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JP2004307461A - ビアリール化合物の製造方法 - Google Patents

ビアリール化合物の製造方法 Download PDF

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JP2004307461A
JP2004307461A JP2003207089A JP2003207089A JP2004307461A JP 2004307461 A JP2004307461 A JP 2004307461A JP 2003207089 A JP2003207089 A JP 2003207089A JP 2003207089 A JP2003207089 A JP 2003207089A JP 2004307461 A JP2004307461 A JP 2004307461A
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Sumitomo Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】比較的高価な試剤や毒性を有する試剤を用いることなく、また反応後の後処理も容易な、ビアリール化合物の工業的により有利な製造方法を提供すること。
【解決手段】アリールヒドラジン類とアリール化合物と酸素を反応させることを特徴とするビアリール化合物の製造方法。第Va族元素金属もしくは化合物、第VIa族元素金属もしくは化合物、第VIIa族元素金属もしくは化合物、第VIIIa族元素金属もしくは化合物、第Ib族元素金属もしくは化合物および第Vb族元素金属もしくは化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の存在下に反応を実施することにより、より収率よくビアリール化合物を製造することができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビアリール化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビアリール化合物は、各種化学製品およびその合成中間体等として極めて重要な化合物であり、その製造方法として、アリールヒドラジン類と酸化剤とアリール化合物とを反応させる方法が知られている。例えば酸化剤として、酸化銀を用いる方法(例えば非特許文献1参照。)、酢酸マンガンを用いる方法(例えば非特許文献2参照。)、酸化水銀を用いる方法(例えば非特許文献3参照。)、バリウムフェレートを用いる方法(例えば非特許文献4参照。)、酢酸鉛を用いる方法(例えば非特許文献5参照。)、超酸化カリウムを用いる方法(例えば非特許文献6参照。)等が報告されているが、いずれの酸化剤も比較的高価である上、毒性を有していたり、反応後の後処理が面倒であったりするため、工業的により有利な方法の開発が望まれていた。
【0003】
【非特許文献1】
J.Chem.Soc.,2512(1957)
【非特許文献2】
J.Chem.Soc.Perkin Trans.1,3042
(2001)
【非特許文献3】
Liebigs Ann.Chem.,190,102(1878)
【非特許文献4】
Bull.Chem.Soc.Jpn.,61,2185(1988)
【非特許文献5】
J.Chem.Soc.(C),1663(1969)
【非特許文献6】
Aust.J.Chem.,37,2499(1984)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況のもと、本発明者は、ビアリール化合物を、工業的により有利に製造する方法について鋭意検討したところ、酸素を酸化剤として用いることにより、アリールヒドラジン類とアリール化合物とから、ビアリール化合物が得られること、さらに、かかる反応を、第Va族元素金属もしくは化合物、第VIa族元素金属もしくは化合物、第VIIa族元素金属もしくは化合物、第VIIIa族元素金属もしくは化合物、第Ib族元素金属もしくは化合物および第Vb族元素金属もしくは化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の存在下に実施することにより、さらに収率よくビアリール化合物を製造することができることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、アリールヒドラジン類とアリール化合物と酸素を反応させることを特徴とするビアリール化合物の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
アリールヒドラジン類としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環、例えばピリジン環、ピリミジン環、チアゾール環、オキサゾール環等の窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子をその構成原子とする複素芳香環に一つまたは二つ以上のヒドラジノ基が結合したものであればよく、芳香環または複素芳香環上にヒドラジノ基以外の置換基を有していてもよい。
【0007】
かかるアリ−ルヒドラジン類としては、例えば式(1)
【化4】
Figure 2004307461
(式中、Arは置換されていてもよい芳香族基または複素芳香族基を表わす。)で示されるアリールヒドラジン類が挙げられる。
【0008】
ヒドラジノ基以外の置換基としては、例えばハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、スルホンアミド基、スルホン酸エステル基、スルホン基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、アミド基等が挙げられる。なお、これら置換基のうち、隣接する置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0009】
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0010】
置換されていてもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基およびこれらアルキル基が、前記ハロゲン原子、後述する置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、カルボキシル基等の置換基で置換された、例えばブロモメチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基等が挙げられる。
【0011】
置換されていてもよいアルコキシ基としては、前記置換されていてもよいアルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルコキシ基およびこれらアルコキシ基が、例えば前記ハロゲン原子、アルコキシ基、後述する置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、カルボキシル基等の置換基で置換された、例えばクロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
【0012】
置換されていてもよいアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等およびこれらフェニル基、ナフチル基等を構成する芳香環が、前記ハロゲン原子、前記置換されていてもよいアルキル基、前記置換されていてもよいアルコキシ基、アリール基、後述する置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、カルボキシル基等の置換基で置換された、例えば2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。
【0013】
置換されていてもよいアリールオキシ基としては、前記置換されていてもよいアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばフェノキシ基、ナフチルオキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等が挙げられる。
【0014】
置換されていてもよいアラルキル基としては、前記置換されていてもよいアルキル基と前記置換されていてもよいアリール基とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。置換されていてもよいアラルキルオキシ基としては、前記置換されていてもよいアルコキシ基と前記置換されていてもよいアリール基とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0015】
置換されていてもよいアシル基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアルキル基、カルボニル基と前記置換されていてもよいアリール基およびカルボニル基と前記置換されていてもよいアラルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばアセチル基、エチルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ベンジルカルボニル基等が挙げられる。
【0016】
置換されていてもよいアルコキシカルボニル基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアルコキシ基とから構成されるものが、置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアリールオキシ基とから構成されるものが、置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアラルキルオキシ基とから構成されるものがそれぞれ挙げられ、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0017】
かかるアリールヒドラジン類としては、例えばフェニルヒドラジン、2−フルオロフェニルヒドラジン、3−フルオロフェニルヒドラジン、4−フルオロフェニルヒドラジン、2−クロロフェニルヒドラジン、3−クロロフェニルヒドラジン、4−クロロフェニルヒドラジン、2−ブロモフェニルヒドラジン、3−ブロモフェニルヒドラジン、4−ブロモフェニルヒドラジン、3−シアノフェニルヒドラジン、4−シアノフェニルヒドラジン、2−ヒドラジノ安息香酸メチル、2−ヒドラジノ安息香酸n−ブチル、3−ヒドラジノ安息香酸メチル、4−ヒドラジノ安息香酸メチル、2−ニトロフェニルヒドラジン、3−ニトロフェニルヒドラジン、4−ニトロフェニルヒドラジン、2−メチルフェニルヒドラジン、3−メチルフェニルヒドラジン、4−メチルフェニルヒドラジン、2−メトキシフェニルヒドラジン、3−メトキシフェニルヒドラジン、4−メトキシフェニルヒドラジン、2−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン、3−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン、4−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン、
【0018】
2−ヒドロキシフェニルヒドラジン、3−ヒドロキシフェニルヒドラジン、4−ヒドロキシフェニルヒドラジン、2−ヒドラジノ安息香酸、3−ヒドラジノ安息香酸、4−ヒドラジノ安息香酸、4−(クロロメチル)フェニルヒドラジン、2−ヒドラジノベンゼンスルホン酸、3−ヒドラジノベンゼンスルホン酸、4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸、4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸アミド、4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸エチル、3−メチルスルホンフェニルヒドラジン、2,3−ジメチルフェニルヒドラジン、3,5−ジメチルフェニルヒドラジン、3,5−ジニトロフェニルヒドラジン、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン、2,4−ジクロロフェニルヒドラジン、2,6−ジエチルフェニルヒドラジン、2,5−ジフルオロフェニルヒドラジン、3,4−ジフルオロフェニルヒドラジン、2,4−ジフルオロフェニルヒドラジン、3,5−ジフルオロフェニルヒドラジン、3−クロロ−4−フルオロフェニルヒドラジン、2−クロロ−4−メチルフェニルヒドラジン、2−クロロ−6−ヒドラジノ安息香酸、2−クロロ−6−ヒドラジノ安息香酸メチル、4−シアノ−2−クロロフェニルヒドラジン、4−メチル−3−(クロロメチル)フェニルヒドラジン、4−メチル−3−(ブロモメチル)フェニルヒドラジン、2−メチル−5−ヒドラジノ安息香酸メチル、2−メチル−5−ヒドラジノベンゼンスルホン酸メチルアミド、4−メチル−3−シアノフェニルヒドラジン、4−メチル−3−アセチルフェニルヒドラジン、3−スルホンアミド−2−アセチルアミノフェニルヒドラジン、
【0019】
2,3,5−トリクロロフェニルヒドラジン、3,4,5−トリクロロフェニルヒドラジン、2,4−ジフルオロ−5−ニトロフェニルヒドラジン、2,3,5,6−テトラフルオロフェニルヒドラジン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルヒドラジン、2−ベンジルフェニルヒドラジン、3−ベンジルオキシフェニルヒドラジン、4−ベンジルオキシフェニルヒドラジン、2−アミノフェニルヒドラジン、3−アミノフェニルヒドラジン、4−アミノフェニルヒドラジン、1−ナフチルヒドラジン、2−ナフチルヒドラジン、4−ヒドラジノ−1,8−ナフタル酸無水物、2−メチル−2−[(3−フルオロ−4−ヒドラジノ)フェニル]マロン酸ジエチル、4−クロロ−3−ヒドロキシ−2−フルオロフェニルヒドラジン、4−トリフルオロメチル−2,6−ジクロロフェニルヒドラジン、5−メトキシ−2,4−ジクロロフェニルヒドラジン、2−ヒドラジノピリジン、2−ヒドラジノ−3−ニトロピリジン、2−ヒドラジノ−4−ニトロピリジン、2−ヒドラジノ−5−ニトロピリジン、2−ヒドラジノ−6−ニトロピリジン、4−ヒドラジノ−3−ニトロピリジン、4−ヒドラジノ−2−ニトロピリジン、2−クロロ−4−ヒドラジノピリジン、2−ヒドラジノ−4−クロロピリジン、2−ヒドラジノニコチン酸メチル、6−ヒドラジノニコチン酸メチル、2−ヒドラジノ−6−ブロモピリジン、2−ヒドラジノピリミジン、4−トリフルオロメチル−2−ヒドラジノピリミジン、2−エトキシ−4−フルオロ−6−ヒドラジノピリミジン、2,4−ジメトキシ−6−ヒドラジノピリミジン、2−ヒドラジノキノリン、4−ニトロ−2−ヒドラジノキノリン、2−ヒドラジノベンゾチアゾール、2−ヒドラジノベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−4−メチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−メチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−メチルベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−7−メチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4−エチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−イソプロピルベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−4−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−メトキシベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−6−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−7−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,7−ジメトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4,6−ジメトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4−エトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−ベンジルオキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−7−ベンジルオキシベンゾチアゾール、
【0020】
2−ヒドラジノ−4−クロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−クロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−クロロベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−4−フルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−フルオロベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−6−フルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,7−ジクロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4,6−ジクロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,6−ジクロロベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−5,7−ジフルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4,6−ジフルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,6−ジフルオロベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)ベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−ブロモベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−トリフルオロメチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−トリフルオロメチルベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−5−シアノベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−シアノベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−5−ニトロベンゾキサゾール、2−ヒドラジノ−6−ニトロベンゾチアゾール等が挙げられる。
【0021】
かかるアリールヒドラジン類は、例えば塩酸、硫酸等の酸との付加塩であってもよい。
【0022】
酸素は、単独で用いてもよいし、例えば窒素、アルゴン等の反応に不活性な気体と混合した酸素含有ガスを用いてもよい。また、酸素含有ガスとして空気を用いてもよい。
【0023】
酸素の使用量は、アリールヒドラジン類に対して、通常1モル倍以上であり、その上限は特にない。
【0024】
アリール化合物としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環、例えばピリジン環等の複素芳香環を有する化合物であって、該芳香環、該複素芳香環上に水素原子を少なくとも一つ有しているものであれば特に限定されない。
【0025】
かかるアリール化合物としては、例えば式(2)
【化5】
Figure 2004307461
(式中、Ar’は置換されていてもよい芳香族基または複素芳香族基を表わす。)
で示されるアリール化合物が挙げられる。
【0026】
アリール化合物を構成する芳香環または複素芳香環は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば前記ハロゲン原子、前記置換されていてもよいアルキル基、前記置換されていてもよいアルコキシ基、前記置換されていてもよいアリール基、前記置換されていてもよいアリールオキシ基、前記置換されていてもよいアラルキル基、前記置換されていてもよいアラルキルオキシ基、前記置換されていてもよいアシル基、前記置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、前記置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、前記置換されていてもよいアラルキルオキシカルボニル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基等が挙げられる。また、これら置換基のうち、隣接する置換基同士が結合して環を形成してもよい。
【0027】
かかるアリール化合物としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン、1,2−ジフルオロベンゼン、1,4−ジフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,4−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン、1,3,5−トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、シアノベンゼン、1,4−ジシアノベンゼン、1−シアノ−4−クロロベンゼン、安息香酸、安息香酸メチル、テレフタル酸、テレフタル酸ジメチル、4−tert−ブチル安息香酸メチル、アニリン、ニトロベンゼン、1,4−ジアミノベンゼン、メトキシベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ピリジン、キノリン、イソキノリン等が挙げられる。
【0028】
アリール化合物の使用量が少ないと、アリールヒドラジン類の自己カップリング反応が進行しやすいため、アリール化合物の使用量は、アリールヒドラジン類に対して、通常10モル倍以上である。その上限は特になく、例えば反応条件下で液体のアリール化合物であれば、溶媒を兼ねて、大過剰量用いてもよい。
【0029】
アリールヒドラジン類、酸素およびアリール化合物の反応は、通常反応に不活性な溶媒中で実施される。かかる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒、例えばシクロヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒等が挙げられる。かかる溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、アリールヒドラジン類に対して、通常100重量倍以下である。また、前記したように、アリール化合物が、反応条件下で液体であれば、該アリール化合物を溶媒として用いてもよい。
【0030】
反応温度があまり低いと反応が進行しにくく、また反応温度があまり高いと、原料のアリールヒドラジン類や生成するビアリール化合物の分解等副反応が進行する恐れがあるため、実用的な反応温度は、0〜200℃程度の範囲である。
【0031】
アリールヒドラジン類とアリール化合物と酸素の反応は、通常その三者を接触、混合することにより実施され、その混合順序は制限されないが、アリール化合物中に、酸素または酸素含有ガスを吹き込みながらアリールヒドラジン類を加えることが好ましい。
【0032】
反応は、常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
【0033】
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて、例えばチオ硫酸ナトリウム等の還元剤で処理した後、濃縮処理、晶析処理等することにより、目的とするビアリール化合物を取り出すことができる。また、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、ビアリール化合物を取り出すこともできる。取り出したビアリール化合物は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
【0034】
水に不溶の有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、例えばジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
【0035】
アリールヒドラジン類として、前記式(1)で示されるアリールヒドラジン類を用い、アリール化合物として、前記式(2)で示されるアリール化合物を用いた場合には、式(3)
【化6】
Figure 2004307461
(式中、ArおよびAr’は前記と同一の意味を表わす。)
で示されるビアリール化合物が得られる。
【0036】
アリールヒドラジン類とアリール化合物と酸素を反応させることにより、ビアリール化合物が得られるが、かかる反応を、第Va族元素金属もしくは化合物、第VIa族元素金属もしくは化合物、第VIIa族元素金属もしくは化合物、第VIIIa族元素金属もしくは化合物、第Ib族元素金属もしくは化合物および第Vb族元素金属もしくは化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種(以下、金属もしくは化合物と略記する。)の存在下に実施することにより、さらに収率よくビアリール化合物を得ることができる。
【0037】
第Va族元素金属もしくは化合物を構成する第Va族元素としては、例えばバナジウム、ニオブ等が挙げられ、第VIa族元素金属もしくは化合物を構成する第VIa族元素としては、例えばタングステン、モリブデン、クロム等が挙げられ、第VIIa族元素金属もしくは化合物を構成する第VIIa族元素としては、例えばマンガン、レニウム等が挙げられ、第VIIIa族元素金属もしくは化合物を構成する第VIIIa族元素としては、例えばコバルト、ニッケル、鉄、パラジウム等が挙げられ、第Ib族元素金属もしくは化合物を構成する第Ib族元素としては、例えば銅、銀等が挙げられ、第Vb族元素金属もしくは化合物を構成する第Vb族元素としては、例えばアンチモン、ビスマス等が挙げられる。
【0038】
第Va族元素金属もしくは化合物としては、例えばバナジウム金属、酸化バナジウム、バナジン酸アンモニウム、バナジウムカルボニル錯体、硫酸バナジウム、硫酸バナジウムエチレンジアミン錯体、ニオブ金属、酸化ニオブ、塩化ニオブ、ニオブカルボニル錯体等が挙げられる。第VIa族元素金属もしくは化合物としては、例えばタングステン金属、ホウ化タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、タングステン酸アンモニウム、タングステンカルボニル錯体、モリブデン金属、ホウ化モリブデン、酸化モリブデン、塩化モリブデン、モリブデンカルボニル錯体等が挙げられる。
【0039】
第VIIa族元素金属もしくは化合物としては、例えばマンガン金属、酸化マンガン、マンガンフェナンスロリン錯体、塩化マンガン、酢酸マンガン、酢酸マンガンエチレンジアミン錯体、メチルレニウムトリオキシド、レニウム金属、酸化レニウム、酸化レニウムピリジン錯体、塩化レニウム等が挙げられる。第VIIIa族元素金属もしくは化合物としては、例えばコバルト金属、酸化コバルト、コバルトアセチルアセトナート錯体、塩化コバルト、酢酸コバルト、ニッケル金属、酸化ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケル、パラジウム金属、酸化パラジウム、塩化パラジウム等が挙げられる。第Ib族元素金属もしくは化合物としては、例えば銅金属、酸化銅、酸化銅フェナンスロリン錯体、塩化銅、酢酸銅、銀金属、酸化銀、塩化銀等が挙げられる。第Vb族元素金属もしくは化合物としては、例えばアンチモン金属、酸化アンチモン、塩化アンチモン、ビスマス金属、酸化ビスマス、ビスマス酸ナトリウム、塩化ビスマス、トリフェニルビスマス等が挙げられる。
【0040】
かかる金属もしくは化合物は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。また、例えば活性炭、シリカ、アルミナ、チタニア、ゼオライト等の担体に担持したものを用いてもよい。また、前記化合物として、例えば酸化銅フェナンスロリン錯体等の錯体を用いる場合は、反応系中でかかる錯体を調製してもよい。
【0041】
かかる金属もしくは化合物のなかでも、コバルト金属もしくはコバルト化合物、銅金属もしくは銅化合物、パラジウム金属もしくはパラジウム化合物、マンガン金属もしくはマンガン化合物、バナジウム金属もしくはバナジウム化合物およびこれらの混合物が好ましく、コバルト化合物、銅化合物、パラジウム化合物、マンガン化合物、バナジウム化合物およびこれらの混合物がより好ましい。
【0042】
金属もしくは化合物の使用量は、アリールヒドラジン類に対して、通常0.001モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的には、アリールヒドラジン類に対して、1モル倍以下である。
【0043】
金属もしくは化合物を用いる場合は、金属もしくは化合物とアリール化合物の混合物中に、酸素または酸素含有ガスを吹き込みながらアリールヒドラジン類を加えることが好ましい。
【0044】
なお、金属もしくは化合物を用いて、アリールヒドラジン類とアリール化合物と酸素の反応を実施した場合であって、目的とするビアリール化合物を抽出処理もしくは晶析処理により取り出したときは、反応液を抽出処理して得られる水層や晶析処理して得られる濾液中に、金属もしくは化合物が含まれているため、該水層や該濾液をそのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度本反応に使用することができる。
【0045】
かくして得られるビアリール化合物としては、例えばビフェニル、2−フルオロビフェニル、3−フルオロビフェニル、4−フルオロビフェニル、2−クロロビフェニル、3−クロロビフェニル、4−クロロビフェニル、2−ブロモビフェニル、3−ブロモビフェニル、4−ブロモビフェニル、2−フェニルトルエン、3−フェニルトルエン、4−フェニルトルエン、2−メトキシビフェニル、3−シアノビフェニル、4−フェニル安息香酸メチル、2−フェニル安息香酸メチル、2−フェニル安息香酸、2−フェニル安息香酸n−ブチル、4−ニトロビフェニル、2−トリフルオロメチルビフェニル、3−トリフルオロメチルビフェニル、4−トリフルオロメチルビフェニル、2−フェニルベンゼンスルホン酸、4−フェニルベンゼンスルホンアミド、4−フェニルベンゼンスルホン酸エチル、3−メチルスルホンビフェニル、2,4−ジニトロビフェニル、2,4−ジクロロビフェニル、2,4−ジフルオロビフェニル、3,5−ジフルオロビフェニル、3−クロロ−4−フルオロビフェニル、2−クロロ−6−フェニル安息香酸、2−クロロ−6−フェニル安息香酸メチル、2−アセチルアミノ−3−フェニルベンゼンスルホンアミド、2,3,5−トリクロロビフェニル、2,4−ジフルオロ−5−ニトロビフェニル、2,3,5,6−テトラフルオロビフェニル、2,3,4,5,6−ペンタフルオロビフェニル、2−ベンジルビフェニル、3−ベンジルオキシビフェニル、4−ベンジルオキシビフェニル、4−フェニル−1,8−ナフタル酸無水物、2−メチル−2−[(3−フルオロ−4−フェニル)フェニル]マロン酸ジエチル、4−クロロ−3−ヒドロキシ−2−フルオロビフェニル、4−トリフルオロメチル−2,6−ジクロロビフェニル、5−メトキシ−2,4−ジクロロビフェニル、2−フェニル−3−ニトロピリジン、2−フェニル−4−ニトロピリジン、2−クロロ−4−フェニルピリジン、2−フェニル−5−ニトロピリジン、2−フェニル−6−ニトロピリジン、4−フェニル−3−ニトロピリジン、4−フェニル−2−ニトロピリジン、2−フェニル−4−クロロピリジン、2−フェニルニコチン酸メチル、6−フェニルニコチン酸メチル、2−フェニル−6−ブロモピリジン、
【0046】
2−フェニルピリミジン、4−トリフルオロメチル−2−フェニルピリミジン、2−エトキシ−4−フルオロ−6−フェニルピリミジン、2,4−ジメトキシ−6−フェニルピリミジン、2−フェイルキノリン、4−ニトロ−2−フェニルキノリン、3−tert−ブチル−2−シアノビフェニル、4−(2,5−ジメトキシカルボニルフェニル)トリフルオロメチルベンゼン、3−フェニルフェノール、2−アミノビフェニル、4−ビフェニル酢酸、4−メチル−2−(メトキシカルボニルメチル)ビフェニル、4−メチル−3−(メトキシカルボニルメチル)ビフェニル、4−メチル−3−(クロロメチル)ビフェニル、4−メチル−3−シアノビフェニル、4−メチル−2’,6’−ジメトキシビフェニル、2,2’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジクロロビフェニル、4,4’−ジブロモビフェニル、3,5−ジニトロビフェニル、3,5−ジニトロフェニルトルエン、2,4’−クロロフルオロビフェニル、2−フェニルピリジン、3−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2,2’−ビピリジル、3,3’−ビピリジル、4,4’−ビピリジル、1−フェニルナフタレン、1,1’−ビナフチル、
【0047】
2−フェニルベンゾチアゾール、2−フェニルベンゾキサゾール、2−(2−メチルフェニル)ベンゾチアゾール、2−(3−メチルフェニル)ベンゾチアゾール、2−(4−メチルフェニル)ベンゾチアゾール、2−(3−メチル−4−メトキシフェニル)ベンゾチアゾール、2−(2−クロロフェニル)ベンゾチアゾール、2−(2−フルオロフェニル)ベンゾチアゾール、2−(2,4−ジクロロフェニル)ベンゾチアゾール、2−(2,5−ジクロロフェニル)ベンゾキサゾール、2−(2,5−ジメチルフェニル)ベンゾチアゾール、2−(2,5−ジフルオロフェニル)ベンゾキサゾール、2−(4−ニトロフェニル)ベンゾチアゾール、2−(2−ピリジル)ベンゾチアゾール、2−フェニル−4−メチルベンゾチアゾール、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2−フェニル−6−メチルベンゾチアゾール、2−フェニル−7−メチルベンゾチアゾール、2−フェニル−4−エチルベンゾキサゾール、2−フェニル−5−イソプロピルベンゾチアゾール、2−フェニル−4−メトキシベンゾチアゾール、2−(4−メトキシフェニル)−5−メトキシベンゾチアゾール、2−フェニル−6−メトキシベンゾチアゾール、2−フェニル−7−メトキシベンゾキサゾール、2−(4−メトキシフェニル)−5,7−ジメトキシベンゾチアゾール、2−フェニル−4,6−ジメトキシベンゾチアゾール、2−フェニル−5,6−ジメトキシベンゾキサゾール、2−フェニル−4−エトキシベンゾチアゾール、
【0048】
2−フェニル−5−ベンジルオキシベンゾチアゾール、2−フェニル−7−ベンジルオキシベンゾチアゾール、2−フェニル−4−クロロベンゾチアゾール、2−フェニル−5−クロロベンゾキサゾール、2−フェニル−6−クロロベンゾチアゾール、2−フェニル−4−フルオロベンゾチアゾール、2−フェニル−5−フルオロベンゾキサゾール、2−フェニル−6−フルオロベンゾチアゾール、2−(3−メチルフェニル)−6−フルオロベンゾチアゾール、2−(3−メチル−4−ニトロフェニル)−6−フルオロベンゾチアゾール、2−フェニル−5,7−ジクロロベンゾチアゾール、2−フェニル−4,6−ジクロロベンゾキサゾール、2−フェニル−5,6−ジクロロベンゾチアゾール、2−フェニル−5,7−ジフルオロベンゾキサゾール、2−フェニル−4,6−ジフルオロベンゾチアゾール、2−フェニル−5,6−ジフルオロベンゾチアゾール、2−フェニル−5−(2−メトキシカルボニルエチル)ベンゾチアゾール、2−フェニル−6−ブロモベンゾキサゾール、2−フェニル−5−トリフルオロメチルベンゾチアゾール、2−フェニル−6−トリフルオロメチルベンゾキサゾール、2−フェニル−5−シアノベンゾチアゾール、2−フェニル−6−シアノベンゾキサゾール、2−フェニル−5−ニトロベンゾチアゾール、2−フェニル−6−ニトロベンゾチアゾール等が挙げられる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、分析には、ガスクロマトグラフィを用いた。
【0050】
実施例1
100mLフラスコに、ベンゼン15gおよび酢酸コバルト(II)20mgを仕込み、内温60℃に昇温した。同温度で、空気を100mL/分で吹き込みながら、4−フルオロフェニルヒドラジン252mgとベンゼン5gとからなる混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌、保持し、反応させた。室温まで冷却し、水10gを加え、室温で攪拌、静置後、分液処理し、4−フルオロビフェニルを含む有機層を得た。収率:73%(4−フルオロフェニルヒドラジン基準)
【0051】
実施例2
実施例1において、4−フルオロフェニルヒドラジン252mgに代えて2−ヒドラジノベンゾチアゾール330mgを用いた以外は実施例1と同様に実施して、2−フェニルベンゾチアゾール含む有機層を得た。収率:64%(2−ヒドラジノベンゾチアゾール基準)
【0052】
実施例3
実施例1において、4−フルオロフェニルヒドラジン252mgに代えてフェニルヒドラジン220mgを用い、ベンゼンに代えてトルエンを用いた以外は実施例1と同様に実施して、フェニルトルエンを含む有機層を得た。収率:29%(フェニルヒドラジン基準)、異性体比 o体:m体:p体=61:23:16
【0053】
実施例4
実施例1において、酢酸コバルト(II)20mgに代えて10重量%パラジウム/炭素10mgを用いた以外は実施例1と同様に実施して、4−フルオロビフェニルを含む有機層を得た。収率:32%(4−フルオロフェニルヒドラジン基準)
【0054】
実施例5
実施例1において、酢酸コバルト(II)20mgに代えて酢酸マンガン(II)20mgとN,N’−ビス(2−ピリジルメチル)−N,N’−ジメチル−1,2−エチレンジアミン40mgを用いた以外は実施例1と同様に実施して、4−フルオロビフェニルを含む有機層を得た。収率:55%(4−フルオロフェニルヒドラジン基準)
【0055】
実施例6
実施例1において、酢酸コバルト(II)20mgに代えて硫酸バナジウム(II)20mgとN,N’−ビス(2−ピリジルメチル)−N,N’−ジメチル−1,2−エチレンジアミン40mgを用いた以外は実施例1と同様に実施して、4−フルオロビフェニルを含む有機層を得た。収率:41%(4−フルオロフェニルヒドラジン基準)
【0056】
実施例7
実施例1において、酢酸コバルト(II)20mgに代えて酸化銅(I)20mgと1,10−フェナンスロリン20mgを用い、4−フルオロフェニルヒドラジン252mgに代えて4−クロロフェニルヒドラジン285mgを用いた以外は実施例1と同様に実施して、4−クロロビフェニルを含む有機層を得た。収率:42%(4−クロロフェニルヒドラジン基準)
【0057】
実施例8
実施例1において、4−フルオロフェニルヒドラジン252mgとベンゼン5gとからなる混合液に代えて、2−ヒドラジノ−5−ニトロピリジン170mgとジメチルアセトアミド5gからなる混合液を用いた以外は実施例1と同様に実施して、2−フェニル−5−ニトロピリジンを含む有機層を得た。収率:30%(2−ヒドラジノ−5−ニトロピリジン基準)
【0058】
実施例9
実施例1において、酢酸コバルト(II)20mgに代えて、ビスマス酸ナトリウム30mgを用い、4−フルオロフェニルヒドラジン252mgに代えて4−クロロフェニルヒドラジン285mgを用いた以外は実施例1と同様に実施して、4−クロロビフェニルを含む有機層を得た。収率:49%(4−クロロフェニルヒドラジン基準)
【0059】
実施例10
実施例3において、酢酸コバルト(II)20mgを用いない以外は実施例3と同様に実施して、フェニルトルエンを含む有機層を得た。収率:19%(フェニルヒドラジン基準)、異性体比 o体:m体:p体=61:24:15
【0060】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、酸素を酸化剤として用いることにより、アリールヒドラジン類とアリール化合物とから、ビアリール化合物を製造することができ、また入手が容易なコバルト化合物、銅化合物、パラジウム金属等の第Va族元素金属もしくは化合物、第VIa族元素金属もしくは化合物、第VIIa続元素金属もしくは化合物、第VIIIa族元素金属もしくは化合物、第Ib族元素金属もしくは化合物、第Vb族元素金属もしくは化合物等の存在下に反応を実施することにより、さらに収率よくビアリール化合物を製造することができるため、工業的に有利である。

Claims (3)

  1. アリールヒドラジン類とアリール化合物と酸素を反応させることを特徴とするビアリール化合物の製造方法。
  2. 第Va族元素金属もしくは化合物、第VIa族元素金属もしくは化合物、第VIIa族元素金属もしくは化合物、第VIIIa族元素金属もしくは化合物、第Ib族元素金属もしくは化合物および第Vb族元素金属もしくは化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の存在下に反応を実施する請求項1に記載のビアリール化合物の製造方法。
  3. アリ−ルヒドラジン類が、式(1)
    Figure 2004307461
    (式中、Arは置換されていてもよい芳香族基または複素芳香族基を表わす。)で示されるアリールヒドラジン類であり、アリール化合物が、式(2)
    Figure 2004307461
    (式中、Ar’は置換されていてもよい芳香族基または複素芳香族基を表わす。)
    で示されるアリール化合物であり、ビアリール化合物が、式(3)
    Figure 2004307461
    (式中、ArおよびAr’は前記と同一の意味を表わす。)
    で示されるビアリール化合物である請求項1または2に記載のビアリール化合物の製造方法。
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