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JP2004139338A - レーンマーカ認識装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】様々な種類のレーンマーカを少ない演算量にて検出する。
【解決手段】白線、Botts Dots、キャッツアイのそれぞれにレーザ光を照射した時の反射量が異なることに基づいて、レーザレーダ2から出射されたレーザ光の反射受光量に基づいて、CCDカメラ1により撮像された画像の輝度変化に基づいてレーンマーカ認識処理を行う方法と、撮像画像と所定のテンプレートとのパターンマッチングによるレーンマーカ認識方法のうちのいずれか一方を適切に選択する。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、道路上の白線等の区分線であるレーンマーカを認識する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車載カメラにより車両前方を撮像し、得られた画像の輝度変化に基づいて道路の車線区分を表すレーンマーカを検出する車線認識装置(特許文献1参照)が知られている。また、車載カメラにより撮像した画像とテンプレートとのパターンマッチングにより、レーンマーカを検出する車線認識装置(特許文献2参照)も知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−302346号公報
【特許文献2】
特開平6−119593号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の車線認識装置では、北米で用いられているBotts Dotsのように、画像に輝度変化がほとんど現れないレーンマーカを検出することができない。また、後者の車線認識装置では、テンプレートをBotts Dotsの形状に合わせることによりBotts Dotsを検出することができるが、白線の形態は実線、破線、二重線と様々な種類があるので、全てのパターンをメモリに記憶しておく必要があり、メモリの容量の増大を招くという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、撮像画像の輝度変化に基づいてレーンマーカを認識する方法と、撮像画像とテンプレートとのパターンマッチングによりレーンマーカを認識する方法を適切に使い分けて、様々な種類のレーンマーカを認識するレーンマーカ認識装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によるレーンマーカ認識装置は、車両前方を撮影する撮像手段と、撮像画像の輝度変化に基づいて、レーンマーカ認識処理を行う第1のレーンマーカ認識手段と、撮像画像と所定のテンプレートとのパターンマッチングにより、レーンマーカ認識処理を行う第2のレーンマーカ認識手段と、車両前方に光信号を送出する信号送出手段と、信号送出手段から送出された光信号の反射信号を受信する信号受信手段と、受信した反射信号の受信量に基づいて、第1および第2のレーンマーカ認識手段のうちのいずれか一方を選択する選択手段とを備えることにより、上記目的を達成する。
【0007】
【発明の効果】
本発明によるレーンマーカ認識装置によれば、信号送出手段から送出された光信号の反射信号の受信量に基づいて、輝度変化による認識方法とパターンマッチングによる認識方法とを適切に選択してレーンマーカ認識処理を行うので、様々な種類のレーンマーカを少ない演算量にて確実に検出することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明によるレーンマーカ認識装置の一実施の形態の構成を示す図である。一実施の形態におけるレーンマーカ認識装置は、CCDカメラ1と、レーザレーダ2と、レーンマーカ認識処理装置3と、自動操舵制御ユニット4と、操舵アクチュエータ5と、車速センサ6とを備える。CCDカメラ1は、車両の前方に取り付けられて車両前方を撮像し、映像信号をレーンマーカ認識処理装置3に出力する。レーザレーダ2は、車両前方にレーザ光を送出し、反射光を受光することにより車両前方に存在する障害物等を検出する。受信した反射光の受光量情報は、レーンマーカ認識処理装置3に出力する。
【0009】
レーンマーカ認識処理装置3は、図示しないCPU、ROM、RAM等を備え、CCDカメラ1から送られてくる映像信号と、レーザレーダ2から送られてくる反射受光量情報とに基づいて、レーンマーカの種類を判別し、後述するように、最適なレーンマーカ認識処理方法を選択する。また、レーンマーカ認識処理装置3は、認識したレーンマーカに対する自車両の横位置を算出して自動操舵制御ユニット4に出力する。自動操舵制御ユニット4は、レーンマーカ認識処理装置3から送られてくる自車両の横位置情報に基づいて、ハンドル操舵量を算出し、操舵アクチュエータ5を制御する。車速センサ6は、車両の速度に対応する車速信号をレーザレーダ2、レーンマーカ認識処理装置3、自動操舵制御ユニット4に送信する。
【0010】
図2(a)〜(f)は、一般的に使用されているレーンマーカの種類を示した図である。図2(a)には、日本で最も一般的である白線7のみで構成されるレーンマーカである。白線のみで構成されるレーンマーカは、北米や欧州でも一般的であり、世界的に使用されている。図2(b)は、Botts Dots8のみから構成されるレーンマーカである。Botts Dots8は、主に北米で用いられているレーンマーカであり、セラミックスで構成される直径100mm程度の円盤を路面に埋め込んだものである。
【0011】
図2(c)は、キャッツアイ9と呼ばれる反射体のみから構成されるレーンマーカである。キャッツアイ9は、入射光を同じ方向に反射させるという特性を有する。図2(c)のように、キャッツアイ9のみから構成されるレーンマーカは、日本では高速道路以外のカーブ路などで使用されており、北米ではカーブ路だけではなく、直線路でも使用されている。
【0012】
図2(d)は、白線7とキャッツアイ9とから構成されるレーンマーカを示し、図2(e)は、Botts Dots8とキャッツアイ9とから構成されるレーンマーカを示している。図2(f)は、白線7とBotts Dots8とから構成されるレーンマーカを示している。
【0013】
本発明によるレーンマーカ認識装置は、CCDカメラ1を用いて撮像した画像中の輝度変化を利用してレーンマーカを認識する方法と、パターンマッチングによりレーンマーカを認識する方法とを適切に使い分けて用いる。ここで、輝度変化を利用する方法、および、パターンマッチングを用いる方法は、いずれも既に利用されている方法であるので、以下で簡単に説明しておく。初めに、輝度変化を利用する方法について、図3および図4を用いて説明する。
【0014】
図3は、輝度変化を利用してレーンマーカを認識する処理手順を示す一実施の形態のフローチャートである。図4(a)〜(e)は、図3に示すフローチャートによる処理を説明するための図である。以下、図3に示すフローチャートのステップS100から順に説明する。
【0015】
ステップS100では、レーンマーカ認識処理に用いる各パラメータを初期化してステップS101に進む。ステップS101では、CCDカメラ1を用いて、車両前方の画像を取得する。取得した画像を図4(a)に示す。図4(a)に示すように、撮影された画像には通常、路面上の白線7以外にガードレール10等が表示されている。一般に、路面はアスファルトで舗装されていることが多く、この場合の路面は黒色となる。従って、白線と路面との間で輝度差が存在するので、この輝度差を利用して白線を認識する。
【0016】
次のステップS102では、ステップS101で取得した画像から、輝度変化の大きい部分を抽出することにより、輝度変化イメージを作成する。図4(a)に示す画像に基づいて作成した輝度変化イメージを図4(b)に示す。輝度変化イメージを作成すると、ステップS103に進む。ステップS103では、ステップS102で作成した輝度変化イメージに対して、白線が存在すると推測される部分にウインドウを設定する。図4(b)に示す輝度変化イメージに対して、ウインドウ11を設定した図を図4(c)に示す。このウインドウ11は、レーンマーカ認識処理を施す領域を示すものであり、このようにウインドウ11を設定することにより、撮像画像全体に対して処理を施す必要が無くなるので、処理時間の短縮を図ることができる。
【0017】
ウインドウ11を設定するとステップS104に進む。ステップS104では、ステップS103で設定された各ウインドウ11内において、レーンマーカ候補点を1つ抽出する。レーンマーカ候補点12を抽出した図を図4(d)に示す。レーンマーカ候補点12を抽出する方法は様々あるが、ここではウインドウ11の上辺と、輝度が大きく変化するラインとの交差点をレーンマーカ候補点12として抽出している。
【0018】
ステップS104に続くステップS105では、ステップS104で抽出された各ウインドウ11ごとのレーンマーカ候補点12を結ぶことにより、レーンマーカを検出する。図4(d)に示すレーンマーカ候補点12を結ぶことにより認識されるレーンマーカ13を図4(e)に示す。
【0019】
次に、パターンマッチングによりレーンマーカを認識する方法について、図5および図6を用いて説明する。図5は、パターンマッチングによりレーンマーカを認識する処理手順を示す一実施の形態のフローチャートである。図6(a)〜(e)は、図5に示すフローチャートによる処理を説明するための図である。以下、図5に示すフローチャートのステップS200から順に説明する。
【0020】
ステップS200では、レーンマーカ認識処理に用いる各パラメータを初期化してステップS201に進む。ステップS201では、CCDカメラ1を用いて、車両前方の画像を取得する。取得した画像を図6(a)に示す。図6(a)には、複数のBotts Dots8が表示されている。次のステップS202では、ステップS201で取得した画像に対して、パターンマッチング処理を行う領域として、ウインドウを設定する。図6(a)に示す画像に対してウインドウ14を設定した図を図6(b)に示す。ウインドウ14を設定するとステップS203に進む。
【0021】
ステップS203では、ステップS202で設定したウインドウ14の中の領域において、予め用意したBotts Dots8のテンプレートとの相関を求める。ステップS203に続くステップS204では、ステップS203で求めたBotts Dots8のテンプレートとの相関に基づいて、相関の高い領域をBotts Dots8として抽出する。図6(b)に示すウインドウ14内で抽出されたBotts Dots8を図6(c)に示す。Botts Dots8を抽出するとステップS205に進む。
【0022】
ステップS205では、ステップS204で抽出したBotts Dots8からレーンマーカ候補点を抽出する。レーンマーカ候補点15を抽出した図を図6(d)に示す。レーンマーカ候補点15を抽出する方法は様々あるが、ここでは抽出したBotts Dots8において、画面中央側のある1点をレーンマーカ候補点15として抽出する。ステップS205に続くステップS206では、ステップS205で抽出した複数のレーンマーカ候補点15を結ぶことにより、レーンマーカを検出する。図6(d)に示すレーンマーカ候補点15を結ぶことにより認識されるレーンマーカ16を図6(e)に示す。
【0023】
上述したように、Botts Dotsとアスファルト路面との間のコントラストは小さいので、輝度変化を利用した方法によりBotts Dotsを検出するのは、困難である。また、パターンマッチングにより白線を検出する場合には、破線、二重線などの様々なテンプレートを用意する必要がある。この場合、現存する全ての白線パターンのテンプレートを用意しても、新たなパターンの白線が登場する可能性もある。従って、パターンマッチング処理は、白線を検出する方法としてはあまり適していないといえる。
【0024】
従って、白線およびBotts Dotsの双方を精度よく認識するためには、輝度変化を利用する方法とパターンマッチング処理を利用する方法とを適正に選択する必要がある。本発明によるレーンマーカ認識装置は、レーザレーダ2を用いてレーンマーカの種別を判断し、判断したレーンマーカの種類に基づいて、輝度変化を利用する方法とパターンマッチング処理を利用する方法とを適正に選択する。
【0025】
本発明によるレーンマーカ認識装置により行われるレーンマーカ認識処理について説明する前に、図2(a)〜(f)に示すレーンマーカに対して、レーザレーダ2からレーザ光を出射した場合に、レーザ光がレーンマーカで反射した時の受光量について図7(a)〜(f)を用いて説明する。図7(a)〜(f)において、横軸はレーザレーダ2からの距離であり、縦軸は反射したレーザ光の受光量である。
【0026】
図7(a)は、図2(a)に示す白線のみから構成されるレーンマーカに対する結果である。白線はアスファルトよりも光を反射しやすく、また、円盤形状のBotts Dots等と異なり奥行きがあるので、レーザ光が照射されているエリア全体から反射光が得られる。従って、反射受光量は、ある位置でピークになって、その後少しずつ減少していく波形を示す。
【0027】
図7(b)は、図2(b)に示すBotts Dotsのみから構成されるレーンマーカに対する結果である。Botts Dotsからの反射受光量とアスファルトからの反射受光量とはあまり差がないので、図7(b)に示すように、反射受光量にはピークが現れない。
【0028】
図7(c)は、図2(c)に示すキャッツアイのみから構成されるレーンマーカに対する結果である。キャッツアイは、光を入射してきた方向に反射させる特性を有するので、キャッツアイからは非常に強い反射光が得られる。また、図2(c)に示すように、キャッツアイは通常、四角形であり白線のような奥行きがない。従って、反射受光量は、非常に大きいピークを有し、図7(c)に示すように、急峻な波形となる。
【0029】
図7(d)は、図2(d)に示す白線とキャッツアイから構成されるレーンマーカに対する結果である。この場合、白線の反射特性とキャッツアイの反射特性の双方を備えた反射特性を有する。すなわち、反射受光量は非常に大きなピークを有し、その後少しずつ減少していく波形を示す。
【0030】
図7(e)は、図2(e)に示すBotts Dotsとキャッツアイから構成されるレーンマーカに対する結果である。この場合、Botts Dotsの反射特性とキャッツアイの反射特性の双方を備えた反射特性を有する。上述したように、Botts Dotsからの反射受光量は少ないので、反射受光量特性は、キャッツアイのみから構成されるレーンマーカの反射受光量特性(図7(c))と同じような波形を示す。
【0031】
図7(f)は、図2(f)に示す白線とBotts Dotsから構成されるレーンマーカに対する結果である。この場合、白線の反射特性とBotts Dotsの反射特性の双方を備えた反射特性を有するが、Botts Dotsからの反射受光量は少ないので、白線の反射特性が支配的となる。従って、反射受光量特性は、図7(a)に示す白線のみから構成されるレーンマーカに対する反射受光量特性と同じような波形を示す。
【0032】
本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置では、レーンマーカに白線が含まれている場合、すなわち、図2(a),(d),(f)に示すレーンマーカの場合には、輝度変化を利用する方法を用いてレーンマーカの認識処理を行う。図7を参照して、以下の▲1▼,▲2▼の場合に、レーンマーカに白線が含まれていると判断する。
▲1▼反射波形のピークが、第1のしきい値Th1と第2のしきい値Th2との間にある場合
▲2▼反射波形のピークが第2のしきい値Th2を越えており、かつ、波形が非対称の場合
【0033】
上記▲1▼に該当するのは、図2(a)と図2(f)に示すレーンマーカの場合である。白線からの反射受光量は、キャッツアイからの反射受光量よりも少ないので、反射受光量のピーク値と2つのしきい値Th1,Th2とに基づいて、図2(a)と図2(f)に示すレーンマーカを検出する。上記▲2▼に該当するのは、図2(d)に示すレーンマーカの場合である。レーンマーカにキャッツアイが含まれている場合には、反射受光量のピーク値が第2のしきい値Th2よりも大きくなる。しかし、白線が含まれている場合には、反射受光量の波形が図7(c),(e)に示す場合と異なり、対称とならないので、図2(d)に示すレーンマーカと図2(c),(e)に示すレーンマーカとを区別することができる。
【0034】
レーザレーダ2で受光される反射光の中には、レーンマーカからの反射光以外に、自車両の周囲の車両や、路側にある看板などからの反射光が含まれている。従って、レーンマーカからの反射光と、レーンマーカ以外からの反射光とを区別する必要がある。この区別の方法を図8(a),(b)を用いて説明する。
【0035】
図8(a)は、レーザレーダ2からレーザ光を出射する様子を車両20の側面から見た図、図8(b)は、レーザレーダ2からレーザ光を出射する様子を車両20の上面から見た図である。レーンマーカからの反射光を得るためには、レーザレーダ2から出射されたレーザ光が路面に到達していることが必要である。図8(a)に示すように、レーザレーダ2は、地上からHsの高さの位置に取り付けられており、出射されるレーザ光の光軸L1は路面と水平であるとする。レーザ光の光軸L1と、上下方向に広がりのあるレーザ光の下端との角度をθvとすると、レーザ光の下端が路面に到達する距離Dgは、次式(1)にて表せる。
Dg=Hs/tanθv  …(1)
【0036】
従って、レーンマーカの種別判定を行うのは、式(1)で算出される距離Dg以遠である必要がある。例えば、Hs=0.35(m)、角度θv=1.5(deg)の場合には、距離Dgは13.4(m)となる。
【0037】
レーザレーダ2は、広い検知エリアを確保するために、車両の左右方向にスキャンを行っている。レーザレーダ2とレーンマーカとの横方向の距離をW、レーザ光軸L1と車体軸L2との水平方向角度をθh、レーザ光の左右方向のビーム幅をθwとすると、レーザ光がレーンマーカに当たる距離の下限値Dn、上限値Dfは、それぞれ次式(2),(3)にて表せる。
Dn=W/tan(θh+θw/2)   …(2)
Df=W/tan(θh−θw/2)   …(3)
【0038】
例えば、W=1.8(m)、角度θh=5(deg)、θw=1(deg)の場合には、Dn=18.7(m)、Df=22.9(m)となる。ここで、レーザ光がレーンマーカに当たる距離の下限値Dnは、式(1)で算出される距離Dgよりも大きくする必要がある。従って、距離Dgを考慮して、レーザレーダ2とレーンマーカとの横方向の距離Wに基づいて、レーザ光のスキャン角度θhを決定して、式(2),(3)より距離Dn,Dfを算出する。この場合、レーザ光のスキャン角度がθhの時に、式(2),(3)から算出される距離Dnから距離Dfまでの間に現れる反射受光量の波形に基づいて、レーンマーカの種別判定を行う。すなわち、距離Dn以下の位置に現れる反射受光量の波形や、距離Df以上の位置に現れる反射受光量の波形は無視することができる。
【0039】
図9は、本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置により行われるレーンマーカ認識処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、レーンマーカ認識処理装置3により行われる。ステップS300では、レーンマーカ認識処理に用いられるパラメータを初期化して、ステップS301に進む。レーンマーカ認識処理の開始時には、レーザレーダ2とレーンマーカとの横方向の距離Wが分からないので、レーンマーカからの反射光を検出するために必要な距離DnおよびDfを算出することができない。従って、ステップS301では、輝度変化を利用したレーンマーカ認識処理を行う。
【0040】
ステップS301に続くステップS302では、ステップS301で行ったレーンマーカ認識処理により、レーンマーカを認識することができたか否かを判定する。レーンマーカを認識することができたと判定するとステップS306に進み、認識することができなかったと判定するとステップS304に進む。ステップS304では、パターンマッチングによる認識処理を行う。次のステップS305では、ステップS304で行ったパターンマッチングによる認識処理により、レーンマーカを認識することができたか否かを判定する。レーンマーカを認識することができたと判定するとステップS306に進み、認識することができなかったと判定するとステップS300に戻って、再度レーンマーカ認識処理を行う。
【0041】
ステップS306では、ステップS301またはステップS304で行った認識処理結果に基づいて、レーザレーダ2とレーンマーカとの横方向の距離Wを算出する。距離Wを算出するとステップS307に進む。ステップS307では、ステップS306で算出した距離Wに基づいて、レーンマーカからの反射波形を評価するために必要なスキャン角度θh、および、距離Dn,Dfを決定する。スキャン角度θh、距離Dn,Dfを決定すると、ステップS308に進む。
【0042】
ステップS308では、スキャン角度θhの時の反射受光量の波形を取得して、ステップS309に進む。ステップS309では、ステップS308で取得した反射受光量のうち、距離Dn〜Dfの位置にある反射受光量の波形のピーク値が第1のしきい値Th1以下であるか否かを判定する。反射受光量の波形のピーク値が第1のしきい値Th1以下であると判定するとステップS310に進み、第1のしきい値Th1より大きいと判定すると、ステップS311に進む。ステップS311では、反射受光量の波形のピーク値が第2のしきい値Th2以上であるか否かを判定する。反射受光量の波形のピーク値が第2のしきい値Th2以上であると判定するとステップS312に進み、第2のしきい値Th2より小さいと判定すると、ステップS313に進む。
【0043】
ステップS312では、ステップS308で取得した反射受光量の波形が対称であるか否かを判定する。反射受光量の波形が対称であると判定するとステップS310に進み、対称ではないと判定するとステップS313に進む。ステップS313では、上記▲1▼の条件の場合、すなわち、反射波形のピーク値が、第1のしきい値Th1と第2のしきい値Th2との間にある場合、または、条件▲2▼の場合、すなわち、反射波形のピーク値が第2のしきい値Th2を越えており、かつ、波形が非対称の場合であるので、輝度変化を利用したレーンマーカ認識処理を行う。レーンマーカ認識処理を行うとステップS314に進む。
【0044】
一方、ステップS310では、パターンマッチングによるレーンマーカ認識処理を行う。レーンマーカ認識処理を行うとステップS314に進む。ステップS314では、ステップS310またはステップS313で行ったレーンマーカ認識処理により、レーンマーカを認識したか否かを判定する。レーンマーカを認識したと判定するとステップS306に戻って、上述したステップS306以降の処理を行い、レーンマーカを認識していないと判定するとステップS300に戻る。
【0045】
本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置により行われるレーンマーカ認識処理の内容をまとめておく。最初に輝度変化を利用したレーンマーカ認識処理、または、パターンマッチングによるレーンマーカ認識処理を行い、レーンマーカを認識すると、レーザレーダ2とレーンマーカとの横方向の距離Wを算出して、スキャン角度θh、距離Dn,Dfを決定する(ステップS300〜S307)。その後、決定したスキャン角度θhの時の反射受光量の波形を取得する。距離Dn〜Dfの位置にある反射受光量の波形のピーク値が第1のしきい値Th1以下であり、かつ、第2のしきい値Th2より小さい場合、または、反射受光量の波形のピーク値が第2のしきい値Th2以上であり、かつ、反射受光量の波形が非対称である場合には、輝度変化を利用したレーンマーカ認識処理を行い、それ以外の場合にはパターンマッチングによるレーンマーカ認識処理を行う(ステップS309〜S313)。
【0046】
本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置によれば、レーザレーダ2から出射したレーザ光の反射受光量に基づいて、撮像画像の輝度変化によりレーンマーカ認識処理を行う方法と、パターンマッチングによりレーンマーカ認識処理を行う方法とを適切に選択して、レーンマーカ認識処理を行うので、様々な種類のレーンマーカを確実に検出することができる。この場合、輝度変化による認識処理方法とパターンマッチングによる認識処理方法の両方を用いる方法、例えば、画像の輝度変化に基づいてレーンマーカ認識処理を行い、レーンマーカを検出できなかった場合に、パターンマッチングによるレーンマーカ認識処理を行う方法も考えられる。しかし、このような方法では、レーンマーカ認識処理の処理演算量が増加し、レーンマーカの検出速度が低下する。これに対して、本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置では、2つのレーンマーカ認識処理方法のうちの一方を適切に選択して認識処理を行うので、少ない演算量で確実にレーンマーカを検出することができる。
【0047】
2つのレーンマーカ認識処理方法の選択に際し、レーザ光の反射受光量が第1のしきい値Th1以下の場合には、パターンマッチングによるレーンマーカ認識処理を選択するので、Botts Dotsのように反射率の低いレーンマーカを確実に検出することができる。また、レーザ光の反射受光量が第1のしきい値Th1より多く、第2のしきい値Th2未満の場合には、輝度変化によるレーンマーカ認識処理を選択するので、白線を含むレーンマーカを確実に検出することができる。
【0048】
また、レーザ光の反射受光量が第2のしきい値Th2以上であり、かつ、反射受光量の波形が所定のパターン、すなわち、非対称である場合には、輝度変化によるレーンマーカ認識処理を選択するので、キャッツアイと白線とを含んだレーンマーカを確実に検出することができる。この場合、レーザ光の反射受光量が第2のしきい値Th2以上であり、かつ、反射受光量の波形が対称の場合には、パターンマッチングによるレーンマーカ認識処理を選択するので、白線より反射率の高いキャッツアイのみからなるレーンマーカや、キャッツアイとBotts Dotsからなるレーンマーカを確実に検出することができる。
【0049】
本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置では、輝度変化によるレーンマーカ認識方法、および、パターンマッチングによる認識方法の少なくとも一方の方法を用いてレーンマーカを検出し、検出したレーンマーカとレーザレーダ2との距離Wを算出して、距離Wに基づいてスキャン角度θhを求めてレーザ光を出射するので、レーンマーカに向けて確実にレーザ光を出射することができる。また、算出した距離Wに基づいて、レーザ光のエッジとレーンマーカとが交わる距離Dn,Dfを算出し、距離DnからDfまでの距離範囲からの反射受光量に基づいて、2つのレーンマーカ認識方法を選択するので、レーンマーカ以外の物体からの反射受光量に基づいてレーンマーカ認識方法を選択するという誤選択を防ぐことができる。
【0050】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、上述した一実施の形態では、レーンマーカを構成する要素として、白線、Botts Dots、キャッツアイの3種類を例に挙げたが、これら以外の物によりレーンマーカが構成されている場合にも本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置を用いることができる。この場合には、図7(a)〜(f)に示すように、予め反射受光量の特性を把握しておき、その特性に応じて、輝度変化による方法またはパターンマッチングによる方法を適切に選択するようにすればよい。
【0051】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、CCDカメラ1が撮影手段を、レーンマーカ認識処理装置3が第1のレーンマーカ認識手段、第2のレーンマーカ認識手段、および、選択手段を、レーザレーダ2が信号送出手段および信号受信手段をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレーンマーカ認識装置の一実施の形態の構成を示す図
【図2】図2(a)〜(f)は、様々なレーンマーカの種類を示す図
【図3】輝度変化を利用したレーンマーカ認識処理の処理手順を示すフローチャート
【図4】図4(a)〜(e)は、輝度変化を利用したレーンマーカ認識処理について説明するための図
【図5】パターンマッチングによるレーンマーカ認識処理の処理手順を示すフローチャート
【図6】図6(a)〜(e)は、パターンマッチングによるレーンマーカ認識処理について説明するための図
【図7】図7(a)〜(f)は、図2(a)〜(f)に示すレーンマーカにレーザ光を照射した時の反射受光量を示す図
【図8】図8(a)は、レーザレーダからレーザ光を出射する様子を車両側面から見た図、図8(b)は、車両上面から見た図
【図9】本実施の形態におけるレーンマーカ認識装置により行われるレーンマーカ認識処理の手順を示すフローチャート
【符号の説明】
1…CCDカメラ、2…レーザレーダ、3…レーンマーカ認識処理装置、4…自動操舵制御ユニット、5…操舵アクチュエータ、6…車速センサ、7…白線、8…Botts Dots、9…キャッツアイ、10…ガードレール、11,14…ウインドウ、12,15…レーンマーカ候補点、13,16…検出レーンマーカ、20…車両、L1…レーザ光の光軸、L2…車軸

Claims (6)

  1. 車両に搭載されて車両前方を撮影する撮像手段と、
    前記撮像手段により撮像された画像の輝度変化に基づいて、レーンマーカ認識処理を行う第1のレーンマーカ認識手段と、
    前記撮像手段により撮像された画像と所定のテンプレートとのパターンマッチングにより、レーンマーカ認識処理を行う第2のレーンマーカ認識手段と、
    車両前方に光信号を送出する信号送出手段と、
    前記信号送出手段から送出された光信号の反射信号を受信する信号受信手段と、
    前記信号受信手段により受信した反射信号の受信量に基づいて、前記第1のレーンマーカ認識手段および前記第2のレーンマーカ認識手段のうちのいずれか一方を選択する選択手段とを備えることを特徴とするレーンマーカ認識装置。
  2. 請求項1に記載のレーンマーカ認識装置において、
    前記選択手段は、前記反射信号の受信量が第1の受信量以下の場合には、前記第2のレーンマーカ認識手段を選択することを特徴とするレーンマーカ認識装置。
  3. 請求項1または2に記載のレーンマーカ認識装置において、
    前記選択手段は、前記反射信号の受信量が第1の受信量より多く、かつ、第2の受信量未満の場合には、前記第1のレーンマーカ認識手段を選択することを特徴とするレーンマーカ認識装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のレーンマーカ認識装置において、
    前記選択手段は、前記反射信号の受信量が第2の受信量以上であり、かつ、前記反射信号の受信量のパターンが所定のパターンである場合には、前記第1のレーンマーカ認識手段を選択し、前記反射信号の受信量が第2の受信量以上であり、かつ、前記反射信号の受信量のパターンが前記所定のパターンでない場合には、前記第2のレーンマーカ認識手段を選択することを特徴とするレーンマーカ認識装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のレーンマーカ認識装置において、
    前記第1のレーンマーカ認識手段および前記第2のレーンマーカ認識手段の少なくとも一方によりレーンマーカを検出し、検出結果に基づいて前記検出したレーンマーカと前記信号送出手段との距離を検出する距離検出手段をさらに備え、前記信号送出手段は、前記距離検出手段により検出されたレーンマーカからの距離に基づいて定められる方向に前記光信号を送出することを特徴とするレーンマーカ認識装置。
  6. 請求項5に記載のレーンマーカ認識装置において、
    前記選択手段は、前記信号受信手段により受信した反射信号のうち、前記距離検出手段により検出されたレーンマーカと前記信号送出手段との距離に基づいて定められる距離範囲からの反射信号の受信量に基づいて、前記第1のレーンマーカ認識手段および前記第2のレーンマーカ認識手段のうちのいずれか一方を選択することを特徴とするレーンマーカ認識装置。
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