JP2004285366A - 極薄超高張力冷延鋼板およびその製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】極薄超高張力冷延鋼板を提供する。
【解決手段】C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、さらにCrおよびMoを合計で0.2 %以下、Nbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し、ついで冷間圧延を施した後、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下に加熱し、30℃/s 以上の冷却速度で冷却する。板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性に優れる極薄超高張力冷延鋼板が得られる。なお、鋼板表面にめっき層を形成してもよい。
【選択図】 なし
【解決手段】C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、さらにCrおよびMoを合計で0.2 %以下、Nbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し、ついで冷間圧延を施した後、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下に加熱し、30℃/s 以上の冷却速度で冷却する。板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性に優れる極薄超高張力冷延鋼板が得られる。なお、鋼板表面にめっき層を形成してもよい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷延鋼板に係り、とくに、主として自動車、一般家電、家具等の用途、具体的には軽度の曲げ加工、フォーム成形やロールフォーミング等によりハット型断面形状もしくはパイプ状に成形される比較的厳しい絞り成形を施される用途に好適な、板厚:0.8mm 以下で、引張強さ:980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性(穴拡げ性ともいう)にも優れる極薄超高張力冷延鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費改善が要求されている。このような要求に答えるために、自動車車体の軽量化が重要な課題となっている。自動車車体の軽量化のためには、部品素材を高強度化し素材板厚を減少することが効果的であるとの考えにしたがい、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されるようになってきた。
【0003】
自動車車体の更なる軽量化の観点からは、より高い引張強さを有する薄鋼板が要望され、用途によっては、例えば、引張強さ:980 MPa 以上という超高張力を有し、かつ板厚:0.8mm 以下の極薄超高張力鋼板が要望されている。
このような超高張力を有する鋼板としては、例えば、特許文献1に、引張強さ:980 MPa 以上の延性に優れた超高張力冷延鋼板が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−81533号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載された技術では、強化元素を多量に含有させ、また不純物の規定が十分でなく、安定して歩留りよく製造できる超高張力冷延鋼板の最低板厚は、せいぜい1〜1.2mm 程度までであり、板厚:0.8mm 以下、より好ましくは板厚0.75mm以下という極薄物の超高張力冷延鋼板の製造には問題を残していた。また、特許文献1に記載された技術では、熱延鋼板(冷延母板)の強度も同等以上に高くなってしまうため、冷間圧延が不能となったり、中間に焼鈍を行わなければならないなどの問題があった。
【0006】
冷延鋼板は、通常、所定の組成に調整されたスラブに熱間圧延と、冷間圧延とを施し冷延板としたのち、該冷延板に焼鈍処理を施して製造されている。しかし、板厚:0.8mm 以下まで板厚を減少した超高張力極薄鋼板を製造するに当たっては、鋼の変形抵抗が増加するため、熱間圧延や冷間圧延における圧延の安定性が低下し極端な場合には圧延が不可能になるとともに、鋼板の形状を制御することが困難となるという問題があった。
【0007】
また、昨今、鋼材のリサイクル性向上の観点からスクラップの有効活用が図られるようになり、いわゆるトランプエレメントとして、「Nb、Cu、Ni、Cr、Mo」などに代表される元素が、従来に比べ、多量混入するという現象が顕著となっている。最近では、Nb、Cu、Ni、Cr、Moの混入量が、合計では0.2 質量%を上回る場合が多くなっている。これらの元素は鋼の強化元素であり、これらの元素の多量混入により、鋼の強度が上昇することになる。
【0008】
このようにトランプエレメントが多量に混入すると、熱延鋼板が高強度化するため、その後の冷間圧延の圧下率が制限され、極薄冷延鋼板の製造が困難になるという問題があった。このような場合、極薄冷延鋼板を製造する方法として、熱延→酸洗→冷延→焼鈍→冷延→焼鈍といういわゆる2回冷延・2回焼鈍という方法があるが、工程が複雑となり、製造コストの上昇、製造に要する時間の増大等の工業的問題が残されていた。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点を有利に解決し、板厚:0.8mm 以下で、引張強さ:980MPa以上を有する極薄超高張力冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。鋼板の薄肉化による部材の軽量化を十分に達成するには、780MPa級の鋼板では不十分であり、少なくとも980MPa級の鋼板を必要とし、また優れた延性、伸びフランジ性も要求される。また、現状の鋼板の板厚と強度の関係から、板厚は0.8mm 以下、より好ましくは0.75mm以下を対象とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するため、冷間圧延性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。
熱延板は、通常、熱間圧延終了後、ほぼオーステナイト単相域から巻取温度まで冷却された後にコイル状に巻き取られ、その後、コイル自体の熱容量のために冷却速度は顕著に減少するが、最終的に室温まで冷却される加工熱処理を受ける。一方、製品となる冷延焼鈍板は、熱延板を冷間圧延し冷延板としたのち、該冷延板を室温から焼鈍温度まで急速に加熱し、しかるのちに製造の効率をあげるため急速に冷却される熱履歴を受ける。このような熱延板と冷延焼鈍板の加工および熱履歴の相違から、本発明者らは、熱延板が受ける加工熱処理においては高強度化が起こらないが、冷延・焼鈍後には顕著に高強度化する、鋼組成、熱処理条件等の組み合せとすれば、途中階段である熱延板の強度が低強度となり冷間圧延時の負荷が低減でき、その結果冷間圧延性が向上して、板厚:0.80mm以下の極薄超高張力冷延鋼板の製造が容易となることに想到した。
【0011】
すなわち、極薄超高張力冷延鋼板の製造においては、冷間圧延性を向上させるために、熱延板をできるだけ軟質に維持し、その後の、酸洗・冷間圧延工程および連続焼鈍工程で、所望の引張強さを確保すればよいことに思い至った。
このような考えのもとに、本発明者らは、さらに、種々の成分、製造法で鋼板を製造し、多くの材質評価実験を行った。その結果、Mnは、熱延板が受ける加工熱処理では強度増加への寄与は少なく、一方、冷延板が受ける熱処理では強度増加への寄与が顕著となることを見出し、Mnの多量含有が極薄超高張力鋼板の製造では有利であることを知見した。
【0012】
また、Cr、Moは熱延板の受ける加工熱処理条件、冷延板の受ける熱処理条件のいずれでも、強度への寄与が大きく、極薄超高張力鋼板の製造ではCr、Mo含有量を厳しく低減する必要があることを知見した。
このような知見に基づき、本発明者らの更なる検討により、Mnを1.5 質量%以上と多量に含有させるとともに、不純物として混入するCr、Moを合計量で0.2 質量%以下に制限した鋼組成とすることにより、マルテンサイトの混入が抑制され、熱延板の組織がフェライト+パ−ライトまたはフェライト+ベイナイト組織となり、熱延板の引張強さを800MPa以下の低強度に保持でき、しかもその後の冷延−連続焼鈍工程でマルテンサイトの生成量を増加させて鋼板強度を目標の強度まで増加させることができ、延性、伸びフランジ性も十分満足できることを見出した。さらに、熱延板の強度をさらに低強度に保持するためには、熱間圧延時の変形抵抗を増加させるNbの混入量を0.005 %以下に制限することも重要であることを見出した。
【0013】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明は、質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、および不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、引張強さが980MPa以上であり、延性、伸びフランジ性に優れることを特徴とする、板厚が0.8 mm以下の極薄超高張力冷延鋼板であり、また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %を含有することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記した各極薄超高張力冷延鋼板の表層に、めっき層を形成してなる、板厚が0.8mm 以下で引張強さが980MPa以上を有する極薄超高張力めっき鋼板であり、また、本発明では、前記めっき層が、溶融亜鉛めっき層であることが好ましい。
また、本発明は、質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、さらに不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程と、を順次施すことを特徴とする、板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性に優れる極薄超高張力冷延鋼板の製造方法であり、また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %およびまたはREM :0.005 〜0.020 %を含有することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、さらに不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程とを施し、ついで該冷延焼鈍板に、表面にめっき層を形成するめっき処理工程を施すことを特徴とする、板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性に優れる極薄超高張力めっき鋼板の製造方法であり、また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %を含有することが好ましい。また、本発明では、前記めっき層が、溶融亜鉛めっき層であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の極薄超高張力冷延鋼板は、板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、さらに延性、伸びフランジ性にも優れた冷延鋼板である。なお、本発明でいう「延性に優れる」とは、伸びが10%以上であり、また「伸びフランジ性に優れる」とは、穴拡げ試験により評価される穴拡げ率が70%以上であることをいうものとする。
【0017】
まず、本発明の極薄超高張力冷延鋼板の組成限定理由について、説明する。なお、以下、組成における質量%は、単に%と記す。
C:0.05〜0.25%
Cは、鋼板強度を増加させる元素であり、所望の強度を確保するために本発明では0.05%以上の含有を必要とするが、0.25%を超えて含有するとスポット溶接性、アーク溶接性などが顕著に低下する。このため、Cは0.05〜0.25%の範囲に限定した。なお、成形性の向上という観点からは0.20%以下とすることが好ましい。また、特に良好な延性が要求される用途に対しては、0.18%以下とすることがより好ましい。なお、C含有量を0.05%以上とすることにより、高強度化のために必要な、硬質な第二相を必要十分な量だけ分散させることができる。
【0018】
Si:0.05%以下
Siは、熱間圧延および冷間圧延における変形抵抗を増加させる元素であり、熱延板の強度を低下させ、冷間圧延性を向上させる必要のある本発明ではできるだけ低減することが望ましい。Si含有量が0.05%を超えると、熱延板の強度が同一であっても、冷間圧延時の負荷が顕著に増大する傾向を示す。このため、Siは0.05%以下に限定した。なお、さらなる極薄物の製造に際しては、Siは0.02%以下とすることが好ましい。
【0019】
Mn:1.5 〜3.5 %
Mnは、Sによる熱間割れを防止し、熱延板の強度増加を抑制しつつ、冷延鋼板の強度を増加させ、さらに結晶粒を微細化する有用な元素であり、本発明では1.5 %程度以上の含有を必要とする。Mnを1.5 %以上含有させることにより、巻取温度での保熱または巻取り温度から徐冷程度の熱履歴でも比較的短時間に、ベイナイト変態、パ−ライト変態を生じやすく、熱延板の組織にマルテンサイトの混入を抑制できるため、熱延板の強度を比較的低強度に維持でき、熱延板の冷間圧延性が向上する。
【0020】
一方、3.5 %を超えるMnの含有は、詳細な機構は不明であるが、鋼板の熱間変形抵抗を増加させる傾向があり、またさらに溶接性や溶接部の成形性が劣化する傾向となり、また、フェライトの生成が顕著に抑制され、延性が顕著に低下する。このようなことから、Mnは1.5 〜3.5 %の範囲に限定した。なお、Mn含有量を2.0 %以上とすることにより、熱延条件の変動による鋼板の機械的性質の変化が顕著に抑制されるという効果が期待されるため、Mnは2.0 %以上含有することが望ましい。
【0021】
P:0.01%以下
Pは、鋼の強度を増加させ、鋼板の延性を低下させ、鋼板の伸びフランジ加工性を劣化させる元素であり、また、Pは鋼中で偏析する傾向が強く、偏析に起因して溶接部の脆化をもたらす。このため、Pはできるだけ低減することが好ましく、本発明ではその上限を0.01%とした。なお、特に延性、伸びフランジ加工性が重視される用途では、0.005 %以下とすることが好ましい。
【0022】
S:0.003 %以下
Sは、鋼中では介在物として存在し、鋼板の延性を低下させ、さらには耐食性の劣化をもたらすため、できるだけ低減することが好ましく、本発明では0.003 %以下に限定した。なお、特に、優れた伸びフランジ加工性が要求される用途には、0.002 %以下とすることが望ましい。
【0023】
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を向上させ、また、組織を微細化する作用を有する有用な元素である。このような効果を得るためには0.005 %以上含有することが望ましい。一方、0.10%を超えて含有すると、表面性状の悪化、固溶Nの顕著な低下に繋がる。このため、Alは、0.10%以下に限定した。なお、材質安定性の観点から、0.005 〜0.06%とすることが望ましい。
【0024】
N:0.0050〜0.0250%
Nは、固溶強化、歪時効硬化により鋼板の強度(降伏強さおよび引張強さ)を上昇させる作用を有する元素であり、このような効果は0.0050%以上の含有で安定して認められるようになる。また、Nは鋼の変態点を降下させる作用もあり、薄物で変態点を大きく割り込んだ圧延を行いたくない場合には、Nの含有は有効となる。一方、0.0250%を超えて含有すると、連続鋳造時のスラブ割れなどの発生率が顕著に高くなるとともに、鋼板の内部欠陥発生率が高くなる。このため、Nは0.0050〜0.0250%の範囲に限定した。なお、本発明範囲程度のN含有であれば、アーク溶接、抵抗溶接、高周波溶接、電子ビーム溶接などの溶接性等への悪影響は全くない。なお、製造工程全体を考慮した材質の安定性・歩留り向上という観点から、0.0070〜0.0170%の範囲とすることが好ましい。
【0025】
上記した基本成分の限定に加えて、本発明では、不純物として混入する元素のうち、CrおよびMo、およびNbを、次に示す所定値以下に限定する。
不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下
Cr、Moは、冷延板の焼鈍に際し、軟質なフェライト、低強度のパーライトの生成を抑制して、冷延焼鈍板(製品)の強度を増加させることができるが、一方では、熱間圧延の変形抵抗を高めるとともに、熱間圧延後の冷却に際し、ベイナイト変態、パ−ライト変態を抑制し、巻取温度からの徐冷でもマルテンサイト変態を生じ易くし、熱延板の強度を顕著に増加させる。このため、本発明では、不純物としてのCr、Moをできるだけ低減する必要があり、本発明ではCrおよびMoを合計で0.2 %以下に限定した。より好ましくは0.17%以下である。なお、鋼板板厚が薄い場合には、合計で0.1 %以下とすること好ましい。
【0026】
なお、不純物としてのCrおよびMoを低減するためには、鉄源として使用する溶銑、合金鉄中に不純物としてMo、Cr等が混入しているため、これらの含有量が少ない鉄源(溶銑、合金鉄)を使用するとともに、設備・工程上、これらの元素の混入を防止することが肝要となる。
不純物としてのNbを0.005 %以下
Nbは、熱間圧延時の変形抵抗を顕著に増加させる元素であり、熱延板の強度を低強度とする必要のある本発明ではできるだけ低減する必要がある。Nbは熱延板の強度を上昇させるだけで、連続焼鈍を施されて製造される冷延鋼板の強度を増加させる効果は小さく、この観点からも低減することが望ましい。また、Nbは再結晶温度を上昇させるため、連続焼鈍に際し、より高い温度での焼鈍が必要となる。高温度での焼鈍は、本発明におけるような極薄物では、鋼板の破断などの操業上の問題点を発生する危険性が顕著に増大し、好ましくない。Nbを0.005 %以下に低減すれば、ほぼ問題のないレベルとなる。このようなことから、Nbを0.005 %以下に限定した。なお、より好ましくは0.002 %以下である。
【0027】
Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %
Ca、REM は、いずれも介在物の形態制御を介し、表面欠陥の発生などを伴うことなく伸びフランジ性を改善する作用を有しており、必要に応じ選択して単独または複合して含有できる。なお、これらを複合含有してもその効果が相殺されることはない。このような効果は、Ca:0.001 %以上、REM :0.005 %以上の含有で認められるが、Ca:0.020 %、REM :0.020 %を超えて含有すると、介在物量が増加して清浄度が低下する。このため、Caは0.001 〜0.020 %、REM は0.005 〜0.020 %に限定することが好ましい。
【0028】
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、例えば、Ti:0.010 %以下が許容できる。
次に本発明鋼板の製造方法について説明する。
上記した組成の溶鋼を、転炉等公知の溶製方法で溶製したのち、公知の鋳造方法で鋼スラブとすることが好ましい。鋳造方法は、公知の方法がいずれも適用できるが、成分のマクロな偏析を防止するため、連続鋳造法を用いることが望ましい。また、造塊法、薄スラブ鋳造法を用いてもなんら問題はない。
【0029】
鋼スラブは、ついで、所定の温度以上に加熱されたのち、熱間圧延を施され熱延板とする熱間圧延工程を施される。
鋼スラブは、一旦室温まで冷却し、その後再度、所定の温度以上に加熱して熱間圧延される。あるいは鋼スラブの温度が高い場合には、鋼スラブを室温に冷却することなく、温片のままで加熱炉に挿入し所定の温度以上まで加熱した後、あるいは加熱炉に挿入しわずかの保熱を行い所定の温度以上とした後に、直ちに熱間圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスを適用することもできる。特に、固溶状態のNを有効確保するには直送圧延は有用な技術の一つである。
【0030】
スラブ加熱温度(SRT ):1000℃以上
鋼スラブは、1000℃以上の所定のスラブ加熱温度に加熱され熱間圧延される。スラブ加熱温度が1000℃未満では、初期状態として均一な組織を得ることができない。スラブ加熱温度を1000℃以上とすることで、熱間圧延開始の組織としては十分に均一な組織となる。なお、スラブ加熱温度の上限は特に限定する必要はないが、酸化重量の増加にともなう歩留低下の観点から、1280℃以下とすることが好ましい。
【0031】
熱間圧延では、上記したスラブ加熱温度以上に加熱された鋼スラブに、好ましくは粗圧延と、仕上圧延を施し、熱延板とすることが好ましい。
粗圧延は、所定厚さのシ−トバ−が得られればよく、その条件はとくに限定されない。
仕上圧延は、仕上圧延出側温度FTを800 ℃以上とする圧延とする。
【0032】
仕上圧延出側温度(FT):800 ℃以上
仕上圧延出側温度が800 ℃未満では、熱延板組織が不均一になる。この熱延板組織の不均一性は、冷間圧延、焼鈍後においても消えずに残留するため、プレス成形時に種々の不具合を発生する危険性が増大する。仕上圧延出側温度が800 ℃未満の場合に、加工組織の残留を回避すべく高い巻取温度を採用すると、粗大粒が発生し、それに伴いプレス成形時に種々の不具合を発生する危険性が増大する。また高い巻取温度を採用すると、固溶Nの顕著な低下も生じ、所望の強度を確保することができなくなる。このため、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とすることが好ましい。仕上圧延出側温度を800 ℃以上とすることにより、均一微細な熱延組織を得ることができる。なお、機械的特性向上の観点から、820 ℃以上とすることがより好ましい。仕上圧延出側温度の上限はとくに限定されないが、スケール疵の発生防止を考慮しておおむね1000℃程度までとすることが好ましい。
【0033】
仕上げ圧延終了後、熱延板は冷却され、コイル状に巻き取られる。熱延後の冷却速度は、とくに限定されないが、熱延板の強度を低下させるためには、熱延終了後水冷を行い、冷却中の平均冷却速度を10℃〜150 ℃/s として巻取温度まで冷却することが好ましい。この範囲内の冷却速度であれば、制御が比較的容易であり、冷却速度の不均一に起因する材質の不均一や形状の不均一の発生を回避することができる。
【0034】
巻取温度CT: 550℃以上
巻取温度が上昇することにより、熱延板強度は低下する傾向にある。本発明では、巻取温度を 550℃以上とすることが好ましい。鋼板組成を上記したような高Mn−低Cr、Mo−低Nb系とし、巻取温度を550 ℃以上に調整することにより、マルテンサイトの混入を防止でき、上部ベイナイトないしはベイニティックフェライト主体の組織を有する熱延板とすることができ、熱延板の引張強さを800MPa以下まで有効に低下させることができる。Cr、Moの含有量が0.2 %を上回る、あるいはNbの含有量が0.005 %を上回る組成の熱延板ではこのような熱延板の軟質化は達成できない。なお、巻取温度の上限は、とくに限定されないが、熱延板(コイル)幅方向の均一性の観点から概ね 750℃以下とすることがより好ましい。さらに軟質な熱延板が要求される場合には、580 〜720 ℃の温度範囲とすることがさらに好ましい。上記した熱間圧延工程により熱延板の引張強度を800MPa以下とすることができる。熱延板の引張強さを800MPa以下とするにより、通常の製品幅である920 〜1600mm程度の熱延板の冷間圧延性を顕著に改善できる。
【0035】
なお、上記した熱間圧延工程において、現在、一部で実用化されている連続圧延技術を適用することは、鋼板の形状・寸法精度の向上および鋼板の長手方向および幅方向の材質均一化のために極めて有効である。また、この連続圧延技術に加えて、材質均一化のために圧延温度をコイルの長手方向、幅方向に均一化するシートバーエッジヒーターを使用することは極めて有効である。また、圧延後の冷却においてエッジ部の過冷却を防止するために幅方向に冷却水のマスキングを行う技術も材質均一化の観点から有効である。
【0036】
コイル状に巻き取られた熱延板は、ついで好ましくは酸洗を施されたのち、冷間圧延を施され冷延板とする冷間圧延工程を施される。酸洗は、常法に準じて行うことが好ましいが、極めて薄いスケールの状態であれば酸洗することなく直接冷間圧延することも可能である。
冷間圧延は、所定寸法の冷延板を得ることができればよく、圧下率、圧延方法等の条件は特に限定されないが、組織の均一・微細化の観点から、冷間圧下率は30%以上とすることが好ましい。また、生産性の観点からは、冷間圧下率は高い方が好ましい。
【0037】
ついで冷延板は、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程を施される。なお、連続焼鈍処理工程の前に、冷延板に酸洗処理を施すことが好ましい。
焼鈍温度:再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下
焼鈍温度は、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の温度とすることが好ましい。焼鈍温度は、かならずしも完全再結晶状態にする必要はなく、概ね80%以上の再結晶率が確保できる温度以上であれば良い。ここで、完全に再結晶が生ずるより低い温度でα→γ変態が生ずる場合、γ相は再結晶組織と考える。再結晶率が80%未満では十分な成形性を有する冷延焼鈍板とすることができない。一方、焼鈍温度が900 ℃を超えて高温となると、成形性は顕著に向上するが、鋼板強度が低下し、連続焼鈍処理中に板破断が生じる危険性が増大するとともに、さらに、表面の合金元素濃化が顕著となり、塗装性の低下、不めっきの発生が顕著となる。このため、焼鈍温度は概ね900 ℃以下とすることが好ましい。なお、再結晶率が80%となる温度は、冷延ままの鋼板を種々の温度で焼鈍して微細組織を観察し、その観察結果より、圧延組織ではない組織が観察される面積率を再結晶率としてもとめその値を用いるものとする。
【0038】
焼鈍温度から600 ℃までの温度域の冷却速度:30℃/s 以上
本発明では、最終製品(冷延焼鈍板)の強度を所望の強度とするために、いわゆる変態組織強化を利用している。そのために、連続焼鈍工程の冷却を比較的急冷とし、いわゆる拡散型変態組織の生成を抑制して、最終製品(冷延焼鈍板)の微視組織をマルテンサイトを主体とし一部ベイナイトを含むフェライトとマルテンサイトの混合組織や、マルテンサイトあるいはベイナイトの単相、あるいはベイナイトとマルテンサイトの混合組織とし、これにより前記したような成分組成であっても、引張強度が980MPa以上を達成する。このような微視組織とするには、焼鈍温度から、少なくとも 600℃までの温度域を30℃/s 以上、さらに望ましくは50℃/s以上の冷却速度で冷却することが好ましい。しかし、 300℃/s を上回るような急速冷却を行うと、極薄鋼板であるため冷却速度の不均一により形状不良、機械的特性の幅方向の不均一などの発生が顕著となるため、 300℃/s を上限とすることが好ましい。なお、600 ℃以下の温度域での冷却は特に限定する必要はなく、例えば600 ℃までの温度域に引き続き急速冷却を行ってもよく、空冷してもよい。
【0039】
このようにして得られた冷延焼鈍板に、さらに鋼板の表面にめっき層を形成するめっき処理工程を施してもよい。めっき処理工程は、溶融亜鉛めっき処理とする場合には、連続処理工程の冷却途中から連続して行うことが好ましい。あるいは連続処理せずに、室温まで冷却したのち、別に独立してめっき処理してもよい。
【0040】
形成されるめっき層の種類は、とくに限定されないが、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、アルミめっき層、および各種組成の亜鉛アルミ合金めっき層とすることが好ましい。また、めっき層の形成方法は、特に限定する必要はなく、常法に準じて溶融金属浴への浸漬を行う等により行うことができる。なお、めっき処理を行う前に、処理ラインの入側にて酸洗を行うことが好ましい。酸洗を行うことにより、最終製品のめっき密着性を向上させることができる。
【0041】
なお、連続焼鈍処理工程後、あるいはめっき処理工程後に、形状矯正、粗度調整、および歪時効硬化特性の安定向上を目的として、調質圧延(スキンパス圧延)、および/またはレベラ加工を施してもよい。調質圧延の伸び率あるいはレべラー加工の伸び率は単独あるいは合計して0.3 〜15%とすることが好ましい。調質(スキンパス)圧延またはレべラー加工の伸び率は、おおむね0.3 %以上であれば十分であるが、15%を超えると延性の低下をもたらす。なお、調質圧延(スキンパス圧延)においても、レべラー加工においてもその効果は大きな差異がないことを確認している。
【0042】
【実施例】
表1に示す成分を含み、残部が実質的にFeからなる溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼スラブ(板厚:260mm )とした。これら鋼スラブに、表2に示す条件の熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、さらに該熱延板に酸洗を施したのち、表2に示す条件の冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、ついで該冷延板に連続焼鈍処理を施し冷延焼鈍板とする連続焼鈍工程とを順次施し製品(冷延鋼板)とした。なお、再結晶率80%となる温度は、冷延未焼鈍板を予め600 ℃以上で10℃間隔で焼鈍温度を設定して焼鈍したのち各焼鈍温度の焼鈍板の微細組織観察を行い、未再結晶組織(圧延組織)ではない組織が観察される面積率を求め、これを再結晶率とし、再結晶率が80%以上となる最低の温度を再結晶率が80%となる温度として求めた。また、冷間圧延に際しては、冷間圧延性を圧延荷重と割れの有無により測定し、荷重が大あるいは割れ発生の場合には冷間圧延困難として評価した。また、冷間圧延鋼板の厚さ、形状を測定し、板厚精度が長手方向で70μm を超えるバラツキをもつとき寸法精度不良とし、JIS G3135 に記載の平坦度すなわち、定盤上で測定した波高さが10mm以上のとき形状不良とした。
【0043】
また、一部の鋼板では、熱延鋼板を酸洗し、次いで冷間圧延後に、連続溶融亜鉛めっきラインを利用して冷延焼鈍板とした後、その表面に溶融亜鉛めっき層を形成し、製品(溶融亜鉛めっき鋼板)とした。
得られた製品から試験片を採取して、引張試験、穴拡げ試験を実施した。試験方法は下記のとおりとした。
(1)引張試験
各製品(冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板)からJIS 5号引張試験片を採取しJIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性( 降伏応力YS、引張強さTS、伸びEl) を求めた。なお、引張試験片の長手方向を鋼板の圧延直角方向と一致させた。また、冷間圧延工程前の熱延板から同様にJIS 5号引張試験片を採取し、同様に引張試験を実施し、熱延板の引張強さTSを求めた。
(2)穴拡げ試験
各製品(冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板)から試験片を採取して、日本鉄鋼連盟規格JFS−T1001−1996の規定に準拠して穴拡げ試験を行った。試験片( 大きさ:100 ×100 mm)に、穴径d0 (=10mm)の初期穴をクリアランス12.5%で打ち抜き、ついで初期穴のバリをダイ側(すなわち円錐パンチの反対側)として円錐パンチ(頂角60°)を初期穴に挿入して亀裂が鋼板を貫通するまで穴拡げを行い、亀裂が鋼板を貫通した時点での穴径dを求めた。d0 、d値を使用し、次式
λ=100 ×(d−d0 )/d0
(ここで、d0 :初期穴径(=10mm)、d:亀裂が鋼板を貫通した時点での穴径)
から、穴拡げ率λ(%)を算出し、伸びフランジ性を評価した。
【0044】
得られた結果を表3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
本発明例はいずれも、寸法精度の低下や冷間圧延性の低下もなく、980MPa以上の引張強さと、優れた延性および優れた伸びフランジ性を有する極薄超高張力冷延鋼板あるいは極薄超高張力溶融亜鉛めっき鋼板となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、引張強さが980MPa未満であるか、延性、伸びフランジ性が低下するか、あるいは寸法精度の低下や冷間圧延性の低下がみられ、所望の極薄超高張力冷延鋼板あるいは極薄超高張力溶融亜鉛めっき鋼板となっていない。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、980MPa以上の高い引張強さを有する板厚:0.8mm 以下の極薄超高張力冷延鋼板、極薄超高張力めっき鋼板が容易にしかも安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷延鋼板に係り、とくに、主として自動車、一般家電、家具等の用途、具体的には軽度の曲げ加工、フォーム成形やロールフォーミング等によりハット型断面形状もしくはパイプ状に成形される比較的厳しい絞り成形を施される用途に好適な、板厚:0.8mm 以下で、引張強さ:980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性(穴拡げ性ともいう)にも優れる極薄超高張力冷延鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の保全という観点から、自動車の燃費改善が要求されている。このような要求に答えるために、自動車車体の軽量化が重要な課題となっている。自動車車体の軽量化のためには、部品素材を高強度化し素材板厚を減少することが効果的であるとの考えにしたがい、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されるようになってきた。
【0003】
自動車車体の更なる軽量化の観点からは、より高い引張強さを有する薄鋼板が要望され、用途によっては、例えば、引張強さ:980 MPa 以上という超高張力を有し、かつ板厚:0.8mm 以下の極薄超高張力鋼板が要望されている。
このような超高張力を有する鋼板としては、例えば、特許文献1に、引張強さ:980 MPa 以上の延性に優れた超高張力冷延鋼板が提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−81533号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載された技術では、強化元素を多量に含有させ、また不純物の規定が十分でなく、安定して歩留りよく製造できる超高張力冷延鋼板の最低板厚は、せいぜい1〜1.2mm 程度までであり、板厚:0.8mm 以下、より好ましくは板厚0.75mm以下という極薄物の超高張力冷延鋼板の製造には問題を残していた。また、特許文献1に記載された技術では、熱延鋼板(冷延母板)の強度も同等以上に高くなってしまうため、冷間圧延が不能となったり、中間に焼鈍を行わなければならないなどの問題があった。
【0006】
冷延鋼板は、通常、所定の組成に調整されたスラブに熱間圧延と、冷間圧延とを施し冷延板としたのち、該冷延板に焼鈍処理を施して製造されている。しかし、板厚:0.8mm 以下まで板厚を減少した超高張力極薄鋼板を製造するに当たっては、鋼の変形抵抗が増加するため、熱間圧延や冷間圧延における圧延の安定性が低下し極端な場合には圧延が不可能になるとともに、鋼板の形状を制御することが困難となるという問題があった。
【0007】
また、昨今、鋼材のリサイクル性向上の観点からスクラップの有効活用が図られるようになり、いわゆるトランプエレメントとして、「Nb、Cu、Ni、Cr、Mo」などに代表される元素が、従来に比べ、多量混入するという現象が顕著となっている。最近では、Nb、Cu、Ni、Cr、Moの混入量が、合計では0.2 質量%を上回る場合が多くなっている。これらの元素は鋼の強化元素であり、これらの元素の多量混入により、鋼の強度が上昇することになる。
【0008】
このようにトランプエレメントが多量に混入すると、熱延鋼板が高強度化するため、その後の冷間圧延の圧下率が制限され、極薄冷延鋼板の製造が困難になるという問題があった。このような場合、極薄冷延鋼板を製造する方法として、熱延→酸洗→冷延→焼鈍→冷延→焼鈍といういわゆる2回冷延・2回焼鈍という方法があるが、工程が複雑となり、製造コストの上昇、製造に要する時間の増大等の工業的問題が残されていた。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の問題点を有利に解決し、板厚:0.8mm 以下で、引張強さ:980MPa以上を有する極薄超高張力冷延鋼板およびその製造方法を提供することを目的とする。鋼板の薄肉化による部材の軽量化を十分に達成するには、780MPa級の鋼板では不十分であり、少なくとも980MPa級の鋼板を必要とし、また優れた延性、伸びフランジ性も要求される。また、現状の鋼板の板厚と強度の関係から、板厚は0.8mm 以下、より好ましくは0.75mm以下を対象とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した課題を達成するため、冷間圧延性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。
熱延板は、通常、熱間圧延終了後、ほぼオーステナイト単相域から巻取温度まで冷却された後にコイル状に巻き取られ、その後、コイル自体の熱容量のために冷却速度は顕著に減少するが、最終的に室温まで冷却される加工熱処理を受ける。一方、製品となる冷延焼鈍板は、熱延板を冷間圧延し冷延板としたのち、該冷延板を室温から焼鈍温度まで急速に加熱し、しかるのちに製造の効率をあげるため急速に冷却される熱履歴を受ける。このような熱延板と冷延焼鈍板の加工および熱履歴の相違から、本発明者らは、熱延板が受ける加工熱処理においては高強度化が起こらないが、冷延・焼鈍後には顕著に高強度化する、鋼組成、熱処理条件等の組み合せとすれば、途中階段である熱延板の強度が低強度となり冷間圧延時の負荷が低減でき、その結果冷間圧延性が向上して、板厚:0.80mm以下の極薄超高張力冷延鋼板の製造が容易となることに想到した。
【0011】
すなわち、極薄超高張力冷延鋼板の製造においては、冷間圧延性を向上させるために、熱延板をできるだけ軟質に維持し、その後の、酸洗・冷間圧延工程および連続焼鈍工程で、所望の引張強さを確保すればよいことに思い至った。
このような考えのもとに、本発明者らは、さらに、種々の成分、製造法で鋼板を製造し、多くの材質評価実験を行った。その結果、Mnは、熱延板が受ける加工熱処理では強度増加への寄与は少なく、一方、冷延板が受ける熱処理では強度増加への寄与が顕著となることを見出し、Mnの多量含有が極薄超高張力鋼板の製造では有利であることを知見した。
【0012】
また、Cr、Moは熱延板の受ける加工熱処理条件、冷延板の受ける熱処理条件のいずれでも、強度への寄与が大きく、極薄超高張力鋼板の製造ではCr、Mo含有量を厳しく低減する必要があることを知見した。
このような知見に基づき、本発明者らの更なる検討により、Mnを1.5 質量%以上と多量に含有させるとともに、不純物として混入するCr、Moを合計量で0.2 質量%以下に制限した鋼組成とすることにより、マルテンサイトの混入が抑制され、熱延板の組織がフェライト+パ−ライトまたはフェライト+ベイナイト組織となり、熱延板の引張強さを800MPa以下の低強度に保持でき、しかもその後の冷延−連続焼鈍工程でマルテンサイトの生成量を増加させて鋼板強度を目標の強度まで増加させることができ、延性、伸びフランジ性も十分満足できることを見出した。さらに、熱延板の強度をさらに低強度に保持するためには、熱間圧延時の変形抵抗を増加させるNbの混入量を0.005 %以下に制限することも重要であることを見出した。
【0013】
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明は、質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、および不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、引張強さが980MPa以上であり、延性、伸びフランジ性に優れることを特徴とする、板厚が0.8 mm以下の極薄超高張力冷延鋼板であり、また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %を含有することが好ましい。
【0014】
また、本発明は、上記した各極薄超高張力冷延鋼板の表層に、めっき層を形成してなる、板厚が0.8mm 以下で引張強さが980MPa以上を有する極薄超高張力めっき鋼板であり、また、本発明では、前記めっき層が、溶融亜鉛めっき層であることが好ましい。
また、本発明は、質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、さらに不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程と、を順次施すことを特徴とする、板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性に優れる極薄超高張力冷延鋼板の製造方法であり、また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %およびまたはREM :0.005 〜0.020 %を含有することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、質量%で、C:0.05〜0.25%、Si:0.05%以下、Mn:1.5 〜3.5 %、P:0.01%以下、S:0.003 %以下、Al:0.10%以下、N:0.0050〜0.0250%を含み、さらに不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程とを施し、ついで該冷延焼鈍板に、表面にめっき層を形成するめっき処理工程を施すことを特徴とする、板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、延性、伸びフランジ性に優れる極薄超高張力めっき鋼板の製造方法であり、また、本発明では、前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %を含有することが好ましい。また、本発明では、前記めっき層が、溶融亜鉛めっき層であることが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の極薄超高張力冷延鋼板は、板厚が0.8mm 以下で、引張強さが980MPa以上を有し、さらに延性、伸びフランジ性にも優れた冷延鋼板である。なお、本発明でいう「延性に優れる」とは、伸びが10%以上であり、また「伸びフランジ性に優れる」とは、穴拡げ試験により評価される穴拡げ率が70%以上であることをいうものとする。
【0017】
まず、本発明の極薄超高張力冷延鋼板の組成限定理由について、説明する。なお、以下、組成における質量%は、単に%と記す。
C:0.05〜0.25%
Cは、鋼板強度を増加させる元素であり、所望の強度を確保するために本発明では0.05%以上の含有を必要とするが、0.25%を超えて含有するとスポット溶接性、アーク溶接性などが顕著に低下する。このため、Cは0.05〜0.25%の範囲に限定した。なお、成形性の向上という観点からは0.20%以下とすることが好ましい。また、特に良好な延性が要求される用途に対しては、0.18%以下とすることがより好ましい。なお、C含有量を0.05%以上とすることにより、高強度化のために必要な、硬質な第二相を必要十分な量だけ分散させることができる。
【0018】
Si:0.05%以下
Siは、熱間圧延および冷間圧延における変形抵抗を増加させる元素であり、熱延板の強度を低下させ、冷間圧延性を向上させる必要のある本発明ではできるだけ低減することが望ましい。Si含有量が0.05%を超えると、熱延板の強度が同一であっても、冷間圧延時の負荷が顕著に増大する傾向を示す。このため、Siは0.05%以下に限定した。なお、さらなる極薄物の製造に際しては、Siは0.02%以下とすることが好ましい。
【0019】
Mn:1.5 〜3.5 %
Mnは、Sによる熱間割れを防止し、熱延板の強度増加を抑制しつつ、冷延鋼板の強度を増加させ、さらに結晶粒を微細化する有用な元素であり、本発明では1.5 %程度以上の含有を必要とする。Mnを1.5 %以上含有させることにより、巻取温度での保熱または巻取り温度から徐冷程度の熱履歴でも比較的短時間に、ベイナイト変態、パ−ライト変態を生じやすく、熱延板の組織にマルテンサイトの混入を抑制できるため、熱延板の強度を比較的低強度に維持でき、熱延板の冷間圧延性が向上する。
【0020】
一方、3.5 %を超えるMnの含有は、詳細な機構は不明であるが、鋼板の熱間変形抵抗を増加させる傾向があり、またさらに溶接性や溶接部の成形性が劣化する傾向となり、また、フェライトの生成が顕著に抑制され、延性が顕著に低下する。このようなことから、Mnは1.5 〜3.5 %の範囲に限定した。なお、Mn含有量を2.0 %以上とすることにより、熱延条件の変動による鋼板の機械的性質の変化が顕著に抑制されるという効果が期待されるため、Mnは2.0 %以上含有することが望ましい。
【0021】
P:0.01%以下
Pは、鋼の強度を増加させ、鋼板の延性を低下させ、鋼板の伸びフランジ加工性を劣化させる元素であり、また、Pは鋼中で偏析する傾向が強く、偏析に起因して溶接部の脆化をもたらす。このため、Pはできるだけ低減することが好ましく、本発明ではその上限を0.01%とした。なお、特に延性、伸びフランジ加工性が重視される用途では、0.005 %以下とすることが好ましい。
【0022】
S:0.003 %以下
Sは、鋼中では介在物として存在し、鋼板の延性を低下させ、さらには耐食性の劣化をもたらすため、できるだけ低減することが好ましく、本発明では0.003 %以下に限定した。なお、特に、優れた伸びフランジ加工性が要求される用途には、0.002 %以下とすることが望ましい。
【0023】
Al:0.10%以下
Alは、脱酸剤として作用し、鋼の清浄度を向上させ、また、組織を微細化する作用を有する有用な元素である。このような効果を得るためには0.005 %以上含有することが望ましい。一方、0.10%を超えて含有すると、表面性状の悪化、固溶Nの顕著な低下に繋がる。このため、Alは、0.10%以下に限定した。なお、材質安定性の観点から、0.005 〜0.06%とすることが望ましい。
【0024】
N:0.0050〜0.0250%
Nは、固溶強化、歪時効硬化により鋼板の強度(降伏強さおよび引張強さ)を上昇させる作用を有する元素であり、このような効果は0.0050%以上の含有で安定して認められるようになる。また、Nは鋼の変態点を降下させる作用もあり、薄物で変態点を大きく割り込んだ圧延を行いたくない場合には、Nの含有は有効となる。一方、0.0250%を超えて含有すると、連続鋳造時のスラブ割れなどの発生率が顕著に高くなるとともに、鋼板の内部欠陥発生率が高くなる。このため、Nは0.0050〜0.0250%の範囲に限定した。なお、本発明範囲程度のN含有であれば、アーク溶接、抵抗溶接、高周波溶接、電子ビーム溶接などの溶接性等への悪影響は全くない。なお、製造工程全体を考慮した材質の安定性・歩留り向上という観点から、0.0070〜0.0170%の範囲とすることが好ましい。
【0025】
上記した基本成分の限定に加えて、本発明では、不純物として混入する元素のうち、CrおよびMo、およびNbを、次に示す所定値以下に限定する。
不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下
Cr、Moは、冷延板の焼鈍に際し、軟質なフェライト、低強度のパーライトの生成を抑制して、冷延焼鈍板(製品)の強度を増加させることができるが、一方では、熱間圧延の変形抵抗を高めるとともに、熱間圧延後の冷却に際し、ベイナイト変態、パ−ライト変態を抑制し、巻取温度からの徐冷でもマルテンサイト変態を生じ易くし、熱延板の強度を顕著に増加させる。このため、本発明では、不純物としてのCr、Moをできるだけ低減する必要があり、本発明ではCrおよびMoを合計で0.2 %以下に限定した。より好ましくは0.17%以下である。なお、鋼板板厚が薄い場合には、合計で0.1 %以下とすること好ましい。
【0026】
なお、不純物としてのCrおよびMoを低減するためには、鉄源として使用する溶銑、合金鉄中に不純物としてMo、Cr等が混入しているため、これらの含有量が少ない鉄源(溶銑、合金鉄)を使用するとともに、設備・工程上、これらの元素の混入を防止することが肝要となる。
不純物としてのNbを0.005 %以下
Nbは、熱間圧延時の変形抵抗を顕著に増加させる元素であり、熱延板の強度を低強度とする必要のある本発明ではできるだけ低減する必要がある。Nbは熱延板の強度を上昇させるだけで、連続焼鈍を施されて製造される冷延鋼板の強度を増加させる効果は小さく、この観点からも低減することが望ましい。また、Nbは再結晶温度を上昇させるため、連続焼鈍に際し、より高い温度での焼鈍が必要となる。高温度での焼鈍は、本発明におけるような極薄物では、鋼板の破断などの操業上の問題点を発生する危険性が顕著に増大し、好ましくない。Nbを0.005 %以下に低減すれば、ほぼ問題のないレベルとなる。このようなことから、Nbを0.005 %以下に限定した。なお、より好ましくは0.002 %以下である。
【0027】
Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %
Ca、REM は、いずれも介在物の形態制御を介し、表面欠陥の発生などを伴うことなく伸びフランジ性を改善する作用を有しており、必要に応じ選択して単独または複合して含有できる。なお、これらを複合含有してもその効果が相殺されることはない。このような効果は、Ca:0.001 %以上、REM :0.005 %以上の含有で認められるが、Ca:0.020 %、REM :0.020 %を超えて含有すると、介在物量が増加して清浄度が低下する。このため、Caは0.001 〜0.020 %、REM は0.005 〜0.020 %に限定することが好ましい。
【0028】
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。なお、不可避的不純物としては、例えば、Ti:0.010 %以下が許容できる。
次に本発明鋼板の製造方法について説明する。
上記した組成の溶鋼を、転炉等公知の溶製方法で溶製したのち、公知の鋳造方法で鋼スラブとすることが好ましい。鋳造方法は、公知の方法がいずれも適用できるが、成分のマクロな偏析を防止するため、連続鋳造法を用いることが望ましい。また、造塊法、薄スラブ鋳造法を用いてもなんら問題はない。
【0029】
鋼スラブは、ついで、所定の温度以上に加熱されたのち、熱間圧延を施され熱延板とする熱間圧延工程を施される。
鋼スラブは、一旦室温まで冷却し、その後再度、所定の温度以上に加熱して熱間圧延される。あるいは鋼スラブの温度が高い場合には、鋼スラブを室温に冷却することなく、温片のままで加熱炉に挿入し所定の温度以上まで加熱した後、あるいは加熱炉に挿入しわずかの保熱を行い所定の温度以上とした後に、直ちに熱間圧延する直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスを適用することもできる。特に、固溶状態のNを有効確保するには直送圧延は有用な技術の一つである。
【0030】
スラブ加熱温度(SRT ):1000℃以上
鋼スラブは、1000℃以上の所定のスラブ加熱温度に加熱され熱間圧延される。スラブ加熱温度が1000℃未満では、初期状態として均一な組織を得ることができない。スラブ加熱温度を1000℃以上とすることで、熱間圧延開始の組織としては十分に均一な組織となる。なお、スラブ加熱温度の上限は特に限定する必要はないが、酸化重量の増加にともなう歩留低下の観点から、1280℃以下とすることが好ましい。
【0031】
熱間圧延では、上記したスラブ加熱温度以上に加熱された鋼スラブに、好ましくは粗圧延と、仕上圧延を施し、熱延板とすることが好ましい。
粗圧延は、所定厚さのシ−トバ−が得られればよく、その条件はとくに限定されない。
仕上圧延は、仕上圧延出側温度FTを800 ℃以上とする圧延とする。
【0032】
仕上圧延出側温度(FT):800 ℃以上
仕上圧延出側温度が800 ℃未満では、熱延板組織が不均一になる。この熱延板組織の不均一性は、冷間圧延、焼鈍後においても消えずに残留するため、プレス成形時に種々の不具合を発生する危険性が増大する。仕上圧延出側温度が800 ℃未満の場合に、加工組織の残留を回避すべく高い巻取温度を採用すると、粗大粒が発生し、それに伴いプレス成形時に種々の不具合を発生する危険性が増大する。また高い巻取温度を採用すると、固溶Nの顕著な低下も生じ、所望の強度を確保することができなくなる。このため、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とすることが好ましい。仕上圧延出側温度を800 ℃以上とすることにより、均一微細な熱延組織を得ることができる。なお、機械的特性向上の観点から、820 ℃以上とすることがより好ましい。仕上圧延出側温度の上限はとくに限定されないが、スケール疵の発生防止を考慮しておおむね1000℃程度までとすることが好ましい。
【0033】
仕上げ圧延終了後、熱延板は冷却され、コイル状に巻き取られる。熱延後の冷却速度は、とくに限定されないが、熱延板の強度を低下させるためには、熱延終了後水冷を行い、冷却中の平均冷却速度を10℃〜150 ℃/s として巻取温度まで冷却することが好ましい。この範囲内の冷却速度であれば、制御が比較的容易であり、冷却速度の不均一に起因する材質の不均一や形状の不均一の発生を回避することができる。
【0034】
巻取温度CT: 550℃以上
巻取温度が上昇することにより、熱延板強度は低下する傾向にある。本発明では、巻取温度を 550℃以上とすることが好ましい。鋼板組成を上記したような高Mn−低Cr、Mo−低Nb系とし、巻取温度を550 ℃以上に調整することにより、マルテンサイトの混入を防止でき、上部ベイナイトないしはベイニティックフェライト主体の組織を有する熱延板とすることができ、熱延板の引張強さを800MPa以下まで有効に低下させることができる。Cr、Moの含有量が0.2 %を上回る、あるいはNbの含有量が0.005 %を上回る組成の熱延板ではこのような熱延板の軟質化は達成できない。なお、巻取温度の上限は、とくに限定されないが、熱延板(コイル)幅方向の均一性の観点から概ね 750℃以下とすることがより好ましい。さらに軟質な熱延板が要求される場合には、580 〜720 ℃の温度範囲とすることがさらに好ましい。上記した熱間圧延工程により熱延板の引張強度を800MPa以下とすることができる。熱延板の引張強さを800MPa以下とするにより、通常の製品幅である920 〜1600mm程度の熱延板の冷間圧延性を顕著に改善できる。
【0035】
なお、上記した熱間圧延工程において、現在、一部で実用化されている連続圧延技術を適用することは、鋼板の形状・寸法精度の向上および鋼板の長手方向および幅方向の材質均一化のために極めて有効である。また、この連続圧延技術に加えて、材質均一化のために圧延温度をコイルの長手方向、幅方向に均一化するシートバーエッジヒーターを使用することは極めて有効である。また、圧延後の冷却においてエッジ部の過冷却を防止するために幅方向に冷却水のマスキングを行う技術も材質均一化の観点から有効である。
【0036】
コイル状に巻き取られた熱延板は、ついで好ましくは酸洗を施されたのち、冷間圧延を施され冷延板とする冷間圧延工程を施される。酸洗は、常法に準じて行うことが好ましいが、極めて薄いスケールの状態であれば酸洗することなく直接冷間圧延することも可能である。
冷間圧延は、所定寸法の冷延板を得ることができればよく、圧下率、圧延方法等の条件は特に限定されないが、組織の均一・微細化の観点から、冷間圧下率は30%以上とすることが好ましい。また、生産性の観点からは、冷間圧下率は高い方が好ましい。
【0037】
ついで冷延板は、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程を施される。なお、連続焼鈍処理工程の前に、冷延板に酸洗処理を施すことが好ましい。
焼鈍温度:再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下
焼鈍温度は、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の温度とすることが好ましい。焼鈍温度は、かならずしも完全再結晶状態にする必要はなく、概ね80%以上の再結晶率が確保できる温度以上であれば良い。ここで、完全に再結晶が生ずるより低い温度でα→γ変態が生ずる場合、γ相は再結晶組織と考える。再結晶率が80%未満では十分な成形性を有する冷延焼鈍板とすることができない。一方、焼鈍温度が900 ℃を超えて高温となると、成形性は顕著に向上するが、鋼板強度が低下し、連続焼鈍処理中に板破断が生じる危険性が増大するとともに、さらに、表面の合金元素濃化が顕著となり、塗装性の低下、不めっきの発生が顕著となる。このため、焼鈍温度は概ね900 ℃以下とすることが好ましい。なお、再結晶率が80%となる温度は、冷延ままの鋼板を種々の温度で焼鈍して微細組織を観察し、その観察結果より、圧延組織ではない組織が観察される面積率を再結晶率としてもとめその値を用いるものとする。
【0038】
焼鈍温度から600 ℃までの温度域の冷却速度:30℃/s 以上
本発明では、最終製品(冷延焼鈍板)の強度を所望の強度とするために、いわゆる変態組織強化を利用している。そのために、連続焼鈍工程の冷却を比較的急冷とし、いわゆる拡散型変態組織の生成を抑制して、最終製品(冷延焼鈍板)の微視組織をマルテンサイトを主体とし一部ベイナイトを含むフェライトとマルテンサイトの混合組織や、マルテンサイトあるいはベイナイトの単相、あるいはベイナイトとマルテンサイトの混合組織とし、これにより前記したような成分組成であっても、引張強度が980MPa以上を達成する。このような微視組織とするには、焼鈍温度から、少なくとも 600℃までの温度域を30℃/s 以上、さらに望ましくは50℃/s以上の冷却速度で冷却することが好ましい。しかし、 300℃/s を上回るような急速冷却を行うと、極薄鋼板であるため冷却速度の不均一により形状不良、機械的特性の幅方向の不均一などの発生が顕著となるため、 300℃/s を上限とすることが好ましい。なお、600 ℃以下の温度域での冷却は特に限定する必要はなく、例えば600 ℃までの温度域に引き続き急速冷却を行ってもよく、空冷してもよい。
【0039】
このようにして得られた冷延焼鈍板に、さらに鋼板の表面にめっき層を形成するめっき処理工程を施してもよい。めっき処理工程は、溶融亜鉛めっき処理とする場合には、連続処理工程の冷却途中から連続して行うことが好ましい。あるいは連続処理せずに、室温まで冷却したのち、別に独立してめっき処理してもよい。
【0040】
形成されるめっき層の種類は、とくに限定されないが、溶融亜鉛めっき層、合金化溶融亜鉛めっき層、アルミめっき層、および各種組成の亜鉛アルミ合金めっき層とすることが好ましい。また、めっき層の形成方法は、特に限定する必要はなく、常法に準じて溶融金属浴への浸漬を行う等により行うことができる。なお、めっき処理を行う前に、処理ラインの入側にて酸洗を行うことが好ましい。酸洗を行うことにより、最終製品のめっき密着性を向上させることができる。
【0041】
なお、連続焼鈍処理工程後、あるいはめっき処理工程後に、形状矯正、粗度調整、および歪時効硬化特性の安定向上を目的として、調質圧延(スキンパス圧延)、および/またはレベラ加工を施してもよい。調質圧延の伸び率あるいはレべラー加工の伸び率は単独あるいは合計して0.3 〜15%とすることが好ましい。調質(スキンパス)圧延またはレべラー加工の伸び率は、おおむね0.3 %以上であれば十分であるが、15%を超えると延性の低下をもたらす。なお、調質圧延(スキンパス圧延)においても、レべラー加工においてもその効果は大きな差異がないことを確認している。
【0042】
【実施例】
表1に示す成分を含み、残部が実質的にFeからなる溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法で鋼スラブ(板厚:260mm )とした。これら鋼スラブに、表2に示す条件の熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、さらに該熱延板に酸洗を施したのち、表2に示す条件の冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、ついで該冷延板に連続焼鈍処理を施し冷延焼鈍板とする連続焼鈍工程とを順次施し製品(冷延鋼板)とした。なお、再結晶率80%となる温度は、冷延未焼鈍板を予め600 ℃以上で10℃間隔で焼鈍温度を設定して焼鈍したのち各焼鈍温度の焼鈍板の微細組織観察を行い、未再結晶組織(圧延組織)ではない組織が観察される面積率を求め、これを再結晶率とし、再結晶率が80%以上となる最低の温度を再結晶率が80%となる温度として求めた。また、冷間圧延に際しては、冷間圧延性を圧延荷重と割れの有無により測定し、荷重が大あるいは割れ発生の場合には冷間圧延困難として評価した。また、冷間圧延鋼板の厚さ、形状を測定し、板厚精度が長手方向で70μm を超えるバラツキをもつとき寸法精度不良とし、JIS G3135 に記載の平坦度すなわち、定盤上で測定した波高さが10mm以上のとき形状不良とした。
【0043】
また、一部の鋼板では、熱延鋼板を酸洗し、次いで冷間圧延後に、連続溶融亜鉛めっきラインを利用して冷延焼鈍板とした後、その表面に溶融亜鉛めっき層を形成し、製品(溶融亜鉛めっき鋼板)とした。
得られた製品から試験片を採取して、引張試験、穴拡げ試験を実施した。試験方法は下記のとおりとした。
(1)引張試験
各製品(冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板)からJIS 5号引張試験片を採取しJIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性( 降伏応力YS、引張強さTS、伸びEl) を求めた。なお、引張試験片の長手方向を鋼板の圧延直角方向と一致させた。また、冷間圧延工程前の熱延板から同様にJIS 5号引張試験片を採取し、同様に引張試験を実施し、熱延板の引張強さTSを求めた。
(2)穴拡げ試験
各製品(冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板)から試験片を採取して、日本鉄鋼連盟規格JFS−T1001−1996の規定に準拠して穴拡げ試験を行った。試験片( 大きさ:100 ×100 mm)に、穴径d0 (=10mm)の初期穴をクリアランス12.5%で打ち抜き、ついで初期穴のバリをダイ側(すなわち円錐パンチの反対側)として円錐パンチ(頂角60°)を初期穴に挿入して亀裂が鋼板を貫通するまで穴拡げを行い、亀裂が鋼板を貫通した時点での穴径dを求めた。d0 、d値を使用し、次式
λ=100 ×(d−d0 )/d0
(ここで、d0 :初期穴径(=10mm)、d:亀裂が鋼板を貫通した時点での穴径)
から、穴拡げ率λ(%)を算出し、伸びフランジ性を評価した。
【0044】
得られた結果を表3に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】
本発明例はいずれも、寸法精度の低下や冷間圧延性の低下もなく、980MPa以上の引張強さと、優れた延性および優れた伸びフランジ性を有する極薄超高張力冷延鋼板あるいは極薄超高張力溶融亜鉛めっき鋼板となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、引張強さが980MPa未満であるか、延性、伸びフランジ性が低下するか、あるいは寸法精度の低下や冷間圧延性の低下がみられ、所望の極薄超高張力冷延鋼板あるいは極薄超高張力溶融亜鉛めっき鋼板となっていない。
【0051】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、980MPa以上の高い引張強さを有する板厚:0.8mm 以下の極薄超高張力冷延鋼板、極薄超高張力めっき鋼板が容易にしかも安定して製造でき、産業上格段の効果を奏する。
Claims (9)
- 質量%で、
C:0.05〜0.25%、 Si:0.05%以下、
Mn:1.5 〜3.5 %、 P:0.01%以下、
S:0.003 %以下、 Al:0.10%以下、
N:0.0050〜0.0250%
を含み、不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、および不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、引張強さが980MPa以上であり、延性、伸びフランジ性に優れることを特徴とする、板厚が0.8 mm以下の極薄超高張力冷延鋼板。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %を含有することを特徴とする請求項1に記載の極薄超高張力冷延鋼板。
- 請求項1または2に記載の極薄超高張力冷延鋼板の表層にめっき層を形成してなる、引張強さが980MPa以上で延性、伸びフランジ性に優れる板厚が0.8 mm以下の極薄超高張力めっき鋼板。
- 前記めっき層が、溶融亜鉛めっき層であることを特徴とする請求項3に記載の極薄超高張力めっき鋼板。
- 質量%で、
C:0.05〜0.25%、 Si:0.05%以下、
Mn:1.5 〜3.5 %、 P:0.01%以下、
S:0.003 %以下、 Al:0.10%以下、
N:0.0050〜0.0250%
を含み、さらに不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程と、を順次施すことを特徴とする、板厚が0.8mm 以下で引張強さが980MPa以上を有する極薄超高張力冷延鋼板の製造方法。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %を含有することを特徴とする請求項5に記載の極薄超高張力冷延鋼板の製造方法。
- 質量%で、
C:0.05〜0.25%、 Si:0.05%以下、
Mn:1.5 〜3.5 %、 P:0.01%以下、
S:0.003 %以下、 Al:0.10%以下、
N:0.0050〜0.0250%
を含み、さらに不純物としてのCrおよびMoを合計で0.2 %以下、不純物としてのNbを0.005 %以下に調整し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成の鋼スラブを、1000℃以上のスラブ加熱温度に加熱したのち、仕上圧延出側温度を800 ℃以上とし、巻取温度を550 ℃以上とする熱間圧延を施し熱延板とする熱間圧延工程と、該熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷間圧延工程と、該冷延板に、再結晶率が80%となる温度以上、900 ℃以下の焼鈍温度に加熱し、該焼鈍温度から600 ℃までの温度域を30℃/s 以上の冷却速度で冷却し冷延焼鈍板とする連続焼鈍処理工程と、ついで該冷延焼鈍板に、表面にめっき層を形成するめっき処理工程を施すことを特徴とする、板厚が0.8mm 以下で引張強さが980MPa以上を有する極薄超高張力めっき鋼板の製造方法。 - 前記組成に加えてさらに、質量%で、Ca:0.001 〜0.020 %および/またはREM :0.005 〜0.020 %を含有することを特徴とする請求項7に記載の極薄超高張力めっき鋼板の製造方法。
- 前記めっき層が、溶融亜鉛めっき層であることを特徴とする請求項7または8に記載の極薄超高張力めっき鋼板の製造方法。
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JP2003075200A JP2004285366A (ja) | 2003-03-19 | 2003-03-19 | 極薄超高張力冷延鋼板およびその製造法 |
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Cited By (1)
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CN114309064A (zh) * | 2021-12-17 | 2022-04-12 | 江苏沙钢集团有限公司 | 一种控制马口铁起筋高度的方法 |
-
2003
- 2003-03-19 JP JP2003075200A patent/JP2004285366A/ja active Pending
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