JP2004117560A - トナー製造設備の洗浄方法及び重合トナーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】トナーの色替え時や品種切り替え時などに、トナー製造設備への付着物を容易かつ効率的に除去することができるトナー製造設備の洗浄方法を提供すること。
【解決手段】トナー製造装置を洗浄して、トナー製造工程で付着した被洗浄面の付着物を除去するトナー製造装置の洗浄方法である。洗浄液として、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて、トナー製造装置を洗浄する。この洗浄方法は、色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法に適用することができる。
【選択図】 なし
【解決手段】トナー製造装置を洗浄して、トナー製造工程で付着した被洗浄面の付着物を除去するトナー製造装置の洗浄方法である。洗浄液として、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液を用いて、トナー製造装置を洗浄する。この洗浄方法は、色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法に適用することができる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーの色替え時や品種切り替え時などに、トナー製造設備を洗浄する方法に関する。また、本発明は、同じ製造設備を用いて、色相が異なる2種以上の重合トナーを製造する方法に関する。本発明の製造方法は、2種以上の色相を有する高品質のカラートナーを製造する方法として好適である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やレーザービームプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像は、結着樹脂中に着色剤や帯電制御剤などの添加剤を分散させた着色樹脂粒子からなる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶことがある)により現像される。
【0003】
トナーは、一般に、粉砕トナーと重合トナーとに大別される。粉砕トナーは、予め合成した結着樹脂に、着色剤、帯電制御剤、離型剤などの添加剤を溶融混練して、粉砕し、分級することにより得ることができる。重合トナーは、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、離型剤などを含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に微小な液滴として分散させた後、重合させることにより、着色重合体粒子として得ることができる。
【0004】
トナーを製造するには、混合工程、重合工程、粉砕工程、分級工程、乾燥工程などの多くの工程があり、各工程で使用する装置の種類も多い。これらのトナー製造装置の内壁、攪拌機、配管などの各部には、トナーの製造工程で着色剤や着色樹脂などが付着する。トナーの色替え時や品種切り替え時などには、トナー製造装置を洗浄して、付着物を除去する必要がある。
【0005】
トナー製造装置の洗浄方法としては、例えば、高圧空気や高圧水を噴射する方法、ナイロンタワシや金属タワシを用いて手洗いする方法、有機溶剤を用いて手洗いする方法、ドライアイス粒子群を被洗浄面に吹き付ける方法(特開平10−319638号公報)、ドライアイスのペレットを壁面に噴射する方法(特開平10−319634号公報)、ドライアイス粒子を投入して装置を稼動させる方法(特許第3041452号公報)などが提案されている。
【0006】
しかし、これらの洗浄方法は、一長一短があり、特にカラートナーの色替え時の洗浄方法としては、必ずしも適していない。例えば、高圧空気や高圧水を噴射する方法では、着色樹脂の融着物や顔料などの強固な付着物を除去することが困難である。ナイロンタワシや金属タワシを用いる方法は、被洗浄面を傷つけやすく、次工程で付着物が傷の内部にまで入り込んで洗浄がさらに困難になる。製造装置内に有機溶剤を投入し、流動させて洗浄する方法は、有機溶剤に溶解または分散し難い顔料や着色樹脂などの付着物をきれいに除去することが困難である。
有機溶剤を洗浄剤として、ウエスなどを用いて手洗いする方法は、付着物の除去には有効な方法ではあるものの、労力が大きく、しかも安全対策を取る必要がある。ドライアイスの粒子やペレットを用いる方法は、ドライアイスが昇華しない洗浄条件を設定する必要があることに加えて、多くの場合、操作が煩雑で、しかも製造装置の各部まで洗浄して、顔料や着色樹脂などの付着物をほぼ完全に除去することが困難である。
【0007】
近年、電子写真方式による画像形成において、フルカラー化が進められているが、それに伴って、シアン、マゼンタ、イエローなどの各色相を有するカラートナーが製造されている。ある色相のカラートナーを製造した後、同じ製造設備で他の色相のカラートナーを製造する場合には、該製造設備を洗浄して、付着した顔料や着色樹脂をほぼ完全に除去する必要がある。シアン、マゼンタ、イエローなどの各色相を有するカラートナーは、互に汚染されると、色相が変化してしまう。
【0008】
例えば、シアン顔料を用いてシアントナーを製造した場合、その製造に用いた装置にシアン顔料やシアン顔料を含む着色樹脂などが強固に付着する。この製造装置を洗浄して、これらの付着物をほぼ完全に除去する必要がある。洗浄後、トナー製造装置に、シアン顔料やシアン顔料を含む着色樹脂などの付着物が一定量残存していると、次の製造工程でマゼンタトナーまたはイエロートナーを製造すると、これらの付着物が混入して、所望の色相を有するカラートナーを製造することができない。特にイエロー顔料やイエロートナーは、他の色相の顔料や着色樹脂からの汚染の影響が大きく、同じ製造設備を使用してイエロートナーを製造する場合、高品質のイエロートナーを得るためには、色替え時の洗浄が極めて重要である。
【0009】
各色相の顔料や着色樹脂などの相互汚染を防ぐ方法として、各色相別に製造設備を設置する方法が考えられるが、設備コストの増大を招くため、実際には、同じ製造設備を用いて多品種生産または多品種少量生産をすることが多い。同じ色相の顔料を用いてカラートナーを製造する場合でも、使用する顔料の種類や色調が異なる場合には、トナー製造装置を洗浄して付着物を除去することが、高品質のカラートナーを製造する上で望ましいことが多い。
【0010】
したがって、カラートナーの色替え時などに、トナー製造装置を洗浄して、前工程での付着物をほぼ完全に除去する必要があるが、いまだ満足できる洗浄方法が見出されていない。トナーの色替えや品種切り替えの頻度が高くなると、洗浄に要する時間や労力をできる限り節約することが、生産効率の観点からも強く求められる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トナーの色替え時や品種切り替え時などに、トナー製造設備への付着物を容易かつ効率的に除去することができるトナー製造設備の洗浄方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、同じ製造設備を用いて、重合法により、ある色相のカラートナーを製造した後、該カラートナーの製造に用いた重合装置などの製造設備を洗浄して、付着物を容易かつ効率的に除去した後、同じ製造設備で他の色相のカラートナーを製造する方法を提供することにある。ここで、「他の色相のカラートナー」とは、イエロー、マゼンタ、シアンなどの色の違いのみならず、同じ色でも、顔料の種類や色調の違いなど、他の品種のカラートナーである場合をも意味する。
【0013】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、洗浄液として、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液を用いる方法に想到した。この洗浄液をトナー製造装置に投入して撹拌または循環させたり、被洗浄面に吹き付けたりすることにより、該製造装置の内壁や攪拌機、配管などに付着している顔料や着色樹脂を効率的に除去することができる。この洗浄液を用いる方法を採用すると、他の色相の顔料や着色樹脂による汚染の影響が大きいイエロートナーであっても、トナーの色替え時や品種切り替え時に、汚染をほぼ完全に抑制することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、トナー製造装置を洗浄して、トナー製造工程で付着した被洗浄面の付着物を除去するトナー製造装置の洗浄方法において、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて洗浄することを特徴とするトナー製造装置の洗浄方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法において、(I)少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とを含有する第一重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第一重合トナー(A)を製造する工程1、(II)極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて、第一重合トナー(A)の製造に用いたトナー製造設備を洗浄し、被洗浄面の付着物を除去する工程2、及び(III)洗浄後のトナー製造設備を用いて、少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とは色相が異なる第二着色剤(b)とを含有する第二重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第二重合トナー(B)を製造する工程3からなる一連の工程を含むことを特徴とする色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
1.極性基含有樹脂
本発明では、トナー製造装置の洗浄液として、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液を使用する。極性基としては、顔料の有機溶剤中への分散性の観点から、ピリジニウム基、アミノ基、第4級アンモニウム塩基、無水マレイン酸、カルボキシル基、硫酸残基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基が好ましく、第4級アンモニウム塩基及びスルホン酸基がより好ましい。
【0017】
これらの官能基(極性基)を含有する樹脂は、一般に、官能基を含有するビニル系単量体と、これと共重合可能な他のビニル系単量体とを共重合することにより製造することができる。また、これらの官能基を含有する樹脂は、官能基を含有しないビニル系単量体を(共)重合した後、得られた(共)重合体を変性処理することにより、官能基を導入した(共)重合体であってもよい。
【0018】
本発明で使用する極性基含有樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、特に好ましくは3,000〜30,000の範囲内にあることが望ましい。重量平均分子量は、テトラヒドロフランを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。極性基含有樹脂の重量平均分子量が低すぎると、顔料の分散性が低下して、洗浄性が低下するおそれがある。官能基含有樹脂の重量平均分子量が大きすぎると、有機溶剤に対する溶解性が低下する。極性基含有樹脂は、トナーの製造に使用するビニル芳香族単量体などの重合性単量体や芳香族炭化水素系溶剤などに溶解するものであることが好ましい。
【0019】
本発明で使用する極性基含有樹脂としては、トナーの製造時に帯電制御剤の一種として使用する帯電制御樹脂を用いることができる。帯電制御樹脂としては、トナーに正帯電性をもたらす官能基を有する正帯電制御樹脂と、トナーに負帯電性をもたらす官能基を有する負帯電制御樹脂とがある。以下、これらの帯電制御樹脂について説明する。
【0020】
(1)正帯電制御樹脂
本発明で極性基含有樹脂として用いる正帯電制御樹脂は、重量平均分子量が好ましくは前記の範囲内で、かつ、正帯電性をもたらす官能基(極性基)を有する重合体である。該重合体は、その構造単位の何れかに当該官能基が結合していれば、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。正帯電制御樹脂は、着色樹脂に対する溶解性の観点から、正帯電性をもたらす官能基を有する単量体単位とビニル芳香族炭化水素単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位とを含有する共重合体であることが好ましい。
【0021】
正帯電性をもたらす官能基としては、例えば、ピリジニウム基、アミノ基、第4級アンモニウム塩基などが挙げられるが、これらの中でも第4級アンモニウム塩基が好ましい。正帯電制御樹脂中の正帯電性をもたらす官能基が結合した構造単位の割合は、通常0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。
【0022】
正帯電制御樹脂としては、第4級アンモニウム塩基を有する共重合体が好ましく、ビニル芳香族単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位と第4級アンモニウム塩基を有する単量体単位とを有する共重合体がより好ましい。第4級アンモニウム塩基含有重合体は、以下の単量体類を用い、重合開始剤の存在下、乳化重合、分散重合、懸濁重合、溶液重合などにより重合し、さらに必要に応じて、適当な四級化剤で四級化反応させる方法により得ることができる。
【0023】
ビニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メチル−α−メチルスチレン、3−メチル−α−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。これらのビニル芳香族単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
アクリレート単量体またはメタクリレート単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を共重合体中に導入する方法としては、例えば、(i) ビニル芳香族単量体と(メタ)アクリレート単量体とN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート単量体とを重合開始剤の存在下で共重合させた後、ハロゲン化有機化合物や酸エステル化合物などの第4級化剤を用いて、アミノ基を第4級化する方法、(ii)N,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート単量体を第4級アンモニウム塩化した単量体、ビニル芳香族単量体、及び(メタ)アクリレート単量体を重合開始剤の存在下で共重合させた後、有機酸またはその誘導体と反応させて塩にする方法、(iii) ビニル芳香族単量体、(メタ)アクリレート単量体、及び第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体を重合開始剤の存在下で共重合させる方法、(iv)ビニル芳香族単量体とハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート単量体との共重合体と、ビニル芳香族単量体とアミノ基含有(メタ)アクリレート単量体との共重合体とを混合し、ポリマー間で第4級化する方法などがある。
【0026】
アミノ基含有(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレートなどのN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。アルキル基の炭素原子数は、1〜3が好ましい。
【0027】
第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、N,N,N−トリメチル−N−(2−メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DMC;メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド)、N−ベンジル−N,N−ジメチル−N−(2−メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DML;メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド)等が挙げられる。これらの単量体は、アミノ基含有(メタ)アクリレート単量体をハロゲン化有機化合物で変性して、ハロゲン化第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体とすることによっても調製することができる。
【0028】
第4級化剤としては、ハロゲン化有機化合物や酸エステル化合物がある。ハロゲン化有機化合物としては、例えば、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタンなどの炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキルハライド;クロロベンゼン、4−クロロトルエン、1−クロロナフタレンなどの芳香族ハライド;を挙げることができる。酸エステルとしては、例えば、メチルスルホン酸メチル、メチルスルホン酸エチルなどのアルキルスルホン酸アルキルエステル;ベンゼンスルホン酸メチルなどのベンゼンスルホン酸アルキルエステル;パラトルエンスルホン酸メチルなどのパラトルエンスルホン酸アルキルエステル;トリメチルホスフェートなどのリン酸エステル;トリメトキシボランなどのホウ酸エステル;などが挙げられる。
【0029】
有機酸またはその誘導体としては、メチルスルホン酸などのアルキルスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸;トリメチルホスフェートなどのリン酸エステル;トリメトキシボランなどのホウ酸エステル;などが挙げられる。
【0030】
重合方法としては、所望の重量平均分子量を有する共重合体が得られやすい点で溶液重合法が好ましい。重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物などが用いられる。重合条件としては、一般に、重合温度が50〜200℃で、重合時間が0.5〜20時間である。
【0031】
正帯電制御樹脂を構成する共重合体中のビニル芳香族単量体単位の割合は、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは75〜95重量%で、(メタ)アクリレート単量体単位の割合は、好ましくは1.9〜29.9重量%、より好ましくは4.5〜24.5重量%である。第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位は、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0032】
(2)負帯電制御樹脂
本発明で極性基含有樹脂として用いる負帯電制御樹脂 は、重量平均分子量が好ましくは前記範囲内で、かつ、負帯電性をもたらす官能基(極性基)を有する重合体である。該重合体は、負帯電性をもたらす官能基を有する重合体であればよく、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。負帯電制御樹脂は、着色樹脂の溶解性の観点から、負帯電性をもたらす官能基を有する単量体単位とビニル芳香族単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位とを含有する共重合体が特に好ましい。
【0033】
負帯電性をもたらす官能基としては、例えば、無水マレイン酸、カルボキシル基、硫酸残基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられるが、これらの中でもスルホン酸基が好ましい。負帯電制御樹脂中の負帯電性をもたらす官能基を有する単量体単位の割合は、通常0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。
【0034】
負帯電制御樹脂としては、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート単量体単位と他の重合性単量体単位とを有する共重合体がより好ましく、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体単位とビニル芳香族単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位とからなる共重合体が特に好ましい。このような共重合体は、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体とビニル芳香族単量体と(メタ)アクリレート単量体とを、重合開始剤を用いて、乳化重合、分散重合、懸濁重合または溶液重合することにより得ることができる。これらの中でも、目的とする重量平均分子量を有する共重合体が得られやすい点で溶液重合法が好ましい。
重合方法としては、正帯電制御樹脂におけるのと同様の方法が採用できる。
【0035】
負帯電制御樹脂を製造するのに用いるビニル芳香族単量体及び(メタ)アクリレート単量体の具体例は、正帯電制御樹脂の場合と共通である。スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体の具体例としては、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、4−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸などのアクリルアミドアルキルスルホン酸類;2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸などのアクリルアミドカルボキシアルキルスルホン酸類;2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸などのアクリルアミド−複素環基含有アルキルスルホン酸類;及びこれらの金属塩が挙げられる。これらのスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
負帯電制御樹脂を構成する共重合体中のビニル芳香族単量体単位の割合は、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは75〜95重量%で、(メタ)アクリレート単量体単位の割合は、好ましくは1.9〜29.9重量%、より好ましくは4.5〜24.5重量%で、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体由来の構造単位は、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0037】
2.洗浄液
本発明で使用する洗浄液は、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液である。有機溶剤としては、極性基含有樹脂を溶解させることができるものであれば特に制限されない。有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;ニトリル類、アミン類、アミド類、複素環化合物などの含窒素有機化合物;ケトン類、カルボン酸エステル類、エーテル類、カルボン酸類などの含酸素有機化合物;塩素置換脂肪族炭化水素などの含塩素有機化合物;含硫黄有機化合物などが挙げられる。これらの中でも、トルエンなどの芳香族炭化水素が好ましい。
【0038】
また、有機溶剤としては、トナーの製造に使用する重合性単量体を使用することができる。具体的には、スチレンなどのビニル芳香族単量体、メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、スチレンなどのビニル芳香族単量体が好ましい。
【0039】
本発明の洗浄液における極性基含有樹脂の濃度は、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%の範囲内である。極性基含有樹脂の濃度が低すぎても、高すぎても、トナー製造装置に付着した顔料や着色樹脂などに対する洗浄性が低下する。
【0040】
3.トナー製造装置
本発明の洗浄方法が対象とするトナー製造装置としては、例えば、混合装置、混練装置、粉砕装置、分級装置、撹拌装置(撹拌槽)、重合装置(重合槽)、乾燥装置、これらの装置に付属する攪拌機や配管などが挙げられる。トナーの製造工程において、これらの装置には、結着樹脂、顔料などの着色剤、離型剤、着色剤を含有する結着樹脂や着色重合体などの着色樹脂、これらの混合物などが付着する。付着の態様には、融着も含まれる。トナーとしては、粉砕トナーや重合トナーなどが含まれる。
【0041】
本発明の洗浄方法は、トナーの色替え時や品種切り替え時に、トナー製造装置の洗浄に適用される。トナーの色替え時とは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各色のトナーを製造する場合、ある色から他の色に切り替える時を意味する。トナーの品種切り替え時とは、トナーの組成の変更、色調の変更などを行う時を意味する。同じ色のトナーであっても、顔料を変更したり、色調を変更したりする場合には、トナーの品種切り替えであるということができる。本発明の洗浄方法は、イエロー、マゼンタ、シアンなどのカラートナーの色替え時に適用すると、とりわけ効果が分かりやすい。
【0042】
本発明の洗浄方法は、重合トナーの色替え時や品種切り替え時に適用する場合には、トナー製造装置として、重合性単量体組成物の撹拌装置、重合装置、重合トナーの乾燥装置、外添剤との混合装置などが主たる対象となる。撹拌装置や重合装置などの内壁、攪拌機、配管などの各部には、着色剤として用いた顔料や該顔料を含む着色重合体(着色樹脂)などが強く付着する。
【0043】
4.洗浄方法
本発明の洗浄液を用いてトナー製造装置を洗浄する方法としては、(1)重合装置などの製造装置内に洗浄液を投入し、攪拌機により洗浄液を撹拌して流動・循環させる方法、(2)洗浄液を内壁や攪拌機などに吹きつける方法、(3)これらを組み合わせた方法などがある。
【0044】
洗浄は、通常、製造装置の各部に付着した顔料や着色樹脂などの色が判別できなくなる程度まで行う。本発明の洗浄方法を重合法によるカラートナーの製造方法に適用した場合、ある色相1のカラートナーAを製造後、同じ製造装置で他の色相2のカラートナーBを製造し、再度、同じ製造装置で前記色相1のカラートナーCを製造すると、カラートナーAとCとの間の色差ΔE*(ab)を好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.5以下にすることができる。もちろん、各カラートナーA及びBの製造後に、それぞれ本発明の洗浄液を用いて製造装置の洗浄を行う。このように、間に他の色相のカラートナーの製造工程が介在しても、元の色相のカラートナーを再生産することができる。当然のことながら、間に介在するカラートナーBの色相も良好である。
【0045】
本発明の洗浄剤を用いると、容易かつ効率的に付着物の除去を行うことができる。その理由については、現段階でが必ずしも明確でないが、以下のように推定することができる。すなわち、極性基含有樹脂は、顔料などの着色剤との親和性が高く、トナー製造装置に付着した着色剤や着色樹脂を溶かし出しやすいためではないかと考えられる。特に、極性基を持った帯電制御樹脂は、その極性により顔料粒子を引きつけ、有機溶媒中に均一に分散させる効果が高いため、顔料が付着した製造装置の洗浄能力が高いと考えられる。
【0046】
極性基含有樹脂の中でも、負極性のものは、シアン顔料の洗浄効果が優れており、正極性のものは、シアン、マゼンタ、イエローの各顔料の洗浄効果に優れている。したがって、顔料の種類に応じて、極性基含有樹脂の種類や組み合わせを選択することが好ましい。極性基の種類と顔料の種類により洗浄効果に違いがある理由は、よくわかっていないが、顔料の酸及び塩基量に関係するのではないかと考えている。
【0047】
本発明の洗浄液は、数回にわたって繰り返し洗浄に使用することができる。多くの場合、5回程度まで繰り返し使用することができる。洗浄後の洗浄液は、必要に応じて、それぞれの成分に分離・精製してリサイクルすることができる。
【0048】
5.重合トナーの製造方法
本発明の洗浄方法は、色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法に適用することができる。具体的には、以下の工程1〜3を含む工程により、色相が異なる2種以上のカラートナーを製造することができる。
【0049】
(I) 少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とを含有する第一重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第一重合トナー(A)を製造する工程1、
(II) 極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて、第一重合トナー(A)の製造に用いたトナー製造設備を洗浄し、被洗浄面の付着物を除去する工程2、及び
(III) 洗浄後のトナー製造設備を用いて、少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とは色相が異なる第二着色剤(b)とを含有する第二重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第二重合トナー(B)を製造する工程3。
【0050】
当業者であれば容易に理解することができるように、上記工程1〜3と同様の工程を繰り返すことにより、色相が異なる第三重合トナーや第四重合トナーなどを製造することができる。また、第二重合トナーの製造後に、第一重合トナーと同じ色相のトナーを再生産してもよい。
【0051】
重合トナーの製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合法などがあり、これらの中でも所望の粒径の重合トナーを製造しやすい点で、懸濁重合法が好ましい。
乳化重合法を採用する場合には、重合後に凝集させるなどして、粒径を調整することができる。乳化重合法と懸濁重合法とを組み合わせてもよい。重合トナーの製造は、常法に従って行うことができるが、懸濁重合法を中心にその詳細を説明すると、以下の通りである。
【0052】
重合トナーの製造方法は、少なくとも着色剤と重合性単量体とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む。該重合性単量体組成物を重合して着色重合体粒子を生成させるが、所望により、該着色重合体粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合させる工程を付加して、コア・シェル型重合体粒子を生成させてもよい。
【0053】
水系分散媒体としては、一般に、イオン交換水などの水を用いるが、所望により、アルコールなどの親水性溶媒を加えてもよい。重合性単量体組成物には、必要に応じて、架橋性単量体、マクロモノマー、帯電制御剤、離型剤、滑剤、分散助剤、分子量調整剤などの各種添加剤を含有させることができる。重合を開始するために、重合開始剤を使用する。
【0054】
(1)重合性単量体:
重合性単量体の主成分として、一般に、モノビニル単量体を使用する。モノビニル単量体としては、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;これらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0055】
モノビニル単量体と共に、それぞれ2個以上のビニル基を有する架橋性単量体及び/または架橋性重合体を用いると、ホットオフセット特性を改善することができる。架橋性単量体及び/または架橋性重合体の使用割合は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは0.01〜7重量部である。
【0056】
モノビニル単量体と共にマクロモノマーを用いると、高温での保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する巨大分子であり、数平均分子量が通常1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマーの使用割合は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.03〜5重量部である。
【0057】
(2)着色剤:
着色剤としては、カーボンブラックやチタンホワイトなどのトナーの分野で用いられている各種顔料及び染料を使用することができる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;等を挙げることができる。カラートナー用着色剤としては、一般に、イエロー、マゼンタ、シアンなどの各色の顔料が使用される。着色剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
【0058】
(3)帯電制御剤:
重合トナーの帯電性を向上させるために、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させることが好ましい。帯電制御剤としては、例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシン、帯電制御樹脂などが挙げられる。帯電制御剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部の割合で用いられる。
【0059】
(4)離型剤:
オフセット防止または熱ロール定着時の離型性の向上などの目的で、離型剤を重合性単量体組成物中に含有させることができる。離型剤としては、ポリオレフィンワックス、植物系天然ワックス、石油系ワックス及びその変性ワックス、合成ワックス、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどの多官能エステル化合物、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。離型剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
【0060】
(5)滑剤・分散助剤:
着色剤の均一分散等を目的として、脂肪酸、脂肪酸金属塩などの滑剤;シラン系またはチタン系カップリング剤等の分散助剤;などを重合性単量体に含有させることができる。このような滑剤や分散剤は、着色剤の重量を基準として、通常1/1000〜1/1程度の割合で使用される。
【0061】
(6)重合開始剤:
重合性単量体の重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1′,3,3′−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類;などを挙げることができる。これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を使用することもできる。これらの開始剤の中でも、重合性単量体に可溶な油溶性の重合開始剤を選択することが好ましい。重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部の割合で用いられる。
【0062】
重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加することができるが、早期重合を抑制するために、重合性単量体組成物の液滴形成工程の終了後または重合反応の途中の懸濁液に直接添加することもできる。
【0063】
(7)分子量調整剤:
分子量調整剤としては、例えば、メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0064】
(8)分散安定剤:
分散安定剤としては、難水溶性金属化合物のコロイドが好適である。難水溶性金属化合物としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、などの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;りん酸カルシウムなどのりん酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物;等を挙げることができる。これらの中でも、難水溶性金属水酸化物のコロイドは、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
【0065】
難水溶性金属化合物のコロイドとしては、水溶性多価金属化合物水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用する。
【0066】
本発明においては、分散安定剤として、水溶性高分子などのその他の分散安定剤を用いることができる。帯電特性の環境依存性が大きくならない範囲内で、界面活性剤を使用することもできる。
【0067】
(9)重合工程:
重合トナーは、重合性単量体の重合により生成した重合体が結着樹脂となり、その中に着色剤や帯電制御剤、離型剤などの添加剤成分が分散した着色重合体粒子である。この着色重合体粒子をコアとし、その上に重合体層からなるシェルを形成して、コア・シェル型重合体粒子とすることができる。
【0068】
重合トナーは、例えば、以下の工程により得ることができる。重合性単量体、着色剤、及びその他の添加剤などを混合機を用いて混合し、必要に応じて、メディヤ型湿式粉砕機などを用いて湿式粉砕し、重合性単量体組成物を調製する。次に、重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に分散し、撹拌して、重合性単量体組成物の均一な液滴(体積平均粒径が50〜1000μm程度の一次液滴)を形成する。重合開始剤は、水系分散媒体中で液滴の大きさが均一になってから水系分散媒体に添加することが好ましい。
【0069】
水系分散媒体中に重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液に重合開始剤を添加混合し、さらに、高速回転剪断型撹拌機を用いて、液滴の粒径が目的とする重合トナー粒子に近い小粒径になるまで撹拌する。このようにして形成された微小粒径の液滴(体積平均粒径が1〜12μm程度の二次液滴)を含有する懸濁液を重合反応器に仕込み、通常5〜120℃、好ましくは35〜95℃の温度で懸濁重合を行う。
【0070】
懸濁重合により、重合性単量体の重合体中に着色剤などの添加剤成分が分散した着色重合体粒子が生成する。この着色重合体粒子を重合トナーとして使用することができるが、重合トナーの保存性(耐ブロッキング性)、低温定着性、定着時の溶融性などを改善する目的で、懸濁重合によって得られた着色重合体粒子の上に、さらに重合体層を形成して、コア・シェル型構造を有するカプセルトナーとすることができる。
【0071】
コア・シェル型構造の形成方法としては、前記の着色重合体粒子をコア粒子とし、該コア粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合して、コア粒子の表面に重合体層(シェル)を形成する方法が好ましい。シェル用重合性単量体として、コア粒子を構成する重合体成分のガラス転移温度(Tg)よりも高いTgを有する重合体を形成するものを使用すると、重合トナーの保存性を改善することができる。コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体との重量比は、通常40/60〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.7/0.3である。
【0072】
シェル用重合性単量体は、コア粒子の平均粒径よりも小さな液滴として重合反応系に添加することが好ましい。シェル用重合性単量体の液滴の粒径を小さくすることにより、コア粒子の周囲に均一な重合体層を形成しやすくなる。シェル用重合性単量体を小さな液滴とするには、シェル用重合性単量体と水系分散媒体との混合物を、例えば、超音波乳化機などを用いて、微分散処理を行い、得られた分散液を重合反応系に添加すればよい。シェル用重合性単量体には、必要に応じて、帯電制御剤を加えることができる。
【0073】
コア・シェル型構造の重合トナーを製造するには、コア粒子を含有する懸濁液中に、シェル用重合性単量体またはその水系分散液を一括して、あるいは連続的若しくは断続的に添加する。シェル用重合性単量体を添加する際に、水溶性のラジカル開始剤を添加することがシェルを効率良く形成する上で好ましい。水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕などのアゾ系開始剤等を挙げることができる。水溶性重合開始剤の使用量は、シェル用重合性単量体100重量部当り、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。シェルの平均厚みは、通常0.001〜1.0μm、好ましくは0.003〜0.5μmである。
【0074】
(10)重合トナー:
本発明の製造方法により得られる重合トナー(コア・シェル型構造を有するカプセルトナーを含む)の体積平均粒径(dv)は、通常1〜12μm、好ましくは2〜11μm、より好ましくは3〜10μmである。重合トナーの体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)で表される粒径分布は、通常1.7以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。重合トナーの体積平均粒径が大きすぎると、解像度が低下しやすくなる。重合トナーの粒径分布が大きいと、大粒径のトナーの割合が多くなり、解像度が低下しやすくなる。
【0075】
重合トナーは、長径(dl)と短径(ds)との比(dl/ds)で表される球形度が、好ましくは1〜1.3、より好ましくは1〜1.2の実質的に球形であることが好ましい。実質的に球形の重合トナーを用いると、感光体上のトナー像の転写材への転写効率が向上する。
【0076】
重合トナーは、各種現像剤のトナー成分として使用することができるが、非磁性一成分現像剤として使用することが好ましい。重合トナーを非磁性一成分現像剤とする場合には、各種外添剤を混合することができる。外添剤としては、流動化剤や研磨剤などとして作用するシリカなどの無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。外添剤の使用量は、重合トナー100重量部に対して、通常0.1〜6重量部である。外添剤を重合トナーに付着させるには、通常、重合トナーと外添剤とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて攪拌する。
【0077】
【実施例】
以下に参考例、実施例、及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。以下の参考例、実施例、及び比較例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、重量(質量)基準である。測定法は、以下の通りである。
【0078】
(1)色差の測定法:
色彩を数値で表す手段として、L*a*b*表色系がある。該表色系において、L*値は、明るさを表し、0〜100までの範囲内で数値が大きいほど明るいことを示す。a*とb*で色味を表し、a*が+の方向になるほど赤みが強くなり、マイナスの方向になるほど緑みが強くなる。また、b*が+の方向になるほど黄みが強くなり、マイナスの方向になるほど青みが強くなる。色差ΔE*(ab)は、この色空間中の2色間の直線距離を計算して求める。
【0079】
この色差ΔE*(ab)は、分光色差計(日本電飾工業社製、商品名「SE−2000」)を用いて測定した。つまり、基準となるトナーと比較するトナーをそれぞれ直径32mm、高さ15mmの円筒形透明ガラス容器に8cc入れ、上記測定器でa*b*を測定し、以下の関係式を用いて色差ΔE*(ab)を算出した。
ΔE*(ab)=〔(a1−a2)2 +(b1−b2)2〕1/2
式中、a1及びb1は、基準となるトナーのa*値とb*値で、a2及びb2は、比較するトナーのa*値とb*値である。
【0080】
(2)粒径:
重合トナーの体積平均粒径(dv)、及び体積平均粒径(dv)と個数平均粒径(dp)との比(dv/dp)で表される粒径分布は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定する。マルチサイザーによる測定は、アパーチャー径=100μm、媒体=イソトンII、濃度=10%、測定粒子数=100,000個の条件で行う。
【0081】
[参考例1]負帯電制御樹脂 (A) の合成例
スチレン82%、アクリル酸ブチル11%、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7%からなる単量体混合物100部をトルエン900部中に投入し、アゾビスジメチルバレロニトリル4部の存在下、80℃で8時間重合反応させた。重合反応終了後、トルエンを留去して、スルホン酸基含有共重合体(重量平均分子量18,000、ガラス転移温度67℃)を得た。このスルホン酸基含有共重合体は、負帯電制御樹脂(A)である。
【0082】
[参考例2]正帯電制御樹脂 (B) の合成例
スチレン82%、アクリル酸n−ブチル16%、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド2%からなる単量体混合物100部をトルエン900部中に投入し、アゾビスジメチルバレロニトリル4部の存在下、80℃で8時間重合反応させた。重合反応終了後、トルエンを留去して、第4級アンモニウム塩基含有共重合体(重量平均分子量12,000、ガラス転移温度61℃)を得た。この第4アンモニウム塩基含有共重合体は、正帯電制御樹脂(B)である。
【0083】
[参考例3]顔料マスターバッチ (M1) の製造例
参考例1で合成した帯電制御樹脂(A)100部に、メチルエチルケトン24部とメタノール6部を分散させ、冷却しながらロールにて混練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたところで、着色剤としてイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180)100部を徐々に添加して、1時間混練を行い、顔料マスターバッチ(M1)を得た。この時、ロール間隙は、初期1mmであり、その後、徐々に間隙を広げ、最後は3mmまで広げた。また、有機溶剤(メチルエチルケトン/メタノール=4/1混合溶剤)は、帯電制御樹脂の混練状態に合わせて、何回か追加した。
【0084】
顔料マスターバッチの一部を取り出した後、トルエンを加えて溶解させ、トルエンの5%溶液にした。ガラス板上に、間隙が30μmのドクターブレードで混合溶液を塗布、乾燥させ、シートを作製した。このシートを光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方内に、長径が0.2μm以上の顔料粒子は存在しなかった。
【0085】
[参考例4]顔料マスターバッチ (M2) の製造例
イエロー顔料に代えて、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いたこと以外は、参考例3と同様にして、負帯電制御樹脂(A)とシアン顔料とを含有する顔料マスターバッチ(M2)を製造した。参考例3と同様にシートを作製して、光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方内に、長径が0.2μm以上の顔料粒子は存在しなかった。
【0086】
[参考例5]顔料マスターバッチ (M3) の製造例
イエロー顔料に代えて、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いたこと以外は、参考例3と同様にして、負帯電制御樹脂(A)とマゼンタ顔料とを含有する顔料マスターバッチ(M3)を製造した。参考例3と同様にシートを作製して、光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方内に、長径が0.2μm以上の顔料粒子は存在しなかった。
【0087】
[参考例6]重合トナー(標準イエロートナー)の製造例
イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.9部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。調製したコロイドの粒径分布を測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累計値)が0.38μmで、D90(個数粒径分布の90%累計値)が0.82μmであった。
【0088】
撹拌機(特殊機化工業社製、製品名「TKホモミキサーMARK 1120型」)を装備した撹拌槽に、スチレン80.5部、アクリル酸n−ブチル19.5部、及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)0.3部からなるコア用重合性単量体と、参考例3で調製した顔料マスターバッチ(M1)16部、t−ドデシルメルカプタン2部、及びジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部を投入し、混合液が流動付与部から重合方向に吐出するようにタービンを12,500rpmで回転させて、均一分散し、コア用重合性単量体組成物を得た。
【0089】
一方、メタクリル酸メチル1部と水100部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。シェル用重合性単量体の液滴の粒径は、(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)で測定したところ、D90が1.6μmであった。
【0090】
前記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、前記コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで撹拌し、そこにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチルO」)6部を添加した後、高剪断力攪拌機(荏原製作所製「エバラマイルダー」)を用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断撹拌して、さらに小さい単量体組成物の液滴を形成させた。このコア用重合性単量体組成物の水分散液を、撹拌翼を装着した反応器に入れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ100%に達したときに、サンプリングし、コアとなる着色重合体粒子の粒径を測定した。この結果、コア粒子の粒径は、7.4μmであった。前記シェル用重合性単量体の水分散液、及び蒸留水65部に溶解した2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕(和光純薬社製、商品名「VA−086」)0.2部を反応器に入れた。8時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5のコア・シェル型重合体粒子(イエロートナー粒子)の水分散液を得た。
【0091】
前記により得たイエロートナー粒子の水分散液を撹拌しながら、硫酸により系のpHを5以下にして酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。
その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で2昼夜乾燥を行い、イエロートナー粒子を回収した。
【0092】
このようにして得られたイエロートナー粒子を乾燥した。その体積平均粒径(dv)は7.4μmで、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)は1.24で、rl/rsは1.1であった。
【0093】
イエロートナー粒子100部と疎水化処理された体積平均粒径14nmのコロイダルシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−200」)0.6部とをヘンシェルミキサーを用いて混合してイエロートナーを調製した。このイエロートナーの色相を測定したところ、L*=64.50、a*=6.99、b*=92.49であった。このイエロートナーを標準(コントロール)イエロートナーとする。
【0094】
[実施例1]
参考例6で使用した撹拌機(特殊機化工業社製、製品名「TKホモミキサーMARK 1120型」)を装備した撹拌槽(撹拌装置)、及び撹拌翼を装着した反応器(重合装置)を、トルエンとウエスを用いて、内壁や攪拌機などの各部の表面にイエローが判別できなくなるまで拭き上げた。この洗浄操作は、後述する本発明の洗浄液を用いた洗浄方法の有効性を確認するために、手作業で行ったものである。
【0095】
参考例6において、イエロー顔料マスターバッチ(M1)に代えて、参考例4で調製したシアン顔料マスターバッチ(M2)を用いたこと以外は、参考例6と同様にして、重合トナー(シアントナー)を製造した。各工程では、前記で洗浄した撹拌槽及び反応器を使用した。
【0096】
他方、スチレン100部に参考例1で合成した負帯電制御樹脂(A)10部を溶解させて、得られた溶液を洗浄液とした。この洗浄液をシアントナー製造後の撹拌槽及び反応器に、それぞれ5,000cm3づつ投入し、60分間にわたり、攪拌機を洗浄液が重力と反対方向に吐出するように、12,500rpmで回転させ、洗浄液を流動させた。その後、洗浄液を排出した。
【0097】
洗浄後の撹拌槽及び反応器を用いて、参考例6と同様にしてイエロートナーを製造した。得られたイエロートナーの色相を測定したところ、L*=64.45、a*=6.58、b*=92.40であった。これらの色相値は、参考例6で製造した標準イエロートナーと大差のないものであった。すなわち、シアントナー製造後、製造装置を本発明の方法で洗浄することにより、シアン顔料などによる汚染のないイエロートナーを製造することができる。結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2]
洗浄液として、スチレンの負帯電制御樹脂(A)溶液に代えて、トルエン100部に参考例1で合成した負帯電制御樹脂(A)10部を溶解させた溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0099】
[実施例3]
参考例6で使用した撹拌機(特殊機化工業社製、製品名「TKホモミキサーMARK 1120型」)を装備した撹拌槽(撹拌装置)、及び撹拌翼を装着した反応器(重合装置)を、トルエンとウエスを用いて、内壁や攪拌機などの各部の表面にイエローが判別できなくなるまで拭き上げた。
【0100】
参考例6において、イエロー顔料マスターバッチ(M1)に代えて、参考例5で調製したマゼンタ顔料マスターバッチ(M3)を用いたこと以外は、参考例6と同様にして、重合トナー(マゼンタトナー)を製造した。各工程では、前記で洗浄した撹拌槽及び反応器を使用した。
【0101】
他方、スチレン100部に参考例2で合成した正帯電制御樹脂(B)10部を溶解させて、得られた溶液を洗浄液とした。この洗浄液をマゼンタトナー製造後の撹拌槽及び反応器に、それぞれ5,000cm3づつ投入し、60分間にわたり、攪拌機を洗浄液が重力と反対方向に吐出するように、12,500rpmで回転させ、洗浄液を流動させた。その後、洗浄液を排出した。
【0102】
洗浄後の撹拌槽及び反応器を用いて、参考例6と同様にしてイエロートナーを製造した。得られたイエロートナーの色相を測定したところ、L*=64.44、a*=7.18、b*=92.39であった。これらの色相値は、参考例6で製造した標準イエロートナーと大差のないものであった。すなわち、マゼンタトナー製造後、製造装置を本発明の方法で洗浄することにより、マゼンタ顔料などによる汚染のないイエロートナーを製造することができる。結果を表1に示す。
【0103】
[実施例4]
洗浄液として、スチレンの正帯電制御樹脂(B)溶液に代えて、トルエン100部に参考例2で合成した正帯電制御樹脂(B)10部を溶解させた溶液を用いたこと以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0104】
[比較例1]
洗浄液として、スチレンの負帯電制御樹脂(A)溶液に代えて、スチレンを単独でしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0105】
[比較例2]
洗浄液として、トルエンの負帯電制御樹脂(A)溶液に代えて、トルエンを単独でしたこと以外は、実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
【0106】
[比較例3]
洗浄液として、スチレンの制帯電制御樹脂(B)溶液に代えて、スチレンを単独で使用したこと以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0107】
[比較例4]
洗浄液として、トルエンの制帯電制御樹脂(B)溶液に代えて、トルエンを単独で使用したこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1の結果を評価するために、色差ΔE*(ab)と色見との関係を表2に示す。
【0110】
【表2】
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、トナーの色替え時や品種切り替え時などに、トナー製造設備への付着物を容易かつ効率的に除去することができるトナー製造設備の洗浄方法が提供される。また、本発明によれば、同じ製造設備を用いて、重合法により、ある色相のカラートナーを製造した後、該カラートナーの製造に用いた重合装置などの製造設備を洗浄して、付着物を容易かつ効率的に除去した後、同じ製造設備で他の色相のカラートナーを製造する方法が提供される。本発明の洗浄方法を適用することにより、色差ΔE*(ab)が小さく、高品質で一定の品質のカラートナーを効率良く製造することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナーの色替え時や品種切り替え時などに、トナー製造設備を洗浄する方法に関する。また、本発明は、同じ製造設備を用いて、色相が異なる2種以上の重合トナーを製造する方法に関する。本発明の製造方法は、2種以上の色相を有する高品質のカラートナーを製造する方法として好適である。
【0002】
【従来の技術】
電子写真複写機やレーザービームプリンタなどの電子写真方式の画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像は、結着樹脂中に着色剤や帯電制御剤などの添加剤を分散させた着色樹脂粒子からなる静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」と呼ぶことがある)により現像される。
【0003】
トナーは、一般に、粉砕トナーと重合トナーとに大別される。粉砕トナーは、予め合成した結着樹脂に、着色剤、帯電制御剤、離型剤などの添加剤を溶融混練して、粉砕し、分級することにより得ることができる。重合トナーは、重合性単量体、着色剤、帯電制御剤、離型剤などを含有する重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に微小な液滴として分散させた後、重合させることにより、着色重合体粒子として得ることができる。
【0004】
トナーを製造するには、混合工程、重合工程、粉砕工程、分級工程、乾燥工程などの多くの工程があり、各工程で使用する装置の種類も多い。これらのトナー製造装置の内壁、攪拌機、配管などの各部には、トナーの製造工程で着色剤や着色樹脂などが付着する。トナーの色替え時や品種切り替え時などには、トナー製造装置を洗浄して、付着物を除去する必要がある。
【0005】
トナー製造装置の洗浄方法としては、例えば、高圧空気や高圧水を噴射する方法、ナイロンタワシや金属タワシを用いて手洗いする方法、有機溶剤を用いて手洗いする方法、ドライアイス粒子群を被洗浄面に吹き付ける方法(特開平10−319638号公報)、ドライアイスのペレットを壁面に噴射する方法(特開平10−319634号公報)、ドライアイス粒子を投入して装置を稼動させる方法(特許第3041452号公報)などが提案されている。
【0006】
しかし、これらの洗浄方法は、一長一短があり、特にカラートナーの色替え時の洗浄方法としては、必ずしも適していない。例えば、高圧空気や高圧水を噴射する方法では、着色樹脂の融着物や顔料などの強固な付着物を除去することが困難である。ナイロンタワシや金属タワシを用いる方法は、被洗浄面を傷つけやすく、次工程で付着物が傷の内部にまで入り込んで洗浄がさらに困難になる。製造装置内に有機溶剤を投入し、流動させて洗浄する方法は、有機溶剤に溶解または分散し難い顔料や着色樹脂などの付着物をきれいに除去することが困難である。
有機溶剤を洗浄剤として、ウエスなどを用いて手洗いする方法は、付着物の除去には有効な方法ではあるものの、労力が大きく、しかも安全対策を取る必要がある。ドライアイスの粒子やペレットを用いる方法は、ドライアイスが昇華しない洗浄条件を設定する必要があることに加えて、多くの場合、操作が煩雑で、しかも製造装置の各部まで洗浄して、顔料や着色樹脂などの付着物をほぼ完全に除去することが困難である。
【0007】
近年、電子写真方式による画像形成において、フルカラー化が進められているが、それに伴って、シアン、マゼンタ、イエローなどの各色相を有するカラートナーが製造されている。ある色相のカラートナーを製造した後、同じ製造設備で他の色相のカラートナーを製造する場合には、該製造設備を洗浄して、付着した顔料や着色樹脂をほぼ完全に除去する必要がある。シアン、マゼンタ、イエローなどの各色相を有するカラートナーは、互に汚染されると、色相が変化してしまう。
【0008】
例えば、シアン顔料を用いてシアントナーを製造した場合、その製造に用いた装置にシアン顔料やシアン顔料を含む着色樹脂などが強固に付着する。この製造装置を洗浄して、これらの付着物をほぼ完全に除去する必要がある。洗浄後、トナー製造装置に、シアン顔料やシアン顔料を含む着色樹脂などの付着物が一定量残存していると、次の製造工程でマゼンタトナーまたはイエロートナーを製造すると、これらの付着物が混入して、所望の色相を有するカラートナーを製造することができない。特にイエロー顔料やイエロートナーは、他の色相の顔料や着色樹脂からの汚染の影響が大きく、同じ製造設備を使用してイエロートナーを製造する場合、高品質のイエロートナーを得るためには、色替え時の洗浄が極めて重要である。
【0009】
各色相の顔料や着色樹脂などの相互汚染を防ぐ方法として、各色相別に製造設備を設置する方法が考えられるが、設備コストの増大を招くため、実際には、同じ製造設備を用いて多品種生産または多品種少量生産をすることが多い。同じ色相の顔料を用いてカラートナーを製造する場合でも、使用する顔料の種類や色調が異なる場合には、トナー製造装置を洗浄して付着物を除去することが、高品質のカラートナーを製造する上で望ましいことが多い。
【0010】
したがって、カラートナーの色替え時などに、トナー製造装置を洗浄して、前工程での付着物をほぼ完全に除去する必要があるが、いまだ満足できる洗浄方法が見出されていない。トナーの色替えや品種切り替えの頻度が高くなると、洗浄に要する時間や労力をできる限り節約することが、生産効率の観点からも強く求められる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、トナーの色替え時や品種切り替え時などに、トナー製造設備への付着物を容易かつ効率的に除去することができるトナー製造設備の洗浄方法を提供することにある。
【0012】
また、本発明の目的は、同じ製造設備を用いて、重合法により、ある色相のカラートナーを製造した後、該カラートナーの製造に用いた重合装置などの製造設備を洗浄して、付着物を容易かつ効率的に除去した後、同じ製造設備で他の色相のカラートナーを製造する方法を提供することにある。ここで、「他の色相のカラートナー」とは、イエロー、マゼンタ、シアンなどの色の違いのみならず、同じ色でも、顔料の種類や色調の違いなど、他の品種のカラートナーである場合をも意味する。
【0013】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究した結果、洗浄液として、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液を用いる方法に想到した。この洗浄液をトナー製造装置に投入して撹拌または循環させたり、被洗浄面に吹き付けたりすることにより、該製造装置の内壁や攪拌機、配管などに付着している顔料や着色樹脂を効率的に除去することができる。この洗浄液を用いる方法を採用すると、他の色相の顔料や着色樹脂による汚染の影響が大きいイエロートナーであっても、トナーの色替え時や品種切り替え時に、汚染をほぼ完全に抑制することができる。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、トナー製造装置を洗浄して、トナー製造工程で付着した被洗浄面の付着物を除去するトナー製造装置の洗浄方法において、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて洗浄することを特徴とするトナー製造装置の洗浄方法が提供される。
【0015】
また、本発明によれば、色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法において、(I)少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とを含有する第一重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第一重合トナー(A)を製造する工程1、(II)極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて、第一重合トナー(A)の製造に用いたトナー製造設備を洗浄し、被洗浄面の付着物を除去する工程2、及び(III)洗浄後のトナー製造設備を用いて、少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とは色相が異なる第二着色剤(b)とを含有する第二重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第二重合トナー(B)を製造する工程3からなる一連の工程を含むことを特徴とする色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】
1.極性基含有樹脂
本発明では、トナー製造装置の洗浄液として、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液を使用する。極性基としては、顔料の有機溶剤中への分散性の観点から、ピリジニウム基、アミノ基、第4級アンモニウム塩基、無水マレイン酸、カルボキシル基、硫酸残基、スルホン酸基、リン酸基などの官能基が好ましく、第4級アンモニウム塩基及びスルホン酸基がより好ましい。
【0017】
これらの官能基(極性基)を含有する樹脂は、一般に、官能基を含有するビニル系単量体と、これと共重合可能な他のビニル系単量体とを共重合することにより製造することができる。また、これらの官能基を含有する樹脂は、官能基を含有しないビニル系単量体を(共)重合した後、得られた(共)重合体を変性処理することにより、官能基を導入した(共)重合体であってもよい。
【0018】
本発明で使用する極性基含有樹脂の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜50,000、特に好ましくは3,000〜30,000の範囲内にあることが望ましい。重量平均分子量は、テトラヒドロフランを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。極性基含有樹脂の重量平均分子量が低すぎると、顔料の分散性が低下して、洗浄性が低下するおそれがある。官能基含有樹脂の重量平均分子量が大きすぎると、有機溶剤に対する溶解性が低下する。極性基含有樹脂は、トナーの製造に使用するビニル芳香族単量体などの重合性単量体や芳香族炭化水素系溶剤などに溶解するものであることが好ましい。
【0019】
本発明で使用する極性基含有樹脂としては、トナーの製造時に帯電制御剤の一種として使用する帯電制御樹脂を用いることができる。帯電制御樹脂としては、トナーに正帯電性をもたらす官能基を有する正帯電制御樹脂と、トナーに負帯電性をもたらす官能基を有する負帯電制御樹脂とがある。以下、これらの帯電制御樹脂について説明する。
【0020】
(1)正帯電制御樹脂
本発明で極性基含有樹脂として用いる正帯電制御樹脂は、重量平均分子量が好ましくは前記の範囲内で、かつ、正帯電性をもたらす官能基(極性基)を有する重合体である。該重合体は、その構造単位の何れかに当該官能基が結合していれば、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。正帯電制御樹脂は、着色樹脂に対する溶解性の観点から、正帯電性をもたらす官能基を有する単量体単位とビニル芳香族炭化水素単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位とを含有する共重合体であることが好ましい。
【0021】
正帯電性をもたらす官能基としては、例えば、ピリジニウム基、アミノ基、第4級アンモニウム塩基などが挙げられるが、これらの中でも第4級アンモニウム塩基が好ましい。正帯電制御樹脂中の正帯電性をもたらす官能基が結合した構造単位の割合は、通常0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。
【0022】
正帯電制御樹脂としては、第4級アンモニウム塩基を有する共重合体が好ましく、ビニル芳香族単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位と第4級アンモニウム塩基を有する単量体単位とを有する共重合体がより好ましい。第4級アンモニウム塩基含有重合体は、以下の単量体類を用い、重合開始剤の存在下、乳化重合、分散重合、懸濁重合、溶液重合などにより重合し、さらに必要に応じて、適当な四級化剤で四級化反応させる方法により得ることができる。
【0023】
ビニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−エチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、2−プロピルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、2−イソプロピルスチレン、3−イソプロピルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メチル−α−メチルスチレン、3−メチル−α−メチルスチレン、4−メチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン及びα−メチルスチレンが好ましい。これらのビニル芳香族単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
アクリレート単量体またはメタクリレート単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位を共重合体中に導入する方法としては、例えば、(i) ビニル芳香族単量体と(メタ)アクリレート単量体とN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート単量体とを重合開始剤の存在下で共重合させた後、ハロゲン化有機化合物や酸エステル化合物などの第4級化剤を用いて、アミノ基を第4級化する方法、(ii)N,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレート単量体を第4級アンモニウム塩化した単量体、ビニル芳香族単量体、及び(メタ)アクリレート単量体を重合開始剤の存在下で共重合させた後、有機酸またはその誘導体と反応させて塩にする方法、(iii) ビニル芳香族単量体、(メタ)アクリレート単量体、及び第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体を重合開始剤の存在下で共重合させる方法、(iv)ビニル芳香族単量体とハロゲン化アルキル(メタ)アクリレート単量体との共重合体と、ビニル芳香族単量体とアミノ基含有(メタ)アクリレート単量体との共重合体とを混合し、ポリマー間で第4級化する方法などがある。
【0026】
アミノ基含有(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジイソプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、エチルメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、メチルプロピルアミノメチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノ−1−エチル(メタ)アクリレートなどのN,N−二置換アミノアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。アルキル基の炭素原子数は、1〜3が好ましい。
【0027】
第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体の具体例としては、N,N,N−トリメチル−N−(2−メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DMC;メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド)、N−ベンジル−N,N−ジメチル−N−(2−メタクリルオキシエチル)アンモニウムクロライド(DML;メタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド)等が挙げられる。これらの単量体は、アミノ基含有(メタ)アクリレート単量体をハロゲン化有機化合物で変性して、ハロゲン化第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体とすることによっても調製することができる。
【0028】
第4級化剤としては、ハロゲン化有機化合物や酸エステル化合物がある。ハロゲン化有機化合物としては、例えば、クロロメタン、ジクロロメタン、トリクロロメタンなどの炭素原子数1〜6の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキルハライド;クロロベンゼン、4−クロロトルエン、1−クロロナフタレンなどの芳香族ハライド;を挙げることができる。酸エステルとしては、例えば、メチルスルホン酸メチル、メチルスルホン酸エチルなどのアルキルスルホン酸アルキルエステル;ベンゼンスルホン酸メチルなどのベンゼンスルホン酸アルキルエステル;パラトルエンスルホン酸メチルなどのパラトルエンスルホン酸アルキルエステル;トリメチルホスフェートなどのリン酸エステル;トリメトキシボランなどのホウ酸エステル;などが挙げられる。
【0029】
有機酸またはその誘導体としては、メチルスルホン酸などのアルキルスルホン酸;ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸などの芳香族スルホン酸;トリメチルホスフェートなどのリン酸エステル;トリメトキシボランなどのホウ酸エステル;などが挙げられる。
【0030】
重合方法としては、所望の重量平均分子量を有する共重合体が得られやすい点で溶液重合法が好ましい。重合開始剤としては、アゾ化合物、過酸化物などが用いられる。重合条件としては、一般に、重合温度が50〜200℃で、重合時間が0.5〜20時間である。
【0031】
正帯電制御樹脂を構成する共重合体中のビニル芳香族単量体単位の割合は、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは75〜95重量%で、(メタ)アクリレート単量体単位の割合は、好ましくは1.9〜29.9重量%、より好ましくは4.5〜24.5重量%である。第4級アンモニウム塩基含有(メタ)アクリレート単量体単位は、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0032】
(2)負帯電制御樹脂
本発明で極性基含有樹脂として用いる負帯電制御樹脂 は、重量平均分子量が好ましくは前記範囲内で、かつ、負帯電性をもたらす官能基(極性基)を有する重合体である。該重合体は、負帯電性をもたらす官能基を有する重合体であればよく、単独重合体であっても、共重合体であってもよい。負帯電制御樹脂は、着色樹脂の溶解性の観点から、負帯電性をもたらす官能基を有する単量体単位とビニル芳香族単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位とを含有する共重合体が特に好ましい。
【0033】
負帯電性をもたらす官能基としては、例えば、無水マレイン酸、カルボキシル基、硫酸残基、スルホン酸基、リン酸基などが挙げられるが、これらの中でもスルホン酸基が好ましい。負帯電制御樹脂中の負帯電性をもたらす官能基を有する単量体単位の割合は、通常0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜10重量%の範囲内である。
【0034】
負帯電制御樹脂としては、スルホン酸基含有(メタ)アクリレート単量体単位と他の重合性単量体単位とを有する共重合体がより好ましく、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体単位とビニル芳香族単量体単位と(メタ)アクリレート単量体単位とからなる共重合体が特に好ましい。このような共重合体は、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体とビニル芳香族単量体と(メタ)アクリレート単量体とを、重合開始剤を用いて、乳化重合、分散重合、懸濁重合または溶液重合することにより得ることができる。これらの中でも、目的とする重量平均分子量を有する共重合体が得られやすい点で溶液重合法が好ましい。
重合方法としては、正帯電制御樹脂におけるのと同様の方法が採用できる。
【0035】
負帯電制御樹脂を製造するのに用いるビニル芳香族単量体及び(メタ)アクリレート単量体の具体例は、正帯電制御樹脂の場合と共通である。スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体の具体例としては、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、4−メタクリルアミドベンゼンスルホン酸などのアクリルアミドアルキルスルホン酸類;2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸などのアクリルアミドカルボキシアルキルスルホン酸類;2−アクリルアミド−2−(2−ピリジン)プロパンスルホン酸などのアクリルアミド−複素環基含有アルキルスルホン酸類;及びこれらの金属塩が挙げられる。これらのスルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体は、単独であっても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
負帯電制御樹脂を構成する共重合体中のビニル芳香族単量体単位の割合は、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは75〜95重量%で、(メタ)アクリレート単量体単位の割合は、好ましくは1.9〜29.9重量%、より好ましくは4.5〜24.5重量%で、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド単量体由来の構造単位は、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%である。
【0037】
2.洗浄液
本発明で使用する洗浄液は、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液である。有機溶剤としては、極性基含有樹脂を溶解させることができるものであれば特に制限されない。有機溶剤の具体例としては、ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;n−ヘキサン、シクロヘキサンなどの飽和炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール;ニトリル類、アミン類、アミド類、複素環化合物などの含窒素有機化合物;ケトン類、カルボン酸エステル類、エーテル類、カルボン酸類などの含酸素有機化合物;塩素置換脂肪族炭化水素などの含塩素有機化合物;含硫黄有機化合物などが挙げられる。これらの中でも、トルエンなどの芳香族炭化水素が好ましい。
【0038】
また、有機溶剤としては、トナーの製造に使用する重合性単量体を使用することができる。具体的には、スチレンなどのビニル芳香族単量体、メチルメタクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、スチレンなどのビニル芳香族単量体が好ましい。
【0039】
本発明の洗浄液における極性基含有樹脂の濃度は、好ましくは0.5〜40重量%、より好ましくは1〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%の範囲内である。極性基含有樹脂の濃度が低すぎても、高すぎても、トナー製造装置に付着した顔料や着色樹脂などに対する洗浄性が低下する。
【0040】
3.トナー製造装置
本発明の洗浄方法が対象とするトナー製造装置としては、例えば、混合装置、混練装置、粉砕装置、分級装置、撹拌装置(撹拌槽)、重合装置(重合槽)、乾燥装置、これらの装置に付属する攪拌機や配管などが挙げられる。トナーの製造工程において、これらの装置には、結着樹脂、顔料などの着色剤、離型剤、着色剤を含有する結着樹脂や着色重合体などの着色樹脂、これらの混合物などが付着する。付着の態様には、融着も含まれる。トナーとしては、粉砕トナーや重合トナーなどが含まれる。
【0041】
本発明の洗浄方法は、トナーの色替え時や品種切り替え時に、トナー製造装置の洗浄に適用される。トナーの色替え時とは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各色のトナーを製造する場合、ある色から他の色に切り替える時を意味する。トナーの品種切り替え時とは、トナーの組成の変更、色調の変更などを行う時を意味する。同じ色のトナーであっても、顔料を変更したり、色調を変更したりする場合には、トナーの品種切り替えであるということができる。本発明の洗浄方法は、イエロー、マゼンタ、シアンなどのカラートナーの色替え時に適用すると、とりわけ効果が分かりやすい。
【0042】
本発明の洗浄方法は、重合トナーの色替え時や品種切り替え時に適用する場合には、トナー製造装置として、重合性単量体組成物の撹拌装置、重合装置、重合トナーの乾燥装置、外添剤との混合装置などが主たる対象となる。撹拌装置や重合装置などの内壁、攪拌機、配管などの各部には、着色剤として用いた顔料や該顔料を含む着色重合体(着色樹脂)などが強く付着する。
【0043】
4.洗浄方法
本発明の洗浄液を用いてトナー製造装置を洗浄する方法としては、(1)重合装置などの製造装置内に洗浄液を投入し、攪拌機により洗浄液を撹拌して流動・循環させる方法、(2)洗浄液を内壁や攪拌機などに吹きつける方法、(3)これらを組み合わせた方法などがある。
【0044】
洗浄は、通常、製造装置の各部に付着した顔料や着色樹脂などの色が判別できなくなる程度まで行う。本発明の洗浄方法を重合法によるカラートナーの製造方法に適用した場合、ある色相1のカラートナーAを製造後、同じ製造装置で他の色相2のカラートナーBを製造し、再度、同じ製造装置で前記色相1のカラートナーCを製造すると、カラートナーAとCとの間の色差ΔE*(ab)を好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.5以下にすることができる。もちろん、各カラートナーA及びBの製造後に、それぞれ本発明の洗浄液を用いて製造装置の洗浄を行う。このように、間に他の色相のカラートナーの製造工程が介在しても、元の色相のカラートナーを再生産することができる。当然のことながら、間に介在するカラートナーBの色相も良好である。
【0045】
本発明の洗浄剤を用いると、容易かつ効率的に付着物の除去を行うことができる。その理由については、現段階でが必ずしも明確でないが、以下のように推定することができる。すなわち、極性基含有樹脂は、顔料などの着色剤との親和性が高く、トナー製造装置に付着した着色剤や着色樹脂を溶かし出しやすいためではないかと考えられる。特に、極性基を持った帯電制御樹脂は、その極性により顔料粒子を引きつけ、有機溶媒中に均一に分散させる効果が高いため、顔料が付着した製造装置の洗浄能力が高いと考えられる。
【0046】
極性基含有樹脂の中でも、負極性のものは、シアン顔料の洗浄効果が優れており、正極性のものは、シアン、マゼンタ、イエローの各顔料の洗浄効果に優れている。したがって、顔料の種類に応じて、極性基含有樹脂の種類や組み合わせを選択することが好ましい。極性基の種類と顔料の種類により洗浄効果に違いがある理由は、よくわかっていないが、顔料の酸及び塩基量に関係するのではないかと考えている。
【0047】
本発明の洗浄液は、数回にわたって繰り返し洗浄に使用することができる。多くの場合、5回程度まで繰り返し使用することができる。洗浄後の洗浄液は、必要に応じて、それぞれの成分に分離・精製してリサイクルすることができる。
【0048】
5.重合トナーの製造方法
本発明の洗浄方法は、色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法に適用することができる。具体的には、以下の工程1〜3を含む工程により、色相が異なる2種以上のカラートナーを製造することができる。
【0049】
(I) 少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とを含有する第一重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第一重合トナー(A)を製造する工程1、
(II) 極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて、第一重合トナー(A)の製造に用いたトナー製造設備を洗浄し、被洗浄面の付着物を除去する工程2、及び
(III) 洗浄後のトナー製造設備を用いて、少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とは色相が異なる第二着色剤(b)とを含有する第二重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第二重合トナー(B)を製造する工程3。
【0050】
当業者であれば容易に理解することができるように、上記工程1〜3と同様の工程を繰り返すことにより、色相が異なる第三重合トナーや第四重合トナーなどを製造することができる。また、第二重合トナーの製造後に、第一重合トナーと同じ色相のトナーを再生産してもよい。
【0051】
重合トナーの製造方法としては、懸濁重合法、乳化重合法などがあり、これらの中でも所望の粒径の重合トナーを製造しやすい点で、懸濁重合法が好ましい。
乳化重合法を採用する場合には、重合後に凝集させるなどして、粒径を調整することができる。乳化重合法と懸濁重合法とを組み合わせてもよい。重合トナーの製造は、常法に従って行うことができるが、懸濁重合法を中心にその詳細を説明すると、以下の通りである。
【0052】
重合トナーの製造方法は、少なくとも着色剤と重合性単量体とを含有する重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む。該重合性単量体組成物を重合して着色重合体粒子を生成させるが、所望により、該着色重合体粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合させる工程を付加して、コア・シェル型重合体粒子を生成させてもよい。
【0053】
水系分散媒体としては、一般に、イオン交換水などの水を用いるが、所望により、アルコールなどの親水性溶媒を加えてもよい。重合性単量体組成物には、必要に応じて、架橋性単量体、マクロモノマー、帯電制御剤、離型剤、滑剤、分散助剤、分子量調整剤などの各種添加剤を含有させることができる。重合を開始するために、重合開始剤を使用する。
【0054】
(1)重合性単量体:
重合性単量体の主成分として、一般に、モノビニル単量体を使用する。モノビニル単量体としては、例えば、スチレンなどの芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸の誘導体;エチレン、プロピレン、ブチレン等のモノオレフィン単量体;これらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0055】
モノビニル単量体と共に、それぞれ2個以上のビニル基を有する架橋性単量体及び/または架橋性重合体を用いると、ホットオフセット特性を改善することができる。架橋性単量体及び/または架橋性重合体の使用割合は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは10重量部以下、より好ましくは0.01〜7重量部である。
【0056】
モノビニル単量体と共にマクロモノマーを用いると、高温での保存性と低温での定着性とのバランスが良好になるので好ましい。マクロモノマーは、分子鎖の末端に重合可能な炭素−炭素不飽和二重結合を有する巨大分子であり、数平均分子量が通常1,000〜30,000のオリゴマーまたはポリマーである。マクロモノマーの使用割合は、モノビニル単量体100重量部に対して、好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.03〜5重量部である。
【0057】
(2)着色剤:
着色剤としては、カーボンブラックやチタンホワイトなどのトナーの分野で用いられている各種顔料及び染料を使用することができる。黒色着色剤としては、カーボンブラック、ニグロシンベースの染顔料類;コバルト、ニッケル、四三酸化鉄、酸化鉄マンガン、酸化鉄亜鉛、酸化鉄ニッケル等の磁性粒子;等を挙げることができる。カラートナー用着色剤としては、一般に、イエロー、マゼンタ、シアンなどの各色の顔料が使用される。着色剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜20重量部の割合で用いられる。
【0058】
(3)帯電制御剤:
重合トナーの帯電性を向上させるために、各種の正帯電性または負帯電性の帯電制御剤を重合性単量体組成物中に含有させることが好ましい。帯電制御剤としては、例えば、カルボキシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、含金属染料、ニグロシン、帯電制御樹脂などが挙げられる。帯電制御剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜10重量部の割合で用いられる。
【0059】
(4)離型剤:
オフセット防止または熱ロール定着時の離型性の向上などの目的で、離型剤を重合性単量体組成物中に含有させることができる。離型剤としては、ポリオレフィンワックス、植物系天然ワックス、石油系ワックス及びその変性ワックス、合成ワックス、ジペンタエリスリトールヘキサミリステートなどの多官能エステル化合物、これらの2種以上の混合物などが挙げられる。離型剤の使用割合は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、より好ましくは1〜10重量部である。
【0060】
(5)滑剤・分散助剤:
着色剤の均一分散等を目的として、脂肪酸、脂肪酸金属塩などの滑剤;シラン系またはチタン系カップリング剤等の分散助剤;などを重合性単量体に含有させることができる。このような滑剤や分散剤は、着色剤の重量を基準として、通常1/1000〜1/1程度の割合で使用される。
【0061】
(6)重合開始剤:
重合性単量体の重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4′−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;ジ−t−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、1,1′,3,3′−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の過酸化物類;などを挙げることができる。これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を使用することもできる。これらの開始剤の中でも、重合性単量体に可溶な油溶性の重合開始剤を選択することが好ましい。重合開始剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部の割合で用いられる。
【0062】
重合開始剤は、重合性単量体組成物中に予め添加することができるが、早期重合を抑制するために、重合性単量体組成物の液滴形成工程の終了後または重合反応の途中の懸濁液に直接添加することもできる。
【0063】
(7)分子量調整剤:
分子量調整剤としては、例えば、メルカプタン類、ハロゲン化炭化水素類などを挙げることができる。分子量調整剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
【0064】
(8)分散安定剤:
分散安定剤としては、難水溶性金属化合物のコロイドが好適である。難水溶性金属化合物としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、などの硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの炭酸塩;りん酸カルシウムなどのりん酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄の金属水酸化物;等を挙げることができる。これらの中でも、難水溶性金属水酸化物のコロイドは、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、画像の鮮明性が向上するので好適である。
【0065】
難水溶性金属化合物のコロイドとしては、水溶性多価金属化合物水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。分散安定剤は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用する。
【0066】
本発明においては、分散安定剤として、水溶性高分子などのその他の分散安定剤を用いることができる。帯電特性の環境依存性が大きくならない範囲内で、界面活性剤を使用することもできる。
【0067】
(9)重合工程:
重合トナーは、重合性単量体の重合により生成した重合体が結着樹脂となり、その中に着色剤や帯電制御剤、離型剤などの添加剤成分が分散した着色重合体粒子である。この着色重合体粒子をコアとし、その上に重合体層からなるシェルを形成して、コア・シェル型重合体粒子とすることができる。
【0068】
重合トナーは、例えば、以下の工程により得ることができる。重合性単量体、着色剤、及びその他の添加剤などを混合機を用いて混合し、必要に応じて、メディヤ型湿式粉砕機などを用いて湿式粉砕し、重合性単量体組成物を調製する。次に、重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水系分散媒体中に分散し、撹拌して、重合性単量体組成物の均一な液滴(体積平均粒径が50〜1000μm程度の一次液滴)を形成する。重合開始剤は、水系分散媒体中で液滴の大きさが均一になってから水系分散媒体に添加することが好ましい。
【0069】
水系分散媒体中に重合性単量体組成物の液滴が分散した懸濁液に重合開始剤を添加混合し、さらに、高速回転剪断型撹拌機を用いて、液滴の粒径が目的とする重合トナー粒子に近い小粒径になるまで撹拌する。このようにして形成された微小粒径の液滴(体積平均粒径が1〜12μm程度の二次液滴)を含有する懸濁液を重合反応器に仕込み、通常5〜120℃、好ましくは35〜95℃の温度で懸濁重合を行う。
【0070】
懸濁重合により、重合性単量体の重合体中に着色剤などの添加剤成分が分散した着色重合体粒子が生成する。この着色重合体粒子を重合トナーとして使用することができるが、重合トナーの保存性(耐ブロッキング性)、低温定着性、定着時の溶融性などを改善する目的で、懸濁重合によって得られた着色重合体粒子の上に、さらに重合体層を形成して、コア・シェル型構造を有するカプセルトナーとすることができる。
【0071】
コア・シェル型構造の形成方法としては、前記の着色重合体粒子をコア粒子とし、該コア粒子の存在下にシェル用重合性単量体を更に重合して、コア粒子の表面に重合体層(シェル)を形成する方法が好ましい。シェル用重合性単量体として、コア粒子を構成する重合体成分のガラス転移温度(Tg)よりも高いTgを有する重合体を形成するものを使用すると、重合トナーの保存性を改善することができる。コア用重合性単量体とシェル用重合性単量体との重量比は、通常40/60〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.7/0.3である。
【0072】
シェル用重合性単量体は、コア粒子の平均粒径よりも小さな液滴として重合反応系に添加することが好ましい。シェル用重合性単量体の液滴の粒径を小さくすることにより、コア粒子の周囲に均一な重合体層を形成しやすくなる。シェル用重合性単量体を小さな液滴とするには、シェル用重合性単量体と水系分散媒体との混合物を、例えば、超音波乳化機などを用いて、微分散処理を行い、得られた分散液を重合反応系に添加すればよい。シェル用重合性単量体には、必要に応じて、帯電制御剤を加えることができる。
【0073】
コア・シェル型構造の重合トナーを製造するには、コア粒子を含有する懸濁液中に、シェル用重合性単量体またはその水系分散液を一括して、あるいは連続的若しくは断続的に添加する。シェル用重合性単量体を添加する際に、水溶性のラジカル開始剤を添加することがシェルを効率良く形成する上で好ましい。水溶性重合開始剤としては、過硫酸塩、2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕などのアゾ系開始剤等を挙げることができる。水溶性重合開始剤の使用量は、シェル用重合性単量体100重量部当り、通常0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。シェルの平均厚みは、通常0.001〜1.0μm、好ましくは0.003〜0.5μmである。
【0074】
(10)重合トナー:
本発明の製造方法により得られる重合トナー(コア・シェル型構造を有するカプセルトナーを含む)の体積平均粒径(dv)は、通常1〜12μm、好ましくは2〜11μm、より好ましくは3〜10μmである。重合トナーの体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)で表される粒径分布は、通常1.7以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.3以下である。重合トナーの体積平均粒径が大きすぎると、解像度が低下しやすくなる。重合トナーの粒径分布が大きいと、大粒径のトナーの割合が多くなり、解像度が低下しやすくなる。
【0075】
重合トナーは、長径(dl)と短径(ds)との比(dl/ds)で表される球形度が、好ましくは1〜1.3、より好ましくは1〜1.2の実質的に球形であることが好ましい。実質的に球形の重合トナーを用いると、感光体上のトナー像の転写材への転写効率が向上する。
【0076】
重合トナーは、各種現像剤のトナー成分として使用することができるが、非磁性一成分現像剤として使用することが好ましい。重合トナーを非磁性一成分現像剤とする場合には、各種外添剤を混合することができる。外添剤としては、流動化剤や研磨剤などとして作用するシリカなどの無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。外添剤の使用量は、重合トナー100重量部に対して、通常0.1〜6重量部である。外添剤を重合トナーに付着させるには、通常、重合トナーと外添剤とをヘンシェルミキサーなどの混合機に入れて攪拌する。
【0077】
【実施例】
以下に参考例、実施例、及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。以下の参考例、実施例、及び比較例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、重量(質量)基準である。測定法は、以下の通りである。
【0078】
(1)色差の測定法:
色彩を数値で表す手段として、L*a*b*表色系がある。該表色系において、L*値は、明るさを表し、0〜100までの範囲内で数値が大きいほど明るいことを示す。a*とb*で色味を表し、a*が+の方向になるほど赤みが強くなり、マイナスの方向になるほど緑みが強くなる。また、b*が+の方向になるほど黄みが強くなり、マイナスの方向になるほど青みが強くなる。色差ΔE*(ab)は、この色空間中の2色間の直線距離を計算して求める。
【0079】
この色差ΔE*(ab)は、分光色差計(日本電飾工業社製、商品名「SE−2000」)を用いて測定した。つまり、基準となるトナーと比較するトナーをそれぞれ直径32mm、高さ15mmの円筒形透明ガラス容器に8cc入れ、上記測定器でa*b*を測定し、以下の関係式を用いて色差ΔE*(ab)を算出した。
ΔE*(ab)=〔(a1−a2)2 +(b1−b2)2〕1/2
式中、a1及びb1は、基準となるトナーのa*値とb*値で、a2及びb2は、比較するトナーのa*値とb*値である。
【0080】
(2)粒径:
重合トナーの体積平均粒径(dv)、及び体積平均粒径(dv)と個数平均粒径(dp)との比(dv/dp)で表される粒径分布は、マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定する。マルチサイザーによる測定は、アパーチャー径=100μm、媒体=イソトンII、濃度=10%、測定粒子数=100,000個の条件で行う。
【0081】
[参考例1]負帯電制御樹脂 (A) の合成例
スチレン82%、アクリル酸ブチル11%、及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸7%からなる単量体混合物100部をトルエン900部中に投入し、アゾビスジメチルバレロニトリル4部の存在下、80℃で8時間重合反応させた。重合反応終了後、トルエンを留去して、スルホン酸基含有共重合体(重量平均分子量18,000、ガラス転移温度67℃)を得た。このスルホン酸基含有共重合体は、負帯電制御樹脂(A)である。
【0082】
[参考例2]正帯電制御樹脂 (B) の合成例
スチレン82%、アクリル酸n−ブチル16%、及びメタクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド2%からなる単量体混合物100部をトルエン900部中に投入し、アゾビスジメチルバレロニトリル4部の存在下、80℃で8時間重合反応させた。重合反応終了後、トルエンを留去して、第4級アンモニウム塩基含有共重合体(重量平均分子量12,000、ガラス転移温度61℃)を得た。この第4アンモニウム塩基含有共重合体は、正帯電制御樹脂(B)である。
【0083】
[参考例3]顔料マスターバッチ (M1) の製造例
参考例1で合成した帯電制御樹脂(A)100部に、メチルエチルケトン24部とメタノール6部を分散させ、冷却しながらロールにて混練した。帯電制御樹脂がロールに巻き付いたところで、着色剤としてイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー180)100部を徐々に添加して、1時間混練を行い、顔料マスターバッチ(M1)を得た。この時、ロール間隙は、初期1mmであり、その後、徐々に間隙を広げ、最後は3mmまで広げた。また、有機溶剤(メチルエチルケトン/メタノール=4/1混合溶剤)は、帯電制御樹脂の混練状態に合わせて、何回か追加した。
【0084】
顔料マスターバッチの一部を取り出した後、トルエンを加えて溶解させ、トルエンの5%溶液にした。ガラス板上に、間隙が30μmのドクターブレードで混合溶液を塗布、乾燥させ、シートを作製した。このシートを光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方内に、長径が0.2μm以上の顔料粒子は存在しなかった。
【0085】
[参考例4]顔料マスターバッチ (M2) の製造例
イエロー顔料に代えて、シアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を用いたこと以外は、参考例3と同様にして、負帯電制御樹脂(A)とシアン顔料とを含有する顔料マスターバッチ(M2)を製造した。参考例3と同様にシートを作製して、光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方内に、長径が0.2μm以上の顔料粒子は存在しなかった。
【0086】
[参考例5]顔料マスターバッチ (M3) の製造例
イエロー顔料に代えて、マゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122)を用いたこと以外は、参考例3と同様にして、負帯電制御樹脂(A)とマゼンタ顔料とを含有する顔料マスターバッチ(M3)を製造した。参考例3と同様にシートを作製して、光学顕微鏡にて観察したところ、100μm平方内に、長径が0.2μm以上の顔料粒子は存在しなかった。
【0087】
[参考例6]重合トナー(標準イエロートナー)の製造例
イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(水酸化アルカリ金属)6.9部を溶解した水溶液を撹拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。調製したコロイドの粒径分布を測定したところ、粒径は、D50(個数粒径分布の50%累計値)が0.38μmで、D90(個数粒径分布の90%累計値)が0.82μmであった。
【0088】
撹拌機(特殊機化工業社製、製品名「TKホモミキサーMARK 1120型」)を装備した撹拌槽に、スチレン80.5部、アクリル酸n−ブチル19.5部、及びポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」)0.3部からなるコア用重合性単量体と、参考例3で調製した顔料マスターバッチ(M1)16部、t−ドデシルメルカプタン2部、及びジペンタエリスリトールヘキサミリステート10部を投入し、混合液が流動付与部から重合方向に吐出するようにタービンを12,500rpmで回転させて、均一分散し、コア用重合性単量体組成物を得た。
【0089】
一方、メタクリル酸メチル1部と水100部を超音波乳化機にて微分散化処理して、シェル用重合性単量体の水分散液を得た。シェル用重合性単量体の液滴の粒径は、(SALD2000A型、島津製作所株式会社製)で測定したところ、D90が1.6μmであった。
【0090】
前記により得られた水酸化マグネシウムコロイド分散液に、前記コア用重合性単量体組成物を投入し、液滴が安定するまで撹拌し、そこにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製「パーブチルO」)6部を添加した後、高剪断力攪拌機(荏原製作所製「エバラマイルダー」)を用いて15,000rpmの回転数で30分間高剪断撹拌して、さらに小さい単量体組成物の液滴を形成させた。このコア用重合性単量体組成物の水分散液を、撹拌翼を装着した反応器に入れ、90℃で重合反応を開始させ、重合転化率がほぼ100%に達したときに、サンプリングし、コアとなる着色重合体粒子の粒径を測定した。この結果、コア粒子の粒径は、7.4μmであった。前記シェル用重合性単量体の水分散液、及び蒸留水65部に溶解した2,2′−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕(和光純薬社製、商品名「VA−086」)0.2部を反応器に入れた。8時間重合を継続した後、反応を停止し、pH9.5のコア・シェル型重合体粒子(イエロートナー粒子)の水分散液を得た。
【0091】
前記により得たイエロートナー粒子の水分散液を撹拌しながら、硫酸により系のpHを5以下にして酸洗浄(25℃、10分間)を行い、濾過により水を分離した後、新たにイオン交換水500部を加えて再スラリー化し水洗浄を行った。
その後、再度、脱水と水洗浄を数回繰り返し行って、固形分を濾過分離した後、乾燥機にて45℃で2昼夜乾燥を行い、イエロートナー粒子を回収した。
【0092】
このようにして得られたイエロートナー粒子を乾燥した。その体積平均粒径(dv)は7.4μmで、体積平均粒径(dv)/個数平均粒径(dp)は1.24で、rl/rsは1.1であった。
【0093】
イエロートナー粒子100部と疎水化処理された体積平均粒径14nmのコロイダルシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX−200」)0.6部とをヘンシェルミキサーを用いて混合してイエロートナーを調製した。このイエロートナーの色相を測定したところ、L*=64.50、a*=6.99、b*=92.49であった。このイエロートナーを標準(コントロール)イエロートナーとする。
【0094】
[実施例1]
参考例6で使用した撹拌機(特殊機化工業社製、製品名「TKホモミキサーMARK 1120型」)を装備した撹拌槽(撹拌装置)、及び撹拌翼を装着した反応器(重合装置)を、トルエンとウエスを用いて、内壁や攪拌機などの各部の表面にイエローが判別できなくなるまで拭き上げた。この洗浄操作は、後述する本発明の洗浄液を用いた洗浄方法の有効性を確認するために、手作業で行ったものである。
【0095】
参考例6において、イエロー顔料マスターバッチ(M1)に代えて、参考例4で調製したシアン顔料マスターバッチ(M2)を用いたこと以外は、参考例6と同様にして、重合トナー(シアントナー)を製造した。各工程では、前記で洗浄した撹拌槽及び反応器を使用した。
【0096】
他方、スチレン100部に参考例1で合成した負帯電制御樹脂(A)10部を溶解させて、得られた溶液を洗浄液とした。この洗浄液をシアントナー製造後の撹拌槽及び反応器に、それぞれ5,000cm3づつ投入し、60分間にわたり、攪拌機を洗浄液が重力と反対方向に吐出するように、12,500rpmで回転させ、洗浄液を流動させた。その後、洗浄液を排出した。
【0097】
洗浄後の撹拌槽及び反応器を用いて、参考例6と同様にしてイエロートナーを製造した。得られたイエロートナーの色相を測定したところ、L*=64.45、a*=6.58、b*=92.40であった。これらの色相値は、参考例6で製造した標準イエロートナーと大差のないものであった。すなわち、シアントナー製造後、製造装置を本発明の方法で洗浄することにより、シアン顔料などによる汚染のないイエロートナーを製造することができる。結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2]
洗浄液として、スチレンの負帯電制御樹脂(A)溶液に代えて、トルエン100部に参考例1で合成した負帯電制御樹脂(A)10部を溶解させた溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0099】
[実施例3]
参考例6で使用した撹拌機(特殊機化工業社製、製品名「TKホモミキサーMARK 1120型」)を装備した撹拌槽(撹拌装置)、及び撹拌翼を装着した反応器(重合装置)を、トルエンとウエスを用いて、内壁や攪拌機などの各部の表面にイエローが判別できなくなるまで拭き上げた。
【0100】
参考例6において、イエロー顔料マスターバッチ(M1)に代えて、参考例5で調製したマゼンタ顔料マスターバッチ(M3)を用いたこと以外は、参考例6と同様にして、重合トナー(マゼンタトナー)を製造した。各工程では、前記で洗浄した撹拌槽及び反応器を使用した。
【0101】
他方、スチレン100部に参考例2で合成した正帯電制御樹脂(B)10部を溶解させて、得られた溶液を洗浄液とした。この洗浄液をマゼンタトナー製造後の撹拌槽及び反応器に、それぞれ5,000cm3づつ投入し、60分間にわたり、攪拌機を洗浄液が重力と反対方向に吐出するように、12,500rpmで回転させ、洗浄液を流動させた。その後、洗浄液を排出した。
【0102】
洗浄後の撹拌槽及び反応器を用いて、参考例6と同様にしてイエロートナーを製造した。得られたイエロートナーの色相を測定したところ、L*=64.44、a*=7.18、b*=92.39であった。これらの色相値は、参考例6で製造した標準イエロートナーと大差のないものであった。すなわち、マゼンタトナー製造後、製造装置を本発明の方法で洗浄することにより、マゼンタ顔料などによる汚染のないイエロートナーを製造することができる。結果を表1に示す。
【0103】
[実施例4]
洗浄液として、スチレンの正帯電制御樹脂(B)溶液に代えて、トルエン100部に参考例2で合成した正帯電制御樹脂(B)10部を溶解させた溶液を用いたこと以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0104】
[比較例1]
洗浄液として、スチレンの負帯電制御樹脂(A)溶液に代えて、スチレンを単独でしたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
【0105】
[比較例2]
洗浄液として、トルエンの負帯電制御樹脂(A)溶液に代えて、トルエンを単独でしたこと以外は、実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。
【0106】
[比較例3]
洗浄液として、スチレンの制帯電制御樹脂(B)溶液に代えて、スチレンを単独で使用したこと以外は、実施例3と同様に行った。結果を表1に示す。
【0107】
[比較例4]
洗浄液として、トルエンの制帯電制御樹脂(B)溶液に代えて、トルエンを単独で使用したこと以外は、実施例4と同様に行った。結果を表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
表1の結果を評価するために、色差ΔE*(ab)と色見との関係を表2に示す。
【0110】
【表2】
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、トナーの色替え時や品種切り替え時などに、トナー製造設備への付着物を容易かつ効率的に除去することができるトナー製造設備の洗浄方法が提供される。また、本発明によれば、同じ製造設備を用いて、重合法により、ある色相のカラートナーを製造した後、該カラートナーの製造に用いた重合装置などの製造設備を洗浄して、付着物を容易かつ効率的に除去した後、同じ製造設備で他の色相のカラートナーを製造する方法が提供される。本発明の洗浄方法を適用することにより、色差ΔE*(ab)が小さく、高品質で一定の品質のカラートナーを効率良く製造することができる。
Claims (6)
- トナー製造装置を洗浄して、トナー製造工程で付着した被洗浄面の付着物を除去するトナー製造装置の洗浄方法において、極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて洗浄することを特徴とするトナー製造装置の洗浄方法。
- 極性基含有樹脂が、トナー用の正帯電制御樹脂及び負帯電制御樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の帯電制御樹脂である請求項1記載の洗浄方法。
- 有機溶剤が、重合性単量体及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機化合物である請求項1または2に記載の洗浄方法。
- トナーの色替え時または品種切り替え時に、トナー製造設備を洗浄する請求項1乃至3のいずれか1項に記載の洗浄方法。
- 色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法において、
(I) 少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とを含有する第一重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第一重合トナー(A)を製造する工程1、
(II) 極性基含有樹脂を有機溶剤に溶解させた溶液からなる洗浄液を用いて、第一重合トナー(A)の製造に用いたトナー製造設備を洗浄し、被洗浄面の付着物を除去する工程2、及び
(III) 洗浄後のトナー製造設備を用いて、少なくとも重合性単量体と第一着色剤(a)とは色相が異なる第二着色剤(b)とを含有する第二重合性単量体組成物を水系分散媒体中で重合する工程を含む重合トナーの製造方法により、第二重合トナー(B)を製造する工程3
からなる一連の工程を含むことを特徴とする色相が異なる2種以上の重合トナーの製造方法。 - 各着色剤として色相が異なる顔料を使用し、重合トナーとして色相が異なる2種以上のカラートナーを製造する請求項5記載の製造方法。
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JP2002277782A JP2004117560A (ja) | 2002-09-24 | 2002-09-24 | トナー製造設備の洗浄方法及び重合トナーの製造方法 |
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JP2010197529A (ja) * | 2009-02-24 | 2010-09-09 | Canon Inc | 重合トナーの製造方法 |
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- 2002-09-24 JP JP2002277782A patent/JP2004117560A/ja active Pending
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