JP2004256708A - フォトクロミック材料および新規フラーレン誘導体 - Google Patents
フォトクロミック材料および新規フラーレン誘導体 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】特定の連結基を介して、フォトクロミック化合物とフラーレン誘導体を結合することにより、両者の特性を充分に併せ持つ化合物を提供する。
【解決手段】フラーレン誘導体残基およびフォトクロミック化合物残基が、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合してなる化合物からなる、フォトクロミック材料。
【選択図】 なし
【解決手段】フラーレン誘導体残基およびフォトクロミック化合物残基が、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合してなる化合物からなる、フォトクロミック材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規フォトクロミック材料とその応用に関し、詳しくはフラーレン誘導体とフォトクロミック化合物を結合させてなる新規なフォトクロミック材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラーレンとは、C60やC70をはじめとする一群の球殻状炭素分子の集合名である。前世紀の最後に発見され、現在産業上有用な多くの応用が考案されつつある。1990年にC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。そして、数多くのフラーレン誘導体が合成され、その実用化の可能性が研究されてきた。フラーレンの概要は例えば「フラーレンの化学と物理」(名古屋大学出版会)などに詳しい。
【0003】
一方、フォトクロミック化合物とは光異性化反応(フォトクロミック反応)により、色を初め種々の物性の異なる2つの状態(構造異性体)を可逆的に生成する化合物のことであり、例えば入江らによる総説 Chem.Rev.,100,1685−1716(2000)にその概要を見いだすことができる。
この有用な2つの材料は、それぞれ別個に発展し今日に至る。
【0004】
例えばフラーレンに特有な性質としては、溶剤などへの高い溶解性、分子のかさ高さに起因する排除体積効果、光物性、反応性などが挙げられる。また、フォトクロミック化合物は、上述した光異性化反応により生じる、2種の異性体間の性質差を利用して、調光材料、光スイッチング素子、あるいは光メモリ素子等への応用研究が報告されている。
【0005】
このフラーレン特有の性質と、フォトクロミック化合物特有の性質を融合させることにより、後述する様々な用途に有効に供することが可能であると考えられる。
例えば非特許文献1には、下記構造式で表される化合物とその合成方法が記載されている。
【0006】
【化6】
【0007】
しかし上記化合物は、光照射により生じたジアリールエテン構造部分の励起エネルギーが、素早くC60構造部分へ移動してしまうため、実際にはフォトクロミック反応が生じないものであった。
【0008】
【非特許文献1】
Dithienylcyclopentene optical switches [Online Resource] : towards photoresponsive supramolecular materials / Linda Nienke Lucas.ISBN 90−367−1528−8 Chapter 8 ”SwtichABall” [平成14年11月12日検索]インターネット<URL:http://www.ub.rug.nl/eldoc/dis/science/l.n.lucas/>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、単にフラーレンとフォトクロミック化合物を連結しただけでは、得られる化合物は必ずしもフォトクロミック反応を生じない。
本発明は、かかる状況を鑑みてなされたものであって、特定の方法でフラーレン誘導体とフォトクロミック化合物とを結合させた新規な物質を製造し、新たな機能性材料を提供することである。
【0010】
フォトクロミック化合物にフラーレン誘導体を結合することにより、ポリマーや有機溶媒への溶解度、および光学特性などを飛躍的に向上させることに成功し、記憶材料、センサー、調光材料、蛍光材料、放射線線量計、または生体膜を透過させるドラッグデリバリー材料等の用途に有効な材料となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
我々は、上記目的を達成するために、特定の連結基を介してフォトクロミック化合物とフラーレン誘導体と結合させることにより、該分子のフォトクロミック反応性が維持された化合物を合成しようと試み、鋭意研鑽を重ねた結果、本発明に至った。
【0012】
すなわち本発明は フラーレン誘導体残基およびフォトクロミック化合物残基が、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合してなる化合物からなる、フォトクロミック材料に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフォトクロミック材料は、フラーレンとフォトクロミック化合物とが、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合してなる点に特徴がある。
フォトクロミック材料には種々のものが既に知られている。例えばフルギド、スピロピラン、スピロオキサジン、アゾベンゼンなどがあり、反応が全て光で起こる物もあれば光と熱で起こるものもある。これらのフォトクロミック材料は例えば「化学総説 有機フォトクロミズムの化学」(学会出版センター)などに詳しい。その中でも好ましくは、耐久性、熱安定性、フォトクロミック反応に伴う2値の鮮明さ等々の工業的見地に照らして、多くの特性に優れた性能を示すのはジアリールエテン系のフォトクロミック化合物であり、本発明におけるフォトクロミック化合物残基としても、ジアリールエテン系化合物残基が好ましい。
【0014】
本発明で使用するジアリールエテン系化合物残基としては、具体的には、下記一般式(I)で表わされる化合物が好ましい。
【0015】
【化7】
【0016】
上記一般式(I)において、基R1及び基R2は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表わす。
pおよびqは、連結基を介してフラーレン誘導体に結合する結合手の数を表し、各々独立に0〜4の整数である。但し、1≦(p+q)≦6であり、好ましくは1≦(p+q)≦2、より好ましくはp+q=1である。
【0017】
基X1、基X2、基Y1及び基Y2は、各々独立に、
【0018】
【化8】
【0019】
の何れかを表わす。
基R3は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
基R4は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
【0020】
環Dは、基X1、基Y1及びこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環を表わし、環Eは、基X2、基Y2及びこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環を表わす。
環D及び環Eには更に、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環が縮合していてもよい。
【0021】
環D及び環Eが有し得る置換基に特に制限は無いが、好ましくは基R13、R16〜R18、R25〜R27及びR29として後述する各基が挙げられる。
なお、環D又は環Eに対して更に芳香族環が縮合している場合に、この縮合環が更に、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
【0022】
上記一般式(I)で表わされるジアリールエテン系化合物残基としては、特に下記一般式(I−1)又は(I−2)で表わされる構造のものが好ましい。
【0023】
【化9】
【0024】
上記一般式(I−1)において、基R11及び基R12は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表わす。
また、基X11及び基X12は各々独立に、
【0025】
【化10】
【0026】
のいずれかを表すが、中でも
【0027】
【化11】
【0028】
が好ましい。
更に、基Y11及び基Y12は各々独立に、
【0029】
【化12】
【0030】
のいずれかを表す。
なお、上記各例示式において、基R13は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わすが、中でも、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基が好ましい。また、基R16は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
【0031】
基R17及び基R18は各々独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
基R17及び基R18がアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル基である場合に、これらの基が有していても良い置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0032】
基Y11及び/又は基Y12が
【0033】
【化13】
【0034】
である場合には、基R17及び/又は基R18が基R16と結合して、5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。
該芳香族環が有していてもよい置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0035】
なお、R13、R16、R17、R18、並びに、R16とR17および/またはR18が結合してなる環が有する置換基、から選択された1以上6以下、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1が、共役結合を含有する2価の連結基を介してフラーレン誘導体に結合する結合手である。この結合手の結合位置としては、X11および/またはX12に対するα−位、すなわちR17および/またはR18が最も好ましい。
【0036】
【化14】
【0037】
上記一般式(I−2)において、基R21及び基R22は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表わす。
また、基Y21及び基Y22は各々独立に、
【0038】
【化15】
【0039】
の何れかを表わす。
更に、基X21及び基X22は各々独立に、
【0040】
【化16】
【0041】
の何れかを表わす。
また、基R25及び基R26は各々独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
ここで、基X21及び/又は基X22が
【0042】
【化17】
【0043】
である場合には、基R25及び/又は基R26が基R29と結合して、5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。
なお、上記各例示式において、基R27は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わすが、中でも、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基が好ましい。また、基R29は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
【0044】
前記一般式(I−2)において、基R25、R26がアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル基である場合に、これらの基が有していてもよい置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0045】
また、基X21、X22が置換基R29を有する炭素原子であって、この置換基R29と基R25又は基R26が結合して5員環又は6員環の芳香環を形成する場合に、該芳香環は、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
【0046】
なお、R25、R26、R27、R29、並びに、R29とR25および/またはR26が結合してなる環が有する置換基、から選択された1以上6以下、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1が、共役結合を含有する2価の連結基を介してフラーレン誘導体に結合する結合手である。この結合手の結合位置としては、Y21および/またはY22に対するα−位、すなわちR25および/またはR26が最も好ましい。
【0047】
前記一般式(I−1)及び(I−2)における基R13、R16、R27及びR29がアルキル基、アリール基又はシクロアルキル基である場合に、これらの基が有していてもよい置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0048】
前記一般式(I)における環D、環Eの具体例を以下に示す。
【0049】
【化18】
【0050】
(上記各例示式において、基R13は、前記式(I−1)におけるものと同義であり、基R27は、前記一般式(I−2)におけるものと同義である。)
これらの中でも、上記一般式(I−1)における、基X11及び基Y11を含む複素環、並びに基X12及び基Y12を含む複素環としては、次に挙げる置換基が好ましい。
【0051】
【化19】
【0052】
上記各例示式において、複素環に縮合しているベンゼン環は、基R17又は基R18が基R16と結合することにより形成された環である。
また、前記一般式(I−2)における、基X21及び基Y21を含む複素環、並びに基X22及び基Y22を含む複素環としては、次に挙げる置換基が好ましい。
【0053】
【化20】
【0054】
上記各例示式において、複素環に縮合しているベンゼン環は、基R25又は基R26が基R29と結合することにより形成された環である。
本発明におけるフォトクロミック化合物残基として、より好ましくは前記一般式(I−1)で表されるジアリールエテン系化合物残基である。
次に、本発明におけるフラーレン誘導体について説明する。
【0055】
本発明において、フラーレン誘導体とは、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C96、C100等又はこれら化合物の2量体、3量体、並びにこれらを変性させてなる酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、スルホン化フラーレンなどを意味する。これらフラーレン誘導体の中でも好ましいのは、C60、C70、またはその変性体であり、特に好ましくはC60またはC70であり、最も好ましくはC60である。C60やC70は溶媒への溶解性も高いため、各種用途に応用しやすく、またC60やC70は工業的に得やすい利点もある。
【0056】
本発明のフォトクロミック材料におけるフォトクロミック化合物残基は、上記フラーレン誘導体に対し、該誘導体におけるフラーレン骨格を構成する環に縮合した員数3〜6の環と、これに連結した、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合していることが好ましい。このようなフラーレン誘導体として、具体的には下記一般式(II)
【0057】
【化21】
【0058】
(式中、環Aはフラーレン誘導体を表し、環Bは該フラーレン誘導体におけるフラーレン骨格を構成する環に縮合する員数3〜6の環を表す。但し、環Bは置換されていてもよい。)で表される構造が挙げられる。
上記一般式(II)における環Bは、炭化水素環であっても複素環であってもよく、好ましくは複素環である。また飽和環であっても不飽和環であってもよく、さらに不飽和環の場合には芳香族環であっても非芳香族環であってもよい。好ましくは飽和環である。また員数は3〜6であればよいが、3または5が好ましく、特に好ましくは5員環である。
【0059】
上記一般式(II)において、環Bの環Aに対する縮合部位としては、例えばC60分子を例に取れば、C60分子中の(6−6)結合を構成する2個の炭素原子を好ましく挙げることができる(図1参照)。これは、上記(6−6)結合を形成する2個の炭素原子の電子吸引性が高くなっているからである。環Bは、環Aのフラーレン骨格における(6−6)結合部分の一つに縮合する場合が好ましい。
【0060】
本発明のフォトクロミック材料において、共役結合を含有する2価の連結基として具体的には、例えば−(W)m−(但し、Wは−CH=CH−、−C≡C−またはフェニレン基を表し、mは1〜10の整数を表す。但し、mが2以上の時、−(W)m−に含まれる複数個のWは、同一であっても異なっていてもよい。)が挙げられる。
【0061】
mは、好ましくは1〜5、より好ましくはm=1または2、特に好ましくはm=1である。Wとして、特に好ましくはフェニレン基である。
本発明のフォトクロミック材料は、下記一般式(III)で表される場合が特に好ましい。
【0062】
【化22】
【0063】
(式中、環Aはフラーレン誘導体を表し、Rは任意の置換基を表す。Wおよびmは一般式(II)におけると同義であり、Zは前記一般式(I)においてp+q=1である構造を表す。)
前記一般式(III)で表される化合物群の中でも、最も好ましくは、下記一般式(IV)で表されるフラーレン系化合物である。
【0064】
【化23】
【0065】
(式中、環A、W、mおよびZは前記一般式(III)におけると同義であり、R’は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
本発明のフォトクロミック材料は、従来公知の方法を用いて合成することができる。特に、フラーレン骨格における(6−6)結合を形成する炭素原子は反応性が高いため、求核付加反応、環化付加反応、光付加(環化)反応、酸化反応などを利用して、所望の化合物を得ることができ、また例えば、前記一般式(III)や(IV)で表される化合物の場合、フォトクロミック化合物とN−置換ピロリジン、およびフラーレン誘導体を、乾燥させたトルエン等の溶媒中で加熱還流することにより合成される。
【0066】
このようにして得られた、本発明のフォトクロミック材料は、高いフォトクロミック反応性を維持しつつ、溶剤などへの高い溶解性、分子のかさ高さに起因する排除体積効果、光物性、反応性等のフラーレン特有の優れた物性を併せ持っているため、記憶材料、センサー、調光材料、蛍光材料、放射線線量計、または生体膜を透過させるドラッグデリバリー材料など、極めて広範な用途に供することが可能である。
【0067】
上記した例に代表される各種用途に使用する場合、本発明のフォトクロミック材料は、単一化合物のみで使用しても良く、またフォトクロミック分子構造部分、フラーレン構造部分、これらの連結基部分、1分子あたりのフラーレン構造部分の数などが異なる、複数種の化合物を併用してもよい。
本発明は、以上詳述した技術思想に基づいてなされたものであり、その技術思想が共通するものは本発明の範囲に含まれる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
【0069】
【化24】
【0070】
アルゴン雰囲気下で300 mlの四つ口フラスコにフラーレンC60を212 mg (2.96×10−4 mol)、1,2−ビス[6−(4−ホルミルフェニル)−2−メチル−1−ベンゾチオフェン−3−イル]ヘキサフルオロシクロペンテン(化合物1)を100 mg (1.48×10−4 mol)、N−メチルグリシンを26 mg (2.96×10−4 mol)加えた。ここに金属ナトリウム上で蒸留した乾燥トルエンを100 ml加え、110 ℃で18時間加熱還流を行った。その後室温まで戻し、トルエン溶媒を留去した。
【0071】
得られた反応混合物を約30 mlのトルエンに溶かし、吸引濾過(21 mmφ、No. 5c)を行った。濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60N, spherical neutral、関東化学製)で、展開溶媒としてトルエンを用いて分離精製を行った。図2に展開図を示す。F1〜F5のうち、F5はフォトクロミズムを示した。F5のトルエンを留去した。粗収量19.1 mg (粗収率9.1%)。さらにGPCにより精製を行った。収率9.2 mg (収率4.3%).。
(測定結果)
精製した化合物の1H−NMR、FAB−MS、および吸収スペクトルを測定した。
1)NMR(図3〜7)
反応部位のメチル基、N−メチル基のメチル基、およびアルデヒド基のシグナルを帰属した。
2.24 (s, 3.7H, ap, Me), 2.52 (s, 2.3H, p, Me), 2.81 (s, 1.2H, p, N−Me), 2.86(s, 1.8H, ap, N−Me), 10.02 (s, 0.4H, p, CHO), 10.07 (s, 0.6H, a−p, CHO)
積分比から片方の分子の末端が、アルデヒド基であることが確認できた。アルデヒドのシグナルが2本見られるのは、anti−parallelコンフォーマーとparallel conformerコンフォーマーの2種のコンフォーマーが共存するためである。
2)FAB−MS (図8〜10)
MS (m/z) 1424 (M++1)
分子の一方の末端にフラーレンのついたジアリールエテン系化合物2(C99H27F6NOS2)の分子量の分子イオンピークが見られた。これは、同位体の存在比(図8)から推できる値である。
3)吸収スペクトル (図11)
【0072】
【化25】
【0073】
化合物2のシクロヘキサン溶液中のフォトクロミズムを測定した。開環体の吸収極大は252 nm、閉環体の吸収極大は538 nmであった。化合物4のヘキサン溶液中における閉環体の吸収極大は536 nmであるので、フラーレンが結合することによる、ジアリールエテン構造部分の吸収波長のシフトはないと考えられる。
[実施例2]
【0074】
【化26】
【0075】
アルゴン雰囲気下で、300mlの四つ口フラスコに、フルオレンC60を100 mg (1.4×10−4 mol)、1,2−ビス「5−(4−ホルミルフェニル)−2,4−ジメチルチオフェン−3−イル」パーフルオロシクロペンテン(化合物5) を42.4 mg (6.9×10−4 mol)、およびN−メチルグリシンを12.4 mg (1.4×10−4 mol)加えた。
【0076】
金属ナトリウム上で蒸留した乾燥トルエンを150 ml加え、110℃で18時間加熱還流を行った。その後室温まで戻し、トルエンをロータリーエバポレーターで濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(60N, spherical neutral, 関東化学製)で、トルエンを展開溶媒として分離精製を行った。さらにゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により精製を行った。収量 71 mg (収率 31.6%)。精製した化合物の1H−NMR、FAB−MAS、および紫外−可視吸収スペクトルを測定した。
(測定結果)
1)NMR (図 12)
シグナルを帰属した。
2.08 (s, 3H, 4−Me), 2.17 (s, 3H, 4−Me), 2.36 (s, 3H, 2−Me), 2.37 (s, 3H, 2−Me), 2.82 (s, 3H, N−Me), 4.27 (d, J=9.4 Hz, 1H, N−CH 2−fullerene), 4.96 (s, 1H, Ph−CH−fullerene), 5.00 (d, J=9.4 Hz, 1H, N−CH 2−fullerene), 7.16−7.89 (m, 8H, ar), 10.01 ppm (s, 1H, Ph−CHO)
2)FAB−MS (図13)
MS (m/z) 1353 (M++1)
分子の一方の末端にフラーレンのついたジアリールエテン系化合物5(C93H27F6NOS)の分子量の分子イオンピークが見られた
3)吸収スペクトル (図14)
【0077】
【化27】
【0078】
化合物6のシクロヘキサン溶液中でのフォトクロミズムを測定した。開環体の吸収極大波長は255 nm、閉環体の吸収極大波長は571 nmであった。化合物7のヘキサン溶液中における閉環体の吸収極大波長は562 nmであった。フラーレンが結合することによる、ジアリールエテン構造部分の吸収波長のシフトは殆んどないと考えられる。
【0079】
【発明の効果】
このようにして得られた、本発明のフォトクロミック材料は、高いフォトクロミック反応性を維持しつつ、溶剤などへの高い溶解性、分子のかさ高さに起因する排除体積効果、光物性、反応性等のフラーレン特有の優れた物性を併せ持っているため、記憶材料、センサー、調光材料、蛍光材料、放射線線量計、または生体膜を透過させるドラッグデリバリー材料など、極めて広範な用途に供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】C60の(6−6)結合を示す図である。
【図2】実施例1にて得られた反応生成物の、薄層クロマトグラフィ(TLC)展開図である。
【図3】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートである。
【図4】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、2.0−3.0ppmの拡大図である。
【図5】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、4.0−5.2ppmの拡大図である。
【図6】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、7.0−8.2ppmの拡大図である。
【図7】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、9.6−10.4ppmの拡大図である。
【図8】実施例1にて得られた化合物2の、FABマススペクトルチャートである。
【図9】実施例1にて得られた化合物2の、FABマススペクトルチャートと、計算値を表した図である。
【図10】実施例1にて得られた化合物2の、FABマススペクトルチャートの拡大図と、計算値を表した図である。
【図11】実施例1にて得られた化合物2の、シクロヘキサン溶液中での吸収スペクトルチャートである。
【図12】実施例2にて得られた化合物6の、1H−NMRスペクトルチャートである。
【図13】実施例2にて得られた化合物6の、FABマススペクトルチャートである。
【図14】実施例2にて得られた化合物6の、シクロヘキサン溶液中での吸収スペクトルチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は新規フォトクロミック材料とその応用に関し、詳しくはフラーレン誘導体とフォトクロミック化合物を結合させてなる新規なフォトクロミック材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
フラーレンとは、C60やC70をはじめとする一群の球殻状炭素分子の集合名である。前世紀の最後に発見され、現在産業上有用な多くの応用が考案されつつある。1990年にC60の大量合成法が確立されて以来、フラーレンに関する研究が精力的に展開されている。そして、数多くのフラーレン誘導体が合成され、その実用化の可能性が研究されてきた。フラーレンの概要は例えば「フラーレンの化学と物理」(名古屋大学出版会)などに詳しい。
【0003】
一方、フォトクロミック化合物とは光異性化反応(フォトクロミック反応)により、色を初め種々の物性の異なる2つの状態(構造異性体)を可逆的に生成する化合物のことであり、例えば入江らによる総説 Chem.Rev.,100,1685−1716(2000)にその概要を見いだすことができる。
この有用な2つの材料は、それぞれ別個に発展し今日に至る。
【0004】
例えばフラーレンに特有な性質としては、溶剤などへの高い溶解性、分子のかさ高さに起因する排除体積効果、光物性、反応性などが挙げられる。また、フォトクロミック化合物は、上述した光異性化反応により生じる、2種の異性体間の性質差を利用して、調光材料、光スイッチング素子、あるいは光メモリ素子等への応用研究が報告されている。
【0005】
このフラーレン特有の性質と、フォトクロミック化合物特有の性質を融合させることにより、後述する様々な用途に有効に供することが可能であると考えられる。
例えば非特許文献1には、下記構造式で表される化合物とその合成方法が記載されている。
【0006】
【化6】
【0007】
しかし上記化合物は、光照射により生じたジアリールエテン構造部分の励起エネルギーが、素早くC60構造部分へ移動してしまうため、実際にはフォトクロミック反応が生じないものであった。
【0008】
【非特許文献1】
Dithienylcyclopentene optical switches [Online Resource] : towards photoresponsive supramolecular materials / Linda Nienke Lucas.ISBN 90−367−1528−8 Chapter 8 ”SwtichABall” [平成14年11月12日検索]インターネット<URL:http://www.ub.rug.nl/eldoc/dis/science/l.n.lucas/>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このように、単にフラーレンとフォトクロミック化合物を連結しただけでは、得られる化合物は必ずしもフォトクロミック反応を生じない。
本発明は、かかる状況を鑑みてなされたものであって、特定の方法でフラーレン誘導体とフォトクロミック化合物とを結合させた新規な物質を製造し、新たな機能性材料を提供することである。
【0010】
フォトクロミック化合物にフラーレン誘導体を結合することにより、ポリマーや有機溶媒への溶解度、および光学特性などを飛躍的に向上させることに成功し、記憶材料、センサー、調光材料、蛍光材料、放射線線量計、または生体膜を透過させるドラッグデリバリー材料等の用途に有効な材料となる。
【0011】
【課題を解決するための手段】
我々は、上記目的を達成するために、特定の連結基を介してフォトクロミック化合物とフラーレン誘導体と結合させることにより、該分子のフォトクロミック反応性が維持された化合物を合成しようと試み、鋭意研鑽を重ねた結果、本発明に至った。
【0012】
すなわち本発明は フラーレン誘導体残基およびフォトクロミック化合物残基が、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合してなる化合物からなる、フォトクロミック材料に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のフォトクロミック材料は、フラーレンとフォトクロミック化合物とが、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合してなる点に特徴がある。
フォトクロミック材料には種々のものが既に知られている。例えばフルギド、スピロピラン、スピロオキサジン、アゾベンゼンなどがあり、反応が全て光で起こる物もあれば光と熱で起こるものもある。これらのフォトクロミック材料は例えば「化学総説 有機フォトクロミズムの化学」(学会出版センター)などに詳しい。その中でも好ましくは、耐久性、熱安定性、フォトクロミック反応に伴う2値の鮮明さ等々の工業的見地に照らして、多くの特性に優れた性能を示すのはジアリールエテン系のフォトクロミック化合物であり、本発明におけるフォトクロミック化合物残基としても、ジアリールエテン系化合物残基が好ましい。
【0014】
本発明で使用するジアリールエテン系化合物残基としては、具体的には、下記一般式(I)で表わされる化合物が好ましい。
【0015】
【化7】
【0016】
上記一般式(I)において、基R1及び基R2は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表わす。
pおよびqは、連結基を介してフラーレン誘導体に結合する結合手の数を表し、各々独立に0〜4の整数である。但し、1≦(p+q)≦6であり、好ましくは1≦(p+q)≦2、より好ましくはp+q=1である。
【0017】
基X1、基X2、基Y1及び基Y2は、各々独立に、
【0018】
【化8】
【0019】
の何れかを表わす。
基R3は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
基R4は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
【0020】
環Dは、基X1、基Y1及びこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環を表わし、環Eは、基X2、基Y2及びこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環を表わす。
環D及び環Eには更に、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環が縮合していてもよい。
【0021】
環D及び環Eが有し得る置換基に特に制限は無いが、好ましくは基R13、R16〜R18、R25〜R27及びR29として後述する各基が挙げられる。
なお、環D又は環Eに対して更に芳香族環が縮合している場合に、この縮合環が更に、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
【0022】
上記一般式(I)で表わされるジアリールエテン系化合物残基としては、特に下記一般式(I−1)又は(I−2)で表わされる構造のものが好ましい。
【0023】
【化9】
【0024】
上記一般式(I−1)において、基R11及び基R12は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表わす。
また、基X11及び基X12は各々独立に、
【0025】
【化10】
【0026】
のいずれかを表すが、中でも
【0027】
【化11】
【0028】
が好ましい。
更に、基Y11及び基Y12は各々独立に、
【0029】
【化12】
【0030】
のいずれかを表す。
なお、上記各例示式において、基R13は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わすが、中でも、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基が好ましい。また、基R16は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
【0031】
基R17及び基R18は各々独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
基R17及び基R18がアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル基である場合に、これらの基が有していても良い置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0032】
基Y11及び/又は基Y12が
【0033】
【化13】
【0034】
である場合には、基R17及び/又は基R18が基R16と結合して、5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。
該芳香族環が有していてもよい置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、アリールオキシ基、ヘテロアリール基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0035】
なお、R13、R16、R17、R18、並びに、R16とR17および/またはR18が結合してなる環が有する置換基、から選択された1以上6以下、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1が、共役結合を含有する2価の連結基を介してフラーレン誘導体に結合する結合手である。この結合手の結合位置としては、X11および/またはX12に対するα−位、すなわちR17および/またはR18が最も好ましい。
【0036】
【化14】
【0037】
上記一般式(I−2)において、基R21及び基R22は各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表わす。
また、基Y21及び基Y22は各々独立に、
【0038】
【化15】
【0039】
の何れかを表わす。
更に、基X21及び基X22は各々独立に、
【0040】
【化16】
【0041】
の何れかを表わす。
また、基R25及び基R26は各々独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいヘテロアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
ここで、基X21及び/又は基X22が
【0042】
【化17】
【0043】
である場合には、基R25及び/又は基R26が基R29と結合して、5員環又は6員環の芳香族環を形成していてもよい。
なお、上記各例示式において、基R27は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わすが、中でも、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいアリール基が好ましい。また、基R29は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
【0044】
前記一般式(I−2)において、基R25、R26がアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はシクロアルキル基である場合に、これらの基が有していてもよい置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0045】
また、基X21、X22が置換基R29を有する炭素原子であって、この置換基R29と基R25又は基R26が結合して5員環又は6員環の芳香環を形成する場合に、該芳香環は、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等の置換基を有していてもよい。
【0046】
なお、R25、R26、R27、R29、並びに、R29とR25および/またはR26が結合してなる環が有する置換基、から選択された1以上6以下、好ましくは1以上2以下、より好ましくは1が、共役結合を含有する2価の連結基を介してフラーレン誘導体に結合する結合手である。この結合手の結合位置としては、Y21および/またはY22に対するα−位、すなわちR25および/またはR26が最も好ましい。
【0047】
前記一般式(I−1)及び(I−2)における基R13、R16、R27及びR29がアルキル基、アリール基又はシクロアルキル基である場合に、これらの基が有していてもよい置換基としては、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アリルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールオキシ基、ハロゲン基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
【0048】
前記一般式(I)における環D、環Eの具体例を以下に示す。
【0049】
【化18】
【0050】
(上記各例示式において、基R13は、前記式(I−1)におけるものと同義であり、基R27は、前記一般式(I−2)におけるものと同義である。)
これらの中でも、上記一般式(I−1)における、基X11及び基Y11を含む複素環、並びに基X12及び基Y12を含む複素環としては、次に挙げる置換基が好ましい。
【0051】
【化19】
【0052】
上記各例示式において、複素環に縮合しているベンゼン環は、基R17又は基R18が基R16と結合することにより形成された環である。
また、前記一般式(I−2)における、基X21及び基Y21を含む複素環、並びに基X22及び基Y22を含む複素環としては、次に挙げる置換基が好ましい。
【0053】
【化20】
【0054】
上記各例示式において、複素環に縮合しているベンゼン環は、基R25又は基R26が基R29と結合することにより形成された環である。
本発明におけるフォトクロミック化合物残基として、より好ましくは前記一般式(I−1)で表されるジアリールエテン系化合物残基である。
次に、本発明におけるフラーレン誘導体について説明する。
【0055】
本発明において、フラーレン誘導体とは、C60、C70、C76、C78、C82、C84、C90、C96、C100等又はこれら化合物の2量体、3量体、並びにこれらを変性させてなる酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、スルホン化フラーレンなどを意味する。これらフラーレン誘導体の中でも好ましいのは、C60、C70、またはその変性体であり、特に好ましくはC60またはC70であり、最も好ましくはC60である。C60やC70は溶媒への溶解性も高いため、各種用途に応用しやすく、またC60やC70は工業的に得やすい利点もある。
【0056】
本発明のフォトクロミック材料におけるフォトクロミック化合物残基は、上記フラーレン誘導体に対し、該誘導体におけるフラーレン骨格を構成する環に縮合した員数3〜6の環と、これに連結した、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合していることが好ましい。このようなフラーレン誘導体として、具体的には下記一般式(II)
【0057】
【化21】
【0058】
(式中、環Aはフラーレン誘導体を表し、環Bは該フラーレン誘導体におけるフラーレン骨格を構成する環に縮合する員数3〜6の環を表す。但し、環Bは置換されていてもよい。)で表される構造が挙げられる。
上記一般式(II)における環Bは、炭化水素環であっても複素環であってもよく、好ましくは複素環である。また飽和環であっても不飽和環であってもよく、さらに不飽和環の場合には芳香族環であっても非芳香族環であってもよい。好ましくは飽和環である。また員数は3〜6であればよいが、3または5が好ましく、特に好ましくは5員環である。
【0059】
上記一般式(II)において、環Bの環Aに対する縮合部位としては、例えばC60分子を例に取れば、C60分子中の(6−6)結合を構成する2個の炭素原子を好ましく挙げることができる(図1参照)。これは、上記(6−6)結合を形成する2個の炭素原子の電子吸引性が高くなっているからである。環Bは、環Aのフラーレン骨格における(6−6)結合部分の一つに縮合する場合が好ましい。
【0060】
本発明のフォトクロミック材料において、共役結合を含有する2価の連結基として具体的には、例えば−(W)m−(但し、Wは−CH=CH−、−C≡C−またはフェニレン基を表し、mは1〜10の整数を表す。但し、mが2以上の時、−(W)m−に含まれる複数個のWは、同一であっても異なっていてもよい。)が挙げられる。
【0061】
mは、好ましくは1〜5、より好ましくはm=1または2、特に好ましくはm=1である。Wとして、特に好ましくはフェニレン基である。
本発明のフォトクロミック材料は、下記一般式(III)で表される場合が特に好ましい。
【0062】
【化22】
【0063】
(式中、環Aはフラーレン誘導体を表し、Rは任意の置換基を表す。Wおよびmは一般式(II)におけると同義であり、Zは前記一般式(I)においてp+q=1である構造を表す。)
前記一般式(III)で表される化合物群の中でも、最も好ましくは、下記一般式(IV)で表されるフラーレン系化合物である。
【0064】
【化23】
【0065】
(式中、環A、W、mおよびZは前記一般式(III)におけると同義であり、R’は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
本発明のフォトクロミック材料は、従来公知の方法を用いて合成することができる。特に、フラーレン骨格における(6−6)結合を形成する炭素原子は反応性が高いため、求核付加反応、環化付加反応、光付加(環化)反応、酸化反応などを利用して、所望の化合物を得ることができ、また例えば、前記一般式(III)や(IV)で表される化合物の場合、フォトクロミック化合物とN−置換ピロリジン、およびフラーレン誘導体を、乾燥させたトルエン等の溶媒中で加熱還流することにより合成される。
【0066】
このようにして得られた、本発明のフォトクロミック材料は、高いフォトクロミック反応性を維持しつつ、溶剤などへの高い溶解性、分子のかさ高さに起因する排除体積効果、光物性、反応性等のフラーレン特有の優れた物性を併せ持っているため、記憶材料、センサー、調光材料、蛍光材料、放射線線量計、または生体膜を透過させるドラッグデリバリー材料など、極めて広範な用途に供することが可能である。
【0067】
上記した例に代表される各種用途に使用する場合、本発明のフォトクロミック材料は、単一化合物のみで使用しても良く、またフォトクロミック分子構造部分、フラーレン構造部分、これらの連結基部分、1分子あたりのフラーレン構造部分の数などが異なる、複数種の化合物を併用してもよい。
本発明は、以上詳述した技術思想に基づいてなされたものであり、その技術思想が共通するものは本発明の範囲に含まれる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
【0069】
【化24】
【0070】
アルゴン雰囲気下で300 mlの四つ口フラスコにフラーレンC60を212 mg (2.96×10−4 mol)、1,2−ビス[6−(4−ホルミルフェニル)−2−メチル−1−ベンゾチオフェン−3−イル]ヘキサフルオロシクロペンテン(化合物1)を100 mg (1.48×10−4 mol)、N−メチルグリシンを26 mg (2.96×10−4 mol)加えた。ここに金属ナトリウム上で蒸留した乾燥トルエンを100 ml加え、110 ℃で18時間加熱還流を行った。その後室温まで戻し、トルエン溶媒を留去した。
【0071】
得られた反応混合物を約30 mlのトルエンに溶かし、吸引濾過(21 mmφ、No. 5c)を行った。濾液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(Silicagel 60N, spherical neutral、関東化学製)で、展開溶媒としてトルエンを用いて分離精製を行った。図2に展開図を示す。F1〜F5のうち、F5はフォトクロミズムを示した。F5のトルエンを留去した。粗収量19.1 mg (粗収率9.1%)。さらにGPCにより精製を行った。収率9.2 mg (収率4.3%).。
(測定結果)
精製した化合物の1H−NMR、FAB−MS、および吸収スペクトルを測定した。
1)NMR(図3〜7)
反応部位のメチル基、N−メチル基のメチル基、およびアルデヒド基のシグナルを帰属した。
2.24 (s, 3.7H, ap, Me), 2.52 (s, 2.3H, p, Me), 2.81 (s, 1.2H, p, N−Me), 2.86(s, 1.8H, ap, N−Me), 10.02 (s, 0.4H, p, CHO), 10.07 (s, 0.6H, a−p, CHO)
積分比から片方の分子の末端が、アルデヒド基であることが確認できた。アルデヒドのシグナルが2本見られるのは、anti−parallelコンフォーマーとparallel conformerコンフォーマーの2種のコンフォーマーが共存するためである。
2)FAB−MS (図8〜10)
MS (m/z) 1424 (M++1)
分子の一方の末端にフラーレンのついたジアリールエテン系化合物2(C99H27F6NOS2)の分子量の分子イオンピークが見られた。これは、同位体の存在比(図8)から推できる値である。
3)吸収スペクトル (図11)
【0072】
【化25】
【0073】
化合物2のシクロヘキサン溶液中のフォトクロミズムを測定した。開環体の吸収極大は252 nm、閉環体の吸収極大は538 nmであった。化合物4のヘキサン溶液中における閉環体の吸収極大は536 nmであるので、フラーレンが結合することによる、ジアリールエテン構造部分の吸収波長のシフトはないと考えられる。
[実施例2]
【0074】
【化26】
【0075】
アルゴン雰囲気下で、300mlの四つ口フラスコに、フルオレンC60を100 mg (1.4×10−4 mol)、1,2−ビス「5−(4−ホルミルフェニル)−2,4−ジメチルチオフェン−3−イル」パーフルオロシクロペンテン(化合物5) を42.4 mg (6.9×10−4 mol)、およびN−メチルグリシンを12.4 mg (1.4×10−4 mol)加えた。
【0076】
金属ナトリウム上で蒸留した乾燥トルエンを150 ml加え、110℃で18時間加熱還流を行った。その後室温まで戻し、トルエンをロータリーエバポレーターで濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(60N, spherical neutral, 関東化学製)で、トルエンを展開溶媒として分離精製を行った。さらにゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により精製を行った。収量 71 mg (収率 31.6%)。精製した化合物の1H−NMR、FAB−MAS、および紫外−可視吸収スペクトルを測定した。
(測定結果)
1)NMR (図 12)
シグナルを帰属した。
2.08 (s, 3H, 4−Me), 2.17 (s, 3H, 4−Me), 2.36 (s, 3H, 2−Me), 2.37 (s, 3H, 2−Me), 2.82 (s, 3H, N−Me), 4.27 (d, J=9.4 Hz, 1H, N−CH 2−fullerene), 4.96 (s, 1H, Ph−CH−fullerene), 5.00 (d, J=9.4 Hz, 1H, N−CH 2−fullerene), 7.16−7.89 (m, 8H, ar), 10.01 ppm (s, 1H, Ph−CHO)
2)FAB−MS (図13)
MS (m/z) 1353 (M++1)
分子の一方の末端にフラーレンのついたジアリールエテン系化合物5(C93H27F6NOS)の分子量の分子イオンピークが見られた
3)吸収スペクトル (図14)
【0077】
【化27】
【0078】
化合物6のシクロヘキサン溶液中でのフォトクロミズムを測定した。開環体の吸収極大波長は255 nm、閉環体の吸収極大波長は571 nmであった。化合物7のヘキサン溶液中における閉環体の吸収極大波長は562 nmであった。フラーレンが結合することによる、ジアリールエテン構造部分の吸収波長のシフトは殆んどないと考えられる。
【0079】
【発明の効果】
このようにして得られた、本発明のフォトクロミック材料は、高いフォトクロミック反応性を維持しつつ、溶剤などへの高い溶解性、分子のかさ高さに起因する排除体積効果、光物性、反応性等のフラーレン特有の優れた物性を併せ持っているため、記憶材料、センサー、調光材料、蛍光材料、放射線線量計、または生体膜を透過させるドラッグデリバリー材料など、極めて広範な用途に供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】C60の(6−6)結合を示す図である。
【図2】実施例1にて得られた反応生成物の、薄層クロマトグラフィ(TLC)展開図である。
【図3】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートである。
【図4】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、2.0−3.0ppmの拡大図である。
【図5】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、4.0−5.2ppmの拡大図である。
【図6】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、7.0−8.2ppmの拡大図である。
【図7】実施例1にて得られた化合物2の、1H−NMRスペクトルチャートにおける、9.6−10.4ppmの拡大図である。
【図8】実施例1にて得られた化合物2の、FABマススペクトルチャートである。
【図9】実施例1にて得られた化合物2の、FABマススペクトルチャートと、計算値を表した図である。
【図10】実施例1にて得られた化合物2の、FABマススペクトルチャートの拡大図と、計算値を表した図である。
【図11】実施例1にて得られた化合物2の、シクロヘキサン溶液中での吸収スペクトルチャートである。
【図12】実施例2にて得られた化合物6の、1H−NMRスペクトルチャートである。
【図13】実施例2にて得られた化合物6の、FABマススペクトルチャートである。
【図14】実施例2にて得られた化合物6の、シクロヘキサン溶液中での吸収スペクトルチャートである。
Claims (7)
- フラーレン誘導体残基およびフォトクロミック化合物残基が、共役結合を含有する2価の連結基を介して結合してなる化合物からなる、フォトクロミック材料。
- フォトクロミック化合物残基が、ジアリールエテン系化合物残基である、請求項1記載のフォトクロミック材料。
- フォトクロミック化合物残基が下記一般式(I)で表される、請求項2記載のフォトクロミック材料。
pおよびqは、連結基を介してフラーレン誘導体残基に結合する結合手の数を表し、各々独立に0〜4の整数である。但し、1≦(p+q)≦6である。
基X1、基X2、基Y1及び基Y2は、各々独立に、
基R3は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
基R4は、水素原子、置換されていてもよいアルキル基又は置換されていてもよいシクロアルキル基を表わす。
環Dは、基X1、基Y1及びこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環を表わし、環Eは、基X2、基Y2及びこれらと結合する2つの炭素原子とともに形成された、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環を表わす。
環D及び環Eには更に、置換されていてもよい5員環又は6員環の芳香族環が縮合していてもよい。) - 連結基が−(W)m−(但し、Wは−CH=CH−、−C≡C−またはフェニレン基を表し、mは1〜10の整数を表す。但し、mが2以上の時、−(W)m−に含まれる複数個のWは、同一であっても異なっていてもよい。)で表される2価の連結基である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載のフォトクロミック材料。
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