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JP2004270090A - 被服 - Google Patents

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JP2004270090A
JP2004270090A JP2003063881A JP2003063881A JP2004270090A JP 2004270090 A JP2004270090 A JP 2004270090A JP 2003063881 A JP2003063881 A JP 2003063881A JP 2003063881 A JP2003063881 A JP 2003063881A JP 2004270090 A JP2004270090 A JP 2004270090A
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armhole
sleeve
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sewing
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JP2003063881A
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Takatoshi Honda
隆稔 本田
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Fashion Honda Kk
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Fashion Honda Kk
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Abstract

【課題】被服において、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れていること。
【解決手段】袖側本アームホールと身頃側本アームホールが縫合される結果、脇の下に第1の折倒し部分5a,第2の折倒し部分6aからなる弛み部分が形成され、完成した背広を着用して腕を上げても弛み部分5a,6aが蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり窮屈感を覚えない。かかる被服としての背広は型紙を載せて裁断した谷袖3と山袖4、前身1と細腹2を縫合せて製造されるものであり、袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールにミシン掛け5b,6b及びホットスチームプレスを掛けて生地を縮ませ、第1,第2の折倒し部分5a,6aを作る工程も全て機械で同じ条件の下で行うので個人差が出ることがなく、同じ背広を量産することができる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、背広、ブレザー、学生服、作業衣、礼服、カッターシャツ、カジュアルシャツ等の被服に関するものであり、特に、腕が動かし易い袖構造の被服に関するもので、紳士用・婦人用・子供服全般に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特許第2987087号公報
一般に、従来の背広等の被服は、機能面よりも外観の見栄えに重点がおかれているため、背広等の被服は着用して腕を下げた状態では何ら不自由な点はないが、腕を上げたり腕を前に出したりするのには不自由な袖構造となっている。つまり、袖は身頃に沿って下げた状態で縫付けられているため、腕を上げると、谷袖の袖底も上方に上がり、この谷袖と身頃が互いに引合うために、背広の着用者は窮屈感を覚える。また、腕を前方に突出する場合も、袖の後部が前方に引張られ、身頃も袖によって前方に引張られるために、着用者は窮屈感を覚える。したがって、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際に窮屈であった。
【0003】
そこで、腕を動かし易く、しかも見栄えもよい、即ち機能及び見栄えの両面で優れた袖構造の背広等の被服として、上記特許文献1に開示された発明にかかる被服がある。この発明にかかる被服は、山袖と縫合わされて袖を形成する谷袖の袖底に所定形状の袖側折返部を、また、袖が取付けられる身頃の袖刳りの脇下部分に所定形状の身頃側折返部を有することにより、身頃に袖を取付けた場合には、袖側折返部と身頃側折返部とが縫合わされて被服の脇下部分に折畳部が形成され、この被服を着用して腕を上方や前方に或る程度動かしても脇下部分に余裕があり、身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的である。また、折畳部は、袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たないので、見栄えが損なわれない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この背広等の被服においては、縫合わされた後の折畳部を形成する袖側折返部の袖立切線等が、袖側折返線等より伸張している。即ち、袖側折返部の袖立切線及び身頃側折返部の袖刳り立切線は、それらを各々作業者が引張りながらアイロン処理することによって、引伸ばされている。このため、引伸ばし寸法にバラツキが出てしまい、またこうして引伸ばした生地は時間が経つと元に戻ってしまうため、縫製の直前に一着ごとに袖立切線と袖刳り立切線の長さを合わせなければならないので、量産ができないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記の特許第2987087号公報に開示された背広等の被服をさらに改良し、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服の提供を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せたものである。
【0007】
即ち、本発明においては、アイロン掛けでアームホール下部の生地を引伸ばすのではなく、仮想アームホール下部に本アームホールを設けて仮想アームホールを縮ませ、その結果として本アームホールの生地が余って外側に倒すことができるものである。そして、これらの袖側本アームホールと身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、見栄えが損なわれることもない。
【0008】
そして、袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断することによって形成されるものであり、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させる工程も全て機械によって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ被服を量産することができる。
【0009】
このようにして、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0010】
請求項2の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ細かくミシン掛けをして収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたものである。
【0011】
本発明においても、仮想アームホール下部に本アームホールを設けて仮想アームホールを細かくミシン掛けをして縮ませ、その結果として本アームホールの生地が余って外側に倒すことができるものである。そして、これらの袖側本アームホールと身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、ミシン掛け糸も取り除かれているので見栄えが損なわれることもない。
【0012】
そして、袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断することによって形成されるものであり、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させる工程も全てミシンによって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ被服を量産することができる。
【0013】
このようにして、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0014】
請求項3の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ細かくミシン掛けをして、さらにスチームを当てながら加熱プレスを掛けることによって収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたものである。
【0015】
本発明においても、仮想アームホール下部に本アームホールを設けて仮想アームホールを細かくミシン掛けをしてさらにホットスチームプレスを掛けて縮ませ、その結果として本アームホールの生地が余って外側に倒すことができるものである。そして、これらの袖側本アームホールと身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、ミシン掛け糸も取り除かれているので見栄えが損なわれることもない。
【0016】
そして、袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断することによって形成されるものであり、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させる工程も全て機械によって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ被服を量産することができる。
【0017】
このようにして、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0018】
請求項4の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記所定形状に近似した形状に裁断した2枚の薄い織物接着芯を接着面を互いに内側にして短い辺に沿って縫合せて挟持織物接着芯とし、前記袖側本アームホール及び/または前記身頃側本アームホールを外側へ折り倒して、折り倒し線を中心にして前記挟持織物接着芯で前記袖側本アームホールとそれに続く部分及び/または前記身頃側本アームホールとそれに続く部分とを挟んで、前記挟持織物接着芯に両面からアイロンを掛けて前記挟持織物接着芯を熱接着し、前記挟持織物接着芯を縫合せた前記短い辺に沿って細かくミシン掛けをして前記折り倒し線を収縮させて前記袖側本アームホール及び/または前記身頃側本アームホールが外側へ折り倒された状態を保つようにし、前記袖側本アームホールまたは前記身頃側本アームホールのうち前記挟持織物接着芯を熱接着しなかった方については、前記袖の仮想アームホールまたは前記身頃の仮想アームホールを細かくミシン掛けをして、さらにスチームを当てながら加熱プレスを掛けることによって収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたものである。
【0019】
即ち、本発明の被服においては、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方を外側へ折り倒した状態で、2枚の薄い織物接着芯を接着面を互いに内側にして短い辺に沿って縫合せてなる挟持織物接着芯の内側を折り倒し線に合わせて挟み、両面からアイロンを掛けて挟持織物接着芯を熱接着し、挟持織物接着芯を縫合せた短い辺に沿って細かくミシン掛けをして折り倒し線を収縮させて、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方を外側へ折り倒した状態を維持するものである。
【0020】
請求項2及び請求項3の発明にかかる被服においては、袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールを収縮させるためにミシン掛けしたミシン糸は被服完成後に見栄えの点から取り除かれるために、被服を数回洗濯したりクリーニングに出したりすると、縮んだ生地が元へ戻ってしまう。この状態でも腕を楽に上げられる機能は維持されるが、縮んでいた部分が元へ戻る結果、皺が生じて見栄えが余り良くなくなる。そこで、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方に挟持織物接着芯を熱接着することによって、被服を何度洗濯したりクリーニングしたりしても元の形状を保つことができる。
【0021】
一方、挟持織物接着芯を熱接着しなかった袖側本アームホールまたは身頃側本アームホールについては、請求項1乃至請求項3の発明と同様に袖の仮想アームホールまたは身頃の仮想アームホールを縮ませることによって、その結果として袖側本アームホールまたは身頃側本アームホールの生地が余って外側に倒すことができ、これらの袖側本アームホール及び身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。
【0022】
したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、挟持織物接着芯は脇の下の内側に貼り付けられているので表からは見えず、ミシン掛け部分の糸も取り除かれているので、見栄えが損なわれることもない。そして、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方に挟持織物接着芯が熱接着されて挟持織物接着芯に細かくミシン掛けがされて生地が縮んだ状態が維持されるので、洗濯したりクリーニングしたりしても見栄えが損なわれることがない。
【0023】
このようにして、腕が動かし易く、また洗濯したりクリーニングしたりしても見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0024】
請求項5の発明にかかる被服は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記袖は型紙に沿って裁断された山袖と谷袖とを縫合せて製造され、前記身頃のうち前身頃は型紙に沿って裁断された前身と細腹とを縫合せて製造され、前記山袖と前記谷袖とが縫合せられた上端に前記袖側本アームホールが設けられ、前記前身と前記細腹とが縫合せられた上端に前記身頃側本アームホールが設けられたものである。
【0025】
このように、袖を山袖と谷袖とに分け、前身頃を前身と細腹とに分けて、それらの縫合せ目の上端に袖側本アームホール及び身頃側本アームホールを設けることによって、互いに縫合せるだけで袖側本アームホールまたは身頃側本アームホールが外側へ折れ曲がるような特殊な形状の型紙とすることも容易である。そして、袖側本アームホール及び身頃側本アームホールが設けられる部分で型紙を分割することによって、型紙が複雑な形状になり過ぎず型紙の製造が容易になり、型紙に沿って裁断したものを縫合せて袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールを一定長さ縮めるだけで袖側本アームホール及び身頃側本アームホールが外側へさらに折れ曲がって、袖側本アームホールと身頃側本アームホールを縫合せるだけで脇の下に余裕がある同じ被服が何着も作れるので大量生産に向いている。
【0026】
このようにして、腕が動かし易く、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも型紙が製造し易く、量産性に優れた被服となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の被服を背広として具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
実施の形態1
まず、本発明にかかる被服の実施の形態1について、図1乃至図5を参照して説明する。図1は型紙に合わせて裁断した前身、細腹、谷袖、山袖を裏返して見た平面図である。図2は前身と細腹を縫合せた前身頃、及び谷袖と山袖を縫合せた袖生地を裏から見た平面図である。図3は図2の袖側本アームホールと身頃側本アームホールを外側へ倒した状態を表から見た斜視図である。図4は輪にした袖を前身頃に背中生地を縫合せた身頃に縫付けるところを示す斜視図である。図5はでき上がった被服としての背広の右袖を上げた状態を示す側面図である。
【0029】
図1に示されるように、本実施の形態の背広は、型紙に沿って裁断した前身1,細腹2,谷袖3,山袖4等によって形成される。これらの型紙は全て縫い代付きで製造されており、前身1の細腹2との縫い代1bの上端には突出部分1aが設けられ、細腹2の前身1との縫い代2bの上端には突出部分2aが設けられている。同様に、谷袖3の山袖4との縫い代3bの上端には突出部分3aが設けられ、山袖4の谷袖3との縫い代4bの上端には突出部分4aが設けられている。
【0030】
そして、これらを互いに縫合せることによって、図2に示されるように、前身1と細腹2とが縫合わされた前身頃5の縫合せられた上端には第2の折倒し部分5aが設けられ、谷袖3と山袖4とが縫合された袖6の縫合せられた上端には第1の折倒し部分6aが設けられる。この段階で既に、第1の折倒し部分6a、第2の折倒し部分5aともに表側(図2においては向う側)に折り曲げられるだけの生地が余るように型紙が設計されているが、このまま折り倒したのでは第1の折倒し部分6aと第2の折倒し部分5aとの縫合せ部分が直線的になってしまい、背広として完成して着用したときに前記縫合せ部分に違和感を覚えるため、前記縫合せ部分を曲線にするためにどうしても次の工程が必要になる。
【0031】
即ち、通常のアームホールの形状に沿った袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールにそれぞれ細かいミシン掛け6b,5bを行う。そして、このミシン掛け部分6b,5bにスチームを当てながら加熱プレスを掛けることによって、ミシン掛け部分6b,5bの生地が約7mm縮んで、その分第1の折倒し部分6a及び第2の折倒し部分5aの生地が余って、図3に示されるようにそれぞれ表側に折り倒すと、折り倒し線も自然な曲線になって違和感がなくなる。
【0032】
次に、図4に示されるように、袖6の谷袖3と山袖4の反対側の縫い代を縫合せて輪にして袖6として完成させ、一方、前身頃5の細腹2には背中生地7を縫合せて身頃としてから、両者を袖側本アームホールと身頃側本アームホールにおいて縫合せる。
【0033】
これによって、脇の下に第1の折倒し部分6a及び第2の折倒し部分5aからなる弛み部分が形成される。そして、図5に示されるように、被服としての背広10として完成したときに、ミシン掛け5b,6bのミシン掛け糸を引き抜いて取り除く。このようにして完成した背広10を着用して右腕を上げても前記弛み部分5a,6aが蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分5a,6aは袖6を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、ミシン掛け5b,6bのミシン掛け糸も取り除かれているので、見栄えが損なわれることもない。
【0034】
そして、第1の折倒し部分6aと第2の折倒し部分5a及びそれらの縁取りにあたる袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断した谷袖3と山袖4、前身1と細腹2を縫合せることによって形成されるものであり、折倒し部分5a,6aの下方にミシン掛け5b,6b及びホットスチームプレスを掛けることによって袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールを縮ませる工程も全て機械によって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ背広10を量産することができる。なお、以上の説明は右袖6側について行ったが左袖側の製造方法及び作用効果についても左右対称になるだけで全く同様である。
【0035】
このようにして、本実施の形態1にかかる被服としての背広10は、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0036】
実施の形態2
次に、本発明にかかる被服の実施の形態2について、図6及び図7並びに図1乃至図3を参照して説明する。図6は実施の形態2に用いられる挟持織物接着芯の構造を示す斜視図である。図7は実施の形態2における身頃側本アームホールの処理方法を示した斜視図であり、(a)は身頃側本アームホールに挟持織物接着芯の一方を接着した状態を示し、(b)は身頃側本アームホールに続く裏側に挟持織物接着芯のもう一方を接着した状態を示したものである。
【0037】
実施の形態1にかかる背広10においては、袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールを収縮させるためにミシン掛け(5b,6b)したミシン掛け糸は背広完成後に見栄えの点から取り除かれるために、背広10を数回クリーニングに出すと、縮んだ生地が元へ戻ってしまう。この状態でも腕を楽に上げられる機能は維持されるが、縮んでいた部分が元へ戻る結果、皺が生じて見栄えが余り良くなくなる。本実施の形態2にかかる背広は、この問題を解決するものである。
【0038】
本実施の形態2における被服としての背広の製造方法は、袖6については身頃と縫合せる前までは、実施の形態1と全く同一である。即ち、図1乃至図3に示されるように、谷袖3と山袖4の縫い代3b,4bを縫合せて第1の折倒し部分6aを形成し、袖の仮想アームホールに沿ってミシン掛け6bを行って、ホットスチームプレスを掛けることによって生地を縮ませ、第1の折倒し部分6aを表側に折り倒す。また、身頃側についても前身頃5を前身1と細腹2の縫い代1b,2bを縫合せることによって形成するところまでは同じである。但し、前身頃5については図2に示されるミシン掛け5bは行わない。
【0039】
その代わり、図6に示される挟持織物接着芯8が用いられる。挟持織物接着芯8は、図6に示されるように、片面が熱接着面である薄い織物接着芯を第2の張出し部分5aとほぼ同じ形状に裁断したものを2枚(8a,8b)、熱接着面をそれぞれ内側にして短い辺をミシンで縫合せた(8c)ものである。
【0040】
この挟持織物接着芯8を、図7(a)に示されるように前身頃5の第2の折倒し部分5aを外側に折り倒した状態で折り倒し線を挟むように被せて、まず第2の折倒し部分5a側の薄い織物接着芯8aにアイロンを掛けて熱接着する。続いて、図7(b)に示されるように、折り倒し線の裏側の薄い織物接着芯8bにアイロンを掛けて熱接着する。そして、挟持織物接着芯8のミシンの縫合せ目8cよりさらに外側に細かいミシン掛け9を行うことによって、折り倒し線の生地を縮ませて、薄い織物接着芯8aを熱接着した第2の折倒し部分5aが外側に折り倒された状態を維持できるようにする。
【0041】
後は、実施の形態1と同様に袖6の谷袖3と山袖4の反対側の縫い代を縫合せて輪にして袖6として完成させ、一方、前身頃5の細腹2には背中生地7を縫合せて身頃としてから、両者を袖側本アームホールと身頃側本アームホールにおいて縫合せる。
【0042】
これによって、脇の下に第1の折倒し部分6a及び第2の折倒し部分5aからなる弛み部分が形成される。そして、被服としての背広として完成したときに、ミシン掛け6bのミシン掛け糸を引き抜いて取り除く。なお、挟持織物接着芯8及びミシンの縫合せ目8c、ミシン掛け9は表からは見えないので取り除く必要はない。したがって、背広を何度クリーニングに出しても挟持織物接着芯8に挟まれた折り倒し線の縮んだ生地が元に戻ることはなく、ミシン掛け6bのミシン掛け糸を引き抜いた部分は元に戻るが挟持織物接着芯8が熱接着された第2の折倒し部分5aに縫付けられているので皺がよることはなく、見栄えも損なわれることがない。
【0043】
このようにして完成した背広を着用して腕を上げても前記弛み部分5a,6aが蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分5a,6aは袖6を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、ミシン掛け6bのミシン掛け糸も取り除かれているので、見栄えが損なわれることもない。
【0044】
そして、第1の折倒し部分6aと第2の折倒し部分5a及びそれらの縁取りにあたる袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断した谷袖3と山袖4、前身1と細腹2を縫合せることによって形成されるものであり、折倒し部分6aの下方にミシン掛け6b及びホットスチームプレスを掛けることによって袖の仮想アームホールを縮ませる工程も、挟持織物接着芯8をアイロンで熱接着してミシン掛け9で生地を縮ませる工程も、全て機械によって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ背広を量産することができる。
【0045】
このようにして、本実施の形態2にかかる被服としての背広は、腕が動かし易く、また何度クリーニングに出しても見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0046】
なお、挟持織物接着芯8は第2の折倒し部分5aに限らず、第1の折倒し部分6a側に付けても良いし、第1の折倒し部分6aと第2の折倒し部分5aの両方に付けることもできる。但し、両方に付けた場合は、脇の下が少しごわごわした感じになり、また第1の折倒し部分6a側(袖6の側)のみに付けた場合は、第2の折倒し部分5aのミシン掛け5bで縮ませた部分がクリーニングで元に戻った場合に皺がよるのを防ぐ力がやや弱くなるので、本実施の形態2で説明したように第2の折倒し部分5aに取付けるのが最も好ましい。
【0047】
上記各実施の形態においては、被服の一例として背広(スーツの上着)の事例で説明したが、ブレザーや礼服、タキシード、モーニング、ジャケット、ブルゾン、ジャンバー、カバーオール、コート、カッターシャツ、カジュアルシャツ、ブラウス、ワンピース、スポーツウェア等の被服にも適用でき、紳士用・婦人用・子供服全般に適用できる。特に、指揮者の着用する燕尾服等では、身頃が上下に大きく動いたり、袖がまくれ上ったりすることがない。また、肥満体形の人、スポーツ体形の人、ダンスをする人にも無理なく腕が上がるので適している。さらに、量産性に優れているので、学生服や作業衣等の量産できることが望ましい被服に使用することも適切である。
【0048】
被服のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、上記各実施の形態に限定されるものではない。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せたものである。
【0050】
即ち、本発明においては、アイロン掛けでアームホール下部の生地を引伸ばすのではなく、仮想アームホール下部に本アームホールを設けて仮想アームホールを縮ませ、その結果として本アームホールの生地が余って外側に倒すことができるものである。そして、これらの袖側本アームホールと身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、見栄えが損なわれることもない。
【0051】
そして、袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断することによって形成されるものであり、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させる工程も全て機械によって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ被服を量産することができる。
【0052】
このようにして、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0053】
請求項2の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ細かくミシン掛けをして収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたものである。
【0054】
本発明においても、仮想アームホール下部に本アームホールを設けて仮想アームホールを細かくミシン掛けをして縮ませ、その結果として本アームホールの生地が余って外側に倒すことができるものである。そして、これらの袖側本アームホールと身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、ミシン掛け糸も取り除かれているので見栄えが損なわれることもない。
【0055】
そして、袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断することによって形成されるものであり、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させる工程も全てミシンによって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ被服を量産することができる。
【0056】
このようにして、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0057】
請求項3の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ細かくミシン掛けをして、さらにスチームを当てながら加熱プレスを掛けることによって収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたものである。
【0058】
本発明においても、仮想アームホール下部に本アームホールを設けて仮想アームホールを細かくミシン掛けをしてさらにホットスチームプレスを掛けて縮ませ、その結果として本アームホールの生地が余って外側に倒すことができるものである。そして、これらの袖側本アームホールと身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、ミシン掛け糸も取り除かれているので見栄えが損なわれることもない。
【0059】
そして、袖側本アームホールと身頃側本アームホールは、それぞれ多数枚の生地の上に型紙を載せて裁断することによって形成されるものであり、前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させる工程も全て機械によって同じ条件の下で行われるので個人差が出ることがなく、同じ被服を量産することができる。
【0060】
このようにして、腕が動かし易く、また見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0061】
請求項4の発明にかかる被服は、縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、前記所定形状に近似した形状に裁断した2枚の薄い織物接着芯を接着面を互いに内側にして短い辺に沿って縫合せて挟持織物接着芯とし、前記袖側本アームホール及び/または前記身頃側本アームホールを外側へ折り倒して、折り倒し線を中心にして前記挟持織物接着芯で前記袖側本アームホールとそれに続く部分及び/または前記身頃側本アームホールとそれに続く部分とを挟んで、前記挟持織物接着芯に両面からアイロンを掛けて前記挟持織物接着芯を熱接着し、前記挟持織物接着芯を縫合せた前記短い辺に沿って細かくミシン掛けをして前記折り倒し線を収縮させて前記袖側本アームホール及び/または前記身頃側本アームホールが外側へ折り倒された状態を保つようにし、前記袖側本アームホールまたは前記身頃側本アームホールのうち前記挟持織物接着芯を熱接着しなかった方については、前記袖の仮想アームホールまたは前記身頃の仮想アームホールを細かくミシン掛けをして、さらにスチームを当てながら加熱プレスを掛けることによって収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたものである。
【0062】
即ち、本発明の被服においては、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方を外側へ折り倒した状態で、2枚の薄い織物接着芯を接着面を互いに内側にして短い辺に沿って縫合せてなる挟持織物接着芯の内側を折り倒し線に合わせて挟み、両面からアイロンを掛けて挟持織物接着芯を熱接着し、挟持織物接着芯を縫合せた短い辺に沿って細かくミシン掛けをして折り倒し線を収縮させて、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方を外側へ折り倒した状態を維持するものである。
【0063】
請求項2及び請求項3の発明にかかる被服においては、袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールを収縮させるためにミシン掛けしたミシン糸は被服完成後に見栄えの点から取り除かれるために、被服を数回洗濯したりクリーニングに出したりすると、縮んだ生地が元へ戻ってしまう。この状態でも腕を楽に上げられる機能は維持されるが、縮んでいた部分が元へ戻る結果、皺が生じて見栄えが余り良くなくなる。そこで、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方に挟持織物接着芯を熱接着することによって、被服を何度洗濯したりクリーニングしたりしても元の形状を保つことができる。
【0064】
一方、挟持織物接着芯を熱接着しなかった袖側本アームホールまたは身頃側本アームホールについては、請求項1乃至請求項3の発明と同様に袖の仮想アームホールまたは身頃の仮想アームホールを縮ませることによって、その結果として袖側本アームホールまたは身頃側本アームホールの生地が余って外側に倒すことができ、これらの袖側本アームホール及び身頃側本アームホールとを縫合せることによって、袖下(脇の下)の部分に弛みができる。
【0065】
したがって、被服として完成したときには、この被服を着用して腕を上げたり前方に突き出す動作をしても、この弛み部分が蛇腹のように開いて身頃が引張られないので、腕を動かし易く機能的であり、電車・バス内で吊革を持ったり、自動車の運転をしたりする際にも窮屈感を覚えない。また、この弛み部分は袖を下げた状態では見えず、腕を上げた状態でもそれ程目立たず、挟持織物接着芯は脇の下の内側に貼り付けられているので表からは見えず、ミシン掛け部分の糸も取り除かれているので、見栄えが損なわれることもない。そして、袖側本アームホールまたは身頃側本アームホール或いは両方に挟持織物接着芯が熱接着されて挟持織物接着芯に細かくミシン掛けがされて生地が縮んだ状態が維持されるので、洗濯したりクリーニングしたりしても見栄えが損なわれることがない。
【0066】
このようにして、腕が動かし易く、また洗濯したりクリーニングしたりしても見栄えを損なうこともなく、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも量産性にも優れた被服となる。
【0067】
請求項5の発明にかかる被服は、請求項1乃至請求項4のいずれか1つの構成において、前記袖は型紙に沿って裁断された山袖と谷袖とを縫合せて製造され、前記身頃のうち前身頃は型紙に沿って裁断された前身と細腹とを縫合せて製造され、前記山袖と前記谷袖とが縫合せられた上端に前記袖側本アームホールが設けられ、前記前身と前記細腹とが縫合せられた上端に前記身頃側本アームホールが設けられたものである。
【0068】
このように、袖を山袖と谷袖とに分け、前身頃を前身と細腹とに分けて、それらの縫合せ目の上端に袖側本アームホール及び身頃側本アームホールを設けることによって、互いに縫合せるだけで袖側本アームホールまたは身頃側本アームホールが外側へ折れ曲がるような特殊な形状の型紙とすることも容易である。そして、袖側本アームホール及び身頃側本アームホールが設けられる部分で型紙を分割することによって、型紙が複雑な形状になり過ぎず型紙の製造が容易になり、型紙に沿って裁断したものを縫合せて袖の仮想アームホール及び身頃の仮想アームホールを一定長さ縮めるだけで袖側本アームホール及び身頃側本アームホールが外側へさらに折れ曲がって、袖側本アームホールと身頃側本アームホールを縫合せるだけで脇の下に余裕がある同じ被服が何着も作れるので大量生産に向いている。
【0069】
このようにして、腕が動かし易く、機能及び見栄えの両面で優れており、しかも型紙が製造し易く、量産性に優れた被服となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は型紙に合わせて裁断した前身、細腹、谷袖、山袖を裏返して見た平面図である。
【図2】図2は前身と細腹を縫合せた前身頃、及び谷袖と山袖を縫合せた袖生地を裏から見た平面図である。
【図3】図3は図2の袖側本アームホールと身頃側本アームホールを外側へ倒した状態を表から見た斜視図である。
【図4】図4は輪にした袖を前身頃に背中生地を縫合せた身頃に縫付けるところを示す斜視図である。
【図5】図5はでき上がった被服としての背広の右袖を上げた状態を示す側面図である。
【図6】図6は実施の形態2に用いられる挟持織物接着芯の構造を示す斜視図である。
【図7】図7は実施の形態2における身頃側本アームホールの処理方法を示した斜視図であり、(a)は身頃側本アームホールに挟持織物接着芯の一方を接着した状態を示し、(b)は身頃側本アームホールに続く裏側に挟持織物接着芯のもう一方を接着した状態を示したものである。
【符号の説明】
1 前身
2 細腹
3 谷袖
4 山袖
5 前身頃
5b,6b,9 ミシン掛け
6 袖
8 挟持織物接着芯
8a,8b 薄い織物接着芯
10 被服

Claims (5)

  1. 縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、
    前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、
    前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せたことを特徴とする被服。
  2. 縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、
    前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、
    前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれミシン掛けをして収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたことを特徴とする被服。
  3. 縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、
    前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、
    前記袖の仮想アームホール及び前記身頃の仮想アームホールをそれぞれ細かくミシン掛けをして、さらにスチームを当てながら加熱プレスを掛けることによって収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたことを特徴とする被服。
  4. 縫合わされた袖の略弧状の仮想アームホールの身頃側に設けられた所定形状の袖側本アームホールと、
    前記袖を取付ける略弧状の身頃の仮想アームホールの下部に設けられた所定形状の身頃側本アームホールとを具備し、
    前記所定形状に近似した形状に裁断した2枚の薄い織物接着芯を接着面を互いに内側にして短い辺に沿って縫合せて挟持織物接着芯とし、
    前記袖側本アームホール及び/または前記身頃側本アームホールを外側へ折り倒して、折り倒し線を中心にして前記挟持織物接着芯で前記袖側本アームホールとそれに続く部分及び/または前記身頃側本アームホールとそれに続く部分とを挟んで、前記挟持織物接着芯に両面からアイロンを掛けて前記挟持織物接着芯を熱接着し、
    前記挟持織物接着芯を縫合せた前記短い辺に沿って細かくミシン掛けをして前記折り倒し線を収縮させて前記袖側本アームホール及び/または前記身頃側本アームホールが外側へ折り倒された状態を保つようにし、
    前記袖側本アームホールまたは前記身頃側本アームホールのうち前記挟持織物接着芯を熱接着しなかった方については、前記袖の仮想アームホールまたは前記身頃の仮想アームホールを細かくミシン掛けをして、さらにスチームを当てながら加熱プレスを掛けることによって収縮させ、前記袖側本アームホール及び前記身頃側本アームホールを同一方向に折曲し、前記袖側本アームホールと前記身頃側本アームホールとを縫合せ、前記ミシン掛け糸を取り除いたことを特徴とする被服。
  5. 前記袖は型紙に沿って裁断された山袖と谷袖とを縫合せて製造され、前記身頃のうち前身頃は型紙に沿って裁断された前身と細腹とを縫合せて製造され、前記山袖と前記谷袖とが縫合せられた上端に前記袖側本アームホールが設けられ、前記前身と前記細腹とが縫合せられた上端に前記身頃側本アームホールが設けられたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の被服。
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