JP2004207613A - 半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】動作遅延が抑えられ、且つホットキャリアによる特性劣化が抑制された半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】半導体装置は、半導体基板1上に設けられたゲート絶縁膜6aと、ゲート絶縁膜6a上に設けられたゲート電極5aと、ゲート電極6a及びゲート絶縁膜6aの側面上に設けられ、窒素を含有するシリコン酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aと、オフセットサイドウォール9aの側面上に設けられ、シリコン窒化膜からなるサイドウォール8とを備えている。オフセットサイドウォール9aに窒素が導入されているので、ホットキャリアによる電気的特性の劣化が抑えられている。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体装置は、半導体基板1上に設けられたゲート絶縁膜6aと、ゲート絶縁膜6a上に設けられたゲート電極5aと、ゲート電極6a及びゲート絶縁膜6aの側面上に設けられ、窒素を含有するシリコン酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aと、オフセットサイドウォール9aの側面上に設けられ、シリコン窒化膜からなるサイドウォール8とを備えている。オフセットサイドウォール9aに窒素が導入されているので、ホットキャリアによる電気的特性の劣化が抑えられている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にダブルサイドウォール構造を有するMOSトランジスタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細化に伴うMOSトランジスタの信頼性を低下させる要因の1つにゲート絶縁膜へのホットキャリアの注入がある。半導体装置の寸法が小さくなると、ソース−ドレイン間のチャネル領域に沿った方向の電界が強くなり、チャネル領域に存在するキャリアがこの電界によって加速され高いエネルギーを持つようになる。このようなキャリアはホットキャリアと呼ばれる。このホットキャリアは、高いエネルギーを有しているので、半導体基板とゲート絶縁膜界面のエネルギー障壁を越えて容易にMOSトランジスタのゲート絶縁膜に注入される。ゲート絶縁膜に注入されたキャリアは、ゲート絶縁膜中に捕獲されたり、界面準位を発生させて半導体の閾値電圧を変動させたりして、MOSトランジスタの電流駆動能力を低下させる。
【0003】
以下、このようなホットキャリアによる信頼性の向上が図られた半導体装置について説明する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【0005】
同図に示すように、従来のMOSトランジスタは、P型シリコンからなる半導体基板101と、半導体基板101上に設けられ、酸化シリコンからなるゲート絶縁膜106aと、ポリシリコンからなり、ゲート絶縁膜106a上に設けられたゲート電極105aと、ゲート電極105aの側面上に設けられた絶縁膜からなるサイドウォール108と、半導体基板101のうちゲート電極105aの両側方に位置する領域に設けられ、n型不純物を含む高濃度不純物拡散領域103と、半導体基板101のうち、高濃度不純物拡散領域103及びゲート絶縁膜106aの端部に接する領域に設けられ、高濃度不純物拡散領域103よりも低濃度のn型不純物を含む低濃度不純物拡散領域102と、ゲート絶縁膜106aのうちゲート電極105aの両下端部の下に位置する領域に設けられた窒素含有領域106bとを備えている。また、半導体基板101の活性領域は、素子分離用絶縁膜104に囲まれている。
【0006】
第1の従来例に係るMOSトランジスタの特徴は、ゲート絶縁膜106aに窒素含有領域106bが設けられていることである。MOSトランジスタの動作時には、ゲート絶縁膜のうち、ゲート電極の下端部の下に位置する領域に電界が集中するので、ホットキャリアが発生しやすくなっている。そのため、電界が集中しやすい領域に窒素を導入することにより、ホットキャリアがゲート絶縁膜106a中にトラップされるのを防ぐことができる。このように、第1の従来例に係るMOSトランジスタでは、ホットキャリア耐性の向上が図られている。
【0007】
次に、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造方法について簡単に説明する。
【0008】
図10(a)〜(c)及び図11(a),(b)は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0009】
まず、図10(a)に示すように、P型の半導体基板101上に通常のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜104を形成した後、熱酸化法により、半導体基板101上に酸化膜106を形成する。その後、基板上にポリシリコン膜105を形成する。
【0010】
続いて、図10(b)に示すように、ポリシリコン膜105の全面上にレジスト膜を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜105及び酸化膜106のエッチングを行った後、レジスト膜を除去し、ゲート絶縁膜106aとゲート電極105aとを形成する。
【0011】
次に、図10(c)に示すように、アンモニアを含む雰囲気中で基板を熱処理し、ゲート絶縁膜106aのうち、ゲート電極105aの下端部の下に位置する領域を窒化することにより窒素含有領域106aを形成する。なお、この際には、ゲート電極105aや半導体基板101の露出部分も窒化される(図示せず)。
【0012】
次いで、図11(a)に示すように、ゲート電極105aをマスクとして半導体基板101に砒素イオンを注入し、半導体基板101のうち、ゲート電極105aの両側下方に位置する領域にn型の低濃度不純物拡散領域102を形成する。
【0013】
次に、図11(b)に示すように、ゲート電極105aの側面上にサイドウォール108を形成する。図示しないが、その後、ゲート電極105a及びサイドウォール108をマスクとして半導体基板101に砒素イオンを注入し、n型の高濃度不純物拡散領域103を形成する。そして、基板に熱処理を加えることにより、図9に示す従来のMOSトランジスタが作製できる。
【0014】
一方、素子の微細化が進む近年においては、図12に示すような、いわゆるダブルサイドウォール構造を有するMOSトランジスタが広く用いられてきている。
【0015】
図12は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。同図では、第1の従来例に係るMOSトランジスタと同様の部材または領域については同じ符号を使用している。
【0016】
図12に示すように、第2の従来例に係るMOSトランジスタは、P型シリコンからなる半導体基板101と、半導体基板101上に設けられたゲート絶縁膜106aと、ゲート絶縁膜106aの上に設けられたポリシリコンからなるゲート電極105aと、n型不純物を含み、半導体基板101のうちゲート電極105aの両側下方に位置する領域に設けられた高濃度不純物拡散領域103と、高濃度不純物拡散領域103よりも低濃度のn型不純物を含み、半導体基板101のうちゲート電極105aの両側下方に位置する領域に設けられた低濃度不純物拡散領域102と、ゲート電極105aの側面上に設けられたオフセットサイドウォール119と、オフセットサイドウォール119の側面上に設けられたサイドウォール118とを備えている。オフセットサイドウォール119は例えばシリコン酸化物からなり、サイドウォール118はシリコン窒化物からなっている。
【0017】
第2の従来例に係るMOSトランジスタでは、第1の従来例に比べてゲート電極105aと低濃度不純物拡散領域102とのオーバーラップ領域を小さくするために、サイドウォール118とオフセットサイドウォール119とが設けられている。このオーバーラップ領域が大きくなると、ゲート電極105aと半導体基板101との間の寄生容量が増大し、回路遅延の原因となる。このため、第2の従来例に係るMOSトランジスタでは寄生容量の低減が図られている。
【0018】
次に、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造方法について、簡単に説明する。
【0019】
図13(a)〜(c)及び図14(a),(b)は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0020】
まず、図13(a)に示すように、P型の半導体基板101上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜104を形成した後に、基板の熱酸化により酸化膜106を形成する。次いで、酸化膜106上にポリシリコン膜105を形成する。
【0021】
次に、図13(b)に示すように、基板の上面全体にレジストを塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜105及び酸化膜106のエッチングを行い、不要となったレジストを除去することにより、ゲート電極105a及びゲート絶縁膜106aをそれぞれ形成する。
【0022】
次いで、図13(c)に示すように、ゲート電極105aの側面上に酸化シリコンからなるオフセットサイドウォール119を形成する。
【0023】
その後、図14(a)に示すように、ゲート電極105a及びオフセットサイドウォール119をマスクとして、半導体基板101に砒素イオンを注入し、n型不純物を含む低濃度不純物拡散領域102を形成する。
【0024】
次に、図14(b)に示すように、オフセットサイドウォール119の側面上にシリコン窒化膜などからなるサイドウォール118を形成する。これに続き、ゲート電極105a及びオフセットサイドウォール119及びサイドウォール118をマスクにして砒素イオンを注入し、n型の高濃度不純物拡散領域103を形成する(図示せず)。次いで、基板に熱処理を加えることにより、第2の従来例に係るMOSトランジスタが作製できる。
【0025】
【特許文献1】
特開平9−312393号公報(第1図、第3図〜第8図)
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、第2の従来例に係るMOSトランジスタは、ゲート電極105aと低濃度不純物拡散領域102との間の容量が小さくできるので、第1の従来例に比べて動作遅延が抑えられている。
【0027】
しかしながら、第2の従来例に係るMOSトランジスタにおいては、ゲート絶縁膜がシリコン酸化膜で構成されているので、ホットキャリアによる不具合は改善されていない。そこで、本願発明者らは、第1の従来例と同様にゲート絶縁膜106aのうち、ゲート電極105aの両下端の下に位置する領域に窒素を導入することを試みたが、ホットキャリアによるMOSトランジスタの性能劣化を十分に抑えることができなかった。
【0028】
本発明は上記の不具合を解決するためになされたものであり、動作遅延が抑えられ、且つホットキャリアによる特性劣化が抑制された、信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、上記半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極と、上記ゲート電極及び上記ゲート絶縁膜の側面上に設けられ、窒素が導入された絶縁体からなる第1のサイドウォールと、第1のサイドウォールの側面上に設けられ、絶縁体からなる第2のサイドウォールと、上記半導体基板のうち、上記ゲート電極の両側下方に位置する領域に設けられ、第1導電型の不純物を含む第1の不純物拡散領域とを備えている。
【0030】
これにより、第1のサイドウォールに窒素が導入されているので、例えば第1のサイドウォールがシリコン酸化膜から構成される場合に比べ、動作中に生じるホットキャリアが第1のサイドウォール内にトラップされにくくなっている。このため、本発明の半導体装置は、ホットキャリアによるしきい値の変化や動作性能の劣化が抑えられ、信頼性が向上している。また、本発明の半導体装置はダブルサイドウォール構造を有しているので、ゲート電極と第1の不純物拡散領域との間に生じる寄生容量が低減されているので、回路遅延が抑えられている。
【0031】
上記第1のサイドウォールは、シリコン酸窒化膜からなっていることにより、ダブルサイドウォール構造を取る場合でも、ホットキャリアによる電気的特性の劣化を低減することができる。
【0032】
上記ゲート絶縁膜のうち少なくとも一部にシリコン酸窒化物からなる窒素含有領域が設けられていることにより、第1のサイドウォールにトラップされるホットキャリアだけでなく、ゲート絶縁膜にトラップされるホットキャリアも低減することができるので、半導体基板とゲート絶縁膜間に生じる界面準位の発生も抑えられる。そのため、この構成によれば、動作時にホットキャリアが生じた場合に、より電気的特性の劣化を受けにくくすることができる。
【0033】
上記ゲート絶縁膜のうち、上記第1の不純物拡散領域に接する両端部に上記窒素含有領域が設けられており、上記ゲート絶縁膜のうち、上記窒素含有領域以外の部分は、シリコン酸化膜からなっていることにより、ゲート絶縁膜の全域がシリコン酸化膜からなる構成に比べて、ホットキャリアによる性能劣化をより小さくすることができる。
【0034】
上記半導体基板のうち、上記第2のサイドウォールの両側下方であって上記第1の不純物拡散領域に隣接する位置に設けられ、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度で第1導電型の不純物を含む第2の不純物拡散領域をさらに備えていることにより、いわゆるLDD(lightly-doped drain)構造となるので、耐圧を向上させることができる。
【0035】
本発明の第1の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極とを形成する工程(a)と、上記工程(a)の後に、基板上の全面に上記ゲート電極の露出面上及び上記半導体基板上にシリコン酸化膜を形成する工程(b)と、上記シリコン酸化膜をエッチングして、上記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(c)と、上記第1のサイドウォール中に窒素を導入する工程(d)と、上記ゲート電極及び上記第1のサイドウォールをマスクとして上記半導体基板に第1導電型の不純物イオンを注入し、第1の不純物拡散領域を形成する工程(e)と、上記工程(d)及び(e)の後に、上記第1のサイドウォールの側面上に絶縁体からなる第2のサイドウォールを形成する工程(f)とを含んでいる。
【0036】
この方法により、工程(d)でシリコン酸化膜からなる第1のサイドウォールに窒素を導入するので、第1のサイドウォールでのキャリアのトラップが低減され、ホットキャリアによる影響を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0037】
上記工程(d)では、アンモニア雰囲気中で上記半導体基板を加熱することにより上記第1のサイドウォール中に窒素を導入するので、簡便に第1のサイドウォールに窒素を導入することができる。
【0038】
上記工程(d)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により上記第1のサイドウォールに窒素を導入する場合、所望の量の窒素を所望の場所に制御性よく導入することができる。
【0039】
上記工程(d)では、窒素ラジカルを含むプラズマ中に上記半導体基板をさらすことにより上記第1のサイドウォールに窒素を導入する場合、アンモニア雰囲気中で加熱する方法に比べて低温での処理が可能となるので、しきい値制御用に半導体基板に不純物が注入されている際などには、該不純物の拡散を抑えることができる。
【0040】
上記工程(a)の後、上記工程(b)の前に、上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する工程をさらに含み、上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっていることにより、ゲート絶縁膜の全域がシリコン酸化膜からなる構成に比べて、さらにホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0041】
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっており、上記工程(d)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により、上記第1のサイドウォールに窒素を導入すると同時に上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する場合、より少ない工程でホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0042】
上記工程(f)の後に、上記ゲート電極,上記第1のサイドウォール及び上記第2のサイドウォールをマスクとして第1導電型の不純物イオンを上記半導体基板に注入し、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度の不純物イオンを含む第2の不純物拡散領域を形成することにより、耐圧性を向上させたLDD構造を有する半導体装置を製造することができる。
【0043】
本発明の第2の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極とを形成する工程(a)と、上記工程(a)の後に、基板上の全面に上記ゲート電極の露出面上及び上記半導体基板上にシリコン酸化膜を形成する工程(b)と、上記シリコン酸化膜に窒素を導入し、窒素含有酸化膜を形成する工程(c)と、上記窒素含有酸化膜をエッチングして、上記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(d)と、上記ゲート電極及び上記第1のサイドウォールをマスクとして上記半導体基板に第1導電型の不純物イオンを注入し、第1の不純物拡散領域を形成する工程(e)と、上記工程(e)の後に、上記第1のサイドウォールの側面上に絶縁体からなる第2のサイドウォールを形成する工程(f)とを含んでいる。
【0044】
この方法により、工程(c)でシリコン酸化膜に窒素が導入されるので、第1のサイドウォールの構成材料を窒素含有酸化膜とすることができ、ホットキャリアによる影響を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0045】
上記工程(c)では、アンモニア雰囲気中で上記半導体基板を加熱することにより上記シリコン酸化膜に窒素を導入してもよい。
【0046】
上記工程(c)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により上記シリコン酸化膜に窒素を導入してもよい。
【0047】
また、上記工程(c)では、窒素ラジカルを含むプラズマ中に上記半導体基板をさらすことにより上記シリコン酸化膜に窒素を導入してもよい。
【0048】
上記工程(a)の後、上記工程(b)の前に、上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する工程をさらに含み、上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっていることにより、さらにホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0049】
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっており、上記工程(c)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により、上記第1のサイドウォールに窒素を導入すると同時に上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する場合、より少ない工程でホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0050】
上記工程(f)の後に、上記ゲート電極,上記第1のサイドウォール及び上記第2のサイドウォールをマスクとして第1導電型の不純物イオンを上記半導体基板に注入し、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度の不純物イオンを含む第2の不純物拡散領域を形成することにより、耐圧性を向上させたLDD構造を有する半導体装置を製造することができる。
【0051】
【発明の実態の形態】
−不具合の原因についての検討−
まず、本願発明者らは、図12に示す第2の従来例において、ホットキャリアによる特性劣化が生じやすくなる原因について調べた。その結果、第2の従来例に係るMOSトランジスタにおいては、ホットキャリアがオフセットサイドウォール119の下部にトラップされることによって、半導体基板101とオフセットサイドウォール119との間に界面準位が発生し、電気的特性が劣化することが分かった。これは、オフセットサイドウォール119が酸化シリコンから構成されているために生じると考えられる。そこで、本願発明者らは、オフセットサイドウォール119にトラップされるキャリアを低減する手段を考え、本発明に想到した。
【0052】
以下、図を参照して、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0053】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。本実施形態のMOSトランジスタの特徴は、オフセットサイドウォール9aとサイドウォール8のダブルサイドウォール構造を有し、オフセットサイドウォール9aに窒素が導入されていることである。
【0054】
すなわち、図1に示すように、本実施形態のMOSトランジスタは、活性領域を有し、P型シリコンからなる半導体基板1と、半導体基板1の活性領域上に設けられた厚さ3nmのゲート絶縁膜6aと、ゲート絶縁膜6a上に設けられたポリシリコンからなるゲート電極5aと、半導体基板1上に設けられ、且つゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上に形成されたオフセットサイドウォール9aと、半導体基板1上に設けられ、オフセットサイドウォール9aの側面上に形成されたサイドウォール8とを備えている。また、半導体基板1のうち、ゲート電極5aの両側方に位置する領域には、例えば5×1018cm-3程度の低濃度でN型不純物を含む低濃度不純物拡散領域2と、低濃度不純物拡散領域2と接し、例えば5×1020cm-3程度の高濃度でN型不純物を含む高濃度不純物拡散領域3とがそれぞれ設けられている。そして、活性領域は、素子分離用絶縁膜4に囲まれている。
【0055】
また、オフセットサイドウォール9aは約10nmの厚み(ゲート長方向の幅)を有し、窒素を含有した酸化膜(窒素含有酸化膜)からなっている。一方、サイドウォール8は例えばシリコン窒化膜からなっている。
【0056】
上述のように、本実施形態のMOSトランジスタは、窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aを有しているので、第2の従来例に係るMOSトランジスタに比べ、ホットキャリアがオフセットサイドウォール9a中にトラップされにくくなっている。従って、本実施形態のMOSトランジスタでは、ホットキャリアによるしきい値の変動や電流駆動特性の変化などを受けにくく、信頼性の向上が図られている。
【0057】
加えて、本実施形態のMOSトランジスタは、第2の従来例に係るMOSトランジスタと同様に低濃度不純物拡散領域2とゲート電極5aとのオーバーラップが小さくなっているので、第1の従来例と比べて動作速度が向上している。
【0058】
次に、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法について、図を用いて説明する。
【0059】
図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)は、本実施形態のMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0060】
まず、図2(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上に厚さ160nm程度のポリシリコン膜5を形成する。
【0061】
次に、図2(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。
【0062】
次に、図2(c)に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって基板上に厚さ約14nmのシリコン酸化膜9を形成する。なお、ここで堆積するシリコン酸化膜9は、例えば高温で堆積したHTO膜(High temperature oxcide)である。
【0063】
次いで、図2(d)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上に酸化膜からなるオフセットサイドウォール9Aを残す。ここで、オフセットサイドウォール9Aの幅は、約10nmとなる。
【0064】
次に、図3(a)に示すように、アンモニア(NH3)を含む雰囲気中、600℃以上900℃以下の温度で基板を熱処理する。これにより、酸化膜からなるオフセットサイドウォール9Aに窒素が導入され、窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aとなる。なお、本工程では、半導体基板1の露出部及びゲート電極5aの露出部にも窒素が導入されるが、発明の本質ではないので図示していない。
【0065】
次に、図3(b)に示すように、ゲート電極5a及びオフセットサイドウォール9aをマスクとして半導体基板1に砒素イオンなどのN型不純物イオンを注入し、低濃度不純物拡散領域2を形成する。ここでは、オフセットサイドウォール9aの厚みの分、上面から見た場合の低濃度不純物拡散領域2とゲート電極5aとのオーバーラップが小さくなっている。
【0066】
続いて、図3(c)に示すように、基板全体に厚さ約60nmのシリコン窒化膜を堆積後、該シリコン窒化膜をエッチバックすることにより、オフセットサイドウォール9aの側面上にサイドウォール8を形成する。その後、ゲート電極5a,オフセットサイドウォール9a及びサイドウォール8をマスクとして砒素イオンを注入し、高濃度不純物拡散領域3を形成する(図示せず)。これに続いて、基板に熱処理を加えることにより、図1に示す本実施形態のMOSトランジスタが作製できる。
【0067】
本実施形態のMOSトランジスタの製造方法では、酸化膜からなるオフセットサイドウォール9Aを形成した後に、図3(a)に示す工程で、窒素を導入することによって窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aにしている。この方法をとるのは、シリコン酸窒化膜を直接CVD法などで堆積するのが困難であるためである。
【0068】
また、上述の方法では、オフセットサイドウォール9Aへの窒素の導入を酸化膜9のエッチバック後に行っているが、図2(c)に示す酸化膜9の形成工程の後、酸化膜9のエッチバック前に行ってもよい。この場合には、半導体基板1の露出部やゲート電極5aの上面部に窒化膜が形成されることはない。ただし、酸化膜9のエッチバック後に窒素を導入する方法の方が、酸化膜9のエッチングを制御性良く行なうことができるので好ましい。
【0069】
なお、以上の説明では、N型のMOSトランジスタの場合についてのみ示したが、P型のMOSトランジスタの場合にも、同様の工程により窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォールを形成することができる。
【0070】
また、本実施形態では、MOSFETを用いて説明したが、フラッシュEEPROMでも上述と同様な方法でダブルサイドウォール構造を形成すれば、同様な効果を得ることができる。
【0071】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るMOSトランジスタの製造方法について以下に説明する。
【0072】
本実施形態のMOSトランジスタの製造方法は、オフセットサイドウォール9Aへの窒素の導入工程のみ第1の実施形態の方法と異なり、それ以外の工程は第1の実施形態の方法と同じである。
【0073】
すなわち、図2(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上にポリシリコン膜5を形成する。
【0074】
次に、図2(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。
【0075】
次に、図2(c)に示すように、CVD法によって基板上にHTOからなる酸化膜9を形成する。
【0076】
次いで、図2(d)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上にオフセットサイドウォール9Aを残す。
【0077】
次に、オフセットサイドウォール9Aに窒素を導入する。
【0078】
図4は、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法における、斜めイオン注入工程を示す断面図である。
【0079】
同図に示す工程では、基板に対して3度以上45度以下傾けた位置から、基板を回転させながら窒素イオンを注入する。これによって、オフセットサイドウォール9Aに窒素が導入される。この際の窒素イオンの注入量は5×1014cm-2以上1×1016cm-2以下とするのが好ましく、注入エネルギーは5keV以上20keV以下とするのが好ましい。これにより、オフセットサイドウォール9Aを構成する酸化膜に窒素が導入されて、窒素含有酸化膜からなオフセットサイドウォール9aとなる。ここで、注入エネルギーを大きくする場合には、後に説明するように、ゲート絶縁膜6aの両端部にも窒素イオンが注入される。
【0080】
なお、本工程の後、図3(b),(c)に示すように、N型イオンの注入による低濃度不純物拡散領域2の形成工程、シリコン窒化膜からなるサイドウォール8の形成工程、高濃度不純物拡散領域3の形成工程及び熱処理による不純物の活性化工程を順に経て本実施形態のMOSトランジスタ(第1の実施形態のMOSトランジスタ)が作製される。なお、高濃度不純物拡散領域3を形成後の熱処理は、オフセットサイドウォール9aに導入された窒素に対する熱処理も兼ねている。
【0081】
以上の窒素注入によって形成した窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aの場合でも、第1の実施形態の方法と同様に、ホットキャリアのオフセットサイドウォール9aへのトラップによる電気的特性の変化が抑えられた信頼性の高いMOSトランジスタを作製することができる。
【0082】
特に、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法では、イオン注入によりオフセットサイドウォール9Aに窒素を導入するので、導入する窒素量の制御が容易になっている。また、オフセットサイドウォール9Aの膜厚に合わせて注入エネルギーを調節できるので、オフセットサイドウォール9a膜中の窒素プロファイルを任意に制御できる。なお、窒素イオンの注入エネルギーをより大きくすることで、オフセットサイドウォール9aだけでなくゲート絶縁膜6aの両端部にも同時に窒素を導入することができる。
【0083】
また、上述の説明において、図4に示す窒素イオンの注入工程で形成するレジストマスクを図3(b)に示す低濃度不純物拡散領域2の形成工程でも利用することができる。これにより、別々にマスクを形成する場合に比べ、工程数を減らすことができる。また、所定の領域にレジストをパターニングする工程をイオン注入の前に追加するだけで、例えばNMOS領域のみ、例えばI/O領域(入出力回路領域)のみのオフセットサイドウォールに窒素を含有させることができる。
【0084】
なお、本実施形態の方法においても、窒素イオンの注入工程を、酸化膜9の形成後、該酸化膜9のエッチバック前に行ってもよい。ただし、酸化膜9のエッチバック後に窒素を導入する方法の方が、酸化膜9のエッチングを制御性良く行なうことができるのでより好ましい。
【0085】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態として、第1の実施形態のMOSトランジスタのさらに別の製造方法について説明する。
【0086】
本実施形態のMOSトランジスタの製造方法では、オフセットサイドウォール9aへの窒素導入をプラズマ窒化で行い、それ以外の工程は、第1及び第2の実施形態の方法と同様である。
【0087】
すなわち、図2(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上にポリシリコン膜5を形成する。
【0088】
次に、図2(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。
【0089】
次に、図2(c)に示すように、CVD法によって基板上にHTOからなる酸化膜9を形成する。
【0090】
次いで、図2(d)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上にオフセットサイドウォール9Aを残す。
【0091】
次に、オフセットサイドウォール9Aに窒素を導入する。
【0092】
図5は、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法における、プラズマ窒化工程を示す断面図である。
【0093】
本工程では、図5に示すように、窒素ラジカルを含むプラズマ中に基板をさらすことにより、オフセットサイドウォール9Aを窒化する。この際には、例えば、圧力を約1.27Pa(950mTorr)、温度を200℃以上400℃以下、処理時間を20secとすることが好ましい。また、アルゴン(Ar)ガスと窒素(N2)ガスの流量は、それぞれ2.0×103ml/minと1.5×102ml/minとし、パワーは1.5kWとするのが好ましい。本工程では、反応性の高い窒素プラズマによってオフセットサイドウォール9Aの側面を含む基板の表面から急速に窒化が進む。
【0094】
なお、本工程の後、図3(b),(c)に示すように、N型イオンの注入による低濃度不純物拡散領域2の形成工程、シリコン窒化膜からなるサイドウォール8の形成工程、高濃度不純物拡散領域3の形成工程及び熱処理による不純物の活性化工程を順に経て本実施形態のMOSトランジスタ(第1の実施形態のMOSトランジスタ)が作製される。
【0095】
以上のプラズマ窒化によって形成した窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aの場合でも、ホットキャリアのオフセットサイドウォール9aへのトラップによる電気的特性の変化が抑えられた信頼性の高いMOSトランジスタを作製することができる。
【0096】
これに加え、本実施形態の方法によれば、プラズマ窒化を行なうことで、第1の実施形態の方法に比べ、低温でオフセットサイドウォール9aに窒素を導入することができるので、半導体基板1内に注入されたしきい値制御用不純物などの拡散を防止することができる。
【0097】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態として、オフセットサイドウォールだけでなくゲート絶縁膜の両端部にも窒素が導入されたMOSトランジスタ及びその製造方法を説明する。
【0098】
図6は、本発明の第4の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【0099】
同図に示すように、本実施形態のMOSトランジスタは、活性領域を有し、P型シリコンからなる半導体基板1と、半導体基板1の活性領域上に設けられた厚さ3nmのゲート絶縁膜6aと、ゲート絶縁膜6a上に設けられたポリシリコンからなるゲート電極5aと、半導体基板1上に設けられ、且つゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上に形成されたオフセットサイドウォール9aと、半導体基板1上に設けられ、オフセットサイドウォール9aの側面上に形成されたサイドウォール8とを備えている。また、半導体基板1のうち、ゲート電極5aの両側方に位置する領域には、例えば5×1018cm-3程度の低濃度でN型不純物を含む低濃度不純物拡散領域2と、低濃度不純物拡散領域2と接し、例えば5×1020cm-3程度の高濃度でN型不純物を含む高濃度不純物拡散領域3とがそれぞれ設けられている。そして、活性領域は、素子分離用絶縁膜4に囲まれている。また、オフセットサイドウォール9aは約10nmの厚みを有し、窒素含有酸化膜からなっている。
【0100】
そして、本実施形態のMOSトランジスタにおいては、ゲート絶縁膜6aのうち両端部、すなわち低濃度不純物拡散領域2と接する部分に窒素含有領域6bが設けられ、ゲート絶縁膜6aのそれ以外の部分はシリコン酸化膜からなっている。
【0101】
このため、本実施形態のMOSトランジスタでは、ホットキャリアがオフセットサイドウォール9aだけでなくゲート絶縁膜6aの両端部にもトラップされにくくなっている。そのため、本実施形態のMOSトランジスタでは、ホットキャリアが生じた場合の電気的特性の劣化が第1の実施形態のMOSトランジスタに比べてさらに効果的に低減されている。
【0102】
次に、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法について説明する。
【0103】
図7(a)〜(d)及び図8(a)〜(d)は、本実施形態のMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0104】
まず、図7(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上に厚さ160nm程度のポリシリコン膜5を形成する。
【0105】
次に、図7(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。ここまでの工程は第1の実施形態と同様である。
【0106】
次に、図7(c)に示すように、アンモニア雰囲気中で基板を熱処理してゲート絶縁膜6aの両端部に窒素を導入し、窒素含有領域6bを形成する。ただし、この方法に代えて、プラズマ窒化や窒素イオンの注入などの窒素導入法を用いてもよい。
【0107】
続いて、図7(d)に示すように、CVD法によって基板上に厚さ約14nmの酸化膜9を形成する。
【0108】
次いで、図8(a)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上にオフセットサイドウォール9Aを残す。
【0109】
次に、図8(b)に示すように、オフセットサイドウォール9Aに窒素を導入する。ここで、窒素の導入方法としては、第1〜第3の実施形態で説明したいずれの方法を用いてもよい。すなわち、アンモニア雰囲気中での熱処理、窒素イオンの斜めイオン注入及び窒素プラズマ処理のいずれを用いてもよい。これにより、オフセットサイドウォール9Aに窒素が導入され、窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aとなる。
【0110】
次いで、図8(c)に示すように、ゲート電極5a及びオフセットサイドウォール9aをマスクとして半導体基板1に砒素イオンなどのN型不純物イオンを注入し、低濃度不純物拡散領域2を形成する。
【0111】
次に、図8(d)に示すように、基板全体に厚さ約60nmのシリコン窒化膜を堆積後、該シリコン窒化膜をエッチバックすることにより、オフセットサイドウォール9aの側面上にサイドウォール8を形成する。その後、ゲート電極5a,オフセットサイドウォール9a及びサイドウォール8をマスクとして砒素イオンを注入し、高濃度不純物拡散領域3を形成する(図示せず)。これに続いて、基板に熱処理を加えることにより、図6に示す本実施形態のMOSトランジスタが作製できる。
【0112】
なお、上述の説明では、ゲート絶縁膜6aの両端部に窒素を導入する工程とオフセットサイドウォール9aに窒素を導入する工程とを別々に行う例を示したが、斜めイオン注入回転法を用いる場合には、両工程を同時に行なうことができる。その場合には、図7(c)に示す工程を行わず、図8(b)に示す工程においてゲート絶縁膜9aの端部に到達できるだけのエネルギーで窒素イオンを注入すればよい。この際には、注入エネルギーを20keV程度とし、基板に対して3度以上45度以下傾けた位置から注入する。
この方法によれば、より少ない工程で本実施形態のMOSトランジスタを製造することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態のMOSトランジスタでは、ゲート絶縁膜6aのうち端部に窒素含有領域6bが設けられていたが、ゲート絶縁膜6a全体に窒素を含むシリコン酸窒化膜からなる窒素含有領域6bであってもよい。このようなMOS(MIS)トランジスタにおいては、ホットキャリアによる性能の低下はより低減される。なお、図7(c)に示す工程を行う代わりに、図7(a)に示す工程において、酸化膜6の形成後、ポリシリコン膜5の形成前に窒素を導入する工程を行なうこと等によりこのMISトランジスタを作製できる。
【0114】
【発明の効果】
本発明の第1の半導体装置は、ゲート電極の側面を覆うオフセットサイドウォールと、オフセットサイドウォールの側面上に設けられたサイドウォールとを備えたMOSトランジスタであって、オフセットサイドウォールに窒素が導入されている。そのため、オフセットサイドウォールにキャリアがトラップされにくくなっているので、ホットキャリアの注入による電気的特性の劣化が低減することができる。
【0115】
本発明の第2の半導体装置は、ゲート電極の側面を覆うオフセットサイドウォールと、オフセットサイドウォールの側面上に設けられたサイドウォールとを備えたMOSトランジスタであって、オフセットサイドウォール及びゲート絶縁膜の両端部に窒素が導入されている。これにより、オフセットサイドウォールだけでなく、ゲート絶縁膜の両端部にキャリアがトラップされにくくなっているので、ホットキャリアの注入による電気的特性の劣化をより効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、オフセットサイドウォールを形成するまでの工程を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでの工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るMOSトランジスタの製造方法における、斜めイオン注入工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るMOSトランジスタの製造方法における、プラズマ窒化工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、第4の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、酸化膜を形成する工程までを示す断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、第4の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでの工程を示す断面図である。
【図9】第1の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、ゲート絶縁膜に窒素を導入するまでを示す断面図である。
【図11】(a),(b)は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでを示す断面図である。
【図12】第2の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、オフセットサイドウォールを形成するまでを示す断面図である。
【図14】(a),(b)は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでを示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 低濃度不純物拡散領域
3 高濃度不純物拡散領域
4 素子分離用絶縁膜
5 ポリシリコン膜
5a ゲート電極
6 酸化膜
6a ゲート絶縁膜
6b 窒素導入領域
8 サイドウォール
9 酸化膜
9A オフセットサイドウォール(酸化膜)
9a オフセットサイドウォール(窒素含有酸化膜)
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にダブルサイドウォール構造を有するMOSトランジスタ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微細化に伴うMOSトランジスタの信頼性を低下させる要因の1つにゲート絶縁膜へのホットキャリアの注入がある。半導体装置の寸法が小さくなると、ソース−ドレイン間のチャネル領域に沿った方向の電界が強くなり、チャネル領域に存在するキャリアがこの電界によって加速され高いエネルギーを持つようになる。このようなキャリアはホットキャリアと呼ばれる。このホットキャリアは、高いエネルギーを有しているので、半導体基板とゲート絶縁膜界面のエネルギー障壁を越えて容易にMOSトランジスタのゲート絶縁膜に注入される。ゲート絶縁膜に注入されたキャリアは、ゲート絶縁膜中に捕獲されたり、界面準位を発生させて半導体の閾値電圧を変動させたりして、MOSトランジスタの電流駆動能力を低下させる。
【0003】
以下、このようなホットキャリアによる信頼性の向上が図られた半導体装置について説明する(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図9は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【0005】
同図に示すように、従来のMOSトランジスタは、P型シリコンからなる半導体基板101と、半導体基板101上に設けられ、酸化シリコンからなるゲート絶縁膜106aと、ポリシリコンからなり、ゲート絶縁膜106a上に設けられたゲート電極105aと、ゲート電極105aの側面上に設けられた絶縁膜からなるサイドウォール108と、半導体基板101のうちゲート電極105aの両側方に位置する領域に設けられ、n型不純物を含む高濃度不純物拡散領域103と、半導体基板101のうち、高濃度不純物拡散領域103及びゲート絶縁膜106aの端部に接する領域に設けられ、高濃度不純物拡散領域103よりも低濃度のn型不純物を含む低濃度不純物拡散領域102と、ゲート絶縁膜106aのうちゲート電極105aの両下端部の下に位置する領域に設けられた窒素含有領域106bとを備えている。また、半導体基板101の活性領域は、素子分離用絶縁膜104に囲まれている。
【0006】
第1の従来例に係るMOSトランジスタの特徴は、ゲート絶縁膜106aに窒素含有領域106bが設けられていることである。MOSトランジスタの動作時には、ゲート絶縁膜のうち、ゲート電極の下端部の下に位置する領域に電界が集中するので、ホットキャリアが発生しやすくなっている。そのため、電界が集中しやすい領域に窒素を導入することにより、ホットキャリアがゲート絶縁膜106a中にトラップされるのを防ぐことができる。このように、第1の従来例に係るMOSトランジスタでは、ホットキャリア耐性の向上が図られている。
【0007】
次に、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造方法について簡単に説明する。
【0008】
図10(a)〜(c)及び図11(a),(b)は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0009】
まず、図10(a)に示すように、P型の半導体基板101上に通常のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜104を形成した後、熱酸化法により、半導体基板101上に酸化膜106を形成する。その後、基板上にポリシリコン膜105を形成する。
【0010】
続いて、図10(b)に示すように、ポリシリコン膜105の全面上にレジスト膜を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜105及び酸化膜106のエッチングを行った後、レジスト膜を除去し、ゲート絶縁膜106aとゲート電極105aとを形成する。
【0011】
次に、図10(c)に示すように、アンモニアを含む雰囲気中で基板を熱処理し、ゲート絶縁膜106aのうち、ゲート電極105aの下端部の下に位置する領域を窒化することにより窒素含有領域106aを形成する。なお、この際には、ゲート電極105aや半導体基板101の露出部分も窒化される(図示せず)。
【0012】
次いで、図11(a)に示すように、ゲート電極105aをマスクとして半導体基板101に砒素イオンを注入し、半導体基板101のうち、ゲート電極105aの両側下方に位置する領域にn型の低濃度不純物拡散領域102を形成する。
【0013】
次に、図11(b)に示すように、ゲート電極105aの側面上にサイドウォール108を形成する。図示しないが、その後、ゲート電極105a及びサイドウォール108をマスクとして半導体基板101に砒素イオンを注入し、n型の高濃度不純物拡散領域103を形成する。そして、基板に熱処理を加えることにより、図9に示す従来のMOSトランジスタが作製できる。
【0014】
一方、素子の微細化が進む近年においては、図12に示すような、いわゆるダブルサイドウォール構造を有するMOSトランジスタが広く用いられてきている。
【0015】
図12は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。同図では、第1の従来例に係るMOSトランジスタと同様の部材または領域については同じ符号を使用している。
【0016】
図12に示すように、第2の従来例に係るMOSトランジスタは、P型シリコンからなる半導体基板101と、半導体基板101上に設けられたゲート絶縁膜106aと、ゲート絶縁膜106aの上に設けられたポリシリコンからなるゲート電極105aと、n型不純物を含み、半導体基板101のうちゲート電極105aの両側下方に位置する領域に設けられた高濃度不純物拡散領域103と、高濃度不純物拡散領域103よりも低濃度のn型不純物を含み、半導体基板101のうちゲート電極105aの両側下方に位置する領域に設けられた低濃度不純物拡散領域102と、ゲート電極105aの側面上に設けられたオフセットサイドウォール119と、オフセットサイドウォール119の側面上に設けられたサイドウォール118とを備えている。オフセットサイドウォール119は例えばシリコン酸化物からなり、サイドウォール118はシリコン窒化物からなっている。
【0017】
第2の従来例に係るMOSトランジスタでは、第1の従来例に比べてゲート電極105aと低濃度不純物拡散領域102とのオーバーラップ領域を小さくするために、サイドウォール118とオフセットサイドウォール119とが設けられている。このオーバーラップ領域が大きくなると、ゲート電極105aと半導体基板101との間の寄生容量が増大し、回路遅延の原因となる。このため、第2の従来例に係るMOSトランジスタでは寄生容量の低減が図られている。
【0018】
次に、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造方法について、簡単に説明する。
【0019】
図13(a)〜(c)及び図14(a),(b)は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0020】
まず、図13(a)に示すように、P型の半導体基板101上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜104を形成した後に、基板の熱酸化により酸化膜106を形成する。次いで、酸化膜106上にポリシリコン膜105を形成する。
【0021】
次に、図13(b)に示すように、基板の上面全体にレジストを塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜105及び酸化膜106のエッチングを行い、不要となったレジストを除去することにより、ゲート電極105a及びゲート絶縁膜106aをそれぞれ形成する。
【0022】
次いで、図13(c)に示すように、ゲート電極105aの側面上に酸化シリコンからなるオフセットサイドウォール119を形成する。
【0023】
その後、図14(a)に示すように、ゲート電極105a及びオフセットサイドウォール119をマスクとして、半導体基板101に砒素イオンを注入し、n型不純物を含む低濃度不純物拡散領域102を形成する。
【0024】
次に、図14(b)に示すように、オフセットサイドウォール119の側面上にシリコン窒化膜などからなるサイドウォール118を形成する。これに続き、ゲート電極105a及びオフセットサイドウォール119及びサイドウォール118をマスクにして砒素イオンを注入し、n型の高濃度不純物拡散領域103を形成する(図示せず)。次いで、基板に熱処理を加えることにより、第2の従来例に係るMOSトランジスタが作製できる。
【0025】
【特許文献1】
特開平9−312393号公報(第1図、第3図〜第8図)
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、第2の従来例に係るMOSトランジスタは、ゲート電極105aと低濃度不純物拡散領域102との間の容量が小さくできるので、第1の従来例に比べて動作遅延が抑えられている。
【0027】
しかしながら、第2の従来例に係るMOSトランジスタにおいては、ゲート絶縁膜がシリコン酸化膜で構成されているので、ホットキャリアによる不具合は改善されていない。そこで、本願発明者らは、第1の従来例と同様にゲート絶縁膜106aのうち、ゲート電極105aの両下端の下に位置する領域に窒素を導入することを試みたが、ホットキャリアによるMOSトランジスタの性能劣化を十分に抑えることができなかった。
【0028】
本発明は上記の不具合を解決するためになされたものであり、動作遅延が抑えられ、且つホットキャリアによる特性劣化が抑制された、信頼性の高い半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、上記半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極と、上記ゲート電極及び上記ゲート絶縁膜の側面上に設けられ、窒素が導入された絶縁体からなる第1のサイドウォールと、第1のサイドウォールの側面上に設けられ、絶縁体からなる第2のサイドウォールと、上記半導体基板のうち、上記ゲート電極の両側下方に位置する領域に設けられ、第1導電型の不純物を含む第1の不純物拡散領域とを備えている。
【0030】
これにより、第1のサイドウォールに窒素が導入されているので、例えば第1のサイドウォールがシリコン酸化膜から構成される場合に比べ、動作中に生じるホットキャリアが第1のサイドウォール内にトラップされにくくなっている。このため、本発明の半導体装置は、ホットキャリアによるしきい値の変化や動作性能の劣化が抑えられ、信頼性が向上している。また、本発明の半導体装置はダブルサイドウォール構造を有しているので、ゲート電極と第1の不純物拡散領域との間に生じる寄生容量が低減されているので、回路遅延が抑えられている。
【0031】
上記第1のサイドウォールは、シリコン酸窒化膜からなっていることにより、ダブルサイドウォール構造を取る場合でも、ホットキャリアによる電気的特性の劣化を低減することができる。
【0032】
上記ゲート絶縁膜のうち少なくとも一部にシリコン酸窒化物からなる窒素含有領域が設けられていることにより、第1のサイドウォールにトラップされるホットキャリアだけでなく、ゲート絶縁膜にトラップされるホットキャリアも低減することができるので、半導体基板とゲート絶縁膜間に生じる界面準位の発生も抑えられる。そのため、この構成によれば、動作時にホットキャリアが生じた場合に、より電気的特性の劣化を受けにくくすることができる。
【0033】
上記ゲート絶縁膜のうち、上記第1の不純物拡散領域に接する両端部に上記窒素含有領域が設けられており、上記ゲート絶縁膜のうち、上記窒素含有領域以外の部分は、シリコン酸化膜からなっていることにより、ゲート絶縁膜の全域がシリコン酸化膜からなる構成に比べて、ホットキャリアによる性能劣化をより小さくすることができる。
【0034】
上記半導体基板のうち、上記第2のサイドウォールの両側下方であって上記第1の不純物拡散領域に隣接する位置に設けられ、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度で第1導電型の不純物を含む第2の不純物拡散領域をさらに備えていることにより、いわゆるLDD(lightly-doped drain)構造となるので、耐圧を向上させることができる。
【0035】
本発明の第1の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極とを形成する工程(a)と、上記工程(a)の後に、基板上の全面に上記ゲート電極の露出面上及び上記半導体基板上にシリコン酸化膜を形成する工程(b)と、上記シリコン酸化膜をエッチングして、上記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(c)と、上記第1のサイドウォール中に窒素を導入する工程(d)と、上記ゲート電極及び上記第1のサイドウォールをマスクとして上記半導体基板に第1導電型の不純物イオンを注入し、第1の不純物拡散領域を形成する工程(e)と、上記工程(d)及び(e)の後に、上記第1のサイドウォールの側面上に絶縁体からなる第2のサイドウォールを形成する工程(f)とを含んでいる。
【0036】
この方法により、工程(d)でシリコン酸化膜からなる第1のサイドウォールに窒素を導入するので、第1のサイドウォールでのキャリアのトラップが低減され、ホットキャリアによる影響を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0037】
上記工程(d)では、アンモニア雰囲気中で上記半導体基板を加熱することにより上記第1のサイドウォール中に窒素を導入するので、簡便に第1のサイドウォールに窒素を導入することができる。
【0038】
上記工程(d)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により上記第1のサイドウォールに窒素を導入する場合、所望の量の窒素を所望の場所に制御性よく導入することができる。
【0039】
上記工程(d)では、窒素ラジカルを含むプラズマ中に上記半導体基板をさらすことにより上記第1のサイドウォールに窒素を導入する場合、アンモニア雰囲気中で加熱する方法に比べて低温での処理が可能となるので、しきい値制御用に半導体基板に不純物が注入されている際などには、該不純物の拡散を抑えることができる。
【0040】
上記工程(a)の後、上記工程(b)の前に、上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する工程をさらに含み、上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっていることにより、ゲート絶縁膜の全域がシリコン酸化膜からなる構成に比べて、さらにホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0041】
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっており、上記工程(d)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により、上記第1のサイドウォールに窒素を導入すると同時に上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する場合、より少ない工程でホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0042】
上記工程(f)の後に、上記ゲート電極,上記第1のサイドウォール及び上記第2のサイドウォールをマスクとして第1導電型の不純物イオンを上記半導体基板に注入し、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度の不純物イオンを含む第2の不純物拡散領域を形成することにより、耐圧性を向上させたLDD構造を有する半導体装置を製造することができる。
【0043】
本発明の第2の半導体装置の製造方法は、半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極とを形成する工程(a)と、上記工程(a)の後に、基板上の全面に上記ゲート電極の露出面上及び上記半導体基板上にシリコン酸化膜を形成する工程(b)と、上記シリコン酸化膜に窒素を導入し、窒素含有酸化膜を形成する工程(c)と、上記窒素含有酸化膜をエッチングして、上記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(d)と、上記ゲート電極及び上記第1のサイドウォールをマスクとして上記半導体基板に第1導電型の不純物イオンを注入し、第1の不純物拡散領域を形成する工程(e)と、上記工程(e)の後に、上記第1のサイドウォールの側面上に絶縁体からなる第2のサイドウォールを形成する工程(f)とを含んでいる。
【0044】
この方法により、工程(c)でシリコン酸化膜に窒素が導入されるので、第1のサイドウォールの構成材料を窒素含有酸化膜とすることができ、ホットキャリアによる影響を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0045】
上記工程(c)では、アンモニア雰囲気中で上記半導体基板を加熱することにより上記シリコン酸化膜に窒素を導入してもよい。
【0046】
上記工程(c)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により上記シリコン酸化膜に窒素を導入してもよい。
【0047】
また、上記工程(c)では、窒素ラジカルを含むプラズマ中に上記半導体基板をさらすことにより上記シリコン酸化膜に窒素を導入してもよい。
【0048】
上記工程(a)の後、上記工程(b)の前に、上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する工程をさらに含み、上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっていることにより、さらにホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0049】
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっており、上記工程(c)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により、上記第1のサイドウォールに窒素を導入すると同時に上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する場合、より少ない工程でホットキャリアによる性能の劣化を受けにくい半導体装置を製造することができる。
【0050】
上記工程(f)の後に、上記ゲート電極,上記第1のサイドウォール及び上記第2のサイドウォールをマスクとして第1導電型の不純物イオンを上記半導体基板に注入し、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度の不純物イオンを含む第2の不純物拡散領域を形成することにより、耐圧性を向上させたLDD構造を有する半導体装置を製造することができる。
【0051】
【発明の実態の形態】
−不具合の原因についての検討−
まず、本願発明者らは、図12に示す第2の従来例において、ホットキャリアによる特性劣化が生じやすくなる原因について調べた。その結果、第2の従来例に係るMOSトランジスタにおいては、ホットキャリアがオフセットサイドウォール119の下部にトラップされることによって、半導体基板101とオフセットサイドウォール119との間に界面準位が発生し、電気的特性が劣化することが分かった。これは、オフセットサイドウォール119が酸化シリコンから構成されているために生じると考えられる。そこで、本願発明者らは、オフセットサイドウォール119にトラップされるキャリアを低減する手段を考え、本発明に想到した。
【0052】
以下、図を参照して、本発明の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法について説明する。
【0053】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。本実施形態のMOSトランジスタの特徴は、オフセットサイドウォール9aとサイドウォール8のダブルサイドウォール構造を有し、オフセットサイドウォール9aに窒素が導入されていることである。
【0054】
すなわち、図1に示すように、本実施形態のMOSトランジスタは、活性領域を有し、P型シリコンからなる半導体基板1と、半導体基板1の活性領域上に設けられた厚さ3nmのゲート絶縁膜6aと、ゲート絶縁膜6a上に設けられたポリシリコンからなるゲート電極5aと、半導体基板1上に設けられ、且つゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上に形成されたオフセットサイドウォール9aと、半導体基板1上に設けられ、オフセットサイドウォール9aの側面上に形成されたサイドウォール8とを備えている。また、半導体基板1のうち、ゲート電極5aの両側方に位置する領域には、例えば5×1018cm-3程度の低濃度でN型不純物を含む低濃度不純物拡散領域2と、低濃度不純物拡散領域2と接し、例えば5×1020cm-3程度の高濃度でN型不純物を含む高濃度不純物拡散領域3とがそれぞれ設けられている。そして、活性領域は、素子分離用絶縁膜4に囲まれている。
【0055】
また、オフセットサイドウォール9aは約10nmの厚み(ゲート長方向の幅)を有し、窒素を含有した酸化膜(窒素含有酸化膜)からなっている。一方、サイドウォール8は例えばシリコン窒化膜からなっている。
【0056】
上述のように、本実施形態のMOSトランジスタは、窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aを有しているので、第2の従来例に係るMOSトランジスタに比べ、ホットキャリアがオフセットサイドウォール9a中にトラップされにくくなっている。従って、本実施形態のMOSトランジスタでは、ホットキャリアによるしきい値の変動や電流駆動特性の変化などを受けにくく、信頼性の向上が図られている。
【0057】
加えて、本実施形態のMOSトランジスタは、第2の従来例に係るMOSトランジスタと同様に低濃度不純物拡散領域2とゲート電極5aとのオーバーラップが小さくなっているので、第1の従来例と比べて動作速度が向上している。
【0058】
次に、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法について、図を用いて説明する。
【0059】
図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)は、本実施形態のMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0060】
まず、図2(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上に厚さ160nm程度のポリシリコン膜5を形成する。
【0061】
次に、図2(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。
【0062】
次に、図2(c)に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって基板上に厚さ約14nmのシリコン酸化膜9を形成する。なお、ここで堆積するシリコン酸化膜9は、例えば高温で堆積したHTO膜(High temperature oxcide)である。
【0063】
次いで、図2(d)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上に酸化膜からなるオフセットサイドウォール9Aを残す。ここで、オフセットサイドウォール9Aの幅は、約10nmとなる。
【0064】
次に、図3(a)に示すように、アンモニア(NH3)を含む雰囲気中、600℃以上900℃以下の温度で基板を熱処理する。これにより、酸化膜からなるオフセットサイドウォール9Aに窒素が導入され、窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aとなる。なお、本工程では、半導体基板1の露出部及びゲート電極5aの露出部にも窒素が導入されるが、発明の本質ではないので図示していない。
【0065】
次に、図3(b)に示すように、ゲート電極5a及びオフセットサイドウォール9aをマスクとして半導体基板1に砒素イオンなどのN型不純物イオンを注入し、低濃度不純物拡散領域2を形成する。ここでは、オフセットサイドウォール9aの厚みの分、上面から見た場合の低濃度不純物拡散領域2とゲート電極5aとのオーバーラップが小さくなっている。
【0066】
続いて、図3(c)に示すように、基板全体に厚さ約60nmのシリコン窒化膜を堆積後、該シリコン窒化膜をエッチバックすることにより、オフセットサイドウォール9aの側面上にサイドウォール8を形成する。その後、ゲート電極5a,オフセットサイドウォール9a及びサイドウォール8をマスクとして砒素イオンを注入し、高濃度不純物拡散領域3を形成する(図示せず)。これに続いて、基板に熱処理を加えることにより、図1に示す本実施形態のMOSトランジスタが作製できる。
【0067】
本実施形態のMOSトランジスタの製造方法では、酸化膜からなるオフセットサイドウォール9Aを形成した後に、図3(a)に示す工程で、窒素を導入することによって窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aにしている。この方法をとるのは、シリコン酸窒化膜を直接CVD法などで堆積するのが困難であるためである。
【0068】
また、上述の方法では、オフセットサイドウォール9Aへの窒素の導入を酸化膜9のエッチバック後に行っているが、図2(c)に示す酸化膜9の形成工程の後、酸化膜9のエッチバック前に行ってもよい。この場合には、半導体基板1の露出部やゲート電極5aの上面部に窒化膜が形成されることはない。ただし、酸化膜9のエッチバック後に窒素を導入する方法の方が、酸化膜9のエッチングを制御性良く行なうことができるので好ましい。
【0069】
なお、以上の説明では、N型のMOSトランジスタの場合についてのみ示したが、P型のMOSトランジスタの場合にも、同様の工程により窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォールを形成することができる。
【0070】
また、本実施形態では、MOSFETを用いて説明したが、フラッシュEEPROMでも上述と同様な方法でダブルサイドウォール構造を形成すれば、同様な効果を得ることができる。
【0071】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るMOSトランジスタの製造方法について以下に説明する。
【0072】
本実施形態のMOSトランジスタの製造方法は、オフセットサイドウォール9Aへの窒素の導入工程のみ第1の実施形態の方法と異なり、それ以外の工程は第1の実施形態の方法と同じである。
【0073】
すなわち、図2(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上にポリシリコン膜5を形成する。
【0074】
次に、図2(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。
【0075】
次に、図2(c)に示すように、CVD法によって基板上にHTOからなる酸化膜9を形成する。
【0076】
次いで、図2(d)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上にオフセットサイドウォール9Aを残す。
【0077】
次に、オフセットサイドウォール9Aに窒素を導入する。
【0078】
図4は、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法における、斜めイオン注入工程を示す断面図である。
【0079】
同図に示す工程では、基板に対して3度以上45度以下傾けた位置から、基板を回転させながら窒素イオンを注入する。これによって、オフセットサイドウォール9Aに窒素が導入される。この際の窒素イオンの注入量は5×1014cm-2以上1×1016cm-2以下とするのが好ましく、注入エネルギーは5keV以上20keV以下とするのが好ましい。これにより、オフセットサイドウォール9Aを構成する酸化膜に窒素が導入されて、窒素含有酸化膜からなオフセットサイドウォール9aとなる。ここで、注入エネルギーを大きくする場合には、後に説明するように、ゲート絶縁膜6aの両端部にも窒素イオンが注入される。
【0080】
なお、本工程の後、図3(b),(c)に示すように、N型イオンの注入による低濃度不純物拡散領域2の形成工程、シリコン窒化膜からなるサイドウォール8の形成工程、高濃度不純物拡散領域3の形成工程及び熱処理による不純物の活性化工程を順に経て本実施形態のMOSトランジスタ(第1の実施形態のMOSトランジスタ)が作製される。なお、高濃度不純物拡散領域3を形成後の熱処理は、オフセットサイドウォール9aに導入された窒素に対する熱処理も兼ねている。
【0081】
以上の窒素注入によって形成した窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aの場合でも、第1の実施形態の方法と同様に、ホットキャリアのオフセットサイドウォール9aへのトラップによる電気的特性の変化が抑えられた信頼性の高いMOSトランジスタを作製することができる。
【0082】
特に、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法では、イオン注入によりオフセットサイドウォール9Aに窒素を導入するので、導入する窒素量の制御が容易になっている。また、オフセットサイドウォール9Aの膜厚に合わせて注入エネルギーを調節できるので、オフセットサイドウォール9a膜中の窒素プロファイルを任意に制御できる。なお、窒素イオンの注入エネルギーをより大きくすることで、オフセットサイドウォール9aだけでなくゲート絶縁膜6aの両端部にも同時に窒素を導入することができる。
【0083】
また、上述の説明において、図4に示す窒素イオンの注入工程で形成するレジストマスクを図3(b)に示す低濃度不純物拡散領域2の形成工程でも利用することができる。これにより、別々にマスクを形成する場合に比べ、工程数を減らすことができる。また、所定の領域にレジストをパターニングする工程をイオン注入の前に追加するだけで、例えばNMOS領域のみ、例えばI/O領域(入出力回路領域)のみのオフセットサイドウォールに窒素を含有させることができる。
【0084】
なお、本実施形態の方法においても、窒素イオンの注入工程を、酸化膜9の形成後、該酸化膜9のエッチバック前に行ってもよい。ただし、酸化膜9のエッチバック後に窒素を導入する方法の方が、酸化膜9のエッチングを制御性良く行なうことができるのでより好ましい。
【0085】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態として、第1の実施形態のMOSトランジスタのさらに別の製造方法について説明する。
【0086】
本実施形態のMOSトランジスタの製造方法では、オフセットサイドウォール9aへの窒素導入をプラズマ窒化で行い、それ以外の工程は、第1及び第2の実施形態の方法と同様である。
【0087】
すなわち、図2(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上にポリシリコン膜5を形成する。
【0088】
次に、図2(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。
【0089】
次に、図2(c)に示すように、CVD法によって基板上にHTOからなる酸化膜9を形成する。
【0090】
次いで、図2(d)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上にオフセットサイドウォール9Aを残す。
【0091】
次に、オフセットサイドウォール9Aに窒素を導入する。
【0092】
図5は、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法における、プラズマ窒化工程を示す断面図である。
【0093】
本工程では、図5に示すように、窒素ラジカルを含むプラズマ中に基板をさらすことにより、オフセットサイドウォール9Aを窒化する。この際には、例えば、圧力を約1.27Pa(950mTorr)、温度を200℃以上400℃以下、処理時間を20secとすることが好ましい。また、アルゴン(Ar)ガスと窒素(N2)ガスの流量は、それぞれ2.0×103ml/minと1.5×102ml/minとし、パワーは1.5kWとするのが好ましい。本工程では、反応性の高い窒素プラズマによってオフセットサイドウォール9Aの側面を含む基板の表面から急速に窒化が進む。
【0094】
なお、本工程の後、図3(b),(c)に示すように、N型イオンの注入による低濃度不純物拡散領域2の形成工程、シリコン窒化膜からなるサイドウォール8の形成工程、高濃度不純物拡散領域3の形成工程及び熱処理による不純物の活性化工程を順に経て本実施形態のMOSトランジスタ(第1の実施形態のMOSトランジスタ)が作製される。
【0095】
以上のプラズマ窒化によって形成した窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aの場合でも、ホットキャリアのオフセットサイドウォール9aへのトラップによる電気的特性の変化が抑えられた信頼性の高いMOSトランジスタを作製することができる。
【0096】
これに加え、本実施形態の方法によれば、プラズマ窒化を行なうことで、第1の実施形態の方法に比べ、低温でオフセットサイドウォール9aに窒素を導入することができるので、半導体基板1内に注入されたしきい値制御用不純物などの拡散を防止することができる。
【0097】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態として、オフセットサイドウォールだけでなくゲート絶縁膜の両端部にも窒素が導入されたMOSトランジスタ及びその製造方法を説明する。
【0098】
図6は、本発明の第4の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【0099】
同図に示すように、本実施形態のMOSトランジスタは、活性領域を有し、P型シリコンからなる半導体基板1と、半導体基板1の活性領域上に設けられた厚さ3nmのゲート絶縁膜6aと、ゲート絶縁膜6a上に設けられたポリシリコンからなるゲート電極5aと、半導体基板1上に設けられ、且つゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上に形成されたオフセットサイドウォール9aと、半導体基板1上に設けられ、オフセットサイドウォール9aの側面上に形成されたサイドウォール8とを備えている。また、半導体基板1のうち、ゲート電極5aの両側方に位置する領域には、例えば5×1018cm-3程度の低濃度でN型不純物を含む低濃度不純物拡散領域2と、低濃度不純物拡散領域2と接し、例えば5×1020cm-3程度の高濃度でN型不純物を含む高濃度不純物拡散領域3とがそれぞれ設けられている。そして、活性領域は、素子分離用絶縁膜4に囲まれている。また、オフセットサイドウォール9aは約10nmの厚みを有し、窒素含有酸化膜からなっている。
【0100】
そして、本実施形態のMOSトランジスタにおいては、ゲート絶縁膜6aのうち両端部、すなわち低濃度不純物拡散領域2と接する部分に窒素含有領域6bが設けられ、ゲート絶縁膜6aのそれ以外の部分はシリコン酸化膜からなっている。
【0101】
このため、本実施形態のMOSトランジスタでは、ホットキャリアがオフセットサイドウォール9aだけでなくゲート絶縁膜6aの両端部にもトラップされにくくなっている。そのため、本実施形態のMOSトランジスタでは、ホットキャリアが生じた場合の電気的特性の劣化が第1の実施形態のMOSトランジスタに比べてさらに効果的に低減されている。
【0102】
次に、本実施形態のMOSトランジスタの製造方法について説明する。
【0103】
図7(a)〜(d)及び図8(a)〜(d)は、本実施形態のMOSトランジスタの製造工程を示す断面図である。
【0104】
まず、図7(a)に示すように、P型の半導体基板1上に公知のトレンチ分離法により素子分離用絶縁膜4を形成後、熱酸化により半導体基板1上に酸化膜6を形成する。その後、基板上に厚さ160nm程度のポリシリコン膜5を形成する。
【0105】
次に、図7(b)に示すように、ポリシリコン膜5の上面全体にレジスト(図示せず)を塗布し、リソグラフィー技術を用いて所定の形状にパターニングを行う。次に、このレジスト膜をマスクにしてポリシリコン膜5及び酸化膜6のエッチングを行い、不要となったレジストを除去して、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aをそれぞれ形成する。ここまでの工程は第1の実施形態と同様である。
【0106】
次に、図7(c)に示すように、アンモニア雰囲気中で基板を熱処理してゲート絶縁膜6aの両端部に窒素を導入し、窒素含有領域6bを形成する。ただし、この方法に代えて、プラズマ窒化や窒素イオンの注入などの窒素導入法を用いてもよい。
【0107】
続いて、図7(d)に示すように、CVD法によって基板上に厚さ約14nmの酸化膜9を形成する。
【0108】
次いで、図8(a)に示すように、酸化膜9をエッチバックすることにより、ゲート電極5a及びゲート絶縁膜6aの側面上にオフセットサイドウォール9Aを残す。
【0109】
次に、図8(b)に示すように、オフセットサイドウォール9Aに窒素を導入する。ここで、窒素の導入方法としては、第1〜第3の実施形態で説明したいずれの方法を用いてもよい。すなわち、アンモニア雰囲気中での熱処理、窒素イオンの斜めイオン注入及び窒素プラズマ処理のいずれを用いてもよい。これにより、オフセットサイドウォール9Aに窒素が導入され、窒素含有酸化膜からなるオフセットサイドウォール9aとなる。
【0110】
次いで、図8(c)に示すように、ゲート電極5a及びオフセットサイドウォール9aをマスクとして半導体基板1に砒素イオンなどのN型不純物イオンを注入し、低濃度不純物拡散領域2を形成する。
【0111】
次に、図8(d)に示すように、基板全体に厚さ約60nmのシリコン窒化膜を堆積後、該シリコン窒化膜をエッチバックすることにより、オフセットサイドウォール9aの側面上にサイドウォール8を形成する。その後、ゲート電極5a,オフセットサイドウォール9a及びサイドウォール8をマスクとして砒素イオンを注入し、高濃度不純物拡散領域3を形成する(図示せず)。これに続いて、基板に熱処理を加えることにより、図6に示す本実施形態のMOSトランジスタが作製できる。
【0112】
なお、上述の説明では、ゲート絶縁膜6aの両端部に窒素を導入する工程とオフセットサイドウォール9aに窒素を導入する工程とを別々に行う例を示したが、斜めイオン注入回転法を用いる場合には、両工程を同時に行なうことができる。その場合には、図7(c)に示す工程を行わず、図8(b)に示す工程においてゲート絶縁膜9aの端部に到達できるだけのエネルギーで窒素イオンを注入すればよい。この際には、注入エネルギーを20keV程度とし、基板に対して3度以上45度以下傾けた位置から注入する。
この方法によれば、より少ない工程で本実施形態のMOSトランジスタを製造することが可能となる。
【0113】
また、本実施形態のMOSトランジスタでは、ゲート絶縁膜6aのうち端部に窒素含有領域6bが設けられていたが、ゲート絶縁膜6a全体に窒素を含むシリコン酸窒化膜からなる窒素含有領域6bであってもよい。このようなMOS(MIS)トランジスタにおいては、ホットキャリアによる性能の低下はより低減される。なお、図7(c)に示す工程を行う代わりに、図7(a)に示す工程において、酸化膜6の形成後、ポリシリコン膜5の形成前に窒素を導入する工程を行なうこと等によりこのMISトランジスタを作製できる。
【0114】
【発明の効果】
本発明の第1の半導体装置は、ゲート電極の側面を覆うオフセットサイドウォールと、オフセットサイドウォールの側面上に設けられたサイドウォールとを備えたMOSトランジスタであって、オフセットサイドウォールに窒素が導入されている。そのため、オフセットサイドウォールにキャリアがトラップされにくくなっているので、ホットキャリアの注入による電気的特性の劣化が低減することができる。
【0115】
本発明の第2の半導体装置は、ゲート電極の側面を覆うオフセットサイドウォールと、オフセットサイドウォールの側面上に設けられたサイドウォールとを備えたMOSトランジスタであって、オフセットサイドウォール及びゲート絶縁膜の両端部に窒素が導入されている。これにより、オフセットサイドウォールだけでなく、ゲート絶縁膜の両端部にキャリアがトラップされにくくなっているので、ホットキャリアの注入による電気的特性の劣化をより効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図2】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、オフセットサイドウォールを形成するまでの工程を示す断面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでの工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るMOSトランジスタの製造方法における、斜めイオン注入工程を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るMOSトランジスタの製造方法における、プラズマ窒化工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図7】(a)〜(d)は、第4の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、酸化膜を形成する工程までを示す断面図である。
【図8】(a)〜(d)は、第4の実施形態に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでの工程を示す断面図である。
【図9】第1の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図10】(a)〜(c)は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、ゲート絶縁膜に窒素を導入するまでを示す断面図である。
【図11】(a),(b)は、第1の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでを示す断面図である。
【図12】第2の従来例に係るMOSトランジスタの構造を示す断面図である。
【図13】(a)〜(c)は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、オフセットサイドウォールを形成するまでを示す断面図である。
【図14】(a),(b)は、第2の従来例に係るMOSトランジスタの製造工程のうち、サイドウォールを形成するまでを示す断面図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 低濃度不純物拡散領域
3 高濃度不純物拡散領域
4 素子分離用絶縁膜
5 ポリシリコン膜
5a ゲート電極
6 酸化膜
6a ゲート絶縁膜
6b 窒素導入領域
8 サイドウォール
9 酸化膜
9A オフセットサイドウォール(酸化膜)
9a オフセットサイドウォール(窒素含有酸化膜)
Claims (19)
- 半導体基板と、
上記半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、
上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極と、
上記ゲート電極及び上記ゲート絶縁膜の側面上に設けられ、窒素が導入された絶縁体からなる第1のサイドウォールと、
第1のサイドウォールの側面上に設けられ、絶縁体からなる第2のサイドウォールと、
上記半導体基板のうち、上記ゲート電極の両側下方に位置する領域に設けられ、第1導電型の不純物を含む第1の不純物拡散領域と
を備えている半導体装置。 - 請求項1に記載の半導体装置において、
上記第1のサイドウォールは、シリコン酸窒化膜からなっていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1または2に記載の半導体装置において、
上記ゲート絶縁膜のうち少なくとも一部に窒素含有領域が設けられていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項3に記載の半導体装置において、
上記ゲート絶縁膜のうち、上記第1の不純物拡散領域に接する両端部に上記窒素含有領域が設けられており、
上記ゲート絶縁膜のうち、上記窒素含有領域以外の部分は、シリコン酸化膜からなっていることを特徴とする半導体装置。 - 請求項1〜4のうちいずれか1つに記載の半導体装置において、
上記半導体基板のうち、上記第2のサイドウォールの両側下方であって上記第1の不純物拡散領域に隣接する位置に設けられ、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度で第1導電型の不純物を含む第2の不純物拡散領域をさらに備えていることを特徴とする半導体装置。 - 半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極とを形成する工程(a)と、
上記工程(a)の後に、基板上の全面にシリコン酸化膜を形成する工程(b)と、
上記シリコン酸化膜をエッチングして、上記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(c)と、
上記第1のサイドウォール中に窒素を導入する工程(d)と、
上記ゲート電極及び上記第1のサイドウォールをマスクとして上記半導体基板に第1導電型の不純物イオンを注入し、第1の不純物拡散領域を形成する工程(e)と、
上記工程(d)及び(e)の後に、上記第1のサイドウォールの側面上に絶縁体からなる第2のサイドウォールを形成する工程(f)と
を含む半導体装置の製造方法。 - 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(d)では、アンモニア雰囲気中で上記半導体基板を加熱することにより上記第1のサイドウォール中に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(d)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により上記第1のサイドウォール中に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(d)では、窒素ラジカルを含むプラズマ中に上記半導体基板をさらすことにより上記第1のサイドウォール中に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6〜9のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(a)の後、上記工程(b)の前に、上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する工程をさらに含み、
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっていることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっており、
上記工程(d)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により、上記第1のサイドウォールに窒素を導入すると同時に上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項6〜11のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(f)の後に、上記ゲート電極,上記第1のサイドウォール及び上記第2のサイドウォールをマスクとして第1導電型の不純物イオンを上記半導体基板に注入し、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度の不純物イオンを含む第2の不純物拡散領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 半導体基板上に設けられ、絶縁体からなるゲート絶縁膜と、上記ゲート絶縁膜上に設けられ、導電体からなるゲート電極とを形成する工程(a)と、
上記工程(a)の後に、基板上の全面にシリコン酸化膜を形成する工程(b)と、
上記シリコン酸化膜に窒素を導入し、窒素含有酸化膜を形成する工程(c)と、
上記窒素含有酸化膜をエッチングして、上記ゲート電極の側面上に第1のサイドウォールを形成する工程(d)と、
上記ゲート電極及び上記第1のサイドウォールをマスクとして上記半導体基板に第1導電型の不純物イオンを注入し、第1の不純物拡散領域を形成する工程(e)と、
上記工程(e)の後に、上記第1のサイドウォールの側面上に絶縁体からなる第2のサイドウォールを形成する工程(f)と
を含む半導体装置の製造方法。 - 請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(c)では、アンモニア雰囲気中で上記半導体基板を加熱することにより上記シリコン酸化膜に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(c)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により上記シリコン酸化膜に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項13に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(c)では、窒素ラジカルを含むプラズマ中に上記半導体基板をさらすことにより上記シリコン酸化膜に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項13〜16のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(a)の後、上記工程(b)の前に、上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入する工程をさらに含み、
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっていることを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(a)で形成する上記ゲート絶縁膜はシリコン酸化膜からなっており、
上記工程(c)では、窒素イオンの斜めイオン回転注入により、上記第1のサイドウォールに窒素を導入すると同時に上記ゲート絶縁膜の両端部に窒素を導入することを特徴とする半導体装置の製造方法。 - 請求項13〜18のうちいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法において、
上記工程(f)の後に、上記ゲート電極,上記第1のサイドウォール及び上記第2のサイドウォールをマスクとして第1導電型の不純物イオンを上記半導体基板に注入し、上記第1の不純物拡散領域よりも高濃度の不純物イオンを含む第2の不純物拡散領域を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008532260A (ja) * | 2005-01-26 | 2008-08-14 | フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド | 不揮発性ナノ結晶メモリ及びその方法 |
JP2014135494A (ja) * | 2013-01-14 | 2014-07-24 | Samsung Electronics Co Ltd | 二重並列チャネル構造を持つ半導体素子及びその半導体素子の製造方法 |
US8927372B2 (en) | 2012-05-09 | 2015-01-06 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Semiconductor device and method of fabricating the same |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002377251A patent/JP2004207613A/ja not_active Withdrawn
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JP2014135494A (ja) * | 2013-01-14 | 2014-07-24 | Samsung Electronics Co Ltd | 二重並列チャネル構造を持つ半導体素子及びその半導体素子の製造方法 |
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