JP2004279056A - 回転機械の診断方法及びそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】回転機械の作動状態における振動情報を採取し、振動情報に基づき振動を特徴づける複数の振動パラメータを算出し、複数の振動パラメータから主成分分析法により主成分を抽出し、主成分に基づき1個の状態評価指数を算出し、状態評価指数に基づき回転機械の良否判定を行う回転機械の診断方法である。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転機械の振動波形データを解析することによって回転機に生じる異常モードを検知する技術に関し、特に異常発生初期の軽微な段階で異常を検知するための回転機械の診断方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、回転機械の良否を判定する方法としては以下の技術が知られている。
【0003】
第1の技術は、振動測定値を用いて回転機械の良否を判定するものである。
【0004】
具体的には、その回転機械に発生する振動変位、振動速度、振動加速度値などを計測し、その計測値から振動の最大値や実効値などのパラメータを求め、それらのパラメータ値とISO基準やユーザが設定した基準値とを比較することにより、正常、注意、危険の判定を行う。この技術は一般的な手法として広く知られているものである。そして、この一般的な手法をさらに発展させた、以下の技術が公知となっている。
【0005】
第2の技術は、有次元パラメータと無次元パラメータを用いて回転機械の良否を判定するものである。
【0006】
ここで、「有次元パラメータ」とは、測定した振動の大きさ等を所定の単位系によって表したパラメータであり、「無次元パラメータ」とは、測定した振動の波形の特徴を無単位の指標として表したパラメータである。
【0007】
有次元パラメータは、異常の程度が重くなったときに有効である。従って、初期異常、または一部の異常モードに対しては有次元パラメータが十分に大きくならない、という欠点がある。また、異常とは無関係な運転条件(回転数や負荷など)が変化したときにも、有次元パラメータの値が影響を受けるという欠点がある。しかし、多くの機械設備では運転の継続が可能か否かは、有次元パラメータによって決定されることから有次元パラメータは必要不可欠なパラメータである。
【0008】
一方、無次元パラメータは運転条件の影響を受けにくいという特徴を有するが、一部の異常に対しては、異常の程度が重くなった場合でも、その異常に反応しないことがある。
【0009】
従って第2の技術では、有次元パラメータ、無次元パラメータの両方の長所短所を生かした判定方法を提案している。
【0010】
具体的には、有次元パラメータ1個と無次元パラメータ14個を採取する。そして、有次元パラメータはその大きさ(実効値または最大値)が正常値からどれくらい変化したかの変化量によって正常、注意、危険の判定を行い、無次元パラメータも14個のそれぞれのパラメータに対して同様に正常値からの変化量によって正常、注意、危険の判定を行っている。そして、有次元パラメータと無次元パラメータのそれぞれの判定結果を組み合わせて総合的に正常、注意、危険の判定を行う。
【0011】
第3の技術は、判定モデルを用いて回転機械の異常を判定するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
この技術では、機器の正常状態において動作変量を計測してそのデータから異常状態における変量データを推定する。そして正常状態、異常状態それぞれについてARモデルを適用し、ARモデルをもとに、それぞれのマハラノビスの距離を求めておく。以上の準備の下に、診断対象機器について実際に変量データを計測してARモデルを適用し、マハラノビスの距離を対比してARモデルどうしの近さをもとに正常か異常かを判定する。
【0013】
第4の技術は、振幅確率密度関数を用いて回転機械の異常を判定するものである(例えば、特許文献2参照)。
【0014】
この技術は、正常状態の機械から発生する振動等の計測信号の振幅確率密度関数が正規分布であり、故障や異常状態になると正規分布から外れることを基本原理としたものである。即ち、正規化した振幅確率密度関数からグラムチャーリー級数を算出し、正規分布との差分を算出して異常か否かを判定する。本発明の従来の手法と比較した顕著な特徴は、計測信号の大きさや周波数成分の情報は利用していないことであり、上述の判定方法を用いることによって多種多様な回転機械に共通に使える判定基準値を提案しているところにある。
【0015】
【特許文献1】
特開2000−4670号公報
【0016】
【特許文献2】
特開2000−171291号公報
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の技術では、なお解決すべき以下のような問題点を有していた。
【0018】
先ず、一般手法を用いる第1の技術においては、振動速度、加速度値の最大値や実効値といった有次元パラメータのみを用いるものであるため、回転機械に発生するアンバランスやミスアライメント、軸受の欠陥などの異常を検出することができるが、これはあくまでも損傷の程度がある程度大きな場合に限られる。即ち初期の異常などはほとんど検知できないという問題がある。
【0019】
有次元パラメータと無次元パラメータを用いて回転機械の良否を判定する第2の技術においては、有次元パラメータを1個しか採用していないため、十分に異常の特徴を抽出しているとはいえない。このため、その有次元パラメータで検出感度が低い異常に対してはその兆候を見逃す危険性があった。特に初期の異常に対してはその恐れが大きいと考えられる。
【0020】
さらに、どのパラメータが判定に有効かはユーザがデータを見て決定しなければならない。従って、ユーザが注目すべきパラメータを正しく選定していない場合には、異常の兆候を見逃す危険性がある。
【0021】
判定モデルを用いて回転機械の異常を判定する第3の技術(特許文献1記載の技術)においては、機器の異常を客観的に高い確度で判断することのできる診断方法とあるが、動作変量が適正に選択されていなければ所定の異常を高い精度で検出することは困難であると考えられる。特に異常発生初期の軽微な段階で異常を検知するための技術に関しては、そのような記述もなくまた示唆もされていない。
【0022】
振幅確率密度関数を用いて回転機械の異常を判定する第4の技術(特許文献2記載の技術)においては、機器ごとに煩わしい基準値を設定することなく、異常有無の判断ができる診断方法であるが、これはあくまでその異常が振幅確率密度関数に影響を与えることを前提とするものである。従って、本技術は計測信号がその異常状態を検出している場合の異常判定方法であり、通常の一般的な計測信号を用いて振幅確率密度関数が異常発生初期の軽微な段階で異常を検知できるとの根拠は記載されていない。
【0023】
以上のように、従来技術では正常状態から異常状態に差しかかった異常初期の軽微な段階での異常を十分に検出できるには至っていないという問題点が指摘されていた。異常の早期検知は、回転機械の信頼性を向上させる上で重要な課題であり、特に、高い信頼性、安全性が要求される重要な回転機械に対しては必要不可欠な課題であった。
【0024】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたもので、異常を初期の段階で早期に検知することができる回転機械の診断方法及び回転機械の診断プログラムを提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解消するための本発明は、回転機械の作動状態における振動情報を採取し、振動情報に基づき振動を特徴づける複数の振動パラメータを算出し、複数の振動パラメータから主成分分析法により主成分を抽出し、主成分に基づき1個の状態評価指数を算出し、状態評価指数に基づき回転機械の良否判定を行う回転機械の診断方法である。
【0026】
また本発明は、正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取し、第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の振動パラメータを算出し、複数の第1の振動パラメータから主成分分析法により第1の主成分を抽出し、第1の主成分に基づき第1の状態評価指数を算出し、良否を判定する時点での回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取し、第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の振動パラメータを算出し、複数の第2の振動パラメータから主成分分析法により第2の主成分を抽出し、第2の主成分に基づき対応する第2の状態評価指数を算出し、第2の状態評価指数と第1の状態評価指数の比の値によって前記回転機械の良否判定を行う回転機械の診断方法である。
【0027】
また本発明は、回転機械の作動状態における振動情報を採取し、振動情報に基づき振動を特徴づける複数の有次元振動パラメータと複数の無次元振動パラメータとを算出し、複数の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて有次元の主成分を抽出するとともに複数の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて無次元の主成分を抽出し、有次元の主成分に基く有次元の状態評価指数と無次元の主成分に基づく無次元の状態評価指数とを算出し、有次元の状態評価指数、無次元の状態評価指数のうち少なくとも1つに基づき回転機械の良否判定を行う回転機械の診断方法である。
【0028】
また本発明は、正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取し、第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の有次元振動パラメータと複数の第1の無次元振動パラメータとを算出し、複数の第1の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の有次元の主成分を抽出するとともに複数の第1の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の無次元の主成分を抽出し、第1の有次元の主成分に基く第1の有次元の状態評価指数と第1の無次元の主成分に基づく第1の無次元の状態評価指数とを算出し、良否を判定する時点での前記回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取し、第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の有次元振動パラメータと複数の第2の無次元振動パラメータとを算出し、複数の第2の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の有次元の主成分を抽出するとともに複数の第2の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の無次元の主成分を抽出し、第2の有次元の主成分に基く第2の有次元の状態評価指数と第2の無次元の主成分に基づく第2の無次元の状態評価指数とを算出し、第2の有次元の状態評価指数と第1の有次元の状態評価指数との比の値、第2の無次元の状態評価指数と第1の無次元の状態評価指数との比の値のうち少なくとも1つの値によって回転機械の良否判定を行う回転機械の診断方法である。
【0029】
また本発明は、上記記載の発明である回転機械の診断方法において、状態評価指数が以下の式により導き出されるSである回転機械の診断方法である。
【0030】
【数3】
【0031】
また本発明は、上記記載の発明である回転機械の診断方法において、正常作動状態の振動パラメータと、異常と判定した状態の振動パラメータとの変化量を算出し、予めこれらの変化量と各異常原因との相関を関連付けた判定基準と比較・判定することにより異常原因を推定する回転機械の診断方法である。
【0032】
また本発明は、コンピュータに、回転機械の作動状態における振動情報を採取する手順、振動情報に基づき振動を特徴づける複数の振動パラメータを算出する手順、複数の振動パラメータから主成分分析法により主成分を抽出する手順、主成分に基づき1個の状態評価指数を算出する手順、状態評価指数に基づき回転機械の良否判定を行う手順、を実行させるためのプログラムである。
【0033】
また本発明は、コンピュータに、正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取する手順、第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の振動パラメータを算出する手順、複数の第1の振動パラメータから主成分分析法により第1の主成分を抽出する手順、第1の主成分に基づき第1の状態評価指数を算出する手順、良否を判定する時点での回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取する手順、第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の振動パラメータを算出する手順、複数の第2の振動パラメータから主成分分析法により第2の主成分を抽出する手順、第2の主成分に基づき対応する第2の状態評価指数を算出する手順、第2の状態評価指数と第1の状態評価指数の比の値によって回転機械の良否判定を行う手順、を実行させるためのプログラムである。
【0034】
また本発明は、コンピュータに、回転機械の作動状態における振動情報を採取する手順、振動情報に基づき振動を特徴づける複数の有次元振動パラメータと複数の無次元振動パラメータとを算出する手順、複数の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて有次元の主成分を抽出するとともに複数の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて無次元の主成分を抽出する手順、有次元の主成分に基く有次元の状態評価指数と無次元の主成分に基づく無次元の状態評価指数とを算出する手順、有次元の状態評価指数、無次元の状態評価指数のうち少なくとも1つに基づき回転機械の良否判定を行う手順、を実行させるためのプログラムである。
【0035】
また本発明は、コンピュータに、正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取する手順、第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の有次元振動パラメータと複数の第1の無次元振動パラメータとを算出する手順、複数の第1の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の有次元の主成分を抽出するとともに複数の第1の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の無次元の主成分を抽出する手順、第1の有次元の主成分に基く第1の有次元の状態評価指数と第1の無次元の主成分に基づく第1の無次元の状態評価指数とを算出する手順、良否を判定する時点での回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取する手順、第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の有次元振動パラメータと複数の第2の無次元振動パラメータとを算出する手順、複数の第2の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の有次元の主成分を抽出するとともに複数の第2の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の無次元の主成分を抽出する手順、第2の有次元の主成分に基く第2の有次元の状態評価指数と第2の無次元の主成分に基づく第2の無次元の状態評価指数とを算出する手順、第2の有次元の状態評価指数と第1の有次元の状態評価指数との比の値、第2の無次元の状態評価指数と第1の無次元の状態評価指数との比の値のうち少なくとも1つの値によって回転機械の良否判定を行う手順、を実行させるためのプログラムである。
【0036】
また本発明は、上記記載の発明であるプログラムにおいて、状態評価指数が以下の式により導き出されるSである回転機械の診断プログラムである。
【0037】
【数4】
【0038】
また本発明は、上記記載の発明であるプログラムにおいて、正常作動状態の振動パラメータと、異常と判定した状態の振動パラメータとの変化量を算出し、予めこれらの変化量と各異常原因との相関を関連付けた判定基準と比較・判定することにより異常原因を推定する異常原因推定手順、を備えた回転機械の診断プログラムである。
【0039】
また本発明は、正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取する第1の振動情報採取手段と、第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の振動パラメータを算出する第1の振動パラメータ算出手段と、複数の第1の振動パラメータから主成分分析法により第1の主成分を抽出する第1の主成分抽出手段と、第1の主成分に基づき第1の状態評価指数を算出する第1の指数算出手段と、良否を判定する時点での前記回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取する第2の振動情報採取手段と、第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の振動パラメータを算出する第2の振動パラメータ算出手段と、複数の第2の振動パラメータから主成分分析法により第2の主成分を抽出する第2の主成分抽出手段と、第2の主成分に基づき対応する第2の状態評価指数を算出する第2の指数算出手段と、第2の状態評価指数と第1の状態評価指数の比の値によって回転機械の良否判定を行う良否判定手段とを備えた回転機械の診断装置である。
【0040】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る診断システムの概略の構成を示すブロック図である。
本発明に係る診断システムは、異常判定を行うための諸機能を備えた判定処理装置1、振動センサ2からの電荷信号を電圧信号等に変換する信号変換器3、記録媒体に記録されている振動信号を再生する記録信号再生装置4、判定処理装置1からの情報を表示する表示装置5及び判定処理装置1からの情報を印刷する印刷装置6で構成されている。
【0041】
そして判定処理装置1は、入出力制御部10、波形読込部11、FFT処理部12、パラメータ算出部13、主成分分析部14、統合パラメータ値算出部15、良否判定処理部16、異常原因分析処理部17、判定結果処理部18及びデータ部20とで構成されている。
【0042】
入出力制御部10は、外部装置との信号授受を行い情報交換を行うためのインターフェースである。波形読込部11は振動センサ2または記録信号再生装置4から振動信号を読み込むとともに必要時にはその信号から加速度信号と速度信号を生成する。FFT処理部12は読み込んだ振動信号の周波数分析を行う。
【0043】
パラメータ算出部13は、波形読込部11とFFT処理部12の処理結果に基づいて有次元パラメータと無次元パラメータを算出する。主成分分析部14は、正常状態にある回転機械の振動信号に基づいて主成分分析を行い固有ベクトルを算出する。統合パラメータ値算出部15は、有次元パラメータ、無次元パラメータ及び固有ベクトルとから回転機械の異常を判定するための指標である統合パラメータ値を算出する。
【0044】
良否判定処理部16は、統合パラメータ値に基づいて回転機械の良否を判定する。異常原因分析処理部17は、回転機械が異常であると判定された場合にその異常の原因を分析して推定する。判定結果処理部18は、良否判定結果及び異常原因推定結果を表示装置5あるいは印刷装置6に出力する。
【0045】
データ部20は、上述の各処理部が異常判定処理を行うために用いる各種データを記憶する。初期状態データベース21は、回転機械の正常状態において算出した各種パラメータ値などを記憶する。測定値データベース22は、回転機械の現在状態において算出した各種パラメータ値などを記憶する。基準値データベース23は、回転機械の良否を判定するための基準値を記憶する。異常原因分析データベース24は、異常原因を推定するための基準値データを記憶する。
【0046】
尚、本発明に係る診断システムでは、振動信号を振動センサ2から直接に、あるいは記録信号再生装置4から読み込んでいるが、この形態に限定されず例えば図示しない通信回線を介して遠隔から振動信号を読み取るように構成しても良い。また波形読込部11、FFT処理部12を判定処理装置の内部に設けず外部の装置を用いて構成し、その処理結果を入力するように構成しても良い。
【0047】
次に、このように構成された診断システムの動作について説明する。
図2は、診断システムの概略の動作を示すフロー図である。
【0048】
まず、波形読込部11が、機械の初期状態(正常状態)における振動波形を読み込む(S1)。ここで、波形読込部11は振動加速度波形ならびに振動速度波形を読み込むように構成しても良く、また振動加速度波形を読み込んだ後、その信号を積分して振動速度波形を算出するように構成しても良い。
【0049】
次に、FFT処理部12が読み込んだ振動信号の周波数分析を実行し(S2)、各周波数毎の成分値を算出する。
【0050】
続いて、パラメータ算出部13が起動して、それぞれの波形データから以下に示すような複数の有次元パラメータと無次元パラメータを算出する(S3)。
【0051】
(1)有次元パラメータ
1)振動速度
a.速度ピーク値 :VEL−P
測定した振動速度波形の振幅値xiの内、|xi|の大きなものから数えた上位5%の|xi|の平均値である。
【0052】
b.速度RMS値 :VEL−R
【数5】
【0053】
c.周波数成分値 :VEL−fr(回転周波数fr成分)
ここで回転周波数frは、N:回転数[rpm]を用いて下式で表される。
【0054】
【数6】
【0055】
d.周波数成分値 :VEL−2fr(周波数2×fr成分)
e.周波数成分値 :VEL−3fr(周波数3×fr成分)
f.周波数成分値 :VEL−4fr(周波数4×fr成分)
g.周波数成分値 :VEL−5fr(周波数5×fr成分)
h.周波数成分値 :VEL−1/2fr(周波数1/2×fr成分)
i.周波数成分値 :VEL−1/3fr(周波数1/3×fr成分)
ここで表された有次元パラメータの内、cの回転周波数成分は、主にアンバランス異常時に卓越する成分、d〜gの回転周波数の高調波成分は、ミスアライメントやガタ・ゆるみ異常時に発生する成分、h〜iの分数調波成分は、ガタ・ゆるみ発生時に表れる特徴的な成分である。
【0056】
2)振動加速度
a.加速度ピーク値:ACC−P
測定した振動加速度波形の振幅値xiの内、|xi|の大きなものから数えた上位5%の|xi|の平均値である。
【0057】
b.加速度RMS値:ACC−R
【数7】
【0058】
c.周波数成分値 :ACC−f0(外輪キズ周波数成分)
【数8】
【0059】
d.周波数成分値 :ACC−fi(内輪キズ周波数成分)
【数9】
【0060】
e.周波数成分値 :ACC−fb(ボールキズ周波数成分)
【数10】
【0061】
f.周波数成分値 :ACC−2fb(ボールキズ周波数成分)
【数11】
【0062】
g.周波数成分値 :ACC−fc(保持器キズ周波数成分)
【数12】
【0063】
h.周波数成分値:ACC−fr(回転周波数成分)
【数13】
【0064】
ここで、N:回転数[rpm]、fr:軸(内輪)の回転周波数(Hz)、D:軸受のピッチ円直径(mm)、d:転動体の直径(mm)、α:接触角(度)、z:転動体の数である。図3は一般的な軸受の主要諸元を示す図である。
【0065】
(2)無次元パラメータ
1)振動速度
a.波形率Sf:VEL−Sf
振動波形の正弦波からのずれを表すパラメータ。低周波領域のアンバランスやミスアライメント、脈動波形などの定量化に有効なパラメータ。
【0066】
【数14】
【0067】
b.波高率Cf:VEL−Cf
振動波形の衝撃性を表すパラメータ。局部異常の検出に有効なパラメータ。
【0068】
【数15】
【0069】
c.衝撃指数Ip:VEL−Ip
波高率Cfと同様に衝撃性を表すパラメータ。
【0070】
【数16】
【0071】
d.スキューネス(歪み度)β1:VEL−β1
振動波形がゼロ点を中心にしていかに非対称となっているかを示すパラメータ。摩耗系の異常が発生すると、振動波形が非対称となり、歪み度が増大する。
【0072】
【数17】
【0073】
e.クートシス(尖り度)β2:VEL−β2
振動波形がゼロ点を中心にしていかに尖っているかを示すパラメータ。転がり軸受や歯車装置の異常診断に有効なパラメータ。
【0074】
【数18】
【0075】
2)振動加速度
振動速度と同様に、以下のパラメータを求める。
【0076】
a.波形率Sf :ACCーSf
b.波高率Cf :ACC−Cf
c.衝撃指数Ip :ACC−Ip
d.スキューネス(歪み度)β1:ACC−β1
e.クートシス(尖り度)β2:ACC−β2
以上の有次元パラメータと無次元パラメータを算出後、主成分分析部14が起動して算出された有次元パラメータあるいは無次元パラメータ毎に、主成分分析を行う(S4)。
【0077】
主成分算出までの計算手順を以下に説明する。尚、以下の説明では簡便化のために有次元パラメータのみについて説明するが、無次元パラメータについても同様の手順とする。
【0078】
ある設備の正常状態下で上述の手順により収集されたm個の有次元パラメータを要素とする兆候パラメータYp=(Y1,Y2,Y3 ・・・,Ym)のn組のデータからなる行列Y0を以下の式で定義する。
【0079】
【数19】
【0080】
次に、この行列Y0の列方向、即ち縦方向の行列要素に対して以下の式を用いて演算を行い、yiを算出する。
【0081】
【数20】
【0082】
この演算を列毎に行うことによって、新たな標準化された兆候パラメータを要素とするデータ行列Yを求める。
【0083】
【数21】
【0084】
この行列は各列毎に平均値=0、分散=1に変換された行列である。
【0085】
そこで、このデータ行列Yから相関行列Rを算出すると以下の式となる。
【0086】
【数22】
【0087】
ここに、rijは2つの列の相関係数である。すなわち、
【数23】
【0088】
次に、相関行列Rの固有値λを求める。即ち、以下の式を満たす固有値λを求める。
【0089】
【数24】
【0090】
求められた固有値をλ1,λ2,・・・λnとする。ただし、λ1>λ2,・・・>λnである。これらのn個の固有値に対する固有ベクトルをai(i=1、・・・n)とする。
【0091】
【数25】
【0092】
そうするとそれぞれの固有ベクトルに対して次の式が成立する。
【0093】
【数26】
【0094】
この式に基づいて、ai1、ai2、・・・aimを求める。但し、この係数は以下の式を充たす値である。
【0095】
【数27】
【0096】
この手順を繰り返して、夫々の固有値λ1,λ2,・・・λnに対する固有ベクトルa1,a2,・・・anを求めることができる。そしてこれらのn個の固有ベクトルと標準化された兆候パラメータ(y1、y2、・・・ym)を組み合わせて、主成分Z1,Z2,・・・Znが、以下の式で表される。
【0097】
【数28】
【0098】
ここで、Z1を第1主成分、Z2を第2主成分、Znを第n主成分と呼ぶ。
【0099】
次に、統合パラメータ値算出部15が起動して、有次元統合パラメータSyを算出する(S5)。
【0100】
前述の正常状態下で求めた主成分Zi(母集団)が、正規分布に従うと仮定する。この母集団から独立に取り出されたn個の標本で構成される統計量χ2 は、自由度n−1のカイ2乗分布に従う。
【0101】
【数29】
【0102】
ここで、母集団から取り出したn個の標本をX1,X2,・・・Xnとすると、標本分散s2は次の式で表される。
【0103】
【数30】
【0104】
また、主成分Ziの母分散σ2は固有値λiに等しいことから、
σ2= λi
これらの関係を整理すると以下の式となり、標準化されたX値の偏差平方和は、自由度nー1のカイ自乗分布に従う。
【0105】
【数31】
【0106】
ここで、式のXiを主成分Ziに置き換えると、
【数32】
【0107】
次に、正常状態下におけるデータの主成分Ziが1−αの確率で入る領域は、以下の式で表される。
【0108】
【数33】
【0109】
よって、正常状態の状態確定領域は次の式を満たす範囲となる。
【0110】
【数34】
【0111】
たとえば、有意水準α=0.05、自由度φ=3の場合は、
【数35】
【0112】
となり、この正常状態確定領域に入ったときは正常、領域外のときは異常という判定が可能となる。
【0113】
従って、正常状態からの変化量を監視するために、下の式で表される状態量を統合パラメータとして定義する。
【0114】
【数36】
【0115】
このS値が大きくなれば異常状態と判定でき、回転機械の良否を判定するための普遍的な状態量を示すものである。この式において、有次元パラメータについて集約した指標値を有次元統合パラメータ値Syとし、無次元パラメータについて集約した指標値を無次元統合パラメータ値Smとする。そして、この2つの状態量Sy、Smを監視することにより、設備の状態監視を行う。
【0116】
SyとSmの2つを監視する理由は、異常モードによって、有次元パラメータに大きな変化が現れる場合と、無次元パラメータに大きな変化が現れる場合があるためである。
【0117】
以上の手順に従って、初期状態波形データについて有次元パラメータ、無次元パラメータ、主成分値、固有値、固有ベクトルなどが求められるが、それらの値は正常状態における基準データとして初期状態データベース21に記憶する(S6)。
【0118】
以上説明した波形データ処理は正常状態における基準データを作成するための準備である。したがって、この正常状態処理が行われた時点以降に読み込まれる、回転機械の良否を判定するための振動波形の処理については、この基準データを利用する形態での処理となる。
【0119】
正常状態処理が行われた時点以降に読み込まれる判定用振動波形の処理においては、ステップS1からS3までは前述と同様に実行される。しかし、ステップS4の主成分分析においては、標準化された兆候パラメータを要素とするデータ行列Yを求めた後は、再度新たな固有ベクトルの算出は行わず、初期状態データベース21に記憶されている固有ベクトルを抽出して、その固有ベクトルに基づいて主成分Z1、・・・Znを算出する。そして、この主成分に基づいて前述のステップS5と同様の手順で有次元統合パラメータSyと無次元統合パラメータSmを算出する。このようにして算出された判定用振動波形の処理データおよび処理結果は、測定値データベース22に記憶される。
【0120】
次に、良否判定処理部16が起動して算出された有次元統合パラメータSyと無次元統合パラメータSmに基づいて回転機械の良否を判定する(S7)。良否判定処理部16は、このSyまたはSmの値が、初期状態よりもn倍になれば注意、m倍になれば異常、n倍未満であれば良と判定する。この判定に際し、初期状態のSyまたはSmは初期状態データベース21から取り出され、判定基準であるn倍またはm倍は基準値データベース23に格納されている値が用いられる。
【0121】
判定結果で、注意または異常と判定された場合は、異常原因分析処理部17が起動して異常原因を分析して推定する(S8)。異常原因分析処理部17は異常原因分析データベース24から、図4に示す異常原因分析マトリックスを取り出す。
【0122】
異常原因分析マトリックスは、縦方向に異常原因を列記し、横方向に有次元及び無次元パラメータを配置した構成である。そして、この異常原因分析マトリックスの行列要素には、異常度指数1(aij)と異常度指数2(bij)が記載されている。この異常度指数1と異常度指数2は、該異常が発生した場合にそのパラメータが示す値を統計的に処理した指標であり、過去に発生した異常に実績データに基づいて算出し決定した値である。ここで、異常度指数1と異常度指数2の複数の指数を設けているのは、異常原因によってはいずれか一方のみの指数しか変化しない場合があるためである。尚、その異常度指数が該異常に関係しない場合は、その異常度指数には数値は設定されず、以降の計算には組み込まれない。
【0123】
次に、異常原因分析処理部17は、測定値データベース22に格納されている判定用振動波形の処理データを用いて、図5に示す異常度指数1(Aj)と異常度指数(Bj)とを算出する。そして、次の式に基づいて異常原因(i)についてパラメータ(j)毎に異常確率指数Pijを算出する。
【0124】
Pij = αj*{(Aj/aij)+(Bj/bij)}
但し、aij、bijともに値が設定されているとき:αj=0.5
aij、bijいずれか一方に値が設定されているとき:αj=1
aij、bijともに値が設定されていないとき:αj=0
そして、次の式によって異常原因(i)毎に総合確率Tiを算出する。
【0125】
Ti =1/N*ΣPij
ここで、N:aijまたはbijに値が設定されているパラメータの数
この式において、総合確率Tiが大きな値をとる場合は、あらかじめ異常原因分析マトリックスに設定されてある異常原因と類似している場合であると考えられる。従って、総合確率Tiが所定以上になれば、その異常が発生している可能性が高いと判断する。
【0126】
続いて、判定結果処理部18が起動して、判定結果である良、注意、異常と、異常原因(i)毎の総合確率Tiを編集して表示装置5あるいは印刷装置6に出力する(S9)。その後、必要なデータを保存して(S10)、異常判定処理を終了する。
【0127】
次に、本発明の診断システムの適用例を、図面を参照しながら説明する。図6は、振動センサ2が取り付けられた回転機械であるモータ30の概略図である。
【0128】
振動センサ2によって、正常状態における振動速度波形と加速度波形を採取し、採取した2種類の波形から、有次元パラメータと無次元パラメータの値を算出する。
【0129】
そして、上記の有次元・無次元パラメータに対し、それぞれ主成分分析を行い、初期波形データにおける各パラメータの値、主成分値、固有値、固有ベクトル等をすべて記憶しておく。
【0130】
次に、モータ30に初期異常を発生させそのデータを計測する。具体的には軸受に軽微な欠陥のある異常データ5データを計測し、初期データ解析時と同様、有次元統合パラメータと無次元統合パラメータを算出する。図7は、正常状態と異常状態における波形データの有次元統合パラメータの値を示す図である。無次元統合パラメータについても同様に算出する。
【0131】
そして主成分分析を行い状態量Sy、Sm値を算出して加速度RMS値(ACC−R)とともに記載した結果を図8に示す。図9はSy値とACC−Rのデータをグラフ化した図であり、図10はSm値とACC−Rのデータをグラフ化した図である。
【0132】
No.11〜15の異常データに対し、有次元パラメータである加速度RMS値(ACC−R)はほとんど変化していなく、異常を検知していない。これに対して、有次元統合パラメータSy値と無次元統合パラメータSm値は5倍以上も大きく変化しており、Sy値とSm値を用いることで初期異常を感度良く検知していることがわかる。
【0133】
尚、有次元統合パラメータSyと無次元統合パラメータSm単独で判定せずに、SyとSmを変数とする関数を考え、その関数の示す値によって判定するように構成しても良い。
【0134】
図11は、Sy値とSm値と積Sy*Smのデータをグラフ化した図である。No.11〜15の異常データに対し、指標Sy*Smが初期異常の兆候をより顕著に表していることがわかる。このように、Sy値とSm値を組合わせた指標を用いることで、初期異常の発生を確実に検出することが可能となる。
【0135】
また、本実施の形態では、有次元統合パラメータSyと無次元統合パラメータSmの2つの指標を求めているが、この形態に限定されず有次元パラメータと無次元パラメータとを分離せずにまとめ、これから統合パラメータを算出するように構成しても良い。
【0136】
また、有次元パラメータと無次元パラメータの選択を異常モード毎に行い、異常モード毎の有次元統合パラメータと無次元統合パラメータを用いるように構成しても良い。
【0137】
更に、異常モードの初期、中期、末期の各状態毎に、有次元パラメータと無次元パラメータを選択し、その状態毎の有次元統合パラメータと無次元統合パラメータを用いて判定するように構成しても良い。
【0138】
以上のように、この発明によれば、振動波形から算出した2つの統合パラメータ値を監視する機能により、回転機械の劣化状態を的確に、かつ早期に検知することができる。また、初期データからの波形の大きさと形状から統合パラメータを算出するので、回転機械の型式に依存しない精度の高い異常判定が可能となる。従って従来手法では困難であった特殊回転機械の診断も可能となるなど、信頼性の高い診断が可能となり、産業上有用な効果がもたらされる。
【0139】
【発明の効果】
この発明における診断手法を用いて回転機械の状態監視を行うことにより、異常の早期検知が可能となり、精度の高い良否判定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る診断システムの概略の構成を示すブロック図。
【図2】診断システムの概略の動作を示すフロー図。
【図3】一般的な軸受の主要諸元を示す図。
【図4】異常原因分析マトリックスを示す図。
【図5】異常度指数を示す図。
【図6】振動センサが取り付けられたモータを示す図。
【図7】正常状態と異常状態における波形データの有次元統合パラメータの値を示す図。
【図8】Sy、Sm値、加速度RMS値を示す図。
【図9】Sy値とACC−Rの推移を示す図。
【図10】Sm値とACC−Rの推移を示す図。
【図11】Sy、Sm値、Sy*Sm値の推移を示す図。
【符号の説明】
1…判定処理装置、2…振動センサ、11…波形読込部、12…FFT処理部、13…パラメータ算出部、14…主成分分析部、15…統合パラメータ値算出部、16…良否判定処理部、17…異常原因分析処理部、18…判定結果処理部。
Claims (13)
- 回転機械の作動状態における振動情報を採取し、
前記振動情報に基づき振動を特徴づける複数の振動パラメータを算出し、
前記複数の振動パラメータから主成分分析法により主成分を抽出し、
前記主成分に基づき1個の状態評価指数を算出し、
前記状態評価指数に基づき前記回転機械の良否判定を行うこと
を特徴とする回転機械の診断方法。 - 正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取し、
前記第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の振動パラメータを算出し、
前記複数の第1の振動パラメータから主成分分析法により第1の主成分を抽出し、
前記第1の主成分に基づき第1の状態評価指数を算出し、
良否を判定する時点での前記回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取し、
前記第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の振動パラメータを算出し、
前記複数の第2の振動パラメータから主成分分析法により第2の主成分を抽出し、
前記第2の主成分に基づき対応する第2の状態評価指数を算出し、
第2の状態評価指数と第1の状態評価指数の比の値によって前記回転機械の良否判定を行うこと
を特徴とする回転機械の診断方法。 - 回転機械の作動状態における振動情報を採取し、
前記振動情報に基づき振動を特徴づける複数の有次元振動パラメータと複数の無次元振動パラメータとを算出し、
前記複数の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて有次元の主成分を抽出するとともに、前記複数の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて無次元の主成分を抽出し、
前記有次元の主成分に基く有次元の状態評価指数と、前記無次元の主成分に基づく無次元の状態評価指数とを算出し、
前記有次元の状態評価指数、無次元の状態評価指数のうち少なくとも1つに基づき前記回転機械の良否判定を行うこと
を特徴とする回転機械の診断方法。 - 正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取し、
前記第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の有次元振動パラメータと複数の第1の無次元振動パラメータとを算出し、
前記複数の第1の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の有次元の主成分を抽出するとともに、前記複数の第1の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の無次元の主成分を抽出し、
前記第1の有次元の主成分に基く第1の有次元の状態評価指数と、前記第1の無次元の主成分に基づく第1の無次元の状態評価指数とを算出し、
良否を判定する時点での前記回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取し、
前記第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の有次元振動パラメータと複数の第2の無次元振動パラメータとを算出し、
前記複数の第2の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の有次元の主成分を抽出するとともに、前記複数の第2の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の無次元の主成分を抽出し、
前記第2の有次元の主成分に基く第2の有次元の状態評価指数と、前記第2の無次元の主成分に基づく第2の無次元の状態評価指数とを算出し、
第2の有次元の状態評価指数と第1の有次元の状態評価指数との比の値、第2の無次元の状態評価指数と第1の無次元の状態評価指数との比の値のうち少なくとも1つの値によって前記回転機械の良否判定を行うこと
を特徴とする回転機械の診断方法。 - 正常作動状態の振動パラメータと、異常と判定した状態の振動パラメータとの変化量を算出し、予めこれらの変化量と各異常原因との相関を関連付けた判定基準と比較・判定することにより異常原因を推定することを特徴とする請求項1乃至5の内いずれか1の請求項に記載の回転機械の診断方法。
- 回転機械の診断プログラムにおいて、
コンピュータに、
回転機械の作動状態における振動情報を採取する手順、
前記振動情報に基づき振動を特徴づける複数の振動パラメータを算出する手順、
前記複数の振動パラメータから主成分分析法により主成分を抽出する手順、
前記主成分に基づき1個の状態評価指数を算出する手順、
前記状態評価指数に基づき前記回転機械の良否判定を行う手順、
を実行させるためのプログラム。 - 回転機械の診断プログラムにおいて、
コンピュータに、
正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取する手順、
前記第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の振動パラメータを算出する手順、
前記複数の第1の振動パラメータから主成分分析法により第1の主成分を抽出する手順、
前記第1の主成分に基づき第1の状態評価指数を算出する手順、
良否を判定する時点での前記回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取する手順、
前記第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の振動パラメータを算出する手順、
前記複数の第2の振動パラメータから主成分分析法により第2の主成分を抽出する手順、
前記第2の主成分に基づき対応する第2の状態評価指数を算出する手順、
第2の状態評価指数と第1の状態評価指数の比の値によって前記回転機械の良否判定を行う手順、
を実行させるためのプログラム。 - 回転機械の診断プログラムにおいて、
コンピュータに、
回転機械の作動状態における振動情報を採取する手順、
前記振動情報に基づき振動を特徴づける複数の有次元振動パラメータと複数の無次元振動パラメータとを算出する手順、
前記複数の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて有次元の主成分を抽出するとともに、前記複数の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて無次元の主成分を抽出する手順、
前記有次元の主成分に基く有次元の状態評価指数と、前記無次元の主成分に基づく無次元の状態評価指数とを算出する手順、
前記有次元の状態評価指数、無次元の状態評価指数のうち少なくとも1つに基づき前記回転機械の良否判定を行う手順、
を実行させるためのプログラム。 - 回転機械の診断プログラムにおいて、
コンピュータに、
正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取する手順、
前記第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の有次元振動パラメータと複数の第1の無次元振動パラメータとを算出する手順、
前記複数の第1の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の有次元の主成分を抽出するとともに、前記複数の第1の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第1の無次元の主成分を抽出する手順、
前記第1の有次元の主成分に基く第1の有次元の状態評価指数と、前記第1の無次元の主成分に基づく第1の無次元の状態評価指数とを算出する手順、
良否を判定する時点での前記回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取する手順、
前記第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の有次元振動パラメータと複数の第2の無次元振動パラメータとを算出する手順、
前記複数の第2の有次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の有次元の主成分を抽出するとともに、前記複数の第2の無次元振動パラメータから主成分分析法をもちいて第2の無次元の主成分を抽出する手順、
前記第2の有次元の主成分に基く第2の有次元の状態評価指数と、前記第2の無次元の主成分に基づく第2の無次元の状態評価指数とを算出する手順、
第2の有次元の状態評価指数と第1の有次元の状態評価指数との比の値、第2の無次元の状態評価指数と第1の無次元の状態評価指数との比の値のうち少なくとも1つの値によって前記回転機械の良否判定を行う手順、
を実行させるためのプログラム。 - 正常作動状態の振動パラメータと、異常と判定した状態の振動パラメータとの変化量を算出し、予めこれらの変化量と各異常原因との相関を関連付けた判定基準と比較・判定することにより異常原因を推定する異常原因推定手順、
を備えたことを特徴とする請求項7乃至11の内いずれか1の請求項に記載の回転機械の診断プログラム。 - 正常な回転機械の作動状態における第1の振動情報を採取する第1の振動情報採取手段と、
前記第1の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第1の振動パラメータを算出する第1の振動パラメータ算出手段と、
前記複数の第1の振動パラメータから主成分分析法により第1の主成分を抽出する第1の主成分抽出手段と、
前記第1の主成分に基づき第1の状態評価指数を算出する第1の指数算出手段と、
良否を判定する時点での前記回転機械の作動状態における第2の振動情報を採取する第2の振動情報採取手段と、
前記第2の振動情報に基づき振動を特徴づける複数の第2の振動パラメータを算出する第2の振動パラメータ算出手段と、
前記複数の第2の振動パラメータから主成分分析法により第2の主成分を抽出する第2の主成分抽出手段と、
前記第2の主成分に基づき対応する第2の状態評価指数を算出する第2の指数算出手段と、
第2の状態評価指数と第1の状態評価指数の比の値によって前記回転機械の良否判定を行う良否判定手段と
を備えたことを特徴とする回転機械の診断装置。
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