JP2004237488A - 粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、粘着シート及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】透明性に優れ、ラベル基材との接合性がよく、また、裁断性がよく切断刃に異物が付着することがなく、貼付が容易で、包装物の表示、注意喚起、宣伝等のラベルとして用いるに適した粘着シート、及び、その製造方法の提供。
【解決手段】一軸又は二軸に延伸された熱可塑性樹脂と、エチレン系樹脂とが積層された複合フィルムからなり、一面に印刷面を有し他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面に積層されて保護層を形成するための粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム。
【選択図】 図1
【解決手段】一軸又は二軸に延伸された熱可塑性樹脂と、エチレン系樹脂とが積層された複合フィルムからなり、一面に印刷面を有し他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面に積層されて保護層を形成するための粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、粘着シート及びその製造方法に関する。更に詳しくは、生産性に優れ、包装物の表示、注意喚起、宣伝等に用いるラベルに適した粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム及び粘着シート、並びに、該粘着シートを効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に印刷がされ、裏面に粘着剤層が形成された粘着シートは、対象物への貼付が容易で、添付作業を効率的に行なうことができるため、タックシートと称されて、包装物の表示、注意喚起、宣伝等に広く使用されるに至っている。
【0003】
これらの粘着シートは、図4に示すように、上面に印刷が施されたラベル基材2の裏面に粘着剤層3が形成され、通常、粘着剤層3の表面には離型紙4が貼付される。また、これら粘着シートには、表面光沢をよくし、汚染、損傷を防止して耐久性を得るために、表面に透明な熱可塑性樹脂フィルム5aがラミネートされて保護層5が形成されている。
【0004】
このような保護層5を形成する熱可塑性樹脂は、透明性が優れていることが重要となるが、同時に、ラベル基材2との接合性が重要となり、ラベル基材2との間に接合不良個所が発生すると、ボケと称される局部的な透視不良個所が発生し、鮮明さが損なわれ、美麗な粘着シートが得られなくなる問題がある。
【0005】
一方、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムは一軸、又は、二軸に延伸することによって、光沢、透明性、機械的強度が向上されることから、ラベル等のラミネートには延伸されて使用されている。しかし、延伸された熱可塑性樹脂フィルムは温度を上げると収縮が生じるために熱溶着によってラベル基材2に接合することができなくなる問題がある。
【0006】
このため、従来は、図4、図5に示すように、保護層5を形成するための延伸された熱可塑性樹脂フィルム5aの裏面に粘着剤6を塗布し、さらにその上に保護フィルム用離型紙7を添着したものを用意し、保護フィルム用離型紙7を剥しながら熱可塑性樹脂フィルム5aをラベル基材2に合わせた上で、ロール15、16によって圧力で接合することが行なわれている。
【0007】
しかし、感圧粘着剤を用いて保護層5を接合したラベル基材2は、次いで行なわれる裁断工程において障害が発生する問題がある。
【0008】
すなわち、粘着シートは、図5に示すように、ラベル基材2の表面に熱可塑性樹脂フィルム5aによる保護層5が形成された後、裁断刃17によって、所定の大きさ、形状に裁断される。この場合、ハーフカットと称される方法によって、離型紙4を残して、保護層5、ラベル基材2、及び、粘着剤層3を裁断して、離型紙4をラベル基材2の縁から外にはみ出すように形成することが多く、高度の裁断技術が要求される。
【0009】
しかるに、保護層5を粘着剤6によってラベル基材2に接合形成したものは、裁断工程を継続する間に粘着剤6が裁断刃17に付着するために、ラベル基材2との離れが悪くなって裁断線の位置ずれが生じたり、裁断不良を起こして裁断できなくなることが生じる。また、裁断不良を防ぐために裁断刃のストローク量を大きくすると今度は離型紙4までも切断する結果となる。さらに、粘着剤6が裁断刃に付着すると粘着剤が糸を引いて周囲のラベル基材2に付着する結果、商品価値を低下する等種々の問題が生じる。
【0010】
このため、従来は、1時間〜2時間毎に裁断刃の清掃を必要とし、生産工程の効率低下の大きな要因となっていた。
【0011】
このような理由から、透明性に優れ、ラベル基材との接合性がよく、また、裁断性がよく切断刃を汚すことのない熱可塑性樹脂フィルムを使用した粘着シートの開発が強く要請されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性に優れ、ラベル基材との接合性がよく、また、裁断性がよく切断刃に異物が付着することがなく、貼付が容易で、包装物の表示、注意喚起、宣伝等のラベルとして用いるに適した粘着シートの保護用熱可塑性樹脂フィルム、粘着シート、及び、その製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討をした結果なされたもので、具体的には、一軸又は二軸に延伸された熱可塑性樹脂と、エチレン系樹脂とが積層された複合フィルムからなり、一面に印刷面を有し他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面に積層されて保護層を形成するための粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又は、ポリアミドからなる上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、エチレン系樹脂が、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、エチレン系樹脂の融点が60〜90℃、密度が0.85〜0.96g/cm3、ヤング率が50〜15000Kg/cm2である上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、エチレン系樹脂がメタロセン触媒を用いて重合された重合体である上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムを提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、一面に印刷面を有し、該印刷面上に上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムが積層されて保護層が形成され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材からなることを特徴とする粘着シート、一面に印刷面を有し、該印刷面上に上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムが印刷面に直接接するように積層されて突き刺し強度が600g以下の保護層が形成され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材からなることを特徴とする粘着シート、粘着剤層に離型紙が貼付されてなる上記の粘着シート、及び、保護層、ラベル基材、及び、粘着剤層をハーフカット法によって切断することによって、離型紙がラベル基材の縁部よりはみ出るように裁断されてなる上記の粘着シートを提供するものである。
【0016】
さらに、また、本発明は、一面に印刷され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面上に、上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムを印刷面に直接接するように熱圧着することによって保護層を形成した後、所定の形状に裁断することを特徴とする粘着シートの製造方法、粘着剤層の表面に離型紙を貼付する上記の粘着シートの製造方法、及び、保護層を形成した後、保護層、ラベル基材、及び、粘着剤層をハーフカット法によって切断することによって、離型紙がラベル基材の縁部よりはみ出るように裁断する上記の粘着シートの製造方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明粘着シート1は、図1に示すように、一面に印刷されたラベル基材2の印刷面上に透明な熱可塑性樹脂フィルム5aが印刷面に直接接するように積層されて保護層5が形成され、他面に粘着剤層3が形成される。一般には、さらに粘着剤層3の表面に離型紙4が貼付される。
【0018】
なお、本発明において、熱可塑性樹脂フィルム5aが印刷面に直接接するように積層されるとは、熱可塑性樹脂フィルム5a以外の接着剤、粘着剤を使用することなく熱可塑性樹脂フィルム5aの作用を利用して印刷面に接合することを意味する。
【0019】
本発明粘着シート1を構成するラベル基材2の材料としては、特に制約はなく、印刷可能なものであれば広く使用することができるが、一般には、紙、ポリエステル、塩化ビニル、金属ホイル等が使用される。紙には、和紙、洋紙、上質紙、ミラコート紙、アート紙、ホイル紙等がある。
【0020】
保護層5を形成する熱可塑性樹脂フィルム5aとしては、図2に示すように、基層6を形成する熱可塑性樹脂に融点の低いエチレン系樹脂を接合層7として積層された複合フィルムが用いられる。
【0021】
基層6の材料としては、透明性に優れた熱可塑性樹脂が選択され、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。中でも、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸効果の大きい結晶性の熱可塑性樹脂、特にポリオレフィンが望ましい。
【0022】
これら基層6を形成する熱可塑性樹脂は、光沢、透明性、機械的強度を向上するために一軸、又は、二軸に延伸することが望ましい。延伸倍率としては、一軸延伸においては3〜8倍、好ましくは4〜7倍、二軸延伸においては面積が、5〜80倍、好ましくは8〜60倍とされる。特に、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが望ましい。
【0023】
接合層7としては、基層6を形成する樹脂との関係で融点の低いエチレン系樹脂が使用され、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を使用することが望ましく、中でも、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が望ましく、特にメタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、いわゆる線状低密度ポリエチレンが望ましい。
【0024】
エチレン系樹脂としては、融点が50〜90℃、好ましくは55〜80℃、より好ましくは60〜75℃のものが適し、融点が50℃より低いとブロッキングが生じ易く、取扱い性を欠くようになる。また、90℃を越えると基材との接着性が低下する。密度は、0.850〜0.960g/cm3、好ましくは0.855〜0.955g/cm3、より好ましくは0.860〜0.950g/cm3である。
【0025】
特に、メタロセン触媒を用いて重合したものが好ましく、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン系樹脂を用いることによってラベル基材2との接合を容易にすることができる。メタロセン触媒とは、少なくとも1つのジシクロペンタジエンを配位子として有するジルコニウム、ハフニウム、チタンを中心金属とする有機金属化合物を触媒成分とするα−オレフィンの重合触媒を指称する。
【0026】
これら熱可塑性樹脂には紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等を挙げることができる。
【0027】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールを挙げることができる。
【0028】
ベンゾエート系としては、2,4−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートを使用することができ、その他、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体を挙げることができる。
【0029】
上記の紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂に対して、0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.03〜0.3重量%添加される。紫外線吸収剤が0.01重量部未満では紫外線吸収効果が得られず、また、0.5重量%を越えると対費用効果が低下する他、着色等の問題が生じる。
【0030】
本発明に使用される熱可塑性樹脂フィルム5aには、目的に応じてその他の各種の添加剤を添加することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系などの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;可塑剤等が挙げられる。
【0031】
これら添加剤は、適宜組み合わせて材料組成物を製造する工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0032】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、基層6や接合層7の材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0033】
保護層5として使用される積層された熱可塑性樹脂フィルム5aを成形する手段としては種々の方法を採用することができ、予め基層6となる未延伸又は延伸フィルムと接合層7となるフィルムを形成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、基層6となる未延伸又は延伸フィルムの表面に接合層7となる熱可塑性樹脂をコーティングする方法、予め形成した基層6となる未延伸又は延伸フィルムに接合層7を押出ラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって積層フィルムとして押出成形した後、必要に応じて、一軸、又は、二軸に延伸するなどの公知の手段から適宜選択して用いればよい。
【0034】
保護層5は、突き刺し強度が600g以下、好ましくは500g以下、より好ましくは450g以下とすることが望ましい。600gを越えると裁断の速度を上げることが難しくなる。また、下限は特に限定されるものではないが、傷付き性を考慮すると50g以上が望ましい。
【0035】
なお、本発明において突き刺し強度とは、先端が直径0.5mmの突刺子を突刺速度300mm/minの速度で刺し込んだときの応力をgで表示したものである。
【0036】
また、保護層5は、ヤング率が50〜15000Kg/cm2、好ましくは100〜5000Kg/cm2、さらに好ましくは200〜1000Kg/cm2とされる。ヤング率が50Kg/cm2未満では切れ味が悪くなり、また、15000Kg/cm2を越えると透明性が悪くなる。
【0037】
このような熱可塑性樹脂フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂の基層6の厚さが8〜100μm、好ましくは12〜20μm、さらに好ましくは12〜15μmとされ、接合層7を8〜50μm、好ましくは10〜25μm、さらに好ましくは12〜15μmとされ、両者の合計を16〜150μm、好ましくは22〜45μm、さらに好ましくは24〜30μmとすることが望ましい。
【0038】
本発明において粘着剤層3を形成する粘着剤としては特に制限はなく、この種粘着シートとして用いられる粘着剤を広く用いることができる。
【0039】
これらの粘着剤の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、溶液型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、反応型粘着剤、光重合可能なモノマー型粘着剤等のいずれの形態であってもよい。
【0040】
好ましい例を挙げれば、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、これらの混合物をベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンのような有機溶剤に溶解したゴム系粘着剤、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体等の粘着付与剤を配合したもの;2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体等のガラス転移点が−20℃以下のアクリル系共重合体を有機溶剤で溶解したアクリル系粘着剤が使用できる。
【0041】
粘着剤の乾燥後の肉厚は、アクリル系粘着剤で10〜50μm、ゴム系粘着剤で80〜150μmが一般的である。ラベル基材2と粘着剤層4との間にはアンカーコート剤を介してもよい。
【0042】
アンカーコート剤としては、ポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリアルキレンエーテル、ポリエチレンイミン、アルキルチタネート等が使用でき、これらは一般に、メタノール、水、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン等の有機溶剤に溶解して使用される。
【0043】
基材へのアンカーコート剤の塗布量は乾燥した固型分量で0.01〜5g/m2、好ましくは0.05〜2g/m2である。
【0044】
粘着剤層3の表面には、通常、離型処理が施された離型紙4が貼付される。離型処理としては、必要により硬化反応を伴うシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキルグラフトポリマー系離型剤の塗布等が挙げられるが限定されるものではない。なお、目的に応じては、離型処理は粘着シート1の上面、すなわち、ロール状に巻き取ったときの粘着剤層3の表面が接触する面に行なうこともできる。
【0045】
本発明粘着シート1の製造方法としては、各種の手順で行なうことができるが、離型紙4が貼付された印刷のないラベル基材2と一軸又は二軸に延伸された熱可塑性樹脂フィルム5aをそれぞれ予め用意し、印刷デザインが決定されたあと、印刷と熱可塑性樹脂フィルム5aの貼付をインラインで行なわれるのが一般的である。以下に、製造方法を制限するものではないが、製造方法の一例を示す。
【0046】
ラベル基材2には粘着剤が塗布され乾燥することによって粘着剤層3が形成された後、離型紙4が貼付されてロール巻きに巻き取られる(図示せず)。こうして得られたラベル基材2を用いて粘着シート1を製造するときは、図3に示すように、離型紙4が貼付されたラベル基材2を巻き取りロール(図示せず)から繰出してテークアップロール18、メタリングロール19、印刷ロール20によって、インク溜21の印刷インク22をラベル基材2に印刷するように構成された印刷機構25で印刷が行なわれる。
【0047】
一方、融点の低い樹脂が積層されて巻き取られた保護層5を形成する熱可塑性樹脂フィルム5aは巻き戻されて融点の低い樹脂が熱板26あるいは熱風等で加熱されて表面が溶融されると共にラベル基材2の印刷面に添着されて圧着ロール27、28で挟圧されて熱圧着される。
【0048】
熱可塑性樹脂フィルム5aが熱圧着されたラベル基材2は、裁断機構30に送給される。裁断機構30には、所定の形状に裁断するための裁断刃29を有し、裁断刃29は上下にストロークして、保護層5を形成する熱可塑性樹脂フィルム5a、ラベル基材2、及び、粘着剤層3を裁断し、離型紙4を切残すようにハーフカットが行なわれた後、不要部分31が除去されることによって、図1に示すように、離型紙4に所定の間隔でラベル基材2が配設され、離型紙4がラベル基材2よりも外にはみ出した構造の粘着シート1を得ることができる。
【0049】
なお、印刷機構25の形式はいかなるものであってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、凹版印刷、凸版印刷等を用いることができる。また、熱可塑性樹脂フィルム5aの添着は各種の方法を採用することができ、例えば、延伸された熱可塑性樹脂フィルム5aとラベル基材2とを合わせてその間に融点の低い樹脂を押出してラミネートする方式とすることもできる。
【0050】
こうして、離型紙4に配設された粘着ラベル1を得ることができ、必要に応じて離型紙4から剥離して目的物に貼付することができる。
【0051】
【実施例】
実施例1、2
コピー用紙の裏面にアクリル系の粘着剤を塗布して得られたラベル基材(固形分厚さ20μm)に、シリコン系の離型剤が塗布された離型紙(リンテック社製フジクリアー)を貼付した。
【0052】
一方、二軸延伸してフィルム状に成形した二軸延伸フィルム(ポリプロピレン:延伸倍率5×8倍、厚さ15μm;二村化学社製PB262、ポリエステル:延伸倍率3×4、厚さ12μm;ユニチカ社製PTMU)それぞれの片面にメタロセン触媒を用いて製造した線状低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製カーネル密度0.90g/m3、MFR 20)を厚さが15μmとなるように押出ラミネーションを行なって熱可塑性樹脂複合フィルムを得た。
【0053】
得られた熱可塑性樹脂複合フィルムと粘着シートについて、突刺強度の試験を行なったところ、その結果は、表1の通りであった。
【0054】
そして、印刷表面に熱可塑性樹脂複合フィルムを、線状低密度ポリエチレンの面が接するように加熱圧着し、「保護層を有する粘着シート」を得た。
また、3×5cmのラベルをハーフカット裁断して切出し、10000枚のラベルを作成したが、裁断刃にシートが粘着することはなかった。
【0055】
比較例1、2
二軸延伸フィルムを接合する接合剤として、アクリル系の粘着剤を使用した他は実施例1、2と同様の実験を行なった。その結果は、表1の通りであった。また、ハーフカット試験を行なったところ、1000枚頃から裁断刃にシートが粘着したため、ハーフカット試験を中止した。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明粘着シートは、透明性に優れ、ラベル基材との接合性がよく、また、裁断性がよく、切断刃に付着することのないため、貼付が容易で、包装物の表示、注意喚起、宣伝等に用いるに適した実用的な粘着シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明粘着シートの例を示す(A)は縦断面図、(B)は平面図
【図2】本発明に使用される熱可塑性樹脂フィルムの例を示す縦断面図
【図3】本発明粘着シートの製造方法の例を示す側面図
【図4】従来の粘着シートを示す縦断面図
【図5】従来の粘着シートの製造方法を示す側面図
【符号の説明】
1:粘着シート
2:ラベル基材
3:粘着剤層
4:離型紙
5:保護層
6:基層
7:接着層
25:印刷機構
30:裁断機構
【産業上の利用分野】
本発明は、粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、粘着シート及びその製造方法に関する。更に詳しくは、生産性に優れ、包装物の表示、注意喚起、宣伝等に用いるラベルに適した粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム及び粘着シート、並びに、該粘着シートを効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
表面に印刷がされ、裏面に粘着剤層が形成された粘着シートは、対象物への貼付が容易で、添付作業を効率的に行なうことができるため、タックシートと称されて、包装物の表示、注意喚起、宣伝等に広く使用されるに至っている。
【0003】
これらの粘着シートは、図4に示すように、上面に印刷が施されたラベル基材2の裏面に粘着剤層3が形成され、通常、粘着剤層3の表面には離型紙4が貼付される。また、これら粘着シートには、表面光沢をよくし、汚染、損傷を防止して耐久性を得るために、表面に透明な熱可塑性樹脂フィルム5aがラミネートされて保護層5が形成されている。
【0004】
このような保護層5を形成する熱可塑性樹脂は、透明性が優れていることが重要となるが、同時に、ラベル基材2との接合性が重要となり、ラベル基材2との間に接合不良個所が発生すると、ボケと称される局部的な透視不良個所が発生し、鮮明さが損なわれ、美麗な粘着シートが得られなくなる問題がある。
【0005】
一方、ポリプロピレン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂フィルムは一軸、又は、二軸に延伸することによって、光沢、透明性、機械的強度が向上されることから、ラベル等のラミネートには延伸されて使用されている。しかし、延伸された熱可塑性樹脂フィルムは温度を上げると収縮が生じるために熱溶着によってラベル基材2に接合することができなくなる問題がある。
【0006】
このため、従来は、図4、図5に示すように、保護層5を形成するための延伸された熱可塑性樹脂フィルム5aの裏面に粘着剤6を塗布し、さらにその上に保護フィルム用離型紙7を添着したものを用意し、保護フィルム用離型紙7を剥しながら熱可塑性樹脂フィルム5aをラベル基材2に合わせた上で、ロール15、16によって圧力で接合することが行なわれている。
【0007】
しかし、感圧粘着剤を用いて保護層5を接合したラベル基材2は、次いで行なわれる裁断工程において障害が発生する問題がある。
【0008】
すなわち、粘着シートは、図5に示すように、ラベル基材2の表面に熱可塑性樹脂フィルム5aによる保護層5が形成された後、裁断刃17によって、所定の大きさ、形状に裁断される。この場合、ハーフカットと称される方法によって、離型紙4を残して、保護層5、ラベル基材2、及び、粘着剤層3を裁断して、離型紙4をラベル基材2の縁から外にはみ出すように形成することが多く、高度の裁断技術が要求される。
【0009】
しかるに、保護層5を粘着剤6によってラベル基材2に接合形成したものは、裁断工程を継続する間に粘着剤6が裁断刃17に付着するために、ラベル基材2との離れが悪くなって裁断線の位置ずれが生じたり、裁断不良を起こして裁断できなくなることが生じる。また、裁断不良を防ぐために裁断刃のストローク量を大きくすると今度は離型紙4までも切断する結果となる。さらに、粘着剤6が裁断刃に付着すると粘着剤が糸を引いて周囲のラベル基材2に付着する結果、商品価値を低下する等種々の問題が生じる。
【0010】
このため、従来は、1時間〜2時間毎に裁断刃の清掃を必要とし、生産工程の効率低下の大きな要因となっていた。
【0011】
このような理由から、透明性に優れ、ラベル基材との接合性がよく、また、裁断性がよく切断刃を汚すことのない熱可塑性樹脂フィルムを使用した粘着シートの開発が強く要請されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、透明性に優れ、ラベル基材との接合性がよく、また、裁断性がよく切断刃に異物が付着することがなく、貼付が容易で、包装物の表示、注意喚起、宣伝等のラベルとして用いるに適した粘着シートの保護用熱可塑性樹脂フィルム、粘着シート、及び、その製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討をした結果なされたもので、具体的には、一軸又は二軸に延伸された熱可塑性樹脂と、エチレン系樹脂とが積層された複合フィルムからなり、一面に印刷面を有し他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面に積層されて保護層を形成するための粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムを提供するものである。
【0014】
また、本発明は、熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又は、ポリアミドからなる上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、エチレン系樹脂が、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、エチレン系樹脂の融点が60〜90℃、密度が0.85〜0.96g/cm3、ヤング率が50〜15000Kg/cm2である上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム、エチレン系樹脂がメタロセン触媒を用いて重合された重合体である上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムを提供するものである。
【0015】
さらに、本発明は、一面に印刷面を有し、該印刷面上に上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムが積層されて保護層が形成され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材からなることを特徴とする粘着シート、一面に印刷面を有し、該印刷面上に上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムが印刷面に直接接するように積層されて突き刺し強度が600g以下の保護層が形成され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材からなることを特徴とする粘着シート、粘着剤層に離型紙が貼付されてなる上記の粘着シート、及び、保護層、ラベル基材、及び、粘着剤層をハーフカット法によって切断することによって、離型紙がラベル基材の縁部よりはみ出るように裁断されてなる上記の粘着シートを提供するものである。
【0016】
さらに、また、本発明は、一面に印刷され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面上に、上記の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムを印刷面に直接接するように熱圧着することによって保護層を形成した後、所定の形状に裁断することを特徴とする粘着シートの製造方法、粘着剤層の表面に離型紙を貼付する上記の粘着シートの製造方法、及び、保護層を形成した後、保護層、ラベル基材、及び、粘着剤層をハーフカット法によって切断することによって、離型紙がラベル基材の縁部よりはみ出るように裁断する上記の粘着シートの製造方法を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明粘着シート1は、図1に示すように、一面に印刷されたラベル基材2の印刷面上に透明な熱可塑性樹脂フィルム5aが印刷面に直接接するように積層されて保護層5が形成され、他面に粘着剤層3が形成される。一般には、さらに粘着剤層3の表面に離型紙4が貼付される。
【0018】
なお、本発明において、熱可塑性樹脂フィルム5aが印刷面に直接接するように積層されるとは、熱可塑性樹脂フィルム5a以外の接着剤、粘着剤を使用することなく熱可塑性樹脂フィルム5aの作用を利用して印刷面に接合することを意味する。
【0019】
本発明粘着シート1を構成するラベル基材2の材料としては、特に制約はなく、印刷可能なものであれば広く使用することができるが、一般には、紙、ポリエステル、塩化ビニル、金属ホイル等が使用される。紙には、和紙、洋紙、上質紙、ミラコート紙、アート紙、ホイル紙等がある。
【0020】
保護層5を形成する熱可塑性樹脂フィルム5aとしては、図2に示すように、基層6を形成する熱可塑性樹脂に融点の低いエチレン系樹脂を接合層7として積層された複合フィルムが用いられる。
【0021】
基層6の材料としては、透明性に優れた熱可塑性樹脂が選択され、具体的には、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム等を用いることができる。中でも、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム等の延伸効果の大きい結晶性の熱可塑性樹脂、特にポリオレフィンが望ましい。
【0022】
これら基層6を形成する熱可塑性樹脂は、光沢、透明性、機械的強度を向上するために一軸、又は、二軸に延伸することが望ましい。延伸倍率としては、一軸延伸においては3〜8倍、好ましくは4〜7倍、二軸延伸においては面積が、5〜80倍、好ましくは8〜60倍とされる。特に、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムが望ましい。
【0023】
接合層7としては、基層6を形成する樹脂との関係で融点の低いエチレン系樹脂が使用され、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体を使用することが望ましく、中でも、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体が望ましく、特にメタロセン触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、いわゆる線状低密度ポリエチレンが望ましい。
【0024】
エチレン系樹脂としては、融点が50〜90℃、好ましくは55〜80℃、より好ましくは60〜75℃のものが適し、融点が50℃より低いとブロッキングが生じ易く、取扱い性を欠くようになる。また、90℃を越えると基材との接着性が低下する。密度は、0.850〜0.960g/cm3、好ましくは0.855〜0.955g/cm3、より好ましくは0.860〜0.950g/cm3である。
【0025】
特に、メタロセン触媒を用いて重合したものが好ましく、メタロセン触媒を用いて重合したエチレン系樹脂を用いることによってラベル基材2との接合を容易にすることができる。メタロセン触媒とは、少なくとも1つのジシクロペンタジエンを配位子として有するジルコニウム、ハフニウム、チタンを中心金属とする有機金属化合物を触媒成分とするα−オレフィンの重合触媒を指称する。
【0026】
これら熱可塑性樹脂には紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系等を挙げることができる。
【0027】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールを挙げることができる。
【0028】
ベンゾエート系としては、2,4−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエートを使用することができ、その他、メチル−3−[3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート−ポリエチレングリコール縮合物、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体を挙げることができる。
【0029】
上記の紫外線吸収剤は、熱可塑性樹脂に対して、0.01〜0.5重量%、より好ましくは0.03〜0.3重量%添加される。紫外線吸収剤が0.01重量部未満では紫外線吸収効果が得られず、また、0.5重量%を越えると対費用効果が低下する他、着色等の問題が生じる。
【0030】
本発明に使用される熱可塑性樹脂フィルム5aには、目的に応じてその他の各種の添加剤を添加することができる。具体的には、フェノール系、有機ホスファイト系などの有機リン系、チオエーテル系等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系等の光安定剤;ノニオン系、カチオン系、アニオン系等の帯電防止剤;ビスアミド系、ワックス系、有機金属塩系等の分散剤;アルカリ土類金属のカルボン酸塩系等の塩素補足剤;アミド系、ワックス系、有機金属塩系、エステル系等の滑剤;可塑剤等が挙げられる。
【0031】
これら添加剤は、適宜組み合わせて材料組成物を製造する工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0032】
これら添加剤は、適宜組み合わせて、基層6や接合層7の材料組成物を製造するいずれかの工程で配合される。添加剤の配合は、従来の公知の二軸スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール等の混練装置を用いて所定割合に混合して、これを溶融混練して調製してもよいし、高濃度のいわゆるマスターバッチを作製し、これを希釈して使用するようにしてもよい。
【0033】
保護層5として使用される積層された熱可塑性樹脂フィルム5aを成形する手段としては種々の方法を採用することができ、予め基層6となる未延伸又は延伸フィルムと接合層7となるフィルムを形成してドライラミネート法や熱ラミネート法を用いて複層化する手段や、基層6となる未延伸又は延伸フィルムの表面に接合層7となる熱可塑性樹脂をコーティングする方法、予め形成した基層6となる未延伸又は延伸フィルムに接合層7を押出ラミネートする方法、あるいは、多層共押出法によって積層フィルムとして押出成形した後、必要に応じて、一軸、又は、二軸に延伸するなどの公知の手段から適宜選択して用いればよい。
【0034】
保護層5は、突き刺し強度が600g以下、好ましくは500g以下、より好ましくは450g以下とすることが望ましい。600gを越えると裁断の速度を上げることが難しくなる。また、下限は特に限定されるものではないが、傷付き性を考慮すると50g以上が望ましい。
【0035】
なお、本発明において突き刺し強度とは、先端が直径0.5mmの突刺子を突刺速度300mm/minの速度で刺し込んだときの応力をgで表示したものである。
【0036】
また、保護層5は、ヤング率が50〜15000Kg/cm2、好ましくは100〜5000Kg/cm2、さらに好ましくは200〜1000Kg/cm2とされる。ヤング率が50Kg/cm2未満では切れ味が悪くなり、また、15000Kg/cm2を越えると透明性が悪くなる。
【0037】
このような熱可塑性樹脂フィルムを得るためには、熱可塑性樹脂の基層6の厚さが8〜100μm、好ましくは12〜20μm、さらに好ましくは12〜15μmとされ、接合層7を8〜50μm、好ましくは10〜25μm、さらに好ましくは12〜15μmとされ、両者の合計を16〜150μm、好ましくは22〜45μm、さらに好ましくは24〜30μmとすることが望ましい。
【0038】
本発明において粘着剤層3を形成する粘着剤としては特に制限はなく、この種粘着シートとして用いられる粘着剤を広く用いることができる。
【0039】
これらの粘着剤の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、溶液型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤、反応型粘着剤、光重合可能なモノマー型粘着剤等のいずれの形態であってもよい。
【0040】
好ましい例を挙げれば、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、これらの混合物をベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサンのような有機溶剤に溶解したゴム系粘着剤、これらゴム系粘着剤にアビエチン酸ロジンエステル、テルペン・フェノール共重合体、テルペン・インデン共重合体等の粘着付与剤を配合したもの;2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸n−ブチル共重合体、2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸エチル・メタクリル酸メチル共重合体等のガラス転移点が−20℃以下のアクリル系共重合体を有機溶剤で溶解したアクリル系粘着剤が使用できる。
【0041】
粘着剤の乾燥後の肉厚は、アクリル系粘着剤で10〜50μm、ゴム系粘着剤で80〜150μmが一般的である。ラベル基材2と粘着剤層4との間にはアンカーコート剤を介してもよい。
【0042】
アンカーコート剤としては、ポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリアルキレンエーテル、ポリエチレンイミン、アルキルチタネート等が使用でき、これらは一般に、メタノール、水、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン等の有機溶剤に溶解して使用される。
【0043】
基材へのアンカーコート剤の塗布量は乾燥した固型分量で0.01〜5g/m2、好ましくは0.05〜2g/m2である。
【0044】
粘着剤層3の表面には、通常、離型処理が施された離型紙4が貼付される。離型処理としては、必要により硬化反応を伴うシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤、長鎖アルキルグラフトポリマー系離型剤の塗布等が挙げられるが限定されるものではない。なお、目的に応じては、離型処理は粘着シート1の上面、すなわち、ロール状に巻き取ったときの粘着剤層3の表面が接触する面に行なうこともできる。
【0045】
本発明粘着シート1の製造方法としては、各種の手順で行なうことができるが、離型紙4が貼付された印刷のないラベル基材2と一軸又は二軸に延伸された熱可塑性樹脂フィルム5aをそれぞれ予め用意し、印刷デザインが決定されたあと、印刷と熱可塑性樹脂フィルム5aの貼付をインラインで行なわれるのが一般的である。以下に、製造方法を制限するものではないが、製造方法の一例を示す。
【0046】
ラベル基材2には粘着剤が塗布され乾燥することによって粘着剤層3が形成された後、離型紙4が貼付されてロール巻きに巻き取られる(図示せず)。こうして得られたラベル基材2を用いて粘着シート1を製造するときは、図3に示すように、離型紙4が貼付されたラベル基材2を巻き取りロール(図示せず)から繰出してテークアップロール18、メタリングロール19、印刷ロール20によって、インク溜21の印刷インク22をラベル基材2に印刷するように構成された印刷機構25で印刷が行なわれる。
【0047】
一方、融点の低い樹脂が積層されて巻き取られた保護層5を形成する熱可塑性樹脂フィルム5aは巻き戻されて融点の低い樹脂が熱板26あるいは熱風等で加熱されて表面が溶融されると共にラベル基材2の印刷面に添着されて圧着ロール27、28で挟圧されて熱圧着される。
【0048】
熱可塑性樹脂フィルム5aが熱圧着されたラベル基材2は、裁断機構30に送給される。裁断機構30には、所定の形状に裁断するための裁断刃29を有し、裁断刃29は上下にストロークして、保護層5を形成する熱可塑性樹脂フィルム5a、ラベル基材2、及び、粘着剤層3を裁断し、離型紙4を切残すようにハーフカットが行なわれた後、不要部分31が除去されることによって、図1に示すように、離型紙4に所定の間隔でラベル基材2が配設され、離型紙4がラベル基材2よりも外にはみ出した構造の粘着シート1を得ることができる。
【0049】
なお、印刷機構25の形式はいかなるものであってもよく、オフセット印刷、グラビア印刷、凹版印刷、凸版印刷等を用いることができる。また、熱可塑性樹脂フィルム5aの添着は各種の方法を採用することができ、例えば、延伸された熱可塑性樹脂フィルム5aとラベル基材2とを合わせてその間に融点の低い樹脂を押出してラミネートする方式とすることもできる。
【0050】
こうして、離型紙4に配設された粘着ラベル1を得ることができ、必要に応じて離型紙4から剥離して目的物に貼付することができる。
【0051】
【実施例】
実施例1、2
コピー用紙の裏面にアクリル系の粘着剤を塗布して得られたラベル基材(固形分厚さ20μm)に、シリコン系の離型剤が塗布された離型紙(リンテック社製フジクリアー)を貼付した。
【0052】
一方、二軸延伸してフィルム状に成形した二軸延伸フィルム(ポリプロピレン:延伸倍率5×8倍、厚さ15μm;二村化学社製PB262、ポリエステル:延伸倍率3×4、厚さ12μm;ユニチカ社製PTMU)それぞれの片面にメタロセン触媒を用いて製造した線状低密度ポリエチレン(日本ポリケム社製カーネル密度0.90g/m3、MFR 20)を厚さが15μmとなるように押出ラミネーションを行なって熱可塑性樹脂複合フィルムを得た。
【0053】
得られた熱可塑性樹脂複合フィルムと粘着シートについて、突刺強度の試験を行なったところ、その結果は、表1の通りであった。
【0054】
そして、印刷表面に熱可塑性樹脂複合フィルムを、線状低密度ポリエチレンの面が接するように加熱圧着し、「保護層を有する粘着シート」を得た。
また、3×5cmのラベルをハーフカット裁断して切出し、10000枚のラベルを作成したが、裁断刃にシートが粘着することはなかった。
【0055】
比較例1、2
二軸延伸フィルムを接合する接合剤として、アクリル系の粘着剤を使用した他は実施例1、2と同様の実験を行なった。その結果は、表1の通りであった。また、ハーフカット試験を行なったところ、1000枚頃から裁断刃にシートが粘着したため、ハーフカット試験を中止した。
【0056】
【表1】
【0057】
【発明の効果】
本発明粘着シートは、透明性に優れ、ラベル基材との接合性がよく、また、裁断性がよく、切断刃に付着することのないため、貼付が容易で、包装物の表示、注意喚起、宣伝等に用いるに適した実用的な粘着シートを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明粘着シートの例を示す(A)は縦断面図、(B)は平面図
【図2】本発明に使用される熱可塑性樹脂フィルムの例を示す縦断面図
【図3】本発明粘着シートの製造方法の例を示す側面図
【図4】従来の粘着シートを示す縦断面図
【図5】従来の粘着シートの製造方法を示す側面図
【符号の説明】
1:粘着シート
2:ラベル基材
3:粘着剤層
4:離型紙
5:保護層
6:基層
7:接着層
25:印刷機構
30:裁断機構
Claims (12)
- 一軸又は二軸に延伸された熱可塑性樹脂と、エチレン系樹脂とが積層された複合フィルムからなり、一面に印刷面を有し他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面に積層されて保護層を形成するための粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム。
- 熱可塑性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、又は、ポリアミドからなる請求項1に記載の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム。
- エチレン系樹脂が、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、又は、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる請求項1又は2に記載の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム。
- エチレン系樹脂の融点が60〜90℃、密度が0.85〜0.96g/cm3、ヤング率が50〜15000Kg/cm2である請求項1〜3のいずれかに記載の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム。
- エチレン系樹脂がメタロセン触媒を用いて重合された重合体である請求項1〜4のいずれかに記載の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルム。
- 一面に印刷面を有し、該印刷面上に請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムが積層されて保護層が形成され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材からなることを特徴とする粘着シート。
- 一面に印刷面を有し、該印刷面上に請求項1〜5のいずれかに記載の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムが印刷面に直接接するように積層されて突き刺し強度が600g以下の保護層が形成され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材からなることを特徴とする粘着シート。
- 粘着剤層に離型紙が貼付されてなる請求項6又は7に記載の粘着シート。
- 保護層、ラベル基材、及び、粘着剤層をハーフカット法によって切断することによって、離型紙がラベル基材の縁部よりはみ出るように裁断されてなる請求項8に記載の粘着シート。
- 一面に印刷され、他面に粘着剤層が形成されたラベル基材の印刷面上に、請求項1〜5いずれかに記載の粘着シート保護用熱可塑性樹脂フィルムを印刷面に直接接するように熱圧着することによって保護層を形成した後、所定の形状に裁断することを特徴とする粘着シートの製造方法。
- 粘着剤層の表面に離型紙を貼付する請求項10に記載の粘着シートの製造方法。
- 保護層を形成した後、保護層、ラベル基材、及び、粘着剤層をハーフカット法によって切断することによって、離型紙がラベル基材の縁部よりはみ出るように裁断する請求項10又は11に記載の粘着シートの製造方法。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060418 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20060815 |