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JP2004292540A - ガス化装置 - Google Patents

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JP2004292540A
JP2004292540A JP2003084727A JP2003084727A JP2004292540A JP 2004292540 A JP2004292540 A JP 2004292540A JP 2003084727 A JP2003084727 A JP 2003084727A JP 2003084727 A JP2003084727 A JP 2003084727A JP 2004292540 A JP2004292540 A JP 2004292540A
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英和 長沢
Masaki Kataoka
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Abstract

【課題】得られるガスの発熱量が高く、被処理物のもつ熱エネルギーの利用効率が高いうえに、設備が大きくならないガス化装置とする。
【解決手段】流動媒体Sを保持する流動層炉2内を、炉底部においては連通する熱分解室3と燃焼室4とに分割する。熱分解室3には被処理物Pの供給口6と可燃性ガスG1の排気口7とを設ける。燃焼室4の上端部には熱分解室3と連通する返送路20を設ける。そして、流動層炉2内への流動化ガスR1,R2,R3の吹き込みにより、熱分解室3炉底部の少なくとも流動媒体Sを含む混合物が、熱分解室3と燃焼室4との連通部8を通って燃焼室4内に移動し、この燃焼室4内を上昇した後、返送路20を通って熱分解室3内に戻る循環が生じる構成とする。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理物を熱分解して可燃性ガスを得るガス化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、都市ごみや、下水汚泥等の有機物を含む廃棄物など(以下、単に被処理物という。ただし、本明細書において、被処理物を廃棄物に限定する趣旨ではない。)のもつ熱エネルギーを有効利用しようと、様々な方法が提案されている。その1つとして、ガス化装置によって被処理物を熱分解し、可燃性ガスを得る方法がある。
【0003】
このガス化装置を利用して可燃性ガスを得る従来の方法としては、▲1▼流動層炉、シャフト炉、内熱式ロータリーキルン等のガス化装置に被処理物を供給し、部分燃焼して、可燃性ガスを得る方法、▲2▼燃焼炉と熱分解炉とからなるガス化装置に被処理物を供給して、可燃性ガスを得る方法(例えば、特許文献1参照。)、▲3▼外熱式キルン等の間接加熱型ガス化装置に被処理物を供給し、熱分解して、可燃性ガスを得る方法がある。
【特許文献1】
特開平6−134287号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来の方法には、以下のような問題があった。
まず、▲1▼の方法は、熱分解による可燃性ガスと部分燃焼による燃焼排ガスとが混合してしまうため、得られるガスの発熱量が低くなるとの問題を有する。また、▲2▼の方法は、塔が2本になるため、設備が大きくなるとの問題を有する。さらに、▲3▼の方法は、被処理物の熱分解により可燃性ガスとともに未燃物であるチャー(炭素分)が発生するが、このチャーのもつ熱エネルギーを有効利用することができないとの問題を有する。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、得られるガスの発熱量が高く、被処理物のもつ熱エネルギーの利用効率が高いうえに、設備が大きくならないガス化装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は、次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
被処理物を熱分解して可燃性ガスを得るガス化装置であって、
流動媒体を保持する流動層炉を有し、この流動層炉内は炉底部においては連通する熱分解室と燃焼室とに分割され、前記熱分解室には被処理物の供給口と可燃性ガスの排気口とが設けられ、前記燃焼室の上端部には前記熱分解室と連通する返送路が設けられ、
前記流動層炉内への流動化ガスの吹き込みにより、前記熱分解室炉底部の少なくとも流動媒体を含む混合物が、前記熱分解室と燃焼室との連通部を通って前記燃焼室内に移動し、この燃焼室内を上昇した後、前記返送路を通って前記熱分解室内に戻る循環が生じる構成とされている、ことを特徴とするガス化装置。
【0007】
<請求項2記載の発明>
被処理物を熱分解して可燃性ガスを得るガス化装置であって、
流動媒体を保持する流動層炉を有し、この流動層炉内は炉底部においては連通する熱分解室と燃焼室とに隔壁により分割され、前記熱分解室には被処理物の供給口とこの被処理物の熱分解により発生する可燃性ガスの排気口とが設けられ、前記燃焼室の上端部には前記熱分解室と連通する返送路が設けられ、この返送路には固気分離手段が備えられ、
前記熱分解室の炉底部には、この熱分解室内の流動媒体及び被処理物を流動化するとともに、前記熱分解室炉底部の流動媒体並びにこの流動媒体に付着するタール分及びチャーの少なくとも一方を含む混合物を、前記熱分解室と燃焼室との連通部を通して前記燃焼室内に移動する、流動化ガスの吹き込み手段が設けられ、
前記燃焼室の炉底部には、前記熱分解室からの混合物を上昇させる、流動化ガスの吹き込み手段が設けられ、
前記混合物中の流動媒体は、前記燃焼室内において、前記タール分及びチャーの少なくとも一方の燃焼により加熱され、前記返送路を通して、前記固気分離手段において燃焼排ガスと分離された後、前記熱分解室に戻る循環が生じる構成とされている、ことを特徴とするガス化装置。
【0008】
<請求項3記載の発明>
熱分解室の流動化ガス吹き込み手段は、蒸気、二酸化炭素及び空気のいずれか一種を、又はいずれか二種以上を切り替えて、流動化ガスとして、吹き込む、請求項2記載のガス化装置。
【0009】
<請求項4記載の発明>
流動媒体が、珪砂、活性白土、ゼオライト及び多孔質アルミナのいずれか一種からなり、又は二種以上の混合物からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載のガス化装置。
【0010】
(主な作用効果)
A.本発明においては、塔(流動層炉)を2本とせず、1本の流動層炉内を熱分解室と燃焼室とに、例えば、隔壁により分割したので、設備が大きくならない。
【0011】
B.流動層炉を熱分解室と燃焼室とに分割し、熱分解室に可燃性ガスの排気口を設け、燃焼は燃焼室で行うようにしたので、可燃性ガスと排気ガスとが混合せず、したがって発熱量の高い可燃性ガスを回収することができる。
【0012】
C.流動層炉内への流動化ガスの吹き込みにより、熱分解室炉底部の混合物は、熱分解室と燃焼室との連通部を通って燃焼室内に移動する。また、混合物中の流動媒体は、燃焼室内において、同じく混合物中のタール分及びチャーの少なくとも一方の燃焼により、加熱される。そして、加熱された流動媒体は、燃焼室の上端部に設けられた返送路を通って熱分解室内に戻る。したがって、タール分及びチャーの熱量が有効利用されることになる。
【0013】
D.タール分の付着性は、流動媒体の種類によって異なる。したがって、被処理物に応じて流動媒体の種類を変えることにより、より好ましくは流動媒体を珪砂、活性白土、ゼオライト及び多孔質アルミナのいずれか一種に、又は二種以上の混合物に変えることにより、補助燃料を削減し、あるいは熱分解・ガス化を安定化することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態のガス化装置1は、図1に示すように、流動媒体Sを保持する流動層炉2を有する。この流動層炉2は、1本の塔からなり、その内部は、炉底部においては連通する熱分解室3と燃焼室4とに分割されている。
【0015】
熱分解室3及び燃焼室4を、いかなる容積となるように分割するか、いかなる形状となるように分割するかなどは、特に限定されない(熱分解室3及び燃焼室4の形状は、分割の仕方のみによって決まるものではなく、流動層炉2自体の形状によっても左右される。)。ただし、本実施の形態のように、熱分解室3が、燃焼室4の下端部側方に位置し、かつ熱分解室3が気泡流動層として、燃焼室4が高速流動層として運転可能となるように、流動層炉2の形状を決定し、かつ分割するのが好ましい。
【0016】
以上の熱分解室3及び燃焼室4の分割は、本実施に形態では、流動層炉2と別形成された、例えば、金属製(SUS201、SUS202(JIS)など)、不定形耐火物製、レンガ製などの隔壁5を、熱分解室3の燃焼室4側天板3aに、下方に延在するように、取り付けることによって行った。ただし、これに限定する趣旨ではなく、流動層炉2と一体形成することもできる。
【0017】
さらに、本実施の形態のガス化装置1は、熱分解室3の天板3aに被処理物Pの供給口6、可燃性ガスG1の排気口7が設けられている。処理の対象となる被処理物Pは、供給口6から、熱分解室3内に供給し、流動媒体Sとともに流動化しつつ、乾燥、昇温して、熱分解する。
【0018】
本発明において、処理の対象となる被処理物としては、その種類が特に限定されず、有機物(可燃物)を含むものであればよい。例えば、都市ごみや、下水汚泥、廃液、バイオマスなどの廃棄物を挙げることができる。廃棄物に限定する趣旨ではないが、廃棄物を対象とすると、資源の有効利用となり、好ましい。
【0019】
熱分解室3内においては、被処理物Pの熱分解により、未燃物であるチャー(炭素を主成分とする)、不燃物であるアッシュ(灰分)、可燃性ガスG1、タール分などが発生する。このうち、可燃性ガスG1は、後述する流動化ガスR1とともに、排気口7から装置1外に排気され、回収される。
【0020】
本発明においては、熱分解室3では、燃焼を行わず、熱分解室3とは分割された燃焼室4で燃焼を行う構成としているので、熱分解室3では、燃焼排ガスがほとんど発生しない。したがって、排気口7から排気されるガスは、ほとんどが可燃性ガスG1となり、熱量が大きなものとなる。
【0021】
本実施の形態において、熱分解室3内の流動媒体Sなどの流動化は、熱分解室3の炉底部に設けた、流動化ガスR1の吹き込み手段10で行う。
この吹き込み手段10は、流動化ガスR1の噴射ノズル13の備えられた複数の噴射台12,12…から主になる。この噴射台12,12…は、燃焼室4に遠い側から燃焼室4側に向かって下方に階段状となっている。流動層炉2の側壁3bに設けた流動化ガス取り込み口15から、流動層炉2内に流動化ガスR1を吹き込むと、この流動化ガスR1は、各噴射台12,12…内に流入し、各噴射台12ごとに備わる噴射ノズル13から熱分解室3内に吹き込まれる。
【0022】
この吹き込みにより、熱分解室3内の流動媒体S及び被処理物Pを流動化するとともに、熱分解室3炉底部の流動媒体S(この流動媒体Sは、被処理物Pの熱分解(吸熱反応)によって、温度低下している。)並びにこの流動媒体Sに付着するタール分及びチャーの少なくとも一方を含む混合物(この混合物は、噴射台12,12…上に堆積し、あるいはその近傍で流動化している。)を、熱分解室3と燃焼室4との連通部8を通して燃焼室3内に移動する。
【0023】
燃焼室4内に移動した混合物は、一時的には燃焼室4の底部4Aに堆積するが、流動化ガスR2の吹き込み手段16(以下、先の吹き込み手段10と区別するために、第2の吹き込み手段16という。)からの流動化ガスR2の吹き込みにより、流動化され、燃焼室4内を上昇する。
【0024】
第2の吹き込み手段16は、燃焼室4の側壁4a下端部から燃焼室4内に挿入された管体からなっている。この管体は、先端部が閉じており、下側周壁には、複数の孔16a,16a…が設けられている。
【0025】
流動媒体Sの性質や量によっては、以上の第2の吹き込み手段16によって、流動媒体Sを十分に流動化、上昇させることができるが、本実施の形態では、更に第2の吹き込み手段16の上方の燃焼室4の側壁4aに、流動化ガスR3を斜め下方に向けて吹き込む第3の吹き込み手段17を設け、流動媒体Sの流動化・上昇の促進を図っている。この第3の吹き込み手段17の上方には、更に1つ又は複数の吹き込み手段を設けることができ、流動媒体Sの流動化を促進することができる。
【0026】
燃焼室4の底部4Aには、不燃物たるアッシュや、流動媒体Sなどを抜き出すための、抜き出し口18を設けてある。
【0027】
流動化ガスR2及びR3の吹き込みにより上昇する流動媒体Sに付着するタール分及びチャーは、燃焼し、流動媒体Sを加熱する。したがって、タール分及びチャーは、流動媒体Sの加熱源として、有効利用されることになる。
【0028】
加熱された流動媒体Sは、燃焼室4の上端部に一端部20Aが接続された返送路20に送られる。この返送路20の途中には、固気分離手段21を設けてあり、この固気分離手段21において、燃焼排ガスG2と流動媒体Sやアッシュ(灰分)を含む固形分とを分離する。分離した燃焼排ガスG2は、排気筒22を通して、装置外に排気され、他方、固形分は、返送路20の他端部20Bを通して、熱分解室3内に戻される。返送路20の他端部20Bは、固気分離手段21の下端部から延在しており、固形分の固気分離手段21から熱分解室3への移動には、重量が利用される。戻された流動媒体Sは、先述したように、燃焼室4において、加熱(昇温)されているので、被処理物Pを熱分解するための、熱源となる。
【0029】
本実施の形態では、固気分離手段21を返送炉20の途中に設けたが、これに限定する趣旨ではない。例えば、燃焼室4の上端部と返送路20の一端部20Aとの間に介在させることもできる。
【0030】
また、本実施の形態において、使用することができる固気分離手段21は、その種類が特に限定されない。例えば、サイクロン、沈降室、ろ過式集塵装置などの公知の集塵装置を使用することができる。本実施の形態では、いわゆるホットサイクロンを使用した。
【0031】
本発明においては、流動媒体Sをどのように循環するかにより、熱エネルギーの有効利用度も変わる。そこで、流動媒体Sの循環方法について説明するに、まず、かかる循環は、流動化ガスR1,R2,R3の吹き込みを調節することにより、行うことができる。より具体的には、燃焼室4においては、流動媒体Sの空塔速度(流動媒体Sの実際の速度)が、流動媒体Sの流動化開始速度に比して高速となるように、他方、熱分解室3においては、流動媒体Sの空塔速度が、流動媒体Sの流動化開始速度以上、かつ燃焼室3における流動媒体Sの空塔速度未満となるように、するのが好ましく、燃焼室4においては、流動媒体Sのフルード数(Fr)が0.8〜14となるように、他方、熱分解室3においては、流動媒体Sのフルード数(Fr)が1以下となるようにするのが、より好ましい。このような調節により、燃焼室4及び熱分解室3は、それぞれ、いわゆる高速流動層又は気泡流動層となる。
【0032】
燃焼室4を高速流動層とすることにより、燃焼室4内の流動媒体Sは、燃焼室4内を上昇し、返送路20を介して、熱分解室3内に戻るようになる。他方、熱分解室3を気泡流動層とすることにより、熱分解室3内の流動媒体Sは、熱分解室3下側で流動化し、この部分において流動媒体Sの濃度が高くなるため、被処理物Pの熱分解が効率的に行われることになり、また、熱分解室3内の流動媒体Sの一部は、噴射台12,12…上に堆積し、あるいはこの近傍で流動化することになるため、吹き込み手段10からの流動化ガスR1の吹込みにより、混合物が効率的に燃焼室3へ移動することになる。
【0033】
ところで、被処理物Pの熱分解による可燃性ガスG1及びチャーの発生割合は、被処理物Pの種類や、水分量などによって異なる。したがって、熱分解室3や燃焼室4に必要な熱量は、例えば、化石燃料や、発生した可燃性ガスG1などの補助燃料を助燃して補い、熱分解及び燃焼を安定化させることになる。
しかしながら、これでは経済性が悪くなる。そこで、本発明においては、被処理物Pの種類に応じて、流動媒体Sを選定することを推奨する。
本発明者等の知見したところによると、被処理物Pの熱分解に際して発生するタール分(タール質を含む可燃性ガス)は、流動媒体Sに付着して、熱分解室3から燃焼室4に移動する。そして、本発明者等が実験したところによると、流動媒体に付着するタール分の解離速度は、流動媒体ごとに異なり、例えば、珪砂、活性白土、多孔質アルミナ、ゼオライトの順で遅くなる。したがって、解離速度の速い流動媒体を使用すれば、タール分は、その多くが熱分解室3で燃料として利用されることになり、他方、解離速度の遅い流動媒体を使用すれば、タール分は、燃焼室4に移動する割合が多くなるため、そのより多くが燃焼室4で燃料として利用されることになる。つまり、被処理物Pの種類に応じて、流動媒体Sを選定することにより、補助燃料を使用することなく、熱分解及び燃焼を安定化させることができる。そして、その際には、以上で挙げた珪砂、活性白土、多孔質アルミナ、ゼオライトのいずれか一種からなり、又は二種以上の混合物からなるものを流動媒体Sとして選定すれば、様々な被処理物Pに対応することができるので、好ましい。
【0034】
また、燃焼室4へのタール分の移動量が若干多くなっても、その分燃焼室4における燃焼が盛んになり、流動媒体Sがより昇温することになるため、熱分解室3の温度も上昇する。そして、熱分解室3の温度が上昇すれば、被処理物Pの熱分解によるチャーの発生量が減少するので、燃焼室4へのチャーの移動量も減少する。つまり、本方法には、自己制御作用があるため、熱分解及び燃焼の安定化は、より優れたものといえる。
【0035】
例えば、被処理物Pの水分量が多い場合や、下水汚泥のようにチャーの生成量が少ない場合には、燃焼室4の熱量が不足するため、熱分解室3の温度を下げてチャーの生成割合を増加させることがある。そして、この温度操作だけでは対応できない場合には、流動媒体Sとしてゼオライトや、多孔質アルミナ、活性白土などを使用し、タール分の燃焼室4への移動量を増加させることにより、熱量不足の解消を図ることができる。
【0036】
(その他)
(1)本実施の形態では、熱分解室3が、燃焼室4の下端部一側方に位置する形態を説明したが、例えば、熱分解3を2つとし、燃焼室4の下端部両側方に位置する形態とすることもできる。
【0037】
(2)本発明において、流動化ガスR1、R2及びR3は、流動媒体Sを流動化することを主目的とするものであり、その種類は、特に限定されない。従来の流動層炉で使用されていた、蒸気、二酸化炭素、空気などを使用することができる。ただし、流動化ガスR1としては、熱分解促進のために、蒸気や二酸化炭素の割合を多くして使用するのが好ましく(熱分解室3の温度によっては、空気を併用する。)、流動化ガスR2及びR3としては、空気を使用するのが好ましい。
【0038】
【実施例】
本発明の効果を明らかにするために、以下の試験を行った。
以下の試験例においては、実施の形態で説明したガス化装置1を使用した。また、流動層炉2には、真比重2.6〜2.8、平均粒径300〜400μmの流動媒体を保持させた。流動化ガスR1としては、蒸気を、流動化ガスR2及びR3としては、空気を使用した。流動化ガスR1、R2及びR3は、熱分解室3における流動媒体Sのフルード数が0.4〜0.6となるように、燃焼室4における流動媒体Sのフルード数が1.0〜2.0となるように、制御した。
【0039】
〔試験例1〕
流動媒体Sとして、珪砂を使用し、水分12質量%の廃建材を、被処理物Pの供給口6から供給した。廃建材の発熱量は、18.3MJ/kg−DSであった。本試験例では、熱分解室3の温度を740〜760℃としたときに、燃焼室4の温度が安定した。熱分解室3からの可燃性ガスG1を含む排ガスは、図示しないガス冷却装置で冷却・除湿した。冷却・除湿後の排ガスの発熱量は、26.4MJ/mNであり、冷ガス効率(回収排ガスの発熱量/被処理物Pの発熱量)は、66%であった。
【0040】
〔試験例2〕
流動媒体Sとしては、試験例1同様、珪砂を使用し、水分51質量%のおがくずとバークとの混合物を、被処理物Pの供給口6から供給した。混合物の発熱量は、20.6MJ/kg−DSであった。本試験例では、熱分解室3の温度を540〜560℃としたときに、燃焼室4の温度が安定した。熱分解室3からの可燃性ガスG1を含む排ガスは、図示しないガス冷却装置で冷却・除湿した。冷却・除湿後の排ガスの発熱量は、20.4MJ/mNであり、冷ガス効率(回収排ガスの発熱量/被処理物Pの発熱量)は、48%であった。
【0041】
〔試験例3〕
流動媒体Sとしては、試験例1同様、珪砂を使用し、水分48質量%の下水汚泥を、被処理物Pの供給口6から供給した。下水汚泥の発熱量は、17.6MJ/kg−DSであった。本試験例では、熱分解室3の温度を低下させても、流動層炉2全体の温度が低下してしまった。
【0042】
〔試験例4〕
流動媒体Sとして、BET比表面積86m/gのゼオライトを使用し、水分48質量%の下水汚泥を、被処理物Pの供給口6から供給した。本試験例では、熱分解室3の温度を460〜480℃としたときに、燃焼室4の温度が安定した。熱分解室3からの可燃性ガスG1を含む排ガスは、図示しないガス冷却装置で冷却・除湿した。冷却・除湿後の排ガスの発熱量は、13.4MJ/mNであり、冷ガス効率(回収排ガスの発熱量/被処理物Pの発熱量)は、21%であった。
【0043】
〔試験例5〕
流動媒体Sとして、試験例4で用いたゼオライトと試験例1で用いた珪砂とを質量比1:1で混合したものを用い、試験例4で用いた下水汚泥と試験例2で用いたおがくず及びバークの混合物とを質量比1:1で混合したものを、被処理物Pの供給口6から供給した。本試験例では、熱分解室3の温度を560〜580℃としたときに、燃焼室4の温度が安定した。熱分解室3からの可燃性ガスG1を含む排ガスは、図示しないガス冷却装置で冷却・除湿した。冷却・除湿後の排ガスの発熱量は、17.5MJ/mNであり、冷ガス効率(回収排ガスの発熱量/被処理物Pの発熱量)は、36%であった。
【0044】
〔試験例6〕
流動媒体Sとして、BET比表面積72m/gの活性白土を使用し、水分48質量%の下水汚泥を、被処理物Pの供給口6から供給した。本試験例では、熱分解室3の温度を530〜550℃としたときに、燃焼室4の温度が安定した。熱分解室3からの可燃性ガスG1を含む排ガスは、図示しないガス冷却装置で冷却・除湿した。冷却・除湿後の排ガスの発熱量は、18.2MJ/mNであり、冷ガス効率(回収排ガスの発熱量/被処理物Pの発熱量)は、26%であった。
【0045】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、得られるガスの発熱量が高く、被処理物のもつ熱エネルギーの利用効率が高いうえに、設備が大きくならないガス化装置となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係るガス化装置の断面模式図である。
【符号の説明】
1…ガス化装置、2…流動層炉、3…熱分解室、4…燃焼室、5…隔壁、6…供給口、7…排気口、8…連通部、P…被処理物、R1,R2,R3…流動化ガス、G1,G2…ガス。

Claims (4)

  1. 被処理物を熱分解して可燃性ガスを得るガス化装置であって、流動媒体を保持する流動層炉を有し、この流動層炉内は炉底部においては連通する熱分解室と燃焼室とに分割され、前記熱分解室には被処理物の供給口と可燃性ガスの排気口とが設けられ、前記燃焼室の上端部には前記熱分解室と連通する返送路が設けられ、
    前記流動層炉内への流動化ガスの吹き込みにより、前記熱分解室炉底部の少なくとも流動媒体を含む混合物が、前記熱分解室と燃焼室との連通部を通って前記燃焼室内に移動し、この燃焼室内を上昇した後、前記返送路を通って前記熱分解室内に戻る循環が生じる構成とされている、ことを特徴とするガス化装置。
  2. 被処理物を熱分解して可燃性ガスを得るガス化装置であって、流動媒体を保持する流動層炉を有し、この流動層炉内は炉底部においては連通する熱分解室と燃焼室とに隔壁により分割され、前記熱分解室には被処理物の供給口とこの被処理物の熱分解により発生する可燃性ガスの排気口とが設けられ、前記燃焼室の上端部には前記熱分解室と連通する返送路が設けられ、この返送路には固気分離手段が備えられ、
    前記熱分解室の炉底部には、この熱分解室内の流動媒体及び被処理物を流動化するとともに、前記熱分解室炉底部の流動媒体並びにこの流動媒体に付着するタール分及びチャーの少なくとも一方を含む混合物を、前記熱分解室と燃焼室との連通部を通して前記燃焼室内に移動する、流動化ガスの吹き込み手段が設けられ、
    前記燃焼室の炉底部には、前記熱分解室からの混合物を上昇させる、流動化ガスの吹き込み手段が設けられ、
    前記混合物中の流動媒体は、前記燃焼室内において、前記タール分及びチャーの少なくとも一方の燃焼により加熱され、前記返送路を通して、前記固気分離手段において燃焼排ガスと分離された後、前記熱分解室に戻る循環が生じる構成とされている、ことを特徴とするガス化装置。
  3. 熱分解室の流動化ガス吹き込み手段は、蒸気、二酸化炭素及び空気のいずれか一種を、又はいずれか二種以上を切り替えて、流動化ガスとして、吹き込む、請求項2記載のガス化装置。
  4. 流動媒体が、珪砂、活性白土、ゼオライト及び多孔質アルミナのいずれか一種からなり、又は二種以上の混合物からなる、請求項1から3のいずれか1項に記載のガス化装置。
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