[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2004352807A - 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2004352807A
JP2004352807A JP2003150385A JP2003150385A JP2004352807A JP 2004352807 A JP2004352807 A JP 2004352807A JP 2003150385 A JP2003150385 A JP 2003150385A JP 2003150385 A JP2003150385 A JP 2003150385A JP 2004352807 A JP2004352807 A JP 2004352807A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
flame
polycarbonate resin
bis
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003150385A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshimasa Tokuda
俊正 徳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2003150385A priority Critical patent/JP2004352807A/ja
Publication of JP2004352807A publication Critical patent/JP2004352807A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】耐熱性、難燃性、耐金型汚染性にも優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、95〜5モル%が下記一般式[1]
【化1】
Figure 2004352807

[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
で表されるジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物に、一般式[2]
【化2】
Figure 2004352807

[式中、R〜Rは1価の芳香族基または脂肪族基、Xは2価の芳香族基、nは1〜15を示す]で表される縮合リン酸エステルをポリカーボネート組成物に対して0.1〜20重量%配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。さらに詳しくは特定のリン酸エステル系難燃剤を配合した耐熱性の良好な、成形時揮発分が少なく金型汚れのない難燃性ポリカーボネート樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビスフェノールAにカーボネート前駆物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されている。特に透明性に優れることから光学材料としての用途も多く、自動車ランプレンズ、照明グローブ、各種光学レンズ、クレージング用途等に使用されている。また、近年液晶ディスプレーの液晶基板用フィルムや位相差フィルム用途にも使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は自己消火性ではあるが、より難燃性が必要とされる用途には、従来よりハロゲン化合物、リン化合物、スルホン酸金属塩などの難燃剤を配合した難燃組成物が使われてきた。ハロゲン化合物の添加は燃焼時の有毒ガスの問題や金型腐食の問題から、近年ではノンハロゲン化が望まれている。リン酸エステル系の難燃剤には、モノマータイプでは揮発性、金型汚染性の問題があり、この改善がなされてきた(例えば特許文献1〜4参照)。しかしながら、未だ十分ではない。
【0003】
また、殊に熱源に近い位置で用いられる光学部品や液晶ディスプレーに用いるフィルムでは配向膜形成プロセスや電極形成プロセス等で180℃以上の高温処理を必要とするため、通常のビスフェノールAからのポリカーボネート樹脂ではその耐熱性が不足するという問題がある。
【0004】
ポリカーボネート樹脂の耐熱性を向上するためには、一般的に嵩高い動きにくい構造を有するビスフェノール類を用いる方法があり、種々のポリカーボネートが提案されている。中でも、特定のフルオレン構造を有するポリカーボネート樹脂が提案されている(例えば特許文献5,6参照)。しかしながら、これらの構造を有するポリカーボネート樹脂は耐熱性に優れるものの難燃性が十分ではなく、電気・電子部品用途に用いる場合には問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−304943号公報
【特許文献2】
特開平8−12811号公報
【特許文献3】
特開平8−253666号公報
【特許文献4】
特開平8−325449号公報
【特許文献5】
特開平11−174424号公報
【特許文献6】
特開平8−134198号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、難燃性に優れ、揮発性も少なく、耐金型汚染性にも優れた耐熱性の良好な難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
本発明者はこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の二価フェノールを使用することにより得られた芳香族ポリカーボネート共重合体を主成分とする組成物に特定の有機リン系難燃剤を配合することによって、耐熱性の良好な、優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、95〜5モル%が下記一般式[1]
【0009】
【化3】
Figure 2004352807
【0010】
[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲンであり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
で表されるジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物に、一般式[2]
【0011】
【化4】
Figure 2004352807
【0012】
[式中、R〜Rは1価の芳香族基または脂肪族基、Xは2価の芳香族基、nは1〜15を示す]で表される縮合リン酸エステルをポリカーボネート組成物に対して0.1〜20重量%配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。
【0013】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を構成する芳香族ポリカーボネート共重合体は、それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分として、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%、好ましくは10〜95モル%、さらに好ましくは30〜85モル%である。5モル%未満の場合、本発明の目的である耐熱用材料として不満足な性質となり好ましくない。
【0014】
前記9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、その10gをエタノール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下であり、さらに好ましくは5.0以下である。b値が上記範囲内であれば、得られるポリカーボネート共重合体から形成されるフィルムは色相および耐侯性に優れ、また、フィルム強度が高く、延伸フィルム特性が良好となり好ましい。
【0015】
通常、この9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンはo−クレゾールとフルオレノンの反応によって得られる。前記特定のb値を有する9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、特定の処理を行い不純物を除去することによって得ることができる。具体的には、o−クレゾールとフルオレノンの反応後に、未反応のo−クレゾールを留去した後、残さをアルコール系、ケトン系またはベンゼン誘導体系の溶媒に溶解し、これに活性白土または活性炭を加えてろ過後、ろ液から結晶化した生成物をろ過して精製された9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンを得ることができる。除去される不純物としては、2,4′−ジヒドロキシ体、2,2′−ジヒドロキシ体および構造不明の不純物等である。かかる精製に用いるアルコール系の溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、ケトン系の溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等の低級脂肪族ケトン類およびこれらの混合物が好ましく、ベンゼン誘導体系の溶媒としてはトルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合物が好ましい。溶媒の使用量はフルオレン化合物が十分に溶解する量であれば足り、通常フルオレン化合物に対して2〜10倍量程度である。活性白土としては市販されている粉末状または粒状のシリカ−アルミナを主成分とするものが用いられる。また、活性炭としては市販されている粉末状または粒状のものが用いられる。
【0016】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を構成する芳香族ポリカーボネート共重合体において用いられる前記一般式[1]で示される他のジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでもビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールMが好ましく、特にビスフェノールAが好ましい。
【0017】
該芳香族ポリカーボネート共重合体はそのポリマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度が0.2〜1.2の範囲が好ましく、0.25〜1.0の範囲がより好ましく、0.27〜0.80の範囲がさらに好ましい。比粘度が上記範囲内であれば成形品、殊にフィルムの強度が十分強く、溶融粘度および溶液粘度が適当で、取り扱いが容易であり好ましい。
【0018】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を構成する芳香族ポリカーボネート共重合体は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0019】
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0020】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。
【0021】
また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0022】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を構成する芳香族ポリカーボネート共重合体は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート共重合体は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
【0023】
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0024】
【化5】
Figure 2004352807
【0025】
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
【0026】
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0027】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基或いは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いて芳香族ポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易となるばかりでなく、物性も改良される。特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、好ましく使用される。これらは下記一般式[I−a]〜[I−h]で表される。
【0028】
【化6】
Figure 2004352807
【0029】
【化7】
Figure 2004352807
【0030】
【化8】
Figure 2004352807
【0031】
【化9】
Figure 2004352807
【0032】
【化10】
Figure 2004352807
【0033】
【化11】
Figure 2004352807
【0034】
【化12】
Figure 2004352807
【0035】
【化13】
Figure 2004352807
【0036】
[前記一般式[I−a]〜[I−h]中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Tは単結合または上記Xと同様の結合を示し、nは10〜50の整数を示す。
Qはハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示し、pは0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Wは水素原子、−CO−R17、−CO−O−R18またはR19である、ここでR17、R18およびR19は、それぞれ炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。
aは4〜20、好ましくは5〜10の整数を示し、mは1〜100、好ましくは3〜60、特に好ましくは4〜50の整数を示し、Zは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Wは水素原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。]
【0037】
これらのうち好ましいのは、[I−a]および[I−b]の置換フェノール類である。この[I−a]の置換フェノール類としては、nが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては、例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。
【0038】
また、[I−b]の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては、例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0039】
前記一般式[I−a]〜[I−g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸クロライドにおいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ましく、その両者の混合物が好ましい。
【0040】
前記単官能フェノール類は、得られた芳香族ポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また単官能フェノール類は単独でもしくは2種以上混合して使用してもよい。
【0041】
また、本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが、全芳香族ヒドロキシ成分の60モル%以上である場合は、樹脂の流動性が低下することがあり、そのため前記一般式[I−a]〜[I−g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸クロライド類を末端停止剤として使用することが好ましい。
【0042】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また少量の3官能化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。
【0043】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を構成する芳香族ポリカーボネート共重合体は、そのガラス転移点が160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。
【0044】
本発明で難燃剤として用いられる縮合リン酸エステルは、前記一般式[2]で示されるものである。好ましくはR〜Rが芳香環でXがフェニレンプロピリデンフェニレン残基のものである。かかるビスフェノールAジフェニルエーテル系縮合リン酸エステルはリン含量が高いため難燃性が良好であり、揮発性もなく、金型汚染性もない。また耐加水分解性も良好であるため、それを含む樹脂も長期の品質保持性にも優れる。nは1〜15、好ましくは1〜5である。また、これらは異なる2種以上の縮合リン酸エステルを混合して用いてもよい。これらの縮合リン酸エステルは全組成物重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは1〜15重量%、より好ましくは3〜10重量%配合される。
【0045】
さらに、難燃性を高めるために、補助難燃剤として炭素原子数6〜30の芳香族スルホン酸塩又は炭素原子数3〜30のフッ素置換してもよい脂肪族スルホン酸塩又は炭素原子数8〜30の脂肪族硫酸エステル塩を配合しても良い。これらの補助難燃剤は全組成物重量に対して0.001〜1重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.03〜0.1重量%配合される。
【0046】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、燃焼時のドリップを防止するためにドリップ防止剤を含むことが好ましい。中でもフィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーが好ましく、テトラフルオロエチレン系ポリマーが好ましい。その混合割合は、全組成物重量に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%である。
【0047】
本発明では、ブルーイング剤を用いてもよく、かかるブルーイング剤としては、例えばバイエル(株)製のマクロレックスバイオレット、三菱化学(株)製のダイアレジンバイオレット、ダイアレジンブルー、サンド(株)製のテラゾールブルー等が挙げられ、最も好適なものとしてマクロレックスバイオレットが挙げられる。これらのブルーイング剤は好ましくは0.1〜3ppm、より好ましくは0.3〜1.5ppm、最も好ましくは0.3〜1.2ppmの濃度で芳香族ポリカーボネート樹脂中に配合される。
【0048】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には必要に応じて、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。かかるリン化合物の配合量は、該組成物に対して0.0001〜0.05重量%が好ましく、0.0005〜0.02重量%がより好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好ましい。このリン化合物を配合することにより、該組成物の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
【0049】
かかるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合物であり、好ましくは下記一般式
【0050】
【化14】
Figure 2004352807
【0051】
【化15】
Figure 2004352807
【0052】
【化16】
Figure 2004352807
【0053】
【化17】
Figure 2004352807
【0054】
[式中、R〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどの炭素数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネチルなどの炭素数7〜18のアラルキル基を表し、また1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成していてもよい。]
よりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物である。
【0055】
上記(1)式で示されるリン化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0056】
上記(2)式で示されるリン化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられ、上記(3)式で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトなどが挙げられ、また上記(4)式で示される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
【0057】
これらのリン化合物のなかで、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトが好ましく使用される。
【0058】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は該組成物に対して0.0001〜0.05重量%である。
【0059】
さらに本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、必要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。
【0060】
かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。また、かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートなどが挙げられ、なかでもステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。
【0061】
かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.01〜2重量%が好ましく、0.015〜0.5重量%がより好ましく、0.02〜0.2重量%がさらに好ましい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、また離型剤がマイグレートし金属表面に付着することもなく好ましい。
【0062】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物には、さらにUV吸収剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、充填剤などの添加剤や他のポリカーボネート樹脂、他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加することもできる。
【0063】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば前記芳香族ポリカーボネート樹脂に各種添加剤を加え、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて十分に混合した後、場合により押出造粒機やブリケッティングマシーン等により造粒を行い、その後ベント式2軸ルーダーに代表される溶融混練機で押し出しペレット化する方法が挙げられる。また、各成分をそれぞれ独立にベント式2軸押出機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。また、添加剤のマスターバッチを作製した後混合する方法も用いられる。
【0064】
本発明の縮合リン酸エステルは、縮合度によっては液状または水飴状となる。従って押出機への供給に液注または液添装置を使用する方法が採用される。そのため、本発明で使用される押出機は、押出方向に対して、上流側と下流側に2つ以上の原料供給口を持つものが好ましく、その場合、縮合リン酸エステルの添加は、最も下流側の原料供給口から供給することが熱履歴を少なくする点で好ましい。また、かかる縮合リン酸エステルの添加は、押出機のバレルに設けたフィード口から、ギアポンプ等の公知の液体運搬装置で押出機内の吐出圧以上の圧力で供給する。その際粘度を下げるために通常50〜100℃に加熱する。100℃以上では長期間には、該リン酸エステルの揮発、劣化、分解を引き起こす場合があるので好ましくない。
【0065】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形品を得る方法としては、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が用いられ、フィルムやシートを製造する方法としては、厚みの均一性に優れ、ゲル、ブツ、フィッシュアイ、スクラッチ等の光学欠点の生じない方法が好ましく、例えば溶剤キャスト法、溶融押出し法、カレンダー法等が挙げられる。
【0066】
かかる方法により製造された成形品は各種グレージング用途、自動車ランプレンズ、ランプカバー、光学レンズ、OHPシート、銘板、表示灯等に用いられる。またかかる方法により製造されたフィルムはフラットパネルディスプレイ基板用途としてプラセル基板や位相差フィルムとして好適に用いられる。プラセル基板は未延伸で用いるが位相差フィルムとして用いるためには、最適な複屈折特性を有するよう少なくとも一軸方向に延伸配向して位相差フィルムにする。
【0067】
一軸延伸方法としてはテンター法による横一軸延伸、ロール間による縦一軸延伸、ロール間圧延法等の任意の方法を用いることができる。延伸温度は用いる樹脂のガラス転移温度をTgとして、Tg−50℃以上、Tg+20℃以下が好ましく、Tg−30℃以上、Tg+10℃以下がより好ましい。かかる範囲の温度で延伸することにより、ポリマー分子の運動が凍結されることなく均一配向が容易になり好ましく、また、ポリマーの分子運動が適度であり、延伸による配向の緩和が起り難く、所望した配向度が得られ易く配向抑制が容易になり好ましい。
【0068】
また、延伸倍率は目的とするフィルムのリターデーションの大きさに応じて適宜選択すればよい。この値は、延伸温度、膜厚にも依存する。一般に厚膜では延伸倍率は小さくともよく、薄膜では大きくとる必要が有る。STN型液晶ディスプレーに用いる位相差板のリターデーションの値は、一般には400〜650nmの範囲が用いられる。更にリターデーションの振れ幅は10%以下が好ましく、5%以下が特に好ましい。リターデーションの振れ幅が大きくなりすぎると色補償の偏差が生じ、色むらになりやすい。
【0069】
位相差フィルムはバリヤー層およびインジウム、酸化スズをターゲットとした液晶用透明電極を形成した後、偏向板に積層して複合偏向板として好ましく用いられる。この複合偏向板は、通常の偏向板の光学軸と位相差フィルムの光学軸を40〜50度の範囲で単層または複層張り合わせることにより形成できる。この複合偏向板は耐熱耐久性に優れ、リターデーションの経時変化が少ない等の優れた特徴を有する。
【0070】
また、延伸フィルム特性の一つにフィルム面内方向の屈折率nxとnyの平均値と厚み方向の屈折率nzの差の絶対値とフィルム厚みt(nm)の積で規定されるK値=|(nx+ny)/2−nz|×tがあり、K値が大きくなると液晶表示素子として用いた場合に表示が浮いて見える等視野角が狭くなるため、この値は120nm以下に押さえるのが好ましい。
【0071】
また、液晶セルの片面または両面に偏向板を配置した液晶表示パネルは、視面側の偏向板と液晶セルの間に前記位相差フィルムを配することにより、液晶の複屈折による着色を解消した白黒表示の液晶表示パネルを形成することができ、更に白黒表示用液晶パネルにカラーマスクを被せRGBの3色を発色させることによりフルカラーの液晶表示パネルを形成することができる。
【0072】
本発明の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物から形成されたフィルムは、フィルム強度に優れ、耐熱性、色相も良好であり、例えばかかる芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を塩化メチレン、ジオキソラン、トルエン、ジオキサン等の有機溶媒に溶解し、キャスティングフィルムを成形して、このフィルムの両面にガスバリヤー膜、耐溶剤膜を付けたり、透明導電膜や偏光板と共に液晶基板用フィルム(プラセル基板)または位相差フィルム等の液晶ディスプレー用フィルムとして好適に用いられ、具体的には、ポケベル、携帯電話、ハンディーターミナル、種々の表示素子等に有利に使用することができる。
【0073】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
(1)比粘度:ポリマー0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し20℃の温度で測定した。
(2)ガラス転移点(Tg):デュポン社製910型DSCにより測定した。
(3)モノマー溶液のb値:試料10gを50mlのエタノールに溶解し光路長30mmの試料管にて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。
(4)難燃性:UL94Vに準拠して厚み1.6mmにおける燃焼試験を実施した。
(5)金型汚染性:ファナック(株)製T−150D射出成形機を用いて縦100mm×横150mm×高さ15mmの箱型成形品を、射出圧力800kg/cmでほぼ良好な成形品が得られるシリンダー温度および金型温度70℃で連続成形し、100ショット毎に金型表面の付着物の有無を確認し、付着物が発生したショット数をカウントした。
(6)耐熱性:180±1℃に温度調節された熱風循環式オーブンに上記箱型成形品を入れ、24時間放置後の成形品に変形が見られるか否かを目視チェックした。変形があった場合は×、変形がない場合は○とした。
【0074】
[合成例1]
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水24623部、48%水酸化ナトリウム水溶液4153部を入れ、エタノール溶液でのb値が3.0の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“ビスクレゾールフルオレン”と略称することがある)1936.9部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“ビスフェノールA”と略称することがある)2726部およびハイドロサルファイト8部を溶解した後、塩化メチレン18188部を加えた後撹拌下15〜25℃でホスゲン1994部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール102.5部を塩化メチレン330部に溶解した溶液および48%水酸化ナトリウム水溶液692.1部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.8部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、塩化メチレン相を濃縮、脱水してポリカーボネート濃度が20%の溶液を得た。この溶液から溶媒を除去して得たポリカーボネートはビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとの構成単位の比がモル比で30:70であった(ポリマー収率97%)。またこのポリマーの比粘度は0.337、Tgは190℃であった。このポリマーをポリカーボネートAとする。
【0075】
[合成例2]
合成例1のビスクレゾールフルオレンの使用量を3171.4部、ビスフェノールAの使用量を1913部とする以外は合成例1と同様にしてビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAの比がモル比で50:50であるポリマー5300部(収率96%)を得た。このポリマーの比粘度は0.320、Tgは205℃であった。このポリマーをポリカーボネートBとする。
【0076】
[合成例3]
合成例1と同様の装置にイオン交換水35315部、48%水酸化ナトリウム3920部を入れ、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールMと略称)2954.9部、ビスクレゾールフルオレン3228.1部およびハイドロサルファイト14部を溶解した後、塩化メチレン12775部を加え、攪拌下15〜20℃でホスゲン1946部を45分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール108.5部と48%水酸化ナトリウム水溶液710.5部を加え乳化後、トリエチルアミン4.55部を加えて、28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。このものを実施例1と同様に処理してビスフェノールMとビスクレゾールフルオレン構成単位のモル比が50:50であるポリマーを得た(収率98%)。このものの比粘度は0.250、Tgは180℃であった。このポリマーをポリカーボネートCとする。
【0077】
[合成例4]
合成例1のビスクレゾールフルオレンを使用せず、ビスフェノールAを3894.2部用いた以外は、合成例1と同様にして、ビスフェノールAホモポリカーボネートを得た(収率99%)。このものの比粘度は0.365、Tgは148℃であった。このポリマーをポリカーボネートDとする。
【0078】
[実施例1]
合成例1で得たポリカーボネートA100部に、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト0.05部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.01部、ペンタエリスリトールテトラステアレート0.03部加えて、ベント付き2軸押出機の第1供給口に定量供給機にて供給した。一方縮合リン酸エステル(大八化学工業(株)製「CR−741」)は80℃に加熱した状態で液注装置(富士テクノ工業(株)製HYM−JS−08)を用いてシリンダー途中の第3供給口(第2供給口とベント排気口との間に位置)から、それぞれ所定の割合になるよう押出機に定量供給した。シリンダー温度270〜300℃でペレット化した後、JSW(株)製N−20C射出成形機を用いてUL94Vの厚み1.6mmの試験片に射出成形し、UL94Vに準拠して評価した。また、金型汚染性も評価した。結果を表1.に示す。
【0079】
[実施例2]
実施例1のポリカーボネートをポリカーボネートBとした以外は実施例1と同様にして試験片を得、同様にテストした結果を表1.に示す。
【0080】
[実施例3]
実施例1のポリカーボネートをポリカーボネートCとした以外は実施例1と同様にしてテストした結果を表1.に示す。
【0081】
[実施例4]
実施例1のポリカーボネートAにポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製F201L)を0.3部加えた以外は実施例1と同様にしてテストをした結果を表1.に示す。
【0082】
[比較例1]
実施例1の縮合リン酸エステルをトリフェニルホスフェート(大八化学(株)製TPP)に変えた以外は実施例1と同様の方法でテストをした結果を表1.に示す。
【0083】
[比較例2]
実施例2の縮合リン酸エステルを上記トリフェニルホスフェートとした以外は実施例2と同様の方法でテストをした結果を表1.に示す。
【0084】
[比較例3]
実施例1のポリカーボネートをポリカーボネートDとした以外は実施例1と同様の方法でテストをした結果を表1.に示す。
【0085】
【表1】
Figure 2004352807
【0086】
【発明の効果】
本発明の耐熱性の良好な、耐金型汚染性にも優れた難燃性ポリカーボネート樹脂組成物は、耐熱性の要求される電気・電子用途、光学用途の各種成形品、シート、フィルム等に好適に用いられる。

Claims (8)

  1. 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、95〜5モル%が下記一般式[1]
    Figure 2004352807
    [式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
    で表されるジヒドロキシ成分からなるポリカーボネート共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂組成物に、一般式[2]
    Figure 2004352807
    [式中、R〜Rは1価の芳香族基または脂肪族基、Xは2価の芳香族基、nは1〜15を示す]で表される縮合リン酸エステルをポリカーボネート組成物に対して0.1〜20重量%配合してなる難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 炭素原子数6〜30の芳香族スルホン酸塩又は炭素原子数3〜30のフッ素置換してもよい脂肪族スルホン酸塩又は炭素原子数8〜30の脂肪族硫酸エステル塩をポリカーボネート組成物に対して0.001〜1重量%含有してなる請求項1記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 前記9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、その10gをエタノール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が6.0以下である請求項1記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  4. 一般式[1]で表される化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び/又はα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソブロピルベンゼンである請求項1記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物より成る成形品。
  6. 成形品がレンズ、レンズバレル、プリズムなどのリフローハンダ付け部品、ピックアップレンズ、カメラレンズ、マイクロアレーレンズ、プロジェクターレンズ、プリズムなどの光路変換部品または電子部品の搬送トレイである請求項5記載の成形品。
  7. 請求項1〜4いずれかに記載の難燃性ポリカーボネート樹脂組成物より成るフィルム・シート。
  8. フィルム・シートが位相差フィルム、プラセル基板、光ディスクの保護フィルム、導光板または拡散板である請求項7記載のフィルム・シート。
JP2003150385A 2003-05-28 2003-05-28 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 Pending JP2004352807A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003150385A JP2004352807A (ja) 2003-05-28 2003-05-28 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003150385A JP2004352807A (ja) 2003-05-28 2003-05-28 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004352807A true JP2004352807A (ja) 2004-12-16

Family

ID=34046199

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003150385A Pending JP2004352807A (ja) 2003-05-28 2003-05-28 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004352807A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010520361A (ja) * 2007-03-07 2010-06-10 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 難燃性ポリカーボネート組成物
JP2018080300A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 帝人株式会社 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010520361A (ja) * 2007-03-07 2010-06-10 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 難燃性ポリカーボネート組成物
JP2018080300A (ja) * 2016-11-18 2018-05-24 帝人株式会社 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4739571B2 (ja) 延伸フィルム
WO2004044033A1 (ja) ポリカーボネート共重合体、樹脂組成物および成形品
JPH1135815A (ja) ポリカーボネート組成物
JP4086530B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
WO2020166408A1 (ja) ポリカーボネート系樹脂組成物または共重合体、および光学フィルム
JP2005082713A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂
JP5226173B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂
JP2004352807A (ja) 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2005232252A (ja) 改質ポリカーボネート樹脂
JP4383811B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体
JP3584207B2 (ja) ポリカーボネート共重合体
JP2003183378A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂およびそれからの成形品
JP3643555B2 (ja) ポリカーボネート共重合体
JP3638837B2 (ja) ポリカーボネート樹脂フィルム
JP2005119124A (ja) ポリカーボネート共重合体の射出成形法およびそれにより成形される成形品
JP3561195B2 (ja) ポリカーボネート共重合体
JP4369208B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2005015505A (ja) 高屈折、耐熱性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP3681604B2 (ja) ポリカーボネート共重合体
JP2005060628A (ja) リフロー耐性に優れたポリカーボネート樹脂
JP2005015545A (ja) 添加剤マスターおよびそれを使用した耐熱性ポリカーボネート樹脂組成物
JP2005018993A (ja) 高屈折性導光板
JP2005003959A (ja) 耐熱性、高剛性光拡散板
JP2004330541A (ja) 耐熱性、耐光性構成体
JP5547617B2 (ja) 光学フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20060222

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Effective date: 20081128

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081202

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090428