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JP2004352931A - ジフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体を含有する液晶組成物及び液晶性化合物 - Google Patents

ジフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体を含有する液晶組成物及び液晶性化合物 Download PDF

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JP2004352931A
JP2004352931A JP2003154594A JP2003154594A JP2004352931A JP 2004352931 A JP2004352931 A JP 2004352931A JP 2003154594 A JP2003154594 A JP 2003154594A JP 2003154594 A JP2003154594 A JP 2003154594A JP 2004352931 A JP2004352931 A JP 2004352931A
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Japan
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liquid crystal
carbon atoms
alkyl group
linear alkyl
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Application number
JP2003154594A
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English (en)
Inventor
Tatsuro Kawahara
達郎 河原
Sadao Takehara
貞夫 竹原
Yutaka Nagashima
豊 長島
Tetsuo Kusumoto
哲生 楠本
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

【課題】新規液晶材料の提供と、それを鍵成分とする、温度範囲が広く絶対値の大きい負の誘電率異方性を有する液晶組成物を提供する。さらにそれを用いて信頼性が高いVA型等の液晶表示素子を提供する。
【解決手段】一般式(1)
Figure 2004352931

(式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表される化合物とその製法、製造中間体、及び(1)を含有する液晶組成物、及びこれを用いた液晶表示素子。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気光学的液晶表示材料として有用な、テトラヒドロナフタレン誘導体と、それを含有する誘電率異方性が負でその絶対値が大きい液晶組成物に関し、さらにそれを用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、家庭用各種電気機器、測定機器、自動車用パネル、ワープロ、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(捩れネマチック)型、STN(超捩れネマチック)型、DS(動的光散乱)型、GH(ゲスト・ホスト)型、IPS(インプレーンスイッチング)型、OCB(光学補償複屈折)型、ECB(電圧制御複屈折)型、VA(垂直配向)型、CSH(カラースーパーホメオトロピック)型、あるいはFLC(強誘電性液晶)等を挙げることができる。また駆動方式としても従来のスタティック駆動からマルチプレックス駆動が一般的になり、単純マトリックス方式、最近ではTFT(薄膜トランジスタ)やMIMにより駆動されるアクティブマトリックス(AM)方式が主流となっている。
【0003】
これらの表示方式において、IPS型、ECB型、VA型、あるいはCSH型等は現在汎用のTN型やSTN型と異なり、誘電率異方性が負の、いわゆるn型の液晶材料を用いるという特徴を有する。これらの中で特にAM駆動によるVA型表示は、高速で広視野角の要求される表示素子、例えばテレビ等への応用において、現在最も期待されているものである。
【0004】
液晶材料としては、これまでにも非常に多種類の化合物が合成されてきており、その表示方式や駆動方式あるいはその用途に応じて使用されているが、上記のVA型等の表示方式に用いられるn型の液晶材料についてはそれほど多くの化合物が知られているわけではない。特に、AM駆動することを考えると、使用可能と言えるn型の液晶材料は分子内に2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン基を有する化合物に限られているのが実情である。
【0005】
VA型等の表示方式においても通常の表示方式と同様に、低電圧駆動や高速応答に加えて、広い作動温度範囲が要求される。またセル厚等に合わせた適当な屈折率異方性(Δn)も要求される。
【0006】
駆動電圧を低減さるためには、液晶材料(組成物として)の誘電率異方性(Δε)の絶対値がなるべく大きいことが必要である。上記VA表示においてはそのΔεは−3以下望ましくは−4以下であることが好ましい。また、応答の高速化のためには液晶材料の粘性をなるべく小さくすることが必要である。
【0007】
作動温度範囲としてはネマチック相上限温度(TN−I)が少なくとも70℃以上であることが好ましく、ネマチック相下限温度(T−N)が少なくとも−20℃以下であることが好ましい。
【0008】
またセルの構成(セル厚や表示モード等)にも依存するが、Δnは通常0.08〜0.10程度が要求されることが多い。
【0009】
これらの要求特性を単独で満足できるような液晶化合物は存在せず、従って液晶材料は上記の2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン誘導体を主として多くの液晶化合物(特許文献1参照)から調製される液晶組成物(特許文献2参照)が用いられているのが現状である。
【0010】
ところが、これまで知られている2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン誘導体はそのほとんどが、他の環構造としてトランス−1,4−シクロヘキシレン基及び1,4−フェニレン基を有する化合物であるが、これらは他の液晶化合物との相溶性において必ずしも良好ではないという問題点が存在した。そのために温度範囲の広い液晶組成物、特に低温で長時間保存しても結晶の析出や相分離を生じ難い液晶組成物を調製することは容易でなく、ホモログ(側鎖アルキル基の炭素数だけが異なった同族体)等を加えて、非常に多種の化合物を混合することにより溶解性を高め、組成物の融点を低下させる必要があった。
【0011】
液晶組成物の融点を低下させるためには、骨格構造の異なる液晶化合物の添加が効果的であることはよく知られている。従って、広い温度範囲を有する液晶組成物の調製を容易とするために、従来化合物とは異なる骨格構造、特に液晶化合物に強い負の誘電率異方性を寄与でき、かつ2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン骨格とは異なる新しい骨格構造、例えばフッ素置換されたナフタレン構造(特許文献3及び特許文献4参照)あるいはテトラヒドロナフタレン構造(特許文献5及び6参照)を含み、他の液晶化合物との相溶性に優れ、その添加により、n型液晶としての特性を向上させ、かつ組成物の温度範囲を拡大できるような液晶性化合物が望まれていた。
【0012】
又、前述の特許文献5にはこの5,6−ジフルオロ−テトラヒドロナフタレン骨格を有する広範囲な一般式が示されている。しかしながら、当該文献に記載の発明はスメクチック液晶である強誘電性液晶を目的としたもので、ネマチック液晶についてはほとんど触れられていない。
【0013】
一方、特許文献6には、テトラヒドロヒドロナフタレン骨格を有する一連の化合物がその一般式とともに記載されているが、5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体を用いたΔεが負の液晶組成物については記載が無く、5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体の中のどの化合物が、温度範囲の広いΔεが負の液晶組成物(n型組成物)の調製に特に好適であるかについては具体的な開示はない。
【特許文献1】
公表特許公報平2−503441号公報
【特許文献2】
公表特許公報平10−176167号公報
【特許文献3】
ドイツ特許19522167号
【特許文献4】
公開特許公報2001−31597号公報
【特許文献5】
ドイツ特許19522145号
【特許文献6】
公開特許公報2001−19648号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来化合物とは異なる骨格である5,6−ジフルオロ−テトラヒドロナフタレン構造を含み、他の液晶化合物との相溶性に優れる誘電率異方性(Δε)が負の液晶性化合物及びその製造方法を提供し、それを鍵成分とするΔεが負で温度範囲の広い液晶組成物を提供し、さらにそれを用いたVA型等の液晶表示素子を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、5,6−ジフルオロ−テトラヒドロナフタレン骨格を有する化合物が、その絶対値が大きい負のΔεを有し、かつ従来の液晶化合物との相溶性に非常に優れていること。そしてそれを用いることによってVA型等の液晶表示素子において低電圧駆動と高速応答を可能とできるような液晶組成物が調製できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明における液晶組成物は、一般式(1)
【0017】
【化11】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表される化合物を1種もしくは2種以上含有し、一般式(5)
【0018】
【化12】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基又はアルケニルオキシ基を表し、m6は0又は1を表し、Ml及びMmはそれぞれ独立的に単結合、−COO−又は−CHCH−を表し、環Gはトランス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物の1種もしくは2種以上を含有し、誘電率異方性が−3以下であることを特徴とするものである。
さらに、当該液晶組成物を用いた液晶表示素子も併せて提供する。
【0019】
本願発明に於いてはテトラヒドロヒドロナフタレン誘導体の中で、5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン骨格がその7位でメチレンオキシ基を介してシクロヘキシレン基と結合した一般式(1)の構造を有し、かつ(1)においてRが炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基、Rが炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基である化合物が、特に上記の液晶組成物の構成材料として有効であることを見いだしたものであり、本発明はこの化合物及びその製造方法、又、当該化合物の製造に有用な化合物も提供する。
【0020】
すなわち、一般式(1)で表される化合物
【化13】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)を提供し、一般式(1)で表される化合物の製造方法として
【0021】
一般式(6)
【化14】
Figure 2004352931
【0022】
(式中、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表されるテトラヒドロナフトール誘導体を塩基存在下にアルコラートとし、これを一般式(7)
【化15】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、あるいはp−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基の脱離基を表す。)で表される化合物と反応させる製造方法、及び
【0023】
一般式(8)
【化16】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表されるトリフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体に、塩基存在下に一般式(9)
【0024】
【化17】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表されるアルコールと反応させる製造方法を提供する。
【0025】
さらに、当該製造方法に有用な製造中間体として一般式(8)
【化18】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表される化合物を提供する。
【0026】
一般式(1)で表される化合物は本発明者等が初めてその製造に成功し、その特性を明らかにした化合物であるが、広範な一般式としてこの化合物(1)を包含しうる報告例は存在している。しかしながら、前述の特許文献5に開示される範囲では、本願発明の化合物(1)の物性及び電気光学特性の記載は全くなく、その製造方法すら開示されておらず、本願発明に対して何ら示唆を与えるものとは言い難い。特許文献6に開示される範囲では、本発明の一般式(1)の化合物の如く、5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレンの7位においてメチレンオキシ基によりシクロヘキサン環と連結した形の化合物は記載されていない。さらに、当該文献には5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体を用いたΔεが負の液晶組成物の具体的な開示はない。
【0027】
【発明の実施の形態】
一般式(1)において、Rは、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基が好ましく、プロピル基が特に好ましい。Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表すが、エチル基又はプロピル基が好ましく、プロピル基が特に好ましい。
【0028】
本発明の液晶組成物においては一般式(1)の化合物を組成物中に1質量%(以下組成物中の%は質量%を表す)以上50%以下含有することが好ましく、2%〜40%含有することがより好ましく、4〜30%含有することがさらに好ましい。
【0029】
また、本発明の液晶組成物においては、一般式(5)で表される化合物の少なくとも1種をさらに含有する。一般式(5)において、Rは炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5の1−アルケニル基、又は炭素原子数4〜5の3−アルケニル基が好ましく、直鎖状アルキル基としてはエチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基がより好ましく、1−アルケニル基としてはビニル基及びトランス−1−プロペニル基がより好ましく、3−アルケニル基としては3−ブテニル基、トランス−3−ブテニル基がより好ましい。Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜5の1−アルケニル基、炭素原子数4〜5の3−アルケニル基、炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基が好ましく、特にCがトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表す場合にはエチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ビニル基、トランス−1−プロペニル基、3−ブテニル基、トランス−3−ブテニル基、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましく、Cが1個のフッ素により置換されていてもよい1,4−フェニレン基の場合、上記に加えてアリルオキシ基及びクロチルオキシ基も好ましい。m6は0又は1が好ましい。ML及びMmはMLが存在する場合にはML及びMmの少なくとも一方は単結合が好ましい。Gはトランス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表すことが好ましい。
【0030】
一般式(5)で表される化合物は、具体的には以下の一般式(5a)〜(5m)で表される化合物が好ましく、一般式(5a)、(5b)、(5d)、(5e)で表される化合物が特に好ましい。
【化19】
Figure 2004352931
(式中、R及びRはそれぞれ独立的に炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基、炭素原子数2〜3の1−アルケニル基又は炭素原子数4〜5の3−アルケニル基を表し、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3〜4の直鎖状2−アルケニル基を表し、R10は炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基又は炭素原子数4〜5の3−アルケニル基を表し、R11は炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3〜4の直鎖状2−アルケニル基を表す。)
【0031】
本発明の液晶組成物においては、一般式(2)
【化20】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシル基又はアルケニルオキシ基を表し、m1は0又は1を表し、Ma及びMbはそれぞれ独立的に単結合、−CHCH−、−OCF−、−CFO−、又は−COO−を表し、Bはトランス−1,4−シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素により置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表す。)で表される2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン誘導体の少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。
一般式(2)において、Rは炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基が好ましく、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルコキシル基が好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基又は炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基が特に好ましく、m1は0又は1が好ましく、Ma及びMbは少なくとも一方は単結合であることが好ましく、他方は単結合、−CHCH−又は−COO−であることが好ましく、Bは調製すべき液晶組成物の屈折率異方性(Δn)に応じて、小さいΔnが要求される場合にはトランス−1,4−シクロヘキシレン基が好ましく、大きいΔnが要求される場合には1,4−フェニレン基が好ましい。
【0032】
一般式(2)で表される化合物は具体的には、以下の一般式(2a)〜(2g)で表される化合物が好ましい。
【化21】
Figure 2004352931
(式中、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又は炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基を表す。)
【0033】
また、本発明の液晶組成物においては一般式(1)の化合物に加えて、一般式(3a)、一般式(3b)、一般式(4a)及び一般式(4b)からなる群
【化22】
Figure 2004352931
【0034】
(式中、R、R、R及びRは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表し、R、R、及びRは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシル基又はアルケニルオキシ基を表し、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表し、m2、m3、m4及びm5は0又は1を表し、Mc及びMd、Me及びMf、Mh及びMi、Mj及びMkはそれぞれ独立的に単結合、−CHCH−、−OCF−、−CFO−又は−COO−を表し、C、D、E及びFはトランス−1,4−シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素により置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表す。ただし、(4a)において、m4が0の場合、Miは単結合でないか、あるいはEは1〜2個のフッ素により置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表す。)から選ばれる化合物を少なくとも1種をさらに含有することが好ましい。
【0035】
は炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表すことが好ましく、R、R、及びRは、炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基又は直鎖状アルコキシル基を表すことが好ましく、炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基又は炭素原子数1〜3の直鎖状アルコキシル基を表すことが特に好ましく、Rは炭素原子数1〜3の直鎖状アルキル基が好ましく、m2、m3、m4及びm5はそれぞれ独立して0又は1を表すことが好ましく、Mc及びMd、Me及びMf、Mh及びMi、Mj及びMkの組み合わせは、一方は単結合であることが好ましく、他方は単結合、−CHCH−又は−COO−であることが好ましく、C、D、E及びFは、調製すべき液晶組成物の屈折率異方性(Δn)に応じて、小さいΔnが要求される場合にはトランス−1,4−シクロヘキシレン基を表すことが好ましく、大きいΔnが要求される場合には1,4−フェニレン基を表すことが好ましい。
【0036】
以上より、本願発明の液晶組成物は以下の構成であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(5a)〜(5m)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(2a)〜(2g)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
一般式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(5a)〜(5m)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(3a)、一般式(3b)、一般式(4a)及び一般式(4b)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
【0037】
以下の構成はより好ましい。
一般式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(5a)、一般式(5b)、一般式(5d)及び一般式(5e)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(2a)〜(2g)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
一般式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(5a)、一般式(5b)、一般式(5d)及び一般式(5e)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(3a)、一般式(3b)、一般式(4a)及び一般式(4b)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
一般式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(5a)〜(5m)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(2a)〜(2g)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(3a)、一般式(3b)、一般式(4a)及び一般式(4b)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
【0038】
又、以下の構成は特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(5a)、一般式(5b)、一般式(5d)及び一般式(5e)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(2a)〜(2g)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有し、一般式(3a)、一般式(3b)、一般式(4a)及び一般式(4b)からなる化合物群から選ばれる化合物を1種又は2種以上含有する液晶組成物。
【0039】
本願発明の液晶組成物に置いて、Δεは−3以下であることが好ましく、−4以下であることがより好ましい。
【0040】
一般式(1)で表される化合物は以下のようにして製造することができる。
【0041】
すなわち、一般式(6)で表される3−アルキル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−7−オール(この化合物は5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オンに種々の有機金属反応剤を反応させて、次いで必要に応じて多重結合を還元し、脱水後、再度二重結合を還元して得られる3−アルキル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレンにアルキルリチウム(n−ブチルリチウム、メチルリチウムが好ましい)を反応させてリチオ化し、得られたリチオ化合物をホウ酸エステルと反応させ、加水分解した後、過酸化水素等で酸化することにより得ることができる。)を塩基存在下に一般式(7)で表される化合物と反応させることにより、製造することができる。一般式(6)において、Xは塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、あるいはp−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基の脱離基を表すが、塩素又は臭素が好ましい。
【0042】
反応は溶媒中で行われるが、溶媒としてはジイソプロピルエーテル(IPE)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼンやトルエン等の炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N−ジメチルアセトアミド(DMA)、ヘキサメチルリン酸トリアミド(HMPTA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)等の非プロトン性極性溶媒あるいはこれらの混合溶媒が好適である。
【0043】
反応は−80℃付近の冷却下から100℃以上の加熱下において実施されるが、通常氷冷下から溶媒の還流温度の間が好ましく、10〜50℃がより好ましい。
【0044】
塩基としては一般式(6)で表される化合物からフェノラートを生成できる限り特に制限はないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸カリウム等のアルカリ金属の弱酸塩、水素化ナトリウム等の金属水素化物、アルキルリチウム、アルキルマグネシウムハライド等の有機金属反応剤、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、t−ブトキシカリウム等のアルカリ金属アルコラート、ジアザビシクロウンデカン(DBU)等の有機アミン系強塩基等が好ましく、金属水素化物及び金属アルコラートが特に好ましい。
【0045】
あるいは、一般式(1)で表される化合物は一般式(8)で表されるトリフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体に塩基存在下で一般式(9)で表されるアルコールと反応させることによっても得ることができる。
【0046】
反応は溶媒中で行われるが、溶媒としてはIPE、THF、DME、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、ベンゼンやトルエン等の炭化水素系溶媒、DMF、DMA、HMPTA、TMEDA等の非プロトン性極性溶媒あるいはこれらの混合溶媒が好適である。
【0047】
反応は−80℃付近の冷却下から100℃以上の加熱下において実施されるが、通常氷冷下から溶媒の還流温度の間が好ましく、0〜50℃がより好ましい。
【0048】
塩基としては(9)の化合物からアルコラートを生成できる限り特に制限はないが、水素化ナトリウム等の金属水素化物、アルキルリチウム、アルキルマグネシウムハライド等の有機金属反応剤、t−ブトキシカリウム等のアルカリ金属アルコラート、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)等のアミドが好ましく、金属水素化物が特に好ましい。
ここで一般式(9)の化合物は液晶中間体として有用性の高い化合物であり、本発明はこの化合物をも提供する。
【0049】
(9)の化合物は5,6,7−トリフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オン(この化合物は2,3、4−トリフルオロフェニル酢酸を塩化チオニル等の塩素化剤で酸クロリドとした後、塩化アルミニウム等のルイス酸存在下にエチレンと反応させることにより製造することができる)に種々の有機金属反応剤を反応させて、次いで必要に応じて多重結合を還元し、脱水後、再度二重結合を還元して得ることができる。有機金属としてはアリルマグネシウムハライド及びその誘導体、アリルハロゲン化亜鉛及びその誘導体、ビニルマグネシウムハライド及びその誘導体、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属のアセチリド及びその誘導体が好ましい。
【0050】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、前述の通り、組成物における%は質量%を表す。
(参考例) 3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレンの製造
5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オン54.65g(この化合物は2,3−ジフルオロフェニル酢酸クロリドに塩化アルミニウムとエチレンを反応させて得られた。)をテトラヒドロフラン(THF)280mLに溶解し、これに粉末状亜鉛29.42g及びトリメチルシリルクロリド1.5mLを加え窒素雰囲気下攪拌した。臭化アリル少量加え、反応の開始を確認した後、計54.44gの臭化アリルを溶媒が穏やかに還流を続ける速度で滴下した。滴下終了後1時間加熱還流させた、室温まで放冷した。不溶物を濾別した後、酢酸エチルを加え、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下に溶媒を溜去して3−アリル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オール57.59gを得た。
この48.80g酢酸エチル150mLに溶解し、5%パラジウム炭素(50%含水)9.76gとともにオーツクレーブ中に加え、水素圧0.5MPaで室温下に3時間接触還元した。触媒を濾別した後、溶媒を溜去して3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オール49.13gを得た。
【0051】
この48.86gをトルエン200mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物2.47gを加え、共沸する水を除去しながら2時間加熱還流させた。室温まで放冷し、水、炭酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下に溶媒を溜去して3−プロピル−5,6−ジフルオロ−1、2−ジヒドロナフタレン38.01gを得た。
【0052】
この20.83gをエタノール100mLに溶解し、5%パラジウム炭素(50%含水)4.17gとともにオーツクレーブ中に加え、水素圧0.5MPaで室温下に3時間接触還元した。触媒を濾別した後、溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製して3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン19.23gを得た。
【0053】
(実施例1) 3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−7−オールの製造
【化23】
Figure 2004352931
【0054】
滴下漏斗、温度計及び窒素導入管を取り付けた4つ口フラスコに、窒素気流下参考例で得られた3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン10.51gをTHF50mLに溶解して加えた。ドライアイス−メタノール浴にて−50℃に冷却、攪拌した。n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(1.57M)38mLを滴下漏斗より1時間かけて滴下し、滴下終了後さらに4時間−50〜−40℃で攪拌した。そこへ、ホウ酸トリメチル6.23gのTHF25mL溶液を内温が−30℃を超えないように滴下し、滴下終了後1時間−50〜−40℃に保った後、ドライアイス−メタノール浴を除き、0℃まで攪拌した。反応混合物に酢酸7.2mLを加え、0℃で30分攪拌した。30%過酸化水素水7.2mLを加え、室温に戻して1時間攪拌した。水150mLを加え、酢酸エチル100mLで抽出し、有機層は水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下に溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製して3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−7−オール9.02gを得た。
【0055】
(実施例2) 7−(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチルオキシ)−3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン(1−a)の製造(1)
【化24】
Figure 2004352931
【0056】
水素化ナトリウム(60%油性)1.50gを乾燥させたDMF10mL中に懸濁させ、氷冷下に攪拌した。これに実施例1で得られた3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン−7−オール6.79gのDMF25mL溶液を滴下し、氷冷下1時間攪拌させた。これにトランス−4−プロピルシクロヘキシルメチルブロミド7.89gのDMF20mL溶液を滴下し、次いでヨウ化カリウム2.49gを加え、氷冷下(2〜3℃)に5時間攪拌した。水50mLを加え、酢酸エチル100mLで抽出し、有機層は水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、さらにエタノールから3回再結晶させて7−(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチルオキシ)−3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン4.52gを得た。
H−NMR(CDCl): δ(ppm)=0.86〜1.08(m,10H),1.15〜1.45(m,10H),1.55〜1.62(m,1H),1.77〜1.80(m,3H),1.88〜1.90(m,3H),2.09〜2.16(m,1H),2.69(m,2H),2.81〜2.87(m,1H),3.76(d,2H),6.42(d,1H)
MS: m/e=364(M
IR(KBr): 2956,2921,2858,2368,1639,1517,1446,1361,1294,1128cm−1
この化合物の融点は51℃で、単独ではネマチック相を示さなかったが、後述の母体液晶に添加し外挿により求めたネマチック相上限温度(TN−I)は15℃であった。
【0057】
(実施例3) 7−(トランス−4−エチルシクロヘキシルメチルオキシ)−3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン(1−b)の製造
【化25】
Figure 2004352931
実施例2において、トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチルブロミドに換えて、トランス−4−エチルシクロヘキシルメチルブロミドを用いた他は同様にして7−(トランス−4−エチルシクロヘキシルメチルオキシ)−3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン(1−b)を得た。
H−NMR(CDCl): δ(ppm)=0.86〜1.11(m,10H),1.19〜1.45(m,8H),1.55〜1.62(m,1H),1.75〜1.82(m,3H),1.89〜1.91(m,3H),2.09〜2.16(m,1H),2.69(m,2H),2.82〜2.87(m,1H),3.76(d,2H),6.42(d,1H)
MS: m/e=350(M
IR(KBr): 2960,2921,2850,1631,1517,1454,1361,1290,1212,1122,1089,869cm−1
この化合物の融点は44℃で、単独ではネマチック相を示さなかった。
【0058】
(実施例4) 3−プロピル−5,6,7−トリフルオロテトラヒドロナフタレンの製造
5,6,7−トリフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オン35.6g(この化合物は2,3、4−トリフルオロフェニル酢酸クロリドに塩化アルミニウムとエチレンを反応させて得られた。)をテトラヒドロフラン(THF)200mLに溶解し、これに粉末状亜鉛20.0g及びトリメチルシリルクロリド1.0mLを加え窒素雰囲気下で攪拌した。臭化アリルを少量加え、反応の開始を確認した後、計36.0gの臭化アリルを溶媒が穏やかに還流を続ける速度で滴下した。滴下終了後1時間加熱還流させた、室温まで放冷した。不溶物を濾別した後、酢酸エチルを加え、水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下に溶媒を溜去して3−アリル−5,6,7−トリフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オール37.3gを得た。
この全量を酢酸エチル100mLに溶解し、5%パラジウム炭素(50%含水)7.0gとともにオーツクレーブ中に加え、水素圧0.5MPaで室温下に3時間接触還元した。触媒を濾別した後、溶媒を溜去して3−プロピル−5,6,7−トリフルオロテトラヒドロナフタレン−3−オール34.7gを得た。
【0059】
この全量をトルエン150mLに溶解し、p−トルエンスルホン酸1水和物1.7gを加え、共沸する水を除去しながら2時間加熱還流させた。室温まで放冷し、水、炭酸ナトリウム水溶液、水、飽和食塩水で順次洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。減圧下に溶媒を溜去して3−プロピル−5,6,7−トリフルオロ−1、2−ジヒドロナフタレン35.0gを得た。
この全量をエタノール140mLに溶解し、5%パラジウム炭素(50%含水)5.5gとともにオーツクレーブ中に加え、水素圧0.5MPaで室温下に3時間接触還元した。触媒を濾別した後、溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製して油状の3−プロピル−5,6,7−トリフルオロテトラヒドロナフタレン26.0gを得た。
【0060】
(実施例5) 7−(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチルオキシ)−3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン(1−a)の製造(2)
水素化ナトリウム(60%油性)1.0gを乾燥させたDMF10mL中に懸濁させ、氷冷下に攪拌した。これにトランス−4−プロピルシクロヘキシルメタノール3.9gのDMF10mL溶液を滴下し、25℃で1時間攪拌した。再度氷冷し、これに実施例4で得られた3−プロピル−5,6,7−トリフルオロテトラヒドロナフタレン5.5gのDMF15mL溶液を滴下し、氷冷下3時間攪拌させた。室温に戻し、水50mLを加え、酢酸エチル100mLで抽出し、有機層は水次いで飽和食塩水で洗滌し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を溜去して得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、さらにエタノールから4回再結晶させて7−(トランス−4−プロピルシクロヘキシルメチルオキシ)−3−プロピル−5,6−ジフルオロテトラヒドロナフタレン4.2gを得た。
【0061】
(実施例6)n型液晶組成物の調製(1)
以下の化合物からなる非極性の標準母体液晶組成物(M)を調製した。
【化26】
Figure 2004352931
そのネマチック相上限温度(TN−I)は103.2℃であった。20℃でその物性値を測定したところ、屈折率異方性(Δn)は0.0986、誘電率異方性(Δε)は0.03であった。また、回転粘度は15.6(mPa・s)であった。
【0062】
次にこの(M)の80%と実施例1で得られた(1−a)の化合物20%からなる液晶組成物(M−1)を調製した。
この(M−1)は85℃以下でネマチック相を示した。これから外挿した(1−a)のTN−Iは15℃であった。これを−20℃で1週間放置しても結晶の析出や相分離は観察されなかった。20℃においてその物性値を測定したところ、Δnは0.0931、Δεは−0.83であった。以上から外挿した化合物(1−a)のΔnは0.068であり、Δεは−4.4と比較的強いn型の化合物であることが確認できた。また、この組成物の粘度は20.7(mPa・s)で比較的低粘性であった。
【0063】
(比較例1)
これに対して、(M)の80%と一般式(2a)で表される化合物(2a−1)20%からなる液晶組成物(R−1)を調製した。
【化27】
Figure 2004352931
(R−1)のネマチック相上限温度(TN−I)は71℃で(M−1)と比較して約14°も低下してしまった。さらに−20℃で放置したところ、24時間で相分離が観察された。20℃において測定したその物性値は、Δnが0.0898、Δεは−0.85であった。従って(2a−1)の化合物は本発明の(1−a)の化合物と比較して、同程度の強い(絶対値の大きい)Δεを有するものの、高温域におけるネマチック相温度範囲において劣っていることがわかる。
【0064】
(比較例2)
(M)の80%と一般式(2c)で表される化合物(2c−1)20%からなる液晶組成物(R−3)を調製した。
【化28】
Figure 2004352931
この組成物のネマチック相上限温度(TN−I)は109.5℃であり、(M−1)と比較して約24°も高かった。しかしながら−20℃で放置したところ、3日以内に結晶の析出が観察された。また20℃で測定した物性値は、Δnが0.099と(M−1)よりやや大きく、Δεは−0.37とその絶対値が(M−1)の半分以下に小さくなった。
以上から、化合物(2c−1)は本発明の(1−a)の化合物と比較して、ネマチック相温度範囲がより高温域まで可能であるけれども、Δεの絶対値がより小さく、従来液晶との相溶性や低温での安定性に於いても劣っていることがわかる。
【0065】
(実施例7)n型液晶組成物の調製(2)
(M)の20%、(1−a)の20%、(2a−1)の20%(2c−1)の20%、及び一般式(3b)で表される(3b−1)の化合物20%
【化29】
Figure 2004352931
からなる液晶組成物(M−2)を調製した。この(M−5)は78℃以下で安定にネマチック相を示し、−20℃で1週間放置しても結晶の析出や相分離は観察されなかった。20℃においてその物性値を測定したところ、Δnは0.099、Δεは−3.44であった。またこの組成物の粘度は37(mPa・s)で比較的低粘性であり、実用的なn型の液晶材料として好適であった。
【0066】
(実施例8)n型液晶組成物の調製(3)
(M)の20%、(1−a)の20%、(2a−1)の10%、(2c−1)の10%及び一般式(3a)で表される(3a−1)、(3a−2)の化合物各20%
【化30】
Figure 2004352931
【化31】
Figure 2004352931
からなる液晶組成物(M−3)を調製した。この(M−3)は86.5℃以下で安定にネマチック相を示し、−20℃で1週間放置しても結晶の析出や相分離は観察されなかった。20℃においてその物性値を測定したところ、Δnは0.111、Δεは−4.57であった。またこの組成物の粘度は44(mPa・s)とΔεの絶対値が大きい割には比較的低粘性であり、実用的なn型の液晶材料として好適であった。
【0067】
(実施例9)表示素子の作成(1)
実施例7で得られた液晶組成物(M−2)を透明電極(片側の電極はジグザグ状に配列)を備え、垂直配向処理を施したセル厚3.5μmのVA表示用セルに充填し、VA表示素子を作成した。この素子に電界を印加して25℃におけるその電気光学特性を測定したところ、暗視野から明視野への閾値電圧(Vth)は3.2Vであった。次に5V印加時の応答時間を測定したところ、立ち上がり時間(τr)と立ち下がり時間(τd)の和は29m秒であった。また、この素子の70℃における電圧保持率(HR)を測定したところ、88%であった。同様の条件で測定した非極性の母体液晶(M)のHRが90%であったので、この値は充分に高いものと判断できる。
【0068】
(実施例10)表示素子の作成(2)
実施例8で得られた(M−3)を用いて同様にしてVA表示素子を作成し、その電気光学特性(25℃)を測定したところ、閾値電圧(Vth)は2.8Vでありより低電圧駆動が可能であることが確認できた。また、5V印加時の応答時間(立ち上がり時間(τr)と立ち下がり時間(τd)の和)は32m秒であった。さらに70℃における電圧保持率(HR)87%と充分高いものであった。
【0069】
【発明の効果】
本発明の液晶化合物の組み合わせによって、絶対値の大きい負の誘電率異方性と広いネマチック温度範囲を有し、かつ好適な屈折率異方性を有する液晶組成物が得られた。この組成物を用いることにより、高温域まで高い電圧保持率を維持できる信頼性に優れた液晶表示素子が提供され、このディスプレイはVA方式やECB方式、IPS方式等の、特にVA方式のアクティブマトリックス駆動液晶ディスプレイとして非常に実用的である。

Claims (12)

  1. 一般式(1)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表される化合物を1種もしくは2種以上含有し、一般式(5)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基又はアルケニル基を表し、Rは炭素原子数1〜12の直鎖状アルキル基、アルケニル基、アルコキシル基又はアルケニルオキシ基を表し、m6は0又は1を表し、Ml及びMmはそれぞれ独立的に単結合、−COO−又は−CHCH−を表し、環Gはトランス−1,4−シクロヘキシレン基又は1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物の1種もしくは2種以上を含有し、誘電率異方性が−3以下であることを特徴とする液晶組成物。
  2. 一般式(2)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数1〜7のアルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシル基又はアルケニルオキシ基を表し、m1は0又は1を表し、Ma及びMbはそれぞれ独立的に単結合、−CHCH−、−OCF−、−CFO−、又は−COO−を表し、Bはトランス−1,4−シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素により置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物を1種もしくは2以上含有する請求項1記載の液晶組成物。
  3. 一般式(3a)、一般式(3b)、一般式(4a)及び一般式(4b)
    Figure 2004352931
    (式中、R、R、R及びRは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表し、R、R、及びRは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基、アルコキシル基又はアルケニルオキシ基を表し、Rは炭素原子数1〜7の直鎖状アルキル基を表し、m2、m3、m4及びm5は0又は1を表し、Mc及びMd、Me及びMf、Mh及びMi、Mj及びMkはそれぞれ独立的に単結合、−CHCH−、−OCF−、−CFO−又は−COO−を表し、C、D、E及びFはトランス−1,4−シクロヘキシレン基あるいは1〜2個のフッ素により置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表す。ただし、(4a)において、m4が0の場合、Miは単結合でないか、あるいはEは1〜2個のフッ素により置換されていてもよい1,4−フェニレン基を表す。)で表される化合物群から選ばれる1種もしくは2種以上を含有する請求項1又は2記載の液晶組成物。
  4. 一般式(2)で表される化合物を1種もしくは2種以上含有し、一般式(3a)、(3b)、(4a)又は(4b)で表される化合物群から選ばれる1種もしくは2種以上を含有する請求項3記載の液晶組成物。
  5. ネマチック相上限温度(TN−I)が70℃以上であり、ネマチック相下限温度(T−N)が−20℃以下であり、化合物(1)の含有量が1〜50質量%の範囲である請求項1〜4の何れかに記載の液晶組成物。
  6. 一般式(1)で表される化合物
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数2〜7の直鎖状アルキル基を表し、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)
  7. 一般式(1)で表される化合物の製造方法であって、一般式(6)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表されるテトラヒドロナフトール誘導体を塩基存在下にアルコラートとし、これを一般式(7)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表し、Xは塩素、臭素、ヨウ素のハロゲン原子、あるいはp−トルエンスルホニル基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基の脱離基を表す。)で表される化合物と反応させることを特徴とする製造方法。
  8. 一般式(1)で表される化合物の製造方法であって、一般式(8)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表されるトリフルオロテトラヒドロナフタレン誘導体に、塩基存在下に一般式(9)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数2〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表されるアルコールと反応させることを特徴とする製造方法。
  9. 一般式(8)
    Figure 2004352931
    (式中、Rは炭素原子数1〜5の直鎖状アルキル基を表す。)で表される化合物
  10. 請求項1〜5記載の液晶組成物を使用した液晶表示素子。
  11. アクティブマトリックス駆動される請求項10記載の液晶表示素子。
  12. VAモードで表示される請求項11記載の液晶表示素子。
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