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JP4696969B2 - ガス化装置 - Google Patents

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Description

この発明は、バイオマスや廃棄物等を原料とし、これをガス化して、発電や液体燃料に利用するためのガス化装置に関する。
この種のガス化装置としては、固定床ダウンドラフト式のものが知られている。これは、図5に示すように、原料ホッパ101と、原料ホッパ101から原料を切出す切出装置102と、切出装置102に上端が接続されている垂直状原料パイプ103と、原料パイプ103の下端に接続されている供給装置104と、供給装置104によって原料が供給される熱分解炉105を併設しかつ供給された原料を部分燃焼および/または熱分解してガスおよびチャー(未燃炭素系固形物)を生成する固定床式ガス化炉106と、ガス化炉106に一端が接続されている水平状ガスパイプ107と、ガスパイプ107の他端が接続されているサイクロン108と、ガス化炉106に空気を送る押込送風機109と、ガス化炉106からチャーを排出する排出装置110とを備えているものが知られている。
この従来のガス化装置では、投入原料のエネルギー量に対して、3〜20%に相当するエネルギーがチャーとして排出されることとなっている。そのために、エネルギーの変換効率が悪い。
さらに、生成したガス中には、タールを含む有害物質が含まれている。有害物質はガス流路を閉塞させる等の問題を生じさせるため、無処理のままでは、内燃機関等に供給することは困難である。有害物質の処理のためには、サイクロンの下流においてスクラバー(水を用いる集塵機)が使用されるが、スクラバーには水処理設備を併設する必要があり、ガス化装置の構造が複雑となる。
この発明の目的は、エネルギーの変換効率を向上させるとともに、有害物質を含まないガスを生成することのできるガス化装置を提供することにある。
この発明によるガス化装置は、原料を部分燃焼および/または熱分解してガスおよびチャーを生成する熱分解炉付固定床式ガス化炉と、固定床式ガス化炉で生成したガスおよびチャーが供給されかつ供給されたチャーを部分燃焼および/または熱分解する低流速型噴流床炉とを備えているものである。
この発明によるガス化装置では、固定床式ガス化炉で生成したチャーを、さらに、低流速型噴流床炉で部分燃焼および/または熱分解するから、エネルギー変換効率を向上させることができ、しかも、部分燃焼および/または熱分解の時間が長くなるため、生成ガス中のタール等の有害物質の濃度を大幅に低減することができる。
さらに、低流速型噴流床炉の底部に、下向き流動化剤口が設けられており、流動化剤口に蓄気室が接続されており、蓄気室に、流動化剤として、固定床式ガス化炉で生成したガス、空気、水蒸気および酸素の少なくともいずれか1つを供給する手段を備えていると、炉内の温度条件、チャー供給量、生成ガスの発熱量等によって流動化剤を選択して供給することができ、有害物質の低減を適切に行うことができる。
また、低流速型噴流床炉の底部が、流動化剤口から上向きにのびた上拡りテーパ状となされていると、低流速型噴流床炉の底部では比較的流速が速くなるため、チャーを激しく撹拌して、破砕し、微粒子化することができ、低流速型噴流床炉の底部の上方では比較的流速が遅くなるため、チャーのガス化反応および有害物質の分解反応に必要な滞留時間を確保することができる。
また、低流速型噴流床炉からガスを排出する手段と、低流速型噴流床炉から排出したガスに含まれるドレンを回収する手段と、回収したドレンを低流速型噴流床炉内に噴霧する手段とを備えていると、低流速型噴流床炉からのドレンの排出が不必要となる。さらに、低流速型噴流床炉内に噴霧されるドレンによって炉内の燃焼を適正に抑制することができ、生成されたガスを不必要に燃焼(消費)することを防止できる。
この発明によれば、エネルギーの変換効率を向上させるとともに、有害物質を含まないガスを生成することができる。
この発明の実施の形態を図面を参照しながらつぎに説明する。
図1を参照すると、ガス化装置は、固定床式ダウンドラフトガス化炉11および低流速型噴流床炉12を備えている。
ガス化炉11には熱分解炉21およびチャー排出装置22が併設されている。熱分解炉21には原料供給装置23が備えられている。原料供給装置23には原料ホッパ24が備えられている。原料ホッパ24には原料切出装置25が備えられている。原料供給装置23および原料切出装置25は、垂直状原料パイプ26によって接続されている。ガス化炉11および熱分解炉21には押込送風機27からのびてきた空気パイプ28が接続されている。
噴流床炉12にはチャーホッパ31およびチャー供給装置32が備えられている。チャーホッパ31にはチャー切出装置33が備えられている。チャー供給装置32およびチャー切出装置33は、垂直状チャーパイプ34によって接続されている。
噴流床炉12は、垂直円筒状フリーボード部12Aと、これの下端に連なる上向きテーパ状炉底部12Bとよりなる。
ガス化炉11の胴壁底部近くからフリーボード部12Aの底部近くに向かって生成ガス主ライン41がのびている。原料切出装置22およびチャーホッパ31は、チャー供給パイプ42によって接続されている。フリーボード部12Aの頂部近くから内燃機関43に向かってガスパイプ44がのびている。フリーボード部12Aの高さの中程にはドレン噴霧ノズル45が備えられている。
図2および図3を参照すると、炉底部12Bの下端には流動化剤口46が下向きに開けられている。流動化剤口46には分散板47がはめられている。さらに、流動化剤口46には蓄気室48が連通させられている。
生成ガス主ライン41には切換バルブ51が備えられている。切換バルブ51から蓄気室48に向かって生成ガス副ライン52がのびている。
ガスパイプ44にはサイクロン61、熱交換器62および冷却部63がガス流れ方向に順次備えられている。サイクロン61の底壁にはチャー回収パイプ64の一端が接続されている。チャー回収パイプ64にはチャー貯槽65が備えられている。チャー回収パイプ64は、チャー貯槽65からチャー供給パイプ42に向かってのびて、その途中に合流させられている。空気ライン66が熱交換器62を経由して蓄気室48までのびている。空気ライン66の、熱交換器62より上流側に押込送風機67が備えられ、その下流側には空気バルブ68が備えられている。
空気ライン66と並列に混合ガスライン71が蓄気室48までのびている。混合ガスライン71には蒸気ボイラ72、酸素混合器73および混合ガスバルブ74がガス流れ方向に順次備えられている。ガス冷却部63からドレン噴霧ノズル45までドレンパイプ75がのびている。ドレンパイプ75にはドレンタンク76およびポンプ77が備えられている。
図2および図3は、噴流床炉12下部を概念的に示すものである。生成ガス主ライン41を通じて、生成ガスがフリーボード部12A内面の接線方向に吹き出されるようになっている。吹き出された生成ガスの流れは、図3中の太線矢印で示す方向となる。ドレン噴霧ノズル45の数は、ここでは、3である。3つのドレン噴霧ノズル45は、フリーボード部12A周方向に等間隔で配列されかつ生成ガスの流れ方向下流に向かってドレンを噴霧するようになっている。
炉底部12B下端の直径をdFB、炉底部12B上端の直径、すなわち、フリーボード部12Aの直径をdBとすると、双方の比AS=dFB/dB=0.01〜0.3程度である。この比ASの範囲では、炉底部12Bの空塔速度UBと、フリーボード部12Aの空塔速度UFBとの変化率(r=UB/UFB)は、大きく、フリーボード部12Aの空塔速度は、炉底部12Bの空塔速度と比較して、大幅に減少して低速流となる。そのため、噴流床高さを低く抑えつつ、チャーのガス化反応速度およびタール等の分解反応に必要な時間が確保される。
図4に、分散板47が詳細に示されている。分散板47は、5mm程度の径をもつ多数の丸孔81が千鳥状にあけられた円板状のもので、流動化剤を整流する機能およびチャーを保持する機能を有している。
含水率15%W.B.程度のバイオマスや廃棄物等の原料が原料ホッパ24に蓄えられる。蓄えられた原料は、原料切出装置25によって破砕されながら原料ホッパ24から切出され、つづいて、原料供給装置23によって熱分解炉21に送り込まれる。熱分解炉21およびガス化炉11には押込送風機27から空気パイプ28を通じて高温空気が送り込まれる。供給された原料は、熱分解炉21およびガス化炉11を通じて、総空気比0.25程度で部分燃焼させられ、その結果、熱分解反応によって、揮発成分や水分を主成分とする熱分解ガスと、固形物であるチャーとに分離される。分離されたチャーは、ガス化炉11の底部に蓄えられてチャーベッドと称される堆積層を形成する。堆積層の温度は、800〜900℃である。ガス化炉11内の堆積層の上方には空間が生じており、この空間に導入された高温空気によって、空間を通過する熱分解ガスおよびチャーの中にあるタールが熱分解されてチャーとなる。熱分解ガスが堆積層のチャーの間隙を通過させられることにより、CO、Hガスを発生し、かつ、ガス中のタール分を分解する。
ガス化炉11で生成されたガスは、生成ガス主ライン41を通じて噴流床炉12へ送り込まれる。このときのガス中のタール濃度は、1000mg/Nm程度である。ガス化炉11の底部に堆積させられたチャーは、チャー排出装置22によってガス化炉11から排出され、チャー供給パイプ42を通じて、チャーホッパ31へ送られる。
チャーホッパ31に蓄えられたチャーは、チャー切出装置33によって切出され、チャー供給装置32によって噴流床炉12のフリーボード部12Aへと供給される。供給されたチャーの下方には生成ガス主ライン41によって生成ガスが送り込まれる。噴流床炉12の炉底部12Bにおいて、比較的高い流速でチャーは激しく撹拌され、チャーの大半は微粒化される。
噴流床炉12には蓄気室48を通じて流動化剤が送り込まれる。噴流床炉12の炉内温度やチャー投入量等の状態に対応して、流動化剤は、以下のI〜IVのいずれかが選択される。図示しないが、炉内温度の検出は、フリーボード部12Aに設置した熱電対温度計による。チャー投入量の検出は、チャーホッパ31に設置したレベル計による。
I.水蒸気および酸素
噴流床炉12に対するチャーの負荷(投入量)が少ないとき、
空気バルブ68はOFFとし、混合ガスバルブ74はONとし、切換バルブ51は生成ガス副ライン52への流量をOFFとする。
II.生成ガスの一部および高温空気
噴流床炉12の炉内温度が800〜900℃より低いとき、
空気バルブ68はONとし、混合ガスバルブ74はOFFとし、切換バルブ51は生成ガス副ライン52への流量をONとする。
III.生成ガスの一部、水蒸気および酸素
噴流床炉12に対するチャーの負荷(投入量)が多いとき、
空気バルブ68はOFFとし、混合ガスバルブ74はONとし、切換バルブ51は生成ガス副ライン52への流量をONとする。
IV.生成ガスの一部、高温空気、水蒸気および酸素
噴流床炉12に対するチャーの負荷(投入量)が多く、かつ、噴流床炉12の炉内温度が800〜900℃より低いとき、
空気バルブ68はONとし、混合ガスバルブ74はONとし、切換バルブ51は生成ガス副ライン52への流量をONとする。
選択された以上の流動化剤により、噴流床炉12の炉内温度は800〜900℃程度の雰囲気に保たれる。この雰囲気下で、微粉化されたチャーは、以下の(1)式に示す水性ガス化反応により、CO、Hを生成する。
C+HO→CO+H………(1)
生成ガスに含まれるタール分は、流動化剤中の酸素分によって部分燃焼され減少する。また、介在するチャーと800〜900℃程度の温度で接触させられることにより、タール分の分解が促進される。噴流床炉12から排出される生成ガスのタール濃度は大幅に減少させられる。
噴流床炉12から排出された生成ガスは、サイクロン61、熱交換器62およびガス冷却部63を順次経由して内燃機関43へ送られる。サイクロン61では生成ガス中のチャーが捕捉される。捕捉されたチャーは、チャー貯槽65に貯められた後、チャーホッパ31に戻される。熱交換器62では、押込送風機67から送られた空気が生成ガスの熱と熱交換されて高温とされる。ガス冷却部63では、生成ガスが冷却空気によって冷却されて、ガス中の水分やタールが凝縮され、ドレンとして回収される。回収されたドレンは、タンク76およびポンプ77を経由してドレン噴霧ノズル45へ送られる。噴流床炉12内に噴霧されるドレンは、水性ガス化反応に貢献するとともに、燃焼を適度に抑制する。これにより、生成ガスが不必要に燃焼(消費)することを防止できる。
この発明によるガス化装置の概略構成図である。 同ガス化装置の噴流床炉下部の拡大垂直断面図である。 図2のIII−III線そう水平断面図である。 図2のIV−IV線そう水平断面図である。 従来例を示すガス化装置の概略構成図である。
符号の説明
11 ガス化炉
12 流動床炉
12A 炉底部
45 ドレン噴霧ノズル
46 流動化剤口
48 蓄気室
63 冷却部

Claims (3)

  1. 原料を部分燃焼および/または熱分解してガスおよびチャーを生成する固定床式ガス化炉と、固定床式ガス化炉で生成したチャーが供給されかつ供給されたチャーを部分燃焼および/または熱分解する噴流床炉と備えており、
    噴流床炉は、垂直円筒状フリーボード部と、これの下端に連なる上向きテーパ状炉底部とよりなり
    噴流床炉の底部に、下向き流動化剤口が設けられており、流動化剤口に蓄気室が接続されており
    固定床式ガス化炉からフリーボード部まで生成ガス主ラインがのびており、生成ガス主ラインに切換バルブが備えられており、切換バルブから蓄気室まで生成ガス副ラインがのびている
    ガス化装置。
  2. 蓄気室に、流動化剤として、空気、水蒸気および酸素の少なくともいずれか1つを供給する手段を備えている請求項1に記載のガス化装置。
  3. 噴流床炉からガスを排出する手段と、噴流床炉から排出したガスに含まれるドレンを回収する手段と、回収したドレンを噴流床炉内に噴霧する手段とを備えている請求項1または2に記載のガス化装置。
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