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JP2004273512A - 有機薄膜トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタおよびその製造方法 Download PDF

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JP2004273512A JP2003058321A JP2003058321A JP2004273512A JP 2004273512 A JP2004273512 A JP 2004273512A JP 2003058321 A JP2003058321 A JP 2003058321A JP 2003058321 A JP2003058321 A JP 2003058321A JP 2004273512 A JP2004273512 A JP 2004273512A
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桂 平井
Hiroshi Kita
弘志 北
Kazuhiro Kudo
一浩 工藤
Masakazu Nakamura
雅一 中村
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Abstract

【課題】キャリア移動度の高い有機半導体層の形成方法を提供し、それによる高性能な有機薄膜トランジスタの製造方法、該製造方法により製造された有機薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】有機薄膜トランジスタの製造方法であって、支持体上にソース電極およびドレイン電極を形成する電極形成工程、および支持体上に有機半導体材料を配置して有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程、を含むとともに、前記有機半導体層形成工程では、有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液の状態又は加熱により溶融した状態で、電界又は磁界を作用させることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機薄膜トランジスタの製造方法、特に有機半導体層の形成方法に関し、該製造方法により製造した有機薄膜トランジスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイ(FPD)に対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパーあるいはデジタルペーパーへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般にFPDにおいては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
【0004】
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には通常、CVD(化学蒸着)、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
【0005】
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFTの研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照)。
【0006】
この有機TFTは比較的低温プロセスで製造可能であるため、軽くて、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いることによりフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている。更に、大気圧下で、印刷や塗布などのウェットプロセスで製造できることになれば、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できることとなる。
【0007】
前記文献中には、有機半導体の溶液を塗布し、溶媒のキャストにより有機半導体層を形成する技術が開示されているが、これにより形成された有機TFTはキャリア移動度が低いと言う問題があることが分かった。有機半導体分子の配向または結晶化の程度がキャリア移動度に寄与すると解釈されているが、キャストするだけでは十分なキャリア移動度を得ることはできていない。
【0008】
また、有機半導体層に隣接して配向膜を設け、有機半導体材料の融点以上で熱処理することにより、有機半導体の配向性を高めキャリア移動度を向上させる技術が開示されている(特許文献2参照)が、これも未だ十分なものではない。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−190001号公報
【0010】
【特許文献2】
WO 01/49617号公報
【0011】
【非特許文献1】
Advanced Material誌 2002年 第2号 99頁(レビュー)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、係る課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、キャリア移動度の高い有機半導体層の形成方法を提供し、それによる高性能な有機薄膜トランジスタの製造方法、該製造方法により製造された有機薄膜トランジスタを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の方法により達成することができた。
【0014】
(1) 有機薄膜トランジスタの製造方法であって、支持体上にソース電極およびドレイン電極を形成する電極形成工程、および支持体上に有機半導体材料を配置して有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程、を含むとともに、前記有機半導体層形成工程では、有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液の状態又は加熱により溶融した状態で、電界又は磁界を作用させることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0015】
(2) 前記有機半導体層形成工程において、前記ソース電極およびドレイン電極間にバイアスを印加することにより、前記電界を作用させることを特徴とする(1)記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0016】
(3) 前記有機半導体層形成工程は、更に、前記有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液を塗布する工程、および前記有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液中に電界又は磁界を作用させながら、前記塗布溶媒を乾燥させる工程、を含むことを特徴とする(1)又は(2)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0017】
(4) 前記有機半導体層形成工程では、前記有機半導体材料が加熱により溶融した状態で電界又は磁界を作用させるとともに、冷却することを特徴とする(1)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0018】
(5) 前記有機半導体層形成工程は、更に、前記有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液を塗布する工程、を含むとともに、前記塗布溶媒を乾燥させた後に前記有機半導体材料を加熱により溶融させることを特徴とする(4)に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0019】
(6) 前記電極形成工程の後に、前記有機半導体層形成工程が行われることを特徴とする(1)〜(5)の何れか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
【0020】
(7) 前記(1)〜(6)の何れか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により製造されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
【0021】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の有機半導体層を形成する有機半導体材料としては、種々のπ共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーや特開平11−195790に記載された多環縮合体などを用いることができる。
【0022】
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するたとえばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。
【0023】
さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
【0024】
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0025】
本発明においては、これらの有機半導体材料を用いた有機半導体層の作製法としては、有機半導体材料の溶液あるいは分散液を用いて、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法等による溶媒塗布法が好ましく、特にインクジェット法が簡便で好ましい方法である。
【0026】
溶媒塗布時に用いられる溶媒としては、種々の溶媒を用いることができるが、特にジクロロメタン、クロロホルム、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、テトラヒドロフラン等の溶剤を用いることが好ましい。
【0027】
有機半導体層を形成した後、加熱溶融して電界或いは磁界を作用させる場合は、有機半導体層の形成方法としては、上記溶媒塗布法に加えて、従来用いられてきた真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、等の種々の方法を用いることができる。
【0028】
電界を作用させる方法としては、静電界を印加することが好ましいが、半導体材料の種類や状態、例えば溶媒塗布や溶融等の条件、溶媒の種類、温度条件等により、掃引波形や周波数を変えた交流を印加してもよい。印加電圧も種々選択することができる。
【0029】
磁界を作用させる方法においても、種々の条件を選択することが可能であり、電界の印加方法に準じて作用させることができる。
【0030】
本発明の有機TFTにおいて、ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITOおよび炭素が好ましい。
【0031】
本発明において、ソース電極、ドレイン電極として、導電性材料を含む、溶液、ペースト、インク、金属薄膜前駆体材料、液状分散物などを用いて作製した電極であることが好ましい。導電性材料としては、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。また、溶媒や分散媒体としては、有機半導体へのダメージを抑制するため、水を60%以上、好ましくは90%以上含有する溶媒または分散媒体であることが好ましい。
【0032】
金属微粒子を含有する分散物としては、たとえば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1〜100nm、好ましくは1〜20nmの金属微粒子を含有する分散物である。
【0033】
金属微粒子の材料としては白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、亜鉛等を用いることができる。
【0034】
これらの金属からなる微粒子を、主に有機材料からなる分散安定剤を用いて、水や任意の有機溶剤である分散媒中に分散した分散物を用いて電極を形成するのが好ましい。
【0035】
このような金属微粒子の分散物の製造方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号、同11−80647号、同11−319538号、特開2000−239853等に示されたコロイド法、特開2001−254185、同2001−53028、同2001−35255、同2000−124157、同2000−123634などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。これらの金属微粒子分散物を用いて電極を成形し、溶媒を乾燥させた後、必要に応じて100〜300℃、好ましくは150〜200℃の範囲で形状様に加熱することにより、金属微粒子を熱融着させ、目的の形状を有する電極パターンを形成するものである。
【0036】
さらに、ソース電極、ドレイン電極としては、ドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマーを用いることも好ましく、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。これによりソース電極またはドレイン電極と有機半導体との接触抵抗を低減することができる。
【0037】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0038】
本発明の有機薄膜トランジスタ素子のゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0039】
本発明において、支持体としてはガラス、シリコン、プラスチック等の基板材料を用いることができ、フレキシブルな有機TFTを得るためには、プラスチックフィルムシートを用いることが好ましい。プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【0041】
図1は、有機半導体層を有するトランジスタの構成要素を示す断面図である。Siウェハー1上にSiOの熱酸化膜2を形成し、その上にソース電極3、ドレイン電極4を形成し、ソース電極およびドレイン電極間および両電極に接して、溶媒に溶解した有機半導体材料をインクジェット等により、塗布し、塗布層を乾燥する間にソース、ドレイン電極間に電圧を印可して、電界或いは磁界を作用させて有機半導体層5を形成するものである。
【0042】
更には、上記有機半導体層の形成過程では、電界、磁界を作用させずに乾燥し、その後形成された有機半導体層を加熱溶融し、徐冷する間に、ソース、ドレイン電極間に電圧を印可して電界或いは磁界を作用させ有機半導体層5を形成する方法も本発明のもう一つの好ましい態様である。
【0043】
【実施例】
実施例1
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、その上に、マスクを用いて厚さ10nmのCr、厚さ150nmの金を順次蒸着し、チャネル長L=20μmとなるソース、ドレイン電極を形成した。さらにZnおよびNiの含有量が10ppm以下になるよう良く精製した、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のregioregular体(アルドリッチ社製)のクロロホルム溶液を調製し、この溶液を、ピエゾ型のインクジェットを用いて、ソース電極、ドレイン電極上とその間に、一様な塗膜が形成されるよう吐出した。クロロホルムの飽和蒸気圧下に調整した窒素ガス雰囲気下で、ソース、ドレイン電極間に100Vのバイアス電圧を印加しながら、クロロホルムを乾燥させた後、窒素ガス置換雰囲気中で、50℃、30分間の熱処理を施した。このとき、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)の膜厚は30nmであった。
【0044】
この有機薄膜トランジスタは、Si基板をゲート電極として駆動させると、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0045】
比較例1
実施例1において、ソース、ドレイン間に、バイアス電圧を印加せずに素子を作製した。
【0046】
実施例2
比抵抗0.01Ω・cmのSiウェハーに厚さ2000Åの熱酸化膜を形成し、その上に、マスクを用いて厚さ10nmのCr、厚さ150nmの金を順次蒸着し、チャネル長L=20μmとなるソース、ドレイン電極を形成した。さらにZnおよびNiの含有量が10ppm以下になるよう良く精製した、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)のregioregular体(アルドリッチ社製)のクロロホルム溶液を調製し、この溶液を、ピエゾ型のインクジェットを用いて、ソース電極、ドレイン電極上とその間に、一様な塗膜が形成されるよう吐出した。クロロホルムの飽和蒸気圧下に調整した窒素ガス雰囲気下で、クロロホルムを乾燥させた後、窒素ガス置換雰囲気中で、50℃、30分間の熱処理を施した。このとき、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)の膜厚は30nmであった。
【0047】
窒素ガス置換雰囲気中で、270℃に素子を加熱すると、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)が溶融した。この状態で、ソース、ドレイン電極間に100Vのバイアス電圧を印加しながら、徐冷し、素子を室温まで冷却した。
【0048】
この有機薄膜トランジスタは、Si基板をゲート電極として駆動させると、pチャネルエンハンスメント型FETの良好な動作特性を示した。飽和領域におけるキャリア移動度を測定した。
【0049】
各試料の飽和領域におけるキャリア移動度の測定を行い、その結果を下記に示した。
【0050】
実施例1 0.04
実施例2 0.03
比較例1 0.02
上記結果より、有機半導体層の形成過程で電界を作用させることにより、優れたキャリア移動度が得られることがわかる。
【0051】
【発明の効果】
電界或いは磁界を作用しつつ、有機半導体層を形成することにより、キャリア移動度の高い有機薄膜トランジスタを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機半導体層を有するトランジスタの構成要素を示す断面図である。
【符号の説明】
1 Siウェハー
2 熱酸化膜
3 ソース電極
4 ドレイン電極
5 有機半導体層

Claims (7)

  1. 有機薄膜トランジスタの製造方法であって、支持体上にソース電極およびドレイン電極を形成する電極形成工程、および支持体上に有機半導体材料を配置して有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程、を含むとともに、前記有機半導体層形成工程では、有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液の状態又は加熱により溶融した状態で、電界又は磁界を作用させることを特徴とする有機薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 前記有機半導体層形成工程において、前記ソース電極およびドレイン電極間にバイアスを印加することにより、前記電界を作用させることを特徴とする請求項1記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記有機半導体層形成工程は、更に、前記有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液を塗布する工程、および前記有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液中に電界又は磁界を作用させながら、前記塗布溶媒を乾燥させる工程、を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記有機半導体層形成工程では、前記有機半導体材料が加熱により溶融した状態で電界又は磁界を作用させるとともに、冷却することを特徴とする請求項1に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 前記有機半導体層形成工程は、更に、前記有機半導体材料が塗布溶媒中に溶解した溶液を塗布する工程、を含むとともに、前記塗布溶媒を乾燥させた後に前記有機半導体材料を加熱により溶融させることを特徴とする請求項4に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 前記電極形成工程の後に、前記有機半導体層形成工程が行われることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法により製造されたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006165584A (ja) * 2004-12-09 2006-06-22 Samsung Electronics Co Ltd 有機薄膜トランジスタの製造方法、有機薄膜トランジスタ及び表示素子

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