JP4329116B2 - 燃料改質装置及び燃料電池システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料改質装置に関し、特に、水素を含む原燃料を水素リッチな燃料ガスに改質して燃料電池に供給する燃料改質装置及びこれを含む燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、燃料の有する化学エネルギを、機械エネルギや熱エネルギを経由することなく直接電気エネルギに変換する装置であり、高いエネルギ効率が実現可能である。よく知られた燃料電池の形態としては、電解質層を挟んで一対の電極を配置し、一方の電極(陽極側)に水素を含有する燃料ガスを供給すると共に他方の電極(陰極側)に酸素を含有する酸化ガスを供給するものであり、両電極で起きる電気化学反応を利用して起電力を得る。以下に、燃料電池で起こる電気化学反応を表わす式を示す。(1)式はアノードにおける反応、(2)式はカソードにおける反応を表わし、燃料電池全体では(3)式に示す反応が進行する。
H2 → 2H++2e- …(1)
(1/2)O2+2H++2e- → H2O …(2)
H2+(1/2)O2 → H2O …(3)
燃料電池は使用する電解質の種類や運転温度などにより分類されるが、これら燃料電池の中で、固体高分子型燃料電池、りん酸型燃料電池、溶融炭酸塩電解質型燃料電池などでは、水素リッチガスを燃料ガスとして用いることができる。
【0003】
そこで、燃料電池に改質器を組み合わせ、メタノール、エタノール、天然ガス、LPG、ガソリン、軽油、DME(ジメチルエーテル)などの炭化水素系の原燃料を改質して水素を高濃度で含むガスを生成し、これを燃料として燃料電池に供給して発電システムを構成する。このような構成によれば燃料の貯蔵や取り扱いが容易となり、次世代車両の駆動システムとして開発が進められている。
【0004】
改質器は、例えば、メタノールを原燃料としてこれを改質する場合、その改質部でいわゆる水蒸気酸化法(Steam reforming)、部分酸化法(Partial oxidation reforming)及びこれらを併用したオートサーマル法(Autothermal reforming)等を使用して水素リッチな燃料ガスを生成する。また、改質器のCO浄化部で上記改質に伴って微量発生した一酸化炭素COを選択酸化反応やシフト反応によって二酸化炭素CO2に変換する。このため、改質器にはメタノール(原燃料)、水、酸化エアなどの流体の供給機構が設けられる。
【0005】
例えば、特開2001−283881号公報には、改質用エアの供給機構が紹介されており、エアを供給するブロアと改質装置間とを結ぶ複数の流体ラインの各々に当該ラインを断続的に開閉可能な複数の電磁弁をそれぞれ設けて、改質装置の内部の改質ガス圧力と外部のエア供給圧力との圧力差を一定に保つように制御して酸化エアを供給している。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−283881号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、改質装置の内部の改質ガス圧力と外部のエア供給圧力との圧力差を一定に保つようにする制御は差圧一定制御であり、ポンプと複数の制御弁の制御が複雑である。
【0008】
よって、本発明は、改質器へのエアを供給するポンプの制御を容易にした燃料改質装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、改質器への供給エアの流量を精度良く調整することを可能とした燃料電池装置を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、改質器へのエア供給量を設定する複数の流量調整弁が全て全閉状態となった場合のポンプ制御の乱れを抑制することを可能とした燃料改質装置を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、改質器へのエアを供給するポンプの制御を容易にした燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決する手段】
上記目的を達成するため本発明の燃料改質装置は、供給される水素原子を含む組成からなる原燃料から水素リッチな燃料ガスを生成する改質器と、上記改質器に供給する加圧エアを生成するエアポンプと、上記加圧エアを複数の流路を使用して上記改質器の複数箇所に導出するエア供給手段と、上記改質器の複数箇所に接続される各流路にそれぞれ設けられて上記改質器へのエア供給量を調整する複数の流量調整弁と、上記複数の流量調整弁の上流側のエア圧を検出するエア圧検出手段と、検出したエア圧に基づいて該エア圧が一定値あるいは一定範囲となるように上記エアポンプを制御する制御手段と、を備える。
【0013】
かかる構成とすることによって、改質器の内圧に関わらずポンプを制御することが出来るため、ポンプの制御アルゴリズムがより簡単になり、ポンプ制御が容易になる。特に、起動、停止、加速、減速などを繰り返すために改質器の内圧が短時間で大きく変動する車載の燃料電池に使用して具合がよい。
【0014】
好ましくは、上記複数の流量調整弁は複数の組に組分けされ、上記エア圧検出手段は上記流量調整弁の各組に印加されるエア圧を検出し、上記制御手段は上記各組に印加されるエア圧に基づいて該エア圧が一定値あるいは一定範囲となるように上記エアポンプを制御する。それにより、流量調整弁の各組毎にエア圧が安定化される。
【0015】
好ましくは、上記エアポンプと上記エア圧検出手段との間にサージタンクを有する。それにより、流量調整弁上流側のエア圧力を安定化してエア圧の検出精度を向上させる。
【0016】
好ましくは、更に、上記流路の上記エア圧検出手段と上記流量調整弁との間にエア圧が所定圧力を越えると上記エア供給路の加圧エアの一部を外部に放出するエア放出手段を含む。それにより、複数の流量調整弁が全て閉じた状態でのポンプ制御の乱れを抑制する。
【0017】
好ましくは、上記エア供給手段は、上記エアポンプに接続される本管と、この本管から分岐する複数の副管と、この副管から更に分岐して上記改質器の複数箇所に導出する複数の枝管を備える。それにより、流量調整弁の各グループへのエア供給を容易にする。
【0018】
好ましくは、上記改質器は、燃焼部、蒸発部、改質部及びCO浄化部を含み、上記加圧エアは少なくとも上記改質部及び上記CO浄化部に供給される。
【0019】
また、本発明の燃料電池システムは、上述した燃料改質装置と、この燃料改質装置から燃料ガスの供給を受けて電気を発生する燃料電池と、を含む。このような、燃料改質装置から燃料ガスの供給を受ける燃料電池を含む燃料電池システムはエア供給ポンプの制御が比較的に容易なシステムを構成することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本発明の実施の形態では、共通のエアポンプと各エア供給箇所毎の流量調整弁とで改質器の複数箇所にエアを供給する構成を採用し、流量調整弁上流に配置されたエア圧検出器でエア圧を検出し、エアポンプが流量調整弁上流のエア圧を予め定められた値にあるいは所定の範囲に保つように動作する圧力一定制御を行っている。流量調整弁上流のエア圧を一定圧力とした状態で弁の開度を設定することによって改質器への供給エア量を適正に設定可能とする。それにより、改質器の内圧に関わらずエアポンプの制御を行うことが可能となるため、ポンプ制御が容易となる。
【0021】
また、エアポンプによって圧縮されたエアが必要により設けられるサージタンクに一旦貯留されて流量調整弁上流のエア圧が安定化される。このサージタンクのエアが複数の枝管によって改質器の所要の箇所に分配される。各枝管には上述した流量調整弁に加えて逆止弁を設けることが可能である。
【0022】
(第1の実施例)
図1は、本発明の燃料改質装置を概略的に説明する説明図である。同図に示すように、燃料改質装置1は、改質器10とエア供給系20を備えている。実施例の改質器10では部分酸化反応及び水蒸気反応によって改質が行われ、エア供給系20は改質部13及びCO浄化部14に必要な酸化エアを供給する。
【0023】
改質器10は、水素を含有する原燃料から水素リッチな改質ガスを生成するものであり、燃焼部11、蒸発部12、改質部13、CO浄化部14を含んで構成されている。水素を含む原燃料としては、メタン(CH4)、エタン(C2H6)、プロパン(C3H8)、ブタン(C4H10)、ガソリン、軽油、天然ガス、メタノール(CH3OH)、エタノール(C2H5OH)、DME(CH3OCH3)、アセトン(CH3C(=O)CH3)等の種々のものが使用可能であるが、以下の例では、メタノールを使用した場合について説明する。
【0024】
燃焼部11は、メタノールや図示しない燃料電池からの余剰水素等を燃焼してメタノールの改質反応(吸熱反応)を行う際に必要な熱量を発生し、蒸発部12、改質部13に設けられた熱交換機に供給する。
【0025】
蒸発部12は燃焼部11からの熱を熱交換器に受け、この熱を利用して後述のメタノールタンク及び水タンクから供給されるメタノール及び水を気化させる。
【0026】
改質部13は、蒸発部12で発生した気化ガスが供給される他に内部を加熱する手段として、部分酸化反応に伴う発熱、電気式のヒータ等を利用して適切な反応温度を確保する。改質器10が定常状態となったときにはこのヒータによって改質部13内部を改質反応に適した温度に維持することも可能となっている。改質部13には、例えば、改質反応を促進する触媒金属であるCu−Zn触媒で形成されたペレットが充填されており、十分に昇温されたメタノール及び水の気化ガスの供給を受けて水蒸気改質反応及び部分酸化改質反応を進行させ、水素リッチな改質ガスを生成する。
【0027】
水蒸気改質反応は、
CH3OH+H2O → CO2+3H2−131(kJ/mol) …(4)
CH3OH → CO+2H2 …(5)
CO+H2O → CO2+H2 …(6)
として示される。
【0028】
更に、改質部13では、残留した気化メタノールに外部から酸化エア(O2:21%,N2:79%)を供給して部分酸化改質反応によって水素を生成する。
【0029】
部分酸化改質反応は、
CH3OH+1/2O2+1.9N2→2H2+CO2+155(kJ/mol) …(7)
CH3OH+3/2O2+5.7N2→+CO2+2H2O+5.7N2 …(8)
2CH3OH+2H2O→6H2+2CO2+2H2O …(9)
として示される。
【0030】
CO浄化部14は、改質部13から供給される改質ガスに微量含まれる一酸化炭素濃度を低減して図示しない燃料電池装置に供給する。固体高分子型の燃料電池は電池反応を促進する白金又は白金合金の触媒を使用しているのでこの触媒に一酸化炭素が吸着して機能が低下することを防止する。CO浄化部14では、改質ガス中の水素に優先して一酸化炭素の酸化を行うべく、一酸化炭素の選択触媒である白金触媒、ルテニウム触媒、パラジウム触媒、金触媒、これらを使用する合金触媒などを担持する担体が充填されている。そして、外部から酸化エアを供給し、選択酸化反応によって一酸化炭素を二酸化炭素に変えている。
【0031】
選択酸化反応は、
CO+1/2O2→CO2
として示される。一酸化炭素が低減された改質ガスは図示しない燃料電池に供給される。
【0032】
上述した改質器10の各部には、エア供給系20によって必要な酸化エアが供給される。エア供給系20は後述の燃料電池にも酸化エアを供給するように構成することが可能である。
【0033】
なお、改質部13は部分酸化反応のみによって改質を行う構成とすることができる。
【0034】
エア供給系20は、エアフィルタ21、モータ22、エアポンプ23、サージタンク24a及び24b、圧力検出器25a及び25b、流量調整弁26a〜26f、開放弁26g、本管L1、副管L2及びL3、枝管L4〜L9等によって構成される。
【0035】
制御系は、制御部50とインバータ66を含んで構成される。制御部50は燃料改質装置及び燃料電池システムの制御を行う。インバータ66は、制御部50からの指令を受けてモータ22の回転数を設定する。例えば、インバータ66からモータ22に供給されるPWM信号のデューティ比を調整し、供給平均電力を設定することでモータ22の回転数、従ってポンプ23の回転数が設定される。
【0036】
エアフィルタ21はエアを濾過して埃などの異物を除去する。モータ22は、例えば、直流モータであり、燃料電池によって充電される二次電池から電力の供給を受けてエアポンプ23を駆動する。モータ22の回転は後述の制御部50によって制御される。
【0037】
エアポンプ23の出力端には本管L1が接続され、本管L1の他端は分岐して副管L2及びL3となる。
【0038】
副管L2は更に分岐して枝管L4〜L6となり、各枝管はそれぞれ改質部13のエア供給口に接続される。副管L2の途中にはサージタンク(エアタンク)24aが設けられている。このタンクは、例えば、2リットル程度の容積を持ち、圧縮空気を貯留することで副管L2のエアの圧力変動を緩和する。枝管L4〜L6にはそれぞれ第1の組の流量調整弁26a〜26cが配置されている。この流量調整弁26a〜26cとサージタンク24aとの間に圧力検出器25aが配置されている。
【0039】
副管L3は分岐して枝管L7〜L10となり、枝管L7〜L9はそれぞれCO浄化部14のエア供給口に接続される。枝管L10は、外部に開放される。副管L3の途中にはサージタンク24bが設けられている。このタンクは、例えば、2リットル程度の容積を持ち、圧縮空気を貯留することで副管L3のエアの圧力変動を緩和する。枝管L7〜L10にはそれぞれ第2の組の流量調整弁26d〜26gが配置されている。この流量調整弁26d〜26gとサージタンク24bとの間に圧力検出器25bが配置されている。なお、流量調整弁26gは後述のようにリリース弁として機能する。
【0040】
流量調整弁26a〜26gには、制御部50からの図示しない駆動信号に応じて弁を駆動するモータと弁の開度を検出して制御部50に信号を送るセンサが設けられている。
【0041】
制御部50による酸化エア供給の制御ルーチンについて説明する。制御部は図示しない制御プログラムによって燃料電池システムの現在の運転状態に対応したエア流路供給圧の基準値を設定する。圧力検出器25a及び25bの各検出値(例えば、平均値)と基準値とを比較する。差分に応じてインバータ66のデューティ比を設定し、モータ22の回転数の増減を調節する。これにより、ポンプ回転数が設定されて流路のエア圧力が調整される。エア圧はまた圧力検出器25a及び25bで検出され、制御部50はこのエア圧が基準値と一致するように、あるいは基準値を含む所定範囲内に維持するようにポンプ制御を繰り返す。このようにして、流量調整弁26a〜26gの上流側の圧力を一定に保った状態で各流量調整弁の開度を設定して改質器の複数箇所への供給エア流量を設定するので、適正なエア供給を行うことが可能となる。また、流量調整弁26a〜26gの上流側の圧力を一定に保つので、改質器10側からの逆流が防止される。上述した流量調整弁26a〜26fの弁開度の設定は、例えば、制御部50が改質器内部の圧力を改質器の運転状態、内部温度、負荷量等から推定し、各流量調整弁上流側のエア圧との圧力差と、所要のエア供給量等に基づいて決定する。所要のエア供給量は、例えば、燃料電池システムへの図示しない負荷要求、メタノール供給量の決定、対応する水、エア、改質エア等の供給量計算などのデータ処理を経て決定される。
【0042】
ところで、制御部50は、流量調整弁26a乃至26gの上流の圧力が一定となるようにエアポンプ23の制御を行っているが、エアポンプ23が動作している状態で何らかの原因で全ての流量調整弁26a乃至26gが閉じてしまった場合にはポンプ23(あるいはモータ22)の回転動作が不安定となることが考えられる。
【0043】
すなわち、全ての流量調整弁26d〜26fの閉鎖あるいはこれに近い状態が生じることによって流量調整弁上流側の圧力は急上昇し、圧力検出器25a及び25bがそれぞれ存在する流路L2及びL3のエア圧が増大する。圧力検出器25a及び25bの検出圧力が基準値を超えて増加し、それにより、制御部50はエアポンプ23の回転数を下げる。すると、ポンプ23内の気圧が下がりポンプ内のエアが逆流して流路L2及びL3のエア圧が基準値以下に減少する。圧力検出器25a及び25bの検出圧力が低下するので、制御部50はポンプ23の回転を増加させる。全ての流量調整弁の閉鎖によって流路L2及びL3のエア圧は急上昇し、制御部50はエアポンプ23の回転数を下げる。このような動作を繰り返す結果、エアポンプ23の回転が不安定になる。
【0044】
そこで、制御部50は、改質器10において使用されるエア流量が大きく減少した場合、あるいは圧力検出器25a又は25bの検出圧力が過大となったときに、流量調整弁26gを外部(大気圧)に開放し、流路のエア圧が外部に逃げられるようにする。それにより、流路のエア圧の大幅な脈動がなくなり、エアポンプの回転数が安定する。
【0045】
このような、エア圧力のリリース機構を圧力一定制御機構に組み込んでサージタンクの圧力一定制御を行うことにより、エア供給系から改質器に供給するエア流量が僅かであるときでもポンプ23の動作を安定させることができる。また、圧力を一定にし、エアの逆流を防止してポンプを保護することが出来て具合がよい。
【0046】
また、エアポンプ23が常に安定して回転しているため圧抜き用流量調整弁26g以外の流量調整弁26a〜26fが制御動作を開始したときの定圧制御系ループのレスポンスも向上する利点がある。
【0047】
なお、上述した実施例では、流量調整弁の各グループ毎に圧力検出器を設けたが、必ずしも全てのグループに設ける必要はない。各グループの負荷特性が近似していれば1のグループの圧力検出器の出力を他の各グループのエア圧力と推定することが可能である。
【0048】
(第2の実施例)
図2は、本発明の燃料改質装置の第2の実施例を説明する説明図である。同図において、図1に示した例と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0049】
この例では、流路L2及びL3にそれぞれエア圧力のリリース機構としてのリリーフ弁27a及び27bを配置している。それにより、流路L2又はL3のエア圧が過大なものとなったときにリリーフ弁27a又は27bが開放し、エアを外部に逃がす。これは、図1に示した流量調整弁26gと同じ働きをする。
【0050】
また、この実施例では流量調整弁26gを経由して加圧エアの一部をエアポンプ23に戻すことによって余分のエアをエアの加圧に再利用し、その分モータ22の負担を減ずるようにしている。
【0051】
この実施例においても、制御部50は、第1の実施例と同様に作動することが出来る。
【0052】
(第3の実施例)
図3は、本発明の燃料改質装置の第2の実施例を説明する説明図である。同図において、図1に示した例と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0053】
この実施例では、流路L1に逆止弁28を設けている。それにより、加圧エアの流れをエアポンプ23側からサージタンク24a及び24b側に向かって一方向に流し、流量調整弁26a〜26fが全閉状態におけるエア圧力の脈動を防止する。
【0054】
この実施例においても、制御部50は、第1の実施例と同様に作動することが出来る。
【0055】
(燃料電池システム)
次に、上述した燃料改質装置を使用した燃料電池システムの例について図4を参照して説明する。同図において、図1と対応する部分には同一符号を付し、かかる部分の説明は省略する。
【0056】
図4に示すように、燃料改質装置1の燃焼部11には、燃焼用エア、燃料、燃料電池の残留ガスが供給される。例えば、燃焼用のエアは既述の図1に示したエアポンプ23とは別の図示しないエアポンプによって供給される。また、燃焼用のエアをサージタンク24aから図示しない流量調整弁を介して供給することも可能である。燃焼としてのメタノールは燃料タンク61からがポンプ63を介して供給される。燃料電池80で使用されずに残った水素等の残留ガスは燃料として再利用される。
【0057】
蒸発部12には、燃料タンク61及び水タンク62からそれぞれポンプ64及び65を介してメタノールと水が供給される。水タンク62には、燃料電池70で生じた水が回収される。燃料電池70の水素極には、改質器10から水素リッチな改質ガスが供給される。また、酸素極には酸化エアが供給される。例えば、酸化エアは既述の図1に示したエアポンプ23とは別の図示しないエアポンプによって供給される。また、酸化エアをサージタンク24a又は24bから図示しない流量調整弁を介して供給することも可能である。
【0058】
燃料電池70が発生した電気出力は二次電池80及び図示しない負荷(例えば、車両の駆動モータ)を駆動するインバータに供給される。二次電池80は、例えば、ニッケル水素二次電池を使用することできるが、大容量のキャパシタを使用しても良い。この場合には、軽量化出来る利点がある。二次電池80によって燃料電池70の補器類に必要な電源が供給される。既述したように、エアポンプ23の駆動モータ22は、二次電池80からインバータ66を介して電源の供給を受ける。
【0059】
燃料電池システム1を運転する制御部50は、外部の流量調整弁等を駆動し、外部から供給される各部のセンサ出力をデジタル信号に変換する入出力ポート52、制御プログラムに従って制御処理を実行するCPU54、制御プログラムや制御データを記憶するROM56、データ処理に使用されるRAM58等によって構成される。制御部50には燃料電池システム1の各部に設けられた図示しない温度センサ、圧力センサ、COセンサ、出力電圧センサ、出力電流センサ、弁開度センサ、他のコンピュータからの車両運転情報等の燃料電池の運転制御に必要な情報信号が入力されている。制御部50はこれらの情報を適切に処理して上述した流量調整弁26a〜26g、ポンプ23,63〜65、インバータ(モータ駆動)回路66等を制御し、改質器各部への酸化エアの供給を行う。燃料電池の起動・停止などの運転制御に関しては公知のものが使用されるので説明を省略する。
【0060】
このようにして、本発明の燃料改質装置及び燃料電池システムは、改質器のエア供給系のエア圧制御を流量調整弁の上流側のエア圧を一定とするシステムを採用しており、ポンプ23制御を比較的に簡易に構成することが可能となる。
【0061】
なお、図1乃至図3に示す実施例では、2つの流量調整弁のグループにそれぞれサージタンクを設けてからエアを供給しているが、1つのエアタンクから各グループの流量調整弁のエアを供給することとしても良い。また、流量調整弁のグループは2つに限られず、必要によりこれ以上も設けても良い。
【0062】
また、流量調整弁の各グループ毎にエア圧を検出する圧力検出器を設けているが、必ずしも各グループに圧力検出器を設ける必要はない。流路の特性に合わせて一つ又は適当な数を配置すればよい。
【0063】
また、サージタンクは流路のエア圧を安定させる点で好ましいが、必須のものではない。サージタンクを設けないで、枝管が集合する本管・副管に加圧エアを直接ポンプから供給するようにしても良い。
【0064】
また、流路に適宜に逆止弁を配置してエア圧制御ループが振動(脈動)的になるのを回避することが出来る。
【0065】
また、流路のエア圧が過大となったときに流路のエアを外部に逃がすルートを設けることで流路のエア圧の脈動を回避することも出来る。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の燃料改質装置及び燃料電池システムによれば、酸化エア供給系のエア圧制御を流量調整弁の上流のエア圧を一定に保つ定圧制御を行うので、酸化エア供給の制御系を比較的に簡易に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の燃料改質装置の第1の実施例を説明する説明図である。
【図2】 図2は、本発明の燃料改質装置の第2の実施例を説明する説明図である。
【図3】 図3は、本発明の燃料改質装置の第3の実施例を説明する説明図である。
【図4】 図4は、本発明の燃料改質装置を備える燃料電池システムを説明する説明図である。
【符号の説明】
1…燃料改質装置、2…燃料電池システム、10…改質器、20…エア供給系、22…ポンプ駆動用モータ、23…エアポンプ、24a,24b…サージタンク、L1…本管、L2,L3…副管、L4〜L9…枝管、28…逆止弁、26a〜26d…流量調整弁
Claims (7)
- 供給される水素原子を含む組成からなる原燃料から水素リッチな燃料ガスを生成する改質器と、
前記改質器に供給する加圧エアを生成するエアポンプと、
前記加圧エアを複数の流路を使用して前記改質器の複数箇所に導出するエア供給手段と、
前記改質器の複数箇所に接続される各流路にそれぞれ設けられて前記改質器へのエア供給量を調整する複数の流量調整弁と、
前記複数の流量調整弁の上流側のエア圧を検出するエア圧検出手段と、
検出したエア圧に基づいて該エア圧が一定値あるいは一定範囲となるように前記エアポンプを制御する制御手段と、
を備える燃料改質装置。 - 前記複数の流量調整弁は複数の組に組分けされ、
前記エア圧検出手段は前記流量調整弁の各組に印加されるエア圧を検出し、
前記制御手段は前記各組に印加されるエア圧に基づいて該エア圧が一定値あるいは一定範囲となるように前記エアポンプを制御する、請求項1記載の燃料改質装置。 - 更に、前記エアポンプと前記エア圧検出手段との間にサージタンクを有する、請求項1又は2に記載の燃料改質装置。
- 更に、前記流路の前記エア圧検出手段と前記流量調整弁との間にエア圧が所定圧力を越えると前記エア供給路の加圧エアの一部を外部に放出するエア放出手段を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の燃料改質装置。
- 前記エア供給手段は、前記エアポンプに接続される本管とこの本管から分岐する複数の副管とこの副管から更に分岐して前記改質器の複数箇所に導出する複数の枝管を備える、請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料改質装置。
- 前記改質器は、燃焼部、蒸発部、改質部及びCO浄化部を含み、前記加圧エアは少なくとも前記改質部及び前記CO浄化部に供給される、請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料改質装置。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料改質装置と、この燃料改質装置から燃料ガスの供給を受けて電気を発生する燃料電池と、を含む燃料電池システム。
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