JP2004293028A - 水系における硫酸バリウムのスケール抑制剤およびスケール抑制方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 pHが2以上の水系、好適にはpHが2〜7の水系において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を含む単量体から構成され、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とする硫酸バリウムスケール抑制剤および当該共重合体を添加することを特徴とする硫酸バリウムスケール抑制方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、特定の比率でマレイン酸、アクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を特定の比率で含む単量体から構成された共重合体(以下、「本発明の共重合体」とする)および/又はその水溶性塩を含有してなることを特徴とする水系における硫酸バリウムスケール抑制剤、および前記共重合体および/又はその水溶性塩を当該水系に添加することを特徴とする水系における硫酸バリウムスケール抑制方法である。
〔共重合体B:マレイン酸−アクリル酸−AMPS共重合体(モル比71.4:21.4:7.2)の調製〕
500mlの5つ口フラスコに無水マレイン酸40.4g(0.412モル)及び水60gを加え、50%水酸化ナトリウム水溶液でpHを6に調整した。フラスコ内を窒素ガス雰囲気とし、攪拌下、溶液を90℃に加温維持した。滴下ロートより、過硫酸ナトリウム3.2gと水50gの混合液、およびアクリル酸9.2g(0.124モル)、AMPS8.5g(0.041モル)、水60gの混合液をそれぞれゆっくり滴下した。滴下後、90℃にて、さらに3時間反応を行った。次いで攪拌冷却して、共重合体Aの25重量%水溶液を得た。イオンクロマトグラフィー法により残存単量体濃度を測定したところ、単量体は存在せず、反応率は実質100%であることを確認した。得られた共重合体Bの水溶液をそのまま硫酸バリウム析出抑制試験に用いた。また、共重合体Bの分子量をゲル浸透クロマトグラフィーにて測定した結果、2,000であった。以下、同様にして表1記載の組成にて、共重合体A、C〜Qの25重量%水溶液を調製した。
1000mLセパラブルフラスコに水60gを入れ、加熱し還流させた。次にアクリル酸54g、25重量%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液130g、次亜リン酸ナトリウム5.5g、水150gの混合液1と、過硫酸ナトリウム1.5g、水100gの混合液2を同時に1000mLセパラブルフラスコに2時間かけて添加し、さらに1時間維持して反応を行なった。冷却後、ビニルスルホン酸−アクリル酸共重合体(モル比1:3、分子量4000)の20重量%水溶液500gを得た。
1000mLセパラブルフラスコに無水マレイン酸49g、水酸化ナトリウム20g、水50gを加えて、撹拌し、マレイン酸モノナトリウム水溶液を調製した。これに30重量%ビニルスルホン酸ナトリウム水溶液216.6gを加え、加熱、還流し、過硫酸ナトリウム1.5g、水20gの混合液を4時間かけて添加し、さらに2時間、還流を維持して反応を行なった。冷却して、ビニルスルホン酸−マレイン酸共重合体(モル比1:1、分子量4000)の43重量%水溶液345gを得た。
・共重合体T:ビス(ポリ−2−カルボキシエチル)ホスフィン酸「ベルスパース164」(商品名、有効分40重量%、FMC製)
・HEDP :1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸「ディクエスト2010」(商品名、有効分60重量%、ソルーシアジャパン製)
〔硫酸バリウム析出抑制試験1〕
上質紙を製造している製紙工場では、二酸化塩素漂白−アルカリ抽出−過酸化水素漂白−二酸化塩素漂白の漂白シーケンスでパルプの漂白を行なっていた。この中の第一段目の二酸化塩素漂白段では、蒸解後に酸素晒処理をしたアルカリ性パルプスラリーを一旦貯留タンクに入れて硫酸でpHを5に調整し、二酸化塩素漂白段に供給していた。そのために、当該貯留タンク内壁、当該貯留タンクからの輸送配管および当該二酸塩素漂白段の漂白塔に硫酸バリウムのスケールが付着し、漂白効率の低下、送液量の低下さらには漂白塔内の付着スケールが剥離し、漂白塔後のパルプ洗浄機のフイルターワイヤーに付着し洗浄を阻害したり、ワイヤー損傷等の障害が発生していた。そこで、定期的に操業を停止して、人力による除去作業を行なっていた。この酸素晒処理をした後のアルカリ性パルプスラリーを採取し、No.6定量濾紙で濾過し、濾液を硫酸バリウム析出抑制試験の供試液(バリウムイオン濃度:7mg/L、硫酸イオン濃度:23mg/L、pH:9.8)として使用した。140mL広口瓶3本にそれぞれ供試液100mLを取り、表1記載のスケール抑制剤をそれぞれ所定量添加(スケール抑制剤中の有効成分の添加量として)し、さらに1.52重量%塩化バリウム[関東化学(株)製,試薬]水溶液230μL(バリウムイオンとして23mg/Lに相当)添加した。次に5重量%硫酸および水酸化ナトリウム[関東化学(株)製、試薬]にて、pHを2、4、7に調整した試験液を調製した。この試験液を60℃で30分間静置した後、試験液中の懸濁物質濃度(以下、「SS」とする。)を日本精密光学(株)社製ポイック積分球式SS濃度計で測定し、次式によりスケール抑制率(%)を求めた。
スケール抑制率(%)=〔(β−α)/β〕×100
α:スケール抑制剤添加時のSS(mg/L)
β:スケール抑制剤無添加時のSS(mg/L)
析出した懸濁物質は赤外分光光度計により、硫酸バリウムであることを確認した。また、各pHにおけるスケール抑制剤無添加時の硫酸バリウムの析出によるSS(mg/L)は、pH:2では56(mg/L)、pH:4では47(mg/L)、pH:7では37(mg/L)であった。各共重合体を用いた硫酸バリウムスケール抑制剤の結果を表2に示した。
上質紙を製造している製紙工場では、塩素漂白−アルカリ抽出−二酸化塩素漂白−アルカリ抽出−二酸化塩素漂白の漂白シーケンスで漂白を行ない、第二段目および第4段目のアルカリ抽出処理後、アルカリ性パルプスラリーを貯留タンクに入れて硫酸を添加してpHを5に調整し、次段の二酸化塩素漂白を行なっていた。そのため、第二段目のアルカリ抽出段後の硫酸を添加する当該貯留タンクおよび第三段目の二酸化塩素漂白塔内壁、当該漂白塔後のパルプ洗浄機フィルターおよび洗浄機ろ液タンク、液送配管内に硫酸バリウムのスケールが付着し、洗浄機のフィルター目詰まりにより洗浄効率が低下し、二酸化塩素漂白後のパルプの十分な洗浄が得られなかった。さらに送液量の低下が起こり、定期的に操業を停止して人力による硫酸スケールの除去作業を行なっていた。そこで、第二段目および第4段目のアルカリ抽出処理後、硫酸を添加する手前のアルカリ性パルプスラリー(バリウムイオン濃度:8mg/L、硫酸イオン濃度:33mg/L、pH:10.8〜10.0)に、表3に記載の各種スケール抑制剤をバリウムイオン1mg/Lに対して、その有効成分として3mg/Lを連続添加し、第三段目および第五段目の二酸化塩素漂白段後のパルプ洗浄機のフィルターに付着した硫酸バリウムの状況を以下のように目視観察して評価した。スケール抑制剤の添加は、1〜2週間行い、硫酸バリウムスケール付着量が改善されないと判断される場合は、1週間でスケール抑制剤添加を中止した。結果を表3に記載した。
◎:スケール付着無し
○:スケール付着量が大きく減少。
×:スケール付着量の低下が小さい、および改善されない。
Claims (5)
- マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を含む単量体から構成され、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を含んでなることを特徴とする水系における硫酸バリウムスケール抑制剤。
- 前記共重合体の重量平均分子量が500〜20,000である請求項1記載の水系における硫酸バリウムスケール抑制剤。
- 水系において、マレイン酸、アクリル酸および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を含む単量体から構成され、マレイン酸とアクリル酸のモル比が10:2〜10:15であり、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が全単量体の3〜20モル%である共重合体および/又はその水溶性塩を当該水系に添加することを特徴とする水系における硫酸バリウムスケール抑制方法。
- 前記共重合体の重量平均分子量が500〜20,000である請求項3記載の水系における硫酸バリウムスケール抑制方法。
- 水系のpHが2〜7である請求項3又は4記載の水系における硫酸バリウムスケール抑制方法。
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