JP2004250664A - フラーレン類を含有する組成物 - Google Patents
フラーレン類を含有する組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004250664A JP2004250664A JP2003305014A JP2003305014A JP2004250664A JP 2004250664 A JP2004250664 A JP 2004250664A JP 2003305014 A JP2003305014 A JP 2003305014A JP 2003305014 A JP2003305014 A JP 2003305014A JP 2004250664 A JP2004250664 A JP 2004250664A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- group
- compound
- fullerene
- butyl
- fullerenes
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B82—NANOTECHNOLOGY
- B82Y—SPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
- B82Y30/00—Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Nanotechnology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Composite Materials (AREA)
- Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
- General Physics & Mathematics (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
- Lubricants (AREA)
Abstract
【解決手段】ケトン系化合物、エステル系化合物、カルボン酸系化合物、及びカーボネート系化合物よりなる群から選ばれた化合物αと、フラーレン類とを含有する組成物で、化合物αが下記一般式(1)で表され、化合物αに対するフラーレン類の含有量が0.01mg/mL以上であることを特徴とする組成物。A1−X−A2(1)(式中、A1は、複素環基、芳香族炭化水素基、及び脂鎖式炭化水素基のいずれかを表し、Xは、−(CO)−、−(CO)−O−(CH2)p1−、(但し、p1は0から4の整数)、−(CH2)p2−O−(CO)−(但し、p2は0から4の整数)、及び−O−(CO)−O−のいずれかを表し、A2は、(a)A1が複素環基又は芳香族炭化水素基である場合、脂鎖式炭化水素基を表し、(b)A1が脂鎖式炭化水素基である場合、脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表す。
【選択図】なし
Description
上記用途としては、フラーレン類を塗料や潤滑剤等に用いる場合が考えられる。塗料や潤滑剤にフラーレン類を含有させるためには、フラーレン類を溶媒に十分溶解させる必要がある。
R.S.Ruoff他、J.Phys.Chem.,97, 3379−3383(1993) W.A.Scrivens他、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1207−1209(1993)
本発明者は、フラーレン類が有する高い電子吸引性等の独特な性質に着目し、フラーレン類を添加した塗料、高分子の可塑剤、及び潤滑剤の開発を行ってきた。フラーレン類は、ラジカルトラップ特性や高い紫外線吸収特性を有するため、塗膜中や高分子フィルム中にフラーレン類を含有させれば、塗料や高分子フィルムの耐久性、耐候性の改良が期待される。また、フラーレン類のラジカルトラップ機能は、機械的に切断された分子の副反応を阻害するため、フラーレン類を潤滑剤に用いれば、たとえ潤滑剤に含有される材料が上記のように機械的に切断された場合も、これら材料同士の反応が阻害されることによって潤滑剤の粘度安定性が高くなることが期待される。更に、フラーレン類の分子が球状であることは、滑り特性の改善につながると想定されるため、フラーレン類を潤滑剤に用いれば摩擦抵抗の低減も期待される。
すなわち、本発明の要旨は、ケトン系化合物、エステル系化合物、カルボン酸系化合物、及びカーボネート系化合物よりなる群から選ばれた化合物αと、フラーレン類とを含有する組成物であって、化合物αが下記一般式(1)で表されるものであり、化合物αに対するフラーレン類の含有量が0.01mg/mL以上であることを特徴とする組成物、に存する。
(式中、A1は、複素環基、芳香族炭化水素基、及び脂鎖式炭化水素基のいずれかを表し、これらの基には置換基が存在していてもよく、Xは、−(CO)−、−(CO)−O−(CH2)p1−、(但し、p1は0から4の整数である。)、−(CH2)p2−O−(CO)−(但し、p2は0から4の整数である。)、及び−O−(CO)−O−のいずれかを表し、
A2は、
(a)A1が複素環基又は芳香族炭化水素基である場合は、脂鎖式炭化水素基を表し、
(b)A1が脂鎖式炭化水素基である場合には、脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表す(但し、A1及びA2の合計炭素数は3以上である。なお、A1及びA2が連結してアルキレン基を形成してもよい。)。)
[A]フラーレン類
本発明に係る組成物を構成するフラーレン類としては、フラーレン、フラーレン誘導体、フラーレン及びフラーレン誘導体の混合物を挙げることができる。
フラーレンは炭素からなる球殻状の分子であり、種々のものが知られている。本発明では、その目的を満たす限り限定されないが、例えば、C60、C70、C76、C78、C80、C82、C84、C86、C88、C90、C92、C94、C96、C98、C100等又はこれら化合物の2量体、3量体等を用いることができる。これらフラーレンの中でも好ましいのは、C60、C70、又はこれらの2量体、3量体である。C60、C70は構造がシンプルであり、一般的に用いられるアーク放電法や燃焼法における生成率が高いため、工業的に必要な量を確保し易い。特にC60は構造が対称であるという利点もある。これらフラーレンは複数を併用してもよいが、複数を併用する場合、好ましいのはC60及びC70を用いることである。
フラーレン誘導体としては、例えば、水素化フラーレン、酸化フラーレン、水酸化フラーレン、ハロゲン(F、Cl、Br、I)化フラーレン、フレロイド、メタノフラーレン等を用いることができる。これらフラーレン誘導体のうち、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、及び酸化フラーレンを用いることが好ましい。これは、水素化フラーレン、水酸化フラーレン、及び酸化フラーレンは、フラーレンと比較して極性が大きくて化合物αとの相溶性が高いのみならず、フラーレンからの基本的な反応により得られるものであり、広く工業的に用いられることが期待されるからである。なお、これらフラーレン誘導体も、複数種類を併用しても構わない。
また、フラーレン誘導体は、フラーレンに対して従来公知の方法を適用して合成することができる。例えば、求核剤との反応(求核付加反応)、環化付加反応、光付加(環化)反応、酸化反応、還元反応、ラジカル反応等を利用して、所望のフラーレン誘導体を得ることができる。
本発明において好ましく用いられるフラーレン類の一つは水酸化フラーレン組成物である。
本発明で用いるのが好ましい水酸化フラーレンの構造は、フラーレン骨格に直接水酸基が結合した構造のものである。この場合は、フラーレンに対し立体構造の小さい水酸基(−OHの置換基全体で式量が17となる。)が直接結合することになる。このため、フラーレン誘導体の全体の構造におけるフラーレンの骨格部分の割合を高くすることができるようになり、塗膜、粉体中におけるフラーレンの骨格部分の実効密度が高くなり、フラーレンに期待される機能と同等の機能が発揮されやすくなる。
水酸化フラーレンを製造するための具体的な方法としては、例えば、「L.Y.Chiang他、J.Chem.Soc.,Chem.Commun., 1791−1793(1992)」や、「J.Li他、J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,1784−1785(1993)」、「N.S.Schneider他、J.Chem.Soc.,Chem. Commun.,463−464(1994)」に記載された方法を挙げることができる。また、特開2002−193861号公報に記載された方法で製造してもよい。
本発明においては、化合物αとして下記一般式(1)に示すケトン系化合物、エステル系化合物、カルボン酸系化合物、及びカーボネート系化合物用いる。
(式中、A1は、複素環基、芳香族炭化水素基、及び脂鎖式炭化水素基のいずれかを表し、これらの基には置換基が存在していてもよく、Xは、−(CO)−、−(CO)−O−(CH2)p1−、(但し、p1は0から4の整数である。)、−(CH2)p2−O−(CO)−(但し、p2は0から4の整数である。)、及び−O−(CO)−O−のいずれかを表し、
A2は、
(a)A1が複素環基又は芳香族炭化水素基である場合は、脂鎖式炭化水素基を表し、
(b)A1が脂鎖式炭化水素基である場合には、脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表す(但し、A1及びA2の合計炭素数は3以上である。なお、A1及びA2が連結してアルキレン基を形成してもよい。))
次に化合物αを用いる意義について説明する。フラーレンは共役結合を有する炭素の6員環や5員環を分子内に有し、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びトリメチルベンゼン等の無極性の芳香族炭化水素化合物には溶解性を示す。これら化合物のうち、分子量の大きなテトラメチルベンゼンやナフタレン誘導体の一部に対しては特に溶解度が高くなることがあるが、分子量が大きいテトラメチルベンゼンやナフタレン誘導体は、融点が高くなり常温でも固体となるものが多いため、溶媒として有効に利用できないことがある。
一方で、フラーレンは、主として低級アルキル基と極性基との組み合わせからなるケトン、エステル、エーテル、アルコールなど工業的に広く利用されている溶媒に対しては、溶解度が0.001mg/mL程度と極めて低い。その理由は、フラーレンは極性が小さく、これらの溶媒に対する親和性が低いためと思われる。
更に、化合物αはケトン系化合物、エステル系化合物、カルボン酸系化合物、及びカーボネート系化合物のいずれかであるので、化合物αを、工業的に広く利用されるケトン、エステル、エーテル、アルコールなどの極性の大きい溶媒と良好に親和させることができる。その結果、化合物αを介して、フラーレン類を工業的に広く利用されている極性の大きい溶媒中に多量に含有させることができるようになる。
以下、前記一般式(1)中のA1、A2及びXについて説明する。
一般式(1)中のA1は、複素環基、芳香族炭化水素基、及び脂鎖式炭化水素基のいずれかを表す。これらの基には更に置換基が存在していてもよい。
A1が複素環基又は芳香族炭化水素基である場合は、芳香族環又は複素環を構成する炭素又はヘテロ原子は、連結基Xと直接結合する。つまり、A1で表される複素環基又は芳香族炭化水素基は、メチレン基等の置換基を介して連結基Xに結合することはない。
脂鎖式炭化水素基を置換基として用いる場合、脂鎖式炭化水素基を構成する炭素数は、通常1以上10以下、好ましくは1以上4以下とする。炭素数をこの範囲とすれば、化合物αの融点を良好に制御できるようになる。
アルコキシ基を置換基として用いる場合、アルコキシ基を構成する炭素数は、通常1以上5以下、好ましくは1又は2とする。炭素数をこの範囲とすれば、化合物αの融点を良好に制御できるようになる。
アルコキシカルボニル基を置換基として用いる場合、アルコキシカルボニル基を構成する炭素数は、通常2以上とし、一方、通常10以下、好ましくは5以下とする。炭素数をこの範囲とすれば、化合物αの融点を良好に制御できるようになる。
炭素数が2以上5以下のアシルオキシ基としては、例えば、アセトキシル基(−O(CO)CH3)、プロピオニルオキシ基(−O(CO)C2H5)、ブチリルオキシ基(−O(CO)C3H7)、イソブチリルオキシ基(−O(CO)CH(CH3)2)、バレリルオキシ基(−O(CO)−(CH2)3−CH3)、イソバレリルオキシ基(−O(CO)CH2−CH(CH3)2)等を挙げることができる。これらアシルオキシ基のうち、化合物αの融点を制御する観点から、炭素数2以上4以下のアシルオキシ基を用いるのが好ましい。このようなアシルオキシ基としては、例えば、アセトキシル基(−O(CO)CH3)、プロピオニルオキシ基(−O(CO)C2H5)、ブチリルオキシ基(−O(CO)C3H7)、イソブチリルオキシ基(−O(CO)CH(CH3)2)を挙げることができる。
その他極性基としては、水酸基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、アルデヒド基等の極性基を挙げることができる。これら極性基は、いずれも化合物αの極性を制御できる利点があるが、これら極性基のうちでもカルボキシル基を用いるのが好ましい。
複素環基とは、環を構成する元素が炭素原子だけではなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を環内に含む基をいう。本発明においては、これらヘテロ原子のうち、フラーレンとの親和性の観点から、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を用いることが好ましい。特に好ましいのは、窒素原子を含む複素環基を用いることである。窒素原子を含む複素環基は、窒素原子が有する非共有電子対がフラーレン類と相互作用を起こし、フラーレン類と化合物αとの親和性がより良好になる。更に、複素環は、環に2種以上のヘテロ原子を含んでもよい。工業的に得やすい点から2種以上のヘテロ原子の組み合わせで好ましいのは、硫黄原子と窒素原子である。
複素環基の複素環の大きさは、3員環から大環状に至る各種のものであってもよいが、化合物αの融点や粘度、及び工業的な得易さを考慮すると、3員環から6員環のものが好ましく、5員環又は6員環が特に好ましい。もちろん、これら複素環は、ベンゼン環又は他の複素環と縮合していてもよい。
酸素原子を含む複素環としては、例えば、オキシラン環、ジオキサン環、2,4−ジオキソテトラヒドロフラン環、フラン環、ピラン環、ラクトン環を挙げることができるが、化合物αの融点や粘度を制御する点からは、フラン環が好ましい。
窒素原子を含む複素環としては、例えば、ピロール環、ピロリジン環、ピリジン環、ピペリジン環、イミダゾール環、ピリミジン環、トリアジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、ラクタム環を挙げることができるが、化合物αの融点や粘度を制御する点からは、ピロール環、ピリジン環、イミダゾール環、ピリミジン環、及びトリアジン環のいずれかの複素環が好ましい。
フラーレン類との親和性の観点から、複素環基は、窒素原子をヘテロ原子として含むものであることが特に好ましい。このような窒素原子を含む複素環基としては、複素環中に窒素原子を3以下含む複素環基を挙げることができる。
複素環中に窒素原子を2原子含む複素環基としては、例えば、1−イミダゾリル基、2−イミダゾリル基、4−イミダゾリル基、2−ピリミジル基、4−ピリミジル基、5−ピリミジル基を挙げることができる。
これら窒素原子を含む複素環基のうち、フラーレンとの親和性を高くできる観点から、複素環中に窒素原子を1原子含む複素環基より好ましい。そして、複素環中に窒素原子を1原子含む複素環基のなかでも、2−ピリジル基、3−ピリジル基、及び4−ピリジル基が特に好ましい。
炭素数が6以上16以下の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、2−ピレニル基、4−ピレニル基、1−フルオレニル基、2−フルオレニル基、3−フルオレニル基、4−フルオレニル基、9−フルオレニル基、1−インデニル基、2−インデニル基、3−インデニル基、4−インデニル基、5−インデニル基、6−インデニル基、7−インデニル基等を挙げることができる。
これら芳香族炭化水素基の中でも最も好ましいのは、化合物αの粘度や融点を低く抑える傾向が顕著となる点で、芳香族炭化水素基として最も分子量が小さいフェニル基である。
このような脂鎖式炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ミリスチル基、ステアリル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基、オレイル基等を挙げることができる。
連結基Xが−(CO)−O−(CH2)p1−である場合には、p1は0から4の整数である。化合物αを溶媒として用いる場合に融点を低く抑える観点から、p1は0から2の整数であることが好ましく、0であることが特に好ましい。
上記連結基Xのうち、特に好ましいのは、−(CO)−、−O−(CO)−、−(CO)−O−、又は−O−(CO)−O−である。これらを連結基Xとすることにより化合物αを、構造がシンプルで分子量も小さく、かつ一定の極性を有するものとすることができる。また、粘度や融点の増加など溶媒として使用する場合に不利になる因子が少なくなるという利点もある。
(a);A1が複素環基又は芳香族炭化水素基である場合は、A2は脂鎖式炭化水素基を表す。
(b);A1が脂鎖式炭化水素基である場合には、A2は脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表す。但し、A1及びA2の合計炭素数は3以上である。なお、A1及びA2が連結してアルキレン基を形成してもよい。
このような脂鎖式炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ミリスチル基、ステアリル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、エチニル基、オレイル基等を挙げることができる。
(b)のA1が脂鎖式炭化水素基である場合について説明すると、A2は脂鎖式炭化水素基又は水素原子であり、かつ、A1及びA2の合計炭素数は3個以上である。これは、合計炭素数が2個以下であると、化合物αの極性が大きくなり過ぎてフラーレン類に対する親和性が低下するからである。
なお、(b)においては、A1及びA2は連結してアルキレン基を形成してもよい。化合物αの構造を小さくて融点を制御する観点から、A1とA2とから構成されるアルキレン基の炭素数は、通常2以上、好ましくは3以上、より好ましくは4以上、一方、通常30以下、好ましくは20以下、より好ましくは10以下、特に好ましくは6以下、最も好ましくは5以下とする。工業的に合成しやすいという観点からは、A1とA2との合計炭素数が3以上、5以下とすることが特に好ましい。
アルキレン基としては、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、及びペンタメチレン基が挙げられる。
化合物αの具体例としては、例えば、鎖状エステル類、安息香酸エステル類、フタル酸エステル類、フェノールエステル類、環状エステル類等のエステル系化合物;鎖状ケトン類、芳香族系ケトン類等のケトン系化合物;鎖状カルボン酸等のカルボン酸系化合物;鎖状カーボネート類、環状カーボネート類等のカーボネート系化合物を挙げることができる。
・A1が複素環基、芳香族炭化水素基、又は脂鎖式炭化水素基であり、
・2価の連結基Xが「−O−(CO)−」又は「−(CO)−O−」
・A1が複素環基、芳香族炭化水素基の場合には、A2は脂鎖式炭化水素基
・A1が脂鎖式炭化水素基の場合には、A2は脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表し、A1及びA2の合計炭素数が3以上であり、A1及びA2が連結してアルキレン基を形成してもよい。
となるケースである。
これら鎖状エステル類のうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、酢酸エチル、酢酸プロビル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、カプリル酸ブチル、ブチルステアレート、トリデシルステアレート、オレイルステアレート、及びブトキシエチルステアレートのいずれかである。
これら安息香酸エステル類のうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、メチルベンゾエートである。
これらフタル酸エステル類のうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、ジメチルフタレート、ジエチルフタレートである。
これらフェノールエステル類のうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、酢酸フェニルである。
エステル系化合物のうち、環状エステル類としては、α−ラクトン、β−ラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−ラクトン、ε−ラクトン(カプロラクトン)等を挙げることができる。これらの中でも好ましいのは、γ−ブチロラクトンである。
なお、上記エステル系化合物はその異性体も含むものとする。
・ A1が複素環基、芳香族炭化水素基又は脂鎖式炭化水素基
・2価の連結基Xが「−(CO)−」
・A1が複素環基、芳香族炭化水素基の場合には、A2は脂鎖式炭化水素基
・A1が脂鎖式炭化水素基の場合には、A2は脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表し、A1及びA2の合計炭素数が3以上であり、A1及びA2が連結してアルキレン基を形成してもよい。
となるケースである。
これら鎖状ケトンのうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンである。
ケトン系化合物のうち、芳香族系ケトン類としては、アセトフェノン、バレロフェノン、フェニルプロピルケトン、フェニルブチルケトン等を挙げることができる。
これら芳香族ケトン類のうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、アセトフェノン、バレロフェノン、フェニルプロピルケトンである。
なお、上記ケトン系化合物はその異性体も含むものとする。
・A1が脂鎖式炭化水素基であり、
・2価の連結基Xが「−(CO)−O−」
・A2が水素原子を表し、A1の合計炭素数が3以上
となるケースである。
これらカルボン酸系化合物のうち、融点や極性等の観点から好ましいのは、オレイン酸である。
・A1が脂鎖式炭化水素基であり、
・2価の連結基Xが「−O−(CO)−O−」
・A2は脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表し、A1及びA2の合計炭素数が3以上であり、A1及びA2が連結してアルキレン基を形成してもよい。
となるケースである。
化合物αは、常温・常湿(25℃・50%RH)において、液体又は固体(ワックス状)のいずれでもよいが、液体であることが好ましい。
また、化合物αを溶媒として使用する場合、化合物αの融点は通常40℃以下である。融点が30℃以下、特に20℃以下が好ましい。
更に、化合物αは、極性溶媒との相溶、極性基板への塗布、高分子への混合の観点から誘電率が通常3以上50以下であり、5以上が好ましい。
本発明に係る組成物におけるフラーレン類の含有量は、その目的に応じて希薄な溶液から濃厚な溶液、更には飽和溶液まで、広範にすることが可能である。例えば、フラーレン類と化合物αを他の溶媒と併用する場合や、フラーレン類と化合物αを高分子等に混合する場合等、用いる用途に応じて、特性、工程上に支障ない範囲で、フラーレン類の含有量を適宜調整すればよい。
本発明で用いる化合物αは、フラーレンを溶解させる溶媒として従来から知られている無極性のトルエン等の芳香族炭化水素溶媒とは異なり、複素環基、芳香族炭化水素基、又は脂鎖式炭化水素基と、脂鎖式炭化水素基又は水素原子とを連結基Xで結合した構造を有しており、かつこれらの部分構造の組み合わせを適宜選択することによりフラーレン類に対し高い親和性を有するものとすることができる。そして、上記の部分構造の組み合わせを適宜選択することにより、化合物αの融点の増加を抑制し、更に適度な極性を付与することができるので、化合物αと工業的に広く利用されている極性の大きい溶媒(例えばケトン類、アルコール類等)との親和性も高めることができる。
本発明に係るフラーレン類を含有する組成物に期待される用途の一つとして、潤滑剤が挙げられる。潤滑剤は加工機、ロボット、モーター、原動機等の産業機械類や自動車、船舶等の運搬機など可動部を有する用途において摩擦の低減、焼き付きの防止、寿命の延長などの目的のために幅広く用いられる重要な物質である。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(実施例1〜15、比較例1〜11)
下記表−1中に記載の化合物I(25℃/50%RHにおいて液体)を用いて、化合物Iに対するフラーレン(東京化成工業(株)製のC60)の常温(25±10℃)/常湿(50±20%RH)での溶解度を測定した。
このようにして得られた溶解度及び比誘電率の結果を表−1に示す。
一方、比較例2、10の結果より明らかなように、アルコール、エーテル等の塗料等に幅広く用いられる常用性の高い溶媒は、比誘電率がアセトンでは20.4、エタノールでは24.4である。したがって、極性の小さい芳香族炭化水素中にフラーレンを溶解させた溶液は、これら常用溶媒との親和性は極めて低いといえる。更に、これらの常用の極性溶媒に対するフラーレンの溶解度は0.001mg/mL程度以下である。これは、フラーレンの極性が小さいので常用の極性溶媒との親和性が低いためと思われる。
下記表−2中に記載の化合物II(25℃/50%RHにおいて液体)を用いて、化合物IIに対するフラーレン(東京化成工業社製のC60)の溶解度を測定した。
フラーレンの溶解度は、0.1mgのフラーレンと10mLの化合物IIとを混合し、室温において2週間放置してフラーレンを溶解させ、溶け残りのフラーレン有無で判断した。すなわち、溶け残りが無い場合を○、溶け残りが観測される場合を×として評価した。結果を表−2に示す。
(実施例22、23)
下記表−3中に記載の化合物III(25℃/50%RHにおいて液体)と、水酸化フラーレン(フロンティアカーボン社製、C60OHn(nの平均値約10))との組成物の挙動を調べた。
Claims (5)
- ケトン系化合物、エステル系化合物、カルボン酸系化合物、及びカーボネート系化合物よりなる群から選ばれた化合物αと、フラーレン類とを含有する組成物であって、化合物αが下記一般式(1)で表されるものであり、化合物αに対するフラーレン類の含有量が0.01mg/mL以上であることを特徴とする組成物。
A1−X−A2 (1)
(式中、A1は、複素環基、芳香族炭化水素基、及び脂鎖式炭化水素基のいずれかを表し、これらの基には置換基が存在していてもよく、Xは、−(CO)−、−(CO)−O−(CH2)p1−、(但し、p1は0から4の整数である。)、−(CH2)p2−O−(CO)−(但し、p2は0から4の整数である。)、及び−O−(CO)−O−のいずれかを表し、
A2は、
(a)A1が複素環基又は芳香族炭化水素基である場合は、脂鎖式炭化水素基を表し、
(b)A1が脂鎖式炭化水素基である場合には、脂鎖式炭化水素基又は水素原子を表す(但し、A1及びA2の合計炭素数は3以上である。なお、A1及びA2が連結してアルキレン基を形成してもよい。)。 - A1が、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基又はオレイル基であり、
かつ、A2が、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、トリデシル基、ステアリル基又はオレイル基であることを特徴とする請求項1記載の組成物。 - 化合物αが、分子量550以下及び/又は融点40℃以下のものであることを特徴とする請求項1又は2記載の組成物。
- 化合物αが、比誘電率3以上のものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
- 化合物αが、酢酸エチル、酢酸プロビル、酢酸ブチル、酢酸ヘキシル、酢酸オクチル、カプリル酸ブチル、ブチルステアレート、トリデシルステアレート、オレイルステアレート、ブトキシエチルステアレート、メチルベンゾエート、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、酢酸フェニル、γ−ブチロラクトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、バレロフェノン、フェニルプロピルケトン、オレイン酸及びプロピレンカーボネートよりなる群から選ばれるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003305014A JP2004250664A (ja) | 2003-01-29 | 2003-08-28 | フラーレン類を含有する組成物 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003020258 | 2003-01-29 | ||
JP2003305014A JP2004250664A (ja) | 2003-01-29 | 2003-08-28 | フラーレン類を含有する組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004250664A true JP2004250664A (ja) | 2004-09-09 |
Family
ID=33032155
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003305014A Pending JP2004250664A (ja) | 2003-01-29 | 2003-08-28 | フラーレン類を含有する組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004250664A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007112993A (ja) * | 2005-09-22 | 2007-05-10 | Akio Kobayashi | 脂肪酸2−アルコキシエチル、その製造方法、その使用、及びそれを含有する混合物 |
JP2009528501A (ja) * | 2006-03-03 | 2009-08-06 | マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト | 作動可能な伝動装置、このような伝動装置の作動液体及び伝動装置を初めて作動開始する方法 |
JP2015129219A (ja) * | 2014-01-07 | 2015-07-16 | 昭和電工株式会社 | フラーレン含有溶液および潤滑剤 |
JP2017101169A (ja) * | 2015-12-03 | 2017-06-08 | 昭和電工株式会社 | 潤滑油組成物 |
-
2003
- 2003-08-28 JP JP2003305014A patent/JP2004250664A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007112993A (ja) * | 2005-09-22 | 2007-05-10 | Akio Kobayashi | 脂肪酸2−アルコキシエチル、その製造方法、その使用、及びそれを含有する混合物 |
JP4540651B2 (ja) * | 2005-09-22 | 2010-09-08 | 昭雄 小林 | 油脂に由来する各種脂肪酸の2−アルコキシエチルエステル混合物、その製造方法、その使用、及びそれを含有する混合物 |
JP2009528501A (ja) * | 2006-03-03 | 2009-08-06 | マグナ・シユタイル・フアールツオイクテヒニク・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシヤフト | 作動可能な伝動装置、このような伝動装置の作動液体及び伝動装置を初めて作動開始する方法 |
JP2015129219A (ja) * | 2014-01-07 | 2015-07-16 | 昭和電工株式会社 | フラーレン含有溶液および潤滑剤 |
JP2017101169A (ja) * | 2015-12-03 | 2017-06-08 | 昭和電工株式会社 | 潤滑油組成物 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
WO2011005631A3 (en) | Potassium cesium tungsten bronze particles | |
JP2012532822A5 (ja) | ||
JP5923351B2 (ja) | 銅膜形成用組成物及び該組成物を用いた銅膜の製造方法 | |
JPWO2018105177A1 (ja) | インク組成物およびこれを用いた有機電界発光素子 | |
EP2976397B1 (en) | Inks for inkjet printers | |
Alves et al. | The effect of Brazilian organic-modified montmorillonites on the thermal stability and fire performance of organoclay-filled PLA nanocomposites | |
KR101906760B1 (ko) | 고기능성 연소 촉진제 | |
JP2004250664A (ja) | フラーレン類を含有する組成物 | |
BR112013012691B1 (pt) | Tinta para jato de tinta cerâmica, e, método para decorar corpos cerâmicos verdes ou queimados por impressão a jato de tinta | |
EP2818237B1 (en) | Surface active agent and preparation thereof | |
JP2004231739A (ja) | フラーレン類を含有する組成物 | |
EP3020766A1 (en) | Curing accelerator for oxidation polymerized unsaturated resin, printing ink, and coating material | |
JP5394702B2 (ja) | フラーレン誘導体並びにその溶液及び膜 | |
ATE449037T1 (de) | Zink und mangan enthaltende oxidpartikel | |
TW200538393A (en) | Calcium oxide dispersion liquid and process for production thereof | |
WO2019224032A8 (en) | Use of compositions comprising a solvent mixture for avoiding pattern collapse when treating patterned materials with line-space dimensions of 50 nm or below | |
CN102391715B (zh) | 喷墨用墨组合物及使用该喷墨用墨组合物的有机薄膜的制造方法 | |
WO2010101161A1 (ja) | フラーレン膜の製造方法およびフラーレン膜 | |
JP6347948B2 (ja) | 3,3’−ジアリル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンの製造方法 | |
JP5527163B2 (ja) | 導電性ペースト及びそれを用いた配線基板 | |
JP5081523B2 (ja) | フラーレン誘導体クラスターの生成方法 | |
WO2015002100A1 (ja) | 有機el素子 | |
TW200626498A (en) | Porous silica particle and method for producing the same | |
JP2007169121A (ja) | カーボンナノチューブ分散液 | |
KR20130004774A (ko) | 유-무기하이브리드형 항균성이 우수한 착화합물 조성물 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20060324 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090205 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090331 |
|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20090417 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090721 |