JP2004209613A - 片面研磨装置の被加工物保持機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】チャックプレートによる被加工物の保持性能を良好に保持するとともに、加工圧力の制御を改善することができる片面研磨装置の被加工物保持機構を提供する。
【解決手段】チャックプレート2に板状の被加工物1の第1面を吸着させて、被加工物を保持する。その被加工物の吸着させた第1面とは反対側の第2面を研磨布3に圧着させて、被加工物の第2面の研磨加工を行う。弾性膜13を介してチャックプレートに液体で圧力をかけて、被加工物に加工圧力をかける。ケーシング10の内側に弾性膜を張るように取りつける。ケーシングの内側と弾性膜の内側によって形成された空間に液体14を入れる。弾性膜の外側にチャックプレートを装着する。空間内の液体の量を調節することにより、チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】チャックプレート2に板状の被加工物1の第1面を吸着させて、被加工物を保持する。その被加工物の吸着させた第1面とは反対側の第2面を研磨布3に圧着させて、被加工物の第2面の研磨加工を行う。弾性膜13を介してチャックプレートに液体で圧力をかけて、被加工物に加工圧力をかける。ケーシング10の内側に弾性膜を張るように取りつける。ケーシングの内側と弾性膜の内側によって形成された空間に液体14を入れる。弾性膜の外側にチャックプレートを装着する。空間内の液体の量を調節することにより、チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、シリコンウェーハのように高平坦度研磨加工等に使用される被加工物の片面を研磨する装置に使用する被加工物保持機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の代表的な片面研磨装置の被加工物保持機構は、例えば特開平7−290355号公報に示されている。
【0003】
被加工物は、チャックプレートによって貫通穴、吸引穴、吸引溝などを介して真空吸着され、研磨布の研磨面に加圧される。加圧された状態で、被加工物は、スラリー供給装置から研磨布の研磨面に供給されるスラリーによって研磨加工される。
【0004】
通常、スラリーは、研磨布の研磨面上に極く薄い水膜状に分布する。例えば、被加工物としてシリコンウェーハを用いる場合には、スラリーとしては、例えばコロイダルシリカのアンモニア水懸濁液を用いることが多い。
【0005】
加工圧力は、プッシャーに適当な空気圧を掛けることによって調整することもあるが、単にプッシャーの重量のみによって加工圧力をかけることもある。
【0006】
また、チャックプレートに使用する真空吸着機構は、被加工物の搬送時にのみ稼動させ、研磨加工中には稼動させないこともある。たとえば、研磨加工時には、被加工物は、リテーナを先端部に備えたフランジによって横方向の位置が規定され、被加工物保持機構全体は、揺動機構によって任意の方向に揺動されて、研磨加工が進行する。
【0007】
特開平11−104958号公報においては、被加工物保持機に使用される、多孔質材からなる吸着部材が提案されている。
【0008】
特開平5−69310号公報には、ウェーハを保持する平面に柔軟性のある薄膜を用い、この薄膜をリング状の胴部に均一の張力ではりつけ、さらに、その薄膜の、ウェーハを保持している面と反対側の面に、ウェーハ押しつけ圧調整用の流体を供給する流体供給手段を設けたウェーハ鏡面研磨装置が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の被加工物保持機構には、以下のような問題点があった。
【0010】
▲1▼加工中にスラリーの固形物(コロイドの凝集したもの)が、被加工物とチャックプレートの間に入り込むことが多く、被加工物のチャックプレート面側に研磨キズが生じる。
【0011】
▲2▼加工圧力の伝達が、被加工物吸着面の部分部分によって不均一(片当たり)になりやすく、研磨仕上がり面の平坦度が悪くなりやすかった。
【0012】
▲3▼保持機構の内部構造に空隙部が多く、構造全体の剛性が低いため、面精度に悪影響を及ぼしがちであった。
【0013】
本発明の目的は、チャックプレートによる被加工物の保持性能を良好に保持するとともに、加工圧力の制御を改善することができる片面研磨装置の被加工物保持機構を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
【0015】
(1)チャックプレートに板状の被加工物の第1面を真空吸着させて被加工物を保持するとともに、その被加工物の第1面とは反対側の第2面を研磨布に圧着させて被加工物の第2面を研磨加工する片面研磨装置において、弾性膜を介してチャックプレートに流体(好適には液体)で圧力をかけて、被加工物への加工圧力を制御することを特徴とする片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0016】
(2)ケーシングの内側に弾性膜を取りつけ、ケーシングの内側と弾性膜の内側によって形成された空間に流体(好適には液体)を入れ、弾性膜の外側にチャックプレートを装着し、空間内の流体(好適には液体)の量を調節することにより、チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御することを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0017】
(3)チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御するための流体が、比重0.9〜1.1の範囲内の液体であることを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0018】
(4)チャックプレートを保持する第1リテーナが弾性膜に取りつけられ、弾性膜が変形するとき、第1リテーナとチャックプレートが一緒に移動することを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0019】
(5)第1リテーナの外側に、被加工物を保持するための第2リテーナを取りつけ、弾性膜が変形するとき、第1リテーナとチャックプレートと第2リテーナが一緒に移動することを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0020】
(6)空間内の液体を温度調節機構に接続して、液体の温度を制御することを特徴とする前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0021】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の好適な実施例による片面研磨装置の被加工物保持機構を説明する。
【0022】
板状の被加工物1(図示例では半導体ウェーハ)を搬送するときや、鏡面研磨するときに、被加工物1の第1面(図1では上側の片面)がチャックプレート2に真空吸着され、それによって、被加工物1はチャックプレート2に保持される。
【0023】
研磨加工のとき、被加工物1の第2面(図1では下側の片面)は、研磨プレート5の上面に設けられた研磨布3の研磨面に圧着され、その被加工物1の第2面が鏡面研磨される。
【0024】
ケーシング10の内側に弾性膜13を張る形で取りつける。弾性膜13の外側(図1では下側)にチャックプレート2を装着する。ケーシング10の内側と弾性膜13の内側によって形成された空間に流体好ましくは液体14を入れる。その空間内の液体14の量を調節することにより、チャックプレート2による被加工物1への加工圧力を制御する。
【0025】
ケーシング10は、全体がほぼキャップ形状をしていて、内部にほぼ円筒状の空間を有する。ケーシング10の下方部10aは開放形状になっている。ケーシング10の中央上方部10bは、管状に突き出ている。その管状の中央上方部10bの内部にパイプ15が同心に配置されている。そのパイプ15は下方に延びており、そこに吸引穴15aが形成されている。パイプ15の下方端は弾性膜13の接続穴13aに接続されている。
【0026】
弾性膜13の接続穴13aは、弾性膜13の中心に位置する。弾性膜13の周辺領域には、薄い波形部分13bが形成されている。弾性膜13の外周エッジは、ケーシング10の内側に固定されている。
【0027】
ケーシング10、弾性膜13およびパイプ15によって形成された空間は気密状態に構成されている。その気密状態の空間の中に、作動用の液体14が充てんされているのである。
【0028】
弾性膜13の波形部分13bの下側面にリング状又はフランジ状の第1リテーナ9が固定されている。その第1リテーナ9の内側にチャックプレート2が保持される。
【0029】
チャックプレート2は、全体がほぼ円板状になっていて、下側の面が平坦な面になっており、上側の面には、放射方向に延びた吸引溝2aが形成されている。吸引溝2aは、吸引作用をよくするためのものであればよく、チャックプレート2の上面に放射方向に延びた形状のみでなく、他の形状(たとえば格子形状)に配置してもよい。
【0030】
第1リテーナ9の下端にはリング状の第2リテーナ16が着脱可能に取りつけられている。この第2リテーナ16は、被加工物1を保持するためのものである。第2リテーナ16は、内周面が被加工物1の外周面と対応した形になっていて、その内側に被加工物1を保持する。
【0031】
チャックプレート2は、ポアの直径が約10〜100μmのポーラスセラミックスで円板の形に作って、水も空気も通すことができるようにするのが好ましい。
【0032】
弾性膜13の材料として、ステンレスファイバー強化シリコンゴム等を使用することが好ましい。チャックプレート2の材料として、アルミナ系ファインセラミックス等を使用することが好ましい。第2リテーナ16の材料として、PTFE等を使用することが好ましい。
【0033】
搬送または加工のときに、被加工物1は、チャックプレート2によって吸着保持される。すなわち、真空ポンプ(図示せず)によって吸引が行なわれると、パイプ15内の吸引穴15a、弾性膜13の接続穴13a、チャックプレート2の吸引溝2aを経て被加工物1の上面が、ポーラスセラミックス製のチャックプレート2によって吸着保持される。それとともに、被加工物1の外周側方部が、第1リテーナ9の先端部に取り付けられた第2リテーナ16によって保持される。
【0034】
このように、チャックプレート2として、ポーラスセラミックス製のプレートを使用し、被加工物1の片側全面を吸着すると、被加工物1の吸着による保持が確実にできる。さらに、搬送時のみでなく、加工中にも、被加工物1の片面(上面)の全面を吸着保持すれば、常に均一な保持力で、被加工物1の片面(上面)の全面がチャックプレート2に固着された状態で、研磨が行える。
【0035】
ケーシング10の内部に弾性膜13が張り付けられ、作動用の液体14が、それらとパイプ15との間の空間に充填され、必要に応じて液体14に圧力を印加して、加工圧力を微調整すると、液体による加工圧力は、あらゆる方向に均等に伝達されるので、被加工物1の吸着面に対して、弾性膜13を介して均一に分布する力として作用する。
【0036】
また、加工圧力の媒体としてケーシング10の内部に液体14を充填し、弾性膜13を介して、印加圧力が、チャックプレート2の上面から被加工物1の全面に均一に付加される構造にすると、液体14によって印加された加工圧力が被加工物1の加工面に均一に分布されるため、高い平坦度の研磨仕上り面を得ることができる。
【0037】
また、内部構造に気体部分が少なく、固体と液体が大部分を占めるように構成すると、全体の剛性が高められ、加工精度の向上にもつながる。
【0038】
本発明は、前述の実施例に限定されない。
【0039】
たとえば、チャックプレートの下面を予め曲面形状にすることにより、意図した形状の研磨面が得られるようにすることができる。
【0040】
また、空間の内部に充填した圧力伝達媒体(液体)を温度調節機構に接続することができる。たとえば、パイプ15の上方端を温度調節機構(図示せず)に接続して、空間内の液体を所定の温度に制御する。その際、空間内の液体が循環しやすくなるように、パイプ15を二重構造にして、その下端に穴をあけることも可能である。
【0041】
また、ケーシング10の外側に放熱ヒレを設けて、空間内の液体に対する放熱効率を向上させてもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明の被加工物保持機構を用いると、このように圧力伝達媒体として流体好ましくは液体を用いるので、加工面全面に均一な加工圧力を微調整して印加することができるので、平坦度の優れた研磨加工面を得ることができる。
【0043】
また、被加工物の非研磨側の全面を均一に吸着保持することが容易になる。この場合、従来のように、加工中にスラリーの固形物が被加工物とチャックプレートの間に入り込む危険がなく、したがって、被加工物の研磨側の面に研磨キズが生じない。
【0044】
さらに、本発明によれば、被加工物保持機構全体の剛性を高めやすく、加工精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例による片面研磨装置用の被加工物保持機構を説明するための縦断面図。
【符号の説明】
1 被加工物
2 チャックプレート
2a 吸引溝
5 研磨プレート
9 第1リテーナ
10 ケーシング
10a 下方部
10b 上方部
13 弾性膜
13a 接続穴
14 液体
15 パイプ
15a 吸引穴
16 第2リテーナ
【発明の属する技術分野】
この発明は、シリコンウェーハのように高平坦度研磨加工等に使用される被加工物の片面を研磨する装置に使用する被加工物保持機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の代表的な片面研磨装置の被加工物保持機構は、例えば特開平7−290355号公報に示されている。
【0003】
被加工物は、チャックプレートによって貫通穴、吸引穴、吸引溝などを介して真空吸着され、研磨布の研磨面に加圧される。加圧された状態で、被加工物は、スラリー供給装置から研磨布の研磨面に供給されるスラリーによって研磨加工される。
【0004】
通常、スラリーは、研磨布の研磨面上に極く薄い水膜状に分布する。例えば、被加工物としてシリコンウェーハを用いる場合には、スラリーとしては、例えばコロイダルシリカのアンモニア水懸濁液を用いることが多い。
【0005】
加工圧力は、プッシャーに適当な空気圧を掛けることによって調整することもあるが、単にプッシャーの重量のみによって加工圧力をかけることもある。
【0006】
また、チャックプレートに使用する真空吸着機構は、被加工物の搬送時にのみ稼動させ、研磨加工中には稼動させないこともある。たとえば、研磨加工時には、被加工物は、リテーナを先端部に備えたフランジによって横方向の位置が規定され、被加工物保持機構全体は、揺動機構によって任意の方向に揺動されて、研磨加工が進行する。
【0007】
特開平11−104958号公報においては、被加工物保持機に使用される、多孔質材からなる吸着部材が提案されている。
【0008】
特開平5−69310号公報には、ウェーハを保持する平面に柔軟性のある薄膜を用い、この薄膜をリング状の胴部に均一の張力ではりつけ、さらに、その薄膜の、ウェーハを保持している面と反対側の面に、ウェーハ押しつけ圧調整用の流体を供給する流体供給手段を設けたウェーハ鏡面研磨装置が示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来の被加工物保持機構には、以下のような問題点があった。
【0010】
▲1▼加工中にスラリーの固形物(コロイドの凝集したもの)が、被加工物とチャックプレートの間に入り込むことが多く、被加工物のチャックプレート面側に研磨キズが生じる。
【0011】
▲2▼加工圧力の伝達が、被加工物吸着面の部分部分によって不均一(片当たり)になりやすく、研磨仕上がり面の平坦度が悪くなりやすかった。
【0012】
▲3▼保持機構の内部構造に空隙部が多く、構造全体の剛性が低いため、面精度に悪影響を及ぼしがちであった。
【0013】
本発明の目的は、チャックプレートによる被加工物の保持性能を良好に保持するとともに、加工圧力の制御を改善することができる片面研磨装置の被加工物保持機構を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
【0015】
(1)チャックプレートに板状の被加工物の第1面を真空吸着させて被加工物を保持するとともに、その被加工物の第1面とは反対側の第2面を研磨布に圧着させて被加工物の第2面を研磨加工する片面研磨装置において、弾性膜を介してチャックプレートに流体(好適には液体)で圧力をかけて、被加工物への加工圧力を制御することを特徴とする片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0016】
(2)ケーシングの内側に弾性膜を取りつけ、ケーシングの内側と弾性膜の内側によって形成された空間に流体(好適には液体)を入れ、弾性膜の外側にチャックプレートを装着し、空間内の流体(好適には液体)の量を調節することにより、チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御することを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0017】
(3)チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御するための流体が、比重0.9〜1.1の範囲内の液体であることを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0018】
(4)チャックプレートを保持する第1リテーナが弾性膜に取りつけられ、弾性膜が変形するとき、第1リテーナとチャックプレートが一緒に移動することを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0019】
(5)第1リテーナの外側に、被加工物を保持するための第2リテーナを取りつけ、弾性膜が変形するとき、第1リテーナとチャックプレートと第2リテーナが一緒に移動することを特徴とする、前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0020】
(6)空間内の液体を温度調節機構に接続して、液体の温度を制御することを特徴とする前述の片面研磨装置の被加工物保持機構。
【0021】
【発明の実施の形態】
図面を参照して、本発明の好適な実施例による片面研磨装置の被加工物保持機構を説明する。
【0022】
板状の被加工物1(図示例では半導体ウェーハ)を搬送するときや、鏡面研磨するときに、被加工物1の第1面(図1では上側の片面)がチャックプレート2に真空吸着され、それによって、被加工物1はチャックプレート2に保持される。
【0023】
研磨加工のとき、被加工物1の第2面(図1では下側の片面)は、研磨プレート5の上面に設けられた研磨布3の研磨面に圧着され、その被加工物1の第2面が鏡面研磨される。
【0024】
ケーシング10の内側に弾性膜13を張る形で取りつける。弾性膜13の外側(図1では下側)にチャックプレート2を装着する。ケーシング10の内側と弾性膜13の内側によって形成された空間に流体好ましくは液体14を入れる。その空間内の液体14の量を調節することにより、チャックプレート2による被加工物1への加工圧力を制御する。
【0025】
ケーシング10は、全体がほぼキャップ形状をしていて、内部にほぼ円筒状の空間を有する。ケーシング10の下方部10aは開放形状になっている。ケーシング10の中央上方部10bは、管状に突き出ている。その管状の中央上方部10bの内部にパイプ15が同心に配置されている。そのパイプ15は下方に延びており、そこに吸引穴15aが形成されている。パイプ15の下方端は弾性膜13の接続穴13aに接続されている。
【0026】
弾性膜13の接続穴13aは、弾性膜13の中心に位置する。弾性膜13の周辺領域には、薄い波形部分13bが形成されている。弾性膜13の外周エッジは、ケーシング10の内側に固定されている。
【0027】
ケーシング10、弾性膜13およびパイプ15によって形成された空間は気密状態に構成されている。その気密状態の空間の中に、作動用の液体14が充てんされているのである。
【0028】
弾性膜13の波形部分13bの下側面にリング状又はフランジ状の第1リテーナ9が固定されている。その第1リテーナ9の内側にチャックプレート2が保持される。
【0029】
チャックプレート2は、全体がほぼ円板状になっていて、下側の面が平坦な面になっており、上側の面には、放射方向に延びた吸引溝2aが形成されている。吸引溝2aは、吸引作用をよくするためのものであればよく、チャックプレート2の上面に放射方向に延びた形状のみでなく、他の形状(たとえば格子形状)に配置してもよい。
【0030】
第1リテーナ9の下端にはリング状の第2リテーナ16が着脱可能に取りつけられている。この第2リテーナ16は、被加工物1を保持するためのものである。第2リテーナ16は、内周面が被加工物1の外周面と対応した形になっていて、その内側に被加工物1を保持する。
【0031】
チャックプレート2は、ポアの直径が約10〜100μmのポーラスセラミックスで円板の形に作って、水も空気も通すことができるようにするのが好ましい。
【0032】
弾性膜13の材料として、ステンレスファイバー強化シリコンゴム等を使用することが好ましい。チャックプレート2の材料として、アルミナ系ファインセラミックス等を使用することが好ましい。第2リテーナ16の材料として、PTFE等を使用することが好ましい。
【0033】
搬送または加工のときに、被加工物1は、チャックプレート2によって吸着保持される。すなわち、真空ポンプ(図示せず)によって吸引が行なわれると、パイプ15内の吸引穴15a、弾性膜13の接続穴13a、チャックプレート2の吸引溝2aを経て被加工物1の上面が、ポーラスセラミックス製のチャックプレート2によって吸着保持される。それとともに、被加工物1の外周側方部が、第1リテーナ9の先端部に取り付けられた第2リテーナ16によって保持される。
【0034】
このように、チャックプレート2として、ポーラスセラミックス製のプレートを使用し、被加工物1の片側全面を吸着すると、被加工物1の吸着による保持が確実にできる。さらに、搬送時のみでなく、加工中にも、被加工物1の片面(上面)の全面を吸着保持すれば、常に均一な保持力で、被加工物1の片面(上面)の全面がチャックプレート2に固着された状態で、研磨が行える。
【0035】
ケーシング10の内部に弾性膜13が張り付けられ、作動用の液体14が、それらとパイプ15との間の空間に充填され、必要に応じて液体14に圧力を印加して、加工圧力を微調整すると、液体による加工圧力は、あらゆる方向に均等に伝達されるので、被加工物1の吸着面に対して、弾性膜13を介して均一に分布する力として作用する。
【0036】
また、加工圧力の媒体としてケーシング10の内部に液体14を充填し、弾性膜13を介して、印加圧力が、チャックプレート2の上面から被加工物1の全面に均一に付加される構造にすると、液体14によって印加された加工圧力が被加工物1の加工面に均一に分布されるため、高い平坦度の研磨仕上り面を得ることができる。
【0037】
また、内部構造に気体部分が少なく、固体と液体が大部分を占めるように構成すると、全体の剛性が高められ、加工精度の向上にもつながる。
【0038】
本発明は、前述の実施例に限定されない。
【0039】
たとえば、チャックプレートの下面を予め曲面形状にすることにより、意図した形状の研磨面が得られるようにすることができる。
【0040】
また、空間の内部に充填した圧力伝達媒体(液体)を温度調節機構に接続することができる。たとえば、パイプ15の上方端を温度調節機構(図示せず)に接続して、空間内の液体を所定の温度に制御する。その際、空間内の液体が循環しやすくなるように、パイプ15を二重構造にして、その下端に穴をあけることも可能である。
【0041】
また、ケーシング10の外側に放熱ヒレを設けて、空間内の液体に対する放熱効率を向上させてもよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明の被加工物保持機構を用いると、このように圧力伝達媒体として流体好ましくは液体を用いるので、加工面全面に均一な加工圧力を微調整して印加することができるので、平坦度の優れた研磨加工面を得ることができる。
【0043】
また、被加工物の非研磨側の全面を均一に吸着保持することが容易になる。この場合、従来のように、加工中にスラリーの固形物が被加工物とチャックプレートの間に入り込む危険がなく、したがって、被加工物の研磨側の面に研磨キズが生じない。
【0044】
さらに、本発明によれば、被加工物保持機構全体の剛性を高めやすく、加工精度の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例による片面研磨装置用の被加工物保持機構を説明するための縦断面図。
【符号の説明】
1 被加工物
2 チャックプレート
2a 吸引溝
5 研磨プレート
9 第1リテーナ
10 ケーシング
10a 下方部
10b 上方部
13 弾性膜
13a 接続穴
14 液体
15 パイプ
15a 吸引穴
16 第2リテーナ
Claims (6)
- チャックプレートに板状の被加工物の第1面を真空吸着させて被加工物を保持するとともに、その被加工物の第1面とは反対側の第2面を研磨布に圧着させて被加工物の第2面を研磨加工する片面研磨装置において、弾性膜を介してチャックプレートに流体で圧力をかけて、被加工物への加工圧力を制御することを特徴とする片面研磨装置の被加工物保持機構。
- ケーシングの内側に弾性膜を取りつけ、ケーシングの内側と弾性膜の内側によって形成された空間に流体を入れ、弾性膜の外側にチャックプレートを装着し、空間内の流体の量を調節することにより、チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御することを特徴とする、請求項1に記載の片面研磨装置の被加工物保持機構。
- チャックプレートによる被加工物への加工圧力を制御するための流体が、比重0.9〜1.1の範囲内の液体であることを特徴とする、請求項1〜2のいずれか1項に記載の片面研磨装置の被加工物保持機構。
- チャックプレートを保持する第1リテーナが弾性膜に取りつけられ、弾性膜が変形するとき、第1リテーナとチャックプレートが一緒に移動することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の片面研磨装置の被加工物保持機構。
- 第1リテーナの外側に、被加工物を保持するための第2リテーナを取りつけ、弾性膜が変形するとき、第1リテーナとチャックプレートと第2リテーナが一緒に移動することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の片面研磨装置の被加工物保持機構。
- 空間内の流体を温度調節機構に接続して、流体の温度を制御することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の片面研磨装置の被加工物保持機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003001704A JP2004209613A (ja) | 2003-01-08 | 2003-01-08 | 片面研磨装置の被加工物保持機構 |
Applications Claiming Priority (1)
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CN115157112A (zh) * | 2022-08-24 | 2022-10-11 | 北京烁科精微电子装备有限公司 | 一种万向节及具有其的抛光头 |
CN118143826A (zh) * | 2024-05-10 | 2024-06-07 | 晋中三明液压机械有限公司 | 一种液压千斤顶壳体打磨设备及其方法 |
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2003
- 2003-01-08 JP JP2003001704A patent/JP2004209613A/ja active Pending
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