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JP2004251507A - 物流サイクルにおける配送装置の管理システムおよび管理方法 - Google Patents

物流サイクルにおける配送装置の管理システムおよび管理方法 Download PDF

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JP2004251507A JP2003040933A JP2003040933A JP2004251507A JP 2004251507 A JP2004251507 A JP 2004251507A JP 2003040933 A JP2003040933 A JP 2003040933A JP 2003040933 A JP2003040933 A JP 2003040933A JP 2004251507 A JP2004251507 A JP 2004251507A
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Abstract

【課題】事前準備(予冷)後に物品の配送に使用される複数の保冷庫に対する事前準備における無駄なエネルギー投入を抑えることができる保冷庫の管理システムを提供する。
【解決手段】この管理システムでは、無線通信装置111と、予冷時刻送信部415とを備えている。無線通信装置111は、複数の保冷庫に送信を行う。予冷時刻送信部415は、保冷庫の使用開始時刻から求まる予冷開始時刻に事前準備(予冷)が開始されるよう、無線通信装置111から保冷庫へと事前準備開始命令を送信させる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物流サイクルにおける配送装置の管理システムおよび管理方法、特に、物流サイクルにおいて事前準備後に物品の配送に使用される複数の配送装置を管理する管理システムおよび管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
低温を維持した状態で搬送・納品を行う必要のある生鮮食料などの物品は、通常、断熱効果を備える保冷車と呼ばれる車輌に積み込まれて物流が行われる。このような保冷車では、冷凍機などにより温度維持がなされているが、温度管理が行われていないのが現状である。このため、保冷車のドアが開いたままになっていたり、故障が発生したりしていても、ドライバーなどの搭乗員が注意していないと見過ごす場合があり、内部温度の上昇やひいては物品のダメージにつながるおそれがある。
【0003】
また、配送先で納品する物品の点検は人手に頼っており、配送元であるカミサリーと呼ばれる一次加工工場などでの積載ミス、配送先まちがい、配送先である店舗での受け入れミス、配送時のドライバーと店舗側店員との連絡ミスにより配送品放置などが起こりがちであり、物流ロスが生じる原因となっている。
上述のような従来の物流サイクルにおける問題点を解消するために、本願出願人は、冷蔵・冷凍食料品などの特に低温維持を要する物品の物流において、配送時の保冷庫の状態、配送元及び配送先における保冷庫内の状態などを監視して、内部に収納された物品の安全管理、物流サイクル中の管理情報の分析などを行うようにしたシステムを、既に開発し、特許出願している(特許文献1参照)。
【0004】
このようなシステムによれば、鮮度の劣化、誤配等を防止でき、安心かつ確実な物流を実現することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−333263号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の特許文献1に開示されているシステムにおいては、予め保冷庫が持つ蓄冷剤に蓄熱を行い(蓄冷剤を冷却し)、保冷庫による物品の配送中に蓄冷剤に蓄えられた熱を放出することで、物品を所定温度域に保持している。すなわち、上記の保冷庫は、配送中に冷却装置を作動させて物品を保冷するのではなく、事前準備として蓄冷剤の予冷を行う必要がある。これにより、保冷庫は、配送車両から電力等のエネルギー供給を受ける必要がなくなる。
【0007】
しかし、事前準備として蓄冷剤の予冷が必要となるシステムであるため、現状においては、人が配送計画に従って配送装置の蓄冷剤の予冷を行わせている。具体的には、配送開始時刻に間に合うように少し余裕を持たせた上で適当な時刻に蓄冷剤の予冷を行わせている。しかし、適当であると思われる予冷開始時刻が配送元において誰もいない時間帯にぶつかると、仕方なく配送開始の前日の帰宅前に事前準備(予冷)を開始させることになる。この場合には、必要以上の長時間にわたって蓄冷剤を冷却し続けることになり、事前準備のコストが高くなってしまう。すなわち、充分に蓄冷剤が冷却されているにも関わらず、冷却装置が長時間運転されたまま放置されていることがあるシステムとなっている。
【0008】
本発明の課題は、事前準備後に物品の配送に使用される複数の配送装置に対する事前準備における無駄なエネルギー投入を抑えることができる配送装置の管理システムおよび管理方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る管理システムは、物流サイクルにおいて事前準備後に物品の配送に使用される複数の配送装置を管理する管理システムであって、送信部と、事前準備管理部とを備えている。送信部は、複数の配送装置に送信を行う。事前準備管理部は、配送装置の使用開始時刻から求まる事前準備開始時刻に事前準備が開始されるよう、送信部から配送装置へと事前準備開始命令を送信させる。
【0010】
ここでは、事前準備管理部を新たに設け、複数の配送装置に対して送信部から事前準備開始命令を送信させ、事前準備開始時刻に事前準備が開始されるようにしている。このため、各配送装置では、無駄なエネルギー投入が抑えられる事前準備を行うことができる。これにより、人がそれぞれの感覚で配送日の帰宅前などに余裕を持って事前準備を早めに行わせることによる弊害で省エネルギーが達成できていない現状が、大幅に解消されることが期待できる。
【0011】
請求項2に係る管理システムは、請求項1に記載の管理システムであって、配送装置は、物品の配送において物品を保冷する装置であり、事前準備において保冷能力の充填が為される。また、事前準備管理部は、送信部から配送装置へと、事前準備の開始命令とともに設定温度を送信させる。
ここでは、物品を保冷する保冷能力を持つ配送装置に対して、事前準備開始時刻に、事前準備の開始命令とともに設定温度が送信される。これにより、配送装置では、保冷能力が充填され設定温度になるように、適切なタイミングで事前準備を行うことができるようになる。
【0012】
なお、事前準備開始時刻や設定温度は、配送装置ごとに別々の値となっても、各配送装置に対して共通の値となってもよい。
請求項3に係る管理システムは、請求項2に記載の管理システムであって、事前準備開始時刻演算部をさらに備えている。事前準備開始時刻演算部は、物流サイクルにおける物品の配送計画から求まる配送装置の使用開始時刻と、その配送装置に関する温度履歴情報とに基づき、事前準備開始時刻を演算する。
【0013】
ここでは、保冷能力を持つ配送装置に対して事前準備の開始命令を送る事前準備開始時刻が、配送装置の使用開始時刻から一律に所定時間だけ遡った時刻ではなく、それに配送装置に関する温度履歴情報が加味された形で演算されている。保冷能力を持つ配送装置では、既にある程度内部が冷えているか、それともあまり冷えていないかによって、事前準備で必要となる時間が異なる。これに鑑み、ここでは、事前準備開始時刻の演算に際して、配送装置の使用開始時刻と、その配送装置に関する温度履歴情報とを考慮している。
【0014】
このように、ここでは、配送装置に関する温度履歴情報をも考慮に入れて事前準備開始時刻の演算が行われており、より省エネルギーを図ることが可能となる。
請求項4に係る管理システムは、請求項3に記載の管理システムであって、配送装置は、蓄冷剤と、その蓄冷剤を事前準備において冷却する冷却装置とを有している。そして、事前準備開始時刻演算部は、使用開始時刻と、配送装置内の温度履歴情報とに基づき、事前準備開始時刻を演算する。
【0015】
ここでは、事前準備において蓄冷剤を冷却装置で冷却することによって、配送装置の保冷能力を充填する。そして、配送装置内の冷え易さ、あるいは配送装置内の現状については、配送装置内の温度履歴情報から把握することができる。これに鑑み、ここでは、使用開始時刻と配送装置内の温度履歴情報とに基づいて、事前準備開始時刻が演算されている。これにより、配送装置の事前準備に要するエネルギーを抑えることが可能になっている。
【0016】
請求項5に係る管理システムは、請求項3又は4に記載の管理システムであって、事前準備管理部は、事前準備開始時刻を含む事前準備開始命令を、事前準備開始時刻よりも前に、送信部から配送装置へと送信させる。また、事前準備開始時刻演算部は、送信部から配送装置への事前準備開始命令の送信時刻から事前準備開始時刻までの間に失われる保冷能力を考慮して、事前準備開始時刻を演算する。
【0017】
ここでは、事前準備開始時刻を含む事前準備開始命令を前もって送信部から配送装置へと送信させているが、その送信時刻から事前準備開始時刻までの間に失われる保冷能力を考慮して事前準備開始時刻が演算されているため、事前準備において保冷能力の充填が不十分となってしまう不具合が抑えられる。
請求項6に係る管理システムは、請求項3又は4に記載の管理システムであって、事前準備管理部は、事前準備開始時刻の直前に、事前準備開始命令を、送信部から配送装置へと送信させる。また、事前準備開始時刻演算部は、事前準備開始時刻の直前までの配送装置に関する温度履歴情報に基づき、事前準備開始時刻を演算する。
【0018】
ここでは、事前準備開始時刻の直前に事前準備開始命令を送信部から配送装置へと送信させることとし、事前準備開始時刻の直前までの配送装置に関する温度履歴情報を事前準備開始時刻の演算において考慮することにしているため、事前準備の時間を必要最小限に抑えることができるようになる。
請求項7に係る管理システムは、請求項1から6のいずれかに記載の管理システムであって、配送装置特定部をさらに備えている。配送装置特定部は、物流サイクルにおける物品の配送計画から、当日の配送に必要な1又は複数の配送装置を特定する。そして、事前準備管理部は、配送装置特定部で特定された配送装置に対して、送信部から事前準備の開始命令を送信させる。
【0019】
ここでは、配送装置特定部によって、当日の配送に用いる配送装置の特定が行われる。ここでは、例えば、配送装置の状態を考慮して特定を行うことが考えられる。そして、特定された配送装置にだけ事前準備の開始命令が送信されるため、配送に用いない配送装置に事前準備が施されるといった無駄がなくなる。
なお、特定された配送装置ごとに個別の事前準備開始時刻が送られるようにしてもよいし、一括して同じ事前準備開始時刻が送られるようにしてもよい。
【0020】
請求項8に係る管理方法は、物流サイクルにおいて事前準備後に物品の配送に使用される複数の配送装置を管理する管理方法であって、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップとを備えている。第1ステップでは、物流サイクルにおける物品の配送計画に基づき、配送装置の使用開始時刻を求める。第2ステップでは、配送装置の使用開始時刻から事前準備開始時刻を求める。第3ステップでは、事前準備開始時刻に事前準備が開始されるよう、配送装置へと事前準備開始命令を出す。
【0021】
ここでは、物品の配送計画に基づき求められる配送装置の使用開始時刻から、配送装置の事前準備開始時刻が求められ、その事前準備開始時刻に事前準備が開始されるよう、事前準備開始命令が配送装置へと出される。このため、各配送装置では、無駄なエネルギー投入が抑えられる事前準備を行うことができるようになる。これにより、これにより、人がそれぞれの感覚で配送日の帰宅前などに余裕を持って事前準備を早めに行わせることによる弊害で省エネルギーが達成できていない現状が、大幅に解消されることが期待できる。
【0022】
請求項9に係る管理方法は、請求項8に記載の管理方法であって、配送装置は、蓄冷剤と、その蓄冷剤を事前準備において冷却する冷却装置とを有している。また、第1ステップでは、さらに配送装置内の温度履歴情報に基づき配送装置の使用開始時刻を求める。
ここでは、事前準備において蓄冷剤を冷却装置で冷却することによって、配送装置の保冷能力を充填する。そして、配送装置内の冷え易さ、あるいは配送装置内の現状については、配送装置内の温度履歴情報から把握することができる。これに鑑み、ここでは、使用開始時刻に加え、配送装置内の温度履歴情報に基づいて、事前準備開始時刻を演算する手法を採っている。これにより、配送装置の事前準備に要するエネルギーを抑えることが可能になっている。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態に係る物流サイクルの情報管理システムの概略を、図5に示す。
ここに示す物流サイクルでは、まず、物品30を収容した保冷庫1が、搬送用車輌301の荷室302内に収納され、供給元であるカミサリー101から供給先である店舗201に向けて搬送される。搬送用車輌301が店舗201に到着すると、その店舗201に配送すべき保冷庫1が、搬送用車輌301から下ろされる。この店舗201において保冷庫1に収容されていた物品30が消費された時又は一定の契約時間が経過した時に、保冷庫1の回収が行われる。回収は、搬送用車両301に保冷庫1を積載してカミサリー101へと運ぶことにより行われる。
【0024】
保冷庫1に収容される物品30は、出荷、搬送時、納品時の各段階において、庫内温度情報などの記録が行われる。そして、このような情報は、保冷庫1に備わる無線通信装置(後述)によって、店舗201やカミサリー101などに対して送信される。
物流サイクルの情報管理システムは、情報管理センター401を中心に構成されるシステムである。詳しくは、後に説明する。
【0025】
〔保冷庫について〕
本発明の一実施形態に係る保冷庫を、図1〜図4に示す。保冷庫1は、その内部に、搬送・保管時に低温を維持する必要がある食品などの物品を収納する。そして、保冷庫1は、物品を収納した状態で店舗などの配送先に運ばれ、物品を納品する役割を果たす。
【0026】
図1に示すように、保冷庫1は、構造的には、筐体2と、筐体2の前面に開閉自在に取り付けられるドア3と、筐体2の下面に取り付けられる移動用のキャスター部4とから構成されている。また、保冷庫1は、各種情報を表示するための表示パネル5、電源供給を受けるための電源レセプタクル6、制御部10などを備えている。
【0027】
<筐体>
筐体2は、断熱性の高い材料で構成されており、ドア3を閉止した場合に内部が気密状態を維持するように構成される。図2に示すように、筐体2の内部は、物品を収納するための収納用空間7となっている。また、筐体2の内部には、収納用空間7を低温に維持するための蓄冷剤8が設けられている。さらに、収納用空間7の上部には、蓄冷剤8を冷却するための圧縮機9等が設けられている。
【0028】
<表示パネルおよび電源レセプタクル>
表示パネル5は、図3に示すような構成となっており、庫内温度、モード、バッテリー交換が必要な旨の警告などの表示を行う。また、表示パネル5とは別に、報知ブザー・報知ランプ17も設けられている。報知ブザー・報知ランプ17は、後述するバッテリー交換判断部13の判断結果、あるいは後述する情報管理センター401の管理コンピュータ401aの故障・部品交換予測部420の判断結果などに基づき、必要に応じて報知を行う。
【0029】
電源レセプタクル6には、配送元となるカミサリー(一次加工工場)101や配送先となる店舗201からの電源線が接続される。この電源レセプタクル6は、圧縮機9への電源供給を行うとともに、制御部10のバックアップ電源であるバッテリー(図示せず)への充電を行う。このように、カミサリー101や店舗201において電源線が接続された状態で、配送中の保冷能力を確保するために、保冷庫1において圧縮機9等による蓄冷剤8の予冷が行われる。
【0030】
<制御部>
保冷庫1の制御部10は、CPU、ROM、RAMなどにより作動するプログラムに従って各種制御を行うものであって、図4に示すように、表示パネル5、圧縮機9、報知ブザー・報知ランプ17、温度センサ18、開閉センサ19、バーコードリーダ20などと保冷庫1内において接続されている。また、制御部10は、バッテリー電圧検知部11、バッテリー充電記録部12、バッテリー交換判断部13、無線通信装置14、記憶装置15、使用適否報知部16などを備えている。
【0031】
無線通信装置14は、カミサリー101内に設置された通信ユニット110、店舗201内に設置された通信ユニット210、および車載通信ユニット310などとの近距離通信が可能な通信装置であり、Bluetooth、HomeRF、IEEE802.11Bなどの電波を用いた無線通信装置やIrDAなどの赤外線を用いた無線通信装置を採用し得る。ここでは、Bluetoothの技術を用いた通信装置を採用している。この無線通信装置14は、保冷庫1それぞれに設定されている自己識別記号を付して、各種情報を送信する。
【0032】
記憶装置15は、配送元において入力される物品や配送先に関するデータ、搬送中および配送先における保冷庫1の状態情報や内部の物品に関する状態情報などの各種データを格納する。この記憶装置15内は、充電回数記憶部15aや温度履歴記憶部15bなどに分かれている。記憶装置15としては、プログラムを作動させるためのRAMを共用して用いることも可能であるし、EEPROMやフラッシュメモリなどの書換可能なROMを用いることも可能であるし、ハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、光磁気ディスク(MO)などの記録媒体を駆動するドライブを用いることも可能である。ここでは、記憶装置15として、EEPROMを採用している。
【0033】
使用適否報知部16は、その保冷庫1が使用に適しているか否かに関する適否情報を、カミサリー通信ユニット110を介して後述する情報管理センター401の管理コンピュータ401aから受信する。そして、使用適否報知部16は、その保冷庫1が配送に使われる時刻の前(物品が収容される前)に、使用に適している旨を示すために報知ブザー・報知ランプ17を作動させる。
【0034】
制御部10に接続されている圧縮機9は、後述するカミサリー通信ユニット110からの予冷開始命令に応じて駆動されるもので、冷媒を介して蓄冷剤8の冷却を行う。
温度センサ18は、庫内温度を計測するためのものであり、収納用空間7に配置されている。検出した庫内温度値は、庫内温度の時系列データとして、温度履歴記憶部15bに記憶されることになる。温度履歴記憶部15bには、このように庫内温度履歴情報が記憶されていくが、カミサリー通信ユニット110経由で情報管理センター401の管理コンピュータ401aへと庫内温度履歴情報を送った後には、温度履歴記憶部15bからそれまでの庫内温度履歴情報が消去される。
【0035】
開閉センサ19は、ドア3が筐体2に対して密閉状態であるか否かを検出するためのセンサであり、光電スイッチや近接スイッチなどのセンサデバイスが採用される。
バーコードリーダ20は、カミサリー101において出荷される際に、庫内に積載される物品リストを入力するためのものである。バーコードリーダ20は、バーコードリーダ用のインターフェイスのみが搭載されている構成であってもよい。
【0036】
バッテリー電圧検知部11は、バッテリーの消耗を判断する情報を得る目的で、バッテリーの電圧を検知する。ここで検知されたバッテリー電圧値を基に、バッテリー充電記録部12が充電の回数を更新して充電回数記憶部15aに記憶させる。この充電回数記憶部15aに記憶されるバッテリーの充電回数は、バッテリーの消耗度合いを示す情報として利用されることになる。
【0037】
バッテリー交換判断部13は、充電回数記憶部15aに記憶されているバッテリーの充電回数に基づいて、バッテリーの交換が必要か否かを判断する。そして、ここでバッテリーの交換が必要であると判断すると、その旨を報知ブザー・報知ランプ17によってカミサリー101の作業者や搬送用車輌301のドライバーなどに知らせる。
【0038】
この一連のバッテリーの消耗度合い検知に関するフローを、図17に示す。保冷庫1の制御部10は、故障情報がある場合には、回収時にカミサリー通信ユニット110経由で情報管理センター401に故障情報を送信する。しかし、ユーザによっては、保冷庫1に装備されているバッテリーの交換のサインを保冷庫1が直接報知してほしいという要望を持つ者もいる。そこで、ここでは、バッテリー充電記録部12や充電回数記憶部15a、バッテリー交換判断部13などを保冷庫1の制御部10に設け、バッテリー交換が必要なときに報知ブザー・報知ランプ17を作動させる構成を採っている。
【0039】
図17に示すステップS100では、バッテリーが交換された直後か否かが判断される。バッテリーが交換された直後あるいは新品である場合には、ステップS101へ移行する。バッテリーが交換された直後ではない場合は、ステップS102へ移行する。
ステップS101では、変数n=0とする。
【0040】
ステップS102では、所定時間T0(たとえば5分)が経過したか否かを判断する。所定時間T0が経過すると、ステップS103へ移行する。
ステップS103では、バッテリー電圧検知部11によって、バッテリーの電圧Vが取得される。
ステップS104では、バッテリーの電圧Vが所定の電圧V0(たとえば10ボルト)以上となっているか否かが判断される。V>=V0の場合には、ステップS105へ移行する。V>=V0でない場合には、ステップS101へ戻る。
【0041】
ステップS105では、変数nがインクリメントされる。
ステップS106では、変数nが所定の自然数n0(たとえば1000)以上となっているか否かが判断される。変数n>=n0の場合には、ステップS17へ移行する。
ステップS107では、バッテリー交換が必要な旨を表示パネル5へ表示させる(図3参照)とともに、報知ブザー・報知ランプ17を作動させる。
【0042】
〔物流サイクルの情報管理システムについて〕
図5に、保冷庫1を用いた物流サイクルの情報管理システムの概要構成を示す。
<カミサリーにおける出荷時の構成>
カミサリー101には、カミサリー通信ユニット110が設置されている。カミサリー通信ユニット110は、複数の保冷庫1に対して無線で通信を行う無線通信装置111を有している。この無線通信装置111は、Bluetoothの技術を用いて、通信が可能な近距離に保冷庫1が存在する場合に自動的に通信を確立し、保冷庫1の無線通信装置14と双方通信する。これにより、カミサリー通信ユニット110は、保冷庫1に搭載されている無線通信装置14との間でデータの送受信ができる。
【0043】
このカミサリー通信ユニット110には、配送に使用される保冷庫1の特定や予冷開始時刻などの情報を情報管理センター401の管理コンピュータ401aから受けて格納する使用順序・予冷スケジュールテーブル112と、長い間使用されていない保冷庫1の自己識別記号を記憶しておく滞留保冷庫管理テーブル113とが設けられている。
【0044】
また、カミサリー通信ユニット110は、インターネットなどを介して情報管理センター401の管理コンピュータ401aとのデータの送受信が可能である。具体的には、カミサリー通信ユニット110は、カミサリー101内に設置されたルータやモデムなどを介してインターネット接続が可能であり、必要に応じて情報管理センター401との間でデータ送受信を行うように構成されている。
【0045】
カミサリー101において保冷庫1内に積み込まれる物品30には、積込日時、食材種類、鮮度計により計測されたK値、カミサリー番号、庫内温度などがバーコード化されたバーコードシール31が貼着される。保冷庫1に積み込まれる物品が食品である場合には、鮮度計によりK値の測定を行い、積込時の初期K値として記録される。このK値や食材種類などのデータが、バーコード化されている。すなわち、出荷時においては、バーコードリーダ20によって各物品30のバーコードシール31のデータが読み込まれ、記憶装置15(図4参照)に格納される。保冷庫1に積み込まれる物品30のバーコードシール31は、一点ずつ読み込むことも可能であるし、各物品30に関する情報をリスト化したバーコードリスト33を作成しておき、このバーコードリスト33をバーコードリーダ20によって読み取って記憶装置15に格納するように構成することも可能である。
【0046】
<搬送用車輌における構成>
カミサリー101における物品30の収納が完了した保冷庫1は、トラックなどの搬送用車輌301に積み込まれて出荷される。保冷庫1の無線通信装置14とカミサリー通信ユニット110との間の通信可能範囲は限られており、保冷庫1が出荷されてカミサリー101を離れると、無線通信装置14とカミサリー通信ユニット110との通信が終了するが、保冷庫の制御部10では、温度センサ18および開閉センサ19による搬送中の庫内温度値やドアの開閉状態の監視が為され、庫内温度値については記憶装置15の庫内温度履歴記憶部15bに庫内温度履歴情報として逐次格納される。庫内温度履歴情報は、一定時間(たとえば5分)毎に庫内温度値をサンプリングして記憶装置15に格納することも可能であるし、温度センサ18の検出する庫内温度が変化した際にその時刻および庫内温度値を記憶装置15に格納することも可能である。
【0047】
搬送用車輌301には、保冷庫1の無線通信装置14と通信可能な車載通信ユニット310が搭載されている。この車載通信ユニット310は、保冷庫1の無線通信装置14との近距離通信が可能な無線通信装置を備えており、無線通信装置14から送信される異常通報や庫内温度情報などを受信することが可能となっている。また、車載通信ユニット310は、PHSや携帯電話などの無線通信機能を備える構成とすることも可能である。この場合、無線通信装置14から送信されてくる情報に基づいて、情報管理センター401などに異常発生の通報を送信することが可能となる。また、PHSや携帯電話の位置情報提供サービスを利用すれば、車載通信ユニット310が搬送用車輌301の現在位置を取得して異常通報とともに保冷庫1の現在位置情報を同時に送信するように構成することも可能である。
【0048】
<店舗における構成>
搬送用車輌301が物品30の配送先である店舗201に到着すると、保冷庫1の無線通信装置14が店舗201に設置された店舗通信ユニット210と通信を開始する。
店舗通信ユニット210は、カミサリー通信ユニット110と同様の構成であり、保冷庫1の無線通信装置14との通信が可能な無線通信装置(図示せず)を備えている。この無線通信装置による通信が可能な近距離に保冷庫1が存在する場合に、自動的に通信を確立しデータの送受信を行う。また、店舗通信ユニット210は、店舗201内に設置されたルータやモデムなどを介してインターネット接続が可能な通信機能を備えており、必要に応じて情報管理センター401とのデータ送受信を行うように構成されている。
【0049】
搬送用車輌301が店舗201に到着して保冷庫1の無線通信装置14が店舗通信ユニット210との通信を開始すると、保冷庫1の制御部10は、カミサリー101で入力されたバーコード情報や搬送中の庫内温度履歴情報などを記憶装置15から読み出して、店舗通信ユニット210に送信する。店舗通信ユニット210は、受信したバーコード情報に基づいて物品30の配送先の間違いや積込ミスなどがないかどうかを確認し、庫内温度履歴情報および出荷時の鮮度情報に基づいて賞味期限を算出し、賞味期限シール32の出力を行う。この賞味期限シール32を物品30に貼り付けることにより、その食品が一定の鮮度を維持可能な時期を確認することが容易となり、食品安全性を高めることができる。
【0050】
物品30は、保冷庫1の内部に収納されたまま搬送用車輌301から下ろされて、店舗21には物品30が保冷庫1ごと納品される。搬送中の保冷庫1は、開閉センサ19によりドアの開放があった場合にこれを検出して通報を行うように構成されているが、店舗201への納品後はドア開放があっても通報を行わないように設定することが可能である。ただし、一定時間を超えてドアの開放状態が継続した場合に通報が為されるようなオプション設定は可能である。このドア開放の通報を行わないモード設定は、表示パネル5や筐体2のその他の場所に設けられたモード設定スイッチにより設定が可能である。
【0051】
保冷庫1の店舗201への納品後は、制御部10において、温度センサ18による庫内温度監視が継続して行われ、温度センサ18により検出される庫内温度が庫内温度履歴情報として記憶装置15の庫内温度履歴記憶部15bに逐次格納される。また、保冷庫1の制御部10は、庫内温度異常が発生した場合には、庫内温度異常の通報を行う。記憶装置15の庫内温度履歴記憶部15bに格納される庫内温度履歴情報は、搬送中の庫内温度履歴情報と同様に、一定時間(たとえば5分)毎に庫内温度値をサンプリングしたものであってもよいし、温度センサ18の検出する庫内温度値が変化した際の時刻および庫内温度値であってもよい。
【0052】
店舗201において物品30が消費された後、または契約に基づく保冷庫1の回収期限になると、保冷庫1が搬送用車輌301に積み込まれてカミサリー101に回収される。搬送用車輌301が店舗201を離れると、保冷庫1の無線通信装置14と店舗通信ユニット210との間の通信は自動的に終了する。
<カミサリーにおける回収時の構成>
カミサリー101に回収された保冷庫1の無線通信装置14は、カミサリー101において、カミサリー通信ユニット110との通信を開始する。ここで、保冷庫1の無線通信装置14は、記憶装置15の庫内温度履歴記憶部15bに格納されている庫内温度履歴情報を読み出してカミサリー通信ユニット110に送信し、故障情報がある場合には同時に故障情報についてもカミサリー通信ユニット110に送信する。
【0053】
カミサリー通信ユニット110は、受信した庫内温度履歴情報や故障情報などを、情報管理センター401に送信する。
<情報管理センターにおける構成>
情報管理センター401には、管理コンピュータ401aが配備されており、受信した庫内温度履歴情報を分析して、物品30の鮮度管理情報を生成し、物流サイクルを管理している物流本部601や店舗201の経営管理を行っている店舗管理本部701に情報提供する。また、故障情報を受信した場合には、メンテナンスを担当するサービスセンター501に連絡して適切な処理を手配する。
【0054】
さらに、管理コンピュータ401aは、カミサリー通信ユニット110経由で各保冷庫1の制御部10から温度履歴記憶部15bにある庫内温度履歴情報を取得し、それをデータベース430に格納する。そして、データベース430にある全ての保冷庫1の庫内温度履歴情報を分析することにより、保冷庫1の使用スケジュールや予冷開始時刻を演算したり、保冷庫1の故障あるいは部品交換について予知を行ったりする。
【0055】
具体的には、管理コンピュータ401aは、スケジュール決定部411、故障・部品交換予測部420などを備えている。スケジュール決定部411は、配送計画入力部412、使用保冷庫決定部413、予冷時刻演算部414、予冷時刻送信部415などから構成されている。
スケジュール決定部411は、入力される配送計画から、翌日に使用する保冷庫1の特定、それらの保冷庫1のカミサリー101における予冷開始時間および設定温度を行い、配送に関するスケジュールを決定する。配送計画入力部412では、配送計画の入力を受け付ける。
【0056】
使用保冷庫決定部413は、3つの基準に従って、翌日に使用する保冷庫1を特定する。各基準が相反する場合には、適当に重みづけを行うことにより保冷庫1の特定を行う。
まず、使用保冷庫決定部413は、保冷庫1の蓄冷剤8の消耗度合い、すなわち前回の配送において蓄冷剤8の蓄熱量(蓄冷量)がどれくらい失われたのかを考慮して、複数の保冷庫1のうち優先して使用すべきものを決定する。具体的には、データベース430にある全ての保冷庫1の庫内温度履歴情報から図16(b)に示すような庫内温度カーブを作り、それぞれの保冷庫1が保冷を開始してからの庫内温度の時間積分値を演算し、それらの積分値から推測される各々の蓄冷剤8に残っている保冷能力を比較する。この比較から、原則として残存保冷能力の高い蓄冷剤8を持つ保冷庫1を優先的に使用すべきものとして候補に挙げる。
【0057】
また、使用保冷庫決定部413は、各保冷庫1の部品の消耗度合いに偏りが出ることを防止する観点から、各保冷庫1の使用頻度に極端な差異が生まれないように使用する保冷庫1を決定する。具体的には、カミサリー通信ユニット110の滞留保冷庫管理テーブル113を参照して、できるだけ長い間使用されていない保冷庫1を優先して使うようにする。このように、使用保冷庫決定部413は、原則として、偏りなく保冷庫1が使用されるように、優先して使用すべき保冷庫1を選ぶ。
【0058】
さらに、使用保冷庫決定部413は、偏りなく保冷庫1を使用するという原則に立った上で、保冷庫1の部品(例えば、蓄冷剤8や圧縮機9)の消耗度合いが許容レベルを超える時期が分散するように、優先して使用すべき保冷庫1を選ぶ。これは、一時期に保冷庫1の不具合が集中して起こることを回避するための基準である。
【0059】
以上のような各基準の調整を図りながら、使用保冷庫決定部413は、配送計画入力部412に入力された配送計画から、翌日(あるいは当日)の配送に必要な保冷庫1を特定し、カミサリー通信ユニット110の使用順序・予冷スケジュールテーブル112に必要な情報を送る。カミサリー通信ユニット110は、使用保冷庫決定部413から送られてきた情報に基づいて、配送に使用される保冷庫1に対して予冷等の事前準備をするように無線通信装置111から指令を送る。
【0060】
予冷時刻演算部414は、データベース430にある保冷庫1の庫内温度履歴情報を考慮して、蓄冷剤8の予冷に必要な時間である予冷時間を演算する。図16(b)に示すように、蓄冷剤8による保冷開始から次の予冷が開始されるまでの間は、蓄冷剤8の保冷能力によって保冷庫1の内部の保冷が行われ、蓄冷剤8に蓄冷された熱を失う期間(保冷期間)である。この保冷期間の長短によって、次の予冷に必要な時間である予冷時間(t1)が決まる。ここでは、予冷時刻演算部414は、基準となる庫内温度T0を予め決定しておき、庫内温度T0から予冷開始に至る庫内温度カーブについて庫内温度の時間積分値S2を求める。そして、予冷時刻演算部414は、積分値S2と予冷時間(t1)との関係式あるいは対応マップなどから、積分値S2を基に予冷時間(t1)を演算する。
【0061】
上記のように、管理コンピュータ401aは、データベース430に保冷庫1の庫内温度履歴情報を蓄積しておき、これらの庫内温度履歴情報に基づいて、予冷時刻演算部414において保冷庫1の使用に必要な情報である予冷時間を演算する。そして、配送計画入力部412に入力された配送計画から得られる保冷庫1の使用開始時刻から予冷時間だけ遡った時刻を、予冷開始時刻として求める。
【0062】
予冷時刻送信部415は、使用が予定されている保冷庫1について予冷時刻演算部414で得られた予冷開始時刻を、カミサリー通信ユニット110の使用順序・予冷スケジュールテーブル112へと送る。これにより、予冷開始時刻が来たときに、カミサリー通信ユニット110の無線通信装置111から保冷庫1の制御部10へと予冷開始命令が送信される。また、予冷時刻送信部415は、使用が予定されている保冷庫1の庫内温度の設定温度についても、配送計画から求め、カミサリー通信ユニット110経由で保冷庫1の制御部10へと送り込む。
【0063】
このように、管理コンピュータ401aでは、配送計画に基づき保冷庫1の使用開始時刻を求め、その使用開始時刻から予冷時間を差し引いて予冷開始時刻を演算し、その予定開始時刻にカミサリー通信ユニット110経由で保冷庫1の制御部10へと予冷開始命令を出す役割を果たしている。
故障・部品交換予測部420は、保冷庫1を使用するにおいて保冷庫1の部品の交換が必要か否かの判断を行う。蓄冷剤8が経年劣化したり保冷庫1の断熱能力が低下したりすると、保冷庫1内の今まで通りに予冷しても庫内温度がなかなか下がらなくなってくる。故障・部品交換予測部420は、その能力低下を予測して、早めに故障の修理や部品交換の必要性をカミサリー101の作業者等に気づかせる役割を果たす。
【0064】
具体的には、故障・部品交換予測部420は、図16(a)に示す予冷中の庫内温度カーブに対して基準となる庫内温度T1,T2を予め設定しておき、庫内温度T1から庫内温度T2に至る庫内温度カーブについて庫内温度の時間積分値S1を求める。そして、この積分値S1が初期値に対して一定レベルだけ離れた場合に、予冷能力低下と判断し、保冷庫1の報知ブザー・報知ランプ17を作動させて部品交換を作業者等に促す。
【0065】
〔保冷庫の制御部の物流サイクル各所における動作〕
保冷庫1の制御部10の動作について、以下に詳述する。
<出荷時>
配送に使われる保冷庫1では、物品が積み込まれる前(例えば、当日の朝)に、使用適否報知部16により作動させられた報知ブザー・報知ランプ17が、使用に適している旨を示している。カミサリー101の作業者は、たくさん並んでいる保冷庫1の中から、報知ブザー・報知ランプ17が作動しているものを選択して配送に使うことになる。
【0066】
保冷庫1が内部に物品30を収納した状態で出荷される際の制御部10の動作を、図9に示す。保冷庫1では、制御部10が冷蔵と冷凍のモード選択を行うことが可能となっている。ステップS11では、カミサリー通信ユニット110の無線通信装置111から送信されてくる予冷開始命令および設定温度に応じて、制御部10が、蓄冷剤8を冷却させる必要があるか否かを判別する。制御部10が蓄冷剤8の冷却処理が必要であると判断した場合には、ステップS12に移行する。ステップS12では、制御部10が、圧縮機9の制御を行い、蓄冷剤8の冷却処理(凍結処理)を実行して予冷を行う。
【0067】
ステップS13では、制御部10が、収納する物品30のバーコード情報を読み込む。バーコード情報は、前述したように、物品30の貼り付けられたバーコードシール31を読み取るように構成することも可能であり、バーコードリスト33から各情報を読み取るように構成することも可能である。
バーコード情報は、積込日時、食材の種類、鮮度計により計測した初期K値、カミサリー番号、庫内温度、その他の情報で構成される。ステップS14では、制御部10が、読み取ったバーコード情報を記憶装置15に格納する。
【0068】
ステップS15では、制御部10が、積込が終了したか否かを判別する。保冷庫1に積み込む物品30がまだある場合には、ステップS13に移行し、制御部10によりバーコード情報の読み込みおよび記憶装置15への格納処理が実行される。
<搬送中>
搬送中における保冷庫1の制御部10の動作を、図10に示す。搬送用車輌301に積み込まれて搬送が開始されると、制御部10は、温度センサ18による庫内温度監視を開始する。そして、温度センサ18により検出される庫内温度値は、庫内温度履歴情報として記憶装置15の庫内温度履歴記憶部15bに逐次格納される。前述したように、一定時間毎に検出温度をサンプリングするように構成することも可能であり、また、一定以上の温度変化が生じた際にその時刻と庫内温度値を格納するように構成することも可能である。
【0069】
ステップS22では、制御部10が、温度センサ18により検出された庫内温度値が異常であるか否かを判断する。庫内温度値が所定の閾値温度を超えた場合には庫内温度異常であると判断し、ステップS23に移行する。ステップS23では、制御部10が、車載通信ユニット310に対し庫内温度異常通報を行う。ここでは、制御部10が、無線通信装置14を用いて車載通信ユニット310と近距離無線通信を行い、庫内温度異常が発生した旨の通報を通知する。
【0070】
ステップS24では、制御部10が、ドアが開放状態であるか否かを判別する。ここでは、筐体2の前面に取り付けられているドア3の開閉状態を検出するための開閉センサ19の検出信号に基づいてドア3が開放状態であるか否かを判別し、ドア3が開放状態である場合には、ステップS25に移行する。ステップS25では、制御部10が、車載通信ユニット310に対し開放異常通報を行う。ここでは、制御部10が、無線通信装置14を用いて車載通信ユニット310と近距離無線通信を行い、ドア3が開放状態である旨の通報を通知する。
【0071】
搬送用車輌301が店舗201に到着して無線通信装置14が店舗通信ユニット210との通信を開始するまで、制御部10は、庫内温度値の取得と、庫内温度異常監視およびドアの開閉監視を繰り返す。
<入荷時>
搬送用車輌301が店舗201に到着した際における保冷庫1の制御部10の動作を、図11に示す。ステップS31では、制御部10が、店舗201の店舗通信ユニット210との通信が可能になったか否かを判別する。無線通信装置14と店舗通信ユニット210との間で通信が確立されると、制御部10は、通信が可能になったと判断してステップS32に移行する。
【0072】
ステップS32では、制御部10が、記憶装置15に格納されている情報の読み出しを行う。ここでは、カミサリー101で入力された物品30に関するバーコード情報の読み出しを制御部10が行う。ステップS33では、制御部10が、読み出された情報を店舗通信ユニット210に送信する。
ステップS34では、制御部10が、物品30の配送先および保冷庫1内に収納された物品30の積込ミスがないか否かを判別する。店舗通信ユニット210は、保冷庫1側から送信されるバーコード情報により配送されてきた物品30の確認を行い、誤りがないか否かについての確認結果を送信する。この店舗通信ユニット210から送信されてくる確認結果に基づいて、配送先の誤りや積込ミスなどの誤配送があった場合には、ステップS35に移行し、誤配送がなかったと判断した場合には、ステップS36に移行する。
【0073】
ステップS35では、制御部10が、誤配送である旨の通知を行う。たとえば、無線通信装置14から車載通信ユニット310に対し誤配送である旨の通報を送信し、搬送用車輌301のドライバーなどに誤配送を知らせる。また、制御部10が、店舗通信ユニット210に対して誤配送である旨の通報を送信し、店舗201の店員に誤配送を知らせるように構成することも可能である。さらに、制御部10が表示パネル5に誤配送である旨の表示を行うように構成することも可能である。
【0074】
誤配送でない場合には、保冷庫1は搬送用車輌301から下ろされて、店舗201に納品される。この後においても、納品後の店舗201において制御部10による庫内温度監視が継続される。
ステップS36では、制御部10が庫内温度履歴情報を読み出して店舗通信ユニット210に送信する。ここでは、記憶装置15の庫内温度履歴記憶部15bに格納されている搬送中の庫内温度履歴情報が読み出され、制御部10から店舗通信ユニット210に送信される。
【0075】
ステップS37では、ドアの開閉監視が解除されたか否かが判別される。表示パネル5に設けられたモードスイッチなどが操作されて、開閉監視が解除されたと判断した場合には、ステップS40に移行する。一方、そうでない場合には、ステップS38に移行する。ステップS38では、制御部10が、ドアが開放状態であるか否かを判断する。開閉センサ19の検出信号に基づいてドアが開放状態であると制御部10が判断した場合には、ステップS39に移行する。ステップS39では、開放異常通報が行われる。ここでは、制御部10が、無線通信装置14を介して店舗通信ユニット210にドアオープンである旨の通報を送信する。これと同時に、表示パネル5に開放異常の表示を行ったり、警報音を鳴らしたりすることによって、店員などに警告を行うことも可能である。また、ドアの開閉監視が解除されても一定時間を超えてドアの開放状態が継続した場合には、ドア開放異常を通報するように制御部10を構成することが可能である。
【0076】
ステップS40では、制御部10が、庫内温度異常が発生したか否かを判別する。温度センサ18により検出される庫内温度が所定の閾値温度を超えていると判断した場合には、ステップS41に移行する。ステップS41では、制御部10が、庫内温度異常通報を通知する。たとえば、無線通信装置14を介して店舗通信ユニット210に庫内温度異常が発生した旨の通報を送信する。また、表示パネル5に庫内温度異常の表示を行ったり、警報音を鳴らしたりすることによって、店員などに警告することも可能である。
【0077】
保冷庫1が回収されて店舗201を離れると、店舗通信ユニット210との近距離通信が不可能となり、制御部10は通信を終了する。ステップS42では、通信の確立がしているか否かの判断を行い、店舗通信ユニット210との通信が確立している間は、ステップS36〜ステップS42の処理を制御部10が繰り返す。
【0078】
なお、店舗201においては、保冷庫1が長く駐留する場合に、電源レセプタクル6を介して圧縮機9への電源供給を行うとともに、制御部10のバックアップ電源であるバッテリーへの充電を行う。保冷庫1が店舗201に滞在する時間が短い場合には、店舗201における電源供給が行われないこともある。
<回収時>
カミサリー101に回収された後における保冷庫1の制御部10の動作を、図12に示す。
【0079】
ステップS51では、制御部10が、カミサリー通信ユニット110との通信が可能になったか否かの判断を行う。無線通信装置14によりカミサリー通信ユニット110との通信が確立した場合に、制御部10は、カミサリー通信ユニット110との近距離無線通信が可能となったと判断しステップS52に移行する。
【0080】
ステップS52では、制御部10が、記憶装置15の庫内温度履歴記憶部15bに格納されている庫内温度履歴情報を読み出し、これをカミサリー通信ユニット110に送信する。この庫内温度履歴情報は、主に保冷庫1が店舗201に置かれていた間の庫内温度値に関するものであり、必要に応じてカミサリー101から店舗201への搬送時における庫内温度履歴情報、店舗201からカミサリー101への搬送時における庫内温度履歴情報を同時に送信するように構成することも可能である。
【0081】
ステップS53では、制御部10が、故障が発生しているか否かの判別を行う。制御部10が故障である旨の情報を取得した場合には、ステップS54に移行する。ステップS54では、制御部10が、無線通信装置14からカミサリー通信ユニット110に故障発生の通報を送信する。
〔店舗通信ユニットの動作〕
店舗通信ユニット210の動作を、図13に示す。
【0082】
ステップS61では、店舗通信ユニット210が、保冷庫1の無線通信装置14との通信が可能になったか否かを判断する。保冷庫1の無線通信装置14と通信が確立された場合に、店舗通信ユニット210は、保冷庫1との通信が可能になったと判断してステップS62に移行する。
ステップS62では、店舗通信ユニット210が、保冷庫1の無線通信装置14から送信されてくるデータを受信する。ここで受信するデータは、収納されている物品30のバーコード情報であり、積込日時、食材の種類、初期K値、カミサリー番号、庫内温度などの情報を含んでいる。
【0083】
ステップS63では、店舗通信ユニット210が、誤配送であるか否かを判断する。受信した物品30のバーコード情報のうち、積込日時、食材の種類、カミサリー番号などに基づいて、配送先の誤り、積込ミスなどがないかどうかを確認し、誤配送があると判断した場合にはステップS64に移行し、誤配送がないと判断した場合にはステップS65に移行する。
【0084】
ステップS64では、店舗通信ユニット210が、配送先の誤りや積込ミスがあるなどの誤配送通知を保冷庫1の無線通信装置14に送信する。
ステップS65では、店舗通信ユニット210が、配送が正常に行われた旨の配送確認通知を送信し、保冷庫1から送信されてくる庫内温度履歴情報を受信する。
【0085】
ステップS66では、店舗通信ユニット210が、物品30毎に賞味期限の判定を行う。たとえば、図15に示すように、物品30のバーコード情報中に含まれる初期K値と搬送中の庫内温度履歴情報とに基づいて、現在の鮮度情報(K値)と、K値が一定値(鮮度基準)を超える時期とを推定し、この時期を賞味期限として設定する。
【0086】
ステップS67では、店舗通信ユニット210が、算出された賞味期限に基づいて賞味期限シールの作成を行う。そして、物品30毎にそれぞれ算出された賞味期限情報を賞味期限シール32に出力する。
ステップS68では、店舗通信ユニット210が、保冷庫1から取得した庫内温度履歴情報を情報管理センター401に送信する。
【0087】
ステップS69では、店舗通信ユニット210が、庫内温度異常通報を受信したか否かを判断する。制御部10が保冷庫1の無線通信装置14から庫内温度異常通報を受信した場合には、ステップS70に移行する。ステップS70では、庫内温度異常が発生した旨の表示や警告音の発生を行って店員に知らせる。また、ステップS70では、さらに店舗通信ユニット210が情報管理センター401に庫内温度異常が発生した旨の通報を送信するように構成することが可能である。
【0088】
ステップS71では、店舗通信ユニット210が、開放異常通報を受信したか否かを判断する。保冷庫1の無線通信装置14から制御部10が開放異常通報を受信した場合には、ステップS72に移行する。ステップS72では、店舗通信ユニット210が、ドアオープンである旨の表示や警告音の発生を行って店員に知らせる。また、ステップS72では、さらに店舗通信ユニット210が情報管理センター401に開放異常が発生した旨の通報を送信するように構成することが可能である。
【0089】
ステップS73では、店舗通信ユニット210が、保冷庫1の無線通信装置14との通信が確立しているか否の判断を行い、通信が可能な状態であればステップS69に移行してそれ以降の処理を繰り返す。
〔情報管理センターの基本動作〕
情報管理センター401の管理コンピュータ401aにおける動作で上述した動作以外のものを、図14に示す。
【0090】
情報管理センター401では、ステップS81において庫内温度履歴情報を受信したか否かを判断する。庫内温度履歴情報を受信した場合には、ステップS82に移行する。ステップS82では、受信した庫内温度履歴情報を分析して温度管理情報や鮮度管理情報などを作成する。作成された温度管理情報や鮮度管理情報などは、物流サイクルを管理する物流本部601や店舗201の経営管理を行う店舗管理本部701などに情報管理センター401から提供される。
【0091】
ステップS83では、情報管理センター401が、故障通報を受信したか否かを判断する。保冷庫1に故障が発生した旨の通報を受信した場合には、ステップS84に移行する。ステップS84では、メンテナンスを担当するサービスセンター501に故障が発生した旨の通報を情報管理センター401が行う。この通報は、情報管理センター401の管理コンピュータ401aが自動的にサービスセンター501のホストコンピュータに通報を送信するように構成することも可能であり、またサービスエンジニアの携帯端末などに通報を送信するように構成することも可能である。
【0092】
ステップS85では、管理コンピュータ401aが、庫内温度異常通報を受信したか否かを判断する。庫内温度異常通報を受信した場合には、ステップS86に移行する。ステップS86では、管理コンピュータ401aが、庫内温度異常に対応するための処理を実行する。たとえば、保冷庫1を搬送中の搬送用車輌301に搭載されている車載通信ユニット310から庫内温度異常通報を受信した場合には、管理コンピュータ401aが、当該車載通信ユニット310に警告の通報を送信するか、あるいはその搬送用車輌301のドライバーが携帯している携帯端末に通報を送信する。また、納品先の店舗201に設置されている店舗通信ユニット210からの庫内温度異常通報を受信した場合には、管理コンピュータ401aが、その店舗通信ユニット210に警告の通報を送信するか、あるいはその店舗201に設置されている他の通信装置に通報を送信する。
【0093】
ステップS87では、管理コンピュータ401aが、開閉異常通報を受信したか否かを判断する。開放異常通報を受信した場合には、ステップS88に移行する。ステップS88では、管理コンピュータ401aが、開放異常に対応するための処理を実行する。たとえば、保冷庫1を搬送中の搬送用車輌301に搭載されている車載通信ユニット310から開放異常通報を受信した場合には、当該車載通信ユニット310に警告の通報を送信するか、あるいはその搬送用車輌301のドライバーが携帯している携帯端末に通報を送信する。また、納品先の店舗201に設置されている店舗通信ユニット210からの開放異常通報を受信した場合には、その店舗通信ユニット210に警告の通報を送信するか、あるいはその店舗201に設置されている他の通信装置に通報を送信する。
【0094】
〔上記実施形態に係るシステムの特徴〕
(1)
このシステムでは、保冷庫1の使用についての判断、具体的には、管理コンピュータ401aにおける使用保冷庫決定部413および故障・部品交換予測部420の判断を行う際に、データベース430に格納されている保冷庫1の庫内温度履歴情報を分析している。
【0095】
そして、使用保冷庫決定部413では、原則として残っている保冷能力の高い蓄冷剤8を持つ保冷庫1を優先的に使用すべきと判断するとともに、偏りなく保冷庫1を使用する考え方や、保冷庫1の部品(例えば、蓄冷剤8や圧縮機9)の消耗度合いが許容レベルを超える時期を分散させる考え方を取り入れて、優先的に使用する保冷庫1を特定している。これにより、まず、省エネルギー化が実現されている。また、保冷庫1の使用頻度の偏りが少なくなり、消耗度合いの激しいものに合わせて部品点検を行う場合における消耗度合いの少ない保冷庫1への無駄な点検作業や、消耗度合いの少ないものに合わせて部品点検を行う場合における消耗度合いの激しい保冷庫1の予期せぬ部品故障などを抑制することができるようになっている。さらに、部品交換や部品修理の作業を平準化することができている。
【0096】
一方、故障・部品交換予測部420では、保冷庫1の庫内温度履歴情報を分析して保冷庫1の故障の修理や部品交換の必要性を予測し、保冷庫1の報知ブザー・報知ランプ17を作動させることで、完全に保冷庫1が故障する前にカミサリー101の作業者等に改善を促している。これにより、配送中に保冷庫1が急に故障するといった不具合が殆ど起こらなくなっている。
【0097】
このように、ここでは、保冷庫1の庫内温度履歴情報をデータベース430に蓄積するとともに分析し、その結果を有効利用している。
なお、このシステムでは、保冷庫1の使用の管理が、主としてカミサリー通信ユニット110を介して情報管理センター401の管理コンピュータ401aによって為されている。そして、各保冷庫1が自己識別記号を有しているため、管理コンピュータ401aは、各保冷庫1を容易に特定することができている。
【0098】
(2)
また、ここでは、保冷庫1の消耗品であるバッテリーの充電回数が、保冷庫1の記憶装置15の充電回数記憶部15aに記憶されている。そして、充電回数に基づきバッテリー交換が必要な状態になったときに、報知ブザー・報知ランプ17を作動させてカミサリー101の作業者等にバッテリー交換を促している。
【0099】
このように、ここでは、保冷庫1において充電回数を記憶させておくという簡易な構成によって、バッテリー交換の必要性の有無を保冷庫1自身で判断できるようにしている。
(3)
このシステムでは、管理コンピュータ401aに予冷時刻演算部414および予冷時刻送信部415を設け、データベース430にある詳細な保冷庫1の庫内温度履歴情報を分析することによって、物流サイクルにおける保冷庫1の使用に際して保冷庫1の保冷機能を発揮させるために必要な予冷時間および予冷開始時刻を演算している。これにより、前回の蓄冷による保冷能力の残存分を考慮した必要最小限の予冷時間が求められるとともに、配送計画による保冷庫1の使用開始時刻から考えて無駄な予冷が殆どなくなるように予冷開始時刻が決定されている。また、予冷時刻送信部415が、カミサリー通信ユニット110を介して間接的に予冷開始時刻に保冷庫1へと予冷開始命令を自動的に送るため、従来のように人手を介して配送日の前の晩などに予冷を開始させていた状態に較べ、無駄に予冷を行ってエネルギーを浪費する不具合が減少している。
【0100】
このように、ここでは、庫内温度履歴情報を分析して保冷庫1の使用に必要な適切な予冷時間が決められ、それに応じた予冷開始時刻に保冷庫1において予冷が開始されるため、保冷庫1が消費するエネルギー量が小さく抑えられるようになっている。
〔他の実施形態〕
(A)
上記実施形態では、保冷庫1のバッテリー交換判断部13にバッテリー交換の要否を判断させているが、バッテリー交換の判断およびバッテリー交換の通知を情報管理センター401で行うことも可能である。例えば、前述のステップS103において取得した電圧を制御部10が情報管理センター401に所定時間毎に送信する。そして、送信された電圧について、制御部10が、前述のステップS104〜S106を実行する。ステップS107では、情報管理センター401の管理コンピュータ401aから搬送用車輌301のドライバーの有する携帯端末に電子メールを送信したり、サービスエンジニアにファックスを送信したりするなどして、バッテリーの交換が必要な旨を通知する。
【0101】
(B)
また、上記実施形態とは異なる方法でバッテリー交換の判定を行うことも可能である。例えば、前述のステップS103において、制御部10が、電圧を所定時間毎に取得し、取得した電圧と電圧を取得した時間とを対応づけて記憶装置15に格納しておく。この格納された情報(以下、電圧履歴情報)を、例えば保冷庫1がカミサリー101に回収される時に庫内温度履歴情報などとともに制御部10がカミサリー通信ユニット110に送信し、カミサリー通信ユニット110から電圧履歴情報を情報管理センター401に転送させる。情報管理センター401では、受信した電圧履歴情報を分析し、バッテリー交換の必要性の有無を判断する。例えば、電圧履歴情報から時間―電圧曲線を作成し、この曲線の極大点の積算個数が所定数、たとえば1000を超えた場合や、電圧の降下率が所定値を超えたときにバッテリーの交換が必要と判断する。こうすれば、上記の実施形態よりもさらにきめ細やかなバッテリー交換の有無の判断が可能となる。
【0102】
(C)
上記実施形態では、保冷庫1においてバッテリーの交換の判定及び通知を行っている。しかし、交換の判定及び通知はバッテリーに限らず、その他の消耗部品についても行うことができる。例えば、消耗部品が圧縮機9の場合、圧縮機9の運転時間の積算値を記憶装置15に蓄積しておく、あるいは、蓄積した積算値を運転時間履歴情報として情報管理センター401に送信しておく。そして、この積算値が所定値を超えた場合に圧縮機9の交換が必要な旨を上記と同様にして制御部10が通知する。こうすれば、バッテリー以外の消耗部品についても、交換の判定及び通知が可能である。
【0103】
(D)
上記実施形態では、予冷開始時刻に保冷庫1に対して予冷開始命令が自動的に出され、その命令を受けた保冷庫1が直ちに予冷を開始するシステムとなっているが、これに代えて、予冷開始時刻を含む予冷開始命令を前もって保冷庫1に送っておき、その命令を受けた保冷庫1が内蔵の時計で予冷開始時刻を確認して予冷を開始するようなシステムとすることもできる。この場合には、予冷開始命令を受けてから保冷庫1が実際に予冷を開始するまでに間があるため、その期間に失われる保冷能力を考慮して予冷時刻演算部414が予冷開始時刻を決定することが望ましい。すなわち、カミサリー通信ユニット110を介して保冷庫1に予冷開始命令を送る時刻から予冷開始時刻までの間に低下する保冷庫1の保冷能力を加味し、それを加味しない場合よりも予冷開始時刻を早めることが好ましい。
【0104】
(E)
上記実施形態では、管理コンピュータ401aの予冷時刻演算部414は、データベース430に蓄積された保冷庫1の庫内温度履歴情報に基づいて、保冷庫1の使用に必要な予冷時間および予冷開始時刻を演算している。しかし、保冷庫1がカミサリー101に戻ってから次に使用されるまでの時間が比較的長くなる場合には、保冷庫1内の保冷能力が予想以上に低下することも考えられる。このようなケースが想定される保冷庫1の使い方をするときには、予冷時刻送信部415が保冷庫1に予冷開始命令を送る直前まで細かく保冷庫1の庫内温度を取得し続ける構成とすることで、予冷時刻演算部414が予測値ではなく実測値によって保冷庫1の保冷能力の低下を把握できるようになり、より正確に予冷開始時刻が定まるようになる。
【0105】
【発明の効果】
請求項1に係る管理システムでは、事前準備管理部を新たに設け、複数の配送装置に対して送信部から事前準備開始命令を送信させ、事前準備開始時刻に事前準備が開始されるようにしている。このため、各配送装置では、無駄なエネルギー投入が抑えられる事前準備を行うことができる。これにより、人がそれぞれの感覚で配送日の帰宅前などに余裕を持って事前準備を早めに行わせることによる弊害で省エネルギーが達成できていない現状が、大幅に解消されることが期待できる。
【0106】
請求項2に係る管理システムでは、物品を保冷する保冷能力を持つ配送装置に対して、事前準備開始時刻に、事前準備の開始命令とともに設定温度が送信されるため、配送装置では、保冷能力が充填され設定温度になるように、適切なタイミングで事前準備を行うことができるようになる。
請求項3に係る管理システムでは、配送装置に関する温度履歴情報をも考慮に入れて事前準備開始時刻の演算が行われており、より省エネルギーを図ることが可能となる。
【0107】
請求項4に係る管理システムでは、使用開始時刻と配送装置内の温度履歴情報とに基づいて、事前準備開始時刻が演算されているため、配送装置の事前準備に要するエネルギーを抑えることができる。
請求項5に係る管理システムでは、前もって事前準備開始時刻を含む事前準備開始命令を送信部から配送装置へと送信させているが、その送信時刻から事前準備開始時刻までの間に失われる保冷能力を考慮して事前準備開始時刻が演算されているため、事前準備において保冷能力の充填が不十分となってしまう不具合が抑えられる。
【0108】
請求項6に係る管理システムでは、事前準備開始時刻の直前に事前準備開始命令を送信部から配送装置へと送信させることとし、事前準備開始時刻の直前までの配送装置に関する温度履歴情報を事前準備開始時刻の演算において考慮することにしているため、事前準備の時間を必要最小限に抑えることができるようになる。
【0109】
請求項7に係る管理システムでは、例えば、配送装置の状態を考慮して特定を行うことが考えられる。そして、特定された配送装置にだけ事前準備の開始命令が送信されるため、配送に用いない配送装置に事前準備が施されるといった無駄がなくなる。
請求項8に係る管理方法では、物品の配送計画に基づき求められる配送装置の使用開始時刻から、配送装置の事前準備開始時刻が求められ、その事前準備開始時刻に事前準備が開始されるよう、事前準備開始命令が配送装置へと出される。このため、各配送装置では、無駄なエネルギー投入が抑えられる事前準備を行うことができるようになる。これにより、これにより、人がそれぞれの感覚で配送日の帰宅前などに余裕を持って事前準備を早めに行わせることによる弊害で省エネルギーが達成できていない現状が、大幅に解消されることが期待できる。
【0110】
請求項9に係る管理方法では、使用開始時刻に加え、配送装置内の温度履歴情報に基づいて、事前準備開始時刻を演算する手法を採っている。これにより、配送装置の事前準備に要するエネルギーを抑えることが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】保冷庫の外観を示す斜視図。
【図2】保冷庫の内部構造を示す説明図。
【図3】表示パネルの拡大図。
【図4】システムの概略制御ブロック図。
【図5】システムの概略構成を示す説明図。
【図6】出荷時の説明図。
【図7】搬送時及び入荷時の説明図。
【図8】回収時の説明図。
【図9】出荷時の制御フローチャート。
【図10】搬送中の制御フローチャート。
【図11】入荷時の制御フローチャート。
【図12】回収時の制御フローチャート。
【図13】店舗通信ユニットの制御フローチャート。
【図14】情報管理センターの制御フローチャート。
【図15】K値を用いた鮮度情報管理および賞味期限判定の説明図。
【図16】庫内温度カーブから庫内温度の時間積分値を求め保冷能力を探ることを示す図。
【図17】保冷庫の制御フローチャート。
【符号の説明】
1 保冷庫(配送装置)
8 蓄冷剤
9 圧縮機(冷却装置)
111 無線送信装置(送信部)
112 使用順序・予冷スケジュールテーブル(事前準備管理部)
413 使用保冷庫決定部(配送装置特定部)
414 予冷時刻演算部(事前準備開始時刻演算部)
415 予冷時刻送信部(事前準備管理部)

Claims (9)

  1. 物流サイクルにおいて事前準備後に物品の配送に使用される複数の配送装置(1)を管理する管理システムであって、
    前記複数の配送装置に送信を行う送信部(111)と、
    前記配送装置の使用開始時刻から求まる事前準備開始時刻に事前準備が開始されるよう、前記送信部から前記配送装置へと事前準備開始命令を送信させる事前準備管理部(415,112)と、
    を備えた管理システム。
  2. 前記配送装置(1)は、物品の配送において物品を保冷する装置であり、前記事前準備において保冷能力の充填が為され、
    前記事前準備管理部(415,112)は、前記送信部から前記配送装置へと、前記事前準備の開始命令とともに設定温度を送信させる、
    請求項1に記載の管理システム。
  3. 前記物流サイクルにおける物品の配送計画から求まる前記配送装置の使用開始時刻と、その配送装置に関する温度履歴情報とに基づき、前記事前準備開始時刻を演算する事前準備開始時刻演算部(414)
    をさらに備えた、請求項2に記載の管理システム。
  4. 前記配送装置(1)は、蓄冷剤(8)と、前記事前準備において前記蓄冷剤を冷却する冷却装置(9)とを有しており、
    前記事前準備開始時刻演算部(414)は、前記使用開始時刻と、前記配送装置内の温度履歴情報とに基づき、前記事前準備開始時刻を演算する、
    請求項3に記載の管理システム。
  5. 前記事前準備管理部(415,112)は、前記事前準備開始時刻を含む事前準備開始命令を、前記事前準備開始時刻よりも前に、前記送信部から前記配送装置へと送信させ、
    前記事前準備開始時刻演算部(414)は、前記送信部から前記配送装置への前記事前準備開始命令の送信時刻から前記事前準備開始時刻までの間に失われる保冷能力を考慮して、前記事前準備開始時刻を演算する、
    請求項3又は4に記載の管理システム。
  6. 前記事前準備管理部(415,112)は、前記事前準備開始時刻の直前に、前記事前準備開始命令を、前記送信部から前記配送装置へと送信させ、
    前記事前準備開始時刻演算部(414)は、前記事前準備開始時刻の直前までの前記配送装置に関する温度履歴情報に基づき、前記事前準備開始時刻を演算する、
    請求項3又は4に記載の管理システム。
  7. 前記物流サイクルにおける物品の配送計画から1又は複数の前記配送装置を特定する配送装置特定部(413)
    をさらに備え、
    前記事前準備管理部は、前記配送装置特定部で特定された前記配送装置に対して、前記送信部から前記事前準備の開始命令を送信させる、
    請求項1から6のいずれかに記載の管理システム。
  8. 物流サイクルにおいて事前準備後に物品の配送に使用される複数の配送装置を管理する管理方法であって、
    前記物流サイクルにおける物品の配送計画に基づき前記配送装置の使用開始時刻を求める第1ステップと、
    前記配送装置の使用開始時刻から事前準備開始時刻を求める第2ステップと、
    前記事前準備開始時刻に事前準備が開始されるよう、前記配送装置へと事前準備開始命令を出す第3ステップと、
    を備えた管理方法。
  9. 前記配送装置は、蓄冷剤と、前記事前準備において前記蓄冷剤を冷却する冷却装置とを有しており、
    前記第1ステップでは、さらに前記配送装置内の温度履歴情報に基づき前記配送装置の使用開始時刻を求める、
    請求項8に記載の管理方法。
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