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JP2004224924A - マクロアゾ開始剤を用いたブロックポリマーの製造法 - Google Patents

マクロアゾ開始剤を用いたブロックポリマーの製造法 Download PDF

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JP2004224924A
JP2004224924A JP2003015018A JP2003015018A JP2004224924A JP 2004224924 A JP2004224924 A JP 2004224924A JP 2003015018 A JP2003015018 A JP 2003015018A JP 2003015018 A JP2003015018 A JP 2003015018A JP 2004224924 A JP2004224924 A JP 2004224924A
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polyolefin
compound
polymer
acid
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Application number
JP2003015018A
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English (en)
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Hideyuki Kaneko
英之 金子
Shinichi Kojo
古城  真一
Shingo Matsuo
真吾 松尾
Nobuo Kawahara
信夫 川原
Tomoaki Matsuki
智昭 松木
Norio Kashiwa
典夫 柏
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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Abstract

【課題】新規なマクロアゾ化合物を開始剤として用いることにより、成形加工性の良好な様々な種類のポリオレフィンと極性ポリマーとが化学結合したブロックポリマーの新規製造方法を提供すること。
【解決手段】下記式(I)で表される、分子中にポリオレフィン鎖を含有するマクロアゾ化合物を開始剤として、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマーを重合することより得られるポリオレフィン骨格を有するブロックポリマーの製造法。
【化1】
Figure 2004224924

〔式(I)中、R〜Rは低級アルキル基またはシアノ基であり、XおよびX’は低級アルキレン基であり、WおよびW’はエステル基、アミド基、エーテル基から選ばれる結合基であり、PおよびP’はCH=CHR(式中、RはC〜C20の炭化水素基、水素原子等。)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させて得られるポリマー鎖である。〕
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無極性のポリオレフィンを含有するブロックポリマーに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンは、軽量かつ安価な上に、優れた物性と加工性を持つという特性を有する反面、印刷性、塗装性、耐熱性、耐衝撃性および他の極性を有するポリマーとの相溶性などの高機能性を付与するという観点ではその高い化学的安定性が妨げとなっている。この欠点を補い、ポリオレフィンに機能性を持たせる方法として、例えばラジカル重合法によりオレフィンと酢酸ビニル、メタクリル酸エステルなどの極性モノマーを共重合する方法や、過酸化物の存在下にポリオレフィンに無水マレイン酸などの極性モノマーをグラフトさせる方法が知られている。しかしながら、これらの方法は得られるポリマー中におけるポリオレフィン部分の構造を精密に制御することが困難であり、ポリオレフィン本来の優れた物性を保持するには不充分であった。
【0003】
構造が精密に制御されたポリオレフィン部分を有し、かつポリオレフィンのみでは発現し得ない機能を有するポリマーを製造する手段の一つとして、末端に重合開始点を有するポリオレフィンを用い、そこから極性モノマーの重合を行うことによりポリオレフィン鎖と極性ポリマー鎖が化学結合したブロックポリマーを製造する方法が考えられる。
このようなブロックポリマーの製造法としては、例えば特開昭60−252614号公報および特開昭60−252623号公報には、特定のバナジウム系触媒を用いて合成したポリプロピレン系重合体の末端に重合開始点を導入し、メチルメタクリレートやテトラヒドロフランなどを重合してブロックポリマーを製造する方法が開示されている。また、特開平6−306112号公報には、ランタノイド錯体を用いたブロックポリマーの製造方法が開示されている。
一方、WO98/02472には、ポリオレフィンの末端にホウ素化合物を導入し、これを過酸化物に変換してメチルメタクリレートなどのモノマーをラジカル重合してブロックポリマーを製造する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の方法のうち、バナジウム系触媒を用いる方法では製造可能なポリオレフィンの種類はポリプロピレン系重合体に限られており、また、ランタノイド錯体を用いる方法ではポリエチレン系重合体に限られている。しかも、これらの方法では、ポリオレフィン部の分子量分布(Mw/Mn)は1.5以下と比較的狭い分布となることが示されている。しかしながら重合体の成形加工面を考えるとポリオレフィンセグメントの分子量分布(Mw/Mn)は大きいことが好ましく、これらの方法を用いてブロックポリマーを製造する方法はポリオレフィンセグメントに期待される成形加工性の点で充分満足すべき方法とは言い難い。また、ポリオレフィンの末端にホウ素化合物を導入する方法では、ポリオレフィンセグメントの重合法として工業的に広く用いられているメタロセン触媒を使用するため、上記のように製造可能なポリオレフィン構造に制限があることや成形加工性が不充分であることなどの問題は解決することが可能である。しかし、重合開始点として化学的に不安定な過酸化物を用いるため、急激な分解や爆発などの可能性があり、取り扱いの難しい面がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる現状において本発明者らは、鋭意検討の結果、ポリオレフィン製造用触媒として工業的に広く用いられている固体状チタン触媒やメタロセン触媒などに代表される遷移金属化合物を成分として含有する配位重合触媒により製造したポリオレフィンと、過酸化物に比べて比較的取り扱いの容易なラジカル重合開始剤として知られているアゾ化合物とを組み合わせた新規なマクロアゾ化合物を開始剤として用いることにより、成形加工性の良好な様々な種類のポリオレフィンと極性ポリマーとが化学結合したブロックポリマーを、開始剤の急激な分解や爆発などの危険性の少ない条件で製造する製造法を発明するに至った。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るブロックポリマーの製造法について具体的に説明する。本発明に係るポリオレフィン鎖含有ブロックポリマーの製造法では、下記式(I)で表される、分子中にポリオレフィン鎖を含有するマクロアゾ化合物
【0007】
【化2】
Figure 2004224924
〔式(I)中、R〜Rは低級アルキル基またはシアノ基であり、XおよびX’は低級アルキレン基であり、WおよびW’はエステル基、アミド基、エーテル基から選ばれる結合基であり、PおよびP’はCH=CHR(式中、Rは炭素原子数が1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子である。)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させて得られるポリマー鎖であり、R〜Rは互いに同一でも異なっていてもよく、X、X’は互いに同一でも異なっていてもよく、W、W’は互いに同一でも異なっていてもよく、P、P’は互いに同一でも異なっていてもよい。〕
を重合開始剤として用い、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマーを重合することより得られるポリオレフィン骨格を有するブロックポリマーが製造される。
【0008】
上記一般式(I)において、R〜Rで示される低級アルキル基としては、直鎖状でも分枝状でもよく、例えば炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、t−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基などが挙げられる。
XおよびX’で示される低級アルキレン基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、例えば炭素数1〜10のアルキレン基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、2−エチルヘキシレン基、ノニレン基、デシレン基、シクロプロピレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられ、なかでも炭素数1〜6のアルキレン基が好ましい。
【0009】
マクロアゾ化合物の製造法
本発明の上記一般式(I)で示されるマクロアゾ化合物は、下記一般式(II)
【0010】
【化3】
Figure 2004224924
〔式(II)中、R〜RXおよびX’は式(I)と同一であり、YおよびY’は水酸基、カルボキシル基、酸ハロゲン基から選ばれる官能基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。〕
で示されるアゾ化合物と、下記一般式(III)
【0011】
【化4】
Figure 2004224924
〔式(III)中、Pは式(I)と同一であり、Zは水酸基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、酸ハロゲン基、酸無水物基から選ばれる官能基である。〕で示される官能基含有ポリオレフィンとを、溶媒中、必要に応じて塩基性触媒の存在下に、縮合剤を用いて反応させることにより得られる。
【0012】
上記一般式(II)で示されるアゾ化合物の具体例としては、例えば2,2’アゾビス(2−シアノプロパノール)、3,3’−アゾビス(3−シアノブタノール)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)、5,5’−アゾビス(5−シアノヘキサノール)、6,6’−アゾビス(6−シアノヘプタノール)、7,7’−アゾビス(7−シアノオクタノール)などのアゾジオール類、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、5,5’−アゾビス(5−シアノヘキサン酸)、6,6’−アゾビス(6−シアノヘプタン酸)、7,7’−アゾビス(7−シアノオクタン酸)などのアゾジカルボン酸類、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸クロリド)、5,5’−アゾビス(5−シアノヘキサン酸クロリド)、6,6’−アゾビス(6−シアノヘプタン酸クロリド)、7,7’−アゾビス(7−シアノオクタン酸クロリド)などのアゾジカルボン酸ハライド類などが挙げられる。
【0013】
上記一般式(III)で示される官能基含有ポリオレフィンは、例えば、a)13族元素を含む基を有するポリオレフィンを製造し、次いで該ポリオレフィンの13族元素を含む基と官能基構造を有する化合物との置換反応を行った後加溶媒分解するか、または、b)該ポリオレフィンの13族元素を含む基を加溶媒分解により官能基を形成する構造を有する化合物との置換反応を行った後加溶媒分解することにより製造することができるが、本発明ではこれらの方法に何ら限定されるものではない。以下、上記の製造方法について詳細に説明する。
【0014】
13族元素を含む基を有するポリオレフィンの製造
13族元素を含む基を有するポリオレフィンの製造方法は、(A)13族元素を含む化合物の存在下で公知重合触媒によってオレフィン重合する方法と、(B)末端に不飽和結合を持つポリオレフィンと13族元素を含む化合物と反応によって製造する方法に大別される。以下、各々について説明する。
【0015】
〔(A)13族元素を含む化合物の存在下でオレフィン重合する方法〕
13族元素を含む基を有するポリオレフィンは、例えば既知のチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒などのオレフィン重合触媒を用いて13族元素を含む化合物の存在下、CH=CHRで示されるオレフィンを単独重合または共重合させて製造される。Rは、炭素原子数1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子である。
このようなCH =CHR で示されるオレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセンなどが挙げられる。
【0016】
13族元素を含む化合物としては、例えば有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、例えば下記式(IV)で示される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
AlA3−n ・・…(IV)
〔式(IV)中、R は炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Aはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。〕
は、炭素原子数1〜12の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0017】
このような有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;トリイソプレニルアルミニウムなどのトリアルケニルアルミニウム;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、エチルアルミニウムジハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0018】
また有機アルミニウム化合物として、下記式(V)で示される化合物を用いることもできる。
AlB3−n ・・…(V)
上記式(V)において、R は上記と同様であり、Bは−OR 基、−OSiR 基、−OAlR 基、−NR 基、−SiR 基または−N(R )AlR 基であり、nは1〜2であり、R 、R 、R およびR はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、R は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RおよびRはメチル基、エチル基などである。
【0019】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物を例示できる。
(i)R Al(OR3−nで表される化合物、例えば、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、(ii)R Al(OSiR3−nで表される化合物、例えば、EtAl(OSiMe)、(iso−Bu)Al(OSiMe)、(iso−Bu)Al(OSiEt)など、(iii)R Al(OAlR 3−nで表される化合物、例えば、 EtAlOAlEt、(iso−Bu)AlOAl(iso−Bu) など、(iv)R Al(NR 3−nで表される化合物、例えば、MeAlNEt、EtAlNHMe、MeAlNHEt 、EtAlN(MeSi) 、(iso−Bu)AlN(MeSi)など、(v)R Al(SiR 3−nで表される化合物、例えば、(iso−Bu)AlSiMeなど、(vi)R Al〔N(R)−AlR 3−nで表される化合物、例えば、EtAlN(Me)−AlEt、(iso−Bu)AlN(Et)Al(iso−Bu) など。
【0020】
また、これに類似した化合物、例えば酸素原子、窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。より具体的には、(CAlOAl(C 、(CAlOAl(C 、(CAlN(C)Al(C、など、さらにメチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類(有機アルミニウムオキシ化合物)を挙げることができる。
【0021】
また、下記式(VI)の有機アルミニウム化合物を用いることもできる。
AlAB ・・…(VI)
〔R、A、Bは上記式(IV)または(V)と同様である。〕
【0022】
13族元素を含む化合物として、有機ホウ素化合物を用いることもできる。有機ホウ素化合物としては、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロン、テキシルボラン、ジシクロヘキシルボラン、ジシアミルボラン、ジイソピノカンフェニルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、カテコールボラン、B−ブロモ−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、ボラン−トリエチルアミン錯体、ボラン−メチルスルフィド錯体などが挙げられる。
【0023】
また、有機ホウ素化合物としてイオン性化合物を使用してもよい。このような化合物としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ホウ素、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ホウ素、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ホウ素、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(フェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[トリ(n−ブチル)アンモンニウム]ノナボレート、ビス[トリ(n−ブチル)アンモンニウム]デカボレートなどが挙げられる。
また、これらの13族元素を含む化合物は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いることもできる。
【0024】
〔(B)末端に不飽和結合を持つポリオレフィンから製造する方法〕
また、13族元素を含む基を有するポリオレフィンは、末端に不飽和結合を持つポリオレフィンを用いて製造することもできる。具体的には、末端が不飽和結合であるポリオレフィンと、13族元素を含む化合物、例えば有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物とを反応させて、13族元素を含む基を有するポリオレフィンとする方法である。
【0025】
片末端が不飽和結合であるポリオレフィン(末端不飽和ポリオレフィン)は、例えば既知のチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒などのオレフィン重合触媒の存在下に炭素原子数2〜20のオレフィンを重合または共重合させて製造することができる。炭素原子数2〜20のオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどが好ましく用いられる。
このようにして得られた末端不飽和ポリオレフィンと13族元素を含む化合物を反応させて13族元素を含む基を有するポリオレフィンに変換する。なお、得られたポリオレフィンが、片末端に13族元素が結合したものと、片末端が不飽和結合末端であるものとの混合物である場合にも、必要に応じて、片末端が不飽和結合末端であるポリオレフィンの末端を13族元素が結合した末端に変換してもよい。
【0026】
反応に用いられる13族元素を含む化合物は、有機アルミニウム化合物または有機ホウ素化合物が好ましく用いられる。中でも、トリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハイドライドまたは1つ以上の水素−ホウ素結合を有するホウ素化合物であることがより好ましく、有機アルミニウムとしてはジアルキルアルミニウムハイドライドが特に好ましく、有機ホウ素化合物としては9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナンが特に好ましい。
【0027】
片末端が不飽和結合末端であるポリオレフィンと、13族元素を含む化合物との反応は、例えば以下のようにして行われる。
(i) 末端がビニリデン基であるポリプロピレン0.1〜50gと、ジイソブチルアルミニウムハイドライドの0.01〜5モル/リットル−オクタン溶液を5〜1000ミリリットルとを混合し、0.5〜6時間還流させる。
(ii) 末端がビニリデン基であるポリプロピレン0.1〜50gと、5〜1000ミリリットルの無水テトラヒドロフランと、0.1〜50ミリリットルの9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの0.05〜10モル/リットル−テトラヒドロフラン溶液とを混合し、20〜65℃で0.5〜24時間攪拌する。
以上のようにして、13族元素を含む基を有するポリオレフィンが製造される。
【0028】
一般式( III )で示される官能基含有ポリオレフィンへの変換
このようにして製造された13族元素を含む基を有するポリオレフィンは、
(方法a)該ポリオレフィンの13族元素を含む基と官能基構造を有する化合物との置換反応を行い、次いで加溶媒分解するか、または、
(方法b)該ポリオレフィンの13族元素を含む基を加溶媒分解により官能基を形成する構造を有する化合物との置換反応を行い、次いで加溶媒分解することにより、一般式(III)におけるZが水酸基である下記一般 式(VII)で示されるポリオレフィンに変換することができる。
【0029】
【化5】
Figure 2004224924
式中、Pは前記と同様である。
【0030】
(方法a)で用いられる、官能基構造を有する化合物としては、ハロゲンガス、メチルクロロホルミエート、フタル酸クロライドなどが挙げられる。また、(方法b)で用いられる、加溶媒分解により官能基を形成する構造を有する化合物としては、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素などが挙げられる。
【0031】
上記のようにして得られた13族元素を含む基を有するポリオレフィンの13族元素を含む基と、官能基構造を有する化合物または加溶媒分解により官能基を形成する構造を有する化合物との置換反応は、通常0〜300℃、好ましくは10〜200℃の温度で、0〜100時間、好ましくは0.5〜50時間行われる。置換反応を行った後、加溶媒分解する際の温度は、通常0〜100℃、好ましくは10〜80℃の温度であり、加溶媒分解時間は、0〜100時間、好ましくは0.5〜50時間である。加溶媒分解に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、水などが挙げられる。
【0032】
また、上記一般式(III)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、Zがエポキシ基であるポリオレフィンは、前記の方法で製造された末端不飽和ポリオレフィンを、例えば特開昭63−305104号公報などに示される方法を用いて不飽和結合をエポキシ化することによっても製造することができる。
具体的には、上記の方法で製造された末端不飽和ポリオレフィンに、1) ギ酸、酢酸などの有機酸と過酸化水素との混合物を反応させる、あるいは、2) m−クロロ過安息香酸などの有機過酸化物を反応させることによって製造することができる。
【0033】
さらに、上記一般式(III)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、Zが酸無水物基であるポリオレフィンは、上記の方法で製造された末端不飽和ポリオレフィンを、例えばMakromol. Chem. Macromol. Symp., 48/49,317(1991)、あるいはPolymer, 43, 6351 (2002) などに示される方法を用いて、例えば無水マレイン酸などと熱反応させることにより末端に酸無水物を導入する方法を用いて製造することができる。
また、上記一般式(III)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、Zがカルボキシル基であるポリオレフィンは、上記一般式(VII)で示される水酸基を有するポリオレフィンを酸化することにより水酸基をカルボキシル基に変換する方法を用いて製造することができる。
【0034】
また、上記一般式(III)で示される官能基を有するポリオレフィンは、既知のチーグラーナッタ触媒やメタロセン触媒などのオレフィン重合触媒を用い、CH=CHRで示されるオレフィンと官能基を有するオレフィン類とを共重合することによっても製造することが可能である。Rは、炭素原子数1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子である。
【0035】
このようなCH =CHR で示されるオレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン、デセンなどが挙げられる。
共重合に用いられる官能基を有するオレフィン類としては、アリルアルコール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、6−ヘプテン−1−オール、8−ノネン−1−オール、10−ウンデセン−1−オールなどの炭化水素部分が直鎖状である不飽和アルコール類、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸、9−デセン酸などの不飽和カルボン酸類、アリルアミン、5−ヘキセンアミン、6−ヘプテンアミンなどの不飽和アミン類、(2,7−オクタジエニル)コハク酸無水物、ペンタプロペニルコハク酸無水物および上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸無水物基に置き換えた化合物などの不飽和酸無水物類、上記不飽和カルボン酸類にある化合物の例示において、カルボン酸基をカルボン酸ハライド基に置き換えた化合物などの不飽和カルボン酸ハライド類、4−エポキシ−1−ブテン、5−エポキシ−1−ペンテン、6−エポキシ−1−ヘキセン、7−エポキシ−1−ヘプテン、8−エポキシ−1−オクテン、9−エポキシ−1−ノネン、10−エポキシ−1−デセン、11−エポキシ−1−ウンデセンなどの不飽和エポキシ化合物類などが挙げられる。
【0036】
上記一般式(I)で示されるマクロアゾ化合物を製造する際の、上記一般式(II)で示されるアゾ化合物と、上記一般式(III)で示される官能基を有するポリオレフィンとの組み合わせについては、例えば下記に示される組み合わせが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
(1)上記一般式(II)において、YおよびY’が共にカルボキシル基であるアゾ化合物と、上記一般式(III)において、Zが水酸基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(2)上記一般式(II)において、YおよびY’が共にカルボキシル基であるアゾ化合物と、上記一般式(III)において、Zがアミノ基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(3)上記一般式(II)において、YおよびY’が共に水酸基であるアゾ化合物と、上記一般式(III)において、Zがエポキシ基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(4)上記一般式(II)において、YおよびY’が共に水酸基であるアゾ化合物と、上記一般式(III)において、Zがカルボキシル基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(5)上記一般式(II)において、YおよびY’が共に水酸基であるアゾ化合物と、上記一般式(III)において、Zが酸無水物基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(6)上記一般式(II)において、YおよびY’が共に酸ハライド基であるアゾ化合物と、上記一般式(III)において、Zが水酸基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
(7)上記一般式(II)において、YおよびY’が共に酸ハライド基であるアゾ化合物と、上記一般式(III)において、Zがアミノ基である末端に官能基を有するポリオレフィン。
【0037】
本発明のマクロアゾ化合物を製造する際の上記一般式(II)で示されるアゾ化合物に対する上記一般式(III)で示される官能基を有するポリオレフィンの使用量は、アゾ化合物に対して、通常0.1〜100倍モル、好ましくは0.3〜10倍モルである。
【0038】
反応溶媒としては、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカンなどの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘキセンなどの脂環族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、2,4−ジクロロトルエンなどのハロゲン化炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらはそれぞれ単独で用いても、複数を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0039】
縮合剤としては、例えば濃硫酸、五酸化二リン、無水塩化亜鉛などの無機脱水縮合剤類、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩などのカルボジイミド類、ポリリン酸、無水酢酸、カルボニルジイミダゾール、p−トルエンスルホニルクロリドなどが挙げられる。
【0040】
アゾ化合物と官能基を有するポリオレフィンとの反応は塩基性触媒の存在下で行うのが好ましい。具体的には、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピペリジン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン、トリ−n−ブチルアミン、N−メチルモルホリンなどの有機アミン類、水素化ナトリウム、n−ブチルリチウムなどのアルカリ金属化合物類などが挙げられる。
反応温度は、高すぎるとアゾ基が分解し、低すぎると反応速度が遅くなるため、通常0〜60℃である。反応時間は、反応温度や使用するアゾ化合物および官能基を有するポリオレフィンの種類や量によって異なるが、通常1〜48時間である。
【0041】
なお、一般式(III)で示される官能基を有するポリオレフィンのうち、官能基としてカルボキシル基を持つ場合には、まず、例えば五塩化リンや塩化チオニルなどと反応させて酸クロリド化合物とし、これと一般式(II)で示されるアゾ化合物とを適当な溶媒中、塩基の存在下、反応させることによっても製造することができる。
【0042】
ブロックポリマーの製造法
上記のようにして得られたマクロアゾ化合物は、加熱または光照射によって容易にアゾ基が分解し、窒素ガスの発生と共にラジカル活性種を生じることから、重合開始剤として用いることができる。すなわち、上記一般式(I)で示されるマクロアゾ化合物の存在下、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマーを重合することより、マクロアゾ化合物に含まれるポリオレフィン鎖と、上記モノマーの重合により生成したポリマー鎖とが、化学結合したブロックポリマーが得られる。
【0043】
炭素―炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマーとしては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モノマー、パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノマー、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステル、フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステルおよびジアルキルエステル、マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノマー、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル系モノマー、エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン系モノマー、ブタジエン、イソプレン等のジエン系モノマー、塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等が挙げられる。これらの有機化合物は、単独で、または2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。
【0044】
使用できる溶媒としては、反応を阻害しないものであれば何れでも使用することができるが、例えば、具体例として、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンおよびデカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンおよびデカヒドロナフタレンのような脂環族炭化水素系溶媒、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素およびテトラクロルエチレン等の塩素化炭化水素系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノールおよびtert−ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸エチルおよびジメチルフタレート等のエステル系溶媒、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジ−n−アミルエーテル、テトラヒドロフランおよびジオキシアニソールのようなエーテル系溶媒等をあげることができる。また、水を溶媒として、懸濁重合、乳化重合することもできる。これらの溶媒は、単独でもまたは2種以上を混合して使用してもよい。また、これらの溶媒の使用によって、反応液が均一相となることが好ましいが、不均一な複数の相となっても構わない。
【0045】
反応温度は重合反応が進行する温度であれば何れでも構わず、所望する重合体の重合度、使用するマクロアゾ開始剤および溶媒の種類や量によって一様ではないが、通常、−100℃〜250℃である。好ましくは−50℃〜180℃であり、更に好ましくは0℃〜160℃である。反応は場合によって減圧、常圧または加圧の何れでも実施できる。上記重合反応は、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
【0046】
上記のように、分子中にポリオレフィン鎖を含有するマクロアゾ化合物を重合開始剤として用いることにより、ポリオレフィン鎖を含有するブロックポリマーを容易にかつ効率的に製造することができる。また、本発明により得られたポリマーは、マクロアゾ化合物自体に含まれているポリオレフィンセグメントと、マクロアゾ化合物を開始剤としてラジカル重合することにより得られたポリマーセグメントの両方を含んでいるため、ポリオレフィンへの親和性はもとより、PET樹脂やアクリル系樹脂、ナイロン樹脂などへの親和性も兼ね備えており、多岐に渡る用途が考えられる。
【0047】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
[末端Al化エチレン/プロピレンランダム共重合体(EPR)の合成]
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製オートクレーブに精製トルエン800mlを入れ、エチレン20リットル/h、プロピレン80リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、50℃にてMAOをAl換算で20ミリモルおよびビス(1,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド0.02ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、50℃で120分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を停止した。反応液を1N塩酸水溶液100mlで5回洗浄し、さらに水100mlで2回洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、グラスフィルター(G3)でろ過して硫酸マグネシウムを除去した。ろ液を濃縮し、得られたオイル状物質を10時間真空乾燥して無色透明のオイル状EPR158.1gを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したところ、Mwが5140、Mnが1550、Mw/Mnは3.3であった。また、IR分析により該ポリマーのプロピレン含量は70mol%であり、末端ビニリデン基は1000炭素当たり11.7個含まれていた。得られた末端ビニリデン基含有EPR100gを充分窒素置換した500mlのガラス製反応器に入れ、トルエン250mlおよびジイソブチルアルミニウムヒドリド44.4mlを加えて105℃で5時間加熱攪拌を行った。このようにして末端Al化EPRを含むトルエン溶液を得た。
【0048】
[末端OH化EPRの合成]
上記にて得られたトルエン溶液を105℃に保ち、窒素ガスを乾燥空気に切り替え、該温度を保ちながら100リットル/hの流量で8時間供給しつづけた後、溶液を分液漏斗に移し、1N塩酸水溶液300mlで3回洗浄し、さらに水200mlで4回洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、グラスフィルター(G3)でろ過し、ろ液を濃縮後、得られた黄色オイル状物質を10時間真空乾燥して96.0gのオイル状ポリマーを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をGPCにより測定したところ、Mwが5420、Mnが1650、Mw/Mn=3.3であった。
該ポリマー100mgを25℃で0.6mlの重クロロホルムに溶解させて得たサンプルをH−NMR(日本電子製JEOL GSX−270)を用いて分析をおこなったところ、3.3−3.6ppmにヒドロキシル基に隣接するメチレン基に基づくシグナルが認められた。すなわち、以下の構造の末端を有するEPRが存在することを確認した。また、積分値からOH基含量は0.85mol%と算出された。
【0049】
【化6】
Figure 2004224924
【0050】
[マクロアゾ化合物の合成]
充分窒素置換した100mlシュレンク管に、上記にて得られた末端OH化EPR20gを入れ、クロロホルム30mlおよび4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.94g、4−ジメチルアミノピリジン0.041g、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド1.52gを加えて室温で7.5時間攪拌した。析出した白色固体をグラスフィルター(G3)でろ別した後、ろ液を分液漏斗に移し、0.5N塩酸水溶液100mlで3回洗浄し、さらに水100mlで2回洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、グラスフィルター(G3)でろ過し、ろ液を濃縮後、得られた淡黄色オイル状物質を10時間真空乾燥して26.4gの淡黄色オイル状ポリマーを得た。
該ポリマー100mgを25℃で0.6mlの重クロロホルムに溶解させて得たサンプルをH−NMR(日本電子製JEOL GSX−270)を用いて分析をおこなったところ、2.4−2.6ppmにカルボニル基に隣接する2つのメチレン基、4.05−4.2ppmにエステル基の酸素原子に隣接するメチレン基のシグナルがそれぞれ認められた。すなわち、以下の構造のEPR含有マクロアゾ化合物が存在することを確認した。また、積分値からアゾ基含量は0.48mol%と算出され、原料のOH基がほぼ定量的に変換されていることが判明した。
【0051】
【化7】
Figure 2004224924
【0052】
[ブロックポリマーの合成]
充分窒素置換した50mlシュレンク管に、上記にて得られたマクロアゾ化合物3.0gを入れ、乾燥トルエン20mlで希釈した後、メチルメタクリレート(MMA)10mlを加えて80℃で4時間攪拌した。反応液をメタノール400ml中に注ぎ、析出した白色ポリマーをグラスフィルター(G3)でろ過した。得られた白色ポリマーのうち3.1gをとり、ヘキサンでソックスレー抽出を行い、未反応のEPRを除去した。残った白色ポリマーのうち1gを少量のクロロホルムに溶解し、大量のヘキサン中に注いで攪拌した。析出した白色ポリマーをグラスフィルター(G3)でろ別し、ろ液を濃縮後、得られた白色ポリマーを10時間真空乾燥して0.43gのブロックポリマーを得た。該ポリマーの分子量(EPR換算)をGPCにより測定したところ、Mwが12580、Mnが4990、Mw/Mn=2.5であった。
H−NMRから計算した各ユニットの組成は、エチレンユニット17.5%、プロピレンユニット45.3%、MMAユニット37.2%であった。
【0053】
〔実施例2〕
[末端Al化ポリプロピレン(PP)の合成]
充分に窒素置換した内容積1Lのガラス製オートクレーブに精製トルエン800mlを入れ、プロピレン100リットル/hを吹き込むことにより液相および気相を飽和させた。その後、75℃にてMAOをAl換算で1.76ミリモルおよびエチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド0.005ミリモルを加えて重合を開始した。常圧下、75℃で60分間重合させた後、少量のイソブチルアルコールを添加して重合を停止した。重合終了後、少量の塩酸を含んだメタノール溶液2L中に反応液を投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーをメタノールで2回洗浄した後、得られたポリマーを80℃で10時間真空乾燥した。該ポリマーの分子量(PS換算)をGPCにより測定したところ、Mwは13800であった。また、IR分析によりポリマー末端にビニリデン基が存在することを確認した。得られた末端ビニリデン基含有PP26.6gを充分窒素置換した1Lのガラス製反応器に入れ、デカン800mlおよびジイソブチルアルミニウムヒドリド34.6ミリモルを加えて100℃で7時間加熱攪拌を行った。このようにして末端Al化PPを含むデカン溶液を得た。
【0054】
[末端OH化PPの合成]
上記にて得られたデカン溶液を100℃に保ち、窒素ガスを乾燥空気に切り替え、該温度を保ちながら100リットル/hの流量で7時間供給しつづけた後、少量の塩酸を含んだメタノール溶液2L中に反応液を投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーをメタノールで2回洗浄した後、得られたポリマーを80℃で10時間真空乾燥して23.5gの白色ポリマーを得た。該ポリマーの分子量(PS換算)をGPCにより測定したところ、Mwが13300、Mnが7900、Mw/Mn=1.7であった。
H−NMR分析から、得られたポリマー中にはOH基が含まれており、その含量は0.48mol%と算出された。
【0055】
[マクロアゾ化合物の合成]
充分窒素置換した100mlシュレンク管に、上記にて得られた末端OH化PP3.0gを入れ、クロロホルム30mlおよび4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)1.06g、4−ジメチルアミノピリジン0.046g、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド1.72gを加えて室温で13時間攪拌した。反応終了後、少量の塩酸を含んだメタノール溶液400ml中に反応液を投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーをメタノールで2回洗浄した後、得られたポリマーを30時間真空乾燥して3.01gの白色ポリマーを得た。
[ブロックポリマーの合成]
充分窒素置換した100mlシュレンク管に、上記にて得られたマクロアゾ化合物1.0gを入れ、乾燥トルエン20mlで希釈した後、MMA5mlを加えて80℃で6時間攪拌した。反応液をメタノール400ml中に注ぎ、析出した白色ポリマーをグラスフィルター(G3)でろ過した。得られた白色ポリマーのうち2.0gをとり、アセトンでソックスレー抽出を14時間行った後、80℃で10時間真空乾燥して0.66gのブロックポリマーを得た。該ポリマーの分子量(PS換算)をGPCにより測定したところ、Mwが19100、Mnが9800、Mw/Mn=1.95であった。
H−NMRから計算した各ユニットの組成は、プロピレンユニット84.9%、MMAユニット15.1%であった。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば、新規なマクロアゾ化合物を開始剤として用いることにより、様々な種類のポリオレフィンと極性ポリマーとが化学結合したブロックポリマーを、開始剤の急激な分解や爆発などの危険性の少ない条件で製造することが可能となる。

Claims (1)

  1. 下記式(I)で表される、分子中にポリオレフィン鎖を含有するマクロアゾ化合物
    Figure 2004224924
    〔式(I)中、R〜Rは低級アルキル基またはシアノ基であり、XおよびX’は低級アルキレン基であり、WおよびW’はエステル基、アミド基、エーテル基から選ばれる結合基であり、PおよびP’はCH=CHR(式中、Rは炭素原子数が1〜20の炭化水素基、水素原子またはハロゲン原子から選ばれる基または原子である。)で示されるオレフィンを単独重合または共重合させて得られるポリマー鎖であり、R〜Rは互いに同一でも異なっていてもよく、X、X’は互いに同一でも異なっていてもよく、W、W’は互いに同一でも異なっていてもよく、P、P’は互いに同一でも異なっていてもよい。〕
    を開始剤として、炭素−炭素不飽和結合を少なくとも一つ有する有機化合物から選ばれる1種以上のモノマーを重合することより得られるポリオレフィン骨格を有するブロックポリマーの製造法。
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