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JP2004210609A - 燃料改質装置及び燃料電池システム - Google Patents

燃料改質装置及び燃料電池システム Download PDF

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JP2004210609A
JP2004210609A JP2003000749A JP2003000749A JP2004210609A JP 2004210609 A JP2004210609 A JP 2004210609A JP 2003000749 A JP2003000749 A JP 2003000749A JP 2003000749 A JP2003000749 A JP 2003000749A JP 2004210609 A JP2004210609 A JP 2004210609A
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reforming
water
fuel
reformer
cooling
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JP2003000749A
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English (en)
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Toru Mukai
徹 向井
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】流量調整弁を用いることなく改質器の各冷却部に所要の流量の冷却水を供給することを可能とした改質器を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の冷却部(14,16,18)を備えて原料から水素リッチガスを生成する改質器(10)と、燃料供給手段(60)と、改質水供給手段(30)と、改質水分配手段(35〜37)と、熱回収手段(L6〜L10)と、供給される改質水の少なくとも1部を指令に応じて改質器に直接供給するバイパス供給手段(31,32)と、要求水素量に応じて改質水と原燃料の各供給量を制御する制御手段(50)と、を含み、制御手段は、要求水素量の増減に応じて改質水と原燃料との比(S/C)を増減しながら改質水の総流量(q)を増減し、当該比が使用可能な下限値を下回るときには、バイパス供給手段(31,32)を動作させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を含む原燃料を水素リッチな燃料ガスに改質して燃料電池に供給する燃料改質装置及びこれを含む燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料の有する化学エネルギを、機械エネルギや熱エネルギを経由することなく直接電気エネルギに変換する装置であり、高いエネルギ効率が実現可能である。よく知られた燃料電池の形態としては、電解質層を挟んで一対の電極を配置し、一方の電極(陽極側)に水素を含有する燃料ガスを供給すると共に他方の電極(陰極側)に酸素を含有する酸化ガスを供給するものであり、両電極で起きる電気化学反応を利用して起電力を得る。以下に、燃料電池で起こる電気化学反応を表わす式を示す。(1)式はアノードにおける反応、(2)式はカソードにおける反応を表わし、燃料電池全体では(3)式に示す反応が進行する。
→ 2H+2e …(1)
(1/2)O+2H+2e → HO …(2)
+(1/2)O → HO …(3)
燃料電池は使用する電解質の種類や運転温度などにより分類されるが、これら燃料電池の中で、固体高分子型燃料電池、りん酸型燃料電池、溶融炭酸塩電解質型燃料電池等では、水素リッチガスを燃料ガスとして用いることができる。
【0003】
そこで、燃料電池に改質器を組み合わせ、メタノール、エタノール、天然ガス、LPG、ガソリン、軽油、DME(ジメチルエーテル)などの炭化水素系の原燃料を改質して水素を高濃度で含むガスを生成し、これを燃料として燃料電池に供給して発電システムを構成する。このような構成によれば燃料の貯蔵や取り扱いが容易となり、次世代車両の駆動システムとして開発が進められている。
【0004】
改質器は各種触媒ユニットから構成されているが、それぞれの触媒には最適温度があり、温度管理が必要である。このためシステム効率向上の目的も兼ね、改質水を冷却媒体に使用し、各触媒ユニットに設けられた冷却ユニットに改質水を流すことによって各触媒ユニットの温度を適正に保つと同時に熱回収を行うことが提案されている。
【0005】
例えば、特開平10−334935号公報には、改質器で都市ガスから水素リッチガスを取り出して燃料とするようにした燃料電池発電システムが紹介されている。この例では、改質器の各反応部の温度を調整するために各反応部に熱交換コイル(冷却部)を配置し、各熱交換コイルに流れる水量を流量調整弁で制御して各反応部の温度を適切に維持することによって燃料電池の運転効率を向上しようにしている。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−334935号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、流量調整弁は、入口・出口の圧力差にかかわりなく流量を所定の値に保持する複雑な構造の圧力補償機構、弁開度可変機構、弁を駆動するステップモータ、弁開度検出機構等を備えるため高価である。これを複数用いて改質器や燃料電池システムを構成すれば装置が高価格になる。
【0008】
よって、本発明は流量調整弁を用いることなく改質器の各冷却部に所要の流量の冷却水を供給することを可能とした改質器を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は流量調整弁を用いることなく改質器の各冷却部に所要の流量の冷却水を供給することを可能とすると共に、負荷変動に対応した改質水流量を供給することを可能とした改質器を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は流量調整弁を用いることなく改質器の各冷却部に所要の流量の冷却水を供給することを可能とすると共に、負荷変動に対応した改質水流量を供給することを可能とした燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成するため本発明の燃料改質改質装置は、複数の冷却部を備え、改質水と改質原燃料を含む改質原料から水素リッチガスを生成する改質器と、上記改質原燃料を上記改質器に供給する燃料供給手段と、上記改質水を供給する改質水供給手段と、供給される上記改質水を所定比率で分配して上記複数の冷却部に冷媒として供給する改質水分配手段と、各冷却部において熱を吸収した改質水を上記改質器に上記改質原料として供給する熱回収手段と、供給される上記改質水の少なくとも1部を指令に応じて上記改質器に上記改質原料として直接供給するバイパス供給手段と、要求水素量に応じて上記改質水と上記改質原燃料の各供給量を制御する制御手段と、を含み、上記制御手段は、上記要求水素量の増減に応じて上記改質水と上記改質原燃料との比(S/C)を増減しながら上記改質水の総流量を増減し、当該比が使用可能な下限値を下回るときには、上記バイパス供給手段を動作させる。
【0012】
かかる構成とすることによって、流量調整弁を用いずとも燃料電池の定常運転からS/Cが下限値に到達するまでは改質器反応部の熱収支を損なうことなく無段階で負荷を変更することが可能となり、部分負荷運転を可能とする。また、S/C下限値以下では、バイパス供給手段によって冷却部に余分な冷却水を流さないので反応部の冷却過剰を回避することが可能となる。
【0013】
好ましくは、上記改質水分配手段は、各冷却部の入口側にそれぞれ設けられた複数の絞り弁を含む。それにより、比較的に安価な部材で改質水の分配の比率を所望に設定することが可能となる。
【0014】
好ましくは、上記バイパス供給手段は、互いに直列に接続された開閉弁及び絞り弁の組を1つ又は複数含む。それにより、余分な改質水を冷却部に流さないようにすると共に低負荷領域での負荷を細かく変えて運転することが可能となる。
【0015】
上述した燃料改質装置は燃料電池システムの改質ガス供給源として好適である。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0017】
本発明の実施例においては、改質器の複数の冷却部に1つの改質水供給源から分岐した複数の冷却水供給系によって冷却水(q1〜q3)を供給し、この冷却水を改質水として使用する。また、当該1つの改質水供給源から蒸発部に不足改質水(q4)を供給するバイパス流路を備える。各冷却部入り口には絞り弁を、バイパス流路入口には開閉バルブと絞り弁とを配置する。そして、負荷変化と改質水(冷却水及びバイパス水)の供給関係を定常運転状態から許容S/C(水蒸気と原燃料中の炭素比)の下限値までは負荷に対応した全体の改質水流量(冷却水流量)を各冷却部に比例配分すると共に原燃料の流量を調整して負荷と改質水流量に対応する所要のS/Cに設定する。許容S/Cの下限値以下では、改質水供給源から下限S/C特性に沿って改質水流量を供給し、これにより生じる過冷却をもたらす余剰冷却水量(不足改質水量)分をバイパス流路から供給する。従って、予め各絞り弁を所定流量の比率となるように設定しておけば良く、個別的に流量値を設定できる流量調整弁を使用せずとも済む。
【0018】
それにより、水供給源が1つであるため、ポンプ、流量コントローラが1つで済むため、安価であり補機動力の低減にもなる。また、高価な流量調整弁ではなく、単純な絞り弁と開閉バルブを使用するため安価である。
【0019】
また、定常運転時に各冷却部の流量配分が適切になるよう絞り弁を調整しておき、低負荷運転を行う場合には負荷に応じてS/Cを下げることにより、流量配分は同じで冷却水流量を下げる。また、S/Cの下限に達した場合に更に低負荷運転を行う場合は、バイパス流路へのバルブを開くことにより、冷却過剰を防止する。
【0020】
(比較例)
まず、本発明の実施例の特徴をよりよく理解するために比較例から説明する。
【0021】
図6は、改質器の各冷却部に独立に冷却水を供給し、冷却部で暖められた冷却水を改質水として蒸発部に供給することによって燃料電池システムのエネルギ利用率を高めるようにしたものである。
【0022】
改質器10は、燃焼部11、蒸発部12、改質部13、冷却部14、高温シフト反応部15、冷却部16、低温シフト部16、CO浄化部18を備えている。燃焼部11は、改質器10で必要とする熱源を供給する。蒸発部12は原燃料と水とをガス化する。改質部13は水蒸気改質反応によって原燃料ガスと水蒸気とから水素を多量に含む改質ガス(水素リッチガス)を生成する。
【0023】
冷却部14は第1の冷却水(冷媒)との熱交換によって、高温シフト反応により一酸化炭素を二酸化炭素とする高温シフト部15に配置された触媒ユニットの温度を適正に保つ。冷却部16は第2の冷却水との熱交換によって、低温シフト反応により一酸化炭素を二酸化炭素とする低温温シフト部17に配置された触媒ユニットの温度を適正に保つ。CO浄化部18は改質ガスに残留する微量の一酸化炭素を触媒ユニットを使用した選択酸化反応によって低減する。この触媒ユニットの温度を適正に保つために第3の冷却水が供給される。なお、各部における化学反応を促進するために複数種類の触媒が使用されている。
【0024】
冷却部14及び16、CO浄化部18を経た第1乃至第3の冷却水は、加熱されて蒸発部12に改質水として供給される。また、蒸発部12は、改質水の不足分を補う第4の改質水が供給される。
【0025】
図8は、上記参考例における冷却水(改質水)供給を説明するグラフである。参考例の改質器では燃料電池の負荷に応じた水素量を供給するめに、各種触媒の温度をそれぞれに好適な触媒温度に冷却水(改質水)で保つと共に、改質水の流量を調整して改質水(水蒸気)と原燃料中の炭素とのモル比(S/C)を所定値とし、これを維持するようにしている。負荷の増減に応じて所定S/Cの改質燃料(混合ガス)の流量を増減することで所要の水素量を供給する。通常、エネルギ効率を考慮して定負荷状態(100%負荷)で第1乃至第3の冷却水流量q1〜q3が全て改質水流量Wとして使用されるようにS/Cを設定する。
【0026】
一方、各冷却部において必要な冷却水流量q1〜q3は、図中に示すように、反応熱量、投入熱量、放熱量などの違いにより負荷によって変化する。負荷が低下することによって必要な総冷却水流量Qは減少し、負荷に応じて必要な改質水流量Wよりも減少割合が大きい。このために、両者の不足流量分q4を第4の改質水供給手段によって蒸発部12に直接補うようにしている。
【0027】
図7は、図6に示す構成を1つの冷却水(改質水)供給系によって構成した例を示すものである。この例では、独立した冷却水供給を行うポンプなどの補機類に代えて自動制御可能な複数の流量調整弁によって冷却水流量q1〜q3、不足流量分q4を補うようにしている。
【0028】
しかしながら、前述したように圧力補償機能によって流量を所定の値に保持する流量調整弁は機構が複雑で高価であり、その代替えの提供が望まれるものである。
【0029】
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例に係る燃料改質器を概略的に示す説明図である。この改質器を用いた燃料電池システムについては、後に、図5を参照して説明する。なお、同図において図6と対応する部分には同一符号が付されている。
【0030】
この実施例においては、改質器の複数の冷却部の入り口にそれぞれ配置された複数の絞り弁35〜37と、バイパス流路に配置された開閉弁31と絞り弁32とを備えている。
【0031】
上述したように、改質器10は、水素原子を含有する原燃料から水素リッチな改質ガスを生成するものであり、燃焼部11、蒸発部12、改質部13、冷却部14、高温シフト反応部15、冷却部16、低温シフト部16、CO浄化部18を備えている。水素原子を含む原燃料としては、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)、ガソリン、軽油、天然ガス、メタノール(CHOH)、エタノール(COH)、DME(CHOCH)、アセトン(CHC(=O)CH)等の種々のものが使用可能であるが、以下の例では、メタノールを使用した場合について説明する。
【0032】
燃焼部11は、メタノールや図示しない燃料電池からの余剰水素等を燃焼してメタノールの改質反応(吸熱反応)を行う際に必要な熱量を発生し、蒸発部12、改質部13に設けられた熱交換機に供給する。
【0033】
蒸発部12は燃焼部11からの熱を熱交換器に受け、この熱を利用して後述のメタノールタンク及び水タンクから供給されるメタノール及び水(改質水)を気化させる。
【0034】
改質部13は、蒸発部12で気化した改質原料を改質するための触媒ユニットの他に内部を加熱する手段として電気式のヒータを備えて適切な反応温度を確保することもできる。改質器10が定常状態となったときにはこのヒータ及び改質反応の熱収支によって改質部13内部を改質反応に適した温度に維持することも可能となっている。改質部13には、例えば、改質反応を促進する触媒金属であるCu−Zn触媒で形成されたペレットが充填されており、十分に昇温されたメタノール及び水の気化ガスの供給を受けて水蒸気改質反応及び部分酸化改質反応を進行させ、水素リッチな改質ガスを生成する。
【0035】
水蒸気改質反応は、
CHOH+HO → CO+3H−131(kJ/mol)
CHOH → CO+2H
CO+HO → CO+H
として示される。
【0036】
更に、改質部13では、残留した気化メタノールに外部から酸化エア(O:21%,N:79%)を供給して(図示せず)部分酸化改質反応によって水素を生成することができる。
【0037】
部分酸化改質反応は、
CHOH+1/2O+1.9N→2H+CO+155(kJ/mol)
CHOH+3/2O+5.7N→+CO+2HO+5.7N
2CHOH+2HO→6H+2CO+2H
として示される。
【0038】
改質部13で生成された改質ガスは少量の一酸化炭素を含む。これは、燃料電池の電極で使用される白金触媒の機能を低下させるため、改質部13の下流側に一酸化炭素をシフト反応によって二酸化炭素とするシフト反応部を設けている。シフト反応部では、触媒の種類が異なる触媒ユニットを用いることによって種々の運転状態において一酸化炭素の酸化を促進すべく複数の反応部を配置している。実施例では、高温で触媒機能がより発揮される高温シフト反応部15と、低温でも触媒機能が発揮される低温シフト反応部17とを配置している。また、選択酸化反応を使用する反応部として後述のCO浄化部18を配置している。
【0039】
各反応部には、所要の触媒温度に保つべく冷却部が設けられている。各冷却部は図示しない共通の冷却水供給源から冷却水が供給される。
【0040】
第1の冷却部14は、冷却水供給源から絞り弁35を介して供給される第1の冷却水(冷媒)との熱交換によって、高温シフト反応により一酸化炭素を二酸化炭素とする高温シフト部15に配置された触媒ユニットの温度を適正に保つ。
【0041】
第2の冷却部16は、冷却水供給源から絞り弁36を介して供給される第2の冷却水との熱交換によって、低温シフト反応により一酸化炭素を二酸化炭素とする低温温シフト部17に配置された触媒ユニットの温度を適正に保つ。
【0042】
CO浄化部18は、改質ガスに残留する微量の一酸化炭素を触媒ユニットを使用した選択酸化反応によって低減する。すなわち、改質ガス中の水素に優先して一酸化炭素の酸化を行うべく、一酸化炭素の選択触媒である白金触媒、ルテニウム触媒、パラジウム触媒、金触媒、これらを使用する合金触媒などを担持する担体がCO浄化部18の触媒ユニットに充填されている。そして、外部から酸化エアを供給し、選択酸化反応によって一酸化炭素を二酸化炭素に変えている。この触媒ユニットの温度を適正に保つために冷却水供給源から絞り弁37を介して第3の冷却水が供給される。
【0043】
高温シフト反応部15、低温シフト反応部17、CO浄化部18を経て一酸化炭素が低減された改質ガスは後述する燃料電池に供給される。また、冷却部14及び16、CO浄化部18を経た第1乃至第3の冷却水は、冷却部の熱交換器で加熱されて蒸発部12に改質水として供給される。
【0044】
蒸発部12は、加熱された第1乃至第3の冷却水(あるいは水蒸気)を改質水として供給される。不足分は上述した冷却水供給源から開閉弁31及び絞り弁32を介して供給される。
【0045】
次に、改質器10における負荷(燃料電池の要求水素量)と供給改質水(冷却水+バイパス水)の制御について図2のグラフを参照して説明する。
【0046】
同図は、横軸に負荷を、定常運転における負荷を100%として示しており、縦軸に改質水(W)の流量又は冷却水(Q)の流量を示している。図中に、複数の実線で示されるグラフWは要求負荷に対するS/Cが所定値である改質燃料(原燃料と水)の改質水の流量を示す負荷対供給改質水流量特性であり、S/Cをパラメータとして使用可能なS/Cの上限(図示せず)と下限との間に複数の特性が示されている。また、より太い実線で示されるグラフQは負荷に対応して冷却部に供給されるべき負荷対供給冷却水流量特性を示している。グラフQは、図8に示したものと同様であり、各冷却部の冷却水流量q1〜q3が足し合わされたものとなっている。総冷却水流量Qに占める冷却水流量q1〜q3の割合(流量比)は絞り弁の35〜37の設定によって決定されている。
【0047】
負荷に応じた改質器の各冷却水の流量及びバイパス水流量の設定は後述の制御部によって以下の手順を実現するようになされる(図5参照)。
【0048】
定常運転(100%負荷)から低負荷に至るまでの改質水の供給を例として説明する。まず、制御部は、グラフQがS/C下限のグラフWを上方に越える範囲では、開閉バルブ31を閉じている。
【0049】
(1) 蒸発部12に供給すべき全改質水流量は燃料電池負荷とS/Cによって決定される。グラフQがS/C下限特性を上方に超える範囲では負荷に対応して必要となった全供給冷却水量(q1、q2、q3)を改質水として使用することが出来る。例えば、負荷100%の場合、横軸上の負荷100%の延長線とグラフQとの交点aを通過するグラフWのS/Cより、この改質水量に対応した原燃料の流量を設定することによって、負荷100%の要求に対する改質水と原燃料の各流量が決定される。それにより、要求されている水素量を燃料電池に供給することが可能となる。同様にして、負荷75%(b点)、負荷50%(c点)の場合も、各負荷の要求に対する改質水と原燃料の各流量が決定されるので、S/Cを下げながら改質水(冷却水)の流量を減らしていく。この場合、改質水(冷却水)の総流量が絞り弁35〜37で比例配分されて各冷却部の冷却水量となっている。
【0050】
(2) 負荷が50%よりも低下して約46%になると、グラフQがグラフWのS/C下限とd点で交差する。このd点より低負荷となる領域では各冷却部14、16、18に供給される冷却水流量の総和Wが要求される水素を生成するために必要な改質水量Wを下回る。
【0051】
そこで、制御部は境界d点の負荷(この例では46%)を検出すると、開閉バルブ31を開放する。それにより、改質水は絞り弁35〜37を経た冷却水と、絞り弁32を経たバイパス水(q4)とで供給される。このバイパス水で冷却水としての余剰分が直接蒸発部12に供給され、所要の改質水流量が確保される。
(3) 従って、制御部は負荷の100%から0%の変動に対してグラフ上のa点、b点、c点、d点、e点及び原点を通過するような改質水流量を供給するように改質水(あるいは冷却水)の供給源を制御すると共に、S/C下限(d点)以下の低負荷では、改質水を冷却水と別ルートで供給するので流量調整弁を使用せずとも、1の水供給源の水を冷却水として使用し、これを改質水として使用する構成を絞り弁を用いる構成で実現可能となる。
【0052】
このように、第1の実施例は、定常運転時に各冷却部の流量配分が適切になるよう絞り弁を予め調整しておき、低負荷運転を行う場合には負荷に応じてS/Cを下げることにより、各冷却部への流量配分比率を同じとして冷却水流量を下げる。S/Cの下限に達した場合に更に低負荷運転を行う場合は、バイパス流路へのバルブを開くことにより、冷却過剰を防止することが可能となる。かかる構成によって、水(冷媒)供給源が1つであるため、ポンプ、流量コントローラが1つで済み、安価な構成で補機動力の低減にもなる。また、流量調整弁ではなく単純な絞り弁と、開閉バルブを使用するため安価である。
【0053】
(第2の実施例)
図3は、本発明の第2の実施例を説明する説明図である。また、図4は、第2の実施例を説明するグラフである。図3において図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0054】
第2の実施例では、バイパス水の供給ルートを2組設けている。すなわち、上述した開閉弁31及び絞り弁32に加えてこのバイパス水供給ルートと並列に開閉弁33及び絞り弁34からなる第2のバイパス水供給ルートを形成している。
【0055】
第2の実施例でも、定常運転時に各冷却部の流量配分が適切になるよう絞り弁を予め調整しておき、低負荷運転を行う場合には負荷に応じてS/Cを下げることにより、各冷却部への流量配分比率を同じとして冷却水流量を下げる。S/Cの下限に達した場合に更に低負荷運転を行う場合は、バイパス流路への開閉バルブを開くことにより、冷却過剰を防止することが可能となる。この際、開閉バルブはバルブ31と32とによって構成されるので、両バルブの開閉動作の組み合わせによってバイパス流量を3段階に変えることが可能となる。低負荷領域での負荷を細かく変えて運転することが可能となって具合がよい。
【0056】
(燃料電池システム)
次に、上述した冷却水供給系を備える燃料改質器を使用した燃料電池システムの例について図5を参照して説明する。同図において、図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0057】
図5に示すように、燃料改質器10には、燃料供給系60から原燃料が供給され、エア供給系20から酸化エアが供給され、冷却水供給系30から冷媒としての冷却水が供給される。加熱された冷却水は改質水として利用されている。
【0058】
燃料供給系60は、メタノールを貯留した燃料タンク61、燃料ポンプ63及び64、燃料流路(配管)等によって構成され、改質器10の燃焼部11のバーナに燃料や蒸発部12に改質燃料(原燃料)を供給する。各部への燃料供給は制御部50によって制御される。
【0059】
エア供給系20は、エアフィルタ21、モータ22、エアポンプ23、エアタンク24、駆動回路25、エア流路などによって構成され、燃焼部11、改質部13、CO浄化部18、燃料電池70等に酸化エアを供給する。ポンプモータ22は、直流モータであり、制御部50によって制御されるモータ駆動回路25からPWM出力を受けて動作する。モータ駆動回路25は二次電池(あるいはキャパシタ)80から電源の供給を受ける。
【0060】
冷却水供給系30は、図1に示した構成と同様であり、開閉弁31、絞り弁32、35〜38、流路L1〜L4、L6〜L10、改質水タンク41、ポンプ42等によって構成されている。改質水タンク41には、燃料電池70で生じた水が回収される。上述したように、各弁の動作は要求される負荷に対応して制御部50によって制御される。
【0061】
改質器10の燃焼部11には、エアタンク24から燃焼用のエアが供給され、燃料タンク61から燃焼用のメタノールがポンプ63を介して供給される。また、燃料電池70から使用されずに残った水素等の残留ガスも供給される。蒸発部12には、改質の対象となる原燃料のメタノールと、改質反応に使用される水が冷却水供給系30を経由して供給される。改質水は各反応部の冷媒として既述した改質器10の各反応部15、17及び18(高温シフト部15、低温シフト部17、CO浄化部18)の触媒ユニットなどを所定の温度に保つべく、当該反応部に配置された熱交換器にて改質ガスから熱の供給を受けて加熱されて蒸発部12に供給される。それにより、熱効率の改善が図られる。
【0062】
蒸発部12で気化したメタノールと水は改質部13で水蒸気改質反応によって水素リッチな改質ガスとなり、各反応部で一酸化炭素が低減される。この改質ガスが燃料電池70の水素極に供給される。また、その酸素極にはエアタンク24から酸化エアが供給される。それにより、燃料電池70の出力端に電気が発生する。燃料電池70が発生した電気出力は二次電池80及び図示しない車両の駆動モータを駆動するインバータに供給される。上述したように、二次電池80は、例えば、ニッケル水素二次電池を使用することできるが、大容量のキャパシタを使用しても良い。この場合には、軽量化出来る利点がある。二次電池80によって燃料電池70の補器類に必要な電源が供給される。
【0063】
燃料電池システム1を運転する制御部50は、ポンプ類や開閉弁、絞り弁等を駆動し、外部から供給される各部の温度センサや圧力センサ等の出力をデジタル信号に変換する入出力ポート52、制御プログラムに従って制御処理を実行するCPU54、制御プログラムや制御データを記憶するROM56、データ処理に使用されるRAM58等によって構成される。制御部50には燃料電池システム1の各部に設けられた図示しない温度センサ、圧力センサ、COセンサ、出力電圧センサ、出力電流センサ、弁開度センサ、他のコンピュータからの車両運転情報等の燃料電池の運転制御に必要な情報信号が入力されている。制御部50はこれらの情報を適切に処理して上述した開閉弁31、絞り弁32、35〜38、ポンプ22、42、63及び65、モータ駆動回路25等を制御する。
【0064】
このようにして、本発明の燃料改質装置及び燃料電池システムは、改質器における冷却水を改質水として利用してエネルギ利用効率の向上を図ると共に、1つの冷却水供給源から、安価な絞り弁で冷却水を比例配分して各冷却部に供給することによって流量調整弁を不要としている。そして、S/C下限以下の低負荷領域では冷却部の過冷却を防止するためにバイパス流路を動作させると共にこのバイパス流路に絞り弁を設けて低負荷時に蒸発部へ流入する改質水流量を制限する。
【0065】
また、S/C下限よりも上方の低負荷領域では、S/Cをも制御するので低負荷時の温度制御範囲を広げることが可能となる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料改質装置及び燃料電池システムによれば、冷却水を改質水として利用する燃料改質器において、改質器の各冷却部の冷却水の流量配分を定常運転時に予め設定しておき、低負荷運転を行う場合には負荷に応じてS/Cを下げることにより、流量配分比率を同じとして冷却水量を下げることが出来る。また、余分となった冷却水をバイパスさせるので過冷却が防止され、負荷変動に追従できる範囲が広がり、部分負荷運転が可能となって好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の第1の実施例を説明する説明図である。
【図2】図2は、第1の実施例における冷却水供給を説明するグラフである。
【図3】図3は、本発明の第2の実施例を説明する説明図である。
【図4】図4は、第2の実施例における冷却水供給を説明する説明図である。
【図5】図5は、本発明の燃料改質装置を使用した燃料電池システムの例を説明する説明図である。
【図6】図6は、冷却水を改質水とする改質器の蒸発部と各反応部に独立に冷却水を供給するようにした比較例を示す説明図である。
【図7】図7は、1つの冷却水供給源から改質器の各部へ冷却水を供給するようにした比較例を説明する説明図である。
【図8】図8は、比較例の冷却水供給を説明するグラフである。
【符号の説明】
1…燃料改質装置、2…燃料電池システム、10…改質器、20…エア供給系、30…冷却水供給系、60…燃料供給系、31,33…開閉弁、32,33,35〜37…絞り弁、BP…バイパス水供給流路

Claims (4)

  1. 複数の冷却部を備え、改質水と改質原燃料を含む改質原料から水素リッチガスを生成する改質器と、
    前記改質原燃料を前記改質器に供給する燃料供給手段と、
    前記改質水を供給する改質水供給手段と、
    供給される前記改質水を所定比率で分配して前記複数の冷却部に冷媒として供給する改質水分配手段と、
    各冷却部において熱を吸収した改質水を前記改質器に前記改質原料として供給する熱回収手段と、
    供給される前記改質水の少なくとも1部を指令に応じて前記改質器に前記改質原料として直接供給するバイパス供給手段と、
    要求水素量に応じて前記改質水と前記改質原燃料の各供給量を制御する制御手段と、を含み、
    前記制御手段は、前記要求水素量の増減に応じて前記改質水と前記改質原燃料との比(S/C)を増減しながら前記改質水の総流量を増減し、当該比が使用可能な下限値を下回るときには、前記バイパス供給手段を動作させる、燃料改質改質装置。
  2. 前記改質水分配手段は、各冷却部の入口側にそれぞれ設けられた複数の絞り弁を含む、請求項1記載の燃料改質装置。
  3. 前記バイパス供給手段は、互いに直列に接続された開閉弁及び絞り弁の組を1つ又は複数含む、請求項1又は2に記載の燃料改質装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料改質装置を改質ガス供給源として含む燃料電池システム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004277186A (ja) * 2003-03-12 2004-10-07 Tokyo Gas Co Ltd 水素製造装置における熱回収システム
JP2008050254A (ja) * 2006-07-28 2008-03-06 Fuji Electric Holdings Co Ltd 改質装置
JP2011108526A (ja) * 2009-11-18 2011-06-02 Eneos Celltech Co Ltd 燃料電池システム

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