JP2004321067A - キャンディ入り果実菓子 - Google Patents
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Abstract
【課題】果実を主体としてキャンディとを組み合わせた魅力的でおいしい菓子を提供する。
【解決手段】果実の種を除去した部分にキャンディが入っているキャンディ入り果実菓子は、果実の種をキャンディに置きかえることによって、果実らしい外観が残ったまま、果実のおいしさが増し、かつ魅力的なおいしい味、食感、風味を有する全く新しい菓子であり、果実の水分値は好ましくは30%以下であり、キャンディにはゲル化剤が含有されていたり、油脂でコーティングされていることが好ましく、果実としては梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうなどが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】果実の種を除去した部分にキャンディが入っているキャンディ入り果実菓子は、果実の種をキャンディに置きかえることによって、果実らしい外観が残ったまま、果実のおいしさが増し、かつ魅力的なおいしい味、食感、風味を有する全く新しい菓子であり、果実の水分値は好ましくは30%以下であり、キャンディにはゲル化剤が含有されていたり、油脂でコーティングされていることが好ましく、果実としては梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうなどが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャンディと果実とを組み合わせた果実菓子に関し、さらに詳しくは、果実の種がキャンディに置き換わった形態の果実菓子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、果実又は果実の一部を菓子の素材と組み合わせて、より魅力的でおいしい菓子にする提案は数多く提案されてきた。
【0003】
例えば、果実又は果実片を菓子素材に入れ込んだものとしては、梅果肉を羊羹に混入した梅実入り羊羹(特許文献1参照。)、アイスクリームに梅を添加、混入した梅入りアイスクリーム(特許文献2参照。)、梅果肉と乾燥梅と粉飴とを混練したペースト状混練物を飴により層状に包み込んだ梅果肉入りキャンディ(特許文献3参照。)、トレハロースを含有した果実片が生地中に入ったソフトキャンディ(特許文献4参照。)、梅干しの果肉ペーストを成型、乾燥した成型乾燥梅を飴で包んだ梅飴(特許文献5参照。)などが提案されている。また、チョコレートと果実の組み合わせとしては、例えば、梅干しを加えたチョコレートをビスケットに被覆するか又はビスケットに挟んだチョコ被覆ビスケット(特許文献6参照。)、糖類と酒類で処理後の梅の果実を、粉末茶を含むチョコレートで被覆した梅入りチョコレート菓子(特許文献7参照)など、数多くの提案がされている(例えば、特許文献8〜10参照)。また、パン生地に梅肉を加えて焼成した梅肉入りパンも提案されている(特許文献11参照。)。さらに、餡中に味付けされた青梅を入れて、パイ生地で包んで焼き上げる焼菓子も提案されている(特許文献12参照。)。また、本願出願人から販売されている点心梅飴(商品名)や、ケーキに苺等の果実をのせたものなども、これら果実と菓子素材との組み合わせ菓子に属する。しかし、これらの組み合わせ菓子は、すべて菓子素材が主役で果実は脇役であり、果実は、あくまで菓子素材の食感にアクセントをつけるためのものである。
【0004】
一方、果実を主体にした組み合わせ菓子の提案もある。例えば、種子部分を除去したのち食用肉質部分を除去したメロン内に、除去した肉質部分とアイスクリーム等の氷菓子を混合したものを充填して真空パックし、瞬間冷凍した氷菓子入りメロン(特許文献13参照。)、梅果実から種を取り出し、種を取り出した切り込み又は開口部からアイスクリームを充填し、全体を冷却したアイスクリーム入り梅菓子(特許文献14参照。)などの提案がなされている。また、内部をくりぬき、糖液に浸漬しておいた南瓜の内部に、プリン等の凝固した菓子が充填された南瓜菓子(特許文献15参照。)も提案されている。
【0005】
ところが、果実の種をキャンディに置き換えたものの提案は従来全くなされていない。その理由として考えられるのは、キャンディが果実のおいしさのインパクトを引き出す手段として全く考えられていなかったか、あるいは、果実の有する水分とキャンディの水分とに差があるために、果実からキャンディへの水分移行が起こり、キャンディの水分値が上昇して流れやすくなり、果実に入れたキャンディが、果実から種を取り出す時に果実に形成された切り込みや開口部から果実外へ流れ出すといった品質劣化が起こると考えられていたからと思われる。さらに、果実とキャンディとの組み合わせでは、前記のような品質劣化を考慮して製造したとしても、それに見合うだけの魅力のあるおいしさを引き出すことができないと信じられていたからと思われる。例えば、十分乾燥させた果実にキャンディを包摂したとしても、果実とキャンディの一体感が得られないのは当然である。ちなみに、上記特許文献13、14に開示された菓子の場合には、メロンや梅などの果実の中に入れる菓子素材がアイスクリームという冷菓であり、しかも油脂成分からなるものであるから、前記のような品質劣化の問題は最初から存在しない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−159444号公報
【特許文献2】
特開昭63−263050号公報
【特許文献3】
特公平1−29537号公報
【特許文献4】
特開平11−18682号公報
【特許文献5】
特開2002−153214号公報
【特許文献6】
特公平2−11217号公報
【特許文献7】
特許第2716320号公報
【特許文献8】
特開昭58−56639号公報
【特許文献9】
特開昭63−160552号公報
【特許文献10】
特公昭61−30540号公報
【特許文献11】
特開平9−65820号公報
【特許文献12】
特公昭62−10128号公報
【特許文献13】
特開昭61−293349号公報
【特許文献14】
特許第3059110号公報
【特許文献15】
特開平6−113760号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、果実とキャンディとを組み合わせた果実菓子であって、果実が主体の、魅力的でおいしい菓子を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係るキャンディ入り果実菓子は、果実の種を除去した部分にキャンディが入っていることを特徴とするものである。このキャンディ入り果実菓子は、果実ができる限り元の形状を保ったままの状態で、かつ該果実の種の部分がキャンディに置き換わったものである。従って、この果実菓子は、果実が主体であって、果実のおいしさとキャンディのおいしさとが組み合わされた魅力的なおいしさのインパクトを与えることができる菓子である。さらに、種の代わりにキャンディが果実に入っていることから、果実を食べる際に種を除いたり、吐き出したりする必要が無く、果実が食べやすいものになっている。
【0009】
また、本発明者らは、果実の水分値がある限界を越えなければ、上記した果実とキャンディとの水分差に起因する品質の劣化が起こらないことを見出した。即ち、前記本発明のキャンディ入り果実菓子においては、前記果実の水分値が30%以下であることが好ましい。更に、前記品質劣化防止の観点からは、果実の水分値は20%以下であることがより好ましい。果実の水分値を前記の範囲に調整することにより、果実と、その中に入れたキャンディとの水分差による果実からキャンディへの水分移行によりキャンディが果実から流れ出すことを防止することができる。一方、果実の水分値が低すぎる場合には、果実のおいしさやフレッシュ感が損なわれる恐れがあることから、果実の水分値は10%以上であることが好ましい。従って、果実の水分値は、より好ましくは10〜30%、更に好ましくは10〜20%である。なお、ここでいう果実の水分値とは、果実をすり潰し、内側と外側の水分値を平均化した後、減圧加熱乾燥法によって得られた測定値である。減圧加熱乾燥法とは、減圧下で40〜100℃にて乾燥し、恒量に達せしめ、乾燥前後の重量差から水分量を決定する方法である。なお、乾燥温度は材料(果実の種類)により選択される。
【0010】
また、本発明のキャンディ入り果実菓子において、前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合には、該キャンディ中に少なくとも1種のゲル化剤が含有されていると、前記果実からキャンディへの水分移行により果実からキャンディが流れ出すことによる品質劣化をより確実に防止でき、また水分の高いフレッシュ感のある果実を用いることができるので好ましい。なお、キャンディの水分値は特に限定はなく、通常のハードキャンディの水分値である6%以下、通常のソフトキャンディの水分値である6〜20%程度でよい。前記のように、本発明のキャンディ入り果実菓子においては、水分値が30%以下の果実を用いることにより、またキャンディに前記ゲル化剤を添加することにより、前記のような水分値のキャンディであっても、水分移行により果実からキャンディが流れ出すことはない。
【0011】
本発明の他の好ましい形態としては、前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合に、該キャンディを油脂でコーティングすることが挙げられる。これにより、前記果実へ入れる前のキャンディの吸湿を防止することができる。
【0012】
本発明のキャンディ入り果実菓子においては、前記果実として、梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうの中から選ばれたものを用いると、果実とキャンディとの組み合わせによる魅力的なおいしさが一層引き立つ果実菓子とすることができる。
【0013】
また、本発明のキャンディ入り果実菓子は、果実から種を除去し、除去した部分に上記のようなキャンディを入れることで得ることができる。このとき使用する果実は、収穫したままのもの(勿論、必要に応じて水などで洗浄して汚れを除去する。)を用いてもよいし、更に調味料などで味付けしたものであってもよい。また、この果実を、必要により乾燥などして水分値が30%以下となるようにし、この果実から種を除去して、代わりにキャンディを入れることで、キャンディが果実から流れ出ることを防止することができる。また、キャンディを入れた後に乾燥して果実の水分値を30%以下となるようにしてもよい。更に、前記のように水分値が30%以下となるように乾燥した果実から種を除去して代わりにキャンディを入れた後、更に乾燥して水分値が20%以下となるようにすることが好ましい。このような後乾燥により、キャンディが果実内に確実に保持され、かつ果実の水分値を下げることで、果実からキャンディへの水分移行によるキャンディの流出をより確実に防止することができる。従って、本発明のキャンディ入り果実菓子の好ましい製造方法は、果実を水分値が30%以下となるように乾燥し、該果実から種を除去し、種を除去した部分にキャンディを入れ、その後、更に乾燥するというものであり、好ましくは、キャンディを入れた後の果実の水分値が20%以下となるように乾燥する。前記の場合、原料果実の水分量が30%以下の場合には、種を入れる前の乾燥を省略できることは勿論である。更に、前記種を入れた後の果実を乾燥するに先立ち、果実から種を取り出す時に果実に形成された切り込みや開口部にゼラチン溶液や寒天溶液などを塗布しておくことで、前記切り込みや開口部がゼラチンや寒天により封止され、果実からのキャンディの流出をより確実に防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、果実の中に存在する種をキャンディで置き換えたことを特徴とするものである。従って、果実が主体であり、キャンディがその脇役として該果実のおいしさを、果実そのものよりもおいしくしたものであり、また、果実とともに種の代わりに入れたキャンディを同時に食することができ、食するに際して種を除いたり、種を吐き出したりする必要がなく、果実が食べやすいものとなる。
【0015】
本発明に用いる果実としては特に限定されるものではない。本発明に使用できる果実としては、例えば、アボカド、苺、いちじく、伊予柑、梅、プルーン、チェリー(サクランボ)、アプリコット、温州蜜柑、桜桃、オリーブ、オレンジ、柿、かぼす、かりん、キウイフルーツ、金柑、グァバ、くねんぼ、ぐみ、グレープフルーツ、ココナッツ、ざくろ、三宝柑、シイクワシャー、西瓜、すだち、すもも、だいだい、タンゴール、タンゼロ、梨、夏みかん、なつめやし、パインアップル、はっさく、パッションフルーツ、バナナ、パパイヤ、日向夏蜜柑、びわ、なつめやし、ぶどう、ぶんたん、ぽんかん、まくわうり、マンゴー、メロン、もも、ゆず、ライム、りゅうがん、リンゴ、レモンなどが挙げられる。これらの果実は、収穫したままの果実でもよいし、キャンディを入れる前に、塩、砂糖、その他の調味料などで味付けしたり、処理したりしたものを用いてもよい。本発明ではこれらの果実から種を除去して、除去した部分にキャンディを入れる。また種が細かく、キャンディを入れるスペースが小さい場合は、種を周囲の果肉ごと刳り抜き、そこにキャンディを入れるようにしてもよい。
【0016】
果実から種を除去する方法は特に限定されるものではないが、果実のヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜く方法が、どのような果実においても実を崩すことなく種を取り出すことができる。果実の種類によっては専用の種取り工具を用いて種を取り出すことも可能である。果実専用の種取り工具としては、例えば、ドイツWestmark社製のチェリー(サクランボ)の種取り器や株式会社諏訪田製作所製の梅の種取り器などがある。また、リンゴなどのように中心に種が多数あり、中心が可食部でない果実の場合は、専用の芯抜き機などを用いて中心部を除去することも可能である。
【0017】
上記のように果実の種を除去した部分にキャンディを入れる場合、果実の水分値が高すぎるとキャンディが溶け出すので、溶け出ないような工夫が必要である。例えば、種を取り出した外皮部分を閉じてから、果実を取り出す時に形成された切り込みや開口部を食用の油やゼラチン、寒天などを、外皮の継ぎ目部分に塗布して塞ぐ処理をする。こうした余分な処理をしなくて良い点で、本発明においては、予め乾燥等によって果実の水分値が30%を越えないように処理をしておくことが好ましい態様である。これにより、果実からキャンディが流れ出ないようになる。また、種を除去した果実にキャンディを入れた後、更に果実を乾燥し、例えば、水分値が20%以下となるようにすることで、果実からキャンディが流れ出すことをより確実に防止することができる。更に好ましい方法としては、果実に入れるキャンディの生地中に予めゲル化剤を入れておく。これにより、キャンディは、より流れにくくなり、果実からキャンディが流れ出ることを防止できる。このようにキャンディにゲル化剤を入れておくことで、前記のように果実の水分量を低減させなくとも果実からのキャンディの流出を防止でき、できるだけ高い水分値の果実を用いることができ、果実のフレッシュ感のある果実菓子とすることが出来る。
【0018】
また、果実が大きすぎると果実とキャンディとのバランスが悪くなったり、また除去する種があまり大きかったり、種の数が多かったりすると、果実の中に入れるキャンディが大きくなったり数が多くなりすぎて、キャンディの占める割合が大きくなり、果実のおいしさが損なわれ、果実菓子として魅力的な味や感じが出ない場合がある。従って、本発明に使用する果実としては、手頃な大きさで、種が1個〜数個の果実がふさわしい。このような観点から、果実としては、梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうなどが、本発明にとってふさわしい果実である。これらはいずれも乾燥果実として商品になっているものである。
【0019】
本発明で使用できるキャンディとしては、ソフトキャンディとハードキャンディが挙げられる。日本農林規格によれば、この両者の違いは水分値が6%以下のものをハードキャンディとし、水分値が6〜20%のものをソフトキャンディとしている。本発明では、ハードキャンディを果実の種の代わりに入れ込んで製品化した際、果実からの水分移行によってソフトキャンディになる場合もありうる。これらのキャンディは砂糖や糖アルコール等の結晶性糖類と水飴等の非結晶性糖類が主原料となる。結晶性糖類としては、砂糖、単糖類(ブドウ糖、果糖等)、2糖類以上の多糖類(乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(ソルビトール、マルチトール、マンニトール、パラチニット、キシリトール入り還元乳糖、エリスリトール等)、オリゴ糖、砂糖の誘導体(パラチノース等)が挙げられる。非結晶性糖類としては水飴、還元水飴、カップリングシュガー等が挙げられる。本発明に用いるキャンディは、前記のような主原料を煮詰めて過剰水分を蒸発させ、次いで冷却した後、香料等を添加し、更に必要に応じて糖化促進種(フォンダント、粉糖等)を混練し、熟成を行って製造される。更に、キャンディの製造においては、つなぎ成分としてゲル化剤を加えることも一般に行われている。しかし、本発明のように、果実の種の代わりにキャンディを入れ込んだ時に果実の外皮からキャンディの一部が流れ出ないようにするために、ゲル化剤をソフトキャンディやハードキャンディの生地に用いるということは、従来においては全く行われてはいない。
【0020】
このようなゲル化剤としては、アラビアガム、グァガム、ローカストビーンガム、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、タラガム、カードラン、タマリンド、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、こんにゃくマンナン、寒天、デンプン、メチルセルロース等を挙げることが出来る。これらの中でも、例えば梅の場合、ゼラチンは梅に含まれる酸や塩のためゲル化が壊れてしまうことから、梅などの酸や塩を多く含む果実の場合には酸や塩に強いキサンタンガムを用いることが好ましい。ゲル化剤の添加量としては、キャンディの総重量当たり0.01〜20重量%が、本発明において好ましい添加量である。より好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜2重量%の添加量である。
【0021】
また前記ソフトキャンディやハードキャンディを油脂でコーティングすることで、油脂の疎水性により、果実へ入れる前のキャンディの吸湿を防止することができる。この際に使用する油脂としては、食用油脂であればよく、植物油脂、陸産動物油脂、水産動物油脂、ロウを用いることができる。特に、本発明にとって味の面で好ましい油脂は植物油脂であり、乾性植物油、半乾性植物油、不乾性植物油、植物脂など、いかなる植物油脂も使用することができる。また、植物油脂の中でも、融点が45℃以上の油脂でコーティングすることがより好ましい態様である。例えば、パーム硬化油、菜種硬化油等が挙げられる。キャンディへの油脂のコーティング方法は特に限定されないが、例えば、加熱溶解した油脂にキャンディを浸漬することによりコーティングすることができる。コーティングする油脂の厚みは特に限定されないが、好ましい範囲は0.01〜2.0mm、より好ましい範囲は0.01〜0.5mmであり、油脂の疎水機能を低下させずに、かつ油脂の食感や味が菓子全体の食感や味に影響を及ぼさないことが重要である。
【0022】
本発明に使用できるキャンディとしては、更にグミキャンディを挙げることが出来る。グミキャンディはゼラチンを主原料とする比重1.2〜1.5のゼラチン菓子である。この原料としては、牛骨ゼラチン、豚皮ゼラチン、魚ゼラチン等を本発明で使用することができる。又、それぞれ酸処理、アルカリ処理といった処理の仕方で食感も変わってくるが、これらも当然本発明で使用できる、グミの食感は又、残留水分量により変わる、即ち、水分量が減少するとより硬くなる。本発明で用いるグミキャンディの水分値は8〜20%の範囲であることが好ましい。本発明で用いるグミキャンディは、一般的な方法で作ることが出来る。グミキャンディは、一般につぎのようにして作る。適当な強度、例えば強度100のゼラチンを水に溶解し膨潤させて適当な温度、例えば60℃に保温しておく。別に砂糖と水飴から成る糖液をつくっておき、先に保温しておいたゼラチン溶液と攪拌混合する。この混合の際、香料や色素等を加えておくのが一般的である。この溶液を予め多くの型に抜いておいたスターチに流し込み(充填)、乾燥機に入れて乾燥させる。その後、付着したスターチを除去し(デパウダー)、多くのグミがお互いに接着しないように表面に油をかけて(オイリング)、グミキャンディが作られる。
【0023】
本発明に使用されるキャンディの大きさは、果実の種類とその大きさに応じて変えるのが好ましい。例えば、種の大きさの約1/5から10倍、より好ましくは1/2〜2倍の大きさのキャンディを使用することができる。勿論、小さなキャンディを多数個果実の種の代わりに入れ込む態様も本発明の範囲内である。種よりも大きなキャンディを果実に入れる場合には、種を周囲の果肉ごとくり貫き、そこにキャンディを入れるようにしてもよい。
【0024】
本発明のキャンディ入り果実菓子は、果実から種を除去し、除去した部分に上記のようなキャンディを入れることで得ることができる。このとき使用する果実は、収穫したままのもの(勿論、必要に応じて水などで洗浄して汚れを除去する。)を用いてもよいし、更に調味料などで味付けしたものであってもよい。また、この果実を、必要により乾燥などして水分値が30%以下となるようにし、この果実から種を除去して、代わりにキャンディを入れることで、キャンディが果実から流れ出ることを防止することができる。更に、前記のように種の代わりにキャンディを入れた後の果実を更に乾燥して、水分値が20%以下となるようにすることが好ましい。この乾燥により、キャンディが果実内に確実に保持され、かつ果実からキャンディへの水分移行によるキャンディの流出をより確実に防止することができる。従って、本発明のキャンディ入り果実菓子を製造するのに好適な方法として、果実を水分値が30%以下となるように乾燥し、該果実から種を除去し、種を除去した部分にキャンディを入れ、これを水分値が20%以下となるように乾燥する方法を挙げることができる。この方法において、果実の水分量がもとから30%以下の場合には、種を入れる前の乾燥を省略できることは勿論である。更に、前記種を入れた後の果実を乾燥するに先立ち、果実から種を取り出す時に果実に形成された切り込みや開口部にゼラチンを塗布しておくことで、前記切り込みや開口部がゼラチンにより封止され、キャンディの流出をより確実に防止することができる。
【0025】
【実施例】
次に実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
【0026】
(実施例1)
白干しの梅を流水にさらし、塩分15%程度まで塩抜きを行い、その後、水分値15%まで乾燥させた。前記乾燥梅を、砂糖、クエン酸、グルタミン酸ナトリウムからなる調味液に3日間漬け込み、味付けを行った。その後、最終の梅の水分値が25%になるように乾燥した。このようにして味付け、乾燥させた梅のヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜いておいた。一方、固形分含量が砂糖60重量%、水飴40重量%の水溶液を155℃まで煮詰めた後、単重2.5gの球形に成型し、水分値2.5%のハードキャンディを得た。このキャンディを上記した種を取っておいた梅の種部分に入れ込んだ後、梅の外皮の開口部を内側に折り込み、キャンディが見えなくなるように外皮を使って閉じ込んだ。この際、ゼラチンの40%溶液で前記折り込んだ梅の外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このキャンディ入り梅を40℃の送風乾燥機で更に水分値12%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、梅のすっぱさとキャンディの甘さがマッチングした、おいしく、かつ外観が梅らしさの残ったキャンディ入り梅であった。
【0027】
(実施例2)
実施例1において、キャンディを作る際にキサンタンガムを0.2重量%配合したキャンディを用いること、梅の外皮の継ぎ目部分に塗り込むゼラチンを用いないこと、最終の水分値17%まで乾燥させたこと以外は、実施例1と同様にしてキャンディ入り梅を作った。
このようにして作ったキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、おいしく外観が梅らしさの残ったキャンディ入り梅であった。
【0028】
(実施例3)
固形分含量で砂糖38重量%、水飴41重量%、昆布パウダー7重量%、油脂8重量%、乳化剤0.5重量%を加熱溶解後、水分5%まで煮詰めた。ついでゼラチン1重量%、酸味料1重量%、シソ香料0.5重量%を加え、ミキサーで混合した。更にフォンダント3重量%をニーダーで混和してから、一晩エージングを行った後、単重2.5gの球形に成型し、水分値7.5%のソフトキャンディを得た。このキャンディを実施例1と同様に種を取っておいた梅の種部分に入れ込んで、梅の外皮を使って閉じ込んだ。この際、ゼラチンの溶液で梅の外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このソフトキャンディ入り梅を40℃の送風乾燥機で更に水分値12%まで乾燥した。
このようにして作ったソフトキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、梅のすっぱさと昆布ソフトキャンディの旨味がマッチングした、おいしく、かつ外観が梅らしさの残ったソフトキャンディ入り梅であった。
【0029】
(実施例4)
実施例3において、キャンディを作る際にキサンタンガムを0.2重量%配合したキャンディを用いること、梅の外皮の継ぎ目部分に塗り込むゼラチンを用いないこと、最終の水分値17%まで乾燥させたこと以外は、実施例3と同様にしてキャンディ入り梅を作った。
このようにして作ったソフトキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、おいしく外観が梅らしさの残ったソフトキャンディ入り梅であった。
【0030】
(実施例5)
次のようにハードキャンディを作成した。固形分含量で砂糖59重量%、水飴35重量%、濃縮ヨーグルト5重量%を加熱溶解後、155℃まで煮詰めた。ついで、酸味料1重量%、ヨーグルト香料少量を添加し、攪拌後、単重4gの球形に成型し、水分値2.5%のヨーグルト味のキャンディを得た。水分値30%に調整したドライプルーンのヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜き、その部分に前記キャンディを入れ込みプルーンの外皮を使って閉じ込んだ。この際、ゼラチンの40%溶液でプルーンの外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このヨーグルトキャンディ入りプルーンを40℃の送風乾燥機で更に水分値18%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入りプルーンは、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、ドライプルーンの甘酸っぱさとヨーグルトキャンディの甘酸っぱさがマッチングした、おいしく、かつ外観がプルーンらしさの残ったキャンディ入りプルーンであった。
【0031】
(実施例6)
次のようにグミキャンディを作成した。固形分含量で砂糖33重量%、水飴50重量%を加熱溶解後、濃縮した。これにゼラチン9重量%、アラビアガム4重量%、濃縮ヨーグルト3重量%と酸味料1重量%、少量のヨーグルト香料を添加して均一にした。これをスターチモールドに充填乾燥後、デパウダー、オイリングし、単重4g、水分値10%のヨーグルト味のグミキャンディを得た。水分値30%に調整したドライプルーンから種をぬき、その部分に前記グミキャンディを入れ込みプルーンの外皮を使って閉じ込んだ。このグミ入りのプルーンを40℃の送風乾燥機で更に水分値20%まで乾燥させた。
このようにして作ったグミ入りプルーンは、水分を吸ってグミキャンディが流れ出すこともなく、ドライプルーンの甘酸っぱさとヨーグルトグミの甘酸っぱさがマッチングした、おいしく、かつ外観がプルーンらしさの残ったグミ入りプルーンであった。
【0032】
(実施例7)
固形分含量で砂糖38重量%、水飴41重量%、粉末小豆10重量%、油脂5重量%、乳化剤0.5重量%を加熱溶解後、水分5%まで煮詰めた。ついでゼラチン1重量%、酸味料1重量%、小豆香料0.5重量%を加え、ミキサーで混合した。更にフォンダント3重量%をニーダーで混和してから、一晩エージングを行い、水分値7.5%の小豆味のソフトキャンディを得た。該ソフトキャンディを球断機にて3.5gの球状に成型し、さらに黄粉粉末をまぶした。水分値30%に調整した干し柿のヘタから1cmの部分に小型ナイフにて切り込みを入れ、種を含む中心部を該ナイフにて刳り抜いた。その刳り抜いた部分に該ソフトキャンディ1個を入れ込み閉じ込んだ。この際、5%寒天溶液で干し柿の外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このソフトキャンディ入り干し柿を40℃の送風乾燥機で更に水分値18%まで乾燥した。
このようにして作ったソフトキャンディ入り干し柿は、水分を吸ってグミキャンディが流れ出すこともなく、干し柿、黄粉、小豆の風味がマッチングした、おいしく、かつ外観が干し柿らしさの残ったソフトキャンディ入り干し柿であった。
【0033】
(実施例8)
アメリカンチェリーを、種取り器(ドイツWestmark社製)を用いて種を除去した後、シロップ漬けにした。これを水分値20%まで乾燥させた後、実施例5と同様の方法で作成したヨーグルトキャンディを単重1gに成型後、種部分に入れ込んだ。この際、ゼラチンの40%溶液でチェリーの外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このヨーグルトキャンディ入りアメリカンチェリーを30℃の送風乾燥機で更に水分値15%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入りアメリカンチェリーは、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、アメリカンチェリーとヨーグルトの風味がマッチした、おいしく、かつ外観がアメリカンチェリーらしさの残ったキャンディ入りアメリカンチェリーであった。
【0034】
(実施例9)
白干しの梅を流水にさらし、塩分15%程度まで塩抜きを行い、その後、水分値15%まで乾燥させた。前記乾燥梅を、砂糖、クエン酸、グルタミン酸ナトリウムからなる調味液に3日間漬け込み、味付けを行った。その後、最終の水分値が50%になるように乾燥した。このようにして乾燥させた梅のヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜いておいた。一方、固形分含量が砂糖59.5重量%、水飴40重量%、キサンタンガム0.5重量%の水溶液を155℃まで煮詰め、単重2.5gの球形に成型し、水分値2.5%のハードキャンディを得た。このキャンディを前記種を取っておいた梅の種部分に入れ込んで、梅の外皮を使って閉じ込んだ。このキャンディ入り梅を40℃の送風乾燥機で更に水分値20%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが溶け、表面が水飴状になっているが、梅の旨みを吸ったおいしい水飴入り梅であった。
【0035】
(実施例10)
実施例1において、キャンディを成型後、60℃の湯煎にて溶解した硬化パーム油(融点45℃)にキャンディを浸漬してキャンディの表面に0.05mmの厚さで硬化パーム油をコーティングしたこと、梅の外皮の継ぎ目部分に塗り込むゼラチンを用いないこと、以外は実施例1と同様にしてキャンディ入り梅を作った。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、果実の種をキャンディに置きかえることによって、果実らしい外観が残ったまま、果実のおいしさが増し、かつ魅力的なおいしい味、食感、風味などを有する全く新しい菓子を提供することができる。
【0037】
また、前記果実の水分値を30%以下に調整することにより、果実からキャンディへの水分移行によりキャンディが果実に形成された切り込みや開口部から流れ出すという品質劣化を防止することができる。
【0038】
前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合には、該キャンディ中に少なくとも1種のゲル化剤が含有されていると、果実からキャンディへの水分移行により果実に形成された切り込みや開口部からキャンディが流れ出すという品質劣化をより確実に防止でき、また水分の高いフレッシュ感のある果実を用いることができるので好ましい。
【0039】
前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合には、該キャンディが油脂でコーティングされていると、果実へ入れる前のキャンディの吸湿を防止することができるので好ましい。
【0040】
本発明のキャンディ入り果実菓子においては、前記果実として、梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうの中から選ばれたものを用いると、果実とキャンディとの組み合わせによる魅力的なおいしさが一層引き立つ果実菓子とすることができる。
【0041】
また、果実を水分値が30%以下となるように乾燥し、該果実から種を除去し、種を除去した部分にキャンディを入れ、これを更に乾燥してキャンディ入り果実菓子を製造する方法においては、水分値が30%以下の果実から種を除去して、代わりにキャンディを入れることで、キャンディが果実からの水分移行により流れ易くなって果実から流れ出る品質劣化を防止することができる。更に、前記のように種の代わりにキャンディを入れた後の果実を更に乾燥して、好ましくは水分値が20%以下となるようにすると、この乾燥により、キャンディが果実内に確実に保持され、かつ果実からキャンディへの水分移行によるキャンディの流出をより確実に防止することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャンディと果実とを組み合わせた果実菓子に関し、さらに詳しくは、果実の種がキャンディに置き換わった形態の果実菓子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、果実又は果実の一部を菓子の素材と組み合わせて、より魅力的でおいしい菓子にする提案は数多く提案されてきた。
【0003】
例えば、果実又は果実片を菓子素材に入れ込んだものとしては、梅果肉を羊羹に混入した梅実入り羊羹(特許文献1参照。)、アイスクリームに梅を添加、混入した梅入りアイスクリーム(特許文献2参照。)、梅果肉と乾燥梅と粉飴とを混練したペースト状混練物を飴により層状に包み込んだ梅果肉入りキャンディ(特許文献3参照。)、トレハロースを含有した果実片が生地中に入ったソフトキャンディ(特許文献4参照。)、梅干しの果肉ペーストを成型、乾燥した成型乾燥梅を飴で包んだ梅飴(特許文献5参照。)などが提案されている。また、チョコレートと果実の組み合わせとしては、例えば、梅干しを加えたチョコレートをビスケットに被覆するか又はビスケットに挟んだチョコ被覆ビスケット(特許文献6参照。)、糖類と酒類で処理後の梅の果実を、粉末茶を含むチョコレートで被覆した梅入りチョコレート菓子(特許文献7参照)など、数多くの提案がされている(例えば、特許文献8〜10参照)。また、パン生地に梅肉を加えて焼成した梅肉入りパンも提案されている(特許文献11参照。)。さらに、餡中に味付けされた青梅を入れて、パイ生地で包んで焼き上げる焼菓子も提案されている(特許文献12参照。)。また、本願出願人から販売されている点心梅飴(商品名)や、ケーキに苺等の果実をのせたものなども、これら果実と菓子素材との組み合わせ菓子に属する。しかし、これらの組み合わせ菓子は、すべて菓子素材が主役で果実は脇役であり、果実は、あくまで菓子素材の食感にアクセントをつけるためのものである。
【0004】
一方、果実を主体にした組み合わせ菓子の提案もある。例えば、種子部分を除去したのち食用肉質部分を除去したメロン内に、除去した肉質部分とアイスクリーム等の氷菓子を混合したものを充填して真空パックし、瞬間冷凍した氷菓子入りメロン(特許文献13参照。)、梅果実から種を取り出し、種を取り出した切り込み又は開口部からアイスクリームを充填し、全体を冷却したアイスクリーム入り梅菓子(特許文献14参照。)などの提案がなされている。また、内部をくりぬき、糖液に浸漬しておいた南瓜の内部に、プリン等の凝固した菓子が充填された南瓜菓子(特許文献15参照。)も提案されている。
【0005】
ところが、果実の種をキャンディに置き換えたものの提案は従来全くなされていない。その理由として考えられるのは、キャンディが果実のおいしさのインパクトを引き出す手段として全く考えられていなかったか、あるいは、果実の有する水分とキャンディの水分とに差があるために、果実からキャンディへの水分移行が起こり、キャンディの水分値が上昇して流れやすくなり、果実に入れたキャンディが、果実から種を取り出す時に果実に形成された切り込みや開口部から果実外へ流れ出すといった品質劣化が起こると考えられていたからと思われる。さらに、果実とキャンディとの組み合わせでは、前記のような品質劣化を考慮して製造したとしても、それに見合うだけの魅力のあるおいしさを引き出すことができないと信じられていたからと思われる。例えば、十分乾燥させた果実にキャンディを包摂したとしても、果実とキャンディの一体感が得られないのは当然である。ちなみに、上記特許文献13、14に開示された菓子の場合には、メロンや梅などの果実の中に入れる菓子素材がアイスクリームという冷菓であり、しかも油脂成分からなるものであるから、前記のような品質劣化の問題は最初から存在しない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭57−159444号公報
【特許文献2】
特開昭63−263050号公報
【特許文献3】
特公平1−29537号公報
【特許文献4】
特開平11−18682号公報
【特許文献5】
特開2002−153214号公報
【特許文献6】
特公平2−11217号公報
【特許文献7】
特許第2716320号公報
【特許文献8】
特開昭58−56639号公報
【特許文献9】
特開昭63−160552号公報
【特許文献10】
特公昭61−30540号公報
【特許文献11】
特開平9−65820号公報
【特許文献12】
特公昭62−10128号公報
【特許文献13】
特開昭61−293349号公報
【特許文献14】
特許第3059110号公報
【特許文献15】
特開平6−113760号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、果実とキャンディとを組み合わせた果実菓子であって、果実が主体の、魅力的でおいしい菓子を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明に係るキャンディ入り果実菓子は、果実の種を除去した部分にキャンディが入っていることを特徴とするものである。このキャンディ入り果実菓子は、果実ができる限り元の形状を保ったままの状態で、かつ該果実の種の部分がキャンディに置き換わったものである。従って、この果実菓子は、果実が主体であって、果実のおいしさとキャンディのおいしさとが組み合わされた魅力的なおいしさのインパクトを与えることができる菓子である。さらに、種の代わりにキャンディが果実に入っていることから、果実を食べる際に種を除いたり、吐き出したりする必要が無く、果実が食べやすいものになっている。
【0009】
また、本発明者らは、果実の水分値がある限界を越えなければ、上記した果実とキャンディとの水分差に起因する品質の劣化が起こらないことを見出した。即ち、前記本発明のキャンディ入り果実菓子においては、前記果実の水分値が30%以下であることが好ましい。更に、前記品質劣化防止の観点からは、果実の水分値は20%以下であることがより好ましい。果実の水分値を前記の範囲に調整することにより、果実と、その中に入れたキャンディとの水分差による果実からキャンディへの水分移行によりキャンディが果実から流れ出すことを防止することができる。一方、果実の水分値が低すぎる場合には、果実のおいしさやフレッシュ感が損なわれる恐れがあることから、果実の水分値は10%以上であることが好ましい。従って、果実の水分値は、より好ましくは10〜30%、更に好ましくは10〜20%である。なお、ここでいう果実の水分値とは、果実をすり潰し、内側と外側の水分値を平均化した後、減圧加熱乾燥法によって得られた測定値である。減圧加熱乾燥法とは、減圧下で40〜100℃にて乾燥し、恒量に達せしめ、乾燥前後の重量差から水分量を決定する方法である。なお、乾燥温度は材料(果実の種類)により選択される。
【0010】
また、本発明のキャンディ入り果実菓子において、前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合には、該キャンディ中に少なくとも1種のゲル化剤が含有されていると、前記果実からキャンディへの水分移行により果実からキャンディが流れ出すことによる品質劣化をより確実に防止でき、また水分の高いフレッシュ感のある果実を用いることができるので好ましい。なお、キャンディの水分値は特に限定はなく、通常のハードキャンディの水分値である6%以下、通常のソフトキャンディの水分値である6〜20%程度でよい。前記のように、本発明のキャンディ入り果実菓子においては、水分値が30%以下の果実を用いることにより、またキャンディに前記ゲル化剤を添加することにより、前記のような水分値のキャンディであっても、水分移行により果実からキャンディが流れ出すことはない。
【0011】
本発明の他の好ましい形態としては、前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合に、該キャンディを油脂でコーティングすることが挙げられる。これにより、前記果実へ入れる前のキャンディの吸湿を防止することができる。
【0012】
本発明のキャンディ入り果実菓子においては、前記果実として、梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうの中から選ばれたものを用いると、果実とキャンディとの組み合わせによる魅力的なおいしさが一層引き立つ果実菓子とすることができる。
【0013】
また、本発明のキャンディ入り果実菓子は、果実から種を除去し、除去した部分に上記のようなキャンディを入れることで得ることができる。このとき使用する果実は、収穫したままのもの(勿論、必要に応じて水などで洗浄して汚れを除去する。)を用いてもよいし、更に調味料などで味付けしたものであってもよい。また、この果実を、必要により乾燥などして水分値が30%以下となるようにし、この果実から種を除去して、代わりにキャンディを入れることで、キャンディが果実から流れ出ることを防止することができる。また、キャンディを入れた後に乾燥して果実の水分値を30%以下となるようにしてもよい。更に、前記のように水分値が30%以下となるように乾燥した果実から種を除去して代わりにキャンディを入れた後、更に乾燥して水分値が20%以下となるようにすることが好ましい。このような後乾燥により、キャンディが果実内に確実に保持され、かつ果実の水分値を下げることで、果実からキャンディへの水分移行によるキャンディの流出をより確実に防止することができる。従って、本発明のキャンディ入り果実菓子の好ましい製造方法は、果実を水分値が30%以下となるように乾燥し、該果実から種を除去し、種を除去した部分にキャンディを入れ、その後、更に乾燥するというものであり、好ましくは、キャンディを入れた後の果実の水分値が20%以下となるように乾燥する。前記の場合、原料果実の水分量が30%以下の場合には、種を入れる前の乾燥を省略できることは勿論である。更に、前記種を入れた後の果実を乾燥するに先立ち、果実から種を取り出す時に果実に形成された切り込みや開口部にゼラチン溶液や寒天溶液などを塗布しておくことで、前記切り込みや開口部がゼラチンや寒天により封止され、果実からのキャンディの流出をより確実に防止することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、果実の中に存在する種をキャンディで置き換えたことを特徴とするものである。従って、果実が主体であり、キャンディがその脇役として該果実のおいしさを、果実そのものよりもおいしくしたものであり、また、果実とともに種の代わりに入れたキャンディを同時に食することができ、食するに際して種を除いたり、種を吐き出したりする必要がなく、果実が食べやすいものとなる。
【0015】
本発明に用いる果実としては特に限定されるものではない。本発明に使用できる果実としては、例えば、アボカド、苺、いちじく、伊予柑、梅、プルーン、チェリー(サクランボ)、アプリコット、温州蜜柑、桜桃、オリーブ、オレンジ、柿、かぼす、かりん、キウイフルーツ、金柑、グァバ、くねんぼ、ぐみ、グレープフルーツ、ココナッツ、ざくろ、三宝柑、シイクワシャー、西瓜、すだち、すもも、だいだい、タンゴール、タンゼロ、梨、夏みかん、なつめやし、パインアップル、はっさく、パッションフルーツ、バナナ、パパイヤ、日向夏蜜柑、びわ、なつめやし、ぶどう、ぶんたん、ぽんかん、まくわうり、マンゴー、メロン、もも、ゆず、ライム、りゅうがん、リンゴ、レモンなどが挙げられる。これらの果実は、収穫したままの果実でもよいし、キャンディを入れる前に、塩、砂糖、その他の調味料などで味付けしたり、処理したりしたものを用いてもよい。本発明ではこれらの果実から種を除去して、除去した部分にキャンディを入れる。また種が細かく、キャンディを入れるスペースが小さい場合は、種を周囲の果肉ごと刳り抜き、そこにキャンディを入れるようにしてもよい。
【0016】
果実から種を除去する方法は特に限定されるものではないが、果実のヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜く方法が、どのような果実においても実を崩すことなく種を取り出すことができる。果実の種類によっては専用の種取り工具を用いて種を取り出すことも可能である。果実専用の種取り工具としては、例えば、ドイツWestmark社製のチェリー(サクランボ)の種取り器や株式会社諏訪田製作所製の梅の種取り器などがある。また、リンゴなどのように中心に種が多数あり、中心が可食部でない果実の場合は、専用の芯抜き機などを用いて中心部を除去することも可能である。
【0017】
上記のように果実の種を除去した部分にキャンディを入れる場合、果実の水分値が高すぎるとキャンディが溶け出すので、溶け出ないような工夫が必要である。例えば、種を取り出した外皮部分を閉じてから、果実を取り出す時に形成された切り込みや開口部を食用の油やゼラチン、寒天などを、外皮の継ぎ目部分に塗布して塞ぐ処理をする。こうした余分な処理をしなくて良い点で、本発明においては、予め乾燥等によって果実の水分値が30%を越えないように処理をしておくことが好ましい態様である。これにより、果実からキャンディが流れ出ないようになる。また、種を除去した果実にキャンディを入れた後、更に果実を乾燥し、例えば、水分値が20%以下となるようにすることで、果実からキャンディが流れ出すことをより確実に防止することができる。更に好ましい方法としては、果実に入れるキャンディの生地中に予めゲル化剤を入れておく。これにより、キャンディは、より流れにくくなり、果実からキャンディが流れ出ることを防止できる。このようにキャンディにゲル化剤を入れておくことで、前記のように果実の水分量を低減させなくとも果実からのキャンディの流出を防止でき、できるだけ高い水分値の果実を用いることができ、果実のフレッシュ感のある果実菓子とすることが出来る。
【0018】
また、果実が大きすぎると果実とキャンディとのバランスが悪くなったり、また除去する種があまり大きかったり、種の数が多かったりすると、果実の中に入れるキャンディが大きくなったり数が多くなりすぎて、キャンディの占める割合が大きくなり、果実のおいしさが損なわれ、果実菓子として魅力的な味や感じが出ない場合がある。従って、本発明に使用する果実としては、手頃な大きさで、種が1個〜数個の果実がふさわしい。このような観点から、果実としては、梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうなどが、本発明にとってふさわしい果実である。これらはいずれも乾燥果実として商品になっているものである。
【0019】
本発明で使用できるキャンディとしては、ソフトキャンディとハードキャンディが挙げられる。日本農林規格によれば、この両者の違いは水分値が6%以下のものをハードキャンディとし、水分値が6〜20%のものをソフトキャンディとしている。本発明では、ハードキャンディを果実の種の代わりに入れ込んで製品化した際、果実からの水分移行によってソフトキャンディになる場合もありうる。これらのキャンディは砂糖や糖アルコール等の結晶性糖類と水飴等の非結晶性糖類が主原料となる。結晶性糖類としては、砂糖、単糖類(ブドウ糖、果糖等)、2糖類以上の多糖類(乳糖、麦芽糖、キシロース、異性化乳糖等)、糖アルコール(ソルビトール、マルチトール、マンニトール、パラチニット、キシリトール入り還元乳糖、エリスリトール等)、オリゴ糖、砂糖の誘導体(パラチノース等)が挙げられる。非結晶性糖類としては水飴、還元水飴、カップリングシュガー等が挙げられる。本発明に用いるキャンディは、前記のような主原料を煮詰めて過剰水分を蒸発させ、次いで冷却した後、香料等を添加し、更に必要に応じて糖化促進種(フォンダント、粉糖等)を混練し、熟成を行って製造される。更に、キャンディの製造においては、つなぎ成分としてゲル化剤を加えることも一般に行われている。しかし、本発明のように、果実の種の代わりにキャンディを入れ込んだ時に果実の外皮からキャンディの一部が流れ出ないようにするために、ゲル化剤をソフトキャンディやハードキャンディの生地に用いるということは、従来においては全く行われてはいない。
【0020】
このようなゲル化剤としては、アラビアガム、グァガム、ローカストビーンガム、プルラン、ゼラチン、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム、タラガム、カードラン、タマリンド、カラギーナン、ペクチン、ジェランガム、こんにゃくマンナン、寒天、デンプン、メチルセルロース等を挙げることが出来る。これらの中でも、例えば梅の場合、ゼラチンは梅に含まれる酸や塩のためゲル化が壊れてしまうことから、梅などの酸や塩を多く含む果実の場合には酸や塩に強いキサンタンガムを用いることが好ましい。ゲル化剤の添加量としては、キャンディの総重量当たり0.01〜20重量%が、本発明において好ましい添加量である。より好ましくは0.05〜5重量%、さらに好ましくは0.05〜2重量%の添加量である。
【0021】
また前記ソフトキャンディやハードキャンディを油脂でコーティングすることで、油脂の疎水性により、果実へ入れる前のキャンディの吸湿を防止することができる。この際に使用する油脂としては、食用油脂であればよく、植物油脂、陸産動物油脂、水産動物油脂、ロウを用いることができる。特に、本発明にとって味の面で好ましい油脂は植物油脂であり、乾性植物油、半乾性植物油、不乾性植物油、植物脂など、いかなる植物油脂も使用することができる。また、植物油脂の中でも、融点が45℃以上の油脂でコーティングすることがより好ましい態様である。例えば、パーム硬化油、菜種硬化油等が挙げられる。キャンディへの油脂のコーティング方法は特に限定されないが、例えば、加熱溶解した油脂にキャンディを浸漬することによりコーティングすることができる。コーティングする油脂の厚みは特に限定されないが、好ましい範囲は0.01〜2.0mm、より好ましい範囲は0.01〜0.5mmであり、油脂の疎水機能を低下させずに、かつ油脂の食感や味が菓子全体の食感や味に影響を及ぼさないことが重要である。
【0022】
本発明に使用できるキャンディとしては、更にグミキャンディを挙げることが出来る。グミキャンディはゼラチンを主原料とする比重1.2〜1.5のゼラチン菓子である。この原料としては、牛骨ゼラチン、豚皮ゼラチン、魚ゼラチン等を本発明で使用することができる。又、それぞれ酸処理、アルカリ処理といった処理の仕方で食感も変わってくるが、これらも当然本発明で使用できる、グミの食感は又、残留水分量により変わる、即ち、水分量が減少するとより硬くなる。本発明で用いるグミキャンディの水分値は8〜20%の範囲であることが好ましい。本発明で用いるグミキャンディは、一般的な方法で作ることが出来る。グミキャンディは、一般につぎのようにして作る。適当な強度、例えば強度100のゼラチンを水に溶解し膨潤させて適当な温度、例えば60℃に保温しておく。別に砂糖と水飴から成る糖液をつくっておき、先に保温しておいたゼラチン溶液と攪拌混合する。この混合の際、香料や色素等を加えておくのが一般的である。この溶液を予め多くの型に抜いておいたスターチに流し込み(充填)、乾燥機に入れて乾燥させる。その後、付着したスターチを除去し(デパウダー)、多くのグミがお互いに接着しないように表面に油をかけて(オイリング)、グミキャンディが作られる。
【0023】
本発明に使用されるキャンディの大きさは、果実の種類とその大きさに応じて変えるのが好ましい。例えば、種の大きさの約1/5から10倍、より好ましくは1/2〜2倍の大きさのキャンディを使用することができる。勿論、小さなキャンディを多数個果実の種の代わりに入れ込む態様も本発明の範囲内である。種よりも大きなキャンディを果実に入れる場合には、種を周囲の果肉ごとくり貫き、そこにキャンディを入れるようにしてもよい。
【0024】
本発明のキャンディ入り果実菓子は、果実から種を除去し、除去した部分に上記のようなキャンディを入れることで得ることができる。このとき使用する果実は、収穫したままのもの(勿論、必要に応じて水などで洗浄して汚れを除去する。)を用いてもよいし、更に調味料などで味付けしたものであってもよい。また、この果実を、必要により乾燥などして水分値が30%以下となるようにし、この果実から種を除去して、代わりにキャンディを入れることで、キャンディが果実から流れ出ることを防止することができる。更に、前記のように種の代わりにキャンディを入れた後の果実を更に乾燥して、水分値が20%以下となるようにすることが好ましい。この乾燥により、キャンディが果実内に確実に保持され、かつ果実からキャンディへの水分移行によるキャンディの流出をより確実に防止することができる。従って、本発明のキャンディ入り果実菓子を製造するのに好適な方法として、果実を水分値が30%以下となるように乾燥し、該果実から種を除去し、種を除去した部分にキャンディを入れ、これを水分値が20%以下となるように乾燥する方法を挙げることができる。この方法において、果実の水分量がもとから30%以下の場合には、種を入れる前の乾燥を省略できることは勿論である。更に、前記種を入れた後の果実を乾燥するに先立ち、果実から種を取り出す時に果実に形成された切り込みや開口部にゼラチンを塗布しておくことで、前記切り込みや開口部がゼラチンにより封止され、キャンディの流出をより確実に防止することができる。
【0025】
【実施例】
次に実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら制限されるものではない。
【0026】
(実施例1)
白干しの梅を流水にさらし、塩分15%程度まで塩抜きを行い、その後、水分値15%まで乾燥させた。前記乾燥梅を、砂糖、クエン酸、グルタミン酸ナトリウムからなる調味液に3日間漬け込み、味付けを行った。その後、最終の梅の水分値が25%になるように乾燥した。このようにして味付け、乾燥させた梅のヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜いておいた。一方、固形分含量が砂糖60重量%、水飴40重量%の水溶液を155℃まで煮詰めた後、単重2.5gの球形に成型し、水分値2.5%のハードキャンディを得た。このキャンディを上記した種を取っておいた梅の種部分に入れ込んだ後、梅の外皮の開口部を内側に折り込み、キャンディが見えなくなるように外皮を使って閉じ込んだ。この際、ゼラチンの40%溶液で前記折り込んだ梅の外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このキャンディ入り梅を40℃の送風乾燥機で更に水分値12%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、梅のすっぱさとキャンディの甘さがマッチングした、おいしく、かつ外観が梅らしさの残ったキャンディ入り梅であった。
【0027】
(実施例2)
実施例1において、キャンディを作る際にキサンタンガムを0.2重量%配合したキャンディを用いること、梅の外皮の継ぎ目部分に塗り込むゼラチンを用いないこと、最終の水分値17%まで乾燥させたこと以外は、実施例1と同様にしてキャンディ入り梅を作った。
このようにして作ったキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、おいしく外観が梅らしさの残ったキャンディ入り梅であった。
【0028】
(実施例3)
固形分含量で砂糖38重量%、水飴41重量%、昆布パウダー7重量%、油脂8重量%、乳化剤0.5重量%を加熱溶解後、水分5%まで煮詰めた。ついでゼラチン1重量%、酸味料1重量%、シソ香料0.5重量%を加え、ミキサーで混合した。更にフォンダント3重量%をニーダーで混和してから、一晩エージングを行った後、単重2.5gの球形に成型し、水分値7.5%のソフトキャンディを得た。このキャンディを実施例1と同様に種を取っておいた梅の種部分に入れ込んで、梅の外皮を使って閉じ込んだ。この際、ゼラチンの溶液で梅の外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このソフトキャンディ入り梅を40℃の送風乾燥機で更に水分値12%まで乾燥した。
このようにして作ったソフトキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、梅のすっぱさと昆布ソフトキャンディの旨味がマッチングした、おいしく、かつ外観が梅らしさの残ったソフトキャンディ入り梅であった。
【0029】
(実施例4)
実施例3において、キャンディを作る際にキサンタンガムを0.2重量%配合したキャンディを用いること、梅の外皮の継ぎ目部分に塗り込むゼラチンを用いないこと、最終の水分値17%まで乾燥させたこと以外は、実施例3と同様にしてキャンディ入り梅を作った。
このようにして作ったソフトキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、おいしく外観が梅らしさの残ったソフトキャンディ入り梅であった。
【0030】
(実施例5)
次のようにハードキャンディを作成した。固形分含量で砂糖59重量%、水飴35重量%、濃縮ヨーグルト5重量%を加熱溶解後、155℃まで煮詰めた。ついで、酸味料1重量%、ヨーグルト香料少量を添加し、攪拌後、単重4gの球形に成型し、水分値2.5%のヨーグルト味のキャンディを得た。水分値30%に調整したドライプルーンのヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜き、その部分に前記キャンディを入れ込みプルーンの外皮を使って閉じ込んだ。この際、ゼラチンの40%溶液でプルーンの外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このヨーグルトキャンディ入りプルーンを40℃の送風乾燥機で更に水分値18%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入りプルーンは、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、ドライプルーンの甘酸っぱさとヨーグルトキャンディの甘酸っぱさがマッチングした、おいしく、かつ外観がプルーンらしさの残ったキャンディ入りプルーンであった。
【0031】
(実施例6)
次のようにグミキャンディを作成した。固形分含量で砂糖33重量%、水飴50重量%を加熱溶解後、濃縮した。これにゼラチン9重量%、アラビアガム4重量%、濃縮ヨーグルト3重量%と酸味料1重量%、少量のヨーグルト香料を添加して均一にした。これをスターチモールドに充填乾燥後、デパウダー、オイリングし、単重4g、水分値10%のヨーグルト味のグミキャンディを得た。水分値30%に調整したドライプルーンから種をぬき、その部分に前記グミキャンディを入れ込みプルーンの外皮を使って閉じ込んだ。このグミ入りのプルーンを40℃の送風乾燥機で更に水分値20%まで乾燥させた。
このようにして作ったグミ入りプルーンは、水分を吸ってグミキャンディが流れ出すこともなく、ドライプルーンの甘酸っぱさとヨーグルトグミの甘酸っぱさがマッチングした、おいしく、かつ外観がプルーンらしさの残ったグミ入りプルーンであった。
【0032】
(実施例7)
固形分含量で砂糖38重量%、水飴41重量%、粉末小豆10重量%、油脂5重量%、乳化剤0.5重量%を加熱溶解後、水分5%まで煮詰めた。ついでゼラチン1重量%、酸味料1重量%、小豆香料0.5重量%を加え、ミキサーで混合した。更にフォンダント3重量%をニーダーで混和してから、一晩エージングを行い、水分値7.5%の小豆味のソフトキャンディを得た。該ソフトキャンディを球断機にて3.5gの球状に成型し、さらに黄粉粉末をまぶした。水分値30%に調整した干し柿のヘタから1cmの部分に小型ナイフにて切り込みを入れ、種を含む中心部を該ナイフにて刳り抜いた。その刳り抜いた部分に該ソフトキャンディ1個を入れ込み閉じ込んだ。この際、5%寒天溶液で干し柿の外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このソフトキャンディ入り干し柿を40℃の送風乾燥機で更に水分値18%まで乾燥した。
このようにして作ったソフトキャンディ入り干し柿は、水分を吸ってグミキャンディが流れ出すこともなく、干し柿、黄粉、小豆の風味がマッチングした、おいしく、かつ外観が干し柿らしさの残ったソフトキャンディ入り干し柿であった。
【0033】
(実施例8)
アメリカンチェリーを、種取り器(ドイツWestmark社製)を用いて種を除去した後、シロップ漬けにした。これを水分値20%まで乾燥させた後、実施例5と同様の方法で作成したヨーグルトキャンディを単重1gに成型後、種部分に入れ込んだ。この際、ゼラチンの40%溶液でチェリーの外皮の継ぎ目部分を塗り込んだ。このヨーグルトキャンディ入りアメリカンチェリーを30℃の送風乾燥機で更に水分値15%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入りアメリカンチェリーは、水分を吸ってキャンディが流れ出すこともなく、アメリカンチェリーとヨーグルトの風味がマッチした、おいしく、かつ外観がアメリカンチェリーらしさの残ったキャンディ入りアメリカンチェリーであった。
【0034】
(実施例9)
白干しの梅を流水にさらし、塩分15%程度まで塩抜きを行い、その後、水分値15%まで乾燥させた。前記乾燥梅を、砂糖、クエン酸、グルタミン酸ナトリウムからなる調味液に3日間漬け込み、味付けを行った。その後、最終の水分値が50%になるように乾燥した。このようにして乾燥させた梅のヘタ付近より種に沿ってナイフを入れ、種を刳り抜いておいた。一方、固形分含量が砂糖59.5重量%、水飴40重量%、キサンタンガム0.5重量%の水溶液を155℃まで煮詰め、単重2.5gの球形に成型し、水分値2.5%のハードキャンディを得た。このキャンディを前記種を取っておいた梅の種部分に入れ込んで、梅の外皮を使って閉じ込んだ。このキャンディ入り梅を40℃の送風乾燥機で更に水分値20%まで乾燥した。
このようにして作ったキャンディ入り梅は、水分を吸ってキャンディが溶け、表面が水飴状になっているが、梅の旨みを吸ったおいしい水飴入り梅であった。
【0035】
(実施例10)
実施例1において、キャンディを成型後、60℃の湯煎にて溶解した硬化パーム油(融点45℃)にキャンディを浸漬してキャンディの表面に0.05mmの厚さで硬化パーム油をコーティングしたこと、梅の外皮の継ぎ目部分に塗り込むゼラチンを用いないこと、以外は実施例1と同様にしてキャンディ入り梅を作った。
【0036】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、果実の種をキャンディに置きかえることによって、果実らしい外観が残ったまま、果実のおいしさが増し、かつ魅力的なおいしい味、食感、風味などを有する全く新しい菓子を提供することができる。
【0037】
また、前記果実の水分値を30%以下に調整することにより、果実からキャンディへの水分移行によりキャンディが果実に形成された切り込みや開口部から流れ出すという品質劣化を防止することができる。
【0038】
前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合には、該キャンディ中に少なくとも1種のゲル化剤が含有されていると、果実からキャンディへの水分移行により果実に形成された切り込みや開口部からキャンディが流れ出すという品質劣化をより確実に防止でき、また水分の高いフレッシュ感のある果実を用いることができるので好ましい。
【0039】
前記キャンディがソフトキャンディまたはハードキャンディの場合には、該キャンディが油脂でコーティングされていると、果実へ入れる前のキャンディの吸湿を防止することができるので好ましい。
【0040】
本発明のキャンディ入り果実菓子においては、前記果実として、梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうの中から選ばれたものを用いると、果実とキャンディとの組み合わせによる魅力的なおいしさが一層引き立つ果実菓子とすることができる。
【0041】
また、果実を水分値が30%以下となるように乾燥し、該果実から種を除去し、種を除去した部分にキャンディを入れ、これを更に乾燥してキャンディ入り果実菓子を製造する方法においては、水分値が30%以下の果実から種を除去して、代わりにキャンディを入れることで、キャンディが果実からの水分移行により流れ易くなって果実から流れ出る品質劣化を防止することができる。更に、前記のように種の代わりにキャンディを入れた後の果実を更に乾燥して、好ましくは水分値が20%以下となるようにすると、この乾燥により、キャンディが果実内に確実に保持され、かつ果実からキャンディへの水分移行によるキャンディの流出をより確実に防止することができる。
Claims (6)
- 果実の種を除去した部分にキャンディが入っていることを特徴とするキャンディ入り果実菓子。
- 前記果実の水分値が30%以下である請求項1記載のキャンディ入り果実菓子。
- 前記キャンディが、少なくとも1種のゲル化剤が含有されているソフトキャンディまたはハードキャンディである請求項1または2記載のキャンディ入り果実菓子。
- 前記キャンディが、少なくとも1種の油脂でコーティングされているソフトキャンディまたはハードキャンディである請求項1または2記載のキャンディ入り果実菓子。
- 前記果実が梅、プルーン、チェリー、アプリコット、柿、びわ、なつめやし、ぶどうの中から選ばれたものである請求項1〜4のいずれかに記載のキャンディ入り果実菓子。
- 果実を水分値が30%以下となるように乾燥し、該果実から種を除去し、種を除去した部分にキャンディを入れ、その後、更に乾燥することを特徴とするキャンディ入り果実菓子の製造方法。
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