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JP2004279091A - 圧力センサ - Google Patents

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Minoru Tokuhara
実 徳原
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Abstract

【課題】圧力検出用のセンサ素子を収納するケース内に大気圧を導入するようにした圧力センサにおいて、安価な構成にて大気圧導入孔への水分の浸入防止を図る。
【解決手段】圧力を検出するセンサ素子20と、センサ素子20を収納するケース10と、ケース10に設けられ外部からセンサ素子20に大気圧を導入する大気圧導入孔14とを備える圧力センサS1において、ケース10のうち大気圧導入孔14における外部側の開口部の周辺部13には、当該周辺部13に付着した水を毛細管現象によってケース10の外部へ排出するための溝15が形成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧力検出用のセンサ素子をケースに収納するとともに、大気圧をケース内に導入するようにした圧力センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の圧力センサは、一般に、圧力を検出するセンサ素子と、センサ素子を収納するケースと、ケースに設けられ外部からセンサ素子に大気圧を導入する大気圧導入孔とを備える(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
このものは、通常、導入した大気圧をセンサ素子の一面に基準圧として印加するとともに、センサ素子の他面に測定対象となる圧力を印加することで、これら両圧力の差圧等をとることで圧力測定を行う。いわゆる相対圧センサとして構成されている。
【0004】
ここにおいて、大気圧導入孔における外部側の開口部には、ゴアテックス(ゴアテックスはジャパンゴアテックス社の登録商標)等からなるフィルタを設けている。このフィルタは、水分を透過させず気体のみ透過させるものであり、それによって、外部すなわち大気側から雨水等の水分が大気圧導入孔から浸入するのを防止するようにしている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−281086号公報(第3頁、第1−第2図)
【0006】
【特許文献2】
特開2000−46673号公報(第3頁、第1−第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記したフィルタは、ケースへの設置にあたって超音波溶着(US溶着)や特殊な接着用フィルム付きのゴアテックス(ゴアテックスはジャパンゴアテックス社の登録商標)を用いることが必要とされる等、コストが高いものとなる。
【0008】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、圧力検出用のセンサ素子を収納するケース内に大気圧を導入するようにした圧力センサにおいて、安価な構成にて大気圧導入孔への水分の浸入防止を図ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、圧力を検出するセンサ素子(20)と、センサ素子を収納するケース(10)と、ケースに設けられ外部からセンサ素子に大気圧を導入する大気圧導入孔(14)とを備える圧力センサにおいて、ケースのうち大気圧導入孔における外部側の開口部の周辺部には、当該周辺部に付着した水を前記ケースの外部へ排出するための溝(15)が形成されていることを特徴としている。
【0010】
それによれば、ケース(10)のうち大気圧導入孔(14)における外部側の開口部の周辺部(13)において、ケース(10)に水が付着しても、その水は溝(15)を介してケース(10)の外部へ排出される。そのため、大気圧導入孔(14)に従来のような高価なフィルタを設けなくても、水が大気圧導入孔(14)に入り込むのを防止できる。
【0011】
よって、本発明によれば、圧力検出用のセンサ素子(20)を収納するケース(10)内に大気圧を導入するようにした圧力センサにおいて、安価な構成にて大気圧導入孔(14)への水分の浸入防止を図ることができる。
【0012】
ここで、請求項2に記載の発明のように、ケース(10)には、大気圧導入孔(14)を覆うカバー(70)が取り付けられていることが好ましい。
【0013】
それによれば、溝(15)を飛び越えて直接大気圧導入孔(14)へ向かって飛散してくる水が、カバー(70)によって遮断されるため、より高いレベルにて、大気圧導入孔(14)への水分の浸入防止を図ることができる。
【0014】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。なお、以下の各実施形態相互において同一の部分には、図中、同一符号を付し、説明の簡略化を図ることとする。
【0016】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る圧力センサS1の全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。この圧力センサS1は、例えば、自動車のエンジンルームに設置され、インテークマニホルド内の吸気圧を測定する吸気圧センサとして適用することができる。
【0017】
ケース10は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂からなる。ケース10の下面には凹部11が形成され、この凹部11内にセンサ素子20が収納され固定されている。
【0018】
センサ素子20は例えば、半導体基板21をガラス台座22に陽極接合等により一体化させたもので、半導体基板21には、図示しない歪みゲージが形成され、半導体基板21は圧力印加に応じた電気信号を発生するものである。また、ガラス台座22には、半導体基板21の裏面側に大気圧を導入するための貫通穴22aが形成されている。
【0019】
このようなセンサ素子20は、ケース10に対してガラス台座22にて接着固定されている。この接着は、エポキシ樹脂等からなる図示しない接着材を用いて行うことができる。
【0020】
また、ケース10には、リード30がインサート成形等によって設けられており、このリード30の一端部はケース10の凹部11内に位置している。そして。当該リード30の一端部は、センサ素子20における半導体基板21の表面と、金やアルミ等からなるボンディングワイヤ40を介して結線され、電気的に接続されている。
【0021】
また、リード30の他端部は、ケース10における開口部12内に露出しており、このリード30の他端部は図示しない外部配線部材と電気的に接続可能となっている。つまり、ケース10の開口部12とともにリード30の他端部は、コネクタ部を形成している。
【0022】
このようなリード30は、銅や42アロイ等の導電性金属等からなり、ケース10を成形する際に、金型内に設置されインサート成形する等によってケース10と一体化した形で作られる。
【0023】
ここで、そして、ケース10の凹部11には、保護材50が充填されており、センサ素子20、ボンディングワイヤ40、およびリード30とボンディングワイヤ40との接続部を封止している。この保護材50は、フッ素ゲルやシリコーンゲル等からなるものであり、上記の封止される各部を外部から保護して、耐食性や耐水性等の向上、すなわち信頼性の向上を図っている。
【0024】
そして、ケース10の下面には、凹部11を覆うようにパイプ60が取り付けられている。このパイプ60も、ケース10と同質の材料からなるものであり、ケース10に対して、エポキシ樹脂等からなる接着材70を介して接着され固定されている。
【0025】
パイプ60は、円筒状をなす円筒部61とケース10への取付部側であるテーパ筒状をなすテーパ部62とからなる。ここで、円筒部61には、例えば、自動車のインマニとつながるホースが接続され、圧力センサS1内に、測定対象圧力である吸気圧を導入するようになっている。
【0026】
また、圧力センサS1は、このパイプ60を地側とした状態すなわち図1(b)中に示すような天地方向の状態にて、自動車のエンジンルーム等に実装されるようになっている。
【0027】
これは、測定対象である流動体(例えば吸気)内の水分が圧力センサS1内に入り込むのを抑制するためである。たとえ、パイプ60から水分が入り込んでも、当該水分はテーパ部62のテーパ面を伝わって下方に落下し排出されるようになっている。
【0028】
一方、ケース10の上面すなわちケース天部13には、センサ素子20に対応した位置が凹面13aが形成されており、この凹部13aはその周囲部13bとは段差を持って形成されている。このケース天部13は、図1(b)に示すように天に面して位置するものであり、大気中にさらされる部分である。
【0029】
ここで、周囲部13bの一部は切り欠かれて切り欠き部13cとなっている。この切り欠き部13cは、図2に斜視図として示されている。そして、この切り欠き部13cによって、凹面13aがケース10の外周端部まで延びた形となっている。
【0030】
そして、ケース10におけるセンサ素子20の収納位置には、ケース10の下面の凹部11とケース天部13の凹面13aとの間を貫通する貫通孔14が設けられている。この貫通孔14は、センサ素子20に大気圧を導入する大気圧導入孔14として構成されている。
【0031】
具体的には、大気圧導入孔14における外部側の開口部すなわち図1(b)中の天側に位置する大気圧導入孔14の開口部から、大気圧導入孔14を介して、ガラス台座22の貫通穴22aと大気とが連通している。
【0032】
このような圧力センサS1においては、センサ素子20における半導体基板21の裏面側には大気圧が印加され、一方、半導体基板21の表面側には、パイプ60から導入された測定対象圧力(例えば吸気圧)が保護材50を介して印加されるようになっている。
【0033】
そして、半導体基板21においては、大気圧を基準圧として表裏両面の相対圧力に応じたレベルの電気信号が出力され、この信号は、ボンディングワイヤ40からリード30を介して、外部に取り出される。このようにして、測定対象圧力の検出がなされるようになっている。
【0034】
このような圧力センサS1において、本実施形態では、ケース10のうち大気圧導入孔14における外部側の開口部の周辺部すなわちケース天部13に、ケース天部13に付着した水をケース10の外部へ排出するための溝15が形成されていることを主たる特徴としている。
【0035】
図1に示す例では、溝15は、ケース天部13の周囲部13bにおいて、切り欠き部13cの一端を起点、他端を終点としてケース天部13の凹面13aを囲むように環状に形成されている。また、溝15の断面形状は、図3に示すように、(a)V字形状、(b)四角形状、(c)U字形状等種々の溝形状が可能である。
【0036】
図1の例では、V字形状を採用している。そして、この溝15の深さや幅は、溝15に入り込んだ水が毛細管現象によって、溝15内を移動していくことが可能な大きさや形状としている。なお、この溝15は、ケース10の金型に溝15に対応した形状部分を設けておけば、ケース10を成形する際に容易に作ることができる。
【0037】
このような溝15を有する構成によれば、大気圧導入孔14における外部側の開口部の周辺部において、ケース天部13に大気中の雨水やエンジンルームの洗浄水等の水が付着しても、水は溝15を介してケース10の外部へ排出される。具体的には、図2に示すように、水Wは毛細管現象によって溝15内を移動し、ケース天部13の切り欠き部13cからケース10の外部へ排出される。
【0038】
こうして、大気圧導入孔14に従来のような高価なフィルタを設けなくても、水が大気圧導入孔に入り込むのを防止できる。よって、本実施形態によれば、圧力検出用のセンサ素子20を収納するケース10内に大気圧を導入するようにした圧力センサS1において、安価な構成にて大気圧導入孔14への水分の浸入防止を図ることができる。
【0039】
(第2実施形態)
図4は本発明の第2実施形態に係る圧力センサS2の全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。なお、図4(a)では、カバー70には、識別のために便宜上、点ハッチングを施してあり、カバー70の下の部分は透過した様子として示してある。
【0040】
本実施形態は、ケース10に、大気圧導入孔14を覆うカバー70を取り付けたことが上記実施形態と相違するものである。このカバー70は、上記ケース10と同様、例えばPPSやPBT等の樹脂からなるものであり、ケース天部13に対して圧入等の方法にて取り付けられ固定されている。
【0041】
図4に示す例では、カバー70はケース天部13の凹面13aに、丁度はまり込むように凸部71が形成されており、この凸部71を用いて圧入が行われている。
【0042】
このようなカバー70を設けた構成によれば、溝15を飛び越えて直接大気圧導入孔14へ向かって飛散してくる水を、カバー70によって遮断することができる。そのため、より高いレベルにて、大気圧導入孔14への水分の浸入防止を図ることができる。
【0043】
溝15が設けられていてもカバー70が無い場合には、例えば、次のようなときに大気圧導入孔14に水が浸入する可能性がある。
【0044】
圧力センサS1が高温にさらされていた場合に、圧力センサS1よりも低温の水滴が大気圧導入孔14の開口部を覆うようにケース天部13に付着する、大気圧導入孔14内に閉じこめられた高温の空気が冷却される。そのことによって、大気圧導入孔14内の空間が負圧となって、上記大気圧導入孔14の開口部に付着している水滴が大気圧導入孔14内に吸い込まれる。
【0045】
また、大気圧導入孔14の直径(例えばφ1mm程度)以下の水滴が、直接、大気圧導入孔14の開口部に飛び込む場合もある。これら例に挙げたような場合に、カバー70を設けることによって、水が溝15を越えて大気圧導入孔14へ直接付着したり飛び込んだりするのを防止することができる。
【0046】
次に、上記溝15の種々の形状を第3、第4実施形態に示しておく。これら第3、第4実施形態においても、上記第1実施形態で述べたのと同様の効果が得られることは明らかである。なお、これら第3、第4実施形態ではカバー70が無いものとしているが、第2実施形態と同様にカバー70を設けた構成とできることは言うまでもない。
【0047】
(第3実施形態)
図5は本発明の第3実施形態に係る圧力センサS3の全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。また、図6は、図5に示す圧力センサS3におけるケース天部13の周囲部13bに形成された切り欠き部13cの近傍部の斜視図である。
【0048】
本実施形態の溝15は、上記第1実施形態の環状の溝15に対して、さらに溝15を追加したものである。すなわち、環状の部分からケース10の外周端部に延び、さらにケース10の側面にまでも形成されたものとしている。また、切り欠き部13cにも溝15を形成している。
【0049】
(第4実施形態)
図7は本発明の第4実施形態に係る圧力センサS4の全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。
【0050】
本実施形態の溝15は、上記第1実施形態の環状の溝15に対して、さらに溝15を追加したものである。すなわち、ケース天部13の凹面13aにも溝15を形成し、溝15が圧力導入孔14の開口部に接して形成されている。これによって、圧力導入孔14に付着した水の排出が、より効果的に行われる。
【0051】
(第5実施形態)
図8は本発明の第5実施形態に係る圧力センサS5の全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。
【0052】
本実施形態は、ケース10のうち大気圧導入孔14における外部側の開口部の周辺部を、大気圧導入孔14からケース10の外周部へ向かって低くなるように傾斜させた面としたことが、上記実施形態と相違する点である。
【0053】
図8に示す例は、上記第1実施形態の圧力センサS1に変形を加えたものであり、ケース天部13の凹面13aを、大気圧導入孔14にて最も高く且つ凹面13aの外周に向かって低くなるような傾斜面として構成している。それによれば、溝15を伝う水が、より大気圧導入孔14から離れて行きやすくなるため、好ましい。
【0054】
なお、この第5実施形態に示した傾斜面構成は、上記第2〜第4実施形態においても適用可能であることは言うまでもない。
【0055】
また、溝15の形状や配置パターンは、大気圧導入孔14における外部側の開口部の周辺部に付着した水をケース10の外部へ排出可能な形態であるならば、上記実施形態に限定されるものではないことは勿論である。
【0056】
また、本発明は、上記圧力センサにおいて、ケース10のうち大気圧導入孔14における外部側の開口部の周辺部に、当該周辺部に付着した水をケース10の外部へ排出するための溝15を形成したことを要部とするものであり、他の部分については適宜設計変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧力センサの全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。
【図2】上記図1におけるケース天部の周囲部に形成された切り欠き部の近傍部の斜視図である。
【図3】各種の溝形状を示す断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る圧力センサの全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る圧力センサの全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。
【図6】上記図5におけるケース天部の周囲部に形成された切り欠き部の近傍部の斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る圧力センサの全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。
【図8】本発明の第5実施形態に係る圧力センサの全体構成図であり、(a)は(b)の上視平面図、(b)は概略断面図である。
【符号の説明】
10…ケース、14…大気圧導入孔、15…溝、20…センサ素子、
70…カバー。

Claims (2)

  1. 圧力を検出するセンサ素子(20)と、
    前記センサ素子を収納するケース(10)と、
    前記ケースに設けられ外部から前記センサ素子に大気圧を導入する大気圧導入孔(14)とを備える圧力センサにおいて、
    前記ケースのうち前記大気圧導入孔における外部側の開口部の周辺部には、当該周辺部に付着した水を前記ケースの外部へ排出するための溝(15)が形成されていることを特徴とする圧力センサ。
  2. 前記ケース(10)には、前記大気圧導入孔(14)を覆うカバー(70)が取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
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