JP2004262730A - 炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】炭化ケイ素粒子と窒化ケイ素粒子と金属ケイ素粒子と気孔形成剤とを出発原料とし、高価なセラミックスプレカーサを使用しないで、衝撃性が高く、高除塵、脱塵に最適な複合多孔体の製造法の提供を目的とする。
【解決手段】平均粒子直径10〜100μmの炭化ケイ素粒子65〜95質量部と、平均粒子直径0.5〜30μmの窒化ケイ素粒子4〜25質量部と、平均粒子直径0.5〜75μmの金属ケイ素粒子1〜10質量部との混合粉末68〜98質量%および気孔形成剤2〜32質量%を含有する成形体を、窒素雰囲気中で熱処理することにより前記金属ケイ素粒子の少なくとも一部を窒化して窒化ケイ素とすることを特徴とする炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】平均粒子直径10〜100μmの炭化ケイ素粒子65〜95質量部と、平均粒子直径0.5〜30μmの窒化ケイ素粒子4〜25質量部と、平均粒子直径0.5〜75μmの金属ケイ素粒子1〜10質量部との混合粉末68〜98質量%および気孔形成剤2〜32質量%を含有する成形体を、窒素雰囲気中で熱処理することにより前記金属ケイ素粒子の少なくとも一部を窒化して窒化ケイ素とすることを特徴とする炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温排気ガス中に含まれる粉塵等を除去するために好適な炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化ケイ素や窒化ケイ素は、耐熱性、耐食性、耐薬品性、強度等に優れた特性を有しており、高温や腐蝕性環境下での集塵または脱塵用フィルタとして期待されている。このような炭化ケイ素と窒化ケイ素とを含む複合多孔体の製造法としていくつか提案されている。
【0003】
たとえば窒化ケイ素と炭素を反応させて、窒化ケイ素の粒子間に炭化ケイ素粒子を介在させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、窒化ケイ素粒子と炭化ケイ素粒子とポリシラン、ポリシラザンなどのセラミックスプレカーサとの混合体から炭化ケイ素と窒化ケイ素とを含む複合多孔体の製造法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかし、前者の方法では窒化ケイ素粒子が80体積%以上であるため耐熱性の点では必ずしも充分ではないおそれがある。また、後者の方法では得られる細孔直径が10〜30nmと非常に小さいことからディーゼルエンジンから排出されるディーゼルパティキュレートのような補足時の粒子直径が10〜20μm程度とされるような粒子の補足には適さないほか、高価なセラミックスプレカーサを使用するため実用面での制約がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−201083号公報(第1〜4頁)
【特許文献2】
特開平8−59364号公報(第1〜8頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、炭化ケイ素粒子と窒化ケイ素粒子と金属ケイ素粒子と気孔形成剤とを出発原料とし、高価なセラミックスプレカーサを使用しないで、耐熱温度、耐熱衝撃性が高く、粒子直径が10〜30μm程度の微粒子を効率よく捕捉できる除塵フィルタに適する炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平均粒子直径10〜100μmの炭化ケイ素粒子65〜95質量部と、平均粒子直径0.5〜30μmの窒化ケイ素粒子4〜25質量部と平均粒子直径0.5〜75μmの金属ケイ素粒子1〜10質量部の混合粉末68〜98質量%および気孔形成剤2〜32質量%を含有する成形体を、窒素雰囲気中で熱処理することにより前記金属ケイ素粒子の少なくとも一部を窒化して窒化ケイ素とすることを特徴とする炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造法(以下、本製造法という)では、平均粒子直径(以下、単に平均粒径と略す)10〜100μmの炭化ケイ素粒子65〜95質量部(以下、単に部と略す)と平均粒径0.5〜30μmの窒化ケイ素粒子4〜25質量部と平均粒径0.5〜75μmの金属ケイ素粒子1〜10質量部の混合粉末68〜98質量%(以下、単に%と略す)と、気孔形成剤2〜32%と、を含む成形体を使用する。
【0009】
本製造法において炭化ケイ素粒子は、平均粒径10〜100μmである。平均粒径が10μm未満であると、得られる多孔体の平均細孔直径(以下、平均細孔径という)が5μm以下となり、一方、平均粒径が100μmを超えると平均細孔径が40μm以上となり、平均粒径が10〜20μm程度とされるディーゼルパティキュレートのような微粒子の捕捉には適さないおそれがある。炭化ケイ素粒子の平均粒径が、15〜80μmであると好ましく、20〜60μmであると特に好ましい。なお、炭化ケイ素粒子の純度としては目的、用途に応じ適宜選択される。
【0010】
本製造法において窒化ケイ素粒子は、平均粒径が0.5〜30μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、成形体作成中などに外気の酸素や水分を吸着する量が増大し、または窒化ケイ素粒子表面が簡単に酸化され所望の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体(以下、単に複合多孔体と略す)が得られないおそれがある。一方、平均粒径が30μmを超えると焼結が進行せず、複合多孔体としての機械的強度(以下、単に強度と略す)特性が著しく低下する。窒化ケイ素粒子の平均粒径が1〜20μmであると好ましく、1〜15μmであると特に好ましい。なお、窒化ケイ素粒子の純度としては目的、用途に応じ適宜選択される。
【0011】
本製造法において金属ケイ素粒子は、平均粒径が0.5〜75μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、成形体作成中などに外気の酸素や水分を吸着する量が増大し、または金属ケイ素粒子表面が簡単に酸化され所望の複合多孔体が得られないおそれがある。一方、平均粒径が75μmを超えると窒化、焼結が充分に進行せず、複合多孔体としての強度特性が著しく低下する。窒化ケイ素粒子の平均粒径が1〜50μmであると好ましく、1〜20μmであると特に好ましい。なお、金属ケイ素粒子の純度としては目的、用途に応じ適宜選択される。
【0012】
本製造法において、炭化ケイ素粒子と窒化ケイ素粒子、金属ケイ素粒子との割合は、混合粉末中、炭化ケイ素粒子65〜95部に対して窒化ケイ素粒子4〜25部、金属ケイ素1〜10部である。炭化ケイ素粒子が65部未満であると耐酸化性、耐熱温度が充分でないおそれがあり、一方、炭化ケイ素粒子が95部を超えると熱膨張率が上昇し耐熱衝撃性が不充分となるおそれがある。窒化ケイ素粒子が4部未満であると熱膨張率が上昇し、耐熱衝撃性が不充分となってしまう。窒化ケイ素粒子が25部を超えると耐熱性が低下するおそれがある。
【0013】
また、金属ケイ素粒子が1部未満であると各粒子が強固に結合されず充分な強度を得られなくなるおそれがあり、一方、金属ケイ素粒子が10部を超えると金属ケイ素の残留やシリコンの窒化に伴う細孔が閉塞するおそれがあり、好ましくない。炭化ケイ素粒子80〜90部に対して窒化ケイ素粒子8〜12部、金属ケイ素2〜8部とするのが耐熱性、耐熱衝撃性の点で好ましい。
【0014】
混合粉末の含有量としては、固形分換算で成形体中68〜98%である。混合粉末の含有量が68%未満であると充分な強度が得られないおそれがあり、一方、混合粉末の含有量が98%を超えると気孔の割合が充分ではない。混合粉末の含有量が75〜95%であると好ましい。
【0015】
本製造法において気孔形成剤としては、熱処理時に分解などして飛散し、気孔を形成するものであれば有機物、無機物のいずれも好適に使用される。気孔形成剤が金属酸化物中空粒子(以下、単に中空粒子という)であると、炭化ケイ素粒子や窒化ケイ素粒子に対して焼結助剤的な働きをして複合多孔体に対して強度付与するほか、中空部分がそのまま気孔として利用できる利点もある。また、気孔形成剤が有機高分子粒子、特に熱分解性の高分子粒子であると熱処理過程で分解、飛散し、焼結体内に残留物を残さず得られる複合多孔体の特性を損なわないため好ましい。
【0016】
中空粒子としては、熱処理時に気孔を形成し、しかも窒化ケイ素粒子や炭化ケイ素粒子に対して焼結助剤的な働きをするものであればいずれも好適に使用される。中空粒子が、Al、Si、Ca、Sr、Y、Yb、BaおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物を主成分とすると焼結助剤的な効果により強度が高いため好ましい。
【0017】
中空粒子は、中空であれば外皮に相当する部分が緻密質でも、多孔質でもよい。また、中空粒子の外形としては、中空であれば特に制限がないが、球状であると混合時に他の粒子と均質に混じりやすいので好ましい。本明細書において、球状とは視覚で判断して概ね球であればよく、多少の凹凸があってもよい。中空粒子の平均粒径が30〜200μmであると、得られる多孔体の気孔率が大きく、しかも強度も確保されるため好ましい。中空粒子の平均粒径が30μm未満であると、気孔直径が小さくなりすぎる上に気孔形成への寄与が低下する。一方、平均粒径が200μmを超えると気孔直径が大きくなりすぎ、得られる複合多孔体の強度が不充分であるため好ましくない。
【0018】
また、気孔付与剤として用いられる有機高分子粒子としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースなどがある。昇温中に、気孔形成剤として添加した有機高分子粒子が、熱処理の昇温段階で充分に熱分解されずに炭素として多く残留すると、強度低下するため好ましくない。その点、アクリル樹脂粒子を気孔形成剤とすると熱分解しやすく、炭素として残留する量が少ないため好ましい。有機高分子粒子が球形であると形成される気孔も球状となり気孔率が高くても強度の低下を抑制できるので特に好ましい。
【0019】
また有機高分子粒子の平均粒径が5〜100μmであると好適である。気孔形成剤の平均粒径が5μm未満であると熱処理後得られる複合多孔体の平均細孔径が5μm以下となり補足する粒子の平均粒径が10μmを超えるような用途には好ましくなく、一方、100μmを超えると熱処理後得られる複合多孔体の平均細孔径が40μm以上となってディーゼルパティキュレート等のフィルタとして好ましくない。なお、本製造法においては気孔形成剤として中空粒子と有機高分子粒子とを併用してもよい。
【0020】
気孔形成剤の含有量としては、固形分換算で成形体中2〜32%である。含有量が2%未満では、多孔体として気孔の割合が充分でなく、一方、含有量が32%を超えると多孔体の気孔率が大きくなるものの、充分な強度が得られない。気孔形成剤の含有量が成形体中5〜25%であると、多孔体の強度と気孔率の両方を高くできるため好ましい。
【0021】
本製造法において、成形体が実質的に前記混合粉末と前記気孔形成剤とからなると多孔体に要求される諸特性のバランスがよいため好ましく、成形体が実質的に混合粉末と中空粒子からなると強度も確保できるためさらに好ましい。
【0022】
本製造法において、混合粉末と気孔形成剤とを含む成形体を作成する方法としては、プレス成形、押出成形、鋳込成形などの通常のセラミックス成形法が適宜採用される。なお、成形に際して、気孔形成剤とは別に有機バインダや分散剤、可塑剤、等の成形助剤を加えてもよい。このような有機バインダとしては、ポリビニルアルコールまたはその変成物、でんぷんまたはその変成物、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂またはアクリル系共重合体、酢酸ビニル樹脂または酢酸ビニル系共重合体、等の有機物を使用できる。このような有機バインダの添加量として混合粉末と中空粒子との合計100部に対して1〜10部とすると好ましい。なお、本明細書において有機バインダの添加量は気孔形成剤に含めるものとする。また、特段、有機バインダを使用せずに気孔形成剤がバインダの働きをかねてもよい。
【0023】
前記成形体を熱処理する条件としては、窒素雰囲気下で1100〜1900℃で2〜24時間保持することが好ましい。温度範囲が1100℃未満であると窒化ケイ素粒子の焼結が進まないため好ましくなく、1900℃を超えると窒化ケイ素粒子が分解するので好ましくない。温度範囲が1000〜1800℃であると好ましく、温度範囲が1100〜1750℃であるとさらに好ましい。温度保持時間が2時間未満であると粒子同士の結合が充分に進行しないため好ましくなく、一方、24時間を超えると特に、高温では窒化ケイ素が分解しやすくなり好ましくない。
【0024】
熱処理時の昇温速度は、成形体の大きさ、形状等により適宜選択されるが、50〜600℃/hであると気孔径の点で好ましい。
【0025】
ここで窒素雰囲気とは、実質的に窒素のみを含み酸素を含まない雰囲気をいうが、他の不活性気体を含んでいてもよい。窒素分圧は50kPa以上が好ましい。なお、本製造法では、炭化ケイ素粒子と窒化ケイ素粒子と金属ケイ素粒子との混合物を窒素雰囲気下で熱処理して金属ケイ素粒子の少なくとも一部を窒化して窒化ケイ素粒子とするため、窒化により得られた窒化ケイ素粒子により粒子同士が結合するため強度に優れた多孔体が得れるものと推測される。金属ケイ素粒子の大部分が窒化されると好ましく、金属ケイ素粒子全部が窒化されると特に好ましい。
【0026】
本製造法で得られる複合多孔体の気孔率は、30〜80%であると好適である。なお、気孔率はアルキメデス法により測定し、その単位は無次元である。気孔率が30%未満であるとフィルタとして用いる場合、圧力損失が大きくなるため多孔体として好ましくない。また気孔率が80%を超えると強度が低くなるため多孔体として好ましくない。なお、本明細書において、気孔率の表記は慣例に従い%で表す。
【0027】
本製造法で得られる複合多孔体の水銀圧入法で測定された平均細孔径は、5〜20μmであると好ましい。平均細孔径が5μm未満であると複合多孔体使用時の圧力損失が大きくなり好ましくない。平均細孔径が20μmを超えるとディーゼルパティキュレートのような排気微粒子の捕捉がしにくくなるため好ましくない。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
【0029】
[例1(実施例)]
平均粒径50μmの炭化ケイ素粒子80部と平均粒径10μmの窒化ケイ素粒子10部、平均粒子径5μmの金属ケイ素粒子10部との混合粉末75%と、気孔形成剤として平均粒径20μmのアクリル樹脂系の球状粒子(綜研化学社製、商品名:HP−20)25%と、からなる成形体用混合物に、さらにエタノールを分散媒として添加し、ボールミル法によって30分間湿式混合して最後に乾燥した。
【0030】
得られた成形体用混合物を40mm×60mmのプレス金型に充填し、成形圧20MPaで一軸加圧成形した。成形後、電気炉中、窒素雰囲気下で、室温〜1000℃まで400℃/hで昇温し、1700℃まで60℃/hで昇温し1700℃で10時間保持して熱処理し多孔体を得た。
【0031】
[例2(比較例)]
例1において窒素雰囲気を真空雰囲気とし、熱処理条件を1000℃から1500℃まで300℃/hで昇温し1500℃で5時間保持とする以外は例1と同様にして多孔体を得た。
【0032】
[例3(比較例)]
例1において窒化ケイ素と金属ケイ素の代わりに平均粒径が10μmのリチウムアルミニウムシリケート(以下、LASという)を用い、窒素雰囲気をアルゴン雰囲気とし、熱処理条件を1000℃から1300℃まで300℃/hで昇温し1300℃で5時間保持とする以外は例1と同様にして多孔体を得た。
【0033】
[例4(実施例)]
例1において熱処理条件を1000℃から1400℃まで400℃/hで昇温し1400℃で10時間保持とする以外は例1と同様にし多孔体を得た。
【0034】
[例5(実施例)]
平均粒径75μmの炭化ケイ素粒子70部と平均粒径10μmの窒化ケイ素粒子22部、平均粒径8μmの金属ケイ素粒子8部との混合粉末85%と、気孔形成剤として平均粒径14μmのシリカ系の中空粒子(GE東芝シリコーン社製、商品名:トスパール)15%添加し、さらにエタノールを分散媒として添加し、ボールミル法によって30分間湿式混合して最後に乾燥した。得られた混合粉末を40mm×60mmのプレス金型に充填し、成形圧20MPaで一軸加圧成形した。成形後、電気炉中、窒素雰囲気下で、室温〜1000℃まで400℃/hで昇温し、1700℃まで60℃/hで昇温し1700℃で5時間保持して熱処理し多孔体を得た。
【0035】
[例6(実施例)]
平均粒径50μmの炭化ケイ素粒子75%と平均粒径5μmの窒化ケイ素粒子20%、平均粒径5μmの金属ケイ素粒子5部の混合粉末80部と、気孔形成剤である平均粒径45μmのシリカ系中空粒子(GE東芝シリコーン社製、商品名:トスパール)20部とを予備混合した。前記混合粉末79%、メチルセルロース10%、グリセリン1%およびイオン交換水10%となるようにメチルセルロース、グリセリン、イオン交換水を加えてニーダで充分混練して押出成形坏土を調製した。この坏土を真空押出機で押出成形し、直径50mm、長さ100mm、貫通孔間の多孔質の隔壁の厚さが0.25mmでセル数200セル/6.4516cm2のハニカム成形体を作成した。得られた成形体を乾燥後に、電気炉中で窒素雰囲気下で室温から1750℃まで200℃/hで昇温し、1750℃で5時間保持してハニカム焼結体を得た。得られたハニカム焼結体は、表面、内部ともにクラック等は観察されなかった。
【0036】
[評価方法]
得られた多孔体について気孔率、平均細孔径、熱膨張率、結晶相、室温強度、1000℃での高温強度、耐酸性、耐熱衝撃性、について評価した結果を表1に示す。
気孔率:アルキメデス法で算出した。
平均細孔径:水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス株式会社製、AUTOSCAN−33)で測定した。
熱膨張率:リガク社製の線熱膨張率測定装置(TAS100)を用い、室温〜1000℃の範囲で測定した。
結晶相:X線回折により同定。第1表中、SNは窒化ケイ素のピークが、SCは炭化ケイ素のピークが同定されたことを示す。
室温強度および高温(1000℃)強度:試料より4mm×3mm×40mmサイズの曲げ試験片を切り出し、スパン30mmの3点曲げ強度で測定。荷重印加速度は0.5mm/分とした。
耐食性:80℃で1モル%の硫酸水溶液に試料を50時間浸漬し、浸漬前後での3点曲げ強度変化から強度低下率を算出した。
耐熱衝撃性:前述と同じサイズの曲げ試験片を53℃に加熱保持後、温度3℃の氷水に投下、急冷し、その試料について3点曲げ強度測定を行った。同様にして、保持温度を103℃、153℃と50℃ずつ803℃まで上げていき、各温度にて保持した曲げ試験片を3点曲げ強度測定した。強度低下が生じた加熱温度と氷水の温度差を耐熱衝撃温度差として評価した。例えば、403℃に保持した曲げ試験片の強度が353℃に保持した曲げ試験片の強度より顕著に低下した場合、403℃と氷水の温度3℃の差、400℃を耐熱衝撃温度差とする。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
表1の結果から本製造法で得られた複合多孔体は、室温強度と高温強度が共に高くバランスがよい。また、耐熱衝撃性、耐食性に優れていること、平均細孔径が10〜20μm、気孔率も50〜60%であることから、高価なセラミックスプレカーサを使用しなくても、本発明によりディーゼルパティキュレートのような除塵に適するフィルタを提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温排気ガス中に含まれる粉塵等を除去するために好適な炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化ケイ素や窒化ケイ素は、耐熱性、耐食性、耐薬品性、強度等に優れた特性を有しており、高温や腐蝕性環境下での集塵または脱塵用フィルタとして期待されている。このような炭化ケイ素と窒化ケイ素とを含む複合多孔体の製造法としていくつか提案されている。
【0003】
たとえば窒化ケイ素と炭素を反応させて、窒化ケイ素の粒子間に炭化ケイ素粒子を介在させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、窒化ケイ素粒子と炭化ケイ素粒子とポリシラン、ポリシラザンなどのセラミックスプレカーサとの混合体から炭化ケイ素と窒化ケイ素とを含む複合多孔体の製造法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
しかし、前者の方法では窒化ケイ素粒子が80体積%以上であるため耐熱性の点では必ずしも充分ではないおそれがある。また、後者の方法では得られる細孔直径が10〜30nmと非常に小さいことからディーゼルエンジンから排出されるディーゼルパティキュレートのような補足時の粒子直径が10〜20μm程度とされるような粒子の補足には適さないほか、高価なセラミックスプレカーサを使用するため実用面での制約がある。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−201083号公報(第1〜4頁)
【特許文献2】
特開平8−59364号公報(第1〜8頁)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、炭化ケイ素粒子と窒化ケイ素粒子と金属ケイ素粒子と気孔形成剤とを出発原料とし、高価なセラミックスプレカーサを使用しないで、耐熱温度、耐熱衝撃性が高く、粒子直径が10〜30μm程度の微粒子を効率よく捕捉できる除塵フィルタに適する炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、平均粒子直径10〜100μmの炭化ケイ素粒子65〜95質量部と、平均粒子直径0.5〜30μmの窒化ケイ素粒子4〜25質量部と平均粒子直径0.5〜75μmの金属ケイ素粒子1〜10質量部の混合粉末68〜98質量%および気孔形成剤2〜32質量%を含有する成形体を、窒素雰囲気中で熱処理することにより前記金属ケイ素粒子の少なくとも一部を窒化して窒化ケイ素とすることを特徴とする炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造法(以下、本製造法という)では、平均粒子直径(以下、単に平均粒径と略す)10〜100μmの炭化ケイ素粒子65〜95質量部(以下、単に部と略す)と平均粒径0.5〜30μmの窒化ケイ素粒子4〜25質量部と平均粒径0.5〜75μmの金属ケイ素粒子1〜10質量部の混合粉末68〜98質量%(以下、単に%と略す)と、気孔形成剤2〜32%と、を含む成形体を使用する。
【0009】
本製造法において炭化ケイ素粒子は、平均粒径10〜100μmである。平均粒径が10μm未満であると、得られる多孔体の平均細孔直径(以下、平均細孔径という)が5μm以下となり、一方、平均粒径が100μmを超えると平均細孔径が40μm以上となり、平均粒径が10〜20μm程度とされるディーゼルパティキュレートのような微粒子の捕捉には適さないおそれがある。炭化ケイ素粒子の平均粒径が、15〜80μmであると好ましく、20〜60μmであると特に好ましい。なお、炭化ケイ素粒子の純度としては目的、用途に応じ適宜選択される。
【0010】
本製造法において窒化ケイ素粒子は、平均粒径が0.5〜30μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、成形体作成中などに外気の酸素や水分を吸着する量が増大し、または窒化ケイ素粒子表面が簡単に酸化され所望の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体(以下、単に複合多孔体と略す)が得られないおそれがある。一方、平均粒径が30μmを超えると焼結が進行せず、複合多孔体としての機械的強度(以下、単に強度と略す)特性が著しく低下する。窒化ケイ素粒子の平均粒径が1〜20μmであると好ましく、1〜15μmであると特に好ましい。なお、窒化ケイ素粒子の純度としては目的、用途に応じ適宜選択される。
【0011】
本製造法において金属ケイ素粒子は、平均粒径が0.5〜75μmである。平均粒径が0.5μm未満であると、成形体作成中などに外気の酸素や水分を吸着する量が増大し、または金属ケイ素粒子表面が簡単に酸化され所望の複合多孔体が得られないおそれがある。一方、平均粒径が75μmを超えると窒化、焼結が充分に進行せず、複合多孔体としての強度特性が著しく低下する。窒化ケイ素粒子の平均粒径が1〜50μmであると好ましく、1〜20μmであると特に好ましい。なお、金属ケイ素粒子の純度としては目的、用途に応じ適宜選択される。
【0012】
本製造法において、炭化ケイ素粒子と窒化ケイ素粒子、金属ケイ素粒子との割合は、混合粉末中、炭化ケイ素粒子65〜95部に対して窒化ケイ素粒子4〜25部、金属ケイ素1〜10部である。炭化ケイ素粒子が65部未満であると耐酸化性、耐熱温度が充分でないおそれがあり、一方、炭化ケイ素粒子が95部を超えると熱膨張率が上昇し耐熱衝撃性が不充分となるおそれがある。窒化ケイ素粒子が4部未満であると熱膨張率が上昇し、耐熱衝撃性が不充分となってしまう。窒化ケイ素粒子が25部を超えると耐熱性が低下するおそれがある。
【0013】
また、金属ケイ素粒子が1部未満であると各粒子が強固に結合されず充分な強度を得られなくなるおそれがあり、一方、金属ケイ素粒子が10部を超えると金属ケイ素の残留やシリコンの窒化に伴う細孔が閉塞するおそれがあり、好ましくない。炭化ケイ素粒子80〜90部に対して窒化ケイ素粒子8〜12部、金属ケイ素2〜8部とするのが耐熱性、耐熱衝撃性の点で好ましい。
【0014】
混合粉末の含有量としては、固形分換算で成形体中68〜98%である。混合粉末の含有量が68%未満であると充分な強度が得られないおそれがあり、一方、混合粉末の含有量が98%を超えると気孔の割合が充分ではない。混合粉末の含有量が75〜95%であると好ましい。
【0015】
本製造法において気孔形成剤としては、熱処理時に分解などして飛散し、気孔を形成するものであれば有機物、無機物のいずれも好適に使用される。気孔形成剤が金属酸化物中空粒子(以下、単に中空粒子という)であると、炭化ケイ素粒子や窒化ケイ素粒子に対して焼結助剤的な働きをして複合多孔体に対して強度付与するほか、中空部分がそのまま気孔として利用できる利点もある。また、気孔形成剤が有機高分子粒子、特に熱分解性の高分子粒子であると熱処理過程で分解、飛散し、焼結体内に残留物を残さず得られる複合多孔体の特性を損なわないため好ましい。
【0016】
中空粒子としては、熱処理時に気孔を形成し、しかも窒化ケイ素粒子や炭化ケイ素粒子に対して焼結助剤的な働きをするものであればいずれも好適に使用される。中空粒子が、Al、Si、Ca、Sr、Y、Yb、BaおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物を主成分とすると焼結助剤的な効果により強度が高いため好ましい。
【0017】
中空粒子は、中空であれば外皮に相当する部分が緻密質でも、多孔質でもよい。また、中空粒子の外形としては、中空であれば特に制限がないが、球状であると混合時に他の粒子と均質に混じりやすいので好ましい。本明細書において、球状とは視覚で判断して概ね球であればよく、多少の凹凸があってもよい。中空粒子の平均粒径が30〜200μmであると、得られる多孔体の気孔率が大きく、しかも強度も確保されるため好ましい。中空粒子の平均粒径が30μm未満であると、気孔直径が小さくなりすぎる上に気孔形成への寄与が低下する。一方、平均粒径が200μmを超えると気孔直径が大きくなりすぎ、得られる複合多孔体の強度が不充分であるため好ましくない。
【0018】
また、気孔付与剤として用いられる有機高分子粒子としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、セルロースなどがある。昇温中に、気孔形成剤として添加した有機高分子粒子が、熱処理の昇温段階で充分に熱分解されずに炭素として多く残留すると、強度低下するため好ましくない。その点、アクリル樹脂粒子を気孔形成剤とすると熱分解しやすく、炭素として残留する量が少ないため好ましい。有機高分子粒子が球形であると形成される気孔も球状となり気孔率が高くても強度の低下を抑制できるので特に好ましい。
【0019】
また有機高分子粒子の平均粒径が5〜100μmであると好適である。気孔形成剤の平均粒径が5μm未満であると熱処理後得られる複合多孔体の平均細孔径が5μm以下となり補足する粒子の平均粒径が10μmを超えるような用途には好ましくなく、一方、100μmを超えると熱処理後得られる複合多孔体の平均細孔径が40μm以上となってディーゼルパティキュレート等のフィルタとして好ましくない。なお、本製造法においては気孔形成剤として中空粒子と有機高分子粒子とを併用してもよい。
【0020】
気孔形成剤の含有量としては、固形分換算で成形体中2〜32%である。含有量が2%未満では、多孔体として気孔の割合が充分でなく、一方、含有量が32%を超えると多孔体の気孔率が大きくなるものの、充分な強度が得られない。気孔形成剤の含有量が成形体中5〜25%であると、多孔体の強度と気孔率の両方を高くできるため好ましい。
【0021】
本製造法において、成形体が実質的に前記混合粉末と前記気孔形成剤とからなると多孔体に要求される諸特性のバランスがよいため好ましく、成形体が実質的に混合粉末と中空粒子からなると強度も確保できるためさらに好ましい。
【0022】
本製造法において、混合粉末と気孔形成剤とを含む成形体を作成する方法としては、プレス成形、押出成形、鋳込成形などの通常のセラミックス成形法が適宜採用される。なお、成形に際して、気孔形成剤とは別に有機バインダや分散剤、可塑剤、等の成形助剤を加えてもよい。このような有機バインダとしては、ポリビニルアルコールまたはその変成物、でんぷんまたはその変成物、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アクリル樹脂またはアクリル系共重合体、酢酸ビニル樹脂または酢酸ビニル系共重合体、等の有機物を使用できる。このような有機バインダの添加量として混合粉末と中空粒子との合計100部に対して1〜10部とすると好ましい。なお、本明細書において有機バインダの添加量は気孔形成剤に含めるものとする。また、特段、有機バインダを使用せずに気孔形成剤がバインダの働きをかねてもよい。
【0023】
前記成形体を熱処理する条件としては、窒素雰囲気下で1100〜1900℃で2〜24時間保持することが好ましい。温度範囲が1100℃未満であると窒化ケイ素粒子の焼結が進まないため好ましくなく、1900℃を超えると窒化ケイ素粒子が分解するので好ましくない。温度範囲が1000〜1800℃であると好ましく、温度範囲が1100〜1750℃であるとさらに好ましい。温度保持時間が2時間未満であると粒子同士の結合が充分に進行しないため好ましくなく、一方、24時間を超えると特に、高温では窒化ケイ素が分解しやすくなり好ましくない。
【0024】
熱処理時の昇温速度は、成形体の大きさ、形状等により適宜選択されるが、50〜600℃/hであると気孔径の点で好ましい。
【0025】
ここで窒素雰囲気とは、実質的に窒素のみを含み酸素を含まない雰囲気をいうが、他の不活性気体を含んでいてもよい。窒素分圧は50kPa以上が好ましい。なお、本製造法では、炭化ケイ素粒子と窒化ケイ素粒子と金属ケイ素粒子との混合物を窒素雰囲気下で熱処理して金属ケイ素粒子の少なくとも一部を窒化して窒化ケイ素粒子とするため、窒化により得られた窒化ケイ素粒子により粒子同士が結合するため強度に優れた多孔体が得れるものと推測される。金属ケイ素粒子の大部分が窒化されると好ましく、金属ケイ素粒子全部が窒化されると特に好ましい。
【0026】
本製造法で得られる複合多孔体の気孔率は、30〜80%であると好適である。なお、気孔率はアルキメデス法により測定し、その単位は無次元である。気孔率が30%未満であるとフィルタとして用いる場合、圧力損失が大きくなるため多孔体として好ましくない。また気孔率が80%を超えると強度が低くなるため多孔体として好ましくない。なお、本明細書において、気孔率の表記は慣例に従い%で表す。
【0027】
本製造法で得られる複合多孔体の水銀圧入法で測定された平均細孔径は、5〜20μmであると好ましい。平均細孔径が5μm未満であると複合多孔体使用時の圧力損失が大きくなり好ましくない。平均細孔径が20μmを超えるとディーゼルパティキュレートのような排気微粒子の捕捉がしにくくなるため好ましくない。
【0028】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
【0029】
[例1(実施例)]
平均粒径50μmの炭化ケイ素粒子80部と平均粒径10μmの窒化ケイ素粒子10部、平均粒子径5μmの金属ケイ素粒子10部との混合粉末75%と、気孔形成剤として平均粒径20μmのアクリル樹脂系の球状粒子(綜研化学社製、商品名:HP−20)25%と、からなる成形体用混合物に、さらにエタノールを分散媒として添加し、ボールミル法によって30分間湿式混合して最後に乾燥した。
【0030】
得られた成形体用混合物を40mm×60mmのプレス金型に充填し、成形圧20MPaで一軸加圧成形した。成形後、電気炉中、窒素雰囲気下で、室温〜1000℃まで400℃/hで昇温し、1700℃まで60℃/hで昇温し1700℃で10時間保持して熱処理し多孔体を得た。
【0031】
[例2(比較例)]
例1において窒素雰囲気を真空雰囲気とし、熱処理条件を1000℃から1500℃まで300℃/hで昇温し1500℃で5時間保持とする以外は例1と同様にして多孔体を得た。
【0032】
[例3(比較例)]
例1において窒化ケイ素と金属ケイ素の代わりに平均粒径が10μmのリチウムアルミニウムシリケート(以下、LASという)を用い、窒素雰囲気をアルゴン雰囲気とし、熱処理条件を1000℃から1300℃まで300℃/hで昇温し1300℃で5時間保持とする以外は例1と同様にして多孔体を得た。
【0033】
[例4(実施例)]
例1において熱処理条件を1000℃から1400℃まで400℃/hで昇温し1400℃で10時間保持とする以外は例1と同様にし多孔体を得た。
【0034】
[例5(実施例)]
平均粒径75μmの炭化ケイ素粒子70部と平均粒径10μmの窒化ケイ素粒子22部、平均粒径8μmの金属ケイ素粒子8部との混合粉末85%と、気孔形成剤として平均粒径14μmのシリカ系の中空粒子(GE東芝シリコーン社製、商品名:トスパール)15%添加し、さらにエタノールを分散媒として添加し、ボールミル法によって30分間湿式混合して最後に乾燥した。得られた混合粉末を40mm×60mmのプレス金型に充填し、成形圧20MPaで一軸加圧成形した。成形後、電気炉中、窒素雰囲気下で、室温〜1000℃まで400℃/hで昇温し、1700℃まで60℃/hで昇温し1700℃で5時間保持して熱処理し多孔体を得た。
【0035】
[例6(実施例)]
平均粒径50μmの炭化ケイ素粒子75%と平均粒径5μmの窒化ケイ素粒子20%、平均粒径5μmの金属ケイ素粒子5部の混合粉末80部と、気孔形成剤である平均粒径45μmのシリカ系中空粒子(GE東芝シリコーン社製、商品名:トスパール)20部とを予備混合した。前記混合粉末79%、メチルセルロース10%、グリセリン1%およびイオン交換水10%となるようにメチルセルロース、グリセリン、イオン交換水を加えてニーダで充分混練して押出成形坏土を調製した。この坏土を真空押出機で押出成形し、直径50mm、長さ100mm、貫通孔間の多孔質の隔壁の厚さが0.25mmでセル数200セル/6.4516cm2のハニカム成形体を作成した。得られた成形体を乾燥後に、電気炉中で窒素雰囲気下で室温から1750℃まで200℃/hで昇温し、1750℃で5時間保持してハニカム焼結体を得た。得られたハニカム焼結体は、表面、内部ともにクラック等は観察されなかった。
【0036】
[評価方法]
得られた多孔体について気孔率、平均細孔径、熱膨張率、結晶相、室温強度、1000℃での高温強度、耐酸性、耐熱衝撃性、について評価した結果を表1に示す。
気孔率:アルキメデス法で算出した。
平均細孔径:水銀ポロシメータ(ユアサアイオニクス株式会社製、AUTOSCAN−33)で測定した。
熱膨張率:リガク社製の線熱膨張率測定装置(TAS100)を用い、室温〜1000℃の範囲で測定した。
結晶相:X線回折により同定。第1表中、SNは窒化ケイ素のピークが、SCは炭化ケイ素のピークが同定されたことを示す。
室温強度および高温(1000℃)強度:試料より4mm×3mm×40mmサイズの曲げ試験片を切り出し、スパン30mmの3点曲げ強度で測定。荷重印加速度は0.5mm/分とした。
耐食性:80℃で1モル%の硫酸水溶液に試料を50時間浸漬し、浸漬前後での3点曲げ強度変化から強度低下率を算出した。
耐熱衝撃性:前述と同じサイズの曲げ試験片を53℃に加熱保持後、温度3℃の氷水に投下、急冷し、その試料について3点曲げ強度測定を行った。同様にして、保持温度を103℃、153℃と50℃ずつ803℃まで上げていき、各温度にて保持した曲げ試験片を3点曲げ強度測定した。強度低下が生じた加熱温度と氷水の温度差を耐熱衝撃温度差として評価した。例えば、403℃に保持した曲げ試験片の強度が353℃に保持した曲げ試験片の強度より顕著に低下した場合、403℃と氷水の温度3℃の差、400℃を耐熱衝撃温度差とする。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
表1の結果から本製造法で得られた複合多孔体は、室温強度と高温強度が共に高くバランスがよい。また、耐熱衝撃性、耐食性に優れていること、平均細孔径が10〜20μm、気孔率も50〜60%であることから、高価なセラミックスプレカーサを使用しなくても、本発明によりディーゼルパティキュレートのような除塵に適するフィルタを提供できる。
Claims (6)
- 平均粒子直径10〜100μmの炭化ケイ素粒子65〜95質量部と、平均粒子直径0.5〜30μmの窒化ケイ素粒子4〜25質量部と平均粒子直径0.5〜75μmの金属ケイ素粒子1〜10質量部の混合粉末68〜98質量%および気孔形成剤2〜32質量%を含有する成形体を、窒素雰囲気中で熱処理することにより前記金属ケイ素粒子の少なくとも一部を窒化して窒化ケイ素とすることを特徴とする炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
- 前記気孔形成剤が金属酸化物中空粒子および/または熱分解性の有機化合物である請求項1記載の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
- 前記気孔形成剤の平均粒子直径が5〜100μmである請求項1または2記載の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
- 前記気孔形成剤が、Al、Si、Ca、Sr、Y、Yb、BaおよびMgからなる群から選ばれる1種以上の元素の酸化物を主成分とする金属酸化物中空粒子である請求項2または3記載の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
- 前記複合多孔体の平均細孔直径が5〜40μmである請求項1、2、3または4記載の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
- 前記複合多孔体の気孔率が30〜80%である請求項1〜5のいずれか記載の炭化ケイ素−窒化ケイ素複合多孔体の製造方法。
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JP2010222155A (ja) * | 2009-03-19 | 2010-10-07 | Taiheiyo Cement Corp | 炭化珪素質焼結体及びその製造方法 |
CN103553703A (zh) * | 2013-11-08 | 2014-02-05 | 武汉理工大学 | 一种用于高温除尘的新型陶瓷过滤层的制备方法 |
CN104276841A (zh) * | 2013-07-03 | 2015-01-14 | 济南大学 | 一种沸石矿渣基吸附型粒子电极及其制备方法 |
-
2003
- 2003-03-04 JP JP2003057442A patent/JP2004262730A/ja not_active Withdrawn
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