JP2004297691A - 画像読取り装置および画像処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異常画素の、原稿読取中の正常復帰を自動検出する。異常画素による黒スジを補正機能によって防ぎつつ、補正による細線の消滅を防ぐ。
【解決手段】原稿上の画像を投影するための光学系232〜237;それが投影する画像を読取る撮像素子207;読取った画像信号を画像データに変換する手段208〜210;光学系の主走査方向に広がりがある読取視野240を横切る副走査方向に、原稿と光学系の一方を他方に対して相対的に移送する手段30;および、記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能262;を備えた画像読取り装置において、異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の、原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を異物の消失と判定する復旧検出機能264,265;を備える。
【選択図】 図8
【解決手段】原稿上の画像を投影するための光学系232〜237;それが投影する画像を読取る撮像素子207;読取った画像信号を画像データに変換する手段208〜210;光学系の主走査方向に広がりがある読取視野240を横切る副走査方向に、原稿と光学系の一方を他方に対して相対的に移送する手段30;および、記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能262;を備えた画像読取り装置において、異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の、原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を異物の消失と判定する復旧検出機能264,265;を備える。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イメージスキャナ,ファクシミリ,デジタル複写機等の、原稿の画像を撮像素子で読取る装置に関する。
【0002】
【従来技術】
コンタクトガラス板上にシート原稿またはブック原稿を載せて、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る、原稿静止の画像読取りの場合、コンタクトガラス板が汚れていても局所的な点であるので、再生画像上には孤立点のノイズとなり、あまり目だたない。仮に、光学系にゴミの付着や局所的な汚れが発生すると、ゴミ又は汚れの像が副走査の間常に原稿画像とともに撮像素子に投影されるので、読取により得られる画像データに基いてディスプレイ上又は用紙上に再生描画すると、ゴミ又は汚れが低レベルの光反射であると再生画像上に副走査方向に伸びる黒筋が現れる。しかし、光学系はケーシングの内部にあるので、ゴミ又は汚れの異物が付着する可能性は低いので、光学系を副走査駆動する原稿静止の画像読取りで副走査方向に伸びる黒筋が現れる可能性は低い。
【0003】
ところが、静止した読取り光学系に対して原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る画像読取りすなわちシートスルーの画像読取では、原稿読取り部のガラスが汚れていると、汚れの像が原稿の移送すなわち副走査の間常に原稿画像とともに撮像素子に投影されるので、読取により得られる画像データに基いてディスプレイ上又は用紙上に再生描画すると、汚れが低レベルの光反射であると再生画像上に副走査方向に伸びる黒筋が現れる。汚れが高レベルの光反射であると白筋が現れる。このような現象は、シートスルーの画像読取を行うファクシミリ装置の受信画像によく現れる。しかし、同様な画像読取りを行う複写機でも同様である。多数の原稿をADF(自動原稿供給装置)で連続的に次々に読取り部に送りこみ通過させるシートスルーの画像読取で、上述の現象が顕著に表れる。ADFを用いる場合でも、ADFでコンタクトガラス板上に原稿を送り込み、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る原稿静止の画像読取りの場合には、上述の黒筋や白筋は現れない。
【0004】
一方、シェーディング補正のための白色基準板に汚れがある場合には、汚れが低反射レベルであると白筋が、高反射レベルであると黒筋が現れる。これは原稿静止の画像読取りでも、シートスルーの画像読取でも、シェーディング補正をすると生じる可能性がある。しかし、白色基準板は原稿移送路から分離しているので、原稿の移送にともなって原稿に付着したゴミ(紙粉,消しゴム屑その他)で汚れる可能性は低い。ところがシートスルーの画像読取では、原稿が読取り窓ガラスに触れて通過するので、原稿に付着していたゴミで読取り窓ガラスが汚れる可能性が高い。
【0005】
【特許文献1】特開2001−257877号公報は、白色板の読取において異常レベルの画素(異常画素)を検出すると、原稿画像読取りのときには、異常画素の位置で発生した画像データを、その前後の正常画素で発生した画像データを用いて補間演算で算出する画像データに置換する画像読取装置を記載している。
【0006】
【特許文献2】特開2002−185720号公報は、原稿の画像読取りで得た画像データの連続性を検出して黒筋又は白筋を検出して、それが無い画像に補正する画像読取り装置を記載している。
【0007】
【特許文献3】特開2002−247352号公報は、原稿を読取る前に、予め読取り部で、原稿読取り台3を構成しているコンタクトガラス上のごみを検出するための検出用の画像を読取り、1ラインの読みとった画像を、欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化してラインメモリに保持し、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の平均値を宛てる画像処理装置を記載している。
【0008】
【特許文献4】特開2002−262083号公報は、黒筋,白筋の発生を防止するために、無原稿状態で画像読取りを行って、画像データにエッジ強調処理を施してから欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化する異常画素検出を平面的に行い、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の画像データを宛てる画像処理装置を記載している。
【0009】
検知した異常画素の位置で発生する原稿読取の画像データを補正する方式の一般的なものは、原稿読み取り中において、正常と思われる周辺画素の読み取りデータ値から、異常画素の本来の読み取りデータ値を推定して、推定した算出値に置換する方式である。推定に関しては多種多様な方式が考えられるが、基本的に周辺画素との連続性を重視した方式が有効である。例えば、隣接する画素との線形的な補間によってデータ値を算出、置換する方式もそのひとつである(図15)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような補正方式には原理的に回避できない副作用がある。それは、異常画素の本来の読取りデータ値が周辺画素と連続しないような、画像の変化点を含む場合に顕在化する。例えば、異常画素の位置に異常画素と同じ幅の黒線が原稿画像に存在した場合、周辺の画素の読み取りデータには黒線の影響が反映されにくいため、補正の結果、その黒線(縦線)は消滅してしまう恐れが高い(図16)。
【0011】
一般的に、白地の原稿に対して黒またはその他の色の点や線分で原稿が成り立っていることを考えると、前述した黒線の消滅は画像=情報の欠落を意味し、再現された画像と原稿を対比することが空間的に不可能なファクシミリ装置においては、時に重大な問題を引き起こすことになる。
【0012】
さらにこの問題を深刻にするのは、異常画素を検出するタイミングが限定されることである。異常画素を検出するためには、主走査方向に濃度が均一な対象物を読み取り、その読み取りデータの主走査方向の明度の不均一性から検出することになる(図17)。原稿のように濃度不均一かつ変動するものを読み取りながら異常画素を検出するのは、異常画素の明度低下が、原稿上の有意画像部の明度低下と同等であるので、不可能である(図18)。それ故、原稿読み取り中ではなく、読み取り直前に読取り部のガラス面に対抗する背景板を読み取ることで異常画素の検出を行う方式が一般的である。
【0013】
このような理由で、従来、原稿読み取り直前に異常画素と判定された画素は、少なくともその原稿1ページを読み取る間、次回異常画素検出動作までは常に補正され続けることが多い。しかし、異常画素が発生する理由は読取り面に付着するゴミや汚れが一般的だが、原稿読み取り直前の検出動作時には存在したゴミが原稿読み取りに伴って移動し、異常画素が正常状態に復帰することもめずらしくない。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出してしまうこともあるかもしれない。そのような場合でも次回の異常画素検出動作まではその画素は異常と判断しつづけられ、1ページにわたって補正された結果としてその位置にあった細い線などは再現画像からことごとく消滅することになる。
【0014】
本発明は、異常画素の、原稿画像読取中の正常復帰を自動検出することを第1の目的とし、異常画素による黒スジ画像を補正機能によって防ぎつつ、補正による細線の消滅などを極力防ぐことを第2の目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
異常画素が原稿読み取り中に復帰したことを認識する手段としては、異常画素として補正される前の原稿読み取りデータ値を観測することで行う。異常画素の原因となる原稿読み取り部のゴミ等が、イメージセンサへの原稿反射光を遮っている間は、原稿面の濃度に関わらずほぼ同じレベルの信号がイメージセンサから出力されるものと推測される。これに対して、そのゴミ等が移動して原稿面での反射光がイメージセンサに入力すると、イメージセンサからは原稿面の濃度に応じたレベルの信号を出力されることになる(図13)。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出した場合には、原稿が読取り面の視野に入ると、該ゴミの影響は無くなる。一般の原稿は白地部分が多いことを勘案すると、ほとんどの場合、信号レベルが上昇することになる。本願発明の原稿読取り装置は、このような信号レベルの挙動を検知して、原稿読み取り時における異常画素の復帰を検出する。
【0016】
(1)原稿上の画像を投影するための光学系(232〜237);該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207);読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210);前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段(30);および、前記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能(262);を備えた画像読取り装置において、
前記異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の、原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を前記異物の消失と判定する復旧検出機能(264,265);を備えることを特徴とする、画像読取り装置(図8)。
【0017】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素又は対応事項の記号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【0018】
異常画素と検出した異物が、原稿の1ページの読取の間も位置が変わらず存在しつづける場合には、その位置で得る原稿読取の画像データは、走査ラインが変っても、すなわち副走査が進行しても、ほぼ同一レベルに留まり、データ値が副走査方向で変化しない。しかし、原稿の1ページの読取の間に異物が原稿に付着して読取部から出てしまうと、原稿上の画像の明度が常に異物の明度と同一ということは無いので、異常画素の位置での原稿読取の画像データが、異物の明度から原稿画像の明度に変化する。この変化を前記復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出していた場合には、原稿読取りを開始すると、該ゴミは原稿の裏側に位置するので、異常画素の位置での原稿読取の画像データが、異物の明度から原稿画像の明度に変化する。この変化を前記復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。この判定結果に基いて、異常画素の位置での原稿読取の画像データ補正をそこで解除すれば、補正による細線消滅の可能性が無くなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(1a)さらに、原稿読取りの画像データ値を別の値に置換するための異常画素補正機能(266);を備え、
前記異常画素検出機能(262)は、前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データが異常明度であるかを検出し、異常明度と検出した画素位置を特定するための第1情報(異常画素:「1」)をメモリ(263)に保存し;
前記復旧検出機能(264,265)は、前記異物の消失と判定した画素位置を特定するための第2情報(H:B指定)をメモリ(265c)に保持して、第1情報と第2情報に基いて、異常明度と検出した画素位置の原稿読取の画像データに対して、前記異常画素補正機能(266)を用いて、該画素位置が異物の消失との判定がない画素位置であるときには前記置換をした画像データを、該判定がある画素位置であるときには前記置換の無い画像データを出力する;上記(1)に記載の画像読取装置(図8)。
【0020】
異常画素が正常に復帰すると自動的に、直ちに補正が解除されて、原稿の画像を忠実に読み取る画像読取りに復帰する。異常画素による黒スジ状の画像の発生が防止されしかも、補正による細線の欠落などは生じない。
【0021】
(2)原稿上の画像を投影するための光学系(232〜237);該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207);読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210);前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段(30);前記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能(262);および、該異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の原稿読取りの画像データ値を別の値に置換することを基本とする異常画素補正機能(266);とを備えた画像読取り装置において、
原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を検出するデータ変動検出機能(264);および、該変化の検出が無いと前記異常画素補正機能(266)の置換を有効とし変化があると無効とする補正機能制御手段(265);を有することを特徴とする画像読取り装置(図8)。
【0022】
(2a)画像を投影するための光学系(232〜237);
該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207);
読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210);
前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段(30);
前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データが異常明度であるかを検出し、異常明度と検出した画素位置を特定するための第1情報をメモリ(263)に保存する異常画素検出手段(262);
原稿読取りの画像データ値を別の値に置換するための異常画素補正機能(266);
原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を検出するデータ変動検出機能(264);および、
前記メモリ(263)に保存された第1情報を参照して異常と判定された画素位置の前記異常画素補正機能(266)の前記置換を、該変化の検出が無いと有効とし変化があると無効とする補正機能制御手段(265);
を有する画像読取り装置(図8)。
【0023】
これによれば、異常画素が正常に復帰すると自動的に、直ちに補正が解除されて、原稿の画像を忠実に読み取る画像読取りに復帰する。異常画素による黒スジ状の画像の発生が防止されしかも、補正による細線の欠落などは生じない。
【0024】
(2b)補正機能制御手段(265)は、前記異物の消失と判定した画素位置を特定するための第2情報(H:B指定)をメモリ(265c)に保持して、第1情報と第2情報に基いて、異常明度と検出した画素位置の原稿読取の画像データに対して、前記異常画素補正機能(266)を用いて、該画素位置が前記所定の変化がない画素位置であるときには前記置換をした画像データを、該変化がある画素位置であるときには前記置換の無い画像データを出力する;上記(2a)に記載の画像読取装置(図8)。
【0025】
(2c)前記補正機能制御手段(265)は、前記異常と判定された画素位置で、前記変化が検出されると、それ以降の、同一原稿上で後に発生する他のラインの画像データに対しても前記異常画素補正機能(266)の置換を無効とする;上記(2)乃至(2b)のいずれかに記載の画像読取り装置(図8)。
【0026】
異常の原因となったゴミ等が移動し、異常画素と判断された画素が復帰したと判断した場合に補正機能を無効にする期間を次回異常画素検出動作までとすることで、異常画素検出動作が原稿の各ページ間で毎回行われる場合においても、逆に原稿の各ページ間では行わない場合においても、ゴミ等の移動に伴う正常画素への復帰がほとんど不可逆的である(読み取り中に全く同じ位置に再度ゴミ等が移動してきて再び異常画素になる可能性は極めて低い)という特性に着目しており、補正機能を的確に働かせることができる。異常画素検出動作のタイミング仕様に関わらず、異常画素による黒スジ状の画像の発生を防ぎつつ、補正機能による細線の欠落を防ぐことができる。
【0027】
(2d)補正機能制御手段(265)は、前記異物の消失と判定した画素位置の第1情報を消去する上記(2a)に記載の画像読取り装置(図12)。これによれば、簡易に異常画素情報を消去できる。異物消失に対応する異常画素復旧の情報処理が簡易である。
【0028】
(3)前記所定の変化は、同一原稿の画像読取で先行読取のラインの画像データ値よりも所定値以上のデータ値の上昇である;上記(1)乃至(2d)のいずれかに記載の画像読取り装置(図8)。この実施例である図8に示すデータ値変動検出264では、異常画素の、原稿読取りのデータ値D(n)が、同一原稿の、副走査で先行するデータ値D(n−1)よりもdTh高い明度であると、その画素が異常の原因となった読み取り面のゴミ等を読み取っているものではなく、ゴミ等が移動した結果、それによって遮られていた原稿のより明るい領域を読み取っていると判断する。すなわち、異物が消失したと判定する。
【0029】
(4)前記所定の変化は、画像データ値の、所定閾値以上への上昇である;請求項1乃至(2d)のいずれかに記載の画像読取り装置(図13)。異常画素のデータ値D(n)が比較対象である閾値(Th)が示す明度よりも高いという比較結果がでた場合、その画素が異常の原因となった読取り面のゴミ等を読み取っているものではなく、ゴミ等が移動した結果、それによって遮られていた原稿のより明るい領域を読み取っていると判断する。すなわちすなわち、異物が消失したと判定する。
【0030】
(5)前記閾値(Th)は、前記異常画素検出機能(262)が異常を検出した画像データそのもの、もしくはそのデータ値に基いて決定される値である;上記(4)に記載の画像読取り装置(図13)。遮っていたゴミ等の移動を、その種類や大きさ、異常検出時における読み取りラインとの相対的位置関係など不安定要因の影響を考慮し、高い精度で認識する。ゴミ等が移動したことによってそれまで遮られていたイメージセンサの異常画素に原稿面の反射光が入射したことを直ちにかつ異常画素の落ち込みレベルに依存することなく認識することができる。
【0031】
(5a)前記所定の変化は、所定の上,下限値の間の領域からの逸脱である;上記(1)乃至(2d)のいずれかに記載の画像読取り装置(図14)。異常画素のデータ値が2つの値で規定される範囲に存在するか否かを判断するレベル判定によって、異常の原因となった読み取り面のゴミ等の移動を、原稿読み取り中の画像の濃淡に関わらず判断することが可能である。例えば、異常画素の位置に、原稿の黒い部分がかかったケースを想定すると、ゴミ等が未だ移動していなければその画素の読み取りデータ値のレベルは異常画素検出時とさほど変化しないはずであるが、移動していれば、原稿の黒い部分を読み取ったデータ値となるはずなので、場合によっては異常画素検出時よりも明度的に低いデータ値となることも考えられ、そのようなケースに対してもゴミ等の移動を検出する。これによれば、ゴミ等が移動したことによってそれまで遮られていたイメージセンサの異常画素に原稿面の反射光が入射したことを直ちにかつ明暗両方向に対して認識することができる。
【0032】
(5b)前記上限値は、異常画素と検出したときの画像データのデータ値以上、下限値は該データ値未満である、上記(5a)に記載の画像読取り装置(図14)。2つの値の一つを異常画素検出時のデータ値以下に、もう一方をデータ値以上に設定することで、2つの値で規定する領域に異常画素検出時のデータ値を含むことができ、異常の原因となったゴミ等の移動による読み取りデータ値の変化を適切に判断できる。すなわち、ゴミ等が移動したことによってそれまで遮られていたイメージセンサの異常画素に原稿面の反射光が入射したことを直ちにかつ明暗両方向に対して精度よく認識することができる。
【0033】
(6)上記(1)乃至上記(5b)のいずれかに記載の画像読取り装置;および、該画像読取り装置が原稿を読取って発生した画像データを、用紙上に画像を形成するためのプリント用の画像データに変換する画像データ処理手段(ACP);を備える画像処理装置。これによれば、読取部(240)の汚れにより黒筋を発生せず、しかも補正による細線の欠落がない、プリントアウトにより画像を再現するための画像データが得られる。
【0034】
(7)さらに、前記プリント用の画像データに基いて用紙上に画像を形成するプリンタ(100);を備える上記(6)に記載の画像処理装置。これによれば、読取部(240)の汚れにより黒筋を発生せず、しかも補正による細線の欠落がない、コピーを得ることが出来る。
【0035】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0036】
【実施例】
−第1実施例−
図1に、本発明の第1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能フルカラーデジタル複写機の外観を示す。このフルカラー複写機は、大略で、自動原稿送り装置(ADF)30と、操作ボード20と、カラースキャナ10と、カラープリンタ100と、給紙バンク35の各ユニットで構成されている。ステープラ及び作像された用紙を積載可能なトレイ付きのフィニッシャ34と、両面ドライブユニット33と、大容量給紙トレイ36は、プリンタ100に装着されている。
【0037】
機内のシステムコントローラ630(図2)には、パソコンPCが接続したLAN(Local Area Network)が接続されている。カラープリンタ100のプリント済の用紙は、排紙トレイ108上またはフィニッシャ34に排出される。
【0038】
フィニッシャ34は、スタッカトレイすなわち積載降下トレイ34hsおよびソートトレイ群34stを持ち、積載降下トレイ34hsに用紙(プリント済紙,転写済紙)を排出するスタッカ排紙モードと、ソートトレイ群34stに排紙するソータ排紙モードを持つ。
【0039】
プリンタ100からフィニッシャ34に送り込まれた用紙は、左上方向に搬送されそして上下逆U字型の搬送路を経て、下向きに搬送方向を切換えてから、設定されているモードに応じて、スタッカ排紙モードのときには排出口から積載降下トレイ34hsに排出される。ソータ排紙モードのときには、ソータトレイ群34stの、そのとき排出中の用紙が割り当てられたソータトレイに排出される。
【0040】
ソータ排紙モードが指定されるとフィニッシャ内排紙コントローラは、最下部の重ね待避位置に置いたソートトレイ群34stを、図1上で2点鎖線で示す使用位置に上駆動し、ソータトレイ間の間隔を広げる。ソータ排紙モードでは、1回(一人)の設定枚数の複写又はプリントは、部ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、同一原稿(画像)をプリントした各転写紙をソートトレイ群34stの各トレイに仕分け収納する。頁ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、各トレイを各頁(画像)に割り当てて、同一頁をプリントした各転写紙を1つのソートトレイに積載する。
【0041】
図2に、図1に示す複写機の画像処理系統のシステム構成を示す。このシステムでは、読取ユニット11,センサボードユニットSBUと画像データ出力I/F(Interface:インターフェイス)12でなるカラー原稿スキャナ12が、画像データ処理装置ACPの画像データインターフェース制御CDIC(以下単にCDICと表記)に接続されている。画像データ処理装置ACPにはまた、カラープリンタ100が接続されている。カラープリンタ100は、画像データ処理装置ACPの画像データ処理器IPP(Image Processing Processor;以下では単にIPPと記述)から、書込みI/F134に記録画像データを受けて、作像ユニット135でプリントアウトする。
【0042】
画像データ処理装置ACP(以下では単にACPと記述)は、パラレルバスPb,メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述),画像メモリであるメモリモジュール(以下では単にMEMと記述),不揮発メモリであるハードディスク装置HDD(以下では単にHDDと記述),システムコントローラ1,RAM4,不揮発メモリ5,フォントROM6,CDIC,IPP等、を備える。パラレルバスPbには、ファクシミリ制御ユニットFCU(以下単にFCUと記述)を接続している。操作ボード20はシステムコントローラ1に接続している。
【0043】
カラー原稿スキャナ10の、原稿を光学的に読み取る読取ユニット11は、原稿に対するランプ照射の反射光を、センサボードユニットSBU(以下では単にSBUと表記)上の、イメージセンサ207で光電変換してR,G,B画像信号を生成し、A/DコンバータでRGB画像データに変換し、そしてシェーディング補正して、出力I/F12を介してCDICに送出する。
【0044】
CDICは、画像データに関し、原稿スキャナ10(出力I/F12),パラレルバスPb,IPP間のデータ転送、ならびに、プロセスコントローラ131とACPの全体制御を司るシステムコントローラ1との間の通信をおこなう。また、RAM132はプロセスコントローラ131のワークエリアとして使用され、ROM133はプロセスコントローラ131の動作プログラム等を記憶している。
【0045】
メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述)は、MEMおよびHDDに対する画像データおよび制御データの書き込み/読み出しを制御する。システムコントローラ1は、パラレルバスPbに接続される各構成部の動作を制御する。また、RAM4はシステムコントローラ1のワークエリアとして使用され、不揮発メモリ5はシステムコントローラ1の動作プログラム等を記憶している。
【0046】
操作ボード20は、ACPが行うべき処理を指示する。たとえば、処理の種類(複写、ファクシミリ送信、画像読込、プリント等)および処理の枚数等を入力する。これにより、画像データ制御情報の入力をおこなうことができる。
【0047】
スキャナ10の読取ユニット11より読み取った画像データは、スキャナ10のSBUでシェーディング補正260を施してから、IPPで、スキャナガンマ補正,フィルタ処理などの、読取り歪を補正する画像処理を施してから、MEM又はHDDに蓄積する。MEM又はHDDの画像データをプリントアウトするときには、IPPにおいてRGB信号をYMCK信号に色変換し、プリンタガンマ変換,階調変換,および、ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理などの画質処理をおこなう。画質処理後の画像データはIPPから書込みI/F134に転送される。書込みI/F134は、階調処理された信号に対し、パルス幅とパワー変調によりレーザー制御をおこなう。その後、画像データは作像ユニット135へ送られ、作像ユニット135が転写紙上に再生画像を形成する。
【0048】
IMACは、システムコントローラ1の制御に基づいて、画像データとMEM又はHDDのアクセス制御,LAN上に接続したパソコンPC(以下では単にPCと表記)のプリント用データの展開,MEMおよびHDDの有効活用のための画像データの圧縮/伸張をおこなう。
【0049】
IMACへ送られた画像データは、データ圧縮後、MEM又はHDDに蓄積され、蓄積された画像データは必要に応じて読み出される。読み出された画像データは、伸張され、本来の画像データに戻しIMACからパラレルバスPbを経由してCDICへ戻される。CDICからIPPへの転送後は画質処理をして書込みI/F134に出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0050】
画像データの流れにおいて、パラレルバスPbおよびCDICでのバス制御により、デジタル複合機の機能を実現する。ファクシミリ送信は、読取られた画像データをIPPにて画像処理を実施し、CDICおよびパラレルバスPbを経由してFCUへ転送することによりおこなわれる。FCUは、通信網へのデータ変換をおこない、それを公衆回線PNへファクシミリデータとして送信する。ファクシミリ受信は、公衆回線PNからの回線データをFCUにて画像データへ変換し、パラレルバスPbおよびCDICを経由してIPPへ転送することによりおこなわれる。この場合、特別な画質処理はおこなわず、書込みI/F134から出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0051】
複数ジョブ、たとえば、コピー機能,ファクシミリ送受信機能,プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読取ユニット11,作像ユニット135およびパラレルバスPbの使用権のジョブへの割り振りは、システムコントローラ1およびプロセスコントローラ131において制御する。プロセスコントローラ131は画像データの流れを制御し、システムコントローラ1はシステム全体を制御し、各リソースの起動を管理する。また、デジタル複合機の機能選択は、操作ボード20においておこなわれ、操作ボード20の選択入力によって、コピー機能,ファクシミリ機能等の処理内容を設定する。
【0052】
システムコントローラ1とプロセスコントローラ131は、パラレルバスPb,CDICおよびシリアルバスSbを介して相互に通信をおこなう。具体的には、CDIC内においてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータ,インターフェースのためのデータフォーマット変換をおこなうことにより、システムコントローラ1とプロセスコントローラ131間の通信を行う。
【0053】
各種バスインターフェース、たとえばパラレルバスI/F 7、シリアルバスI/F 9、ローカルバスI/F 3およびネットワークI/F 8は、IMACに接続されている。コントローラーユニット1は、ACP全体の中での独立性を保つために、複数種類のバス経由で関連ユニットと接続する。
【0054】
システムコントローラ1は、パラレルバスPbを介して他の機能ユニットの制御をおこなう。また、パラレルバスPbは画像データの転送に供される。システムコントローラ1は、IMACに対して、画像データをMEM,HDDに蓄積させるための動作制御指令を発する。この動作制御指令は、IMAC,パラレルバスI/F 7、パラレルバスPbを経由して送られる。
【0055】
この動作制御指令に応答して、画像データはCDICからパラレルバスPbおよびパラレルバスI/F 7を介してIMACに送られる。そして、画像データはIMACの制御によりMEM又はHDDに格納されることになる。
【0056】
一方、ACPのシステムコントローラ1は、PCからのプリンタ機能としての呼び出しの場合、プリンタコントローラとネットワーク制御およびシリアルバス制御として機能する。ネットワークB経由の場合、IMACはネットワークI/F 8を介して、ネットワークB経由のプリント出力要求データあるいは蓄積(保存)要求データを受け取る。ネットワークB経由の要求データ(外来コマンド)はシステムコントローラ1に報知し、それに応答するシステムコントローラ1からのコマンドに従って、IMACは、ネットワークB経由の蓄積データの転送又は受信蓄積を行う。
【0057】
汎用的なシリアルバス接続の場合、IMACはシリアルバスI/F 9経由でプリント出力要求データを受け取る。汎用のシリアルバスI/F 9は複数種類の規格に対応しており、たとえばUSB(Universal Serial Bus)、1284または1394等の規格のインターフェースに対応する。
【0058】
PCからのプリント出力要求データはシステムコントローラ1により画像データに展開される。その展開先はMEM内のエリアである。展開に必要なフォントデータは、ローカルバスI/F 3およびローカルバスRb経由でフォントROM6を参照することにより得られる。ローカルバスRbは、このコントローラ1を不揮発メモリ5およびRAM4と接続する。
【0059】
シリアルバスSbに関しては、PCとの接続のための外部シリアルポート2以外に、ACPの操作部である操作ボード20との転送のためのインターフェースもある。これはプリント展開データではなく、IMAC経由でシステムコントローラ1と通信し、処理手順の受け付け、システム状態の表示等をおこなう。
【0060】
システムコントローラ1と、MEM,HDDおよび各種バスとのデータ送受信は、IMACを経由しておこなわれる。MEMおよびHDDを使用するジョブはACP全体の中で一元管理される。
【0061】
図3に、CDICの機能構成の概要を示す。画像データ入出力制御161は、カラー原稿スキャナ10(SBU)が出力する画像データを受けて、IPPに出力する。IPPは、「スキャナ画像処理」190(図4)をして、CDICの画像データ入力制御162に送りだす。画像データ入力制御162が受けたデータは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるためにデータ圧縮部163に於いて、画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、データ変換部164でパラレルデータに変換してパラレルデータI/F165を介してパラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbからパラレルデータI/F165を介して入力される画像データは、データ変換部164でシリアル変換される。このデータは、バス転送のために1次圧縮されており、データ伸張部166で伸張される。伸張された画像データは、画像データ出力制御167によってIPPへ転送される。IPPでは、「画質処理」300(図4)によりRGB画像データをYMCK画像データに変換し、プリンタ100の画像出力用の画像データYpMpCpKpに変換してカラープリンタ100に出力する。
【0062】
CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ1は、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ131は、シリアルバスSbにデータを転送する。2つのコントローラ1,131の通信のために、デ−タ変換部164およびシリアルデ−タI/F169で、パラレル/シリアルデータ変換を行う。シリアルデータI/F168は、IPP用であり、IPPともシリアルデ−タ転送する。
【0063】
図4に、IPPの画像処理機能の概要を示す。IPPは分離生成(画像が文字領域か写真領域かの判定:像域分離)192,地肌除去193,スキャナガンマ変換194,フィルタ195,色補正302,変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および階調処理606を行う。IPPは画像処理をおこなうプログラマブルな演算処理手段である。スキャナ10の出力I/F12からCDICに入力された画像データは、CDICを経由してIPPに転送され、IPPにて光学系およびデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化)を補正され、再度、CDICへ出力(送信)される。CDICからIPPへ戻される画像データに対して、IPPにおいては、「画質処理」300を行う。「画質処理」300では、色補正302でRGB信号をYMCK信号に色変換し、変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および、階調変換,ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理306などをおこなう。
【0064】
図5に、スキャナ10およびそれに装着されたADF 30の、原稿画像読み取り機構を示す。このスキャナ10のコンタクトガラス231上に置かれた原稿は、照明ランプ232により照明され、原稿の反射光(画像光)が第1ミラー233で副走査方向yと平行に反射される。照明ランプ232および第1ミラー233は、図示しない、副走査方向yに定速駆動される第1キャリッジに搭載されている。第1キャリッジと同方向にその1/2の速度で駆動される、図示しない第2キャリッジには、第2および第3ミラー234,235が搭載されており、第1ミラー233が反射した画像光は第2ミラー234で下方向(z)に反射され、そして第3ミラー235で副走査方向yに反射されて、レンズ236により集束され、撮像素子であるイメージセンサ207に照射され、電気信号に変換される。第1および第2キャリッジは、走行体モーター238を駆動源として、y方向に往(原稿走査),復(リタ−ン)駆動される。
【0065】
スキャナ10には、自動原稿供給装置ADF 30が装着されている。ADF30の原稿トレイ241に積載された原稿は、ピックアップローラ242およびレジストローラ対243で搬送ドラム244と押さえローラ245の間に送り込まれて、搬送ドラム244に密着して読み取りガラス240の上を通過し、そして排紙ローラ246,247で、原稿トレイ241の下方の圧板兼用の排紙トレイ248上に排出される。原稿は、シートスルー読取りの読取部である読み取りガラス240を通過する際に、その直下に移動している照明ランプ232により照射され、原稿の反射光は、第1ミラー233以下の光学系を介してイメージセンサ207に照射され光電変換される。
【0066】
ADF30で原稿を移送しながら原稿を読み取るシートスルーの画像読取りの場合、読み取り部のガラス240から入ってくる原稿画像を、第1キャリッジをホームポジションHPに固定して読み取る。この位置がシートスルーの画像読取りの読取り位置となる。異常画素の検出はこの読み取り位置HPで、搬送されてくる原稿が読み取り位置HPに到達する前に読み取りガラス240を通じて読取りガラスの上部に有る背板BPを読取ることにより行なう。背板BPは白色部材若しくは白く塗装したものを使用する。この背板BPを読取りガラス240を通して読み取ることにより、異常画素の検出処理を原稿搬送前に行なう。その内容は、図9を参照して後述する。
【0067】
なお、背板BPの代りにローラを設けて、又は、背板BPの代りに搬送ドラム244を用いて、その表面は高反射率の白色部材若しくは白く塗装したものにすることができる。しかし、原稿画像の読取り前に実施する異常画素の検出のための無画像部の読取において該ローラ又は搬送ドラム244の反射光レベルを読取るので、反射面に汚れがあるとそこを異常画素部位(黒筋又は白筋の原因となるガラス240の汚れ)と検出(誤検出)するので、クリーニングが必要になる。この点は背板BPを用いる場合でも同様であるが、ローラ又は搬送ドラム244は背板BPよりも汚れ易く、しかも筒状で表面積が広いので、全面を均一に清浄な白に維持するのに手間がかかる。そこで本実施例では、幅が狭い背板BPを用いている。
【0068】
読取りガラス240と原稿始端の位置決め用のスケール251との間には、基準白板239、ならびに、第1キャリッジを検出する基点センサ249がある。基準白板239は、照明ランプ232の個々の発光強度のばらつき、また主走査方向のばらつきや、イメージセンサ207の画素毎の感度ムラ等が原因で、一様な濃度の原稿を読み取ったにもかかわらず、読み取りデータがばらつく現象を補正(シェーディング補正260:図8)して均一な濃度レベルの画像データに変換するために用意されている。このシェーディング補正は、まず基準白板239を原稿スキャン前に主走査方向数ライン分読み取り、この読み取った白基準データに基いてシェーディング補正データを設定し、原稿をスキャンして得る画像データを該補正データに基いて補正するものである。
【0069】
レンズユニット236の直前には、シェーディング調整板237があり、これが、イメージセンサ207の主走査方向(図5紙面に垂直な方向)の中央部と端部での反射光量の差を無くすための光量調整の役割を果たす。これはシェーディング補正において、イメージセンサ207の中央部と端部で基準白板239の反射光量の差が有り過ぎると、多分に歪を含んだ補正になることがあるために、予め、反射光量の差を無くした後に、シェーディング補正を行なうために、イメージセンサ207の入射光量を平準化するものである。
【0070】
図6に、スキャナ10の画像読み取りの電気系統の構成を示す。イメージセンサ207から出力される電気信号すなわち、R,G,B各色アナログ画像信号はそれぞれ、信号処理208で増幅され、A/D変換209によってデジタル画像信号すなわち画像データに変換される。この画像データは、明度補正210によって補正処理を受け、IPPに出力される。A/D変換209では、ディジタル変換した画像データを、黒側のオフセット分となる部分を取り除いたものに変換する。この際の黒側のオフセット分には、イメージセンサ207からの出力が、R,G,B各色成分につき2チャンネル構成の場合、チャンネル間の差分を含んでいる。ここでの演算処理は、チャンネル間の誤差成分を除くのが大きな目的である。
【0071】
スキャナ制御回路206は、システムコントローラ630およびプロセスコントローラ131からの指示に従って、ランプ制御回路205,タイミング制御回路211及びモータ制御ユニット260を制御する。ランプ制御回路205は、スキャナ制御回路206からの指示に従って露光ランプ232(232a,232b)のオン/オフを制御するとともに、シェーデイング補正210が指示する照度(光量)に露光ランプ232の明るさ(時系列平均値又は平滑値)を定める。なお、参照符号232a,232bを総括的に参照符号232で示すことがある。
【0072】
モータ制御ユニット260は、スキャナ制御回路206からの指示に従って、副走査駆動モータ238及びADFモータ224を制御する。これらモータは、いずれもステッピングモータであり、駆動系統の軸にはロータリエンコーダ(E)221及び225が連結されている。第1キャリッジの走査位置(y)および駆動量ならびにADF送り原稿の先,後端位置および送り量は、各ロータリエンコーダ221,225が発生する電気パルスを計数して把握される。図6に示す紙センサ223は、ADF30の原稿トレイ241上に原稿があるかを検知するもの,ペーパジャム検知のもの及び原稿サイズ検知のものを含む。
【0073】
タイミング制御回路211は、スキャナ制御回路206,システムコントローラ630(のCPU605)及びプロセスコントローラ131からの指示あるいは制御信号に従って、各種信号を生成する。即ち、画像読み取りを開始すると、イメージセンサ207に対しては、1ライン分のデータをシフトレジスタに転送する転送ゲート信号及びシフトレジスタのデータを1ビットずつ出力するシフトクロックパルスを与え、システムコントローラ630に対しては、画素同期クロックパルスCLK,ライン同期信号LSYNC及び主走査有効期間信号LGATEを出力する。この画素同期クロックパルスCLKは、イメージセンサ207に与えるシフトクロックパルスと略同一の信号である。また、ライン同期信号LSYNCは、プリンタ100の作像ユニット135のビームセンサが出力するライン同期信号MSYNCと対応する信号であるが画像読取りを行なっていない時は出力が禁止される。主走査有効期間信号LGATEは、イメージセンサ207が出力する画信号が有効と見なせるタイミングで高レベルHになる。
【0074】
スキャナ制御回路206は、プロセスコントローラ131から読み取り開始指示を受けると、タイミング制御回路211を制御してイメージセンサ207の読み取りを開始し、露光ランプ232を点灯し、副走査駆動モータ238(手差しモード)又はADFモータ(ADFモード)を駆動開始する。また、副走査有効期間信号FGATEを高レベルH(原稿領域外)にセットする。この信号FGATEは、手差しモードでは第1キャリッジが原稿始端位置(ホームポジションHPからa+bの位置)に達したときに、原稿領域内を示すLに切り替えられ、ADFモードでは、レジストローラからの原稿(先端)の送り出し搬送量が、ADF30を使用するシートスルー画像読取りモードでの原稿読み取り位置であるHP位置(「レジストローラ243から基点センサ249までの送り量Df」−「HPから基点センサ249までの送り量a」)に達したときに原稿領域内を示すLに切り替えられる。そして、手差しモードでは原稿尾端を第1キャリッジが通過すると、ADFモードでは原稿尾端がHPを通過すると、副走査有効期間信号FGATEは原稿領域外を示すHに戻される。
【0075】
図7に、スキャナ制御回路206の構成を示す。CPU254は、スキャナ制御回路206の入出力制御ならびに副走査駆動モータ238およびADFモータの駆動制御を行う。すなわち、原稿スキャナの操作ボードの入力読込みおよび表示出力を制御するとともに、システムコントローラ630又はプロセスコントローラ131からの原稿読み取りコマンドに応答して、キャリッジ駆動又はADF駆動を行う。ROM255には、スキャナ制御回路206の制御プログラムが書かれている。RAM256は、CPU254で使用する作業用メモリである。252は、原稿スキャナの操作ボードの入力キーおよび入力パネルを操作して使用者がシステム設定の入力を行う入力装置である。表示装置253は、原稿スキャナの操作ボードにあって、使用者にシステムの設定内容,状態を表示するものであり、表示灯および表示パネル(ディスプレイ)を含む。
【0076】
図8に、シェーディング補正,異常画素検出および異常画素の画像データ補正を行う明度補正210の機能概要を示す。図8に示す明度補正210は、画像読取のR,G,B成分画像データのそれぞれを各組が明度補正する3組が備わっている。それらの機能は同一である。以下では、1組の明度補正210の補正機能を説明する。
【0077】
イメージセンサ207から出力されたアナログビデオ信号はA/D変換209によって画像データにデジタル変換される。シェーディング補正260は、基準白板239を読み取った白波形データに基いてシェーディング補正データを設定する。このシェーディング補正260には、読取り画像データをシェーディング補正するシェーディング補正機能およびシェーディング補正データを生成し更新する、シェーディング補正データの設定機能とがある。
【0078】
「シェーディング補正データの設定」において、シェーディング補正データは、図11に示すシェーディングゲート信号が”L”区間でシェーディング補正260に割りつけられたFIFOメモリに設定する。シェーディングゲート信号が高レベルHから低レベルLに立下ると、シェーディング補正260は、基準白板239の数ライン分の読取りにわたって平均値演算処理をして、数ラインの同一画素位置の基準白板の読取りデータの平均値を算出し、そして1ライン全体の平均レベルを算出し、各画素位置の平均値と1ライン全体の平均レベルから、各画素位置の、画像データを均一にするための参照データDhiを算出してFIFOメモリに更新書込みする。
【0079】
図11に示す原稿読取りゲート信号のL区間が原稿読取り期間であり、ここで「シェーディング補正」を行う。「シェーディング補正」においては、FIFOメモリから読取データDiの画素位置の参照データDhiを読み出して、DiとDhiをシェーディング補正260に割りつけられたシェーディング補正ROMに入力されて、このROMに予め格納されているシェーディング補正演算済のデータがルックアップテーブル方式により読出され、Di,Dhiに応じたシェーディング補正した画像データDoutが出力される。すなわち、背板BP読取りおよび原稿画像読取りの区間では、シェーディング補正260は、読取画像データDiと同一画素位置の参照データDhiをFIFOメモリから読み出して、画像データDiおよび参照データDhiをシェーディング補正ROMに与える。該ROMが、参照データDhiに基づいて入力画像データDiをシェーディング補正した画像データDout、を出力する。なお、この実施例のシェーディング補正の補正演算の骨子は、Dout=Do・Di/Dhi,
Doは基準白板239の基準(白)濃度値,
とするものであり、シェーディング補正ROMは、Di,Dhiがとり得る各値について上記式で算出したDout値を、Di,Dhiをアドレスとして格納したものであるので、上述のように、読取り区間の入力画像データDiと、それと同一画素位置の参照データDhiを同時にシェーディング補正ROMに与えることにより、入力画像データDiを参照データDhiに基づいてシェーディング補正した画像データDout、がシェーディング補正ROMから直ちに得られる。
【0080】
原稿読取り時の一般的な画像データフローとしては、シェーディング補正260後に変倍処理212へ流れる。しかし、本実施例では、背板BP読取時には異常画素検出262に流れ、シートスルー画像読取りモードの原稿画像読取では「遅延メモリ261−異常画素データ補正266−変倍処理212」に流れ、原稿停止の画像読取モードでは、「遅延メモリ261−変倍処理212」に流れる。なお、遅延メモリ261は3ライン以上の画像データを一時保持するバッファメモリであり、図8には、データ値変動検出264および異常画像データ補正266が利用するデータラインのみを示すが、このメモリ261は、シェーデイング補正260および異常画素検出262でも、画像データおよび演算データの一時格納に利用される。
【0081】
異常画素検出262は、背板BPを読取った画像データの主走査方向のライン平均値を算出して、該平均値より所定比率低い閾値以下の明度の画素を異常画素候補として抽出する。次にこの異常画素候補の主走査方向の連続分布の画像数に着目して、所定の閾値以上に連続分布する異常画素候補群を汚れによる異常画素群と判定し、該異常画素のそれぞれに、異常画素であることをあらわす高レベルH:「1」の2値信号(1ビットデータ:第1情報)を宛てて、ラインメモリ263の、異常画素の位置宛のアドレスに書込む。
【0082】
なお、異常画素検出を開始するときにラインメモリ263および265cはクリアされて、ラインメモリ263の1ライン上のすべての画素宛ての2値信号(第1情報)はすべて正常画素であることをあらわす低レベルL:「0」の2値信号(1ビットデータ)になっている。ラインメモリ263の2値信号(第2情報)も同様に、低レベルL:「0」となっている。
【0083】
シートスルーの原稿画像読取りのときに、1ライン上の各画素の画像データを順次に異常画像データ補正266に送り込んで順次に、補正値演算266bの処理対象画素(注目画素)とするのに同期して画素(画素同期パルス)のカウントアップが行われ、ラインメモリ263および265cの、カウント値対応の(注目画素位置の)の2値信号すなわち第1情報および第2情報が読み出されて、第1情報は補正要否検出265のアンドゲート265aに与えられ、第2情報はそのままオアゲート265bに与えられるとともに、反転してアンドゲート265aにも与えられる。この第1情報は、注目画素が異常画素であるか正常画素であるかを表わす。このとき、データ値変動検出264は、該注目画素が副走査方向に所定の変化をしたものか否かを表わす検出信号(該変化した:H/該変化なし:L)を補正要否検出265に出力する。第2情報は、後述するが、異常画素に副走査方向の明度変化があったときに、L(補正データAの出力指示)からH(画像データBの出力指示)に切換えられる。
【0084】
異常画素データ補正266の参照マトリクス構成266aは、異常画素を周辺の画素のデータ値を参照して補正するために、注目画素と周辺画素からなる空間マトリクスを形成するブロックである。形成されたブロックの各データは、補正値演算266bに送られ、補正値演算266bが、注目画素が異常画素である場合にそれに与える補正値を演算する。本実施例では、マトリクスを注目画素を中心とする3×3画素とし、その中の注目画素を除く画素の明度(画像データ)の平均値を補正値とするが、その他の補完演算でもよい。補正値データは、データセレクタ266cの入力端Aに入力される。データセレクタ266cの入力端Bには、注目画素の画像データD(n)が入力され、データセレクタ266cは、補正要否検出265(のオアゲート265b)が与える制御信号がLであると、入力端Aの補正値データを、明度補正したデータとして変倍処理212に出力し、制御信号がHであると、入力端Bの画像データ(シェーディング補正のみをした画像データ)を、明度補正したデータとして変倍処理212に出力する。
【0085】
データ値変動検出264では、注目画素より1ライン前の同一主走査位置の画像データD(n−1)に対する注目画素の画像データD(n)の変化分dD=D(n)−D(n−1)を差分値算出264cで算出して、これが閾値dThよりも大きいと、すなわちライン間の明度変化があると、比較264eで、変化ありを示す高レベルHの信号を発生して、補正要否検出265に出力する。変化分dDが閾値dTh以下であるときには、該信号を変化なしを表わす低レベルLとする。この信号は、1bitの情報量で足りる。
【0086】
上述の説明では、注目画素の直前のラインのデータ値D(n−1)を参照値としているが、参照値生成264bで、参照値を、先行ラインのデータ値D(n−1)に所定係数を乗算もしくは定数を加算又は減算して調整することも出来る。また、1ライン以上遅延して、注目画素の数ライン前の画像データを参照値にすることもできる。なお、閾値dThは、原稿スキャナ10に電源が投入された直後の初期化において、スキャナ制御回路206のCPU254がNVRAM257からラッチ264fに転送することによって、ラッチ264fに保持されている。
【0087】
補正要否検出265は、注目画素に関するデータ値変動検出264の判定結果(比較264eの出力)と元の異常画素判定結果(ラインメモリ263の第1情報)に基づいて、注目画素に対する補正処理をONするかOFFするか、すなわち有効にするか無効にするか、を判定して、ON/OFFを指示する制御信号を、オアゲート265bからデータセレクタ266cに与える。注目画素に関するラインメモリ263から読出した第1情報がL(正常画素)であると、その反転信号Hがオアゲート265bから出力され、データセレクタ266cは、入力端Bの、注目画素の画像読取データD(n)を変倍処理212に出力する。第1情報Lによってアンドゲート265aゲートオフでLを出力するので、ラインメモリ265cの注目画素宛ての2値信号(第2情報)は、L(A指定)に留まるが、第1情報L(正常画素)の反転信号H(B指定)をオアゲート265bが出力するので、正常画素では常に画像読取データD(n)そのものが出力される。
【0088】
注目画素に関する、ラインメモリ263から読出した第1情報がH(異常画素)であるときには先に言及したが、ラインメモリ265cが異常画素検出を開始するときにクリアされてそのデータはL=「0」になっており、その反転信号H=「1」とともに第1情報Hがアンドゲート265aに与えられるが、同じくアンドゲート265aに与えられる比較264eの出力信号がL(副走査方向の明度変化なし)であるときにはアンドゲート265aの出力がLで、オアゲート265bの出力がLで、データセレクタ266cは、入力端Aの補正データを選択して変倍処理212に出力する。
【0089】
すなわち、異常画素の画像データが副走査方向に明度変化がない場合には、補正データが出力される。アンドゲート265aの出力がLであるので、ラインメモリ265cの注目画素宛の第2情報はLに留まる。
【0090】
ところが、注目画素に関するラインメモリ263から読出した第1情報がH(異常画素)でありしかも副走査方向の明度変化があって比較264eの出力信号がHになったときには、アンドゲート265aの出力がHとなってオアゲート265bの出力がHとなり、第1情報はH(異常画素)ではあるが、データセレクタ266cは注目画素の画像データD(n)を出力する。同時に、ラインメモリ265cの該注目画素宛ての第2情報がH(B指定)に書換えられる。したがって、これ以降のラインの画像読取では、ラインメモリ263から読出した第1情報がH(異常画素)ではあるが、ラインメモリ265cの該注目画素宛ての第2情報がH(B指定)であってこれがオアゲート265bから出力されるので、補正データではなく画像データD(n)を出力するようになる。
【0091】
なお、遅延調整266d,264a,264dは、処理対象画素(注目画素)の画像データが参照マトリクス構成266aと補正値演算266bで遅延するのに対し、データセレクタ266cおよび比較264eにて、画像データおよび制御信号を注目画素に同期させる目的で設けてある。
【0092】
図9に、スキャナ制御回路206のCPU254による、システムコントローラ1が与える画像読取スタート信号(スタート指示)に応答した、原稿読取制御の概要を示す。なお、システムコントローラ1は、操作ボード20又はパソコンPCから画像読取スタートが入力されたときに、これに応答して画像読取スタート信号をCPU254に与える。
【0093】
CPU254は、画像読取スタート信号に応答してホームポジションHPから第1および第2キャリッジの往走査駆動を開始して(ステップ1)、第1ミラー233の読取視野に基準白板239が入るタイミングで、シェーディング補正260に与えるシェーディングゲート信号を”H”から”L”に切換え、基準白板239の中心あたりに読取視野が進んだタイミングで補正ゲート信号を”H”から”L”に切換えて、両信号が”L”の間に、シェーディング補正260により、シェーディング補正データの更新を行う(ステップ2)。なお、以下においては、括弧内には、ステップという語を省略して、ステップ番号のみを記す。
【0094】
シェーディング補正データの更新を終えるとCPU254は、シェーディングゲート信号および補正ゲート信号を”H”に戻す。そしてADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を参照して、それが原稿なしであるときには、往走査を継続して、コンタクトガラス231上の原稿画像読取りと、読取った画像データのシェーディング補正を行う(4)。コンタクトガラス231上の原稿の尾端を通過すると、キャリッジの往走査駆動を止めて、続いて反転して復走査(リターン)駆動して、第1キャリッジをHPに位置決めしてキャリッジ駆動を終了する(5)。
【0095】
ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号が原稿ありであった場合には、キャリッジの往駆動を止めて、キャリッジをホームポジションHPに戻す。すなわち、第1キャリッジ(第1ミラー233)を、シートスルーの画像読取り位置に位置決めする(6)。そして「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)に進んで、ラインメモリ263,265cをクリアして、主走査1ラインの背板BPの画像読取を行い(71)、読取画像データにシェーディング補正を施して(72)、異常画素検出262によって、該1ラインの画像データのライン平均値を算出して、ライン平均値より所定比率低い閾値Th1以下の濃度レベルの画素を異常画素候補として抽出する。次にこの異常画素候補の主走査方向の連続分布の画像数に着目して、異常画素を確定する。異常画素候補群の大きさを検出するための所定の閾値Th2以上に連続分布する異常画素候補群を汚れによる異常画素と確定し、ラインメモリ263の、異常画素の位置に、それを表わすHを書込む(73)。
【0096】
このように異常画素を検出すると、汚れ警告を操作ボード20のディスプレイに表示する(8,10)。パソコンPCからの画像読取りコマンドに応答してADF30給紙による画像読取りの開始であった場合には、この汚れ警告がPCに送信されてPCに接続したディスプレイにも表示される。異常画素を検出しなくなったときには、この汚れ警告表示を消去する(9)。
【0097】
そして、異常画素を検出したか否かに係らず、ADF30が読取りガラス240に送り込んで移送する原稿の画像を読取って、図8に示しすでに説明した明度補正210の機能によって、シェーディング補正および異常画素補正を施す(11)。一枚の原稿の画像読取を終えると、ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を再度参照し(12)、原稿ありであると、続いて「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)〜「画像読取り,シェーディング補正&異常画素補正」(11)を行う。ADF30の原稿トレイの原稿がなくなるまで、各原稿に関してステップ7〜12の処理を行う。ADF30にあった最後の原稿の「画像読取り,シェーディング補正&異常画素補正」(11)を終えると、CPU254はそこで原稿画像読取制御を終える。
【0098】
図10は、1ページの原稿読取の中の上述の「画像読取り,シェーディング補正&異常画素補正」(11)における「異常画素補正」P11cの制御の概要のみを摘出して示す。該1ページの原稿走査の副走査ライン数はL、主走査画素数はNとし、原稿走査中の、「異常画素補正」対象の画素すなわち注目画素の原稿上の副走査方向および主走査方向の位置をそれぞれlとnとする。また、異常画素と判定された画素の原稿読み取りデータ値が、データ値変動検出264で変動したと一度でも認識された場合、以降変動の有無に関わらず補正をしない制御とするため、ラインメモリ265c上の画素単位の前記第2情報であるフラグFLG(n)を定義する。これは、FLG(n)=「0」=Lのとき、過去に変動したと認識されていない状態を示し、FLG(n)=「1」=Hのとき、過去に変動したと認識されたことを示すものである。
【0099】
制御フローとしては、まず全画素のFLG(n)を「0」に初期化し(21)、注目画素を、始端画素(1,1)に定める(22,23)。次に、注目画素が異常画素であるか否かを、ラインメモリ263の異常画素判定結果すなわち第1情報から判断する(24,25)。異常画素でない場合は当然のことながら補正しない(25−30)。異常画素であった場合、データ値変動検出264の出力結果を参照し、データが変動したか判定する(25−26)。変動したと判定された場合、FLG(n)=1にセットし補正をOFFする(26−28−30)。変動していないと判定された場合、FLGを参照し(26−27)、過去に変動したと判定されたことがあれば補正をOFF(27−30)、なければ補正ONとする(27−29)。この動作を繰り返すこと(31−32−24,33−34−23)で、1ページ分のデータ選択が完了する。
【0100】
−第2実施例−
図12に、本発明の第2実施例の明度補正210の機能構成を示す。なお、この明度補正210は、第1実施例の画像読取り装置を装備した前述のデジタルカラー複写機に、図8に示す明度補正210と置き変えて装備されるものである。図12に示す補正要否検出265は、画像読取中に、ラインメモリ263から読出す注目画素宛ての第1情報がL(正常画素)であると、オアゲート265bがそれを反転したH(B指定)を出力し、データセレクタ266cが、注目画素の画像データD(n)を出力する。すなわちB入力を出力する。
【0101】
ラインメモリ263から読出す注目画素宛ての第1情報がH(異常画素)である場合は、データ変動検出264の出力がL(明度変化なし)である限り、アンドゲート265aの出力がL、オアゲート265bの出力がLで、データセレクタ266cは補正データAを出力する。データ変動検出264の出力がH(明度変化あり)になると、アンドゲート265aの出力がHになりこれによってオアゲート265bの出力がHになって、データセレクタ266cが、注目画素の画像データD(n)を出力する。すなわちB入力を出力する。このときオアゲート265bの出力Hがインバータ265dでLに反転されてラインメモリ263に書込まれる。すなわち、異常画素である注目画素の第1情報が、異物消去との判定に対応して、H(異常画素)からL(正常画素)に書換えられる。これにより、その後は、このLが読み出されて、その反転信号Hがオアゲート265bからデータセレクタ266cに出力されるので、第1情報の書換えがあった位置の画素に関しては、原稿読取処理の最後まで、読取画像データD(n)が出力されることになる。図12に示す明度補正210のその他の機能は、図8に示すものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
−第3実施例−
図13に、本発明の第3実施例の明度補正210の機能構成を示す。なお、この明度補正210も、第1実施例の画像読取り装置を装備した前述のデジタルカラー複写機に、図8に示す明度補正210と置き変えて装備されるものである。図13に示す異常画素検出262は、異常画素を検出すると、ラインメモリ263および264gの、該異常画素宛ての位置に、それぞれ第1情報Hおよび異常画素の画像データ(異常明度)を書込む。そして、データ変動検出264は、画像読取の間、ラインメモリ263および264gから、注目画素宛ての第1情報および画像データを読み出して、該画像データに許容値を加算した値を閾値Thとして、注目画素の画像データD(n)が閾値Thを越すと明度変化ありを示すHを比較264eから補正要否検出265に出力する。すなわち、第3実施例では、明度変化を判定する閾値を、異常画素と検出したときの背板BP読取データに基いて設定する。図13に示す明度補正210のその他の機能は、図8に示すものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0103】
−第4実施例−
図14に、本発明の第4実施例の明度補正210の機能構成を示す。なお、この明度補正210も、第1実施例の画像読取り装置を装備した前述のデジタルカラー複写機に、図8に示す明度補正210と置き変えて装備されるものである。図14に示す異常画素検出262も、異常画素を検出すると、ラインメモリ263および264gの、該異常画素宛ての位置に、それぞれ第1情報Hおよび異常画素の画像データ(異常明度)を書込む。そして、データ変動検出264は、画像読取の間、ラインメモリ263および264gから、注目画素宛ての第1情報および画像データを読み出して、該画像データに許容値を加算した値を上限値ThUとし許容値を減算した値を下限値ThLとして、注目画素の画像データD(n)が、下限値ThL以上上限値以下の範囲内であるとLを、該範囲をはずれると明度変化ありを示すHをオアゲート264kから補正要否検出265に出力する。すなわち、第4実施例では、明度変化を判定する一対の閾値を、異常画素と検出したときの背板BP読取データに基いて設定する。図14に示す明度補正210のその他の機能は、図8に示すものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0104】
第5実施例では、データ値変動検出264においては、明度が汚れ時よりも高いことを識別するための固定値を閾値に設定して、画像読取時には、異常画素の画像データを該閾値と比較して、画像データが閾値以上になったとき、明度に変化があった(異物が消えた)として、第2情報を補正ONレベルLから補正OFFレベルに切換える。その変形例では、明度が汚れ時よりも高いことを識別するための第1固定値を第1閾値に設定し、明度が汚れ時よりもさらに低いことを識別するための第2固定値を第2閾値に設定して、画像読取時には、異常画素の画像データが第1閾値以下第2閾値以上の範囲を外れたかをチェックして、該範囲を外れると、明度に変化があった(異物が消えた)として、第2情報を補正ONレベルLから補正OFFレベルHに切換える、又は、第1情報を異常画素レベルHから正常画素レベルLに切換える。
【0105】
なお、本発明は、原稿読み取り前に異常画素と判定された画素の、原稿読み取り中のデータ値を観測することで正常画素への復帰を見極め、その場合は直ちに補正機能を働かせないとするところにその本質があり、それ以外の構成、手段についてはもちろん、上記の実現手段についても特に規定するものではない。すなわち、実現手段がハードウェア・ソフトウェアに関わらないことを付け加える。
【0106】
【発明の効果】
異常画素の位置で原稿読取の画像データが異物の明度から原稿画像の明度に変化するが、この変化を復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出していた場合には、原稿読取りを開始すると、該ゴミは原稿の裏側に位置するので、異常画素の位置での原稿読取の画像データが、異物の明度から原稿画像の明度に変化する。この変化を復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。この判定結果に基いて、異常画素の位置での原稿読取の画像データ補正をそこで解除すれば、補正による細線消滅の可能性が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能があるフルカラー複写機の外観を示す正面図である。
【図2】図1に示す複合機能フルカラー複写機の画像処理システムの概要を示すブロック図である。
【図3】図2に示す画像データインターフェース制御CDICの構成の概要を示すブロック図である。
【図4】図2に示す画像データ処理器IPPの機能構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】図1に示す原稿スキャナ10の読み取り機構の概要を示す拡大縦断面図である。
【図6】図1に示す原稿スキャナ10の画像読み取り電気回路系の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示すスキャナ制御回路206の構成を示すブロック図である。
【図8】図6に示す明度補正210の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図7に示すCPU254の、画像読取制御の概要を示すフローチャートである。
【図10】図7に示すCPU254がタイミング制御回路211を介して行う図9に示す「画像読取り,シェーディング補正&異常画像補正」(11)の中の主に「異常画像補正」のデータ処理の制御と、図8に示す補正要否検出265の機能を示すフローチャートである。
【図11】図5に示すスキャナ10の、原稿読取走査の間に発生するタイミング信号のレベル変化を示すタイムチャートである。
【図12】第2実施例の明度補正の機能構成を示すブロック図である。
【図13】第3実施例の明度補正の機能構成を示すブロック図である。
【図14】第4実施例の明度補正の機能構成を示すブロック図である。
【図15】画像読取部のゴミにより現れる読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【図16】画像読取部のゴミにより現れる読取画像上の欠陥画像を示す平面図である。
【図17】画像読取部のゴミにより現れる背板読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【図18】画像読取部のゴミにより現れる原稿読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【図19】画像読取部のゴミにより現れる原稿読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10:カラー原稿スキャナ 20:操作ボード
30:自動原稿供給装置 34:フィニッシャ
34hs:積載降下トレイ 34ud:昇降台
34st:ソートトレイ群
100:カラープリンタ PC:パソコン
PBX:交換器 PN:通信回線
ACP:画像データ処理装置
CDIC:画像データインターフェース制御
IMAC:画像メモリアクセス制御
IPP:画像データ処理器
221,225:ロータリエンコーダ
224:ステッピングモータ
231:原稿台ガラス 232:照明ランプ
233:第1ミラー 234:第2ミラー
235:第3ミラー 236:レンズ
207:イメージセンサ 238:ステッピングモータ
239:基準白板 240:ガラス
241:原稿トレイ 242:ピックアップローラ
243:レジストローラ対 244:搬送ドラム
245:押さえローラ 246,247:排紙ローラ
248:排紙トレイ兼用の圧板
249:基点センサ 250:軸
251:スケール 260:モータ制御ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、イメージスキャナ,ファクシミリ,デジタル複写機等の、原稿の画像を撮像素子で読取る装置に関する。
【0002】
【従来技術】
コンタクトガラス板上にシート原稿またはブック原稿を載せて、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る、原稿静止の画像読取りの場合、コンタクトガラス板が汚れていても局所的な点であるので、再生画像上には孤立点のノイズとなり、あまり目だたない。仮に、光学系にゴミの付着や局所的な汚れが発生すると、ゴミ又は汚れの像が副走査の間常に原稿画像とともに撮像素子に投影されるので、読取により得られる画像データに基いてディスプレイ上又は用紙上に再生描画すると、ゴミ又は汚れが低レベルの光反射であると再生画像上に副走査方向に伸びる黒筋が現れる。しかし、光学系はケーシングの内部にあるので、ゴミ又は汚れの異物が付着する可能性は低いので、光学系を副走査駆動する原稿静止の画像読取りで副走査方向に伸びる黒筋が現れる可能性は低い。
【0003】
ところが、静止した読取り光学系に対して原稿を移送しながら原稿の画像を撮像素子で読取る画像読取りすなわちシートスルーの画像読取では、原稿読取り部のガラスが汚れていると、汚れの像が原稿の移送すなわち副走査の間常に原稿画像とともに撮像素子に投影されるので、読取により得られる画像データに基いてディスプレイ上又は用紙上に再生描画すると、汚れが低レベルの光反射であると再生画像上に副走査方向に伸びる黒筋が現れる。汚れが高レベルの光反射であると白筋が現れる。このような現象は、シートスルーの画像読取を行うファクシミリ装置の受信画像によく現れる。しかし、同様な画像読取りを行う複写機でも同様である。多数の原稿をADF(自動原稿供給装置)で連続的に次々に読取り部に送りこみ通過させるシートスルーの画像読取で、上述の現象が顕著に表れる。ADFを用いる場合でも、ADFでコンタクトガラス板上に原稿を送り込み、原稿に対して光学系を副走査駆動してコンタクトガラス板上の画像を読取る原稿静止の画像読取りの場合には、上述の黒筋や白筋は現れない。
【0004】
一方、シェーディング補正のための白色基準板に汚れがある場合には、汚れが低反射レベルであると白筋が、高反射レベルであると黒筋が現れる。これは原稿静止の画像読取りでも、シートスルーの画像読取でも、シェーディング補正をすると生じる可能性がある。しかし、白色基準板は原稿移送路から分離しているので、原稿の移送にともなって原稿に付着したゴミ(紙粉,消しゴム屑その他)で汚れる可能性は低い。ところがシートスルーの画像読取では、原稿が読取り窓ガラスに触れて通過するので、原稿に付着していたゴミで読取り窓ガラスが汚れる可能性が高い。
【0005】
【特許文献1】特開2001−257877号公報は、白色板の読取において異常レベルの画素(異常画素)を検出すると、原稿画像読取りのときには、異常画素の位置で発生した画像データを、その前後の正常画素で発生した画像データを用いて補間演算で算出する画像データに置換する画像読取装置を記載している。
【0006】
【特許文献2】特開2002−185720号公報は、原稿の画像読取りで得た画像データの連続性を検出して黒筋又は白筋を検出して、それが無い画像に補正する画像読取り装置を記載している。
【0007】
【特許文献3】特開2002−247352号公報は、原稿を読取る前に、予め読取り部で、原稿読取り台3を構成しているコンタクトガラス上のごみを検出するための検出用の画像を読取り、1ラインの読みとった画像を、欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化してラインメモリに保持し、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の平均値を宛てる画像処理装置を記載している。
【0008】
【特許文献4】特開2002−262083号公報は、黒筋,白筋の発生を防止するために、無原稿状態で画像読取りを行って、画像データにエッジ強調処理を施してから欠陥画素か否かを示す2値信号に2値化する異常画素検出を平面的に行い、原稿画像の読取時には、ラインメモリのデータを参照して、欠陥画素位置の画像データには周辺画素の画像データを宛てる画像処理装置を記載している。
【0009】
検知した異常画素の位置で発生する原稿読取の画像データを補正する方式の一般的なものは、原稿読み取り中において、正常と思われる周辺画素の読み取りデータ値から、異常画素の本来の読み取りデータ値を推定して、推定した算出値に置換する方式である。推定に関しては多種多様な方式が考えられるが、基本的に周辺画素との連続性を重視した方式が有効である。例えば、隣接する画素との線形的な補間によってデータ値を算出、置換する方式もそのひとつである(図15)。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような補正方式には原理的に回避できない副作用がある。それは、異常画素の本来の読取りデータ値が周辺画素と連続しないような、画像の変化点を含む場合に顕在化する。例えば、異常画素の位置に異常画素と同じ幅の黒線が原稿画像に存在した場合、周辺の画素の読み取りデータには黒線の影響が反映されにくいため、補正の結果、その黒線(縦線)は消滅してしまう恐れが高い(図16)。
【0011】
一般的に、白地の原稿に対して黒またはその他の色の点や線分で原稿が成り立っていることを考えると、前述した黒線の消滅は画像=情報の欠落を意味し、再現された画像と原稿を対比することが空間的に不可能なファクシミリ装置においては、時に重大な問題を引き起こすことになる。
【0012】
さらにこの問題を深刻にするのは、異常画素を検出するタイミングが限定されることである。異常画素を検出するためには、主走査方向に濃度が均一な対象物を読み取り、その読み取りデータの主走査方向の明度の不均一性から検出することになる(図17)。原稿のように濃度不均一かつ変動するものを読み取りながら異常画素を検出するのは、異常画素の明度低下が、原稿上の有意画像部の明度低下と同等であるので、不可能である(図18)。それ故、原稿読み取り中ではなく、読み取り直前に読取り部のガラス面に対抗する背景板を読み取ることで異常画素の検出を行う方式が一般的である。
【0013】
このような理由で、従来、原稿読み取り直前に異常画素と判定された画素は、少なくともその原稿1ページを読み取る間、次回異常画素検出動作までは常に補正され続けることが多い。しかし、異常画素が発生する理由は読取り面に付着するゴミや汚れが一般的だが、原稿読み取り直前の検出動作時には存在したゴミが原稿読み取りに伴って移動し、異常画素が正常状態に復帰することもめずらしくない。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出してしまうこともあるかもしれない。そのような場合でも次回の異常画素検出動作まではその画素は異常と判断しつづけられ、1ページにわたって補正された結果としてその位置にあった細い線などは再現画像からことごとく消滅することになる。
【0014】
本発明は、異常画素の、原稿画像読取中の正常復帰を自動検出することを第1の目的とし、異常画素による黒スジ画像を補正機能によって防ぎつつ、補正による細線の消滅などを極力防ぐことを第2の目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
異常画素が原稿読み取り中に復帰したことを認識する手段としては、異常画素として補正される前の原稿読み取りデータ値を観測することで行う。異常画素の原因となる原稿読み取り部のゴミ等が、イメージセンサへの原稿反射光を遮っている間は、原稿面の濃度に関わらずほぼ同じレベルの信号がイメージセンサから出力されるものと推測される。これに対して、そのゴミ等が移動して原稿面での反射光がイメージセンサに入力すると、イメージセンサからは原稿面の濃度に応じたレベルの信号を出力されることになる(図13)。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出した場合には、原稿が読取り面の視野に入ると、該ゴミの影響は無くなる。一般の原稿は白地部分が多いことを勘案すると、ほとんどの場合、信号レベルが上昇することになる。本願発明の原稿読取り装置は、このような信号レベルの挙動を検知して、原稿読み取り時における異常画素の復帰を検出する。
【0016】
(1)原稿上の画像を投影するための光学系(232〜237);該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207);読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210);前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段(30);および、前記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能(262);を備えた画像読取り装置において、
前記異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の、原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を前記異物の消失と判定する復旧検出機能(264,265);を備えることを特徴とする、画像読取り装置(図8)。
【0017】
なお、理解を容易にするためにカッコ内には、図面に示し後述する実施例の対応要素又は対応事項の記号を、例示として参考までに付記した。以下も同様である。
【0018】
異常画素と検出した異物が、原稿の1ページの読取の間も位置が変わらず存在しつづける場合には、その位置で得る原稿読取の画像データは、走査ラインが変っても、すなわち副走査が進行しても、ほぼ同一レベルに留まり、データ値が副走査方向で変化しない。しかし、原稿の1ページの読取の間に異物が原稿に付着して読取部から出てしまうと、原稿上の画像の明度が常に異物の明度と同一ということは無いので、異常画素の位置での原稿読取の画像データが、異物の明度から原稿画像の明度に変化する。この変化を前記復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出していた場合には、原稿読取りを開始すると、該ゴミは原稿の裏側に位置するので、異常画素の位置での原稿読取の画像データが、異物の明度から原稿画像の明度に変化する。この変化を前記復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。この判定結果に基いて、異常画素の位置での原稿読取の画像データ補正をそこで解除すれば、補正による細線消滅の可能性が無くなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
(1a)さらに、原稿読取りの画像データ値を別の値に置換するための異常画素補正機能(266);を備え、
前記異常画素検出機能(262)は、前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データが異常明度であるかを検出し、異常明度と検出した画素位置を特定するための第1情報(異常画素:「1」)をメモリ(263)に保存し;
前記復旧検出機能(264,265)は、前記異物の消失と判定した画素位置を特定するための第2情報(H:B指定)をメモリ(265c)に保持して、第1情報と第2情報に基いて、異常明度と検出した画素位置の原稿読取の画像データに対して、前記異常画素補正機能(266)を用いて、該画素位置が異物の消失との判定がない画素位置であるときには前記置換をした画像データを、該判定がある画素位置であるときには前記置換の無い画像データを出力する;上記(1)に記載の画像読取装置(図8)。
【0020】
異常画素が正常に復帰すると自動的に、直ちに補正が解除されて、原稿の画像を忠実に読み取る画像読取りに復帰する。異常画素による黒スジ状の画像の発生が防止されしかも、補正による細線の欠落などは生じない。
【0021】
(2)原稿上の画像を投影するための光学系(232〜237);該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207);読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210);前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段(30);前記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能(262);および、該異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の原稿読取りの画像データ値を別の値に置換することを基本とする異常画素補正機能(266);とを備えた画像読取り装置において、
原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を検出するデータ変動検出機能(264);および、該変化の検出が無いと前記異常画素補正機能(266)の置換を有効とし変化があると無効とする補正機能制御手段(265);を有することを特徴とする画像読取り装置(図8)。
【0022】
(2a)画像を投影するための光学系(232〜237);
該光学系が投影する画像を読取る撮像素子(207);
読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段(208〜210);
前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野(240)を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段(30);
前記光学系(232〜237)が投影した無画像部分(BP)の前記画像データが異常明度であるかを検出し、異常明度と検出した画素位置を特定するための第1情報をメモリ(263)に保存する異常画素検出手段(262);
原稿読取りの画像データ値を別の値に置換するための異常画素補正機能(266);
原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を検出するデータ変動検出機能(264);および、
前記メモリ(263)に保存された第1情報を参照して異常と判定された画素位置の前記異常画素補正機能(266)の前記置換を、該変化の検出が無いと有効とし変化があると無効とする補正機能制御手段(265);
を有する画像読取り装置(図8)。
【0023】
これによれば、異常画素が正常に復帰すると自動的に、直ちに補正が解除されて、原稿の画像を忠実に読み取る画像読取りに復帰する。異常画素による黒スジ状の画像の発生が防止されしかも、補正による細線の欠落などは生じない。
【0024】
(2b)補正機能制御手段(265)は、前記異物の消失と判定した画素位置を特定するための第2情報(H:B指定)をメモリ(265c)に保持して、第1情報と第2情報に基いて、異常明度と検出した画素位置の原稿読取の画像データに対して、前記異常画素補正機能(266)を用いて、該画素位置が前記所定の変化がない画素位置であるときには前記置換をした画像データを、該変化がある画素位置であるときには前記置換の無い画像データを出力する;上記(2a)に記載の画像読取装置(図8)。
【0025】
(2c)前記補正機能制御手段(265)は、前記異常と判定された画素位置で、前記変化が検出されると、それ以降の、同一原稿上で後に発生する他のラインの画像データに対しても前記異常画素補正機能(266)の置換を無効とする;上記(2)乃至(2b)のいずれかに記載の画像読取り装置(図8)。
【0026】
異常の原因となったゴミ等が移動し、異常画素と判断された画素が復帰したと判断した場合に補正機能を無効にする期間を次回異常画素検出動作までとすることで、異常画素検出動作が原稿の各ページ間で毎回行われる場合においても、逆に原稿の各ページ間では行わない場合においても、ゴミ等の移動に伴う正常画素への復帰がほとんど不可逆的である(読み取り中に全く同じ位置に再度ゴミ等が移動してきて再び異常画素になる可能性は極めて低い)という特性に着目しており、補正機能を的確に働かせることができる。異常画素検出動作のタイミング仕様に関わらず、異常画素による黒スジ状の画像の発生を防ぎつつ、補正機能による細線の欠落を防ぐことができる。
【0027】
(2d)補正機能制御手段(265)は、前記異物の消失と判定した画素位置の第1情報を消去する上記(2a)に記載の画像読取り装置(図12)。これによれば、簡易に異常画素情報を消去できる。異物消失に対応する異常画素復旧の情報処理が簡易である。
【0028】
(3)前記所定の変化は、同一原稿の画像読取で先行読取のラインの画像データ値よりも所定値以上のデータ値の上昇である;上記(1)乃至(2d)のいずれかに記載の画像読取り装置(図8)。この実施例である図8に示すデータ値変動検出264では、異常画素の、原稿読取りのデータ値D(n)が、同一原稿の、副走査で先行するデータ値D(n−1)よりもdTh高い明度であると、その画素が異常の原因となった読み取り面のゴミ等を読み取っているものではなく、ゴミ等が移動した結果、それによって遮られていた原稿のより明るい領域を読み取っていると判断する。すなわち、異物が消失したと判定する。
【0029】
(4)前記所定の変化は、画像データ値の、所定閾値以上への上昇である;請求項1乃至(2d)のいずれかに記載の画像読取り装置(図13)。異常画素のデータ値D(n)が比較対象である閾値(Th)が示す明度よりも高いという比較結果がでた場合、その画素が異常の原因となった読取り面のゴミ等を読み取っているものではなく、ゴミ等が移動した結果、それによって遮られていた原稿のより明るい領域を読み取っていると判断する。すなわちすなわち、異物が消失したと判定する。
【0030】
(5)前記閾値(Th)は、前記異常画素検出機能(262)が異常を検出した画像データそのもの、もしくはそのデータ値に基いて決定される値である;上記(4)に記載の画像読取り装置(図13)。遮っていたゴミ等の移動を、その種類や大きさ、異常検出時における読み取りラインとの相対的位置関係など不安定要因の影響を考慮し、高い精度で認識する。ゴミ等が移動したことによってそれまで遮られていたイメージセンサの異常画素に原稿面の反射光が入射したことを直ちにかつ異常画素の落ち込みレベルに依存することなく認識することができる。
【0031】
(5a)前記所定の変化は、所定の上,下限値の間の領域からの逸脱である;上記(1)乃至(2d)のいずれかに記載の画像読取り装置(図14)。異常画素のデータ値が2つの値で規定される範囲に存在するか否かを判断するレベル判定によって、異常の原因となった読み取り面のゴミ等の移動を、原稿読み取り中の画像の濃淡に関わらず判断することが可能である。例えば、異常画素の位置に、原稿の黒い部分がかかったケースを想定すると、ゴミ等が未だ移動していなければその画素の読み取りデータ値のレベルは異常画素検出時とさほど変化しないはずであるが、移動していれば、原稿の黒い部分を読み取ったデータ値となるはずなので、場合によっては異常画素検出時よりも明度的に低いデータ値となることも考えられ、そのようなケースに対してもゴミ等の移動を検出する。これによれば、ゴミ等が移動したことによってそれまで遮られていたイメージセンサの異常画素に原稿面の反射光が入射したことを直ちにかつ明暗両方向に対して認識することができる。
【0032】
(5b)前記上限値は、異常画素と検出したときの画像データのデータ値以上、下限値は該データ値未満である、上記(5a)に記載の画像読取り装置(図14)。2つの値の一つを異常画素検出時のデータ値以下に、もう一方をデータ値以上に設定することで、2つの値で規定する領域に異常画素検出時のデータ値を含むことができ、異常の原因となったゴミ等の移動による読み取りデータ値の変化を適切に判断できる。すなわち、ゴミ等が移動したことによってそれまで遮られていたイメージセンサの異常画素に原稿面の反射光が入射したことを直ちにかつ明暗両方向に対して精度よく認識することができる。
【0033】
(6)上記(1)乃至上記(5b)のいずれかに記載の画像読取り装置;および、該画像読取り装置が原稿を読取って発生した画像データを、用紙上に画像を形成するためのプリント用の画像データに変換する画像データ処理手段(ACP);を備える画像処理装置。これによれば、読取部(240)の汚れにより黒筋を発生せず、しかも補正による細線の欠落がない、プリントアウトにより画像を再現するための画像データが得られる。
【0034】
(7)さらに、前記プリント用の画像データに基いて用紙上に画像を形成するプリンタ(100);を備える上記(6)に記載の画像処理装置。これによれば、読取部(240)の汚れにより黒筋を発生せず、しかも補正による細線の欠落がない、コピーを得ることが出来る。
【0035】
本発明の他の目的および特徴は、図面を参照した以下の実施例の説明より明らかになろう。
【0036】
【実施例】
−第1実施例−
図1に、本発明の第1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能フルカラーデジタル複写機の外観を示す。このフルカラー複写機は、大略で、自動原稿送り装置(ADF)30と、操作ボード20と、カラースキャナ10と、カラープリンタ100と、給紙バンク35の各ユニットで構成されている。ステープラ及び作像された用紙を積載可能なトレイ付きのフィニッシャ34と、両面ドライブユニット33と、大容量給紙トレイ36は、プリンタ100に装着されている。
【0037】
機内のシステムコントローラ630(図2)には、パソコンPCが接続したLAN(Local Area Network)が接続されている。カラープリンタ100のプリント済の用紙は、排紙トレイ108上またはフィニッシャ34に排出される。
【0038】
フィニッシャ34は、スタッカトレイすなわち積載降下トレイ34hsおよびソートトレイ群34stを持ち、積載降下トレイ34hsに用紙(プリント済紙,転写済紙)を排出するスタッカ排紙モードと、ソートトレイ群34stに排紙するソータ排紙モードを持つ。
【0039】
プリンタ100からフィニッシャ34に送り込まれた用紙は、左上方向に搬送されそして上下逆U字型の搬送路を経て、下向きに搬送方向を切換えてから、設定されているモードに応じて、スタッカ排紙モードのときには排出口から積載降下トレイ34hsに排出される。ソータ排紙モードのときには、ソータトレイ群34stの、そのとき排出中の用紙が割り当てられたソータトレイに排出される。
【0040】
ソータ排紙モードが指定されるとフィニッシャ内排紙コントローラは、最下部の重ね待避位置に置いたソートトレイ群34stを、図1上で2点鎖線で示す使用位置に上駆動し、ソータトレイ間の間隔を広げる。ソータ排紙モードでは、1回(一人)の設定枚数の複写又はプリントは、部ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、同一原稿(画像)をプリントした各転写紙をソートトレイ群34stの各トレイに仕分け収納する。頁ソートにソータ排紙モードが設定されているときには、各トレイを各頁(画像)に割り当てて、同一頁をプリントした各転写紙を1つのソートトレイに積載する。
【0041】
図2に、図1に示す複写機の画像処理系統のシステム構成を示す。このシステムでは、読取ユニット11,センサボードユニットSBUと画像データ出力I/F(Interface:インターフェイス)12でなるカラー原稿スキャナ12が、画像データ処理装置ACPの画像データインターフェース制御CDIC(以下単にCDICと表記)に接続されている。画像データ処理装置ACPにはまた、カラープリンタ100が接続されている。カラープリンタ100は、画像データ処理装置ACPの画像データ処理器IPP(Image Processing Processor;以下では単にIPPと記述)から、書込みI/F134に記録画像データを受けて、作像ユニット135でプリントアウトする。
【0042】
画像データ処理装置ACP(以下では単にACPと記述)は、パラレルバスPb,メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述),画像メモリであるメモリモジュール(以下では単にMEMと記述),不揮発メモリであるハードディスク装置HDD(以下では単にHDDと記述),システムコントローラ1,RAM4,不揮発メモリ5,フォントROM6,CDIC,IPP等、を備える。パラレルバスPbには、ファクシミリ制御ユニットFCU(以下単にFCUと記述)を接続している。操作ボード20はシステムコントローラ1に接続している。
【0043】
カラー原稿スキャナ10の、原稿を光学的に読み取る読取ユニット11は、原稿に対するランプ照射の反射光を、センサボードユニットSBU(以下では単にSBUと表記)上の、イメージセンサ207で光電変換してR,G,B画像信号を生成し、A/DコンバータでRGB画像データに変換し、そしてシェーディング補正して、出力I/F12を介してCDICに送出する。
【0044】
CDICは、画像データに関し、原稿スキャナ10(出力I/F12),パラレルバスPb,IPP間のデータ転送、ならびに、プロセスコントローラ131とACPの全体制御を司るシステムコントローラ1との間の通信をおこなう。また、RAM132はプロセスコントローラ131のワークエリアとして使用され、ROM133はプロセスコントローラ131の動作プログラム等を記憶している。
【0045】
メモリアクセス制御IMAC(以下では単にIMACと記述)は、MEMおよびHDDに対する画像データおよび制御データの書き込み/読み出しを制御する。システムコントローラ1は、パラレルバスPbに接続される各構成部の動作を制御する。また、RAM4はシステムコントローラ1のワークエリアとして使用され、不揮発メモリ5はシステムコントローラ1の動作プログラム等を記憶している。
【0046】
操作ボード20は、ACPが行うべき処理を指示する。たとえば、処理の種類(複写、ファクシミリ送信、画像読込、プリント等)および処理の枚数等を入力する。これにより、画像データ制御情報の入力をおこなうことができる。
【0047】
スキャナ10の読取ユニット11より読み取った画像データは、スキャナ10のSBUでシェーディング補正260を施してから、IPPで、スキャナガンマ補正,フィルタ処理などの、読取り歪を補正する画像処理を施してから、MEM又はHDDに蓄積する。MEM又はHDDの画像データをプリントアウトするときには、IPPにおいてRGB信号をYMCK信号に色変換し、プリンタガンマ変換,階調変換,および、ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理などの画質処理をおこなう。画質処理後の画像データはIPPから書込みI/F134に転送される。書込みI/F134は、階調処理された信号に対し、パルス幅とパワー変調によりレーザー制御をおこなう。その後、画像データは作像ユニット135へ送られ、作像ユニット135が転写紙上に再生画像を形成する。
【0048】
IMACは、システムコントローラ1の制御に基づいて、画像データとMEM又はHDDのアクセス制御,LAN上に接続したパソコンPC(以下では単にPCと表記)のプリント用データの展開,MEMおよびHDDの有効活用のための画像データの圧縮/伸張をおこなう。
【0049】
IMACへ送られた画像データは、データ圧縮後、MEM又はHDDに蓄積され、蓄積された画像データは必要に応じて読み出される。読み出された画像データは、伸張され、本来の画像データに戻しIMACからパラレルバスPbを経由してCDICへ戻される。CDICからIPPへの転送後は画質処理をして書込みI/F134に出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0050】
画像データの流れにおいて、パラレルバスPbおよびCDICでのバス制御により、デジタル複合機の機能を実現する。ファクシミリ送信は、読取られた画像データをIPPにて画像処理を実施し、CDICおよびパラレルバスPbを経由してFCUへ転送することによりおこなわれる。FCUは、通信網へのデータ変換をおこない、それを公衆回線PNへファクシミリデータとして送信する。ファクシミリ受信は、公衆回線PNからの回線データをFCUにて画像データへ変換し、パラレルバスPbおよびCDICを経由してIPPへ転送することによりおこなわれる。この場合、特別な画質処理はおこなわず、書込みI/F134から出力し、作像ユニット135において転写紙上に再生画像を形成する。
【0051】
複数ジョブ、たとえば、コピー機能,ファクシミリ送受信機能,プリンタ出力機能が並行に動作する状況において、読取ユニット11,作像ユニット135およびパラレルバスPbの使用権のジョブへの割り振りは、システムコントローラ1およびプロセスコントローラ131において制御する。プロセスコントローラ131は画像データの流れを制御し、システムコントローラ1はシステム全体を制御し、各リソースの起動を管理する。また、デジタル複合機の機能選択は、操作ボード20においておこなわれ、操作ボード20の選択入力によって、コピー機能,ファクシミリ機能等の処理内容を設定する。
【0052】
システムコントローラ1とプロセスコントローラ131は、パラレルバスPb,CDICおよびシリアルバスSbを介して相互に通信をおこなう。具体的には、CDIC内においてパラレルバスPbとシリアルバスSbとのデータ,インターフェースのためのデータフォーマット変換をおこなうことにより、システムコントローラ1とプロセスコントローラ131間の通信を行う。
【0053】
各種バスインターフェース、たとえばパラレルバスI/F 7、シリアルバスI/F 9、ローカルバスI/F 3およびネットワークI/F 8は、IMACに接続されている。コントローラーユニット1は、ACP全体の中での独立性を保つために、複数種類のバス経由で関連ユニットと接続する。
【0054】
システムコントローラ1は、パラレルバスPbを介して他の機能ユニットの制御をおこなう。また、パラレルバスPbは画像データの転送に供される。システムコントローラ1は、IMACに対して、画像データをMEM,HDDに蓄積させるための動作制御指令を発する。この動作制御指令は、IMAC,パラレルバスI/F 7、パラレルバスPbを経由して送られる。
【0055】
この動作制御指令に応答して、画像データはCDICからパラレルバスPbおよびパラレルバスI/F 7を介してIMACに送られる。そして、画像データはIMACの制御によりMEM又はHDDに格納されることになる。
【0056】
一方、ACPのシステムコントローラ1は、PCからのプリンタ機能としての呼び出しの場合、プリンタコントローラとネットワーク制御およびシリアルバス制御として機能する。ネットワークB経由の場合、IMACはネットワークI/F 8を介して、ネットワークB経由のプリント出力要求データあるいは蓄積(保存)要求データを受け取る。ネットワークB経由の要求データ(外来コマンド)はシステムコントローラ1に報知し、それに応答するシステムコントローラ1からのコマンドに従って、IMACは、ネットワークB経由の蓄積データの転送又は受信蓄積を行う。
【0057】
汎用的なシリアルバス接続の場合、IMACはシリアルバスI/F 9経由でプリント出力要求データを受け取る。汎用のシリアルバスI/F 9は複数種類の規格に対応しており、たとえばUSB(Universal Serial Bus)、1284または1394等の規格のインターフェースに対応する。
【0058】
PCからのプリント出力要求データはシステムコントローラ1により画像データに展開される。その展開先はMEM内のエリアである。展開に必要なフォントデータは、ローカルバスI/F 3およびローカルバスRb経由でフォントROM6を参照することにより得られる。ローカルバスRbは、このコントローラ1を不揮発メモリ5およびRAM4と接続する。
【0059】
シリアルバスSbに関しては、PCとの接続のための外部シリアルポート2以外に、ACPの操作部である操作ボード20との転送のためのインターフェースもある。これはプリント展開データではなく、IMAC経由でシステムコントローラ1と通信し、処理手順の受け付け、システム状態の表示等をおこなう。
【0060】
システムコントローラ1と、MEM,HDDおよび各種バスとのデータ送受信は、IMACを経由しておこなわれる。MEMおよびHDDを使用するジョブはACP全体の中で一元管理される。
【0061】
図3に、CDICの機能構成の概要を示す。画像データ入出力制御161は、カラー原稿スキャナ10(SBU)が出力する画像データを受けて、IPPに出力する。IPPは、「スキャナ画像処理」190(図4)をして、CDICの画像データ入力制御162に送りだす。画像データ入力制御162が受けたデータは、パラレルバスPbでの転送効率を高めるためにデータ圧縮部163に於いて、画像データの1次圧縮を行う。圧縮した画像デ−タは、データ変換部164でパラレルデータに変換してパラレルデータI/F165を介してパラレルバスPbへ送出される。パラレルデータバスPbからパラレルデータI/F165を介して入力される画像データは、データ変換部164でシリアル変換される。このデータは、バス転送のために1次圧縮されており、データ伸張部166で伸張される。伸張された画像データは、画像データ出力制御167によってIPPへ転送される。IPPでは、「画質処理」300(図4)によりRGB画像データをYMCK画像データに変換し、プリンタ100の画像出力用の画像データYpMpCpKpに変換してカラープリンタ100に出力する。
【0062】
CDICは、パラレルバスPbで転送するパラレルデータとシリアルバスSbで転送するシリアルデータの変換機能を併せ持つ。システムコントローラ1は、パラレルバスPbにデータを転送し、プロセスコントローラ131は、シリアルバスSbにデータを転送する。2つのコントローラ1,131の通信のために、デ−タ変換部164およびシリアルデ−タI/F169で、パラレル/シリアルデータ変換を行う。シリアルデータI/F168は、IPP用であり、IPPともシリアルデ−タ転送する。
【0063】
図4に、IPPの画像処理機能の概要を示す。IPPは分離生成(画像が文字領域か写真領域かの判定:像域分離)192,地肌除去193,スキャナガンマ変換194,フィルタ195,色補正302,変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および階調処理606を行う。IPPは画像処理をおこなうプログラマブルな演算処理手段である。スキャナ10の出力I/F12からCDICに入力された画像データは、CDICを経由してIPPに転送され、IPPにて光学系およびデジタル信号への量子化に伴う信号劣化(スキャナ系の信号劣化)を補正され、再度、CDICへ出力(送信)される。CDICからIPPへ戻される画像データに対して、IPPにおいては、「画質処理」300を行う。「画質処理」300では、色補正302でRGB信号をYMCK信号に色変換し、変倍303,画像加工304,プリンタガンマ変換305および、階調変換,ディザ処理もしくは誤差拡散処理などの階調処理306などをおこなう。
【0064】
図5に、スキャナ10およびそれに装着されたADF 30の、原稿画像読み取り機構を示す。このスキャナ10のコンタクトガラス231上に置かれた原稿は、照明ランプ232により照明され、原稿の反射光(画像光)が第1ミラー233で副走査方向yと平行に反射される。照明ランプ232および第1ミラー233は、図示しない、副走査方向yに定速駆動される第1キャリッジに搭載されている。第1キャリッジと同方向にその1/2の速度で駆動される、図示しない第2キャリッジには、第2および第3ミラー234,235が搭載されており、第1ミラー233が反射した画像光は第2ミラー234で下方向(z)に反射され、そして第3ミラー235で副走査方向yに反射されて、レンズ236により集束され、撮像素子であるイメージセンサ207に照射され、電気信号に変換される。第1および第2キャリッジは、走行体モーター238を駆動源として、y方向に往(原稿走査),復(リタ−ン)駆動される。
【0065】
スキャナ10には、自動原稿供給装置ADF 30が装着されている。ADF30の原稿トレイ241に積載された原稿は、ピックアップローラ242およびレジストローラ対243で搬送ドラム244と押さえローラ245の間に送り込まれて、搬送ドラム244に密着して読み取りガラス240の上を通過し、そして排紙ローラ246,247で、原稿トレイ241の下方の圧板兼用の排紙トレイ248上に排出される。原稿は、シートスルー読取りの読取部である読み取りガラス240を通過する際に、その直下に移動している照明ランプ232により照射され、原稿の反射光は、第1ミラー233以下の光学系を介してイメージセンサ207に照射され光電変換される。
【0066】
ADF30で原稿を移送しながら原稿を読み取るシートスルーの画像読取りの場合、読み取り部のガラス240から入ってくる原稿画像を、第1キャリッジをホームポジションHPに固定して読み取る。この位置がシートスルーの画像読取りの読取り位置となる。異常画素の検出はこの読み取り位置HPで、搬送されてくる原稿が読み取り位置HPに到達する前に読み取りガラス240を通じて読取りガラスの上部に有る背板BPを読取ることにより行なう。背板BPは白色部材若しくは白く塗装したものを使用する。この背板BPを読取りガラス240を通して読み取ることにより、異常画素の検出処理を原稿搬送前に行なう。その内容は、図9を参照して後述する。
【0067】
なお、背板BPの代りにローラを設けて、又は、背板BPの代りに搬送ドラム244を用いて、その表面は高反射率の白色部材若しくは白く塗装したものにすることができる。しかし、原稿画像の読取り前に実施する異常画素の検出のための無画像部の読取において該ローラ又は搬送ドラム244の反射光レベルを読取るので、反射面に汚れがあるとそこを異常画素部位(黒筋又は白筋の原因となるガラス240の汚れ)と検出(誤検出)するので、クリーニングが必要になる。この点は背板BPを用いる場合でも同様であるが、ローラ又は搬送ドラム244は背板BPよりも汚れ易く、しかも筒状で表面積が広いので、全面を均一に清浄な白に維持するのに手間がかかる。そこで本実施例では、幅が狭い背板BPを用いている。
【0068】
読取りガラス240と原稿始端の位置決め用のスケール251との間には、基準白板239、ならびに、第1キャリッジを検出する基点センサ249がある。基準白板239は、照明ランプ232の個々の発光強度のばらつき、また主走査方向のばらつきや、イメージセンサ207の画素毎の感度ムラ等が原因で、一様な濃度の原稿を読み取ったにもかかわらず、読み取りデータがばらつく現象を補正(シェーディング補正260:図8)して均一な濃度レベルの画像データに変換するために用意されている。このシェーディング補正は、まず基準白板239を原稿スキャン前に主走査方向数ライン分読み取り、この読み取った白基準データに基いてシェーディング補正データを設定し、原稿をスキャンして得る画像データを該補正データに基いて補正するものである。
【0069】
レンズユニット236の直前には、シェーディング調整板237があり、これが、イメージセンサ207の主走査方向(図5紙面に垂直な方向)の中央部と端部での反射光量の差を無くすための光量調整の役割を果たす。これはシェーディング補正において、イメージセンサ207の中央部と端部で基準白板239の反射光量の差が有り過ぎると、多分に歪を含んだ補正になることがあるために、予め、反射光量の差を無くした後に、シェーディング補正を行なうために、イメージセンサ207の入射光量を平準化するものである。
【0070】
図6に、スキャナ10の画像読み取りの電気系統の構成を示す。イメージセンサ207から出力される電気信号すなわち、R,G,B各色アナログ画像信号はそれぞれ、信号処理208で増幅され、A/D変換209によってデジタル画像信号すなわち画像データに変換される。この画像データは、明度補正210によって補正処理を受け、IPPに出力される。A/D変換209では、ディジタル変換した画像データを、黒側のオフセット分となる部分を取り除いたものに変換する。この際の黒側のオフセット分には、イメージセンサ207からの出力が、R,G,B各色成分につき2チャンネル構成の場合、チャンネル間の差分を含んでいる。ここでの演算処理は、チャンネル間の誤差成分を除くのが大きな目的である。
【0071】
スキャナ制御回路206は、システムコントローラ630およびプロセスコントローラ131からの指示に従って、ランプ制御回路205,タイミング制御回路211及びモータ制御ユニット260を制御する。ランプ制御回路205は、スキャナ制御回路206からの指示に従って露光ランプ232(232a,232b)のオン/オフを制御するとともに、シェーデイング補正210が指示する照度(光量)に露光ランプ232の明るさ(時系列平均値又は平滑値)を定める。なお、参照符号232a,232bを総括的に参照符号232で示すことがある。
【0072】
モータ制御ユニット260は、スキャナ制御回路206からの指示に従って、副走査駆動モータ238及びADFモータ224を制御する。これらモータは、いずれもステッピングモータであり、駆動系統の軸にはロータリエンコーダ(E)221及び225が連結されている。第1キャリッジの走査位置(y)および駆動量ならびにADF送り原稿の先,後端位置および送り量は、各ロータリエンコーダ221,225が発生する電気パルスを計数して把握される。図6に示す紙センサ223は、ADF30の原稿トレイ241上に原稿があるかを検知するもの,ペーパジャム検知のもの及び原稿サイズ検知のものを含む。
【0073】
タイミング制御回路211は、スキャナ制御回路206,システムコントローラ630(のCPU605)及びプロセスコントローラ131からの指示あるいは制御信号に従って、各種信号を生成する。即ち、画像読み取りを開始すると、イメージセンサ207に対しては、1ライン分のデータをシフトレジスタに転送する転送ゲート信号及びシフトレジスタのデータを1ビットずつ出力するシフトクロックパルスを与え、システムコントローラ630に対しては、画素同期クロックパルスCLK,ライン同期信号LSYNC及び主走査有効期間信号LGATEを出力する。この画素同期クロックパルスCLKは、イメージセンサ207に与えるシフトクロックパルスと略同一の信号である。また、ライン同期信号LSYNCは、プリンタ100の作像ユニット135のビームセンサが出力するライン同期信号MSYNCと対応する信号であるが画像読取りを行なっていない時は出力が禁止される。主走査有効期間信号LGATEは、イメージセンサ207が出力する画信号が有効と見なせるタイミングで高レベルHになる。
【0074】
スキャナ制御回路206は、プロセスコントローラ131から読み取り開始指示を受けると、タイミング制御回路211を制御してイメージセンサ207の読み取りを開始し、露光ランプ232を点灯し、副走査駆動モータ238(手差しモード)又はADFモータ(ADFモード)を駆動開始する。また、副走査有効期間信号FGATEを高レベルH(原稿領域外)にセットする。この信号FGATEは、手差しモードでは第1キャリッジが原稿始端位置(ホームポジションHPからa+bの位置)に達したときに、原稿領域内を示すLに切り替えられ、ADFモードでは、レジストローラからの原稿(先端)の送り出し搬送量が、ADF30を使用するシートスルー画像読取りモードでの原稿読み取り位置であるHP位置(「レジストローラ243から基点センサ249までの送り量Df」−「HPから基点センサ249までの送り量a」)に達したときに原稿領域内を示すLに切り替えられる。そして、手差しモードでは原稿尾端を第1キャリッジが通過すると、ADFモードでは原稿尾端がHPを通過すると、副走査有効期間信号FGATEは原稿領域外を示すHに戻される。
【0075】
図7に、スキャナ制御回路206の構成を示す。CPU254は、スキャナ制御回路206の入出力制御ならびに副走査駆動モータ238およびADFモータの駆動制御を行う。すなわち、原稿スキャナの操作ボードの入力読込みおよび表示出力を制御するとともに、システムコントローラ630又はプロセスコントローラ131からの原稿読み取りコマンドに応答して、キャリッジ駆動又はADF駆動を行う。ROM255には、スキャナ制御回路206の制御プログラムが書かれている。RAM256は、CPU254で使用する作業用メモリである。252は、原稿スキャナの操作ボードの入力キーおよび入力パネルを操作して使用者がシステム設定の入力を行う入力装置である。表示装置253は、原稿スキャナの操作ボードにあって、使用者にシステムの設定内容,状態を表示するものであり、表示灯および表示パネル(ディスプレイ)を含む。
【0076】
図8に、シェーディング補正,異常画素検出および異常画素の画像データ補正を行う明度補正210の機能概要を示す。図8に示す明度補正210は、画像読取のR,G,B成分画像データのそれぞれを各組が明度補正する3組が備わっている。それらの機能は同一である。以下では、1組の明度補正210の補正機能を説明する。
【0077】
イメージセンサ207から出力されたアナログビデオ信号はA/D変換209によって画像データにデジタル変換される。シェーディング補正260は、基準白板239を読み取った白波形データに基いてシェーディング補正データを設定する。このシェーディング補正260には、読取り画像データをシェーディング補正するシェーディング補正機能およびシェーディング補正データを生成し更新する、シェーディング補正データの設定機能とがある。
【0078】
「シェーディング補正データの設定」において、シェーディング補正データは、図11に示すシェーディングゲート信号が”L”区間でシェーディング補正260に割りつけられたFIFOメモリに設定する。シェーディングゲート信号が高レベルHから低レベルLに立下ると、シェーディング補正260は、基準白板239の数ライン分の読取りにわたって平均値演算処理をして、数ラインの同一画素位置の基準白板の読取りデータの平均値を算出し、そして1ライン全体の平均レベルを算出し、各画素位置の平均値と1ライン全体の平均レベルから、各画素位置の、画像データを均一にするための参照データDhiを算出してFIFOメモリに更新書込みする。
【0079】
図11に示す原稿読取りゲート信号のL区間が原稿読取り期間であり、ここで「シェーディング補正」を行う。「シェーディング補正」においては、FIFOメモリから読取データDiの画素位置の参照データDhiを読み出して、DiとDhiをシェーディング補正260に割りつけられたシェーディング補正ROMに入力されて、このROMに予め格納されているシェーディング補正演算済のデータがルックアップテーブル方式により読出され、Di,Dhiに応じたシェーディング補正した画像データDoutが出力される。すなわち、背板BP読取りおよび原稿画像読取りの区間では、シェーディング補正260は、読取画像データDiと同一画素位置の参照データDhiをFIFOメモリから読み出して、画像データDiおよび参照データDhiをシェーディング補正ROMに与える。該ROMが、参照データDhiに基づいて入力画像データDiをシェーディング補正した画像データDout、を出力する。なお、この実施例のシェーディング補正の補正演算の骨子は、Dout=Do・Di/Dhi,
Doは基準白板239の基準(白)濃度値,
とするものであり、シェーディング補正ROMは、Di,Dhiがとり得る各値について上記式で算出したDout値を、Di,Dhiをアドレスとして格納したものであるので、上述のように、読取り区間の入力画像データDiと、それと同一画素位置の参照データDhiを同時にシェーディング補正ROMに与えることにより、入力画像データDiを参照データDhiに基づいてシェーディング補正した画像データDout、がシェーディング補正ROMから直ちに得られる。
【0080】
原稿読取り時の一般的な画像データフローとしては、シェーディング補正260後に変倍処理212へ流れる。しかし、本実施例では、背板BP読取時には異常画素検出262に流れ、シートスルー画像読取りモードの原稿画像読取では「遅延メモリ261−異常画素データ補正266−変倍処理212」に流れ、原稿停止の画像読取モードでは、「遅延メモリ261−変倍処理212」に流れる。なお、遅延メモリ261は3ライン以上の画像データを一時保持するバッファメモリであり、図8には、データ値変動検出264および異常画像データ補正266が利用するデータラインのみを示すが、このメモリ261は、シェーデイング補正260および異常画素検出262でも、画像データおよび演算データの一時格納に利用される。
【0081】
異常画素検出262は、背板BPを読取った画像データの主走査方向のライン平均値を算出して、該平均値より所定比率低い閾値以下の明度の画素を異常画素候補として抽出する。次にこの異常画素候補の主走査方向の連続分布の画像数に着目して、所定の閾値以上に連続分布する異常画素候補群を汚れによる異常画素群と判定し、該異常画素のそれぞれに、異常画素であることをあらわす高レベルH:「1」の2値信号(1ビットデータ:第1情報)を宛てて、ラインメモリ263の、異常画素の位置宛のアドレスに書込む。
【0082】
なお、異常画素検出を開始するときにラインメモリ263および265cはクリアされて、ラインメモリ263の1ライン上のすべての画素宛ての2値信号(第1情報)はすべて正常画素であることをあらわす低レベルL:「0」の2値信号(1ビットデータ)になっている。ラインメモリ263の2値信号(第2情報)も同様に、低レベルL:「0」となっている。
【0083】
シートスルーの原稿画像読取りのときに、1ライン上の各画素の画像データを順次に異常画像データ補正266に送り込んで順次に、補正値演算266bの処理対象画素(注目画素)とするのに同期して画素(画素同期パルス)のカウントアップが行われ、ラインメモリ263および265cの、カウント値対応の(注目画素位置の)の2値信号すなわち第1情報および第2情報が読み出されて、第1情報は補正要否検出265のアンドゲート265aに与えられ、第2情報はそのままオアゲート265bに与えられるとともに、反転してアンドゲート265aにも与えられる。この第1情報は、注目画素が異常画素であるか正常画素であるかを表わす。このとき、データ値変動検出264は、該注目画素が副走査方向に所定の変化をしたものか否かを表わす検出信号(該変化した:H/該変化なし:L)を補正要否検出265に出力する。第2情報は、後述するが、異常画素に副走査方向の明度変化があったときに、L(補正データAの出力指示)からH(画像データBの出力指示)に切換えられる。
【0084】
異常画素データ補正266の参照マトリクス構成266aは、異常画素を周辺の画素のデータ値を参照して補正するために、注目画素と周辺画素からなる空間マトリクスを形成するブロックである。形成されたブロックの各データは、補正値演算266bに送られ、補正値演算266bが、注目画素が異常画素である場合にそれに与える補正値を演算する。本実施例では、マトリクスを注目画素を中心とする3×3画素とし、その中の注目画素を除く画素の明度(画像データ)の平均値を補正値とするが、その他の補完演算でもよい。補正値データは、データセレクタ266cの入力端Aに入力される。データセレクタ266cの入力端Bには、注目画素の画像データD(n)が入力され、データセレクタ266cは、補正要否検出265(のオアゲート265b)が与える制御信号がLであると、入力端Aの補正値データを、明度補正したデータとして変倍処理212に出力し、制御信号がHであると、入力端Bの画像データ(シェーディング補正のみをした画像データ)を、明度補正したデータとして変倍処理212に出力する。
【0085】
データ値変動検出264では、注目画素より1ライン前の同一主走査位置の画像データD(n−1)に対する注目画素の画像データD(n)の変化分dD=D(n)−D(n−1)を差分値算出264cで算出して、これが閾値dThよりも大きいと、すなわちライン間の明度変化があると、比較264eで、変化ありを示す高レベルHの信号を発生して、補正要否検出265に出力する。変化分dDが閾値dTh以下であるときには、該信号を変化なしを表わす低レベルLとする。この信号は、1bitの情報量で足りる。
【0086】
上述の説明では、注目画素の直前のラインのデータ値D(n−1)を参照値としているが、参照値生成264bで、参照値を、先行ラインのデータ値D(n−1)に所定係数を乗算もしくは定数を加算又は減算して調整することも出来る。また、1ライン以上遅延して、注目画素の数ライン前の画像データを参照値にすることもできる。なお、閾値dThは、原稿スキャナ10に電源が投入された直後の初期化において、スキャナ制御回路206のCPU254がNVRAM257からラッチ264fに転送することによって、ラッチ264fに保持されている。
【0087】
補正要否検出265は、注目画素に関するデータ値変動検出264の判定結果(比較264eの出力)と元の異常画素判定結果(ラインメモリ263の第1情報)に基づいて、注目画素に対する補正処理をONするかOFFするか、すなわち有効にするか無効にするか、を判定して、ON/OFFを指示する制御信号を、オアゲート265bからデータセレクタ266cに与える。注目画素に関するラインメモリ263から読出した第1情報がL(正常画素)であると、その反転信号Hがオアゲート265bから出力され、データセレクタ266cは、入力端Bの、注目画素の画像読取データD(n)を変倍処理212に出力する。第1情報Lによってアンドゲート265aゲートオフでLを出力するので、ラインメモリ265cの注目画素宛ての2値信号(第2情報)は、L(A指定)に留まるが、第1情報L(正常画素)の反転信号H(B指定)をオアゲート265bが出力するので、正常画素では常に画像読取データD(n)そのものが出力される。
【0088】
注目画素に関する、ラインメモリ263から読出した第1情報がH(異常画素)であるときには先に言及したが、ラインメモリ265cが異常画素検出を開始するときにクリアされてそのデータはL=「0」になっており、その反転信号H=「1」とともに第1情報Hがアンドゲート265aに与えられるが、同じくアンドゲート265aに与えられる比較264eの出力信号がL(副走査方向の明度変化なし)であるときにはアンドゲート265aの出力がLで、オアゲート265bの出力がLで、データセレクタ266cは、入力端Aの補正データを選択して変倍処理212に出力する。
【0089】
すなわち、異常画素の画像データが副走査方向に明度変化がない場合には、補正データが出力される。アンドゲート265aの出力がLであるので、ラインメモリ265cの注目画素宛の第2情報はLに留まる。
【0090】
ところが、注目画素に関するラインメモリ263から読出した第1情報がH(異常画素)でありしかも副走査方向の明度変化があって比較264eの出力信号がHになったときには、アンドゲート265aの出力がHとなってオアゲート265bの出力がHとなり、第1情報はH(異常画素)ではあるが、データセレクタ266cは注目画素の画像データD(n)を出力する。同時に、ラインメモリ265cの該注目画素宛ての第2情報がH(B指定)に書換えられる。したがって、これ以降のラインの画像読取では、ラインメモリ263から読出した第1情報がH(異常画素)ではあるが、ラインメモリ265cの該注目画素宛ての第2情報がH(B指定)であってこれがオアゲート265bから出力されるので、補正データではなく画像データD(n)を出力するようになる。
【0091】
なお、遅延調整266d,264a,264dは、処理対象画素(注目画素)の画像データが参照マトリクス構成266aと補正値演算266bで遅延するのに対し、データセレクタ266cおよび比較264eにて、画像データおよび制御信号を注目画素に同期させる目的で設けてある。
【0092】
図9に、スキャナ制御回路206のCPU254による、システムコントローラ1が与える画像読取スタート信号(スタート指示)に応答した、原稿読取制御の概要を示す。なお、システムコントローラ1は、操作ボード20又はパソコンPCから画像読取スタートが入力されたときに、これに応答して画像読取スタート信号をCPU254に与える。
【0093】
CPU254は、画像読取スタート信号に応答してホームポジションHPから第1および第2キャリッジの往走査駆動を開始して(ステップ1)、第1ミラー233の読取視野に基準白板239が入るタイミングで、シェーディング補正260に与えるシェーディングゲート信号を”H”から”L”に切換え、基準白板239の中心あたりに読取視野が進んだタイミングで補正ゲート信号を”H”から”L”に切換えて、両信号が”L”の間に、シェーディング補正260により、シェーディング補正データの更新を行う(ステップ2)。なお、以下においては、括弧内には、ステップという語を省略して、ステップ番号のみを記す。
【0094】
シェーディング補正データの更新を終えるとCPU254は、シェーディングゲート信号および補正ゲート信号を”H”に戻す。そしてADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を参照して、それが原稿なしであるときには、往走査を継続して、コンタクトガラス231上の原稿画像読取りと、読取った画像データのシェーディング補正を行う(4)。コンタクトガラス231上の原稿の尾端を通過すると、キャリッジの往走査駆動を止めて、続いて反転して復走査(リターン)駆動して、第1キャリッジをHPに位置決めしてキャリッジ駆動を終了する(5)。
【0095】
ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号が原稿ありであった場合には、キャリッジの往駆動を止めて、キャリッジをホームポジションHPに戻す。すなわち、第1キャリッジ(第1ミラー233)を、シートスルーの画像読取り位置に位置決めする(6)。そして「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)に進んで、ラインメモリ263,265cをクリアして、主走査1ラインの背板BPの画像読取を行い(71)、読取画像データにシェーディング補正を施して(72)、異常画素検出262によって、該1ラインの画像データのライン平均値を算出して、ライン平均値より所定比率低い閾値Th1以下の濃度レベルの画素を異常画素候補として抽出する。次にこの異常画素候補の主走査方向の連続分布の画像数に着目して、異常画素を確定する。異常画素候補群の大きさを検出するための所定の閾値Th2以上に連続分布する異常画素候補群を汚れによる異常画素と確定し、ラインメモリ263の、異常画素の位置に、それを表わすHを書込む(73)。
【0096】
このように異常画素を検出すると、汚れ警告を操作ボード20のディスプレイに表示する(8,10)。パソコンPCからの画像読取りコマンドに応答してADF30給紙による画像読取りの開始であった場合には、この汚れ警告がPCに送信されてPCに接続したディスプレイにも表示される。異常画素を検出しなくなったときには、この汚れ警告表示を消去する(9)。
【0097】
そして、異常画素を検出したか否かに係らず、ADF30が読取りガラス240に送り込んで移送する原稿の画像を読取って、図8に示しすでに説明した明度補正210の機能によって、シェーディング補正および異常画素補正を施す(11)。一枚の原稿の画像読取を終えると、ADF30の原稿トレイの原稿の有無を検出するセンサの検出信号を再度参照し(12)、原稿ありであると、続いて「シートスルー読取位置の汚れ検出」(7)〜「画像読取り,シェーディング補正&異常画素補正」(11)を行う。ADF30の原稿トレイの原稿がなくなるまで、各原稿に関してステップ7〜12の処理を行う。ADF30にあった最後の原稿の「画像読取り,シェーディング補正&異常画素補正」(11)を終えると、CPU254はそこで原稿画像読取制御を終える。
【0098】
図10は、1ページの原稿読取の中の上述の「画像読取り,シェーディング補正&異常画素補正」(11)における「異常画素補正」P11cの制御の概要のみを摘出して示す。該1ページの原稿走査の副走査ライン数はL、主走査画素数はNとし、原稿走査中の、「異常画素補正」対象の画素すなわち注目画素の原稿上の副走査方向および主走査方向の位置をそれぞれlとnとする。また、異常画素と判定された画素の原稿読み取りデータ値が、データ値変動検出264で変動したと一度でも認識された場合、以降変動の有無に関わらず補正をしない制御とするため、ラインメモリ265c上の画素単位の前記第2情報であるフラグFLG(n)を定義する。これは、FLG(n)=「0」=Lのとき、過去に変動したと認識されていない状態を示し、FLG(n)=「1」=Hのとき、過去に変動したと認識されたことを示すものである。
【0099】
制御フローとしては、まず全画素のFLG(n)を「0」に初期化し(21)、注目画素を、始端画素(1,1)に定める(22,23)。次に、注目画素が異常画素であるか否かを、ラインメモリ263の異常画素判定結果すなわち第1情報から判断する(24,25)。異常画素でない場合は当然のことながら補正しない(25−30)。異常画素であった場合、データ値変動検出264の出力結果を参照し、データが変動したか判定する(25−26)。変動したと判定された場合、FLG(n)=1にセットし補正をOFFする(26−28−30)。変動していないと判定された場合、FLGを参照し(26−27)、過去に変動したと判定されたことがあれば補正をOFF(27−30)、なければ補正ONとする(27−29)。この動作を繰り返すこと(31−32−24,33−34−23)で、1ページ分のデータ選択が完了する。
【0100】
−第2実施例−
図12に、本発明の第2実施例の明度補正210の機能構成を示す。なお、この明度補正210は、第1実施例の画像読取り装置を装備した前述のデジタルカラー複写機に、図8に示す明度補正210と置き変えて装備されるものである。図12に示す補正要否検出265は、画像読取中に、ラインメモリ263から読出す注目画素宛ての第1情報がL(正常画素)であると、オアゲート265bがそれを反転したH(B指定)を出力し、データセレクタ266cが、注目画素の画像データD(n)を出力する。すなわちB入力を出力する。
【0101】
ラインメモリ263から読出す注目画素宛ての第1情報がH(異常画素)である場合は、データ変動検出264の出力がL(明度変化なし)である限り、アンドゲート265aの出力がL、オアゲート265bの出力がLで、データセレクタ266cは補正データAを出力する。データ変動検出264の出力がH(明度変化あり)になると、アンドゲート265aの出力がHになりこれによってオアゲート265bの出力がHになって、データセレクタ266cが、注目画素の画像データD(n)を出力する。すなわちB入力を出力する。このときオアゲート265bの出力Hがインバータ265dでLに反転されてラインメモリ263に書込まれる。すなわち、異常画素である注目画素の第1情報が、異物消去との判定に対応して、H(異常画素)からL(正常画素)に書換えられる。これにより、その後は、このLが読み出されて、その反転信号Hがオアゲート265bからデータセレクタ266cに出力されるので、第1情報の書換えがあった位置の画素に関しては、原稿読取処理の最後まで、読取画像データD(n)が出力されることになる。図12に示す明度補正210のその他の機能は、図8に示すものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0102】
−第3実施例−
図13に、本発明の第3実施例の明度補正210の機能構成を示す。なお、この明度補正210も、第1実施例の画像読取り装置を装備した前述のデジタルカラー複写機に、図8に示す明度補正210と置き変えて装備されるものである。図13に示す異常画素検出262は、異常画素を検出すると、ラインメモリ263および264gの、該異常画素宛ての位置に、それぞれ第1情報Hおよび異常画素の画像データ(異常明度)を書込む。そして、データ変動検出264は、画像読取の間、ラインメモリ263および264gから、注目画素宛ての第1情報および画像データを読み出して、該画像データに許容値を加算した値を閾値Thとして、注目画素の画像データD(n)が閾値Thを越すと明度変化ありを示すHを比較264eから補正要否検出265に出力する。すなわち、第3実施例では、明度変化を判定する閾値を、異常画素と検出したときの背板BP読取データに基いて設定する。図13に示す明度補正210のその他の機能は、図8に示すものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0103】
−第4実施例−
図14に、本発明の第4実施例の明度補正210の機能構成を示す。なお、この明度補正210も、第1実施例の画像読取り装置を装備した前述のデジタルカラー複写機に、図8に示す明度補正210と置き変えて装備されるものである。図14に示す異常画素検出262も、異常画素を検出すると、ラインメモリ263および264gの、該異常画素宛ての位置に、それぞれ第1情報Hおよび異常画素の画像データ(異常明度)を書込む。そして、データ変動検出264は、画像読取の間、ラインメモリ263および264gから、注目画素宛ての第1情報および画像データを読み出して、該画像データに許容値を加算した値を上限値ThUとし許容値を減算した値を下限値ThLとして、注目画素の画像データD(n)が、下限値ThL以上上限値以下の範囲内であるとLを、該範囲をはずれると明度変化ありを示すHをオアゲート264kから補正要否検出265に出力する。すなわち、第4実施例では、明度変化を判定する一対の閾値を、異常画素と検出したときの背板BP読取データに基いて設定する。図14に示す明度補正210のその他の機能は、図8に示すものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0104】
第5実施例では、データ値変動検出264においては、明度が汚れ時よりも高いことを識別するための固定値を閾値に設定して、画像読取時には、異常画素の画像データを該閾値と比較して、画像データが閾値以上になったとき、明度に変化があった(異物が消えた)として、第2情報を補正ONレベルLから補正OFFレベルに切換える。その変形例では、明度が汚れ時よりも高いことを識別するための第1固定値を第1閾値に設定し、明度が汚れ時よりもさらに低いことを識別するための第2固定値を第2閾値に設定して、画像読取時には、異常画素の画像データが第1閾値以下第2閾値以上の範囲を外れたかをチェックして、該範囲を外れると、明度に変化があった(異物が消えた)として、第2情報を補正ONレベルLから補正OFFレベルHに切換える、又は、第1情報を異常画素レベルHから正常画素レベルLに切換える。
【0105】
なお、本発明は、原稿読み取り前に異常画素と判定された画素の、原稿読み取り中のデータ値を観測することで正常画素への復帰を見極め、その場合は直ちに補正機能を働かせないとするところにその本質があり、それ以外の構成、手段についてはもちろん、上記の実現手段についても特に規定するものではない。すなわち、実現手段がハードウェア・ソフトウェアに関わらないことを付け加える。
【0106】
【発明の効果】
異常画素の位置で原稿読取の画像データが異物の明度から原稿画像の明度に変化するが、この変化を復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。また、読取り面は清浄であるが、それに対向する背板にゴミが付着しており、これを読取り面のゴミと誤認検出していた場合には、原稿読取りを開始すると、該ゴミは原稿の裏側に位置するので、異常画素の位置での原稿読取の画像データが、異物の明度から原稿画像の明度に変化する。この変化を復旧検出機能(264,265)が検出して、異物の消失と判定する。この判定結果に基いて、異常画素の位置での原稿読取の画像データ補正をそこで解除すれば、補正による細線消滅の可能性が無くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の画像読取り装置を装備した複合機能があるフルカラー複写機の外観を示す正面図である。
【図2】図1に示す複合機能フルカラー複写機の画像処理システムの概要を示すブロック図である。
【図3】図2に示す画像データインターフェース制御CDICの構成の概要を示すブロック図である。
【図4】図2に示す画像データ処理器IPPの機能構成を模式的に示すブロック図である。
【図5】図1に示す原稿スキャナ10の読み取り機構の概要を示す拡大縦断面図である。
【図6】図1に示す原稿スキャナ10の画像読み取り電気回路系の構成を示すブロック図である。
【図7】図6に示すスキャナ制御回路206の構成を示すブロック図である。
【図8】図6に示す明度補正210の機能構成を示すブロック図である。
【図9】図7に示すCPU254の、画像読取制御の概要を示すフローチャートである。
【図10】図7に示すCPU254がタイミング制御回路211を介して行う図9に示す「画像読取り,シェーディング補正&異常画像補正」(11)の中の主に「異常画像補正」のデータ処理の制御と、図8に示す補正要否検出265の機能を示すフローチャートである。
【図11】図5に示すスキャナ10の、原稿読取走査の間に発生するタイミング信号のレベル変化を示すタイムチャートである。
【図12】第2実施例の明度補正の機能構成を示すブロック図である。
【図13】第3実施例の明度補正の機能構成を示すブロック図である。
【図14】第4実施例の明度補正の機能構成を示すブロック図である。
【図15】画像読取部のゴミにより現れる読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【図16】画像読取部のゴミにより現れる読取画像上の欠陥画像を示す平面図である。
【図17】画像読取部のゴミにより現れる背板読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【図18】画像読取部のゴミにより現れる原稿読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【図19】画像読取部のゴミにより現れる原稿読取画像データの主走査方向のレベル変化を示すグラフである。
【符号の説明】
10:カラー原稿スキャナ 20:操作ボード
30:自動原稿供給装置 34:フィニッシャ
34hs:積載降下トレイ 34ud:昇降台
34st:ソートトレイ群
100:カラープリンタ PC:パソコン
PBX:交換器 PN:通信回線
ACP:画像データ処理装置
CDIC:画像データインターフェース制御
IMAC:画像メモリアクセス制御
IPP:画像データ処理器
221,225:ロータリエンコーダ
224:ステッピングモータ
231:原稿台ガラス 232:照明ランプ
233:第1ミラー 234:第2ミラー
235:第3ミラー 236:レンズ
207:イメージセンサ 238:ステッピングモータ
239:基準白板 240:ガラス
241:原稿トレイ 242:ピックアップローラ
243:レジストローラ対 244:搬送ドラム
245:押さえローラ 246,247:排紙ローラ
248:排紙トレイ兼用の圧板
249:基点センサ 250:軸
251:スケール 260:モータ制御ユニット
Claims (7)
- 原稿上の画像を投影するための光学系;該光学系が投影する画像を読取る撮像素子;読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段;前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段;および、前記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能;を備えた画像読取り装置において、
前記異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の、原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を前記異物の消失と判定する復旧検出機能;を備えることを特徴とする、画像読取り装置。 - 原稿上の画像を投影するための光学系;該光学系が投影する画像を読取る撮像素子;読取った画像信号をデジタルデータすなわち画像データに変換する手段;前記光学系の主走査方向に広がりがある読取視野を横切る副走査方向に、原稿と前記光学系の少なくとも一方を他方に対して相対的に移送する手段;前記読取視野に現れた異物により異常となった画像データの画素位置を検出する異常画素検出機能;および、該異常画素検出機能によって異常と判定された画素位置の原稿読取りの画像データ値を別の値に置換することを基本とする異常画素補正機能;とを備えた画像読取り装置において、
原稿読取りの画像データの副走査方向の所定の変化を検出するデータ変動検出機能;および、該変化の検出が無いと前記異常画素補正機能の置換を有効とし変化があると無効とする補正機能制御手段;を有することを特徴とする画像読取り装置。 - 前記所定の変化は、同一原稿の画像読取で先行読取のラインの画像データ値よりも所定値以上のデータ値の上昇である;請求項1又は2に記載の画像読取り装置。
- 前記所定の変化は、画像データ値の、所定閾値以上への上昇である;請求項1又は2に記載の画像読取り装置。
- 前記閾値は、前記異常画素検出機能が異常を検出した画像データそのもの、もしくはそのデータ値に基いて決定される値である;請求項4に記載の画像読取り装置。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の画像読取り装置;および、該画像読取り装置が原稿を読取って発生した画像データを、用紙上に画像を形成するためのプリント用の画像データに変換する画像データ処理手段;を備える画像処理装置。
- さらに、前記プリント用の画像データに基いて用紙上に画像を形成するプリンタ;を備える請求項6に記載の画像処理装置。
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- 2003-03-28 JP JP2003090481A patent/JP2004297691A/ja active Pending
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