部傾斜面21aの角度、及び目封止材スラリー等を調整することにより、各種形態で各種突出長さ23を有するセラミックハニカムフィルタを得ることができる。
以下、本発明の実際の例を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
(実施例1〜6)
SiOが42〜56質量%、Alが30〜45質量%、MgOが12〜16質量%となるようにカオリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、シリカ、タルク等のコージェライト化セラミック原料粉末にバインダー、潤滑剤、及び造孔材を加え、混合した。この時、焼成後の多孔質隔壁の細孔分布が各種のものが得られるよう、コージェライト化原料粉末、及び造孔材の粒径、粒度分布、添加量等を調整し、表1に示す配合NO.1〜6の6種類の原料を準備した。次に、この混合物に水を添加して可塑化可能なバッチを作製し、このバッチを公知の押出成形法により、円筒形ハニカム構造体を成形した。次いで、この成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥した後、熱風乾燥を行ったうえで、1400℃の温度条件で焼成を行い、外径267mm、長さ304mm、隔壁のピッチ1.5mm、隔壁厚0.3mmのセラミックハニカム構造体を得た。これら配合NO.1〜6で作成した、セラミックハニカム構造体の、隔壁の細孔分布及びA軸圧縮強度を表1に示す。
ここで、全細孔容積及び細孔分布の測定は、水銀圧入法により、Micromeritics社製オートポアIIIを使用して行い、セラミックハニカムフィルタから切り出した小片を試験片として測定セル内に収納し、セル内を減圧した後、水銀を導入して加圧し、このときの圧力と試料内に存在する細孔中に押し込まれた水銀の体積との関係から、細孔径と累積細孔容積の関係を求める。このとき、水銀を導入する圧力は0.5psi(3.4×10−3MPa)とし、圧力から細孔径を算出する際の常数は、接触角=130°、表面張力484dyne/cmとした。また全細孔容積は、圧力60、000psi(414MPa)の時の累積細孔容積とした(細孔径0.003μmに相当)。また、A軸圧縮強度の測定は、社団法人自動車技術会が定める規格M505−87「自動車排気ガス浄化触媒用セラミックモノリス担体の試験方法」に従って行った。
Figure 2004322082
次いで、これらの配合NO.1〜6の原料から得られたセラミックハニカム構造体に対して、セラミックハニカム構造体の流路端部を交互に目封止がなされるように公知の技術により、コージェライト化原料からなる目封止材スラリーを充填した後、目封止材スラリーの乾燥、焼成を行い、実施例1〜6の各種コージェライト質セラミックハニカムフィルタを得た。ここで流路の目封止材の長さは7〜10mmとなるよう調整した。
得られた実施例1〜6のセラミックハニカムフィルタに対して、圧力損失の評価、及びアイソスタティック強度の評価を行った。結果を表2に示す。
ここで、圧力損失は、圧力損失テストスタンドにて、セラミックハニカムフィルタに空気流量7.5Nm/minで、粒径0.042μmのカーボン粉を3g/hの投入速度で投入し、17g(カーボン粉1g/フィルタ容積1L)投入した後の流入側と流出側の差圧を圧力損失(mmAq)として測定して、カーボン粉投入前の圧力損失に対する上昇率を算出した。圧力損失上昇率=100×{(カーボン1g/L投入後の圧力損失)−(カーボン投入前の圧力損失)}/(カーボン投入前の圧力損失)(%)。その結果、圧力損失上昇率25%以下であれば合格(△)とし、より好ましい20%以下であれば(○)とし、更に好ましい15%以下を(◎)、25%を越える場合を不合格(×)として圧力損失を評価した。
また、アイソスタティック強度試験は、社団法人自動車技術会発行の自動車規格(JASO)M505−87に基づき、セラミックハニカム構造体の軸方向両端面に厚さ20mmのアルミ板を当接して両端を密閉するとともに、外壁部表面を厚さ2mmのゴムで密着したものを、圧力容器に入れ、圧力容器内に水を導入して、外壁部表面から静水圧を加え、破壊したときの圧力を測定して、アイソスタティック強度とした。そして、アイソスタティック強度が1.5MPa以上の場合を合格(△)とし、さらに1.8MPa以上の好ましい場合を(○)、さらに2MPa以上の好ましい場合を(◎)とし、1.5MPa未満の場合を不合格(×)で示した。
そして、総合判定として、圧力損失、アイソスタティック強度のいずれも判定が(○)であるものを(○)、さらにいずれも(◎)であるものを(◎)、いずれかに(△)があるものを(△)、いずれかに(×)があるものを(×)で評価した。
実施例1〜6のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の全細孔容積が0.55〜0.80cm/gであって、多孔質隔壁の細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.80cm/g、5μm以上の細孔容積:0.50〜0.80cm/g、10μm以上の細孔容積:0.40〜0.70cm/g、20μm以上の細孔容積:0.20〜0.50cm/g、40μm以上の細孔容積:0.05〜0.25cm/g、100μm以上の細孔容積が0.02〜0.10cm/gである、配合NO.1〜6の原料から作製したセラミックハニカム構造体を用いていることから、圧力損失、アイソスタティック強度の評価結果はいずれも合格の(△)〜(◎)で総合判定は合格の(△)又は(○)となり、圧力損失、強度に優れたセラミックハニカムフィルタの得られることが判る。中でも、隔壁の全細孔容積が0.57〜0.80cm/gであって、多孔質隔壁の細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.75cm/g、5μm以上の細孔容積:0.54〜0.74cm/g、10μm以上の細孔容積:0.45〜0.65cm/g、20μm以上の細孔容積:0.25〜0.45cm/g、40μm以上の細孔容積:0.07〜0.2cm/g、100μm以上の細孔容積が0.02〜0.08cm/gである、配合NO.2〜5の原料から作製したハニカム構造体は、圧力損失、アイソスタティック強度の評価結果はいずれも(○)で総合判定は合格(○)となり、圧力損失、強度の面で、より優れたセラミックハニカムフィルタであることが判る。
Figure 2004322082
(比較例1〜2)
実施例1〜6と同様に、配合NO.7〜8の2種類の原料を準備し、水を添加して可塑化可能なバッチを作製し、このバッチを公知の押出成形法により、円筒形ハニカム構造体を成形した。次いで、この成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥した後、熱風乾燥を行ったうえで、1400℃の温度条件で焼成を行い、4種類の異なる特性を有し、且つ、外径267mm、長さ304mm、隔壁のピッチ1.5mm、隔壁厚0.3mmのセラミックハニカム構造体を得た。これらの細孔分布、及びA軸圧縮強度を表1に示す。次いで、これらのセラミックハニカム構造体に対して、セラミックハニカム構造体の流路端部を交互に目封止がなされる公知の技術により、コージェライト化原料からなる目封止材スラリーを充填した後、目封止材スラリーの乾燥、焼成を行い、比較例1〜2のコージェライト質セラミックハニカムフィルタを得た。ここで、目封止材の長さは7〜10mmとなるよう調整した。
これらのセラミックハニカムフィルタに対し、実施例1〜6と同様に圧力損失、アイソスタティック強度の評価を行った結果を表2に示す。比較例1のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の全細孔容積が0.55cm/g未満であって、多孔質隔壁の細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.55cm/g未満、5μm以上の細孔容積:0.50cm/g未満、10μm以上の細孔容積:0.40cm3/g未満、20μm以上の細孔容積:0.20cm/g未満、40μm以上の細孔容積:0.05cm/g未満、100μm以上の細孔容積:0.02cm/g未満である、配合NO.7の原料から作製したハニカム構造体を用いていることから、全ての細孔径において細孔容積が小さかったため、アイソスタティック強度の評価結果は合格の(◎)であったものの、圧力損失の評価結果は不合格(×)となり、総合判定は不合格(×)となり、圧力損失と強度を両立させたセラミックハニカムフィルタを得ることはできなかった。
また、比較例2のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の全細孔容積が0.80cm/gを越え、多孔質隔壁の細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.80cm/gを越え、5μm以上の細孔容積:0.80cm/gを越え、10μm以上の細孔容積:0.70cm/gを越え、20μm以上の細孔容積:0.50cm/gを越え、40μm以上の細孔容積:0.25cm/gを越え、100μm以上の細孔容積:0.10cm/gを越えている、配合NO.8の原料から作製したハニカム構造体を用いていることから、全ての細孔径において細孔容積が大きかったため、圧力損失の評価結果は合格(◎)であったものの、アイソスタティック強度の評価結果は不合格の(×)となり、総合判定は不合格(×)となり、圧力損失と強度を両立させたセラミックハニカムフィルタを得ることはできなかった。
(実施例7〜36)
実施例1〜6と同様に、配合NO.1、3、4、5の4種類の原料から、外径267mm、長さ304mm、隔壁のピッチ1.5mm、隔壁厚0.3mmのセラミックハニカム構造体を得た。これらのセラミックハニカム構造体に対して、セラミックハニカム構造体の流路端部を交互に目封止がなされると共に、外周壁近傍の流路に対しては両端部が目封止されるように、セラミックハニカム構造体の端面にマスキングフィルムを配置した後、ハニカム構造体の中心部の流路に対して交互に穿孔部を形成し、外周壁近傍の流路に対しては穿孔部を形成せずに、別に準備していた目封止用のコージェライト化原料からなるセラミックスラリーに、セラミックハニカム構造体の端面を浸漬し、マスキングフィルムの穿孔部を通じて、セラミックハニカム構造体にセラミックスラリーを導入、導入されたスラリ−が固化後に、ハニカム構造体をセラミックスラリーから抜き出し、乾燥させ、中心部の流路の目封止材と隔壁を一体化せしめ、その後、中心部の流路端面全域にマスキングフィルムを配置し、外周壁近傍の流路にのみセラミックスラリーを導入して、固化、乾燥後、焼成して、外周壁近傍の流路が目封止された実施例7〜36の各種コージェライト質セラミックハニカムフィルタを得た。ここで外周壁近傍の流路を除く流路の目封止材の長さは7〜10mmとなるよう調整した。
得られた実施例7〜36のセラミックハニカムフィルタに対して、実施例1〜6と同様に、圧力損失の評価及びアイソスタティック強度の評価を行い、総合判定を行った。更にディーゼルエンジンから排出される微粒子を捕捉させた後、微粒子を燃焼除去した後の質量再生率の評価を行った。
ここで、質量再生率とは、(微粒子の捕捉量−再生後の燃え残り量)×100/(微粒子捕捉量)(%)のことを示す。試験結果は、質量再生率が80%以上の場合を合格(△)とし、より好ましい85%以上の場合を(○)とし、更に90%以上の好ましい場合を(◎)とし、80%未満の場合を不合格(×)で示した。
結果を、表3に示す。表3において、両端部目封止部の目封止長さ比とは、(外周壁近傍の流路を両端部で目封止した一方の目封止材の端面からの長さ)×100/(フィルタの全長)のことであり、本実施例ではフィルタ全長は304mmである。また端面における両端目封止部の範囲とは、両端が目封止された流路の存在する範囲を、端面における外周壁からの中心に向かう長さで示したものである。これらの測定はアイソスタティック試験により破壊したセラミックハニカムフィルタの任意の5カ所について測定した平均値で示した。
Figure 2004322082
実施例7〜36のセラミックハニカムフィルタは、隔壁の全細孔容積が0.55〜0.80cm/gであって、多孔質隔壁の細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.80cm/g、5μm以上の細孔容積:0.50〜0.80cm/g、10μm以上の細孔容積:0.40〜0.70cm/g、20μm以上の細孔容積:0.20〜0.50cm/g、40μm以上の細孔容積:0.05〜0.25cm/g、100μm以上の細孔容積が0.02〜0.10cm/gである、配合NO.1、3、4、5の原料から作製したハニカム構造体を用いており、且つ該セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路が両端部において目封止されていることから、圧力損失、アイソスタティック強度の評価結果はいずれも合格の(△)〜(◎)となり、圧力損失、強度に優れたセラミックハニカムフィルタの得られることが判る。また、実施例7〜36のセラミックハニカムフィルタは、外周壁近傍の流路両端部が目封止され、ハニカムフィルタの角部が補強されていることから、アイソスタティック強度の評価は、いずれも合格の(○)又は、(◎)となり、外周壁近傍の流路両端部が目封止材で目封止されていない実施例1、3、4、5のセラミックハニカムフィルタのアイソスタティック強度の(△)または(○)に比べ、強度特性が改善されている。更に、質量再生率の評価結果から、実施例10及び11、実施例22及び23、実施例31及び32、実施例34及び35のセラミックハニカムフィルタは、端面における両端目封止部の範囲が2×(隔壁ピッチ)であり、且つ、両端目封止部の目封止長さ比が3.3%以下であるため、断熱空間が十分確保されていることから、質量再生率の評価結果が(◎)となり、微粒子の燃焼が良好に行われることが判る。また、実施例15〜18、実施例27〜30のセラミックハニカムフィルタは、端面における両端目封止部の範囲が(4〜6)×(隔壁ピッチ)であるため、断熱空間が十分確保されていることから、質量再生率の評価結果が(◎)となり、微粒子の燃焼が良好に行われることが判る。但し、このうち実施例18及び実施例30のセラミックハニカムフィルタは、端面における両端目封止部の範囲が6×(隔壁ピッチ)であるため、圧力損失の評価が(△)であった。
(実施例37〜48)
実施例2と同様に、配合NO.2のコージェライト化原料を混合、混練し、公知の押出成形法によりハニカム構造体を成形した後、両端部の所定の流路に目封止を行い、1400℃で焼成を行い、外径295mm、長さ304mm、隔壁のピッチ1.5mm、隔壁厚0.3mmであるセラミックハニカム構造体を得た。このハニカム構造体の細孔分布及びA軸圧縮強度は表1に示す通りである。その後、この焼成体の周縁部を加工により除去し、加工後の外周面に、軸方向に延びる凹溝を有する、外径が284mmのセラミックハニカム構造体とした。
次に、所定の目封止材の突出部が得られるように、樹脂製材料に開口部を形成させた樹脂製マスク21を準備した。ここで、傾斜面21aを有する開口部を形成するには、樹脂製板材料に機械加工、加熱加工等を施したり、或いは、射出成形法等を用いることにより、可能となる。次に、コージェライト化原料からなる目封止材スラリーを準備し、ハニカム構造体の貫通孔における一端側の所定の開口端部を予め作成しておいた樹脂製マスク21により閉塞し、当該ハニカム構造体の一端側に所定の深さが得られるようにスラリーを浸積した。スラリーが乾燥した後に、樹脂製マスク21を除去することにより、隔壁端面に対して目封止材外端面が突出した目封止材により目封止されているセラミックハニカムフィルタを得た。この際、樹脂製マスクの厚さ、開口部傾斜面21aの角度、及び目封止材スラリー等を調整することにより、図6(a)、(b)、図8(g)、(n)の形態で各種突出長さ23を有する実施例37〜48のセラミックハニカム構造体とした。次いで、他端面側も同様に目封止部を形成後、目封止材の焼成を行った。このときの目封止材の突出長さの算出は、セラミックハニカム構造体の排気ガス流入側端面の目封止材について、任意の5ケ所の測定値の平均値とした。ここで、目封止材長さは、いずれも概略9mm(全長に対する目封止長さ比3%)に統一した。また、目封止材外側面の表面粗さRyは76μmであった。
次いで、このセラミックハニカム構造体の外周面に、平均粒径15μmのコージェライト粉末100質量部に対してコロイダルシリカを10質量部加え、更にバインダー、水などを加えて調整したコージェライト質スラリーを塗布して外周壁を形成した。その後、外周壁の乾燥、焼成を行い、外径267mm、長さ304mm、隔壁の厚さが0.3mm、隔壁のピッチが1.47mm、外周壁の厚さが1.5mmである、実施例37〜48のコージェライト質セラミックハニカムフィルタを得た。
Figure 2004322082
上記実施例37〜48のセラミックハニカムフィルタに対して、圧力損失及びアイソスタティック強度の評価を行った結果を表4に示す。本発明である実施例37〜48のセラミックハニカムフィルタは、配合NO.2から得られたハニカム構造体で製造した実施例2のセラミックハニカムフィルタの圧力損失の判定が(○)であったのに対し、目封止材の端面形状が、隔壁端面から0.01〜5mm突出し、かつ、突出部分が少なくとも流路方向に傾斜面を有していることから、流入側目封止部1aの端面への微粒子の堆積が起こりにくく、圧力損失の評価が(◎)に改善されていることが判る。
(実施例49〜54)
実施例3と同様に、配合NO.3のコージェライト化原料を混合、混練し、公知の押出成形法によりハニカム構造体を成形した後、両端部の所定の流路に目封止を行い、1400℃で焼成を行い、外径295mm、長さ304mm、隔壁のピッチ1.5mm、隔壁厚0.3mmであるセラミックハニカム構造体を得た。このハニカム構造体の細孔分布及びA軸圧縮強度は表1に示す通りである。その後、この焼成体の周縁部を加工により除去し、加工後の外周面に、加工後の外周面に、軸方向に延びる凹溝を有する、外径が284mmのセラミックハニカム構造体とした。
次に、所定の目封止材の突出部が得られるように、樹脂製材料に開口部を形成させた樹脂製マスク21を準備した。ここで、傾斜面21aを有する開口部を形成するには、樹脂製板材料に機械加工、加熱加工等を施したり、或いは、射出成形法等を用いることにより、可能となる。次に、目封止材スラリーを準備し、ハニカム構造体の貫通孔における一端側の所定の開口端部を予め作成しておいた樹脂製マスク21により閉塞し、当該ハニカム構造体の一端側に所定の深さが得られるようにスラリーを浸積した。なお、ここで、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタの端面中心に向かって(1〜4)×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在する外周壁近傍の流路については、全ての流路に目封止材を導入できるよう、マスクは配置しなかった。スラリーが乾燥した後に、樹脂製マスク21を除去することにより、隔壁端面に対して目封止材外端面が突出し、且つ外周壁近傍の流路が外周壁から(1〜4)×(隔壁ピッチ)の範囲で、全ての流路が目封止されているセラミックハニカム構造体を得た。この際、樹脂製マスクの厚さ、開口部傾斜面21aの角度、及び目封止材スラリー等を調整することにより、図6(a)、(b)の形態で、突出長さ23が0.14mmである実施例49〜54のセラミックハニカム構造体を得た。次いで、他端面側も同様に目封止部を形成後、目封止材の焼成を行った。このときの目封止材の突出長さの算出は、セラミックハニカム構造体の排気ガス流入側端面の目封止材について、任意の5ケ所の測定値の平均値とした。ここで、目封止材長さは、いずれも概略9mm(全長に対する目封止長さ比3%)に統一した。また、目封止材外側面の表面粗さRyは76μmであった。
次いで、このセラミックハニカム構造体の外周面に、平均粒径15μmのシリカ粉末100質量部に対してコロイダルシリカを10質量部加え、更にバインダー、水などを加えて調整したコージェライト質スラリーを塗布して外周壁を形成した。その後、外周壁の乾燥、焼成を行い、外径267mm、長さ304mm、隔壁の厚さが0.3mm、隔壁のピッチが1.47mm、外周壁の厚さが1.5mmである、実施例49〜54コージェライト質セラミックハニカムフィルタを得た。
Figure 2004322082
上記実施例49〜54のセラミックハニカムフィルタに対して、圧力損失、アイソスタティック強度、及び質量再生率の評価を行った結果を表5に示す。本発明である実施例49〜54のセラミックハニカムフィルタは、配合NO.3から得られたハニカム構造体で製造した実施例3のセラミックハニカムフィルタの圧力損失及びアイソスタティック強度の判定が両者とも(○)であったのに対し、外周壁近傍の流路両端部が目封止され、ハニカムフィルタの角部が補強されていることから、アイソスタティック強度の評価は(◎)と改善され、且つ目封止材の端面形状が、隔壁端面から0.14mm突出し、かつ、突出部分が少なくとも流路方向に傾斜面を有していることから、流入側目封止部1aの端面への微粒子の堆積が起こりにくく、圧力損失の評価が(◎)に改善されているため、いずれも総合判定は(◎)となり、低圧力損失と高強度を両立させたセラミックハニカムフィルタの得られることが判る。
セラミックハニカムフィルタの一例を示す正面図である。 セラミックハニカムフィルタの使用例の一例を示す要部断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの一例を示す正面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの一例を示す要部断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの細孔径と累積細孔容積の関係を示す図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの好ましい一例の目封止部拡大図である。 従来のセラミックハニカムフィルタの一例の目封止部拡大図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの目封止形状の他の一例である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの他の例の模式概略断面図である。 本発明の好ましいセラミックハニカムフィルタの目封止を実施する一例の模式断面図である。(a)樹脂製マスクが設置された状態(b)樹脂製マスクを除去した状態
符号の説明
1a:流入側目封止材
1b:流出側目封止材
1c:外周壁近傍の流路の両端部の目封止材
1d:突出部に形成された傾斜面
1e:目封止材用セラミックスラリー
2a:流入側排気ガス
2b:流出側排気ガス
11:セラミックハニカムフィルタ
11a:外周壁
11b:隔壁
11c:流路
12:収納容器
13a、13b:支持部材
14:支持部材
15:目封止材の外端面
16:隔壁の外端面
17:目封止材突出部と隔壁端面の間に形成された角部
18:隙間
21:樹脂製マスク
21a:樹脂製マスク開口部の傾斜面
22:目封止材スラリー容器
23:突出長さ
24:目封止材長さ
25:突出部分が有する傾斜面の流出側端部に形成される角部
51:本発明のセラミックハニカムフィルタの全細孔容積の下限を示す点
52:本発明のセラミックハニカムフィルタの全細孔容積の上限を示す点
53:本発明のセラミックハニカムフィルタの細孔径100μm以上の累積細孔容積の下限を示す点
54:本発明のセラミックハニカムフィルタの細孔径100μm以上の累積細孔容積の上限を示す点
55:本発明のセラミックハニカムフィルタの細孔径2μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、40μm以上における好ましい累積細孔容積の下限を示す点
56:本発明のセラミックハニカムフィルタの細孔径2μm以上、5μm以上、10μm以上、20μm以上、40μm以上における好ましい累積細孔容積の上限を示す点
57:本発明の実施例2のセラミックハニカムフィルタの細孔分布

Claims (7)

  1. セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質隔壁に排気ガスを通過せしめることにより、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するセラミックハニカムフィルタであって、前記多孔質隔壁の全細孔容積が0.55〜0.80cm/gであって、100μm以上の細孔容積が0.02〜0.10cm/gであることを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。
  2. 前記多孔質隔壁の細孔分布が、2μm以上の細孔容積:0.55〜0.80cm/g、5μm以上の細孔容積:0.50〜0.80cm/g、10μm以上の細孔容積:0.40〜0.70cm/g、20μm以上の細孔容積:0.20〜0.50cm/g、40μm以上の細孔容積:0.05〜0.25cm/gであることを特徴とする請求項1に記載のセラミックハニカムフィルタ。
  3. 前記セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路が、両端部において目封止されていることを特徴とする請求項1及び2記載のセラミックハニカムフィルタ。
  4. 前記セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路の両端部を目封止する目封止材のフィルタ端面からの長さが、セラミックハニカムフィルタの全長の8.2%以下であり、且つ、前記両端が目封止されている流路は、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することを特徴とする請求項3記載のセラミックハニカムフィルタ。
  5. 前記隔壁の間隔が2.54mm以下であって、セラミックハニカムフィルタの流路を目封止している少なくとも一部の目封止材の外端面が、隔壁端面に対して流路方向に0.01〜5mm突出し、前記突出部分が少なくとも流路方向に対して傾斜面を有することを特徴とする請求項1乃至4記載のセラミックハニカムフィルタ。
  6. セラミックハニカム構造体の所定の流路端部を目封止し、該流路を区画する多孔質隔壁に排気ガスを通過せしめることにより、排気ガス中に含まれる微粒子を除去するセラミックハニカムフィルタであって、隔壁の間隔が2.54mm以下であって、前記目封止している少なくとも一部の目封止材の外端面が隔壁端面に対して流路方向に0.01〜5mm突出し、前記突出部分が少なくとも流路方向に対して傾斜面を有し、且つ前記セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路が両端部において目封止されていることを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。
  7. 前記セラミックハニカムフィルタの外周壁近傍の流路の両端部を目封止する目封止材のフィルタ端面からの長さが、セラミックハニカムフィルタの全長の8.2%以下であり、且つ、前記両端が目封止されている流路は、ハニカムフィルタ端面の外周壁からハニカムフィルタ端面の中心に向かって、最大5×(隔壁ピッチ)の長さの範囲に存在することを特徴とする請求項6記載のセラミックハニカムフィルタ。

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