[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2004231676A - テープ状絶縁材、絶縁物品、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ - Google Patents

テープ状絶縁材、絶縁物品、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ Download PDF

Info

Publication number
JP2004231676A
JP2004231676A JP2003018374A JP2003018374A JP2004231676A JP 2004231676 A JP2004231676 A JP 2004231676A JP 2003018374 A JP2003018374 A JP 2003018374A JP 2003018374 A JP2003018374 A JP 2003018374A JP 2004231676 A JP2004231676 A JP 2004231676A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sensitive adhesive
water
tape
alkylamine
pressure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003018374A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuyoshi Shirai
光義 白井
Seiji Izumitani
誠治 泉谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Priority to JP2003018374A priority Critical patent/JP2004231676A/ja
Publication of JP2004231676A publication Critical patent/JP2004231676A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Insulating Bodies (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

【課題】絶縁基材の片面または両面に水系粘着剤層を設けたテープ状絶縁材であって、絶縁特性の良好な粘着剤層を有するものを提供すること。
【解決手段】絶縁基材の片面または両面に粘着剤層を設けたテープ状絶縁材において、前記粘着剤層が、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有する水分散型アクリル系粘着剤により形成されたものであることを特徴とするテープ状絶縁材。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープ状絶縁材および当該テープ状絶縁材が貼合されている絶縁物品に関する。また本発明は、テープ状絶縁材の粘着剤層を形成しうる、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤に関する。本発明のテープ状絶縁材は、トランス、コイル等の電気部品、電子部品等の層間絶縁や外面絶縁に使用されこれら物品を絶縁物品とする。また本発明は、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、テープ状絶縁材に使用される粘着剤としては、絶縁特性に優れるアクリル系又はゴム系の溶剤型粘着剤が使用されていた。かかるテープ状絶縁材に使用される粘着剤にも、一般の粘着剤の場合と同様に、環境保護、省資源、安全衛生等に対する社会的な要請と規制強化から、脱溶剤が重要な課題となっており、溶剤型粘着剤に代わるものが要望されている。前記溶剤型粘着剤に代わる粘着剤としては、汎用性や応用展開の可能性から、ホットメルト型や硬化型の粘着剤よりも、水系粘着剤が優位であると考えられている。
【0003】
しかしながら、水系粘着剤である水分散型の天然ゴムラテックスまたは合成ゴムラテックスは、水溶性であるイオン性乳化剤を非常に多く含有していることから絶縁特性の低下が問題であった。一方、アクリル系の水分散型粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体を乳化剤存在下に重合して得られる重合体エマルションを含むものである。当該重合体は、被着体への接着力を向上させるために、または得られる重合体を後架橋するための架橋点を導入するために、さらには粘着剤の凝集力を高めるために、上記主成分と共重合可能な官能基含有単量体やその他の改質用単量体が添加されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照。)。しかし、従来知られているアクリル系水分散型粘着剤は加湿条件下に絶縁特性が低下する問題があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平6−128543号公報
【0005】
【特許文献2】
特開平6−145623号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、絶縁基材の片面または両面に水系粘着剤層を設けたテープ状絶縁材であって、絶縁特性の良好な粘着剤層を有するものを提供することを目的とする。また本発明は、テープ状絶縁材が貼合されている絶縁物品を提供することを目的とする。さらには本発明は、絶縁特性の良好な水系粘着剤層を形成しうる絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤を提供することを目的とする。
【0007】
また本発明は、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性粘着テープを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、テープ状絶縁材の水系粘着剤層を形成する水系粘着剤として以下に示すものを用いることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち本発明は、絶縁基材の片面または両面に粘着剤層を設けたテープ状絶縁材において、
前記粘着剤層が、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有する水分散型アクリル系粘着剤により形成されたものであることを特徴とするテープ状絶縁材、に関する。
【0010】
上記本発明では、水系粘着剤として水分散型アクリル系粘着剤を用いており、天然ゴムラテックスまたは合成ゴムラテツクス粘着剤のようにイオン性乳化剤を多量に含有することによる絶縁特性の低下がない。また水分散型アクリル系粘着剤に含まれる重合体エマルションは、被着体への接着力を向上させるために、または得られる重合体を後架橋するための架橋点を導入するために、さらには粘着剤の凝集力を高めるために、上記主成分と共重合可能な官能基含有単量体として、カルボキシル基含有単量体を含有している。
【0011】
一方、カルボキシル基含有単量体は機械的安定性を向上させる上でも重要である。これは、水分散型アクリル系粘着剤を基材面に塗工するとき、共重合体エマルションの機械的安定性が不良であるとコーター部で、共重合体エマルションが破壊され、それが凝集して粘着剤面にスジなどが発生し、粘着剤面の外観が不良となるためである。そのため、共重合体エマルションは、機械的安定性を向上させるため、カルボキシル基含有単量体のカルボキシル基を中和により解離している。
【0012】
カルボキシル基の中和剤(水溶性塩基性物質)としては、一般的にアンモニアが用いられる。しかし、共重合体エマルション中のカルボキシル基の中和をアンモニアで行い、かつ当該中和された共重合体エマルションを含有する粘着剤を十分に乾燥させない場合には、粘着剤中にアンモニウムイオンが残存してしまう。加湿条件において、このアンモニウムイオンはイオン伝導するため絶縁特性を低下させる。アンモニアは、他のアンモニア分子、水分子やカルボキシル基等と水素結合するために、粘着剤中に残存しやすくなっていると考えられる。
【0013】
そこで、本発明では、共重合体エマルション中のカルボキシル基の中和剤として、アルキルアミンを用いている。アルキルアミンはアンモニアに比べて水素結合しにくく、粘着剤中の中和剤の残存量(残存アルキルアミン量)を低減することができる。したがって、粘着剤の乾燥条件が同じであるならば、共重合体エマルションとして、アンモニア中和物よりも、アルキルアミン中和物を用いる方が中和剤の残存量を低減できる。すなわち、共重合体エマルションのアルキルアミン中和物を含有する粘着剤を用いることによって、加湿条件下においても絶縁特性を満足することができる。なお、テープ状絶縁材はJIS C−2338に規定される電食係数が0.98以上の絶縁特性を有することが好ましい。前記電食係数は0. 99以上であるのがより好ましい。前記テープ状絶縁材において、アルキルアミンは、アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアミンであることが好ましい。
【0014】
また本発明は、前記テープ状絶縁材が貼合されていることを特徴とする絶縁物品、に関する。
【0015】
さらに本発明は、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有することを特徴とする絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、に関する。前記絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤において、アルキルアミンは、アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアミンであることが好ましい。
【0016】
さらに本発明は、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有することを特徴とする水分散型アクリル系粘着剤、に関する。前記水分散型アクリル系粘着剤において、アルキルアミンは、アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアミンであることが好ましい。
【0017】
さらに本発明は、基材の片面または両面に粘着剤層を設けた感圧性粘着テープにおいて、前記粘着剤層が、前記水分散型アクリル系粘着剤により形成されたものであることを特徴とする感圧性接着テープ、に関する。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のテープ状絶縁材において粘着剤層を形成する水分散型アクリル系粘着剤は、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなるする単量体を、乳化剤の存在下に乳化重合することにより得られる共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有してなる。
【0019】
アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸またはメタクリル酸と炭素数が4〜12のアルコールとのエステルであって、具体的には、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニルなどがあげられ、これらの中からその1種または2種以上が用いられる。これら(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単量体の主成分として、単量体中、50重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90〜99.5重量%の割合で用いられる。前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの割合が少ないと、良好な接着性の粘着剤が得られにくい。
【0020】
前記単量体中には、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルのほかに、被着体への接着力を向上させるために、または得られる共重合体を後架橋するための架橋点を導入するために、さらには粘着剤の凝集力を高めるために、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な官能基含有単量体として、カルボキシル基含有単量体を含有している。カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸などがあげられる。カルボキシル基含有単量体は、前記アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの合計で単量体混合物として合計100重量%になるように、通常、用いられる。50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは0.5〜10重量%の割合で用いられる。
【0021】
また、被着体への接着力を向上させるために、または得られる共重合体を後架橋するための架橋点を導入するために、さらには粘着剤の凝集力を高めるために、上記成分と共重合可能な前記以外の他の官能基含有単量体や改質用単量体を適量使用してもよい。なお、これら他の官能基含有単量体等は、前記アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、前記カルボキシル基含有単量体が前記割合を満足し、かつこれら単量体との合計で単量体混合物として合計100重量%になるように用いられる。これらは、通常、50重量%以下、好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは0.5〜10重量%の割合で用いられる。
【0022】
他の官能基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチルなどの水酸基含有単量体、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体、(メタ)アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチルなどのアミノ基含有単量体、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのグリシジル基含有単量体、(メタ)アクリル酸プロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸プロピルジメトキシシラン、(メタ)アクリル酸プロピルトリエトキシシランなどの多官能アルコキシシラン、(メタ)アクリロニトリル、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニル−2−ピロリドンなどがあげられる。これら官能基含有単量体はその1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0023】
その他の改質用単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピルなどのアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリルなどのアルキル基の炭素数が13〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、ビニルトルエンなどがあげられる。また、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の二つ以上の重合性官能基を有するものがあげられる。これら改質用単量体もその1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0024】
乳化剤としては、乳化重合において用いられるアニオン系乳化剤やノニオン系乳化剤を特に制限なく使用できる。たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。また、アニオン系乳化剤およびノニオン系乳化剤のいずれの場合にも、乳化剤中にプロペニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基などの反応性官能基を導入したラジカル重合性乳化剤を用いることができる。ラジカル重合性乳化剤は、たとえば、特開平4−50204号公報、特開平4−53802号公報に記載されている。
【0025】
前記乳化剤の使用量は、特に制限されないが、イオン性乳化剤を多量に含有することによる絶縁特性の低下を抑えるため、前記単量体(合計)100重量部に対して、0.3〜5重量部程度とするのが好ましい。乳化剤の使用量が多くなると、得られる共重合体エマルションを含有する水分散型アクリル系粘着剤により形成される粘着剤層に含まれる水溶性成分量が多くなり、絶縁特性が低下する傾向があるため、乳化剤の使用量は、3重量部以下、さらには2重量部以下とするのが好ましい。
【0026】
前記単量体の乳化重合は、前記乳化剤の存在下、適宜の重合開始剤を用いて、常法により行い、アクリル系重合体の水分散液を調製する。乳化重合は、一般的な一括重合、連続滴下重合、分割滴下重合などにより行う。重合温度は30〜90℃程度で行うことができる。
【0027】
重合開始剤としては、たとえば、2 ,2 ′−アゾビスイソブチロニトリル、2 ,2 ′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2 ′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)などのアゾ系、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパ−オキサイドなどの過酸化物系や、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムなどのレドツクス系開始剤などがあげられる。また、乳化重合にあたっては、得られる共重合体の分子量の調整のために、必要に応じて、メルカプタン類などに代表される適宜の連鎖移動剤を使用してもよい。
【0028】
共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物は、上記共重合体エマルションにアルキルアミンまたはその水溶液を加えることにより行う。
【0029】
アルキルアミンは、1級アルキルアミン、2級アルキルアミン、3級アルキルアミンのいずれも使用できる。中でも、アルキル基の炭素数が1〜4である低級アルキルアミンが好ましい。アルキル基の炭素数は1〜2である低級アルキルアミンが好適である。また、アルキルアミンとしては、3級アルキルアミンが好ましい。アルキルアミンとしては,メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミンなどがあげられる。これらのアルキルアミンはその1種を単独でまたは2種以上混合して使用できる。
【0030】
中和時に用いるアルキルアミン量は、共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物のpHが5〜10程度となるように適宜に調整するのが好ましい。より好ましくは前記中和物のpHが6〜9、さらに好ましくは前記中和物のpHが7〜9である。
【0031】
なお、中和にあたっては、アルキルアミンに加えて、他の水溶性塩基性物質を用いることができる。他の水溶性塩基性物質としては、アンモニア、他のアミン類があげられる。アルキルアミンは、中和に用いる水溶性塩基性物質の70モル%、さらには90モル%以上である。なお、共重合体エマルションのカルボキシル基の中和率は、20%以上、さらには50%以上、特に70〜100%であるのが好ましい。
【0032】
本発明の水分散型アクリル系粘着剤は、上記共重合体エマルション(中和物)を主剤成分とし、これに必要により、架橋剤を含有させることができる。架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、金属キレート系架橋剤などの一般に用いられているものを使用できる。これら架橋剤は、官能基含有単量体を用いることにより重合体中に導入した官能基と反応して架橋する効果以外に、共重合体エマルションに含まれるホモポリマー等(たとえば、カルボキシル基含有単量体が、乳化重合時に、乳化剤のミセル中で共重合せず、水中で重合したカルボキシル基含有単量体のホモポリマーまたはホモポリマーに近い共重合ポリマー等)と反応することで水溶性成分の減少効果があり、使用するのが好ましい。
【0033】
架橋剤の使用量は、特に制限されないが、通常、共重合体中に導入した官能基:架橋剤の官能基の当量比で、1:0〜0.5程度、好ましくは1:0.001〜0.3の範囲になるようにするのが好ましい。
【0034】
さらに本発明の水分散型アクリル系粘着剤には、粘着付与成分やその他の各種の添加剤を配合できる。粘着付与成分としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、キシレン系樹脂、エラストマーなどがあげられる。
【0035】
本発明のテープ状絶縁材は、絶縁基材の片面に、前記水分散型アクリル系粘着剤により、粘着剤層を形成したものである。水分散型アクリル系粘着剤の調製にあたっては、単量体の主成分であるアルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボキシル基含有単量体、他の官能基含有単量体や改質用単量体の種類や添加量、乳化剤の種類や添加量、さらには得られる共重合体に加える架橋剤の種類や添加量を適切に調整する。
【0036】
絶縁基材は、特に限定されず、例えばポリエステル、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルム、紙、不織布などの他、耐熱性のあるポリイミド、ポリアミド、ポリアセテートなどの単体またはこれらの複合基材、また場合によりこれらの基材にエポキシ樹脂などを含浸させたものなどがあげられる。
【0037】
上記粘着剤層の形成は、上記水分散型アクリル系粘着剤を、絶縁基材上に直接塗布し乾燥することにより形成することもでき、セパレータ上に上記同様に形成した層を絶縁基材上に転写してもよい。本発明のテープ状絶縁材は、絶縁基材の片面または両面に粘着剤層をそれぞれ単層または複数層設けてシート状やテープ状の形態として得られる。
【0038】
本発明のテープ状絶縁材は、各種電子部品用に好適に用いられ、電子部品類に接着されて電子部品類を構成する。かかる電子部品類は特に限定されないが、例えば、トランスの層間絶縁、外装絶縁などがあげられる。
【0039】
また上記水分散型アクリル系粘着剤は、一般的な感圧性接着テープの用途にも用いられる。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下、部は重量部を意味する。
【0041】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計および撹拌装置を備えた反応容器に、水30部および過硫酸アンモニウム0.3部を仕込み、撹拌下に1時間窒素置換した。ここにアクリル酸n−ブチル95部、アクリル酸5部および乳化剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム(第一工業製薬(株)の商品名「ハイテノールLA−16」)1.0部(固形分換算)を水70部で乳化したものを80℃で3時間かけて滴下し、さらに80℃で2時間熟成を行った。その後、室温まで冷却し、10重量%トリメチルアミン水溶液によりpH9に調整して、共重合体エマルションを得た。この共重合体エマルションに、その固形分(水分散系共重合体)100部に対し、オキサゾリン基を含有する水溶性架橋剤として(株)日本触媒の商品名「エポクロスWS−700」(オキサゾリン基当量:220g・solid/eq.)0 .1部(固形分換算)を混合して、水分散型アクリル系粘着剤とした。
【0042】
つぎに、この水分散型アクリル系粘着剤を、ポリエステルフィルム(25μm厚)の片面に乾燥後の厚さが30μmになるように塗布して、100℃で2分間乾燥し、テープ状絶縁材を作製した。
【0043】
実施例2
実施例1において、単量体として、アクリル酸n−ブチル95部およびメタクリル酸5部を用いたこと、10重量%トリメチルアミン水溶液により共重合体エマルションをpH8に調整したこと以外は実施例1と同様にして水分散型アクリル系粘着剤とした。また実施例1において、前記水分散型アクリル系粘着剤を用い、乾燥条件を90℃で2分間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状絶縁材を作製した。
【0044】
実施例3
実施例1において、単量体として、2−エチルヘキシルアクリレート94部およびアクリル酸6部を用いたこと、10重量%トリメチルアミン水溶液により共重合体エマルションをpH7に調整したこと以外は実施例1と同様にして水分散型アクリル系粘着剤とした。また実施例1において、前記水分散型アクリル系粘着剤を用い、乾燥条件を80℃で2分間に変えたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状絶縁材を作製した。
【0045】
比較例1
実施例1において、10重量%トリメチルアミン水溶液の代わりに、10重量%アンモニア水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして水分散型アクリル系粘着剤とした。また実施例1において、前記水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと以外は実施例1と同様にして、テープ状絶縁材を作製した。
【0046】
比較例2
実施例2において、10重量%トリメチルアミン水溶液の代わりに、10重量%アンモニア水溶液を用いたこと以外は実施例2と同様にして水分散型アクリル系粘着剤とした。また実施例2において、前記水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと以外は実施例2と同様にして、テープ状絶縁材を作製した。
【0047】
比較例3
実施例3において、10重量%トリメチルアミン水溶液の代わりに、10重量%アンモニア水溶液を用いたこと以外は実施例3と同様にして水分散型アクリル系粘着剤とした。また実施例3において、前記水分散型アクリル系粘着剤を用いたこと以外は実施例3と同様にして、テープ状絶縁材を作製した。
【0048】
以上の実施例1〜3および比較例1〜3で得られた各テープ状絶縁材について、下記の方法により電食係数(絶縁特性)、接着力を調べた。これらの結果を表1に示す。
【0049】
<電食係数(絶縁特性)>
電気絶縁用ポリエステルフィルム粘着テープの試験方法が記載されているJIS C−2338に準じて電食係数を測定した。
【0050】
<接着力>
JIS Z−0237に準じてステンレス板にテープ状絶縁材を貼合わせ、剥離力(180度ピール,剥離速度300mm/分)を測定した。
【0051】
【表1】
Figure 2004231676
表1に示す通り、実施例のテープ状絶縁材は、JIS C−2338で規定される電食係数が0.98以上となっており、本発明のテープ状絶縁材の電食係数が良好であり絶縁特性に優れていることが認められる。

Claims (8)

  1. 絶縁基材の片面または両面に粘着剤層を設けたテープ状絶縁材において、
    前記粘着剤層が、アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有する水分散型アクリル系粘着剤により形成されたものであることを特徴とするテープ状絶縁材。
  2. アルキルアミンが、アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアミンであることを特徴とする請求項1記載のテープ状絶縁材。
  3. 請求項1または2記載のテープ状絶縁材が貼合されていることを特徴とする絶縁物品。
  4. アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有することを特徴とする絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤。
  5. アルキルアミンが、アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアミンであることを特徴とする請求項4記載の絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤。
  6. アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつカルボキシル基含有単量体を含有してなる単量体を、乳化剤の存在下で乳化重合して得られた共重合体エマルションのアルキルアミンによる中和物を含有することを特徴とする水分散型アクリル系粘着剤。
  7. アルキルアミンが、アルキル基の炭素数1〜4のアルキルアミンであることを特徴とする請求項6記載の水分散型アクリル系粘着剤。
  8. 基材の片面または両面に粘着剤層を設けた感圧性粘着テープにおいて、前記粘着剤層が、請求項6または7記載の水分散型アクリル系粘着剤により形成されたものであることを特徴とする感圧性接着テープ。
JP2003018374A 2003-01-28 2003-01-28 テープ状絶縁材、絶縁物品、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ Pending JP2004231676A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003018374A JP2004231676A (ja) 2003-01-28 2003-01-28 テープ状絶縁材、絶縁物品、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003018374A JP2004231676A (ja) 2003-01-28 2003-01-28 テープ状絶縁材、絶縁物品、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004231676A true JP2004231676A (ja) 2004-08-19

Family

ID=32948517

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003018374A Pending JP2004231676A (ja) 2003-01-28 2003-01-28 テープ状絶縁材、絶縁物品、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004231676A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009203351A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Lintec Corp 粘着シート
JP2010196072A (ja) * 2010-06-02 2010-09-09 Nitto Denko Corp 粘着シート類
EP2568026A1 (en) 2011-09-07 2013-03-13 Nitto Denko Corporation Aqueous dispersion pressure-sensitive adhesive composition and pressure-sensitive adhesive sheet

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009203351A (ja) * 2008-02-28 2009-09-10 Lintec Corp 粘着シート
JP2010196072A (ja) * 2010-06-02 2010-09-09 Nitto Denko Corp 粘着シート類
EP2568026A1 (en) 2011-09-07 2013-03-13 Nitto Denko Corporation Aqueous dispersion pressure-sensitive adhesive composition and pressure-sensitive adhesive sheet
JP2013056983A (ja) * 2011-09-07 2013-03-28 Nitto Denko Corp 水分散型粘着剤組成物および粘着シート

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4572007B2 (ja) 水分散型再剥離用感圧接着剤とその接着シ―ト類
EP0913443A1 (en) Heat-sensitive and pressure-sensitive adhesive sheet
CN105555896A (zh) 聚丙烯膜用胶粘剂组合物及其制备方法
JP3877146B2 (ja) 再剥離型感圧接着剤およびその接着シート
JP2003313525A (ja) 水分散型粘着剤組成物及び粘着製品
JP4302371B2 (ja) テープ状絶縁材、絶縁物品および絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤
JP3914015B2 (ja) 水分散型粘着剤組成物及び粘着シート
JP4804633B2 (ja) 水分散型粘着剤組成物及び粘着シート類
JP5064066B2 (ja) マスキングシート
CN107428854B (zh) 水性乳液、水性乳液的制造方法、水性粘合剂组合物及粘合片材
JP4151811B2 (ja) 粘着剤組成物及び粘着シート
JP2004231676A (ja) テープ状絶縁材、絶縁物品、絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ
JP2005179412A (ja) テープ状絶縁材、絶縁物品および感圧性接着テープ
JP2005023293A (ja) テープ状絶縁材、テープ状絶縁材が貼合された絶縁物品並びに感圧性接着テープ
WO2024004812A1 (ja) 両面粘着シート
JP2004189933A (ja) 水性エマルション型粘着剤組成物
JP5252382B2 (ja) 水分散型粘着剤組成物及び粘着シート
JP2006283034A (ja) 水分散型粘着剤組成物及び粘着製品
JP2004165025A (ja) テープ状絶縁材、絶縁物品および絶縁材用水分散型アクリル系粘着剤
JP4480875B2 (ja) 粘着剤組成物とその粘着シート類およびその製造方法
JP4125887B2 (ja) アクリル系粘着シート
JP2004363067A (ja) テープ状絶縁材、絶縁物品、水分散型アクリル系粘着剤および当該粘着剤を用いた感圧性接着テープ
JP2006282733A (ja) 物品の仮止め固定用粘着テープおよび仮止め固定物品
JP4061119B2 (ja) 水分散型粘着剤組成物および粘着シート
JP2007112842A (ja) 水分散型粘着剤組成物及び粘着シート