JP2004281527A - 半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】保護抵抗を接続することなく、オン耐圧破壊が生じにくく、静電破壊特性が劣化しにくい、高耐圧の半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体基板内にドレイン領域とソース領域を設け、半導体基板の表面上に第1ゲート絶縁膜を設け、第1ゲート絶縁膜の上にゲート電極を設ける。さらに、下面の高さが半導体基板の表面の高さより低く厚さが第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く第1ゲート絶縁膜を二分し第1ゲート絶縁膜に接している第2絶縁膜を、半導体基板上でゲート電極の下に設ける。ソース領域とドレイン領域から離れている内部抵抗領域を半導体基板内で第2絶縁膜の直下に設ける。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体基板内にドレイン領域とソース領域を設け、半導体基板の表面上に第1ゲート絶縁膜を設け、第1ゲート絶縁膜の上にゲート電極を設ける。さらに、下面の高さが半導体基板の表面の高さより低く厚さが第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く第1ゲート絶縁膜を二分し第1ゲート絶縁膜に接している第2絶縁膜を、半導体基板上でゲート電極の下に設ける。ソース領域とドレイン領域から離れている内部抵抗領域を半導体基板内で第2絶縁膜の直下に設ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐圧の半導体装置、特に、高耐圧の金属・絶縁物・半導体構造(MIS)電界効果トランジスタ(FET)に関する。
【0002】
【従来の技術】
高耐圧のMISFETである高耐圧の金属・酸化物・半導体構造(MOS)FETでは、オン耐圧破壊が生じる場合と、静電破壊特性が劣化する場合があった。そこで、ソースの配線ラインに保護抵抗を接続する必要があった。この保護抵抗により、高耐圧のMOSFETを有する回路の構成が複雑になり、高耐圧のMOSFETを有する回路の回路設計で、煩雑な保護抵抗の抵抗値を調整する作業が必要であった。
【0003】
また、高耐圧のMOSFETとしては、デュアルゲート型高耐圧MOSトランジスタが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このデュアルゲート型高耐圧MOSトランジスタでも、オン耐圧破壊が生じる場合と、静電破壊特性が劣化する場合があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−326949号公報(第4図乃至第6図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、保護抵抗を接続することなく、オン耐圧破壊が生じにくく、静電破壊特性が劣化しにくい、高耐圧の半導体装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するための本発明の特徴は、第1導電型の半導体基板と、この半導体基板の表面を含む半導体基板内に設けられ第1導電型と異なる第2導電型のドレイン領域と、半導体基板の表面を含む半導体基板内に設けられドレイン領域から離れている第2導電型のソース領域と、半導体基板の表面上に設けられドレイン領域とソース領域の間でドレイン領域から離れている第1ゲート絶縁膜と、半導体基板上に設けられ下面の高さが半導体基板の表面の高さより低く厚さが第1ゲート絶縁膜の厚さより厚くドレイン領域と第1ゲート絶縁膜の間でドレイン領域と第1ゲート絶縁膜に接している第1絶縁膜と、半導体基板内で第1絶縁膜の直下に設けられドレイン領域に電気的に接続する第2導電型の第1ライトドープトドレイン(LDD)領域と、第1ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、半導体基板上でゲート電極の下に設けられ下面の高さが半導体基板の表面の高さより低く、厚さが第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く第1ゲート絶縁膜を二分し第1ゲート絶縁膜に接している第2絶縁膜と、半導体基板内で第2絶縁膜の直下に設けられソース領域と第1ライトドープトドレイン領域から離れている第2導電型の内部抵抗領域を有する半導体装置にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0008】
(比較した半導体装置でオン耐圧破壊が生じ、静電破壊特性が劣化する原因について)
比較した半導体装置は、高耐圧のMOSFETである。図8に示すように、ゲート電圧を増やして、ラインg11からg16まで変化させた。ここで、点線18は保護抵抗R6による負荷直線である。これより、ラインg13からg16では、ドレイン電圧VDを増やすと、ドレイン電流IDが飽和状態から、ドレイン電流に過電流が流れた。この過電流により、オン耐圧破壊が生じ、静電破壊特性が劣化すると考えられた。
【0009】
比較した半導体装置は、図9に示すように、p型半導体基板21、絶縁膜22乃至27、ゲート絶縁膜28、ゲート電極29、p−型半導体領域31、33、40、42、p+型半導体領域による基板電位引き出し領域32、41、n+型半導体領域によるソース領域35、n−型半導体領域によるLDD領域34、36、37、39とn+型半導体領域によるドレイン領域38を有している。これらのことから半導体装置は、nチャネルMOSFETとして機能する。ドレイン領域38がドレインDである。ソース領域35がソースSである。ゲート電極29がゲートGである。基板電位引き出し領域41が基板電極Subである。ソースSには保護抵抗R6が電気的に接続されている。
【0010】
そして、npn型の寄生バイポーラトランジスタT11と寄生抵抗R7が半導体装置内に存在している。寄生バイポーラトランジスタT11のエミッタはn−型半導体領域36であり、ソース領域35に電気的に接続する。コレクタはn−型半導体領域37であり、ドレイン領域38に電気的に接続する。ベースはp型半導体基板21であり、基板電位引き出し領域41に電気的に接続する。寄生抵抗R7は、ベースと基板電位引き出し領域41の間に分布するp型半導体基板21の抵抗成分である。高耐圧のMOSFETでは、高耐圧化するために、ドレインの接合耐圧を上げる必要がある。そこで、p型半導体基板21の不純物濃度を下げている。このことにより、p型半導体基板21の抵抗成分は上昇し、寄生抵抗R7は大きくなっている。
【0011】
ここで、図8の過電流の発生原因を考察する。まず、ドレイン電圧VDを増やすと、LDD領域37およびその付近で電界が大きくなり、ドレイン電流IDの電子が加速される。加速された電子によりLDD領域37では、生成される電子正孔対が増える。この電子正孔対の正孔により、基板電流となるホール電流が、LDD領域37からp型半導体基板21を介して基板電位引き出し領域41に流れる。この基板電流の経路に寄生抵抗R7が存在するので、電子正孔対が増加し、基板電流が増加すると、寄生抵抗R7の両端の電位差が増加し、ベース電位が上昇する。このベースの電位の上昇により、寄生バイポーラトランジスタT11がオンし、過電流が発生する。この過電流はドレイン電流IDと同様に電子正孔対を増やし基板電流を増やし、ベース電位を上昇させる。この一連のサイクルにより、過電流は加速的に増加したと考えられた。そこで、過電流の発生を防止するためには、この一連のサイクルが回らないようにどこかで分断すればよいと考えられた。
【0012】
一方、保護抵抗R6をソースSに接続することにより、ソースSの電位は上昇し、LDD領域36の電位が上昇し、エミッタ電位が上昇する。基板電流によってベース電位が上昇することで増大していたベース・エミッタ電圧を、エミッタ電位の上昇により、減少させることができる。ベース・エミッタ電圧が減少することにより、寄生バイポーラトランジスタT11のオンを防止することができると考えられる。したがって、寄生バイポーラトランジスタT11をオンさせないためには、保護抵抗R6の抵抗値を大きくすればするほど良いことが分かる。ただし、保護抵抗R6の抵抗値を大きくするほど、高耐圧のMOSFETのスイッチング特性は劣化する。このトレードオフの関係から個々の高耐圧のMOSFETに対して保護抵抗R6の抵抗値を決定しなければならないと考えられる。高耐圧のMOSFETを含んだ回路設計において、高耐圧のMOSFETのスイッチング特性を優先させざる得ない場合には、寄生バイポーラトランジスタT11がオンする可能性があると考えられた。
【0013】
(半導体装置の構造)
本発明の実施の形態に係る半導体装置は、図1に示すように、p型半導体基板1と、絶縁膜2、2a乃至2fと、ゲート絶縁膜3、4と、ゲート電極5と、p−型半導体領域6a、6bと、p+型半導体領域による基板電位引き出し領域7と、n+型半導体領域によるソース領域8と、n−型半導体領域によるLDD領域9と、n−型半導体領域による内部抵抗領域10と、n−型半導体領域によるLDD領域11a、11bと、n+型半導体領域によるドレイン領域12と、p−型半導体領域14と、p+型半導体領域による基板電位引き出し領域15を有している。
【0014】
半導体基板1には、シリコン(Si)基板を用いることができる。半導体基板1の表面を、ゲート絶縁膜3、4の下面と、基板電位引き出し領域7、15の上面と、ソース領域8の上面と、ドレイン領域12の上面に設定した。このように設定した半導体基板1の表面は、一平面上に存在する。
【0015】
ドレイン領域12は、半導体基板1の表面を含む半導体基板1内に設けた。ドレイン領域12の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。
【0016】
ソース領域8は、半導体基板1の表面を含む半導体基板1内に設けた。ソース領域8は、ドレイン領域12から離れている。ソース領域8の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。
【0017】
ゲート絶縁膜3、4は、半導体基板1の表面上で、ドレイン領域12とソース領域8の間に設けた。ゲート絶縁膜3、4は、ドレイン領域12とソース領域から離れている。ゲート絶縁膜4は、絶縁膜2cと2dの間に設けた。ゲート絶縁膜4は、絶縁膜2cと2dに接している。ゲート絶縁膜3は、ゲート絶縁膜4とソース領域8の間で、絶縁膜2bと2cの間に設けた。ゲート絶縁膜3は、絶縁膜2bと2cに接し。ゲート絶縁膜4とソース領域8から離れている。ゲート絶縁膜3、4には、半導体基板1がシリコン基板であれば、半導体基板1を熱酸化したシリコン酸化膜(SiO2)を用いることができる。
【0018】
ゲート電極5は、ゲート絶縁膜3、4の上と絶縁膜2b、2c、2dの上に設けた。
【0019】
基板電位引き出し領域7、15は、半導体基板1の表面を含む半導体基板1内に設けられている。基板電位引き出し領域7は、絶縁体2aと2bの間に配置され、絶縁体2aとソース領域8に接している。基板電位引き出し領域15は、絶縁体2eと2fの間に配置され、絶縁体2eと2fに接している。基板電位引き出し領域7、15は、ドレイン領域12から離れている。基板電位引き出し領域7、15は、半導体基板1に電気的に接続する。基板電位引き出し領域7、15の導電型は、半導体基板1の導電型と同じである。基板電位引き出し領域7、15の不純物濃度は、半導体基板1の不純物濃度より高濃度である。
【0020】
絶縁膜2は、絶縁膜2a乃至2fを有している。絶縁膜2a乃至2fは、図1(a)の上面図の上部と下部に示すように、相互に連結し一体となっている。絶縁膜2は、ゲート絶縁膜3、4と、基板電位引き出し領域7、15と、ソース領域8と、ドレイン領域12の個々の周囲を取り囲むように、そして、これら全部を取り囲むように配置されている。絶縁膜2には、半導体基板1がシリコン基板であれば、LOCOS(local oxidation of silicon)膜を用いることができる。LOCOS膜は、半導体基板1を部分的に熱酸化したシリコン酸化膜である。
【0021】
絶縁膜2dは、半導体基板1上で、ドレイン領域12とゲート絶縁膜4の間に設けた。絶縁膜2dは、ドレイン領域12とゲート絶縁膜4に接する。絶縁膜2dの下面の高さは、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2dの厚さは、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0022】
絶縁膜2cは、半導体基板1上で、ゲート電極5の下で、ゲート絶縁膜3、4をゲート絶縁膜3とゲート絶縁膜4に二分するように設けた。絶縁膜2cは、ゲート絶縁膜3と4の間に設けた。絶縁膜2cは、ゲート絶縁膜3、4に接する。絶縁膜2cの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2cの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0023】
絶縁膜2bは、半導体基板1上で、ソース領域8とゲート絶縁膜3の間で、ソース領域8と絶縁膜2dの間に設けた。絶縁膜2bは、ソース領域8とゲート絶縁膜3に接している。絶縁膜2bの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2bの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0024】
絶縁膜2eは、半導体基板1上で、ドレイン領域12と基板電位引き出し領域15の間に設けた。絶縁膜2eは、ドレイン領域12と基板電位引き出し領域15に接している。絶縁膜2eの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2eの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0025】
絶縁膜2aは、半導体基板1上に設けた。絶縁膜2aは、基板電位引き出し領域7に接している。絶縁膜2aの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2aの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0026】
絶縁膜2fは、半導体基板1上に設けた。絶縁膜2fは、基板電位引き出し領域7に接している。絶縁膜2fの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2fの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0027】
LDD領域11a、11bは、半導体基板1内で絶縁膜2d、2eの直下に設けられている。LDD領域11aは、ゲート絶縁膜4に接する。LDD領域11a、11bは、ドレイン領域12に電気的に接続する。LDD領域11a、11bの導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。LDD領域11a、11bの不純物濃度は、ドレイン領域12とソース領域8の不純物濃度より低濃度である。
【0028】
内部抵抗領域10は、半導体基板1内で絶縁膜2cの直下に設けられている。内部抵抗領域10は、ソース領域8とドレイン領域12とLDD領域9、11aから離れている。内部抵抗領域10は、ゲート絶縁膜3と4に接する。内部抵抗領域10の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。内部抵抗領域10の不純物濃度は、ドレイン領域12とソース領域8の不純物濃度より低濃度である。
【0029】
LDD領域9は、半導体基板1内で絶縁膜2bの直下に設けられている。LDD領域9は、内部抵抗領域10から離れている。LDD領域9は、ゲート絶縁膜3に接する。LDD領域9は、ソース領域8に電気的に接続する。LDD領域9の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。LDD領域9の不純物濃度は、ドレイン領域12とソース領域8の不純物濃度より低濃度である。
【0030】
半導体領域6a、6bは、半導体基板1内で絶縁膜2a、2fの直下に設けられている。半導体領域6a、6bは、基板電位引き出し領域7、15に電気的に接続する。半導体領域6a、6bの導電型は、半導体基板1の導電型と同じである。半導体領域6a、6bの不純物濃度は、基板電位引き出し領域7、15の不純物濃度より低濃度である。
【0031】
(半導体装置の動作特性)
本発明の実施の形態の半導体装置は、図1に示すように、高耐圧のnチャネルMISFETであってもよい。もちろん、半導体基板1と半導体領域6a乃至15の導電型を反転させることにより、高耐圧のpチャネルMISFETを完成させることができる。図1の半導体装置は、ゲート電極5は1つであるが、ゲート絶縁膜3、4は2つあるので、デュアルチャンネル型MISFETであると考えることができる。
【0032】
図2に示すように、ゲート電圧を増やして、ラインg1からg6まで変化させた。半導体装置は、nチャネルMISFETとして機能した。ラインg1からg6では、ドレイン電圧VDを増やしても、ドレイン電流IDが、飽和状態から、過電流が流れることはなかった。このことから、実施の形態の半導体装置は、保護抵抗R6を接続しなくても、オン耐圧破壊が生じたり、静電破壊特性が劣化したりすることはないと考えられた。
【0033】
図3に示すように、ドレイン領域12が、nチャネルMISFETのドレインDである。ソース領域8がソースSである。ゲート電極5がゲートGである。基板電位引き出し領域15が基板電極Subである。
【0034】
そして、内部抵抗R1とnpn型の寄生バイポーラトランジスタT1乃至T3と寄生抵抗R2、R3が半導体装置内に存在している。
【0035】
内部抵抗R1は、内部抵抗領域10に分布する抵抗成分で、ドレインDとソースSの間に直列接続される抵抗である。
【0036】
寄生バイポーラトランジスタT1のエミッタは内部抵抗領域10であり、ソース領域8とLDD領域9から離れている。コレクタはLDD領域11aであり、ドレイン領域12に電気的に接続する。ベースは半導体基板1であり、基板電位引き出し領域15に電気的に接続する。
【0037】
寄生バイポーラトランジスタT2のエミッタはLDD領域9であり、ソース領域8に電気的に接続する。コレクタはLDD領域11aであり、ドレイン領域12に電気的に接続する。ベースは半導体基板1であり、基板電位引き出し領域15に電気的に接続する。
【0038】
寄生バイポーラトランジスタT3のエミッタはLDD領域9であり、ソース領域8に電気的に接続する。コレクタは内部抵抗領域10であり、ドレイン領域12とLDD領域11aから離れている。ベースは半導体基板1であり、基板電位引き出し領域15に電気的に接続する。
【0039】
寄生抵抗R2は、寄生バイポーラトランジスタT1、T3のベースと基板電位引き出し領域15の間に分布する半導体基板1の抵抗成分である。寄生抵抗R3は、寄生バイポーラトランジスタT2のベースと基板電位引き出し領域15の間に分布する半導体基板1の抵抗成分である。
【0040】
nチャネルMISFETを高耐圧化するためには、ドレインDの接合耐圧を上げる必要がある。そこで、半導体基板1の不純物濃度を下げている。このことにより、半導体基板1の抵抗成分は上昇し、寄生抵抗R2、R3は大きくなっている。半導体基板1の不純物濃度と図9の半導体基板21の不純物濃度が同程度で有れば、寄生抵抗R2、R3の抵抗値は、寄生抵抗R7の抵抗値と同程度であると考えられる。
【0041】
ここで、図2の過電流の発生が抑えられた理由を考察する。まず、ドレイン電圧VDを増やすと、LDD領域11aおよびその付近で電界が大きくなり、ドレイン電流IDの電子が加速される。加速された電子によりLDD領域11aでは、生成される電子正孔対が増える。この電子正孔対の正孔により、基板電流となるホール電流が、LDD領域11aから半導体基板1を介して基板電位引き出し領域15に流れる。この基板電流の経路に寄生抵抗R2、R3が存在するので、電子正孔対が増加し、基板電流が増加すると、寄生抵抗R2、R3の両端の電位差が増加する。
【0042】
寄生抵抗R2の両端の電位差の増加により、寄生バイポーラトランジスタT1のベース電位が基板電位引き出し領域15の電位に対して上昇する。一方、ドレイン電流IDが内部抵抗R1を流れることにより、ソースSの電位に対して内部抵抗領域10の電位が上昇し、寄生バイポーラトランジスタT1のエミッタ電位が上昇する。ベース電位だけでなくエミッタ電位も上昇するので、ベース・エミッタ電圧を小さいまま維持することができる。このことにより、寄生バイポーラトランジスタT1のオンを防止することができ、過電流の生成を防止できたと考えられた。また、寄生バイポーラトランジスタT1が万が一オンしたとしても、寄生バイポーラトランジスタT3がオンしなければ、ゲート絶縁膜3の下に生成するnチャネルの抵抗にドレイン電流IDの電流値が律速されるので過電流は生じないと考えられた。なお、寄生バイポーラトランジスタT3が、T1と同時期にオンしても、寄生バイポーラトランジスタT3には、過電流を生じさせるような大電流は流れないと考えられた。寄生バイポーラトランジスタT3については、以下で詳述する。
【0043】
寄生バイポーラトランジスタT3では、寄生抵抗R2の両端の電位差の増加により、寄生バイポーラトランジスタT3のベース電位が基板電位引き出し領域15の電位に対して上昇する。このベースの電位の上昇により、寄生バイポーラトランジスタT3がオンする場合が有ると考えられる。しかし、寄生バイポーラトランジスタT3のコレクタは、ドレインDに対して、高電界を有するLDD領域11aと電圧降下を生じる内部抵抗領域10を経由して電気的に接続している。このため、寄生バイポーラトランジスタT3のコレクタ電位は低下し、コレクタ・エミッタ電圧が下がり、寄生バイポーラトランジスタT3の駆動能力は、低いと考えられた。したがって、寄生バイポーラトランジスタT3がオンしても、寄生バイポーラトランジスタT3には、過電流を生じさせるような大電流は流れないと考えられた。
【0044】
寄生バイポーラトランジスタT2では、寄生抵抗R3の両端の電位差の増加により、寄生バイポーラトランジスタT2のベース電位が基板電位引き出し領域15の電位に対して上昇する。このベースの電位の上昇により、寄生バイポーラトランジスタT2がオンする場合が有ると考えられる。しかし、半導体装置が、内部抵抗領域10と絶縁膜2cを有することにより、寄生バイポーラトランジスタT2に関して、ベース幅が拡大した。ベース幅とは、すなわちLDD領域9と11aの距離に相当する。このことにより、寄生バイポーラトランジスタT2の駆動能力は低く、寄生バイポーラトランジスタT2がオンしても、寄生バイポーラトランジスタT2には、過電流を生じさせるような大電流は流れないと考えられた。
【0045】
以上のように、寄生バイポーラトランジスタT1乃至T3には、過電流を生じさせるような大電流は流れないので、半導体装置に保護抵抗R6を接続することなく、半導体装置をオン耐圧破壊から守り、静電破壊特性を向上できると考えられた。
【0046】
なお、図4に示すように、実施の形態の半導体装置は、nチャネルMISFET(T4)を有し、このnチャネルMISFET(T4)は、内部抵抗R1を有していると考えることができる。
【0047】
また、実施の形態の半導体装置は、図5に示すように、2つのnチャネルMISFET(T5とT6)と内部抵抗R1を有していると考えることができる。2つのnチャネルMISFET(T5とT6)のゲートGは電気的に接続する。nチャネルMISFET(T6)のソースは、内部抵抗R1の一端に電気的に接続する。内部抵抗R1の他端は、nチャネルMISFET(T5)のドレインに電気的に接続する。ここで、ソースSとドレインD間に電圧を印加すると、LDD領域11aに電界が偏るので、2つのnチャネルMISFET(T5とT6)のゲート長が等しいと、nチャネルMISFET(T5)のドレイン電圧は、nチャネルMISFET(T6)のドレイン電圧より小さくなる。nチャネルMISFET(T6)のドレイン電圧は、ドレイン電流が飽和する程度に大きくする必要があるので、nチャネルMISFET(T5)のゲート長をnチャネルMISFET(T6)のゲート長より短くすることが効果的である。具体的には、ゲート絶縁膜3の長さをゲート絶縁膜4の長さより短くすればよい。
【0048】
図6(a)に示すように、実施の形態の半導体装置を、nチャネルMISFET(T7)と考え、nチャネルMISFET(T7)のソースSを接地する。分布抵抗R4は、ソースSと接地間の配線に存在する分布抵抗であり、分布抵抗R4の抵抗値は内部抵抗R1の抵抗値よりも十分に小さい。したがって、ドレイン電流IDは、ドレイン電圧VDと内部抵抗R1で決定する。
【0049】
一方、図6(b)に示すように、図9の比較した半導体装置でも、比較した半導体装置をnチャネルMISFET(T8)と考え、nチャネルMISFET(T8)のソースSを接地する。比較した半導体装置では、過電流防止のために。保護抵抗R6をソースSと接地間に接続する。nチャネルMISFET(T8)は、内部抵抗R5を有する。nチャネルMISFET(T8)の駆動能力を高めるために、内部抵抗R5の抵抗値は、保護抵抗R6の抵抗値よりも十分小さく設定される。したがって、ドレイン電流IDは、ドレイン電圧VDと保護抵抗R6で決定する。
【0050】
ここで、過電流防止対策に関してnチャネルMISFET(T7とT8)を比較する。nチャネルMISFET(T7)では、過電流防止の効果を強化するためには、内部抵抗R1の抵抗値を大きくする。具体的には、nチャネルMISFET(T7)のゲート幅に相当する図1(a)のゲート絶縁膜3、4の幅を狭くする。このことにより、半導体装置の幅を狭くすることが可能になり、半導体装置を小型化できる。
【0051】
nチャネルMISFET(T8)では、過電流防止の効果を強化するためには、保護抵抗R6の抵抗値を大きくする。一方、nチャネルMISFET(T8)の駆動能力を維持するために、内部抵抗R5の抵抗値は大きくできないので、nチャネルMISFET(T8)のゲート幅は狭められない。
【0052】
図7(a)に示すように、実施の形態の半導体装置を、nチャネルMISFET(T7)と考え、インバータをnチャネルMISFET(T7)とpチャネルMISFET(T9)で構成した。インバータの入力電位VinをnチャネルMISFET(T7)とpチャネルMISFET(T9)のゲートに入力した。nチャネルMISFET(T7)のドレインとpチャネルMISFET(T9)ソースを接続し、ここからインバータの出力電位Vout1を出力した。nチャネルMISFET(T7)のソースは接地電位Vssに接続する。pチャネルMISFET(T9)のドレインは電源電位VDDに接続する。
【0053】
図7(b)に示すように、図9の比較した半導体装置でも、nチャネルMISFET(T8)と考え、インバータをnチャネルMISFET(T8)とpチャネルMISFET(T9)で構成した。インバータの入力電位VinをnチャネルMISFET(T8)とpチャネルMISFET(T9)のゲートに入力した。nチャネルMISFET(T8)のドレインとpチャネルMISFET(T9)ソースを接続し、ここからインバータの出力電位Vout2を出力した。nチャネルMISFET(T8)のソースは接地電位Vssに接続する。pチャネルMISFET(T9)のドレインは電源電位VDDに接続する。
【0054】
図7(c)に示すように、図7の(a)と(b)の2つのインバータに入力電位Vinを入力した。入力電位Vinは、ハイレベルからロウレベルに下がり、ロウレベルからハイレベルに上昇した。ハイレベルの際は、nチャネルMISFET(T7とT8)がオンし、pチャネルMISFET(T9)がオフしている。ロウレベルの際は、nチャネルMISFET(T7とT8)がオフし、pチャネルMISFET(T9)がオンしている。
【0055】
入力電位Vinが、ロウレベルからハイレベルに上昇するときの出力電位Vout1とVout2に注目する。出力電位Vout1は、短時間で電位が低下したのに対し、出力電位Vout2では、電位が低下するのに時間を要した。このことから、比較した半導体装置を有するインバータに比べて、実施の形態の半導体を有するインバータは、より優れたスイッチング特性を有していることがわかる。これは、出力電位Vout1が低下する時に流れる電流I1が、出力電位Vout2が低下する時に流れる電流I2より大きくなるからと考えられる。電流I1が流れる内部抵抗R1と部分抵抗R4の抵抗値の和が、電流I2が流れる内部抵抗R5と保護抵抗R6の抵抗値の和より小さいからと考えられる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、保護抵抗を接続することなく、オン耐圧破壊が生じにくく、静電破壊特性が劣化しにくい、高耐圧の半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施の形態に係る半導体装置の上方からの透視図であり、(b)は(a)のI−I方向の断面図である。
【図2】実施の形態に係る半導体装置のトランジスタの静特性を表すグラフである。
【図3】実施の形態に係る半導体装置に形成される内部抵抗、寄生バイポーラトランジスタと寄生抵抗を模式的に示す図である。
【図4】実施の形態に係る半導体装置の等価回路を模式的に示す図(その1)である。
【図5】実施の形態に係る半導体装置の等価回路を模式的に示す図(その2)である。
【図6】実施の形態に係る半導体装置のMISトランジスタに対する内部抵抗と外部抵抗の関係を説明するための図(その1)である。
【図7】実施の形態に係る半導体装置のMISトランジスタに対する内部抵抗と外部抵抗の関係を説明するための図(その2)である。
【図8】比較した半導体装置のトランジスタの静特性を表すグラフである。
【図9】比較した半導体装置に形成される寄生バイポーラトランジスタと寄生抵抗を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 p型半導体基板
2、2a乃至2f 絶縁膜
3、4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極
6a、6b p−型半導体領域
7 p+型半導体領域による基板電位引き出し領域
8 n+型半導体領域によるソース領域
9 n−型半導体領域によるLDD領域
10 n−型半導体領域による内部抵抗領域
11a、11b n−型半導体領域によるLDD領域
12 n+型半導体領域によるドレイン領域
14 p−型半導体領域
15 p+型半導体領域による基板電位引き出し領域
R1 内部抵抗
R2、R3 寄生抵抗
T1乃至T3 寄生バイポーラトランジスタ
T4乃至T8 nチャネルMISFET
R4 分布抵抗
R5 内部抵抗
R6 保護抵抗
T9、T10 pチャネルMISFET
18 保護抵抗による負荷曲線
21 p型半導体基板
22乃至27 絶縁膜
28 ゲート絶縁膜
29 ゲート電極
31、33、40、42 p−型半導体領域
32、41 p+型半導体領域による基板電位引き出し領域
35 n+型半導体領域によるソース領域
34、36、37、39 n−型半導体領域によるLDD領域
38 n+型半導体領域によるドレイン領域
R7 寄生抵抗
T11 寄生バイポーラトランジスタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐圧の半導体装置、特に、高耐圧の金属・絶縁物・半導体構造(MIS)電界効果トランジスタ(FET)に関する。
【0002】
【従来の技術】
高耐圧のMISFETである高耐圧の金属・酸化物・半導体構造(MOS)FETでは、オン耐圧破壊が生じる場合と、静電破壊特性が劣化する場合があった。そこで、ソースの配線ラインに保護抵抗を接続する必要があった。この保護抵抗により、高耐圧のMOSFETを有する回路の構成が複雑になり、高耐圧のMOSFETを有する回路の回路設計で、煩雑な保護抵抗の抵抗値を調整する作業が必要であった。
【0003】
また、高耐圧のMOSFETとしては、デュアルゲート型高耐圧MOSトランジスタが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、このデュアルゲート型高耐圧MOSトランジスタでも、オン耐圧破壊が生じる場合と、静電破壊特性が劣化する場合があった。
【0004】
【特許文献1】
特開平5−326949号公報(第4図乃至第6図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、保護抵抗を接続することなく、オン耐圧破壊が生じにくく、静電破壊特性が劣化しにくい、高耐圧の半導体装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するための本発明の特徴は、第1導電型の半導体基板と、この半導体基板の表面を含む半導体基板内に設けられ第1導電型と異なる第2導電型のドレイン領域と、半導体基板の表面を含む半導体基板内に設けられドレイン領域から離れている第2導電型のソース領域と、半導体基板の表面上に設けられドレイン領域とソース領域の間でドレイン領域から離れている第1ゲート絶縁膜と、半導体基板上に設けられ下面の高さが半導体基板の表面の高さより低く厚さが第1ゲート絶縁膜の厚さより厚くドレイン領域と第1ゲート絶縁膜の間でドレイン領域と第1ゲート絶縁膜に接している第1絶縁膜と、半導体基板内で第1絶縁膜の直下に設けられドレイン領域に電気的に接続する第2導電型の第1ライトドープトドレイン(LDD)領域と、第1ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、半導体基板上でゲート電極の下に設けられ下面の高さが半導体基板の表面の高さより低く、厚さが第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く第1ゲート絶縁膜を二分し第1ゲート絶縁膜に接している第2絶縁膜と、半導体基板内で第2絶縁膜の直下に設けられソース領域と第1ライトドープトドレイン領域から離れている第2導電型の内部抵抗領域を有する半導体装置にある。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。
【0008】
(比較した半導体装置でオン耐圧破壊が生じ、静電破壊特性が劣化する原因について)
比較した半導体装置は、高耐圧のMOSFETである。図8に示すように、ゲート電圧を増やして、ラインg11からg16まで変化させた。ここで、点線18は保護抵抗R6による負荷直線である。これより、ラインg13からg16では、ドレイン電圧VDを増やすと、ドレイン電流IDが飽和状態から、ドレイン電流に過電流が流れた。この過電流により、オン耐圧破壊が生じ、静電破壊特性が劣化すると考えられた。
【0009】
比較した半導体装置は、図9に示すように、p型半導体基板21、絶縁膜22乃至27、ゲート絶縁膜28、ゲート電極29、p−型半導体領域31、33、40、42、p+型半導体領域による基板電位引き出し領域32、41、n+型半導体領域によるソース領域35、n−型半導体領域によるLDD領域34、36、37、39とn+型半導体領域によるドレイン領域38を有している。これらのことから半導体装置は、nチャネルMOSFETとして機能する。ドレイン領域38がドレインDである。ソース領域35がソースSである。ゲート電極29がゲートGである。基板電位引き出し領域41が基板電極Subである。ソースSには保護抵抗R6が電気的に接続されている。
【0010】
そして、npn型の寄生バイポーラトランジスタT11と寄生抵抗R7が半導体装置内に存在している。寄生バイポーラトランジスタT11のエミッタはn−型半導体領域36であり、ソース領域35に電気的に接続する。コレクタはn−型半導体領域37であり、ドレイン領域38に電気的に接続する。ベースはp型半導体基板21であり、基板電位引き出し領域41に電気的に接続する。寄生抵抗R7は、ベースと基板電位引き出し領域41の間に分布するp型半導体基板21の抵抗成分である。高耐圧のMOSFETでは、高耐圧化するために、ドレインの接合耐圧を上げる必要がある。そこで、p型半導体基板21の不純物濃度を下げている。このことにより、p型半導体基板21の抵抗成分は上昇し、寄生抵抗R7は大きくなっている。
【0011】
ここで、図8の過電流の発生原因を考察する。まず、ドレイン電圧VDを増やすと、LDD領域37およびその付近で電界が大きくなり、ドレイン電流IDの電子が加速される。加速された電子によりLDD領域37では、生成される電子正孔対が増える。この電子正孔対の正孔により、基板電流となるホール電流が、LDD領域37からp型半導体基板21を介して基板電位引き出し領域41に流れる。この基板電流の経路に寄生抵抗R7が存在するので、電子正孔対が増加し、基板電流が増加すると、寄生抵抗R7の両端の電位差が増加し、ベース電位が上昇する。このベースの電位の上昇により、寄生バイポーラトランジスタT11がオンし、過電流が発生する。この過電流はドレイン電流IDと同様に電子正孔対を増やし基板電流を増やし、ベース電位を上昇させる。この一連のサイクルにより、過電流は加速的に増加したと考えられた。そこで、過電流の発生を防止するためには、この一連のサイクルが回らないようにどこかで分断すればよいと考えられた。
【0012】
一方、保護抵抗R6をソースSに接続することにより、ソースSの電位は上昇し、LDD領域36の電位が上昇し、エミッタ電位が上昇する。基板電流によってベース電位が上昇することで増大していたベース・エミッタ電圧を、エミッタ電位の上昇により、減少させることができる。ベース・エミッタ電圧が減少することにより、寄生バイポーラトランジスタT11のオンを防止することができると考えられる。したがって、寄生バイポーラトランジスタT11をオンさせないためには、保護抵抗R6の抵抗値を大きくすればするほど良いことが分かる。ただし、保護抵抗R6の抵抗値を大きくするほど、高耐圧のMOSFETのスイッチング特性は劣化する。このトレードオフの関係から個々の高耐圧のMOSFETに対して保護抵抗R6の抵抗値を決定しなければならないと考えられる。高耐圧のMOSFETを含んだ回路設計において、高耐圧のMOSFETのスイッチング特性を優先させざる得ない場合には、寄生バイポーラトランジスタT11がオンする可能性があると考えられた。
【0013】
(半導体装置の構造)
本発明の実施の形態に係る半導体装置は、図1に示すように、p型半導体基板1と、絶縁膜2、2a乃至2fと、ゲート絶縁膜3、4と、ゲート電極5と、p−型半導体領域6a、6bと、p+型半導体領域による基板電位引き出し領域7と、n+型半導体領域によるソース領域8と、n−型半導体領域によるLDD領域9と、n−型半導体領域による内部抵抗領域10と、n−型半導体領域によるLDD領域11a、11bと、n+型半導体領域によるドレイン領域12と、p−型半導体領域14と、p+型半導体領域による基板電位引き出し領域15を有している。
【0014】
半導体基板1には、シリコン(Si)基板を用いることができる。半導体基板1の表面を、ゲート絶縁膜3、4の下面と、基板電位引き出し領域7、15の上面と、ソース領域8の上面と、ドレイン領域12の上面に設定した。このように設定した半導体基板1の表面は、一平面上に存在する。
【0015】
ドレイン領域12は、半導体基板1の表面を含む半導体基板1内に設けた。ドレイン領域12の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。
【0016】
ソース領域8は、半導体基板1の表面を含む半導体基板1内に設けた。ソース領域8は、ドレイン領域12から離れている。ソース領域8の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。
【0017】
ゲート絶縁膜3、4は、半導体基板1の表面上で、ドレイン領域12とソース領域8の間に設けた。ゲート絶縁膜3、4は、ドレイン領域12とソース領域から離れている。ゲート絶縁膜4は、絶縁膜2cと2dの間に設けた。ゲート絶縁膜4は、絶縁膜2cと2dに接している。ゲート絶縁膜3は、ゲート絶縁膜4とソース領域8の間で、絶縁膜2bと2cの間に設けた。ゲート絶縁膜3は、絶縁膜2bと2cに接し。ゲート絶縁膜4とソース領域8から離れている。ゲート絶縁膜3、4には、半導体基板1がシリコン基板であれば、半導体基板1を熱酸化したシリコン酸化膜(SiO2)を用いることができる。
【0018】
ゲート電極5は、ゲート絶縁膜3、4の上と絶縁膜2b、2c、2dの上に設けた。
【0019】
基板電位引き出し領域7、15は、半導体基板1の表面を含む半導体基板1内に設けられている。基板電位引き出し領域7は、絶縁体2aと2bの間に配置され、絶縁体2aとソース領域8に接している。基板電位引き出し領域15は、絶縁体2eと2fの間に配置され、絶縁体2eと2fに接している。基板電位引き出し領域7、15は、ドレイン領域12から離れている。基板電位引き出し領域7、15は、半導体基板1に電気的に接続する。基板電位引き出し領域7、15の導電型は、半導体基板1の導電型と同じである。基板電位引き出し領域7、15の不純物濃度は、半導体基板1の不純物濃度より高濃度である。
【0020】
絶縁膜2は、絶縁膜2a乃至2fを有している。絶縁膜2a乃至2fは、図1(a)の上面図の上部と下部に示すように、相互に連結し一体となっている。絶縁膜2は、ゲート絶縁膜3、4と、基板電位引き出し領域7、15と、ソース領域8と、ドレイン領域12の個々の周囲を取り囲むように、そして、これら全部を取り囲むように配置されている。絶縁膜2には、半導体基板1がシリコン基板であれば、LOCOS(local oxidation of silicon)膜を用いることができる。LOCOS膜は、半導体基板1を部分的に熱酸化したシリコン酸化膜である。
【0021】
絶縁膜2dは、半導体基板1上で、ドレイン領域12とゲート絶縁膜4の間に設けた。絶縁膜2dは、ドレイン領域12とゲート絶縁膜4に接する。絶縁膜2dの下面の高さは、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2dの厚さは、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0022】
絶縁膜2cは、半導体基板1上で、ゲート電極5の下で、ゲート絶縁膜3、4をゲート絶縁膜3とゲート絶縁膜4に二分するように設けた。絶縁膜2cは、ゲート絶縁膜3と4の間に設けた。絶縁膜2cは、ゲート絶縁膜3、4に接する。絶縁膜2cの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2cの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0023】
絶縁膜2bは、半導体基板1上で、ソース領域8とゲート絶縁膜3の間で、ソース領域8と絶縁膜2dの間に設けた。絶縁膜2bは、ソース領域8とゲート絶縁膜3に接している。絶縁膜2bの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2bの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0024】
絶縁膜2eは、半導体基板1上で、ドレイン領域12と基板電位引き出し領域15の間に設けた。絶縁膜2eは、ドレイン領域12と基板電位引き出し領域15に接している。絶縁膜2eの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2eの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0025】
絶縁膜2aは、半導体基板1上に設けた。絶縁膜2aは、基板電位引き出し領域7に接している。絶縁膜2aの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2aの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0026】
絶縁膜2fは、半導体基板1上に設けた。絶縁膜2fは、基板電位引き出し領域7に接している。絶縁膜2fの下面の高さは、絶縁膜2dの下面の高さに等しく、半導体基板1の表面の高さより低い。絶縁膜2fの厚さは、絶縁膜2dの厚さに等しく、ゲート絶縁膜3、4の厚さより厚い。
【0027】
LDD領域11a、11bは、半導体基板1内で絶縁膜2d、2eの直下に設けられている。LDD領域11aは、ゲート絶縁膜4に接する。LDD領域11a、11bは、ドレイン領域12に電気的に接続する。LDD領域11a、11bの導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。LDD領域11a、11bの不純物濃度は、ドレイン領域12とソース領域8の不純物濃度より低濃度である。
【0028】
内部抵抗領域10は、半導体基板1内で絶縁膜2cの直下に設けられている。内部抵抗領域10は、ソース領域8とドレイン領域12とLDD領域9、11aから離れている。内部抵抗領域10は、ゲート絶縁膜3と4に接する。内部抵抗領域10の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。内部抵抗領域10の不純物濃度は、ドレイン領域12とソース領域8の不純物濃度より低濃度である。
【0029】
LDD領域9は、半導体基板1内で絶縁膜2bの直下に設けられている。LDD領域9は、内部抵抗領域10から離れている。LDD領域9は、ゲート絶縁膜3に接する。LDD領域9は、ソース領域8に電気的に接続する。LDD領域9の導電型は、半導体基板1の導電型と異なる。LDD領域9の不純物濃度は、ドレイン領域12とソース領域8の不純物濃度より低濃度である。
【0030】
半導体領域6a、6bは、半導体基板1内で絶縁膜2a、2fの直下に設けられている。半導体領域6a、6bは、基板電位引き出し領域7、15に電気的に接続する。半導体領域6a、6bの導電型は、半導体基板1の導電型と同じである。半導体領域6a、6bの不純物濃度は、基板電位引き出し領域7、15の不純物濃度より低濃度である。
【0031】
(半導体装置の動作特性)
本発明の実施の形態の半導体装置は、図1に示すように、高耐圧のnチャネルMISFETであってもよい。もちろん、半導体基板1と半導体領域6a乃至15の導電型を反転させることにより、高耐圧のpチャネルMISFETを完成させることができる。図1の半導体装置は、ゲート電極5は1つであるが、ゲート絶縁膜3、4は2つあるので、デュアルチャンネル型MISFETであると考えることができる。
【0032】
図2に示すように、ゲート電圧を増やして、ラインg1からg6まで変化させた。半導体装置は、nチャネルMISFETとして機能した。ラインg1からg6では、ドレイン電圧VDを増やしても、ドレイン電流IDが、飽和状態から、過電流が流れることはなかった。このことから、実施の形態の半導体装置は、保護抵抗R6を接続しなくても、オン耐圧破壊が生じたり、静電破壊特性が劣化したりすることはないと考えられた。
【0033】
図3に示すように、ドレイン領域12が、nチャネルMISFETのドレインDである。ソース領域8がソースSである。ゲート電極5がゲートGである。基板電位引き出し領域15が基板電極Subである。
【0034】
そして、内部抵抗R1とnpn型の寄生バイポーラトランジスタT1乃至T3と寄生抵抗R2、R3が半導体装置内に存在している。
【0035】
内部抵抗R1は、内部抵抗領域10に分布する抵抗成分で、ドレインDとソースSの間に直列接続される抵抗である。
【0036】
寄生バイポーラトランジスタT1のエミッタは内部抵抗領域10であり、ソース領域8とLDD領域9から離れている。コレクタはLDD領域11aであり、ドレイン領域12に電気的に接続する。ベースは半導体基板1であり、基板電位引き出し領域15に電気的に接続する。
【0037】
寄生バイポーラトランジスタT2のエミッタはLDD領域9であり、ソース領域8に電気的に接続する。コレクタはLDD領域11aであり、ドレイン領域12に電気的に接続する。ベースは半導体基板1であり、基板電位引き出し領域15に電気的に接続する。
【0038】
寄生バイポーラトランジスタT3のエミッタはLDD領域9であり、ソース領域8に電気的に接続する。コレクタは内部抵抗領域10であり、ドレイン領域12とLDD領域11aから離れている。ベースは半導体基板1であり、基板電位引き出し領域15に電気的に接続する。
【0039】
寄生抵抗R2は、寄生バイポーラトランジスタT1、T3のベースと基板電位引き出し領域15の間に分布する半導体基板1の抵抗成分である。寄生抵抗R3は、寄生バイポーラトランジスタT2のベースと基板電位引き出し領域15の間に分布する半導体基板1の抵抗成分である。
【0040】
nチャネルMISFETを高耐圧化するためには、ドレインDの接合耐圧を上げる必要がある。そこで、半導体基板1の不純物濃度を下げている。このことにより、半導体基板1の抵抗成分は上昇し、寄生抵抗R2、R3は大きくなっている。半導体基板1の不純物濃度と図9の半導体基板21の不純物濃度が同程度で有れば、寄生抵抗R2、R3の抵抗値は、寄生抵抗R7の抵抗値と同程度であると考えられる。
【0041】
ここで、図2の過電流の発生が抑えられた理由を考察する。まず、ドレイン電圧VDを増やすと、LDD領域11aおよびその付近で電界が大きくなり、ドレイン電流IDの電子が加速される。加速された電子によりLDD領域11aでは、生成される電子正孔対が増える。この電子正孔対の正孔により、基板電流となるホール電流が、LDD領域11aから半導体基板1を介して基板電位引き出し領域15に流れる。この基板電流の経路に寄生抵抗R2、R3が存在するので、電子正孔対が増加し、基板電流が増加すると、寄生抵抗R2、R3の両端の電位差が増加する。
【0042】
寄生抵抗R2の両端の電位差の増加により、寄生バイポーラトランジスタT1のベース電位が基板電位引き出し領域15の電位に対して上昇する。一方、ドレイン電流IDが内部抵抗R1を流れることにより、ソースSの電位に対して内部抵抗領域10の電位が上昇し、寄生バイポーラトランジスタT1のエミッタ電位が上昇する。ベース電位だけでなくエミッタ電位も上昇するので、ベース・エミッタ電圧を小さいまま維持することができる。このことにより、寄生バイポーラトランジスタT1のオンを防止することができ、過電流の生成を防止できたと考えられた。また、寄生バイポーラトランジスタT1が万が一オンしたとしても、寄生バイポーラトランジスタT3がオンしなければ、ゲート絶縁膜3の下に生成するnチャネルの抵抗にドレイン電流IDの電流値が律速されるので過電流は生じないと考えられた。なお、寄生バイポーラトランジスタT3が、T1と同時期にオンしても、寄生バイポーラトランジスタT3には、過電流を生じさせるような大電流は流れないと考えられた。寄生バイポーラトランジスタT3については、以下で詳述する。
【0043】
寄生バイポーラトランジスタT3では、寄生抵抗R2の両端の電位差の増加により、寄生バイポーラトランジスタT3のベース電位が基板電位引き出し領域15の電位に対して上昇する。このベースの電位の上昇により、寄生バイポーラトランジスタT3がオンする場合が有ると考えられる。しかし、寄生バイポーラトランジスタT3のコレクタは、ドレインDに対して、高電界を有するLDD領域11aと電圧降下を生じる内部抵抗領域10を経由して電気的に接続している。このため、寄生バイポーラトランジスタT3のコレクタ電位は低下し、コレクタ・エミッタ電圧が下がり、寄生バイポーラトランジスタT3の駆動能力は、低いと考えられた。したがって、寄生バイポーラトランジスタT3がオンしても、寄生バイポーラトランジスタT3には、過電流を生じさせるような大電流は流れないと考えられた。
【0044】
寄生バイポーラトランジスタT2では、寄生抵抗R3の両端の電位差の増加により、寄生バイポーラトランジスタT2のベース電位が基板電位引き出し領域15の電位に対して上昇する。このベースの電位の上昇により、寄生バイポーラトランジスタT2がオンする場合が有ると考えられる。しかし、半導体装置が、内部抵抗領域10と絶縁膜2cを有することにより、寄生バイポーラトランジスタT2に関して、ベース幅が拡大した。ベース幅とは、すなわちLDD領域9と11aの距離に相当する。このことにより、寄生バイポーラトランジスタT2の駆動能力は低く、寄生バイポーラトランジスタT2がオンしても、寄生バイポーラトランジスタT2には、過電流を生じさせるような大電流は流れないと考えられた。
【0045】
以上のように、寄生バイポーラトランジスタT1乃至T3には、過電流を生じさせるような大電流は流れないので、半導体装置に保護抵抗R6を接続することなく、半導体装置をオン耐圧破壊から守り、静電破壊特性を向上できると考えられた。
【0046】
なお、図4に示すように、実施の形態の半導体装置は、nチャネルMISFET(T4)を有し、このnチャネルMISFET(T4)は、内部抵抗R1を有していると考えることができる。
【0047】
また、実施の形態の半導体装置は、図5に示すように、2つのnチャネルMISFET(T5とT6)と内部抵抗R1を有していると考えることができる。2つのnチャネルMISFET(T5とT6)のゲートGは電気的に接続する。nチャネルMISFET(T6)のソースは、内部抵抗R1の一端に電気的に接続する。内部抵抗R1の他端は、nチャネルMISFET(T5)のドレインに電気的に接続する。ここで、ソースSとドレインD間に電圧を印加すると、LDD領域11aに電界が偏るので、2つのnチャネルMISFET(T5とT6)のゲート長が等しいと、nチャネルMISFET(T5)のドレイン電圧は、nチャネルMISFET(T6)のドレイン電圧より小さくなる。nチャネルMISFET(T6)のドレイン電圧は、ドレイン電流が飽和する程度に大きくする必要があるので、nチャネルMISFET(T5)のゲート長をnチャネルMISFET(T6)のゲート長より短くすることが効果的である。具体的には、ゲート絶縁膜3の長さをゲート絶縁膜4の長さより短くすればよい。
【0048】
図6(a)に示すように、実施の形態の半導体装置を、nチャネルMISFET(T7)と考え、nチャネルMISFET(T7)のソースSを接地する。分布抵抗R4は、ソースSと接地間の配線に存在する分布抵抗であり、分布抵抗R4の抵抗値は内部抵抗R1の抵抗値よりも十分に小さい。したがって、ドレイン電流IDは、ドレイン電圧VDと内部抵抗R1で決定する。
【0049】
一方、図6(b)に示すように、図9の比較した半導体装置でも、比較した半導体装置をnチャネルMISFET(T8)と考え、nチャネルMISFET(T8)のソースSを接地する。比較した半導体装置では、過電流防止のために。保護抵抗R6をソースSと接地間に接続する。nチャネルMISFET(T8)は、内部抵抗R5を有する。nチャネルMISFET(T8)の駆動能力を高めるために、内部抵抗R5の抵抗値は、保護抵抗R6の抵抗値よりも十分小さく設定される。したがって、ドレイン電流IDは、ドレイン電圧VDと保護抵抗R6で決定する。
【0050】
ここで、過電流防止対策に関してnチャネルMISFET(T7とT8)を比較する。nチャネルMISFET(T7)では、過電流防止の効果を強化するためには、内部抵抗R1の抵抗値を大きくする。具体的には、nチャネルMISFET(T7)のゲート幅に相当する図1(a)のゲート絶縁膜3、4の幅を狭くする。このことにより、半導体装置の幅を狭くすることが可能になり、半導体装置を小型化できる。
【0051】
nチャネルMISFET(T8)では、過電流防止の効果を強化するためには、保護抵抗R6の抵抗値を大きくする。一方、nチャネルMISFET(T8)の駆動能力を維持するために、内部抵抗R5の抵抗値は大きくできないので、nチャネルMISFET(T8)のゲート幅は狭められない。
【0052】
図7(a)に示すように、実施の形態の半導体装置を、nチャネルMISFET(T7)と考え、インバータをnチャネルMISFET(T7)とpチャネルMISFET(T9)で構成した。インバータの入力電位VinをnチャネルMISFET(T7)とpチャネルMISFET(T9)のゲートに入力した。nチャネルMISFET(T7)のドレインとpチャネルMISFET(T9)ソースを接続し、ここからインバータの出力電位Vout1を出力した。nチャネルMISFET(T7)のソースは接地電位Vssに接続する。pチャネルMISFET(T9)のドレインは電源電位VDDに接続する。
【0053】
図7(b)に示すように、図9の比較した半導体装置でも、nチャネルMISFET(T8)と考え、インバータをnチャネルMISFET(T8)とpチャネルMISFET(T9)で構成した。インバータの入力電位VinをnチャネルMISFET(T8)とpチャネルMISFET(T9)のゲートに入力した。nチャネルMISFET(T8)のドレインとpチャネルMISFET(T9)ソースを接続し、ここからインバータの出力電位Vout2を出力した。nチャネルMISFET(T8)のソースは接地電位Vssに接続する。pチャネルMISFET(T9)のドレインは電源電位VDDに接続する。
【0054】
図7(c)に示すように、図7の(a)と(b)の2つのインバータに入力電位Vinを入力した。入力電位Vinは、ハイレベルからロウレベルに下がり、ロウレベルからハイレベルに上昇した。ハイレベルの際は、nチャネルMISFET(T7とT8)がオンし、pチャネルMISFET(T9)がオフしている。ロウレベルの際は、nチャネルMISFET(T7とT8)がオフし、pチャネルMISFET(T9)がオンしている。
【0055】
入力電位Vinが、ロウレベルからハイレベルに上昇するときの出力電位Vout1とVout2に注目する。出力電位Vout1は、短時間で電位が低下したのに対し、出力電位Vout2では、電位が低下するのに時間を要した。このことから、比較した半導体装置を有するインバータに比べて、実施の形態の半導体を有するインバータは、より優れたスイッチング特性を有していることがわかる。これは、出力電位Vout1が低下する時に流れる電流I1が、出力電位Vout2が低下する時に流れる電流I2より大きくなるからと考えられる。電流I1が流れる内部抵抗R1と部分抵抗R4の抵抗値の和が、電流I2が流れる内部抵抗R5と保護抵抗R6の抵抗値の和より小さいからと考えられる。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、保護抵抗を接続することなく、オン耐圧破壊が生じにくく、静電破壊特性が劣化しにくい、高耐圧の半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施の形態に係る半導体装置の上方からの透視図であり、(b)は(a)のI−I方向の断面図である。
【図2】実施の形態に係る半導体装置のトランジスタの静特性を表すグラフである。
【図3】実施の形態に係る半導体装置に形成される内部抵抗、寄生バイポーラトランジスタと寄生抵抗を模式的に示す図である。
【図4】実施の形態に係る半導体装置の等価回路を模式的に示す図(その1)である。
【図5】実施の形態に係る半導体装置の等価回路を模式的に示す図(その2)である。
【図6】実施の形態に係る半導体装置のMISトランジスタに対する内部抵抗と外部抵抗の関係を説明するための図(その1)である。
【図7】実施の形態に係る半導体装置のMISトランジスタに対する内部抵抗と外部抵抗の関係を説明するための図(その2)である。
【図8】比較した半導体装置のトランジスタの静特性を表すグラフである。
【図9】比較した半導体装置に形成される寄生バイポーラトランジスタと寄生抵抗を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 p型半導体基板
2、2a乃至2f 絶縁膜
3、4 ゲート絶縁膜
5 ゲート電極
6a、6b p−型半導体領域
7 p+型半導体領域による基板電位引き出し領域
8 n+型半導体領域によるソース領域
9 n−型半導体領域によるLDD領域
10 n−型半導体領域による内部抵抗領域
11a、11b n−型半導体領域によるLDD領域
12 n+型半導体領域によるドレイン領域
14 p−型半導体領域
15 p+型半導体領域による基板電位引き出し領域
R1 内部抵抗
R2、R3 寄生抵抗
T1乃至T3 寄生バイポーラトランジスタ
T4乃至T8 nチャネルMISFET
R4 分布抵抗
R5 内部抵抗
R6 保護抵抗
T9、T10 pチャネルMISFET
18 保護抵抗による負荷曲線
21 p型半導体基板
22乃至27 絶縁膜
28 ゲート絶縁膜
29 ゲート電極
31、33、40、42 p−型半導体領域
32、41 p+型半導体領域による基板電位引き出し領域
35 n+型半導体領域によるソース領域
34、36、37、39 n−型半導体領域によるLDD領域
38 n+型半導体領域によるドレイン領域
R7 寄生抵抗
T11 寄生バイポーラトランジスタ
Claims (13)
- 第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の表面を含む前記半導体基板内に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型のドレイン領域と、
前記半導体基板の前記表面を含む前記半導体基板内に設けられ、前記ドレイン領域から離れている前記第2導電型のソース領域と、
前記半導体基板の前記表面上に設けられ、前記ドレイン領域と前記ソース領域の間で、前記ドレイン領域から離れている第1ゲート絶縁膜と、
前記半導体基板上に設けられ、下面の高さが前記半導体基板の前記表面の高さより低く、厚さが前記第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記ドレイン領域と前記第1ゲート絶縁膜の間で、前記ドレイン領域と前記第1ゲート絶縁膜に接している第1絶縁膜と、
前記半導体基板内で前記第1絶縁膜の直下に設けられ、前記ドレイン領域に電気的に接続する前記第2導電型の第1ライトドープトドレイン領域と、
前記第1ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
前記半導体基板上で前記ゲート電極の下に設けられ、下面の高さが前記半導体基板の前記表面の高さより低く、厚さが前記第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記第1ゲート絶縁膜を二分し、前記第1ゲート絶縁膜に接している第2絶縁膜と、
前記半導体基板内で前記第2絶縁膜の直下に設けられ、前記ソース領域と前記第1ライトドープトドレイン領域から離れている前記第2導電型の内部抵抗領域を有することを特徴とする半導体装置。 - 第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の表面を含む前記半導体基板内に設けられ、前記第1導電型と異なる第2導電型のドレイン領域と、
前記半導体基板の前記表面を含む前記半導体基板内に設けられ、前記ドレイン領域から離れている前記第2導電型のソース領域と、
前記半導体基板の前記表面上に設けられ、前記ドレイン領域と前記ソース領域の間で、前記ドレイン領域と前記ソース領域から離れている第1ゲート絶縁膜と、
前記半導体基板の前記表面上に設けられ、前記第1ゲート絶縁膜と前記ソース領域の間で、前記第1ゲート絶縁膜から離れている第2ゲート絶縁膜と、
前記半導体基板上に設けられ、下面の高さが前記半導体基板の前記表面の高さより低く、厚さが前記第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記ドレイン領域と前記第1ゲート絶縁膜の間で、前記ドレイン領域と前記第1ゲート絶縁膜に接している第1絶縁膜と、
前記半導体基板内で前記第1絶縁膜の直下に設けられ、前記ドレイン領域に電気的に接続する前記第2導電型の第1ライトドープトドレイン領域と、
前記第1ゲート絶縁膜上と前記第2ゲート絶縁膜上に設けられたゲート電極と、
前記半導体基板上で前記ゲート電極の下で前記第1ゲート絶縁膜と前記第2ゲート絶縁膜の間に設けられ、下面の高さが前記半導体基板の前記表面の高さより低く、厚さが前記第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記第1ゲート絶縁膜と前記第2ゲート絶縁膜に接している第2絶縁膜と、
前記半導体基板内で前記第2絶縁膜の直下に設けられ、前記ソース領域と前記第1ライトドープトドレイン領域から離れている前記第2導電型の内部抵抗領域を有することを特徴とする半導体装置。 - 前記第1絶縁膜の上にゲート電極が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
- 前記半導体基板上に設けられ、下面の高さが前記半導体基板の前記表面の高さより低く、厚さが前記第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記ソース領域と前記第1絶縁膜の間で、前記ソース領域に接している第3絶縁膜と、
前記半導体基板内で前記第3絶縁膜の直下に設けられ、前記内部抵抗領域から離れて、前記ソース領域に電気的に接続する前記第2導電型の第2ライトドープトドレイン領域をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の半導体装置。 - 前記第3絶縁膜の上にゲート電極が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
- 前記半導体基板の前記表面を含む前記半導体基板内に設けられ、前記ドレイン領域から離れ、前記半導体基板に電気的に接続する前記第1導電型の基板電位引き出し領域をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 前記基板電位引き出し領域がソース領域に接していることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
- 前記半導体基板上に設けられ、下面の高さが前記半導体基板の前記表面の高さより低く、厚さが前記第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記ドレイン領域と前記基板電位引き出し領域の間で、前記ドレイン領域と前記基板電位引き出し領域に接している第4絶縁膜をさらに有することを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
- 前記半導体基板上に設けられ、下面の高さが前記半導体基板の前記表面の高さより低く、厚さが前記第1ゲート絶縁膜の厚さより厚く、前記基板電位引き出し領域、前記第1絶縁膜と前記第2絶縁膜に接している第5絶縁膜をさらに有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 前記第1ライトドープトドレイン領域が、前記第1ゲート絶縁膜に接することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 前記第1ライトドープトドレイン領域の不純物濃度が、前記ドレイン領域の不純物濃度より低濃度であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 前記内部抵抗領域が、前記第1ゲート絶縁膜に接することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1つに記載の半導体装置。
- 前記内部抵抗領域の不純物濃度が、前記ドレイン領域の不純物領域より低濃度であることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1つに記載の半導体装置。
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KR20110030379A (ko) * | 2009-09-17 | 2011-03-23 | 세이코 인스트루 가부시키가이샤 | 반도체 장치 |
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-
2003
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