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JP2006083157A - アリールフラン類の製造方法 - Google Patents

アリールフラン類の製造方法 Download PDF

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JP2006083157A
JP2006083157A JP2005217022A JP2005217022A JP2006083157A JP 2006083157 A JP2006083157 A JP 2006083157A JP 2005217022 A JP2005217022 A JP 2005217022A JP 2005217022 A JP2005217022 A JP 2005217022A JP 2006083157 A JP2006083157 A JP 2006083157A
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Abstract

【課題】
アリールフラン類を工業的に有利に製造する方法を開発すること。
【解決手段】
アリールヒドラジン類と、2位および5位の少なくとも一方の炭素原子上に水素原子を有するフラン類とを、過酸化水素の存在下に反応させることを特徴とするアリールフラン類の製造方法。
本発明の方法によれば、安価で、取り扱いが容易で、しかも反応後には無害な水となるクリーンで優れた過酸化水素を用いることにより、アリールヒドラジン類とフラン類とからアリールフラン類を容易に得ることができ、しかも入手が容易な金属酸化物等の存在下に反応を実施すれば、さらに収率よくアリールフラン類を得ることができるため、工業的に有利である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アリールフラン類の製造方法に関する。
アリールフラン類は、医薬中間体等として重要な化合物である(例えば、特許文献1参照。)。かかるアリールフラン類の製造方法としては、例えばアリールホウ酸を用いる鈴木カップリング反応、ニッケル触媒およびグリニヤール試薬を用いる反応、アリールヨウ化物を用いるウルマン反応などが知られている(例えば、非特許文献1および特許文献1参照。)。しかしながら、これらの方法は、反応試剤や触媒およびその配位子が高価である、原料のフラン類の反応部位に脱離基が必要である等の問題があり、いずれも工業的に満足できるものではなかった。
一方、上記のような高価な反応試剤等を用いないアリールフラン類の製造方法として、アリールヒドラジン類、酸化剤およびフラン類を反応させる方法が知られている。例えば、酸化剤として酢酸マンガンを用いる方法(例えば、非特許文献2参照。)が報告されているが、毒性を有する酸化剤を過剰量用い、後処理の負担も大きいことから、工業的な観点からは、さらなる改善が望まれていた。
国際公開特許WO2004/016617号公報 Comprehensive Organic Synthesis,3,499(1991) Tetrahedron,58,8055,(2002)
このような状況のもと、本発明者は、アリールフラン類を工業的により有利に製造する方法について鋭意検討したところ、安価で、取扱いが容易で、しかも反応後には無害な水となるクリーンで優れた酸化剤である過酸化水素を用いることにより、アリールヒドラジン類とフラン類とから製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、アリールヒドラジン類と、2位および5位の少なくとも一方の炭素原子上に水素原子を有するフラン類とを、過酸化水素の存在下に反応させることを特徴とするアリールフラン類の製造方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、安価で、取り扱いが容易で、しかも反応後には無害な水となるクリーンで優れた過酸化水素を用いることにより、アリールヒドラジン類とフラン類とからアリールフラン類を容易に得ることができ、しかも入手が容易な金属酸化物等の存在下に反応を実施すれば、さらに収率よくアリールフラン類を得ることができるため、工業的に有利である。
以下、本発明を詳細に説明する。
アリールヒドラジン類としては、例えばベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環またはピリジン環、チアゾール環、オキサゾール環などの複素芳香環上に、少なくとも一つのヒドラジノ基が結合したものであればよく、芳香環または複素芳香環上にヒドラジノ基以外の置換基を有していてもよい。
かかるアリールヒドラジン類としては、例えば式(1)
Figure 2006083157
(式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族基または置換もしくは無置換の複素芳香族基を表す。)
で示されるアリールヒドラジン類(以下、アリールヒドラジン類(1)と略記する。)が挙げられる。
無置換の芳香族基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10の芳香族基が挙げられる。無置換の複素芳香族基としては、例えばピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基等の炭素数4〜10の複素芳香族基が挙げられる。
芳香環または複素芳香環上に有していてもよいヒドラジノ基以外の置換基としては、例えばハロゲン原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアリールオキシ基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルボキシ基、スルホ基、スルファモイル基、置換もしくは無置換のアルコキシスルホニル基、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基、シアノ基、水酸基、ニトロ基、アミノ基、カルバモイル基等が挙げられる。なお、これら置換基のうち、隣接する置換基同士が一緒になって、環構造の一部を形成してもよい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
無置換アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基が例示される。置換アルキル基としては、前記ハロゲン原子、後述する置換もしくは無置換のアルコキシ基、後述する置換もしくは無置換のアリール基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシ基、後述する置換されていてもよいアシル基、後述する置換されていてもよいアルコキシカルボニル基、後述する置換されていてもよいアリールオキシカルボニル基、カルボキシ基、カルバモイル基等の置換基で置換されたアルキル基が例示される。具体的には、例えばブロモメチル基、クロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシカルボニルメチル基、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシ基におけるアルキル基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基が例示される。置換もしくは無置換のアルコキシ基の具体例としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基、クロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。
無置換アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基が例示される。置換アリール基としては、前記ハロゲン原子、前記置換もしくは無置換のアルキル基、前記置換もしくは無置換のアルコキシ基、前記無置換アリール基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシ基、後述する置換もしくは無置換のアラルキルオキシ基、後述する置換もしくは無置換のアシル基、後述する置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、後述する置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、カルボキシ基等の置換基で置換されたアリール基が例示される。具体的には、例えば2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアリールオキシ基におけるアリール基としては、前記置換もしくは無置換のアリール基が例示される。置換もしくは無置換のアリールオキシ基の具体例としては、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアシル基とは、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基および置換もしくは無置換のアリールカルボニル基の総称であり、かかるアシル基におけるアルキル基としては、前記置換もしくは無置換のアルキル基が例示され、アリール基としては、前記置換もしくは無置換のアリール基が例示される。具体的には、例えばアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、ベンジルカルボニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基におけるアルコキシ基としては、前記置換もしくは無置換のアルコキシ基が、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基におけるアリールオキシ基としては、前記置換もしくは無置換のアリールオキシ基が、それぞれ例示される。具体的には、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等が挙げられる。
置換もしくは無置換のアルコキシスルホニル基におけるアルコキシ基としては、前記置換もしくは無置換のアルコキシ基が、置換もしくは無置換のアルキルスルホニル基におけるアルキル基としては、前記置換されていてもよいアルキル基が、置換もしくは無置換のアリールスルホニル基におけるアリール基としては、前記置換されていてもよいアリール基が、それぞれ例示される。具体的には、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、メチルスルホニル基、フェニルスルホニル基等が挙げられる。
かかるアリールヒドラジン類としては、例えばフェニルヒドラジン、2−フルオロフェニルヒドラジン、3−フルオロフェニルヒドラジン、4−フルオロフェニルヒドラジン、2−クロロフェニルヒドラジン、3−クロロフェニルヒドラジン、4−クロロフェニルヒドラジン、2−ブロモフェニルヒドラジン、3−ブロモフェニルヒドラジン、4−ブロモフェニルヒドラジン、3−シアノフェニルヒドラジン、4−シアノフェニルヒドラジン、2−ヒドラジノ安息香酸メチル、2−ヒドラジノ安息香酸ブチル、3−ヒドラジノ安息香酸メチル、4−ヒドラジノ安息香酸メチル、2−ニトロフェニルヒドラジン、3−ニトロフェニルヒドラジン、4−ニトロフェニルヒドラジン、2−ヒドラジノトルエン、3−ヒドラジノトルエン、4−ヒドラジノトルエン、2−メトキシフェニルヒドラジン、3−メトキシフェニルヒドラジン、4−メトキシフェニルヒドラジン、2−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン、3−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン、4−トリフルオロメチルフェニルヒドラジン、
2−ヒドラジノフェノール、3−ヒドラジノフェノール、4−ヒドラジノフェノール、2−ヒドラジノ安息香酸、3−ヒドラジノ安息香酸、4−ヒドラジノ安息香酸、4−ヒドラジノベンジルクロライド、2−ヒドラジノベンゼンスルホン酸、3−ヒドラジノベンゼンスルホン酸、4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸、4−ヒドラジノベンゼンスルホンアミド、4−ヒドラジノベンゼンスルホン酸エチル、3−ヒドラジノフェニルメチルスルホン、2,3−ジメチルフェニルヒドラジン、3,5−ジメチルフェニルヒドラジン、3,5−ジニトロフェニルヒドラジン、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン、2,4−ジクロロフェニルヒドラジン、2,6−ジエチルフェニルヒドラジン、2,5−ジフルオロフェニルヒドラジン、3,4−ジフルオロフェニルヒドラジン、2,4−ジフルオロフェニルヒドラジン、3,5−ジフルオロフェニルヒドラジン、3−クロロ−4−フルオロフェニルヒドラジン、2−クロロ−4−メチルフェニルヒドラジン、2−クロロ−6−ヒドラジノ安息香酸、2−クロロ−6−ヒドラジノ安息香酸メチル、4−シアノ−2−クロロフェニルヒドラジン、4−メチル−3−(クロロメチル)フェニルヒドラジン、4−メチル−3−(ブロモメチル)フェニルヒドラジン、4−メチル−3−(メトキシカルボニルメチル)フェニルヒドラジン、2−メチル−4−ヒドラジノ安息香酸アミド、4−メチル−3−シアノフェニルヒドラジン、4−メチル−3−アセチルフェニルヒドラジン、2−アセチル−3−ヒドラジノベンゼンスルホン酸アミド、
2,3,5−トリクロロフェニルヒドラジン、3,4,5−トリクロロフェニルヒドラジン、2,4−ジフルオロ−5−ニトロフェニルヒドラジン、2,3,5,6−テトラフルオロフェニルヒドラジン、ペンタフルオロフェニルヒドラジン、2−ベンジルフェニルヒドラジン、3−ベンジルオキシフェニルヒドラジン、4−ベンジルオキシフェニルヒドラジン、2−ヒドラジノアニリン、3−ヒドラジノアニリン、4−ヒドラジノアニリン、1−ナフチルヒドラジン、2−ナフチルヒドラジン、4−ヒドラジノ−1,8−ナフタル酸無水物、2−メチル−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドラジノフェニル)マロン酸ジエチル、2−フルオロ−3−ヒドラジノ−6−クロロフェノール、4−トリフルオロメチル−2,6−ジクロロフェニルヒドラジン、5−メトキシ−2,4−ジクロロフェニルヒドラジン、2−ヒドラジノピリジン、6−ブロモ−2−ヒドラジノピリジン、2−ヒドラジノピリミジン、4−トリフルオロメチル−2−ヒドラジノピリミジン、2−エトキシ−4−フルオロ−6−ヒドラジノピリミジン、2,4−ジメトキシ−6−ヒドラジノピリミジン、2−ヒドラジノキノリン、4−ニトロ−2−ヒドラジノキノリン、2−ヒドラジノベンゾチアゾール、2−ヒドラジノベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−4−メチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−メチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−メチルベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−7−メチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4−エチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−イソプロピルベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−4−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−メトキシベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−6−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−7−メトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,7−ジメトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4,6−ジメトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,6−ジメトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4−エトキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−ベンジルオキシベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−7−ベンジルオキシベンゾチアゾール、
2−ヒドラジノ−4−クロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−クロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−クロロベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−4−フルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−フルオロベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−6−フルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,7−ジクロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4,6−ジクロロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,6−ジクロロベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−5,7−ジフルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−4,6−ジフルオロベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5,6−ジフルオロベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−5−(2−メトキシカルボニルエチル)ベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−ブロモベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−5−トリフルオロメチルベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−トリフルオロメチルベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−5−シアノベンゾチアゾール、2−ヒドラジノ−6−シアノベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−5−ニトロベンゾオキサゾール、2−ヒドラジノ−6−ニトロベンゾチアゾール、1,4−ジヒドラジノベンゼン、1,3−ジヒドラジノベンゼン等が挙げられる。これらは塩酸、硫酸等の酸との付加塩であってもよい。
かかるアリールヒドラジン類は、市販のものを用いてもよいし、例えば、特開2005−60367号公報等に記載の公知の方法に従い、製造したものを用いてもよい。
本発明に用いるフラン類は、2位および5位の少なくとも一方の炭素原子上に水素原子を有するフラン類であれば特に限定されず、例えば式(2)
Figure 2006083157
(式中、Rは置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、カルボキシ基、シアノ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。)
で示されるフラン類(以下、フラン類(2)と略記する。)が挙げられる。
ここで、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基およびハロゲン原子としては、アリールヒドラジン類の芳香環または複素芳香環上に置換していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。
置換カルバモイル基とは、カルバモイル基の窒素原子上に、置換もしくは無置換のアルキル基または置換もしくは無置換のアリール基で置換されたものが挙げられる。ここで、置換もしくは無置換のアルキル基および置換もしくは無置換のアリール基としては、アリールヒドラジン類の芳香環または複素芳香環上に置換していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。また、カルバモイル基上の置換基同士が結合して、カルバモイル基を構成する窒素原子とともに環を構成していてもよい。かかる置換もしくは無置換のカルバモイル基としては、例えば無置換カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、ピペリジノカルボニル基、モルホリノカルボニル基等が挙げられる。
かかるフラン類としては、例えば2−フランカルボン酸メチル、2−フランカルボン酸エチル、2−フランカルボン酸プロピル、2−フランカルボン酸イソプロピル、2−フランカルボン酸ブチル、2−フランカルボン酸フェニル、2−フランカルボン酸ベンジル、2−フランカルボキシアミド、N−メチル−2−フランカルボキシアミド、N,N−ジメチル−2−フランカルボキシアミド、N−エチル−2−フランカルボキシアミド、N,N−ジエチル−2−フランカルボキシアミド、N−フェニル−2−フランカルボキシアミド、1−(2−フラニルカルボニル)ピペリジン、4−(2−フラニルカルボニル)モルホリン、2−シアノフラン、2−フランカルボン酸、2−ブロモフラン、2−クロロフラン、2−フルオロフラン、フラン等が挙げられる。
かかるフラン類は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法に従い製造したものを用いてもよい。例えば、Organic Syntheses, Collective Vol.1, 276-283頁に記載の方法を用いれば、糖類から2−フランカルボン酸を得ることができる。
反応性の点において、フラン類の2位の置換基(式(2)におけるR)としては、電子吸引性の置換基が好ましく、なかでも置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、カルボキシ基が好ましい。
フラン類の使用量は、アリールヒドラジン類に対して、通常10モル倍以上である。その上限は特になく、例えば反応条件下で液体のフラン類であれば、溶媒を兼ねて、大過剰量用いてもよい。
過酸化水素は、通常水溶液として用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよい。過酸化水素水もしくは有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて希釈、濃縮等により濃度調整を行った後用いられる。過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に過酸化水素水を蒸留処理する等の手段により、調製することができる。
過酸化水素の使用量は、アリールヒドラジン類に対して、通常1モル倍以上であり、その使用量の上限は特にないが、経済的な面も考慮すると、実用的には、アリールヒドラジン類に対して、10モル倍以下である。
本発明の反応は、通常、反応に不活性な溶媒の存在下で実施される。かかる溶媒としては、例えば、水;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶媒;などが挙げられる。かかる溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、アリールヒドラジン類に対して、100重量倍以下である。また、溶媒を兼ねてフラン類を大過剰量用いる場合は、別途溶媒を使用することなく実施してもよい。
アリールヒドラジン類とフラン類とを過酸化水素の存在下に反応させる際には、通常その三者を接触・混合すればよく、その混合順序は特に制限されないが、フラン類と過酸化水素との混合物中に、アリールヒドラジン類を加えることが好ましい。
反応温度は、通常0〜200℃程度の範囲である。反応は、常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィ、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィ、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
本反応は、反応の進行に伴って水が副生するため、反応系内に存在する水を除去しながら反応を実施するか、または相間移動触媒の存在下に反応を実施することが好ましい。反応系内に存在する水を除去しながら反応を実施する方法としては、例えば無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水塩化カルシウム、メタホウ酸等の脱水剤を反応系内に共存させる方法、あるいは共沸脱水を実施しながら反応を行う方法等が挙げられる。
相間移動触媒としては、相間移動能があるものであれば特に制限されず、例えば第四級アンモニウム塩、アミンN−オキシド類、第四級ホスホニウム塩、クラウンエーテル類、ポリエチレングリコール類等が挙げられ、第四級アンモニウム塩またはアミンN−オキシド類が好ましい。
第四級アンモニウム塩としては、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロリド、トリオクチルエチルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリカプリルメチルアンモニウムクロリド、トリヘキシルメチルアンモニウムクロリド、トリデシルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、N−ラウリルピリジニウムクロリド、N−セチルピリジニウムクロリド、N−ラウリルピコリニウムクロリド等の第四級アンモニウムクロリド;前記第四級アンモニウムクロリドを構成する塩素イオンが臭素イオンに代わった第四級アンモニウムブロミド;前記第四級アンモニウムクロリドを構成する塩素イオンがヨウ素イオンに代わった第四級アンモニウムヨーダイド;前記第四級アンモニウムクロリドを構成する塩素イオンが亜硫酸イオンに代わった第四級アンモニウム亜硫酸塩;前記第四級アンモニウムクロリドを構成する塩素イオンが硫酸イオンに代わった第四級アンモニウム硫酸塩;前記第四級アンモニウムクロリドを構成する塩素イオンが硫酸水素イオンに代わった第四級アンモニウム硫酸水素塩;などが挙げられる。
アミンN−オキシド類としては、例えばトリオクチルアミンN−オキシド、ジラウリルメチルアミンN−オキシド、ラウリルジメチルアミンN−オキシド、ステアリルジメチルアミンN−オキシド、トリカプリルアミンN−オキシド、トリデシルアミンN−オキシド、ジメチルドデシルアミンN−オキシド、トリヘキシルアミンN−オキシド、トリドデシルアミンN−オキシド、ベンジルジメチルアミンN−オキシド、ベンジルジエチルアミンN−オキシド等が挙げられる。なお、これらアミンN−オキシド類は、対応するアミン類を反応系内に加え、反応系内で過酸化水素と反応させて調製してもよい。
第四級ホスホニウム塩としては、例えばテトラブチルホスホニウムブロミド等が、クラウンエーテル類としては、例えば12−クラウン−4、18−クラウン−6、ベンゾ−18−クラウン−6等が、ポリエチレングリコール類としては、例えばポリエチレングリコール600(平均分子量:600)、ポリエチレングリコール700(平均分子量:700)、ポリエチレングリコール800(平均分子量:800)等がそれぞれ挙げられる。
かかる相間移動触媒を用いる場合のその使用量は、アリールヒドラジン類に対して、通常0.0005モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的には、アリールヒドラジン類に対して、1モル倍以下である。
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する過酸化水素を、例えばチオ硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、濃縮処理、晶析処理等することにより、目的とするアリールフラン類を取り出すことができる。また、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、アリールフラン類を取り出すこともできる。得られたアリールフラン類は、例えば蒸留、カラムクロマトグラフィ等の通常の精製手段によりさらに精製してもよい。
水に不溶の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒;ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;などが挙げられ、その使用量は特に制限されない。
本発明により、通常は、アリールヒドラジン類のヒドラジノ基と結合している炭素原子と、フラン類の2位または5位の炭素原子とが結合したアリールフラン類が主生成物として得られる。例えば、アリールヒドラジン類(1)とフラン類(2)とを反応させた場合には、式(3)
Figure 2006083157
(式中、ArおよびRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。)
で示されるアリールフラン類が得られる。
かくして得られるアリールフラン類としては、例えば5−フェニル−2−フランカルボン酸メチル、5−(4−ブロモフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(4−クロロフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(4−フルオロフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(4−メチルフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(4−メトキシフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(2,4−ジフルオロフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(2,5−ジフルオロフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(3,5−ジクロロフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(2−ピリジル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(3−シアノフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(4−ニトロフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(4−メトキシカルボニルフェニル)−2−フランカルボン酸メチル、5−(1−ナフチル)−2−フランカルボン酸メチル、5−フェニル−2−フランカルボン酸エチル、5−(4−クロロフェニル)−2−フランカルボン酸プロピル、5−(4−フルオロフェニル)−2−フランカルボン酸イソプロピル、5−(2−メトキシフェニル)−2−フランカルボン酸ブチル、5−(4−クロロフェニル)−2−フランカルボン酸フェニル、5−(4−シアノフェニル)−2−フランカルボン酸ベンジル、5−フェニル−2−フランカルボキサミド、5−(2−クロロフェニル)−2−フランカルボキサミド、5−(4−ブロモフェニル)−2−フランカルボキシアミド、5−(4−フルオロフェニル)−2−フランカルボキサミド、5−(4−メチルフェニル)−2−フランカルボキサミド、5−(4−シアノフェニル)−2−フランカルボキサミド、5−(4−メトキシカルボニルフェニル)−2−フランカルボキサミド、5−(2,4−ジクロロフェニル)−2−フランカルボキサミド、5−(1−ナフチル)−2−フランカルボキサミド、5−(2−ピリジル)−2−フランカルボキシアミド、5−フェニル−N−メチル−2−フランカルボキサミド、5−(4−メトキシフェニル)−N,N−ジメチル−2−フランカルボキサミド、5−(2−フルオロフェニル)−N−エチル−2−フランカルボキサミド、5−(4−メチルフェニル)−N,N−ジエチル−2−フランカルボキサミド、5−(2−ピリジル)−N−フェニル−2−フランカルボキサミド、1−(5−フェニル−2−フラニルカルボニル)ピペリジン、4−(5−フェニル−2−フラニルカルボニル)モルホリン、5−(4−クロロフェニル)−2−シアノフラン、5−フェニル−2−フランカルボン酸、5−フェニル−2−ブロモフラン、5−(4−フルオロフェニル)−2−ブロモフラン、5−フェニル−2−クロロフラン、5−(4−シアノフェニル)−2−クロロフラン、5−フェニル−2−フルオロフラン、2−フェニルフラン、2−(4−クロロフェニル)フラン、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)フラン、2−(4−フルオロフェニル)フラン、2−(4−メチルフェニル)フラン、2−(4−メトキシフェニル)フラン、2−(2,4−ジクロロフェニル)フラン、2−(2,4−ジフルオロフェニル)フラン、2−(2,5−ジフルオロフェニル)フラン、2−(3,5−ジクロロフェニル)フラン、2−(2−ピリジル)フラン等が挙げられる。
以上のように、アリールヒドラジン類とフラン類とを過酸化水素の存在下に反応させることにより、目的とするアリールフラン類を得ることができるが、かかる反応を、
第Va族金属または該金属元素を含む化合物;
第VIa族金属または該金属元素を含む化合物;
第VIIa族金属または該金属元素を含む化合物;
第VIIIa族金属または該金属元素を含む化合物;
(前記4つの群から選ばれる少なくとも一種を、金属または化合物と略記する。)
第Va族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第Va族金属酸化物;
第VIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIa族金属酸化物;
第VIIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIIa族金属酸化物;
第VIIIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIIIa族金属酸化物;
(前記4つの群から選ばれる少なくとも一種を、金属酸化物と略記する。)
からなる群から選ばれる少なくとも一種(以下、金属化合物と略記する。)の存在下に実施することにより、アリールフラン類の収率を向上させることができる。
第Va族金属または該金属元素を含む化合物としては、例えば、バナジウム金属、酸化バナジウム、バナジン酸アンモニウム、バナジウムカルボニル錯体等のバナジウム金属またはバナジウム化合物;ニオブ金属、酸化ニオブ、塩化ニオブ、ニオブカルボニル錯体等のニオブ金属またはニオブ化合物;などが挙げられる。第VIa族金属または該金属元素を含む化合物としては、タングステン金属、ホウ化タングステン、炭化タングステン、酸化タングステン、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステンカルボニル錯体等のタングステン金属またはタングステン化合物;モリブデン金属、ホウ化モリブデン、酸化モリブデン、塩化モリブデン、モリブデンカルボニル錯体等のモリブデン金属またはモリブデン化合物;などが挙げられる。
第VIIa族金属または該金属元素を含む化合物としては、例えばレニウム金属、酸化レニウム、酸化レニウムの錯体、塩化レニウム、メチルレニウムトリオキシド等のレニウム金属またはレニウム化合物などが挙げられる。第VIIIa族金属または該金属元素を含む化合物としては、例えばコバルト金属、酸化コバルト、酸化コバルトの錯体、塩化コバルト等のコバルト金属またはコバルト化合物などが挙げられる。
第Va族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第Va族金属酸化物としては、例えば前記バナジウム金属またはバナジウム化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるバナジウム酸化物、前記ニオブ金属またはニオブ化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるニオブ酸化物等が挙げられる。第VIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIa族金属酸化物としては、例えば前記タングステン金属またはタングステン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物、前記モリブデン金属またはモリブデン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるモリブデン酸化物等が挙げられる。
第VIIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIIa族金属酸化物としては、例えば前記レニウム金属またはレニウム化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるレニウム酸化物等が挙げられる。第VIIIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIIIa族金属酸化物としては、例えば前記コバルト金属またはコバルト化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるコバルト酸化物等が挙げられる。
かかる金属化合物のなかでも、
タングステン金属またはタングステン化合物;
コバルト金属またはコバルト化合物;
ニオブ金属またはニオブ化合物;
モリブデン金属またはモリブデン化合物;
レニウム金属またはレニウム化合物;
タングステン金属またはタングステン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるタングステン酸化物;
コバルト金属またはコバルト化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるコバルト酸化物;
ニオブ金属またはニオブ化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるニオブ酸化物;
モリブデン金属またはモリブデン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなるモリブデン酸化物;
およびこれらの混合物が好適である。
金属酸化物を調製する際に用いる過酸化水素としては、通常、水溶液が用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよいが、取扱いが容易という点で、過酸化水素水を用いることが好ましい。過酸化水素水もしくは過酸化水素の有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水を用いる場合は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて希釈、濃縮等により濃度調整を行ったものを用いればよい。また過酸化水素の有機溶媒溶液を用いる場合は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に過酸化水素水を蒸留処理する等の手段により、調製したものを用いればよい。
金属酸化物調製に用いる過酸化水素の使用量は、金属または化合物に対して、通常3モル倍以上、好ましくは5モル倍以上であり、その上限は特にない。
金属酸化物の調製は、通常、水溶液中で実施される。もちろん、例えば、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;酢酸エチル等のエステル溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル溶媒;などの有機溶媒中または有機溶媒と水との混合溶媒中で実施してもよい。
金属酸化物の調製は、金属または化合物と過酸化水素とを接触・混合させることにより行われ、その接触効率をより向上させるため、金属酸化物調製液中で、金属または化合物が十分分散するよう攪拌しながら反応を行うことが好ましい。また、金属または化合物と過酸化水素との接触効率を高め、金属酸化物調製時の制御をより容易にするという点で、例えば金属または化合物等粒径の小さな金属または化合物を用いることが好ましい。
金属酸化物調製時の調製温度は、通常−10〜100℃程度の範囲である。
金属または化合物と過酸化水素とを、水中、有機溶媒中もしくは有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させることにより、金属または化合物の全部もしくは一部が溶解して、金属酸化物を含む均一溶液もしくは懸濁液を調製することができる。該金属酸化物は、例えば濃縮処理等により調製液から取り出して用いてもよいし、調製液をそのまま用いてもよい。調製液をそのまま用いる場合は、該調製液中の過酸化水素量を考慮して、アリールヒドラジン類とフラン類との反応に使用する過酸化水素の量を決めてもよい。
また、金属または化合物、アリールヒドラジン類、フラン類および過酸化水素を接触・混合することにより、金属酸化物の調製操作と本発明の反応とを同時に行ってもよい。
金属化合物の使用量は、アリールヒドラジン類上のヒドラジノ基に対して、通常0.001モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的には、アリールヒドラジン類上のヒドラジノ基に対して、通常1モル倍以下である。
金属化合物を用いる場合も、金属化合物を用いない場合と同様、反応系内の存在する水を除去しながら反応を実施するか、または相間移動触媒の存在下に反応を実施することが好ましい。
相間移動触媒としては、上記したものと同様のものが挙げられ、その使用量も同様である。かかる相間移動触媒は、上記した金属酸化物調製の際に用いてもよい。
なお、金属化合物を用いて本発明の反応を実施した場合であって、目的とするアリールフラン類を抽出処理もしくは晶析処理により取り出したときは、反応液を抽出処理して得られる水層や晶析処理して得られる濾液中に、通常、金属化合物が含まれているため、該水層や該濾液をそのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再び本発明の反応に使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。なお、実施例において、収率はいずれもガスクロマトグラフィ内部標準法により求めたものである。
実施例1
50mLフラスコに、タングステン酸ナトリウム12水和物40mg、トリオクチルメチルアンモニウム硫酸水素塩60mg、30重量%過酸化水素水1.0gおよび2−フランカルボン酸メチル10gを仕込んだ後、内温60℃に昇温した。これに4−クロロフェニルヒドラジン287mgと酢酸エチル5gとからなる混合液を同温度で1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌・保持し、反応させた。室温まで冷却し、水10gと酢酸エチル10gを加え、室温で攪拌し、静置後、分液処理し、5−(4−クロロフェニル)−2−フランカルボン酸メチルを含む有機層を得た。
収率39%(4−クロロフェニルヒドラジン基準)。
実施例2
50mLフラスコに、タングステン酸ナトリウム12水和物60mg、トリオクチルメチルアンモニウム硫酸水素塩60mg、30重量%過酸化水素水2.0gおよび2−フランカルボン酸メチル10gを仕込んだ後、内温60℃に昇温した。これにフェニルヒドラジン440mgと酢酸エチル5gとからなる混合液を同温度で1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌・保持し、反応させた。室温まで冷却し、水10gと酢酸エチル10gを加え、室温で攪拌し、静置後、分液処理し、5−フェニル−2−フランカルボン酸メチルを含む有機層を得た。
収率32%(フェニルヒドラジン基準)。
実施例3
50mLフラスコに、トリオクチルメチルアンモニウム硫酸水素塩60mg、30重量%過酸化水素水1.0gおよび2−フランカルボン酸メチル5gを仕込んだ後、内温60℃に昇温した。これにフェニルヒドラジン220mgと酢酸エチル5gとからなる混合液を同温度で1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌・保持し、反応させた。室温まで冷却し、水10gと酢酸エチル10gを加え、室温で攪拌し、静置後、分液処理し、5−フェニル−2−フランカルボン酸メチルを含む有機層を得た。
収率11%(フェニルヒドラジン基準)。
実施例4
50mLフラスコに、タングステン酸ナトリウム12水和物40mg、トリオクチルメチルアンモニウム硫酸水素塩60mg、30重量%過酸化水素水1.0gおよびフラン 5gを仕込んだ後、内温60℃に昇温した。これに4−クロロフェニルヒドラジン287mgとフラン5gとからなる混合液を同温度で1時間かけて滴下し、さらに1時間攪拌・保持し、反応させた。室温まで冷却し、水10gと酢酸エチル10gを加え、室温で攪拌し、静置後、分液処理し、5−(4−クロロフェニル)フランを含む有機層を得た。
収率19%(4−クロロフェニルヒドラジン基準)。

Claims (5)

  1. アリールヒドラジン類と、2位および5位の少なくとも一方の炭素原子上に水素原子を有するフラン類とを、過酸化水素の存在下に反応させることを特徴とするアリールフラン類の製造方法。
  2. 第Va族金属または該金属元素を含む化合物;
    第VIa族金属または該金属元素を含む化合物;
    第VIIa族金属または該金属元素を含む化合物;
    第VIIIa族金属または該金属元素を含む化合物;
    第Va族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第Va族金属酸化物;
    第VIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIa族金属酸化物;
    第VIIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIIa族金属酸化物;
    第VIIIa族金属または該金属元素を含む化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる第VIIIa族金属酸化物;
    からなる群から選ばれる少なくとも一種の存在下に実施する請求項1に記載の製造方法。
  3. アリールヒドラジン類が、式(1)
    Figure 2006083157
    (式中、Arは置換もしくは無置換の芳香族基または置換もしくは無置換の複素芳香族基を表す。)
    で示される化合物であり、
    2位および5位の少なくとも一方の炭素原子上に水素原子を有するフラン類が、式(2)
    Figure 2006083157
    (式中、Rは置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基、カルボキシ基、シアノ基、ハロゲン原子または水素原子を表す。)
    で示される化合物であり、
    得られるアリールフラン類が、式(3)
    Figure 2006083157
    (式中、ArおよびRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。)
    で示される化合物である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 式(2)におけるRが、置換もしくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換もしくは無置換のカルバモイル基またはカルボキシ基である請求項3に記載の製造方法。
  5. 過酸化水素として、過酸化水素水を用いる請求項1または2に記載の製造方法。
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