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JP2004206885A - 燃料電池 - Google Patents

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JP2004206885A
JP2004206885A JP2002371013A JP2002371013A JP2004206885A JP 2004206885 A JP2004206885 A JP 2004206885A JP 2002371013 A JP2002371013 A JP 2002371013A JP 2002371013 A JP2002371013 A JP 2002371013A JP 2004206885 A JP2004206885 A JP 2004206885A
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electrode
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fuel cell
liquid
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Sachiko Hirabayashi
幸子 平林
Satoru Maruyama
哲 丸山
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TDK Corp
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Abstract

【課題】クロスオーバーを抑制することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】電解質11を介して燃料極12と酸化剤極13とが設けられ、燃料極12に隣接して燃料室15が設けられている。燃料室15には、メタノール水溶液などの液体燃料15Aが収納されている。燃料室15の燃料極12の側には、膜状の高分子化合物あるいは多孔質体よりなる保持体15Bが設けられている。高分子化合物は液体燃料15Aに溶解あるいは膨潤してゲル状となることにより、液体燃料15Aを保持する。これにより、液体燃料15Aが燃料極12に過剰に供給されることが抑制され、クロスオーバーが防止される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を用いる燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、発電効率が高く、反応生成物が原理的には水(H2 O)のみであり、環境性にも優れているエネルギー供給源として、燃料電池が注目されている。このような燃料電池は用いられる電解質の種類により、アルカリ型、固体高分子型、リン酸型等の低温作動燃料電池と溶融炭酸塩型、固体酸化物型の高温動作燃料電池に大別される。なかでも、電解質に固体高分子を用いた固体高分子型燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cells)はコンパクトな構造で高密度・高出力が得られ、かつ簡易なシステムで運転が可能なことから、定置用分散電源だけでなく車両用等の電源としても広く研究され、実用化が大いに期待されている。
【0003】
また、燃料電池の燃料としてメタノール水溶液などの液体を燃料極に直接供給し、酸化剤極(空気極)に酸化剤ガス(空気)を供給することにより、発電を行う直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cells)が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この直接メタノール型燃料電池はメタノール水溶液が水と反応して水素イオンが得られ、この水素イオンがプロトン伝導性イオン交換膜内を移動することにより、外部に電気エネルギーが得られる構造となっている。また、直接メタノール型燃料電池は燃料のアルコールを改質またはガス化しないで直接発電に利用できるため、構造がシンプルで小型化、軽量化が容易であることから、分散型電源やポータブル型電源用として注目されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−502205号公報
【特許文献2】
特開平10−40936号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、直接メタノール型燃料電池では、メタノールなどの燃料が電解質を透過して酸化剤極に移動するクロスオーバーという現象が知られており、それにより発電効率が低下してしまうという問題があった。従来も、このクロスオーバーを防止するために、電解質の間にメタノールを酸化させるための酸化触媒層を設けるなどの方法が報告されているが(例えば、特許文献2参照。)、クロスオーバーを完全に防止することは難しく、更なる改善が求められていた。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、クロスオーバーを抑制することができる燃料電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の燃料電池は、電解質を介して燃料極と酸化剤極とが設けられたものであって、燃料極に隣接して燃料室を備え、この燃料室に液体燃料と高分子化合物とを有するものである。
【0008】
本発明による第1の燃料電池では、高分子化合物により液体燃料が保持され、クロスオーバーが抑制される。なお、燃料室は、高分子化合物を燃料極の側に膜状に有していてもよく、全体に有していてもよい。また、液体燃料は、メタノール、エタノールおよびジメチルエーテルのうちの少なくとも1種を含むもの、あるいは、多価アルコールとアルカリ水溶液とを含むものが好ましい。更に、燃料室は取り外し可能とされていてもよい。
【0009】
本発明による第2の燃料電池は、電解質を介して燃料極と酸化剤極とが設けられたものであって、燃料極に隣接して燃料室を備え、この燃料室に、液体燃料と、この燃料室内に全体が収納された多孔質体とを有するものである。
【0010】
本発明による第2の燃料電池では、多孔質体により液体燃料が保持され、クロスオーバーが抑制される。なお、多孔質体は燃料極の側に設けられてもよく、全体に設けられてもよい。また、液体燃料は、メタノール、エタノールおよびジメチルエーテルのうちの少なくとも1種を含むもの、あるいは、多価アルコールとアルカリ水溶液とを含むものが好ましい。更に、燃料室は取り外し可能とされていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池の構成を表すものである。この燃料電池は、電解質11を介して設けられた燃料極12と酸化剤極13とを有している。これら電解質11,燃料極12および酸化剤極13は、外装部材14の内部に収納されている。外装部材14の内部には、燃料極12に隣接して燃料室15が設けられると共に、酸化剤極13に隣接して酸化剤室16が設けられている。
【0013】
電解質11は、例えば、プロトン伝導性高分子膜により構成されている。プロトン伝導性高分子膜としては、例えば、スルホン酸基(−SO3 H)を有するパーフルオロカーボン重合体の膜や、プロトン伝導性の粉末を樹脂に分散させたコンポジット膜や、あるいはプロトン伝導性無機材料と高分子材料とを合成したハイブリッド膜が挙げられる。また、常温溶融塩を高分子材料に分散させた常温溶融塩複合膜を用いることも可能である。
【0014】
燃料極12および酸化剤極13は、例えば、カーボンペーパーなどよりなる集電体に、白金(Pt)あるいはルテニウム(Ru)などの触媒を含む触媒層が形成された構成を有している。触媒層は、例えば、触媒を担持させたカーボンブラックをプロトン伝導材料に分散させたものにより構成されている。
【0015】
燃料室15は、密閉されており、液体燃料15Aを有している。液体燃料15Aは、外装部材14に設けられた注入孔14Aから燃料室15に注入されるようになっており、注入孔14Aには栓14Bが配設されている。注入孔14Aは、また、液体燃料15Aの注入時などに、反応により生じた二酸化炭素(CO2 )を燃料室15から排出する排気孔としての機能も有している。液体燃料15Aはメタノール,エタノールおよびジメチルエーテルのうちの少なくとも1種と水とを含むもの、あるいは、多価アルコールとアルカリ水溶液とを含むものが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール,グリセロール,エリトリトールあるいはキシリトールなどが挙げられ、特にはエチレングリコールが好ましい。また、アルカリ水溶液としては、水酸化カリウム水溶液あるいは炭酸カリウム水溶液などが挙げられ、特には水酸化カリウムが好ましい。
【0016】
燃料室15は、また、燃料極12の側に膜状の高分子化合物あるいは多孔質体よりなる保持体15Bを有している。保持体15Bは、液体燃料15Aを保持することによりクロスオーバーを抑制するためのものである。なお、保持体15Bは燃料極12に隣接して全体が燃料室15に収納されていることが好ましい。この場合の隣接というのは、完全に接触している場合のみでなく、燃料極12への液体燃料15Aの移動を制御することができる程度の隙間があってもよい。また、保持体15Bは燃料極12の全面に対応して設けられていることが好ましいが、一部に対応して設けられていてもよい。
【0017】
保持体15Bを構成する高分子化合物としては、液体燃料に溶解あるいは膨潤するものであり、液体燃料との親和力による吸液状態で高い安定性を有するものが好ましい。液体燃料に対する溶解あるいは膨潤は、水に対するものでも、有機化合物に対するものでも、その両方に対するものでもよい。これにより高分子化合物は、液体燃料を保持していわゆるゲル状となっている。高分子化合物は架橋していてもしていなくてもよく、その分子量は1万以上、特には10万以上が好ましい。分子量が小さいと十分な粘性が得られず、クロスオーバーを十分に抑制することができないからである。
【0018】
また、高分子化合物は、ノニオン系、カチオン系、あるいはアニオン系のいずれでもよいが、ノニオン系が好ましい。アニオン系高分子化合物の場合には、プロトン伝導性高分子材料、例えばスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体に、アニオン系高分子化合物のイオン、例えばナトリウムイオン(Na+ )が結合し、プロトン伝導性が低下してしまうおそれがあるからである。また、カチオン系高分子化合物の場合には、例えば塩化物イオン(Cl- )などのハロゲン化物イオンがプロトン(H+ )と反応して溶出し、発電効率が低下してしまうおそれがあるからである。
【0019】
このような高分子化合物の具体例としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミド、ポリ−N−ビニルアセドアミド、あるいはこれらの共重合体が挙げられる。ただし、液体燃料が多価アルコールとアルカリ水溶液とを含む場合、耐アルカリ性を有さない高分子化合物、例えば、ポリ−2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ポリ−2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリジメチルアクリルアミドといったものは除外される。
【0020】
多孔質体としては、例えば、樹脂製の微多孔部材あるいはスポンジ状部材、または合成樹脂不織布が好ましい。構成材料は、燃料電池の動作温度および条件を満たすための耐溶剤性、耐水性、耐薬品性、および耐熱性を有するものであれば、特に限定されない。好ましい材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンが挙げられる。ただし、液体燃料が多価アルコールとアルカリ水溶液とを含む場合、耐アルカリ性を有さない樹脂、例えば、ポリイミドといったものは除外される。
【0021】
酸化剤室16は、外装部材14に設けられた流通孔14Cを介して外部と連通しており、自然換気により空気を酸化剤極13に供給することができるようになっている。
【0022】
この燃料電池では、燃料室15の液体燃料15Aが保持体15Bを通って燃料極12に供給され、反応により二酸化炭素とプロトンと電子とを生成する。プロトンは電解質11を通って酸化剤極13に移動し、電子および酸化剤室16から供給された空気中の酸素(O2 )と反応して、水を生成する。その際、燃料室15では、保持体15Bにより液体燃料15Aが保持されるので、燃料極12に液体燃料15Aが必要以上に供給されることが抑えられ、クロスオーバーが抑制される。
【0023】
このように本実施の形態によれば、燃料室15に高分子化合物あるいは多孔質体よりなる保持体15Bを有するようにしたので、保持体15Bにより液体燃料15Aを保持することができ、燃料極12に液体燃料15Aが過剰に供給されることを抑制することができる。よって、クロスオーバーを抑制することができ、発電効率を向上させることができると共に、安定性を向上させることができる。
【0024】
また、この燃料電池によれば、クロスオーバーを抑制するための構造が簡単で、小型化および軽量化が容易であり、また燃料室15に液体燃料15Aを補充することも容易にできるので、携帯用電源として利用することができる。
【0025】
(第2の実施の形態)
図2は本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池の構成を表すものである。この燃料電池は、保持体25Bを燃料室15の全体に有していることを除き、第1の実施の形態と同一の構成を有している。よって、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符合を付し、詳細な説明を省略する。
【0026】
この燃料電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、同様の効果を有している。更に、この燃料電池によれば、保持体25Bを燃料室15の全体に有しているので、液体燃料15Aの漏れを防止することができる。
【0027】
(第3の実施の形態)
図3は本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池の構成を表すものである。この燃料電池は、燃料室35が密閉されていないことを除き、第1の実施の形態と同一の構成・作用・効果を有している。よって、第1の実施の形態と同一の構成要素には同一の符合を付し、詳細な説明を省略する。
【0028】
外装部材34には、注入孔14Aに代えて、燃料室35に液体燃料15Aを供給すると共に発生した二酸化炭素を排出する流通孔34Aが設けられている。流通孔34Aは、燃料室35とは別に設けられた図示しない燃料貯蔵部に接続されており、図示しないポンプなどにより燃料貯蔵部から燃料室35に液体燃料15Aが供給されるようになっている。
【0029】
なお、第2の実施の形態に係る燃料電池についても、図4に示したように、燃料室35に図示しない燃料貯蔵部を接続して、図示しないポンプなどにより液体燃料15Aを燃料貯蔵部から供給するようにしてもよい。その際、保持体25Bに高分子化合物を用いる場合には、燃料貯蔵部から液体燃料15Aを供給するようにしてもよいが、高分子化合物の保持体25Bと液体燃料15Aとを含むゲル状の燃料混合物を供給するようにしてもよい。
【0030】
(第4の実施の形態)
図5は本発明の第4の実施の形態に係る燃料電池の構成を表すものである。この燃料電池は、燃料室45が燃料極12と分離して取り外し可能とされたことを除き、他は第2の実施の形態と同一の構成・作用・効果を有している。よって、第2の実施の形態と同一の構成要素には同一の符合を付し、詳細な説明を省略する。
【0031】
この燃料電池では、外装部材44が本体44Aとカートリッジ部44Bとに分割できるようになっている。本体44Aとカートリッジ部44Bとの接合部には係止部44Cが設けられており、それを嵌め合わせることにより、本体44Aとカートリッジ部44Bとを一体化できるようになっている。本体44Aの内部には、燃料極12,電解質11,酸化剤極13および酸化剤室16が設けられ、本体44Aのカートリッジ部44Bとの接合部には燃料極12が露出されている。
【0032】
カートリッジ部44Bの内部には、燃料室45が設けられており、カートリッジ部44Bの本体44Aとの接合部には、保持体25Bを支持する支持膜47が配設されている。支持膜47には、保持体25Bを燃料極12に接触させ、液体燃料15Aを燃料極12に供給するための開口47Aが設けられている。支持膜47は、例えば樹脂あるいは金属などよりなるメッシュ体により構成されることが好ましく、中でも、耐酸性、耐アルカリ性および耐溶剤性に優れるフッ素系樹脂により構成されることが好ましい。なお、保持体25Bは、液体燃料15Aが燃料室45から漏れださない程度の保持力を有するように調製されている。カートリッジ部44Bを取り外す際に液体燃料15Aが漏れないようにするためである。
【0033】
このように本実施の形態によれば、燃料室45を有するカートリッジ部44Bを本体44Aから分離して取り外し可能とするようにしたので、カートリッジ部44Bを交換するか、あるいは取り外して液体燃料15Aを注入するだけで、簡単に液体燃料15Aを補充することができ、携帯用電源として利用することができる。
【0034】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0035】
(実施例1)
図2に示したような燃料電池を作製した。まず、液体燃料15Aである1mol/lのメタノール水溶液に、保持体15Bであるノニオン性吸水剤の樹脂を5質量%溶解し、ゲル状の燃料混合物を作製した。次いで、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体を20質量%の含有量でエタノール溶液に溶解し、この混合溶液に、白金とルテニウムとをPt/Ru=56/44の質量比で混合したものをカーボンブラックに33質量%担持させて分散させ、これを厚み200μmのカーボンペーパー上に塗布、乾燥することにより、触媒層を有する燃料極12を作製した。続いて、白金を50質量%担持させたカーボンブラックを、燃料極12と同様の混合溶液に分散させ、これを厚み200μmのカーボンペーパー上に塗布、乾燥することにより、触媒層を有する酸化剤極13を作製した。
【0036】
次いで、電解質11に厚み50μmのスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜を用い、燃料極12と電解質11と酸化剤極13とを触媒層が電解質11に接触するようにして積層して、電池性能測定用セルに組み込んだ。そののち、燃料室15に室温で、上記ゲル状の燃料混合物を導入し、燃料電池を作製した。作製した燃料電池について開回路電圧を測定したところ、開回路電圧は0.49Vであり、その後安定していた。
【0037】
(実施例2)
保持体15Bとしてポリフッ化ビニリデンよりなる多孔質体を用いた以外は、実施例1と同様にして燃料電池を得た。実施例2の燃料電池についても開回路電圧を測定したところ、開回路電圧は0.49Vであり、その後安定していた。
【0038】
(比較例)
保持体15Bを用いず、1mol/lのメタノール水溶液のみを燃料室に注入した以外は、実施例1と同様にして燃料電池を得た。比較例1の燃料電池についても開回路電圧を測定したところ、開回路電圧は0.49Vであり、その後電圧は徐々に低下していった。
【0039】
以上の結果を比較すると、実施例1,2および比較例の電流および電圧特性はほぼ同等であり、出力特性に差はみられないが、実施例1,2では開回路電圧が安定しているのに対して、比較例では開回路電圧の低下がみられた。これはクロスオーバーによるものと考えられる。すなわち、液体燃料15Aを保持する高分子化合物あるいは多孔質体を燃料室15に有するようにすれば、クロスオーバーを抑制することができ、安定性を向上させることができることが分かった。
【0040】
なお、上記実施例では、液体燃料15Aにメタノール水溶液を用いた結果を示したが、エタノールおよびジメチルエーテルを用いた場合についても同様の結果が得られた。また、1mol/lのエチレングリコールと1mol/lの水酸化カリウム水溶液を含む液体燃料15Aを用いた場合についても同様の結果が得られた。ここで、多価アルコールとアルカリ水溶液とを含む液体燃料15Aを用いる場合には、電解質11として、パーフルオロカーボン重合体の膜以外に炭化水素系アニオン交換膜も使用可能となる。
【0041】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形することができる。例えば、上記実施の形態および実施例では、電解質11,燃料極12および酸化剤極13の構成について具体的に説明したが、他の構造あるいは他の材料により構成するようにしてもよい。
【0042】
また、上記実施の形態および実施例では、酸化剤極13への空気の供給を自然換気とするようにしたが、ポンプなどを利用して強制的に供給するようにしてもよい。その場合、空気以外の酸素を含む酸化剤ガスを供給するようにしてもよい。
【0043】
更に、上記実施の形態および実施例では、単セル型の燃料電池について説明したが、本発明は、複数のセルを積層した積層型のものについても適用することができる。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による燃料電池によれば、燃料室に高分子化合物あるいは多孔質体を有するようにしたので、これらにより液体燃料を保持することができ、燃料極に液体燃料が過剰に供給されることを抑制することができる。よって、クロスオーバーを抑制することができ、発電効率を向上させることができると共に、安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池の構成を表す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池の構成を表す断面図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池の構成を表す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る他の燃料電池の構成を表す断面図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態に係る燃料電池の構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11…電解質、12…燃料極、13…酸化剤極、14,34,44…外装部材、14A…注入孔、14B…栓、14C,34A…流通孔、15,35,45…燃料室、15A…液体燃料、15B,25B…保持体、16…酸化剤室、44A…本体、44B…カートリッジ部、44C…係止部、47…支持膜、47A…開口。

Claims (9)

  1. 電解質を介して燃料極と酸化剤極とが設けられた燃料電池であって、
    前記燃料極に隣接して燃料室を備え、
    この燃料室に液体燃料と高分子化合物とを有する
    ことを特徴とする燃料電池。
  2. 前記燃料室のうち前記燃料極の側に膜状の高分子化合物を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  3. 前記燃料室の全体に高分子化合物を有する
    ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
  4. 電解質を介して燃料極と酸化剤極とが設けられた燃料電池であって、
    前記燃料極に隣接して燃料室を備え、
    この燃料室に、液体燃料と、この燃料室内に全体が収納された多孔質体とを有する
    ことを特徴とする燃料電池。
  5. 前記燃料室のうち前記燃料極の側に多孔質体が設けられた
    ことを特徴とする請求項4記載の燃料電池。
  6. 前記燃料室の全体に多孔質体が設けられた
    ことを特徴とする請求項4記載の燃料電池。
  7. 前記液体燃料は、メタノール、エタノールおよびジメチルエーテルのうちの少なくとも1種を含む
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池。
  8. 前記液体燃料は、多価アルコールとアルカリ水溶液とを含む
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の燃料電池。
  9. 前記燃料室は取り外し可能である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池。
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