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JP2004261889A - 固定砥粒式ソーワイヤの製造方法 - Google Patents

固定砥粒式ソーワイヤの製造方法 Download PDF

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JP2004261889A
JP2004261889A JP2003052435A JP2003052435A JP2004261889A JP 2004261889 A JP2004261889 A JP 2004261889A JP 2003052435 A JP2003052435 A JP 2003052435A JP 2003052435 A JP2003052435 A JP 2003052435A JP 2004261889 A JP2004261889 A JP 2004261889A
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saw wire
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廣志 山田
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Abstract

【課題】メッキ剥離による砥粒の脱落を防止できるソーワイヤの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】金属ワイヤに下地金属メッキA、スキンパス伸線B、砥粒を含有した金属メッキCを順次施し、最後に熱処理Dを施か、または、金属ワイヤに下地金属メッキA、スキンパス伸線B、砥粒を含有した金属メッキCを順次施し、さらに金属メッキEを施し、最後に熱処理Dを施すことにより、金属ワイヤと下地メッキとが強固な金属結合となり、しかも、下地メッキと砥粒を含有した金属メッキも金属拡散によって、より強固な金属結合となるので、金属ワイヤと下地メッキ間、および下地金属と砥粒含有金属メッキ間での剥離が防止できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハーの母材であるシリコンインゴット、人工水晶、超硬合金、磁石、セラミック等の硬脆性材料を切断するワイヤソー装置に用いられるワイヤソー用ワイヤに係り、特に、ワイヤ表面に砥粒を固着させた固定砥粒式ソーワイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、細い金属線の表面にダイヤモンド等の微細な砥粒を固着した固定砥粒式ソーワイヤ(以下、ソーワイヤという。)が使用されはじめている。この従来のソーワイヤには、例えば樹脂等の非金属材料を接合媒体として砥粒をワイヤ表面に固着させたものと、金属を結合剤として砥粒を固着させたものとがある。前者の非金属材料を接合媒体とするソーワイヤは、砥粒を混入させた樹脂中に金属線を通過させることで、金属線表面に砥粒を混入した樹脂を付着させ、これを冷却硬化させて製造される。また後者の金属を結合剤とするソーワイヤは、メッキ液に砥粒を浮遊させて、メッキ処理時にメッキとともに砥粒を金属線表面に固着させて製造される。上記メッキによる場合は、まず金属表面に下地メッキを行い、その上に砥粒を含有した金属メッキを施す2層メッキ、あるいは砥粒の固着力をさらに高めるために、さらに、その上に金属メッキを施した3層メッキとするのが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前者のソーワイヤは、非金属材料を接合媒体としているため、固着力が必ずしも十分でなく、使用中(被切断物を切断中)に砥粒が脱落して、ソーワイヤの切断性能が低下するという問題があった。
【0004】
これに対し、後者のソーワイヤは、金属を結合剤としたものであるから、砥粒を十分な固着力で固着、保持することができる。しかしながら、金属線表面性状(清浄度等)、メッキ条件等によってメッキが剥離するという問題があった。メッキの剥離は砥粒の脱落を意味する。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、メッキ剥離による砥粒の脱落を防止できるソーワイヤの製造方法を提供することを課題とする。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−71162号公報
【0007】
【特許文献2】
特開平9−150314号公報
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のソーワイヤの製造方法は、金属ワイヤに下地金属メッキ(以下、第1メッキという)、スキンパス伸線、砥粒を含有した金属メッキ(以下、第2メッキという)を順次施し、最後に熱処理を施すことを特徴とする。
【0009】
本発明の製造方法によれば、スキンパス伸線による高圧力で、金属ワイヤと第1メッキ層との金属結合における原子間距離が小さくなり、より強固な金属結合となる。よって第1メッキ層が金属ワイヤから剥離することが防止できる。また、第1、第2メッキ処理後の熱処理によって、第1メッキ層と第2メッキ層との間で金属拡散が生じて、より強固な金属結合となり、第2メッキ層が第1メッキ層から剥離することも防止できる。
【0010】
上記構成において、第2メッキ層の上に、さらに金属メッキ(以下、第3メッキという)を施してもよい。この第3メッキ層によって、砥粒の固着力をさらに高めることができる。この第2メッキ層と第3メッキ層とは、その後に施す熱処理による金属拡散によって、より強固な金属結合となる。
【0011】
さらに、金属ワイヤは、表面に真鍮メッキを施して、伸線加工されたものであってもよい。金属線を細径化する伸線加工において、真鍮メッキは伸線性の向上に大きな影響を与える。すなわち、真鍮メッキは伸線加工における潤滑剤のキャリアーの役目をはたすもので、これによって高速伸線加工(1000m/min程度)が可能となり、またダイスの摩耗も極端に減少可能で、生産性が大幅に向上する。真鍮メッキを有する金属線を使用した場合には、第1メッキの下に真鍮メッキが存在することになるが、スキンパス伸線の圧力によって、金属線と真鍮メッキとの金属結合がより強固となり、かつ真鍮メッキと第1メッキとはスキンパス伸線の圧力および熱処理による拡散によって結合が強化される。
【0012】
ところで、上記構成において、スキンパス伸線の減面率は4〜10%が好ましい。というのは、4%未満では、小さすぎて原子間距離を小さくするだけの圧力を負荷することができず、メッキ層が剥離しやすくなるからで、10%を越えてもそれ以上の効果を得られないばかりか、伸線キズの発生等別の問題が発生する可能性が高くなるからである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1(a)は、本発明の製造方法の実施の形態を示すブロック図で、金属ワイヤに下地金属メッキA、スキンパス伸線B、砥粒を含有した金属メッキCを順次施し、最後に熱処理Dを施す製造行程を示す。
図1(b)は、本発明の製造方法の別の実施の形態を示すブロック図で、上記砥粒を含有した金属メッキCと熱処理Dとの間で、さらに金属メッキEを施す製造行程を示す。
また、図2(a)は、図1(a)に示す製造行程によって製造されたソーワイヤの横断面図を示し、図2(b)は、図1(b)によって製造されたソーワイヤの横断面を示す。
【0015】
図2(a)に示すソーワイヤaは、金属ワイヤ1の表面に、減面率4〜10%でスキンパス伸線された下地金属メッキ層(第1メッキ層)2と、砥粒5を固着した金属メッキ層(第2メッキ層)3とからなる。そして、このソーワイヤaは、熱処理されている。
【0016】
また、図2(b)に示すソーワイヤbは、金属ワイヤ1の表面に、減面率4〜10%でスキンパス伸線された下地金属メッキ層(第1メッキ層)2と、砥粒5を固着した金属メッキ層(第2メッキ層)3と、その上層の金属メッキ層(第3メッキ層)4とからなる。そして、このソーワイヤbは、熱処理されている。
【0017】
第1、第2、第3メッキの金属としては、メッキが可能な金属であればどのような金属でもよいが、メッキ金属として一般的な、Ni、Cu、Co、Sn、Zn、Cr、あるいはCuとZnの合金である真鍮から選択したいずれかであることが好ましい。特に、取り扱い性やコストを考慮するとNi、Cu、Znあるいは真鍮が好ましい。
【0018】
各メッキの厚さは、砥粒の固着力が確保できればどのような厚さでもかまわないが、第2メッキ層の厚さは、砥粒固着性及び経済性を考慮して5〜15μmの範囲とすることが好ましい。
【0019】
各メッキ同士を拡散させる温度はメッキ金属によって異なり、適当な温度を選択するが、金属ワイヤを、例えば炭素鋼やマルテンサイト系ステンレス鋼あるいはSi−Cr鋼等の焼き入れ性を有する金属とし、熱処理温度を焼き入れ温度とすれば、メッキの拡散と同時に、ワイヤの強度を向上させることができる。この場合、必要に応じて焼き戻し処理を施してもよい。これらの熱処理は不活性ガス中で行うのが好ましい。
【0020】
【実施例】
線径5.5mmの原線をパテンチング、伸線加工を繰り返して線径1.0mmまで減径し、このワイヤをパテンチング処理した後、真鍮メッキを施し、次に線径0.15mmまで再度伸線加工した。この線径0.15mmのワイヤにNiメッキ(第1メッキ)を施したのち、0、2、4、6、8、10%の減面率でそれぞれスキンパス伸線を行い、次にダイヤモンド砥粒を含有したNiメッキ(第2メッキ)を施して、ダイヤモンド砥粒をワイヤ表面に固着させ、最後にArガス雰囲気中で、700℃の温度で熱処理して、減面率の違いによる7種類のソーワイヤを製造した。
【0021】
上記7種類のソーワイヤにおいて、メッキの剥離を比較した。メッキ剥離は、ワイヤを180℃曲げて、その曲げた箇所を顕微鏡観察して、一視野におけるクラック(メッキ割れ)数で比較した。その結果を図3に示す。
【0022】
図3から、スキンパス伸線を施さない(減面率0%)ソーワイヤに一視野中で25箇所のクラックが、減面率2%では10箇所のクラックが認められたのに対し、本発明に係る4〜10%においては、3箇所のクラックが認められただけであった。
減面率4〜10%でスキンパス伸線した本発明に係るソーワイヤにおいても、クラックは認められたが、180℃曲げ試験は苛酷な試験であり、3箇所程度のクラック発生は、実用上では全く問題ないものである。
【0023】
次に上記6%の減面率でスキンパス伸線を施した本発明に係るソーワイヤ(実施例)と、スキンパス伸線を施さず、しかも最終の熱処理を施さないソーワイヤ(従来例)とを用いて、実際にシリコンインゴットを切断し、一定時間後のダイヤモンド砥粒の脱落率を顕微鏡写真の画像処理にて計測し、その計測値の範囲および中心値を比較したところ、図4に示すように、従来例のソーワイヤの脱落率が38%だったのに対し、本発明に係るソーワイヤの脱落率が12%であった。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の製造方法によれば、金属ワイヤと下地メッキとが強固な金属結合となり、しかも、下地メッキと砥粒を含有した金属メッキも金属拡散によって、より強固な金属結合となるので、金属ワイヤと下地メッキ間、および下地金属と砥粒含有金属メッキ間での剥離が防止できる。したがって、切断時のメッキ剥離に起因する砥粒の脱落が防止できるので、ソーワイヤの切断性能が低下することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の製造方法の実施の形態を示すブロック図で、(b)は、本発明の製造方法の別の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】(a)は、図1(a)に示す製造方法によって製造されたソーワイヤの横断面図であり、(b)は、図1(b)によって製造されたソーワイヤの横断面である。
【図3】減面率の違いによるメッキの剥離(クラック数)を比較した結果のデータを示す図である。
【図4】本発明のソーワイヤと従来例のソーワイヤの砥粒脱落率を計測した試験結果のデータを示す図である。
【符号の説明】
a、b ソーワイヤ
1 金属ワイヤ
2 下地メッキ(第1メッキ)
3 砥粒を含有した金属メッキ(第2メッキ)
4 砥粒を固着する金属メッキ(第3メッキ)
5 砥粒

Claims (4)

  1. 金属ワイヤに下地金属メッキ、スキンパス伸線、砥粒を含有した金属メッキを順次施し、最後に熱処理を施すことを特徴とする固定砥粒式ソーワイヤの製造方法。
  2. 砥粒を含有した金属メッキと熱処理との間で、さらに金属メッキを施す請求項1に記載の固定砥粒式ソーワイヤの製造方法。
  3. 金属ワイヤが、表面に真鍮メッキを施して伸線加工されたものである請求項1又は2に記載の固定砥粒式ソーワイヤの製造方法。
  4. スキンパス伸線の減面率が4〜10%である請求項1に記載の固定砥粒式ソーワイヤの製造方法。
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