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JP2004210573A - 酸化鉄膜付きガラスの製造方法 - Google Patents

酸化鉄膜付きガラスの製造方法 Download PDF

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JP2004210573A
JP2004210573A JP2002380556A JP2002380556A JP2004210573A JP 2004210573 A JP2004210573 A JP 2004210573A JP 2002380556 A JP2002380556 A JP 2002380556A JP 2002380556 A JP2002380556 A JP 2002380556A JP 2004210573 A JP2004210573 A JP 2004210573A
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JP
Japan
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glass
oxide film
iron oxide
film
iron
Prior art date
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Application number
JP2002380556A
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English (en)
Inventor
Yoshiya Tsutsui
義也 筒井
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】高反射特性を有し、耐摩耗性や耐薬品性などに優れた酸化鉄膜付きガラスを生産性よく製造する方法を提供すること。
【解決手段】透明ガラス基板の表面に、有機鉄化合物(A)、熱分解温度が100〜250℃であるバインダー樹脂(B)、および有機溶剤(C)を配合した処理液を塗布して乾燥し、得られた皮膜付きのガラス基板を400〜800℃で焼成することを特徴とする酸化鉄膜付きガラスの製造方法である。具体的には、有機鉄化合物(A)としてはナフテン酸鉄、バインダー樹脂(B)としてはニトロセルロースが挙げられる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化鉄膜付きガラスの製造方法に係り、さらに詳しくは高い反射率を有し、しかも耐磨耗性や耐薬品性などの耐久性に優れた酸化鉄膜付きガラスの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、冷房効率の向上、室内のプライバシー保護等の目的として、ガラス板表面にCo、Cr、Fe等の金属酸化物からなる熱線反射性着色膜を被覆したガラスが車輌の窓や建築物、ドア、ショーウインドウなどに用いられている。また、意匠性の面では金属酸化物膜をつけることによる着色でき、金属酸化物膜の屈折率・膜厚を変化させることにより、光学干渉効果を利用して高反射率を持ち、様々な反射色を示すような着色ガラスを作製することができる。
【0003】
ガラス基板への酸化鉄膜の製造方法としては、鉄酸化物を真空製膜法やスパッタリングなどの気相法により、膜厚を制御してガラス基板に被膜する方法、金属イオン含有水溶液や金属アルコキシドなどを用いたゾル−ゲル法により、酸化鉄膜をガラスに積層する方法、そしてLPD法などが知られている。(例えば特許文献1参照)
【0004】
【特許文献1】
特開2002−12451号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、真空製膜法やスパッタリング法を使用する方法は、大掛かりな設備が必要となるため、コストが嵩んだり、生産性が悪くなるという問題がある。また、金属アルコキシドなどを使用したゾル−ゲル法では、有機鉄化合物の脱水収縮に伴う反応を利用することから、経時による処理液の組成変化が大きいという問題点がある。またLPD法は、基材上に溶液から酸化鉄を析出させて膜を形成するため、100nm以上の膜厚を得るためには多大な時間を要するといった欠点があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を改善するものであり、本発明は、反射率が高く、しかも耐磨耗性や耐薬品性などの耐久性に優れ、任意の膜厚の酸化鉄膜で被覆された単層の低反射膜付きガラス板の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本願請求項1記載の発明は、透明ガラス基板の表面に、有機鉄化合物(A)、熱分解温度が100〜250℃であるバインダー樹脂(B)、および有機溶剤(C)を配合した処理液を塗布して乾燥し、得られた皮膜付きのガラス基板を400〜800℃で焼成することを特徴とする酸化鉄膜付きガラスの製造方法にある。
【0008】
本願請求項2記載の発明は、請求項1記載の酸化鉄膜付きガラスの製造方法にあって、バインダー樹脂(B)がニトロセルロースであることを特徴とする。
【0009】
本願請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の酸化鉄膜付きガラスの製造方法にあって、有機鉄化合物(A)がナフテン酸鉄であることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をより詳細に説明する。
本発明で用いる処理液は、有機鉄化合物(A)、バインダー樹脂(B)および有機溶剤(C)を必須の成分として含有する。
【0011】
上記処理液を構成する有機鉄化合物(A)は、鉄のエトキシド、プロポキシド等のアルコキシド類、有機酸エステル類、グリコレート類、アルコキシドが重縮合したオリゴマーなどが挙げられる。具体的には、オクテン酸鉄、ナフテン酸鉄、鉄アセチルアセトン塩などがある。
【0012】
処理液中の有機鉄化合物量は、好ましくは0.1〜60質量%、更に好ましくは1〜30質量%である。有機鉄化合物量が0.1質量%未満では処理液中の有機鉄化合物量が不足して製膜性が不充分となる。一方、有機鉄化合物量が60質量%を超えると、有機鉄化合物量が多すぎて処理液がゲル状になり、製膜性が悪くなる。
【0013】
バインダー樹脂(B)は、後述の有機溶剤(C)に可溶で、処理液の粘度を適度に維持して処理液のガラス基板への塗布、および処理液の乾燥後の取扱を良好にし、かつ100〜250℃で熱分解することが必要である。バインダー樹脂(B)の熱分解温度が100℃未満では、塗布膜の乾燥工程で、バインダー樹脂(B)が熱分解してしまうために好ましくない。一方、分解温度が250℃を超えると焼成後の酸化鉄膜強度が充分でなくなるために好ましくない。
【0014】
バインダー樹脂(B)としては、具体的には、ニトロセルロースなどの熱分解性のセルロース類、ポリ塩化ビニル類、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリル類などの樹脂が挙げられる。より好ましいバインダー樹脂(B)としてはニトロセルロースである。
【0015】
バインダー樹脂(B)配合量としては、溶剤種、樹脂種、分子量などにより異なるが、処理液全量の1〜70質量%が好ましい。使用量が1質量%未満になると、樹脂量が少なすぎて、処理液の塗布や乾燥時に塗布膜の収縮が起きてしまい、製膜性の悪い酸化鉄膜しか得られなくなる。一方、使用量が70質量%を超えると焼成後の酸化鉄膜の物性が悪くなる。
【0016】
有機溶剤(C)は、有機鉄化合物(A)および樹脂(B)を溶解できるものであれば特に制限はなく、各処理液の塗布方法などにより適宜選択される。具体的には、メタクレゾール、ジメチルホルムアミド、カルビトール、α−テレピネオール、ジアセトンアルコール、トリエチレングリコール、パラキシレン、トルエンなどの高沸点溶剤が、スクリーン印刷やフレキソ印刷などを利用して各処理液をガラス基板表面に塗布するうえで好ましい。
【0017】
上記処理液の製造方法は特に限定されないが、例えば、はじめに容器に所定量の有機溶剤(C)を計りとり、該容器を40〜80℃に設定したウオーターバスにセットする。その後、樹脂(B)を前記容器に加えて15〜30分間攪拌する。さらに有機鉄化合物(A)を加えて10〜20分間攪拌した後、室温で冷却し、本発明で用いる処理液を得る。
【0018】
以上の如く作製された処理液は、透明ガラス基板上にスプレー、ディップ、ロールコート、スピンコート、フレキソ印刷、スクリーン印刷などの方法で塗布する。処理液の塗布量は、処理液の粘度などによっても異なるが、ウエット膜厚で0.2〜40μmにし、乾燥した後、大気雰囲気中で400〜800℃の炉中で焼成し、冷却を経て酸化鉄膜で被覆された単層の低反射膜付きガラス板を得る。焼成時間は1〜10分間であることが好ましい。
【0019】
前記処理液によって処理される透明ガラス基板は無色透明に限られず、透過率が本発明の目的を損なわない範囲で着色されていてもよい。例えば、ガラス基板として用いられるガラスとしては、無色透明なフロートガラス(フロート法で製造されたガラス)の他に、着色されたフロートガラスなどが挙げられる。また、強化ガラスを用いることもできる。
【0020】
【実施例】
次に、本発明を具体的な例によりさらに詳細に説明する。なお、文中「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。後述の例で得られた酸化鉄膜付きガラスの評価方法は以下の通りである。
【0021】
1.光学特性
分光光度計UV3100Ps(SIMADZU製)により各試料の透過率および反射率を測定し、各試料の可視光透過率および可視光反射率(JIS−R3106(1999年))を算出した。
【0022】
2.膜厚測定
触針式膜厚計(テンコール社製;AS500)によって低反射膜の膜厚測定を実施した。
【0023】
2.耐アルカリ性
各試料を3%の水酸化ナトリウム水溶液に2時間浸漬し、浸漬する前後の各試料の透過率および反射率を分光光度計で測定し、各試料の可視光透過率変化および可視光反射率変化を算出した。実用上1.0%以下であることが好ましい。
【0024】
3.耐酸性
各試料を3%の硫酸水溶液に2時間浸漬し、浸漬する前後の各試料の透過率および反射率を分光光度計で測定し、各試料の可視光透過率変化および可視光反射率変化を算出した。実用上1.0%以下であることが好ましい。
【0025】
4.耐摩耗性
作製した塗膜に対して、鉛筆硬度試験(JIS5400に記載)を実施し、硬度を調べた。
【0026】
5.製膜性
各試料の製膜性を目視評価で実施した。表1における「○」は製膜性が良好な場合であり、「×」は製膜性が不良な場合を示す。
【0027】
実施例1〜3、比較例1及び3の処理液を厚さ3mmの透明なガラス基板上にスクリーン印刷法により、比較例2の処理液はスピンコート法により塗布し、150℃の熱風循環式オーブンで10分間乾燥し、大気雰囲気中で600℃のベルト炉中で5分間焼成し、酸化鉄膜付きガラス板を得た。
【0028】
上記で得られた酸化鉄膜の膜厚、可視光透過率、可視光反射率、耐薬品性試験結果、耐磨耗性試験および製膜性の評価結果を示す。また、前記で使用したニトロセルロース、エチルセルロースおよびポリブチルメタクリレートの熱分解特性を図1に示すと共に、ソーダガラス及び実施例2の酸化鉄膜付きソーダガラスの透過率スペクトルを図2に示す。
【0029】
【表1】
Figure 2004210573
【0030】
上記表1に示すように、可視光反射率において、実施例1〜3の酸化鉄膜付きガラス板は、比較例1〜3に比べて優れた高反射特性を有している。
【0031】
表1に示す耐薬品性試験(耐アルカリ性試験および耐酸性試験)結果から実施例1〜3では、試験前後での可視光反射率及び可視光反射率の変化が小さく、酸化鉄膜の剥離もないのに対して、比較例1〜3では耐薬品性試験(耐アルカリ性試験および耐酸性試験)後に酸化鉄膜が剥離してしまい、反射率の測定ができなかった。以上の結果より、実施例1〜3は耐薬品性にも優れていることが確認できた。
【0032】
表1に示す耐磨耗性試験結果から、実施例1〜3では、鉛筆硬度試験において硬度が比較例1〜3と比較して高かった。以上の結果より、実施例1〜3では耐磨耗性も優れていることが確認できた。また製膜性についても実施例1〜3では問題ないことが判明した。
【0033】
更に、図1に示す熱分解特性の結果より、ニトロセルロースは、低温で熱分解が完了し、エチルセルロースは高温で熱分解が完了していることが確認でき、それらの熱分解温度の差が100℃以上であることが分かる。また図2の透過率スペクトルの結果より、実施例では赤外線領域の透過率が低減し、熱線カット効果を呈することが判明した。
【0034】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、透明ガラス基板の表面に、有機鉄化合物(A)、熱分解温度が100〜250℃であるバインダー樹脂(B)、および有機溶剤(C)を配合した処理液を塗布して乾燥し、得られた皮膜付きのガラス基板を400〜800℃で焼成することを特徴とする酸化鉄膜付きガラスの製造方法にあって、優れた高反射性と高い耐アルカリ性や耐酸性、さらに耐摩耗性を有する酸化鉄膜付きガラスを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用したニトロセルロース、エチルセルロースおよびポリブチルメタクリレートの熱分解特性を示す図である。
【図2】本発明に係る実施例の透過率スペクトルを示す図である。

Claims (3)

  1. 透明ガラス基板の表面に、有機鉄化合物(A)、熱分解温度が100〜250℃であるバインダー樹脂(B)、および有機溶剤(C)を配合した処理液を塗布して乾燥し、得られた皮膜付きのガラス基板を400〜800℃で焼成することを特徴とする酸化鉄膜付きガラスの製造方法。
  2. バインダー樹脂(B)がニトロセルロースである請求項1記載の酸化鉄膜付きガラスの製造方法。
  3. 有機鉄化合物(A)がナフテン酸鉄である請求項1または2記載の酸化鉄膜付きガラスの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007518663A (ja) * 2004-01-26 2007-07-12 ピルキングトン・ノースアメリカ・インコーポレイテッド ガラス基材上への酸化鉄コーティングの蒸着
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