JP2004342686A - 多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法 - Google Patents
多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004342686A JP2004342686A JP2003134729A JP2003134729A JP2004342686A JP 2004342686 A JP2004342686 A JP 2004342686A JP 2003134729 A JP2003134729 A JP 2003134729A JP 2003134729 A JP2003134729 A JP 2003134729A JP 2004342686 A JP2004342686 A JP 2004342686A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- thermal expansion
- low thermal
- base material
- metal layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Production Of Multi-Layered Print Wiring Board (AREA)
Abstract
【課題】ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、十分な熱膨張抑制効果が得られる多層配線板を提供すること。
【解決手段】回路用導体層23と、絶縁性基材層22と、低熱膨張金属層21による3層積層材の回路用導体層23に回路パターン24を形成し、低熱膨張金属層21にビアホール27より大きい口径の下穴25を形成する。低熱膨張金属層21の表面に接着材層26を設け、絶縁性基材層22と低熱膨張金属層21と接着材層26とを貫通するビアホール27を形成し、ビアホール27に層間導通を行う導電性材料29を充填する。
【選択図】 図3
【解決手段】回路用導体層23と、絶縁性基材層22と、低熱膨張金属層21による3層積層材の回路用導体層23に回路パターン24を形成し、低熱膨張金属層21にビアホール27より大きい口径の下穴25を形成する。低熱膨張金属層21の表面に接着材層26を設け、絶縁性基材層22と低熱膨張金属層21と接着材層26とを貫通するビアホール27を形成し、ビアホール27に層間導通を行う導電性材料29を充填する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法に関し、特に、2層以上の配線層を有する配線板やパッケージ基板として用いられる多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のプリント回路の微細化は、フォトリソグラフィの高精度化や、回路材料の薄膜化など、製造プロセスや材料の進歩に支えられ急速に進んできた。
【0003】
プリント回路の狭ピッチ化は、従来、ワイヤボンディング技術とリードフレームを用いたパッケージによって半導体(Siチップ)のI/0を、プリント回路に合わせて拡張していたDIP(Dual ln‐line Package)方式やQFP(Quad Flat Package)方式から、Siチップを直接プリント基坂上に接合するフリップチップボンディング方式への発展を可能にしてきている。フリップチップボンディング方式の採用により、実装密度を著しく高めることができると共に、伝送路で発生する損失を解消し、Siチップそのものの性能を損ねることなくSiチップを基板上で動作させることが可能になる。
【0004】
これらの技術は、COB(Chip on Board)、COF(Chipon Flexible Board、またはChip on Flex)と呼ばれ、携帯電子機器や薄型を要求される平面ディスプレイなどに採用されている。
【0005】
COB、COF技術には、SiチップのI/0パッドを直接プリント基板上の電極に接続する方法と、チップを非電極部で基坂上に接着し、両者の電極同士をワイヤポンディングで接続する方法とがある。
【0006】
接続による損失を最小限に抑えるためには、前者の技術が有利である。Siの熱膨張係数は、一般的なプリント基板に用いられているポリイミドやエポキシ樹脂の熱膨張係数に比べ極めて小さいため、チップの発熱や環境温度の変化に伴って接続部分に両者の熱膨張差に相当する歪が発生する。この歪は、チップサイズが拡大するほど大きくなるので、本接続技術を採用できるチップのサイズに制約が生じ、リードフレームやワイヤボンディングに比べ電気的接続の信頼性が劣る問題があった。
【0007】
このような問題に対処するため、プリント基板の熱膨張をSiに近づけるよう、材料や構造に対する改良が試みられている。特に、プリント基板の絶縁層中に、低い熱膨張係数を持った材料を埋め込んで基板全体での熱膨張を抑制する構造のものは、埋め込む材料の選択によって広範囲に熱膨張係数を制御できる点で有望である。この埋込式のものには、低熱膨張率の金属箔(メタルコア)を絶縁樹脂中に埋め込むもの(たとえば、非特許文献1)、低熱膨張樹脂を絶縁樹脂中に埋め込むもの(たとえば、非特許文献2)がある。
【0008】
メタルコア方式(従来例1)の多層基板用基材の製造プロセスを図4(a)〜(d)を参照して説明する。
【0009】
図4(a)に示されているように、まず、低熱膨張金属箔(メタルコア)101単体のスルーホール対応位置に下穴(開口)102を加工し、穴加工された低熱膨張金属箔101の両側に各々絶縁樹脂103を挟んで銅箔104をプレスし、図4(b)に示されているような、表裏両面に導体(銅箔104)を有する積層基材100を得る。
【0010】
次に、図4(c)に示されているように、積層基材100を貫通するスルーホール(貫通孔)105を加工し、スルーホール105の穴内壁にめっきして層間導通部106を形成し(図4(d)参照)、図4(e)に示されているように、両面の銅箔104をエッチングして回路(ランドパターン107)を作製する。
【0011】
この技術をビアオンビアが可能なIVH基板に適用すると、図5(a)〜(e)に示されているような製造プロセスが想定される。
【0012】
図5(a)に示されているように、まず、低熱膨張金属箔201単体のスルーホール対応位置に下穴(開口)202を加工し、穴加工した低熱膨張金属箔201の一方の面には絶縁樹脂203を挟んで銅箔204を、他方の面には絶縁樹脂203のみをラミネートし、図5(b)に示されているような積層基材200を得る。
【0013】
次に、図5(c)に示されているように、積層基材200の樹脂部のみを除去した非貫通のビアホール205を開口し、開口したビアホール205に導電性ペースト206を充填する(図5(d)参照)。そして、図5(e)に示されているように、銅箔204をエッチングして回路(ランドパターン207)を作製する。
【0014】
低熱膨張樹脂挟み込み方式(従来例2)の多層基板用基材の製造プロセスを図7(a)〜(f)を参照して説明する。
【0015】
図7(a)に示されているように、低熱膨張樹脂フィルム301の両側に各々絶縁樹脂302を挟んで、図7(b)に示されているような、樹脂3層ラミネート体300を得る。樹脂の場合、非導電であるから、低熱膨張樹脂部分においてビアを回避する必要がないから、低熱膨張樹脂フィルム301にパターニングせずに積層する。
【0016】
つぎに、図7(c)に示されているように、レーザを用いて低熱膨張樹脂フィルム301と基材樹脂(絶縁樹脂302)にビアホール303を一括開口する。そして、樹脂3層ラミネート体300の一方の面に銅箔304を貼り付け(図7(d)参照)、その後に、図7(e)に示されているように、ビアホール303に導電性ペースト305を充填する。そして、図7(f)に示されているように、銅箔304をエッチングして回路(ランドパターン306)を作製する。
【0017】
【非特許文献1】
「低熱膨張性多層基板の開発」 Nitto TechnicaI Report Vol.36,No.1 1998年5月
【非特許文献2】
「一括積層基坂技術と高速多層基板技術」 長野県工科短大公開技術講演会 最新の高性能多層基板技術 2002.7.24 テキスト15頁
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
メタルコア方式(図5)の多層基板用基材では、予めパターンニングした(下穴202をあけた)低熱膨張金属箔201を使用するため、低熱膨張金属箔201のパターンと銅箔204のパターンの整合精度を高めることに限界があり、銅箔204による回路位置(ランドパターン)を基準に加工されるビアの微細化に制約が生じる。
【0019】
この理由は、パターン加工後に、積層基材200が曝される加熱や加圧などのプロセスにおける変形により、低熱膨張金属箔201のパターンが加工直後の寸法(位置)精度を維持できないことによる。さらに、低熱膨張金属箔201は、プレス時に表裏から軟化した樹脂に挟まれるため、その平坦性を維持することが難しい。
【0020】
図6は、ビア径をdv、低熱膨張金属箔20の下穴202の開口径をdlとした場合のアライメントずれの様子を示す。このずれδを考慮してビア(導電性ペースト206)と低熱膨張金属箔201とが導通しないよう、ビア径dvに対して低熱膨張金属箔20の開口径dlを広げると、ビアの高密度化に伴って一つの積層基材における低熱膨張金属箔201の占有面積が減少し、十分な熱膨張抑制効果が得られなくなる。このため、ビアの高密度化に制約が生じる。したがってアライメント精度を高め、開口径dlをdビア径dvに近づける必要がある。
【0021】
低熱膨張樹脂挟み込み方式(図7)の多層基板用基材では、低熱膨張樹脂フィルム301にビアよりひとまわり大きい口径の開口(下穴)を加工する必要がないため、ビア密度の高い部分でも十分な熱膨張抑制効果が得られる。低熱膨張樹脂としては、ポリアミド樹脂が有力であるが、しかし、融点が高く、レーザ加工性が絶縁基材として適用できる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂と大きく異なるため、ビアがスムーズに形成されない問題がある。
【0022】
図8はその典型的な例を示す。ビアホール303は、表面付近の開口径daに比べて低熱膨張樹脂フィルム部分の開口303Aがくびれて径が小さくなっている。このように、加工性の異なる材料では、スムーズなビアの形成が難しいため、ビアの微細化に制約が生じる。特に、ビア径が小さくなると、上記の問題が顕在化するため、ビアの精細化に制約があった。
【0023】
この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、メタルコア方式の多層基板用基材において、高いアライメント精度を確保でき、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、十分な熱膨張抑制効果が得られる多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による多層基板用基材は、絶縁性基材層と、前記絶縁性基材層の一方の面に設けられた回路用導体層と、前記絶縁性基材層の他方の面に設けられた低熱膨張金属層を有する3層積層材の前記回路用導体層に回路パターンが形成され、前記3層積層材の前記低熱膨張金属層にビアホールより大きい口径の下穴が形成され、前記低熱膨張金属層の表面に接着材層が設けられ、前記絶縁性基材層と前記低熱膨張金属層と前記接着材層とを貫通するビアホールが形成され、前記ビアホールに層間導通を行う導電性材料が設けられている。
【0025】
この発明による多層基板用基材では、回路用導体層と、絶縁性基材層と、低熱膨張金属層による3層積層材の状態で、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴の双方が形成されているから、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴とでアライメント誤差が生じることがなく、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、下穴、ビアの微細化が可能になる。
【0026】
この発明による多層基板用基材は、前記回路用導体層として銅箔を、前記絶縁性基材層としてポリイミドフィルムを、前記低熱膨張金属層として、Fe−Ni、Mo、Ta、Ti、Zr、Wを主成分とする金属を、前記接着材層として熱可塑性ポリイミドを用いることができる。
【0027】
また、この発明による多層基板用基材は、前記絶縁性基材層および前記接着材層に熱可塑性樹脂を用い、前記絶縁性基材層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度を、前記接着材層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高いものとする。
【0028】
また、この発明による多層基板用基材は、前記熱可墾性樹脂として、液晶ポリマを使用することができる。
【0029】
この発明による多層配線板は、上述の発明による多層基板用基材を少なくとも1層に用いており、十分な熱膨張抑制効果を有する多層基板が得られる。
【0030】
この発明による多層基板用基材の製造方法は、絶縁性基材層の一方の面に回路用金属層を、他方の面に低熱膨張金属層を有する3層積層板を出発材料とし、前記3層積層板の前記回路用金属層に信号回路を、前記低熱膨張金属層にビアホールより大きい口径の下穴を形成する工程と、前記低熱膨張金属層の側に接着材層を形成する工程と、前記接着材層側からビアホールを開口する工程と、開口した前記ビアホールに導電性材料を設ける工程とを含む。
【0031】
この発明による多層基板用基材の製造方法によれば、絶縁性基材層の一方の面に回路用金属層を、他方の面に低熱膨張金属層を有する3層積層板を出発材料とし、この出発材料の回路用金属層に信号回路を、低熱膨張金属層に下穴を形成するから、信号回路の回路パターンと低熱膨張金属層の下穴とでアライメント誤差が生じることがなく、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、下穴、ビアの微細化が可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1はこの発明による多層基板用基材の一つの実施の形態を示している。
【0033】
本実施形態の多層基板用基材10は、絶縁性基材層11と、絶縁性基材層111の一方の面に設けられた回路用導体層12と、絶縁性基材層11の他方の面に設けられた低熱膨張金属層13を有する3層積層材の回路用導体層12に回路パターンが形成され、3層積層材の低熱膨張金属層13のビアホール対応位置にビアホール14より大きい口径の下穴15が形成されている。
【0034】
そして、低熱膨張金属層13の表面に接着材層16が設けられ、絶縁性基材層11と低熱膨張金属層13と接着材層16とを貫通するビアホール14が形成され、ビアホール14に層間導通を行う導電性ペースト17が充填されている。
【0035】
この多層基板用基材10は、回路用導体層12と低熱膨張金属層13とが同一基材(絶縁性基材層11)の表裏に当初から形成されているため、両者のパターンを精度よく一致させることができ、回路の精細化に適している。
【0036】
絶縁性基材層11は、ポリイミドなどの高耐熱樹脂を使用することにより、接着工程において接着材が流動しても、回路用導体層12と低熱膨張金属層13の位置精度(アライメント、間隔)は維持される。
【0037】
また、接着材層16にもボリイミド系の材料を用いることにより、絶縁性基材層11との加工性を一致させてスムーズなビアを形成することができ、ビアの微細化にも対応することが可能となる。
【0038】
本多層基板用基材10を単位として貼り合わせ多層化することにより、図2に示されているように、熱膨張率を任意に制御可能で、かつ微細な回路を有する多層板を容易に得ることができる。
【0039】
多層基板用基材10は、絶縁性基材層11と接着材層16との間に低熱膨張金属層13を挟み、基材全体の熱膨張率を低下させることを狙っており、低熱膨張金属材の材料選定と、その厚さを選択することにより、基材全体の熱膨張率を任意に制御することが可能である。
【0040】
また、低熱膨張材の代わりに、高熱膨張材を挟むことにより、基材全体の熱膨張率を高め、配線板に実装される種々の部品に対して広範囲に整合させることもできる。
【0041】
つぎに、本発明による多層配線板の製造プロセスを図3(a)〜(i)を参照して説明する。
【0042】
多層基板用基材の出発材となる3層積層材は次のようにして作製される。まず、45wt%Fe‐Ni合金箔に、ポリアミック酸からなるポリイミドの前駆体を塗布、焼成し、図3(a)に示されているような、低熱膨張金属層をなすFe‐Ni合金層21と絶縁性基材層をなすポリイミドフィルム22による2層構造フィルムを作製する。
【0043】
この2層構造フィルムのポリイミドフィルム22上に、NiおよびCuを順次スバッタし、このスバッタ膜を電極(シード層)として銅を電気めっきした。これにより、図3(b)に示されているように、ポリイミドフィルム22のFe‐Ni合金層21の側とは反対の面に銅箔層23が形成される。
【0044】
以上は、一般的な銅張り積層基材(CCL:Copper Clad Lamination)の製造方法と同じであり、最初の工程はキャスト法、後の工程はメタライズ法と呼ばれることもある。
【0045】
この製造法では、低膨張金属材の選択肢が広く、Ni−Feに、Mnと炭素を添加した合金「インバー」や、低熱膨張金属であるMo、Ta、Ti、Zr、Wなどを用いることができる。熱膨張率が特に低いことや、エッチング加工技術が確立していることから、Fe・Ni系合金が有効である。
【0046】
Fe−Ni合金は、めっき膜の形成も工業的に広く行われていることから、前述の方法以外にも、ポリイミドフィルム22の表裏面に、Fe‐NiとCuをめっきして3層積層材を作製することもできる。この場合、めっき厚の増減により、基材全体の熱膨張率を変化させることができる。
【0047】
絶縁基材層として、ボリイミドフィルム22の代わりに、液晶ポリマなど、加熱により接着性を示す熱可塾性フィルムを用いることもできる。この場合、予め用意した銅箔と低熱膨張金属箔とで熱可墾性フィルムを挟んで熱圧着することにより3層積層材を作製できる。
【0048】
図3(c)に示されているように、すでに作製されている3層積層材の銅箔層23をエッチングして信号回路24を形成し、Fe‐Ni合金層21をエッチングしてビアとの絶縁隔離を確保するための開口部(下穴)25をビアより一回り大きく形成した。従って、信号回路24と開口部25とをアライメント誤差なく形成できる。こうすることにより、隣接層間の回路を接続するビアがFe−Ni合金層21に接触しないように同層を貫通させることができる。
【0049】
つぎに、図3(d)に示されているように、Fe−Ni合金層21側に接着材層となる熱可塑性ボリイミドフィルム26を貼付した。接着材は、フィルム状のものに限られるものではなく、ワニス状の材料を塗布することによっても形成できる。
【0050】
接着材として、ポリイミド以外の熱可塑性材料を適用することもできる。それらの候補として、PEEK(Poly Ether Ether Keton)や、PEI(Poly Ether Imide)、液晶ポリマなどがあげられる。
【0051】
特に、液晶ポリマは、高周波信号領域での伝送損失が小さいことから注目されている材料である。本発明の4層(銅箔層/絶縁層/Fe‐Ni合金層/接着材層)基材の絶縁基材層と接着層の両方を液晶ポリマで構成し、接着層に用いる材料のガラス転移温度を絶縁層のそれより低くなるよう材料を選定することも、本発明に有効に利用できる。
【0052】
つぎに、図3(e)に示されているように、銅箔層/絶縁層(ポリイミドフィルム22)/Fe‐Ni合金層/接着層の4層材に対して接着材層側からレーザを照射してビアホール27を開口した。
【0053】
ビア部において、絶縁層(ポリイミドフィルム22)と接着材層(熱可塑性ボリイミドフィルム26)に挟まれているFe・Ni合金層21には予め開口部25がエッチングされているので、両樹脂層(絶縁層と接着材層)は容易に除去され、表層の銅箔(信号回路24)に達するビアホール27を形成できる。
【0054】
必要に応じて表層銅箔の一部を貫通させてビアへの導電性材料の充填性を改良することも可能である。本実施形態でも、銅箔層に小径の穴28を開口している。
【0055】
つぎに、図3(f)に示されているように、開口したビアホール27に接着層側から導電性材料29を印刷・充填した。本実施形態例では、導電性材料29として、エポキシ樹脂中に金属粉を分散させたポリマ型ペーストを用いた。本発明には、樹脂をバインダとする導電性材料に加え、はんだなどの低融点金属やナノ粒子を充填することにより、より強固な接続を得る技術も適用可能である。
【0056】
上述したように、充填した導電性材料29により、基材は、Fe‐Ni合金層21に接触することなく表裏を電気的に接続するビアを有する多層基板用基材30を構成する。
【0057】
図3(g)、(h)に示されているように、同様の方法で作製した複数枚(3枚)の多層配線用基材30と最下層用の銅箔31とを積層し、ホットプレス等によって熱圧着し、接着層(熱可塑性ポリイミドフィルム26)を軟化させて層間接合を行う。最後に、図3(i)に示されているように、最下層の銅箔31をエッチングすることによって表層の回路32を形成してIVH多層配線板を完成する。
【0058】
これにより、メタルコア方式の多層基板用基材を用いたIVH多層配線板において、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、十分な熱膨張抑制効果が得られる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明による多層基板用基材は、回路用導体層と、絶縁性基材層と、低熱膨張金属層による3層積層材の状態で、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴の双方が形成されているから、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴とでアライメント誤差が生じることがなく、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、下穴、ビアの微細化が可能になり、併せて十分な熱膨張抑制効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による多層基板用基材の一つの実施形態を示す断面図である。
【図2】この発明による多層配線板の一つの実施形態を示す断面図である。
【図3】(a)〜(i)は、一つの実施形態による多層基板用基材および多層配線板の製造プロセスを示す図である。
【図4】(a)〜(e)は、従来例1の多層基板用基材の製造プロセスを示す図である。
【図5】(a)〜(e)は、従来例1のIVH多層配線板用基材の製造プロセスを示す図である。
【図6】従来例1におけるアライメントずれを示す図である。
【図7】(a)〜(f)は、従来例2の多層基板用基材の製造プロセスを示す図である。
【図8】従来例2におけるビア形状不良を示す図である。
【符号の説明】
10 多層基板用基材
11 絶縁性基材層
12 回路用導体層
13 低熱膨張金属層
14 ビアホール
15 下穴
16 接着材層
17 導電性ペースト
21 Fe‐Ni合金層
22 ポリイミドフィルム
23 銅箔層
24 信号回路
25 開口部(下穴)
26 熱可塑性ボリイミドフィルム
27 ビアホール
28 穴28
29 導電性材料
30 多層配線用基材
31 銅箔
32 回路
【発明の属する技術分野】
この発明は、多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法に関し、特に、2層以上の配線層を有する配線板やパッケージ基板として用いられる多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年のプリント回路の微細化は、フォトリソグラフィの高精度化や、回路材料の薄膜化など、製造プロセスや材料の進歩に支えられ急速に進んできた。
【0003】
プリント回路の狭ピッチ化は、従来、ワイヤボンディング技術とリードフレームを用いたパッケージによって半導体(Siチップ)のI/0を、プリント回路に合わせて拡張していたDIP(Dual ln‐line Package)方式やQFP(Quad Flat Package)方式から、Siチップを直接プリント基坂上に接合するフリップチップボンディング方式への発展を可能にしてきている。フリップチップボンディング方式の採用により、実装密度を著しく高めることができると共に、伝送路で発生する損失を解消し、Siチップそのものの性能を損ねることなくSiチップを基板上で動作させることが可能になる。
【0004】
これらの技術は、COB(Chip on Board)、COF(Chipon Flexible Board、またはChip on Flex)と呼ばれ、携帯電子機器や薄型を要求される平面ディスプレイなどに採用されている。
【0005】
COB、COF技術には、SiチップのI/0パッドを直接プリント基板上の電極に接続する方法と、チップを非電極部で基坂上に接着し、両者の電極同士をワイヤポンディングで接続する方法とがある。
【0006】
接続による損失を最小限に抑えるためには、前者の技術が有利である。Siの熱膨張係数は、一般的なプリント基板に用いられているポリイミドやエポキシ樹脂の熱膨張係数に比べ極めて小さいため、チップの発熱や環境温度の変化に伴って接続部分に両者の熱膨張差に相当する歪が発生する。この歪は、チップサイズが拡大するほど大きくなるので、本接続技術を採用できるチップのサイズに制約が生じ、リードフレームやワイヤボンディングに比べ電気的接続の信頼性が劣る問題があった。
【0007】
このような問題に対処するため、プリント基板の熱膨張をSiに近づけるよう、材料や構造に対する改良が試みられている。特に、プリント基板の絶縁層中に、低い熱膨張係数を持った材料を埋め込んで基板全体での熱膨張を抑制する構造のものは、埋め込む材料の選択によって広範囲に熱膨張係数を制御できる点で有望である。この埋込式のものには、低熱膨張率の金属箔(メタルコア)を絶縁樹脂中に埋め込むもの(たとえば、非特許文献1)、低熱膨張樹脂を絶縁樹脂中に埋め込むもの(たとえば、非特許文献2)がある。
【0008】
メタルコア方式(従来例1)の多層基板用基材の製造プロセスを図4(a)〜(d)を参照して説明する。
【0009】
図4(a)に示されているように、まず、低熱膨張金属箔(メタルコア)101単体のスルーホール対応位置に下穴(開口)102を加工し、穴加工された低熱膨張金属箔101の両側に各々絶縁樹脂103を挟んで銅箔104をプレスし、図4(b)に示されているような、表裏両面に導体(銅箔104)を有する積層基材100を得る。
【0010】
次に、図4(c)に示されているように、積層基材100を貫通するスルーホール(貫通孔)105を加工し、スルーホール105の穴内壁にめっきして層間導通部106を形成し(図4(d)参照)、図4(e)に示されているように、両面の銅箔104をエッチングして回路(ランドパターン107)を作製する。
【0011】
この技術をビアオンビアが可能なIVH基板に適用すると、図5(a)〜(e)に示されているような製造プロセスが想定される。
【0012】
図5(a)に示されているように、まず、低熱膨張金属箔201単体のスルーホール対応位置に下穴(開口)202を加工し、穴加工した低熱膨張金属箔201の一方の面には絶縁樹脂203を挟んで銅箔204を、他方の面には絶縁樹脂203のみをラミネートし、図5(b)に示されているような積層基材200を得る。
【0013】
次に、図5(c)に示されているように、積層基材200の樹脂部のみを除去した非貫通のビアホール205を開口し、開口したビアホール205に導電性ペースト206を充填する(図5(d)参照)。そして、図5(e)に示されているように、銅箔204をエッチングして回路(ランドパターン207)を作製する。
【0014】
低熱膨張樹脂挟み込み方式(従来例2)の多層基板用基材の製造プロセスを図7(a)〜(f)を参照して説明する。
【0015】
図7(a)に示されているように、低熱膨張樹脂フィルム301の両側に各々絶縁樹脂302を挟んで、図7(b)に示されているような、樹脂3層ラミネート体300を得る。樹脂の場合、非導電であるから、低熱膨張樹脂部分においてビアを回避する必要がないから、低熱膨張樹脂フィルム301にパターニングせずに積層する。
【0016】
つぎに、図7(c)に示されているように、レーザを用いて低熱膨張樹脂フィルム301と基材樹脂(絶縁樹脂302)にビアホール303を一括開口する。そして、樹脂3層ラミネート体300の一方の面に銅箔304を貼り付け(図7(d)参照)、その後に、図7(e)に示されているように、ビアホール303に導電性ペースト305を充填する。そして、図7(f)に示されているように、銅箔304をエッチングして回路(ランドパターン306)を作製する。
【0017】
【非特許文献1】
「低熱膨張性多層基板の開発」 Nitto TechnicaI Report Vol.36,No.1 1998年5月
【非特許文献2】
「一括積層基坂技術と高速多層基板技術」 長野県工科短大公開技術講演会 最新の高性能多層基板技術 2002.7.24 テキスト15頁
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
メタルコア方式(図5)の多層基板用基材では、予めパターンニングした(下穴202をあけた)低熱膨張金属箔201を使用するため、低熱膨張金属箔201のパターンと銅箔204のパターンの整合精度を高めることに限界があり、銅箔204による回路位置(ランドパターン)を基準に加工されるビアの微細化に制約が生じる。
【0019】
この理由は、パターン加工後に、積層基材200が曝される加熱や加圧などのプロセスにおける変形により、低熱膨張金属箔201のパターンが加工直後の寸法(位置)精度を維持できないことによる。さらに、低熱膨張金属箔201は、プレス時に表裏から軟化した樹脂に挟まれるため、その平坦性を維持することが難しい。
【0020】
図6は、ビア径をdv、低熱膨張金属箔20の下穴202の開口径をdlとした場合のアライメントずれの様子を示す。このずれδを考慮してビア(導電性ペースト206)と低熱膨張金属箔201とが導通しないよう、ビア径dvに対して低熱膨張金属箔20の開口径dlを広げると、ビアの高密度化に伴って一つの積層基材における低熱膨張金属箔201の占有面積が減少し、十分な熱膨張抑制効果が得られなくなる。このため、ビアの高密度化に制約が生じる。したがってアライメント精度を高め、開口径dlをdビア径dvに近づける必要がある。
【0021】
低熱膨張樹脂挟み込み方式(図7)の多層基板用基材では、低熱膨張樹脂フィルム301にビアよりひとまわり大きい口径の開口(下穴)を加工する必要がないため、ビア密度の高い部分でも十分な熱膨張抑制効果が得られる。低熱膨張樹脂としては、ポリアミド樹脂が有力であるが、しかし、融点が高く、レーザ加工性が絶縁基材として適用できる熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂と大きく異なるため、ビアがスムーズに形成されない問題がある。
【0022】
図8はその典型的な例を示す。ビアホール303は、表面付近の開口径daに比べて低熱膨張樹脂フィルム部分の開口303Aがくびれて径が小さくなっている。このように、加工性の異なる材料では、スムーズなビアの形成が難しいため、ビアの微細化に制約が生じる。特に、ビア径が小さくなると、上記の問題が顕在化するため、ビアの精細化に制約があった。
【0023】
この発明は、上述の如き問題点を解消するためになされたもので、メタルコア方式の多層基板用基材において、高いアライメント精度を確保でき、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、十分な熱膨張抑制効果が得られる多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法を提供することを目的としている。
【0024】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明による多層基板用基材は、絶縁性基材層と、前記絶縁性基材層の一方の面に設けられた回路用導体層と、前記絶縁性基材層の他方の面に設けられた低熱膨張金属層を有する3層積層材の前記回路用導体層に回路パターンが形成され、前記3層積層材の前記低熱膨張金属層にビアホールより大きい口径の下穴が形成され、前記低熱膨張金属層の表面に接着材層が設けられ、前記絶縁性基材層と前記低熱膨張金属層と前記接着材層とを貫通するビアホールが形成され、前記ビアホールに層間導通を行う導電性材料が設けられている。
【0025】
この発明による多層基板用基材では、回路用導体層と、絶縁性基材層と、低熱膨張金属層による3層積層材の状態で、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴の双方が形成されているから、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴とでアライメント誤差が生じることがなく、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、下穴、ビアの微細化が可能になる。
【0026】
この発明による多層基板用基材は、前記回路用導体層として銅箔を、前記絶縁性基材層としてポリイミドフィルムを、前記低熱膨張金属層として、Fe−Ni、Mo、Ta、Ti、Zr、Wを主成分とする金属を、前記接着材層として熱可塑性ポリイミドを用いることができる。
【0027】
また、この発明による多層基板用基材は、前記絶縁性基材層および前記接着材層に熱可塑性樹脂を用い、前記絶縁性基材層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度を、前記接着材層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高いものとする。
【0028】
また、この発明による多層基板用基材は、前記熱可墾性樹脂として、液晶ポリマを使用することができる。
【0029】
この発明による多層配線板は、上述の発明による多層基板用基材を少なくとも1層に用いており、十分な熱膨張抑制効果を有する多層基板が得られる。
【0030】
この発明による多層基板用基材の製造方法は、絶縁性基材層の一方の面に回路用金属層を、他方の面に低熱膨張金属層を有する3層積層板を出発材料とし、前記3層積層板の前記回路用金属層に信号回路を、前記低熱膨張金属層にビアホールより大きい口径の下穴を形成する工程と、前記低熱膨張金属層の側に接着材層を形成する工程と、前記接着材層側からビアホールを開口する工程と、開口した前記ビアホールに導電性材料を設ける工程とを含む。
【0031】
この発明による多層基板用基材の製造方法によれば、絶縁性基材層の一方の面に回路用金属層を、他方の面に低熱膨張金属層を有する3層積層板を出発材料とし、この出発材料の回路用金属層に信号回路を、低熱膨張金属層に下穴を形成するから、信号回路の回路パターンと低熱膨張金属層の下穴とでアライメント誤差が生じることがなく、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、下穴、ビアの微細化が可能になる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1はこの発明による多層基板用基材の一つの実施の形態を示している。
【0033】
本実施形態の多層基板用基材10は、絶縁性基材層11と、絶縁性基材層111の一方の面に設けられた回路用導体層12と、絶縁性基材層11の他方の面に設けられた低熱膨張金属層13を有する3層積層材の回路用導体層12に回路パターンが形成され、3層積層材の低熱膨張金属層13のビアホール対応位置にビアホール14より大きい口径の下穴15が形成されている。
【0034】
そして、低熱膨張金属層13の表面に接着材層16が設けられ、絶縁性基材層11と低熱膨張金属層13と接着材層16とを貫通するビアホール14が形成され、ビアホール14に層間導通を行う導電性ペースト17が充填されている。
【0035】
この多層基板用基材10は、回路用導体層12と低熱膨張金属層13とが同一基材(絶縁性基材層11)の表裏に当初から形成されているため、両者のパターンを精度よく一致させることができ、回路の精細化に適している。
【0036】
絶縁性基材層11は、ポリイミドなどの高耐熱樹脂を使用することにより、接着工程において接着材が流動しても、回路用導体層12と低熱膨張金属層13の位置精度(アライメント、間隔)は維持される。
【0037】
また、接着材層16にもボリイミド系の材料を用いることにより、絶縁性基材層11との加工性を一致させてスムーズなビアを形成することができ、ビアの微細化にも対応することが可能となる。
【0038】
本多層基板用基材10を単位として貼り合わせ多層化することにより、図2に示されているように、熱膨張率を任意に制御可能で、かつ微細な回路を有する多層板を容易に得ることができる。
【0039】
多層基板用基材10は、絶縁性基材層11と接着材層16との間に低熱膨張金属層13を挟み、基材全体の熱膨張率を低下させることを狙っており、低熱膨張金属材の材料選定と、その厚さを選択することにより、基材全体の熱膨張率を任意に制御することが可能である。
【0040】
また、低熱膨張材の代わりに、高熱膨張材を挟むことにより、基材全体の熱膨張率を高め、配線板に実装される種々の部品に対して広範囲に整合させることもできる。
【0041】
つぎに、本発明による多層配線板の製造プロセスを図3(a)〜(i)を参照して説明する。
【0042】
多層基板用基材の出発材となる3層積層材は次のようにして作製される。まず、45wt%Fe‐Ni合金箔に、ポリアミック酸からなるポリイミドの前駆体を塗布、焼成し、図3(a)に示されているような、低熱膨張金属層をなすFe‐Ni合金層21と絶縁性基材層をなすポリイミドフィルム22による2層構造フィルムを作製する。
【0043】
この2層構造フィルムのポリイミドフィルム22上に、NiおよびCuを順次スバッタし、このスバッタ膜を電極(シード層)として銅を電気めっきした。これにより、図3(b)に示されているように、ポリイミドフィルム22のFe‐Ni合金層21の側とは反対の面に銅箔層23が形成される。
【0044】
以上は、一般的な銅張り積層基材(CCL:Copper Clad Lamination)の製造方法と同じであり、最初の工程はキャスト法、後の工程はメタライズ法と呼ばれることもある。
【0045】
この製造法では、低膨張金属材の選択肢が広く、Ni−Feに、Mnと炭素を添加した合金「インバー」や、低熱膨張金属であるMo、Ta、Ti、Zr、Wなどを用いることができる。熱膨張率が特に低いことや、エッチング加工技術が確立していることから、Fe・Ni系合金が有効である。
【0046】
Fe−Ni合金は、めっき膜の形成も工業的に広く行われていることから、前述の方法以外にも、ポリイミドフィルム22の表裏面に、Fe‐NiとCuをめっきして3層積層材を作製することもできる。この場合、めっき厚の増減により、基材全体の熱膨張率を変化させることができる。
【0047】
絶縁基材層として、ボリイミドフィルム22の代わりに、液晶ポリマなど、加熱により接着性を示す熱可塾性フィルムを用いることもできる。この場合、予め用意した銅箔と低熱膨張金属箔とで熱可墾性フィルムを挟んで熱圧着することにより3層積層材を作製できる。
【0048】
図3(c)に示されているように、すでに作製されている3層積層材の銅箔層23をエッチングして信号回路24を形成し、Fe‐Ni合金層21をエッチングしてビアとの絶縁隔離を確保するための開口部(下穴)25をビアより一回り大きく形成した。従って、信号回路24と開口部25とをアライメント誤差なく形成できる。こうすることにより、隣接層間の回路を接続するビアがFe−Ni合金層21に接触しないように同層を貫通させることができる。
【0049】
つぎに、図3(d)に示されているように、Fe−Ni合金層21側に接着材層となる熱可塑性ボリイミドフィルム26を貼付した。接着材は、フィルム状のものに限られるものではなく、ワニス状の材料を塗布することによっても形成できる。
【0050】
接着材として、ポリイミド以外の熱可塑性材料を適用することもできる。それらの候補として、PEEK(Poly Ether Ether Keton)や、PEI(Poly Ether Imide)、液晶ポリマなどがあげられる。
【0051】
特に、液晶ポリマは、高周波信号領域での伝送損失が小さいことから注目されている材料である。本発明の4層(銅箔層/絶縁層/Fe‐Ni合金層/接着材層)基材の絶縁基材層と接着層の両方を液晶ポリマで構成し、接着層に用いる材料のガラス転移温度を絶縁層のそれより低くなるよう材料を選定することも、本発明に有効に利用できる。
【0052】
つぎに、図3(e)に示されているように、銅箔層/絶縁層(ポリイミドフィルム22)/Fe‐Ni合金層/接着層の4層材に対して接着材層側からレーザを照射してビアホール27を開口した。
【0053】
ビア部において、絶縁層(ポリイミドフィルム22)と接着材層(熱可塑性ボリイミドフィルム26)に挟まれているFe・Ni合金層21には予め開口部25がエッチングされているので、両樹脂層(絶縁層と接着材層)は容易に除去され、表層の銅箔(信号回路24)に達するビアホール27を形成できる。
【0054】
必要に応じて表層銅箔の一部を貫通させてビアへの導電性材料の充填性を改良することも可能である。本実施形態でも、銅箔層に小径の穴28を開口している。
【0055】
つぎに、図3(f)に示されているように、開口したビアホール27に接着層側から導電性材料29を印刷・充填した。本実施形態例では、導電性材料29として、エポキシ樹脂中に金属粉を分散させたポリマ型ペーストを用いた。本発明には、樹脂をバインダとする導電性材料に加え、はんだなどの低融点金属やナノ粒子を充填することにより、より強固な接続を得る技術も適用可能である。
【0056】
上述したように、充填した導電性材料29により、基材は、Fe‐Ni合金層21に接触することなく表裏を電気的に接続するビアを有する多層基板用基材30を構成する。
【0057】
図3(g)、(h)に示されているように、同様の方法で作製した複数枚(3枚)の多層配線用基材30と最下層用の銅箔31とを積層し、ホットプレス等によって熱圧着し、接着層(熱可塑性ポリイミドフィルム26)を軟化させて層間接合を行う。最後に、図3(i)に示されているように、最下層の銅箔31をエッチングすることによって表層の回路32を形成してIVH多層配線板を完成する。
【0058】
これにより、メタルコア方式の多層基板用基材を用いたIVH多層配線板において、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、十分な熱膨張抑制効果が得られる。
【0059】
【発明の効果】
以上の説明から理解される如く、この発明による多層基板用基材は、回路用導体層と、絶縁性基材層と、低熱膨張金属層による3層積層材の状態で、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴の双方が形成されているから、回路パターンと低熱膨張金属層の下穴とでアライメント誤差が生じることがなく、低熱膨張金属層の開口径をビア径に近づけることができ、ビアの高密度化、精細化に制約を生じることがなく、下穴、ビアの微細化が可能になり、併せて十分な熱膨張抑制効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による多層基板用基材の一つの実施形態を示す断面図である。
【図2】この発明による多層配線板の一つの実施形態を示す断面図である。
【図3】(a)〜(i)は、一つの実施形態による多層基板用基材および多層配線板の製造プロセスを示す図である。
【図4】(a)〜(e)は、従来例1の多層基板用基材の製造プロセスを示す図である。
【図5】(a)〜(e)は、従来例1のIVH多層配線板用基材の製造プロセスを示す図である。
【図6】従来例1におけるアライメントずれを示す図である。
【図7】(a)〜(f)は、従来例2の多層基板用基材の製造プロセスを示す図である。
【図8】従来例2におけるビア形状不良を示す図である。
【符号の説明】
10 多層基板用基材
11 絶縁性基材層
12 回路用導体層
13 低熱膨張金属層
14 ビアホール
15 下穴
16 接着材層
17 導電性ペースト
21 Fe‐Ni合金層
22 ポリイミドフィルム
23 銅箔層
24 信号回路
25 開口部(下穴)
26 熱可塑性ボリイミドフィルム
27 ビアホール
28 穴28
29 導電性材料
30 多層配線用基材
31 銅箔
32 回路
Claims (6)
- 絶縁性基材層と、前記絶縁性基材層の一方の面に設けられた回路用導体層と、前記絶縁性基材層の他方の面に設けられた低熱膨張金属層を有する3層積層材の前記回路用導体層に回路パターンが形成され、前記3層積層材の前記低熱膨張金属層にビアホールより大きい口径の下穴が形成され、前記低熱膨張金属層の表面に接着材層が設けられ、前記絶縁性基材層と前記低熱膨張金属層と前記接着材層とを貫通するビアホールが形成され、前記ビアホールに層間導通を行う導電性材料が設けられている多層基板用基材。
- 前記回路用導体層として銅箔を、前記絶縁性基材層としてポリイミドフィルムを、前記低熱膨張金属層として、Fe−Ni、Mo、Ta、Ti、Zr、Wを主成分とする金属を、前記接着材層として熱可塑性ポリイミドを用いた請求項1記載の多層基板用基材。
- 前記絶縁性基材層および前記接着材層に熱可塑性樹脂を用い、前記絶縁性基材層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度が、前記接着材層を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度より高い請求項1記載の多層基板用基材。
- 前記熱可墾性樹脂として液晶ポリマを使用した請求項3記載の多層基板用基材。
- 請求項1〜4の何れか1項記載の多層基板用基材を少なくとも1層に用いた多層配線板。
- 絶縁性基材層の一方の面に回路用金属層を、他方の面に低熱膨張金属層を有する3層積層板を出発材料とし、
前記3層積層板の前記回路用金属層に信号回路を、前記低熱膨張金属層にビアホールより大きい口径の下穴を形成する工程と、
前記低熱膨張金属層の側に接着材層を形成する工程と、
前記接着材層側からビアホールを開口する工程と、
開口した前記ビアホールに導電性材料を設ける工程と、
を含む多層基板用基材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003134729A JP2004342686A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003134729A JP2004342686A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004342686A true JP2004342686A (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=33525206
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003134729A Pending JP2004342686A (ja) | 2003-05-13 | 2003-05-13 | 多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004342686A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100761644B1 (ko) * | 2005-07-27 | 2007-09-27 | 주식회사 엘지화학 | 금속적층판 및 이의 제조방법 |
US7926175B2 (en) * | 2005-04-07 | 2011-04-19 | Fujikura Ltd. | Wiring board, multilayer wiring board, and method for manufacturing the same |
WO2014046014A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | 株式会社クラレ | 回路基板およびその製造方法 |
-
2003
- 2003-05-13 JP JP2003134729A patent/JP2004342686A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7926175B2 (en) * | 2005-04-07 | 2011-04-19 | Fujikura Ltd. | Wiring board, multilayer wiring board, and method for manufacturing the same |
KR100761644B1 (ko) * | 2005-07-27 | 2007-09-27 | 주식회사 엘지화학 | 금속적층판 및 이의 제조방법 |
WO2014046014A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2014-03-27 | 株式会社クラレ | 回路基板およびその製造方法 |
KR20150058352A (ko) * | 2012-09-20 | 2015-05-28 | 가부시키가이샤 구라레 | 회로 기판 및 그 제조 방법 |
JPWO2014046014A1 (ja) * | 2012-09-20 | 2016-08-18 | 株式会社クラレ | 回路基板およびその製造方法 |
US9439303B2 (en) | 2012-09-20 | 2016-09-06 | Kuraray Co., Ltd. | Circuit board and method for manufacturing same |
KR102082536B1 (ko) * | 2012-09-20 | 2020-02-27 | 주식회사 쿠라레 | 회로 기판 및 그 제조 방법 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4767269B2 (ja) | 印刷回路基板の製造方法 | |
JP4876272B2 (ja) | 印刷回路基板及びその製造方法 | |
JP6149920B2 (ja) | リジッドフレキシブル基板およびその製造方法 | |
KR101076061B1 (ko) | 3차원의 모든 유기체 배선 구조들을 제조하기 위한 방법 | |
JP3927955B2 (ja) | 層間電気接続が向上された多層印刷回路基板及びその作製方法 | |
US7926175B2 (en) | Wiring board, multilayer wiring board, and method for manufacturing the same | |
JP2005045013A (ja) | 回路モジュールとその製造方法 | |
JP2008060609A (ja) | 多層基板およびその製造方法 | |
JP4341588B2 (ja) | 多層基板及びその製造方法 | |
JP2000100987A (ja) | 半導体チップモジュール用多層回路基板およびその製造方法 | |
JP2004140018A (ja) | 多層基板の製造方法、多層基板、及びそれを用いたモバイル機器 | |
US7367116B2 (en) | Multi-layer printed circuit board, and method for fabricating the same | |
TW201637522A (zh) | 具有輪廓化導電層的印刷電路板及其製造方法 | |
JP2019021863A (ja) | 多層基板 | |
JP2008182039A (ja) | 多層配線板およびその製造方法 | |
JP2004342686A (ja) | 多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法 | |
JP4389756B2 (ja) | 多層フレキシブルプリント配線板の製造方法 | |
KR100734244B1 (ko) | 다층 인쇄회로기판 및 그 제조방법 | |
JP2014204088A (ja) | 多層配線基板およびその製造方法 | |
JPH11163522A (ja) | 多層配線基板およびその製造方法 | |
JP5836019B2 (ja) | 部品内蔵基板およびその製造方法 | |
JP2009010004A (ja) | 積層プリント基板とその製造方法 | |
JP2004327482A (ja) | 多層配線板、多層基板用基材およびその製造方法 | |
JP4786914B2 (ja) | 複合配線基板構造体 | |
KR100704927B1 (ko) | 페이스트 범프를 이용한 인쇄회로기판 및 그 제조방법 |