JP2004112002A - 窒化物半導体素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 それぞれ複数の窒化物半導体層からなるp側層とn側層の間に窒化物半導体からなる活性層を有する窒化物半導体素子において、p側層はオーミック電極を形成する層としてp型コンタクト層を含み、そのp型コンタクト層はp型窒化物半導体層とn型窒化物半導体層とが交互に積層されてなる。
【選択図】 図1
Description
このように構成された本発明に係る窒化物半導体発光素子において、上記p型コンタクト層がp型窒化物半導体層とn型窒化物半導体層とを交互に積層することにより形成されているので、p側が負でn側が正の逆方向に電圧が印加された場合に、静電破壊電圧(静電耐圧)を高くできかつリーク電流を小さくできる。これは、主として上記p型コンタクト層内のpn接合に逆バイアス電圧が印加されることによるものと考えられる。
また、本発明に係る窒化物半導体素子では、前記p型窒化物半導体層はMgがドープされていてもよい。
また、本発明に係る窒化物半導体素子では、前記超格子p型層の第1層と第2層にはそれぞれ、前記p型窒化物半導体層より多くのMgがドープされていることが好ましい。
また、本発明に係る窒化物半導体素子では、前記超格子p型層と前記p型コンタクト層とが接していてもよい。
さらに、本発明に係る窒化物半導体素子では、前記第1層の膜厚と前記第2層の膜厚は、前記n型窒化物半導体層膜厚及び前記p型窒化物半導体層の膜厚より薄いことが好ましい。
さらに、本発明に係る窒化物半導体素子において、前記pオーミック電極は、前記p型コンタクト層上のほぼ全面に形成され、前記p型オーミック電極上の一部にpパッド電極が形成されていてもよい。
また、本発明に係る窒化物半導体素子において、前記n型窒化物半導体層はアンドープ層であり、前記p型窒化物半導体層にはMgがドープされていてもよい。この場合、前記n型窒化物半導体層はアンドープGaNからなり、前記p型窒化物半導体層はMgがドープされたGaNからなることが好ましい。
これにより、より高い静電耐圧が要求される用途に適用することが可能になる。
図1は、本発明の一実施の形態である窒化物半導体素子(LED素子)の構造を示す模式的断面図であり、本実施の形態の窒化物半導体素子はサファイア基板1の上に、
(1)AlGaNよりなるバッファ層2、
(2)アンドープGaN層3、
(3)SiドープGaNよりなるn型コンタクト層4、
(4)アンドープGaN層5、
(5)SiドープGaN層6、
(6)アンドープGaN層7、
(7)GaN/InGaN超格子n型層8、
(8)InGaN層を井戸層としGaN層を障壁層とする多重量子井戸構造の活性層9、
(9)p−AlGaN/p−InGaN超格子p型層10、
(10)MgドープGaN/SiドープGaN変調ドープp側コンタクト層11、
が順に積層された構造を有し、以下のようにp側及びn側の電極が形成されて構成されている。
また、p側の電極としては、p側コンタクト層11上のほぼ全面にpオーミック電極22を形成し、そのpオーミック電極22上の一部にpパッド電極23を形成している。
ここで、特に本実施の形態の窒化物半導体素子は、p側コンタクト層11をMgドープGaN層11aとSiドープGaN層11bとを交互に積層した変調ドープ層により構成したことを特徴とし、これによりリーク電流を低減しかつ静電耐圧を向上させている。
本実施の形態において、p側コンタクト層11(SiドープGaN層11b)における好ましいSiのドープ量としては1×1017/cm3〜1×1021/cm3、さらに好ましくは1×1018/cm3〜5×1019/cm3の範囲に調整する。1×1017/cm3以上とすることで、リーク電流を小さくする効果が顕著に現れ、1×1021/cm3より大きくなると結晶性が悪くなり、発光効率が低下する傾向にあるからである。
このp−AlGaN/p−InGaN超格子p型層10はp型とするために、p型不純物、例えば、Mgがドープされるが、p−AlGaN層に対するMgのドープ量とp−InGaN層に対するMgのドープ量は同一であっても異なっていても良いが、それぞれp側コンタクト層のMgドープGaN層11aのMgのドープ量よりも少ない量に設定することが好ましく、これによりVf(順方向電圧)をより低くできる。
また、p−AlGaN/p−InGaN超格子p型層10のp−InGaN層はMgドープのGaN層で構成することもできる。
また、p−AlGaN/p−InGaN(p−GaN)超格子p型層10の各膜厚は、p型コンタクト層の各膜厚よりも薄くすることが好ましい。すなわち、多層膜のp型コンタクト層に隣接する層を超格子層とし、各膜厚をp型コンタクト層のn型層及びp型層のそれぞれの膜厚よりも薄くすることで、さらに静電耐圧の高い窒化物半導体素子を構成できる。
まず、実施例1として、p側コンタクト層11におけるMgドープGaN層11aとSiドープGaN層11bの膜厚比を変えた3種類のサンプルを作製して、逆方向の静電耐圧特性をそれぞれ評価した。
本実施例1において、各半導体層の膜厚は表1に示すように設定し、各サンプルのp側コンタクト層11におけるMgドープGaN層11aとSiドープGaN層11bの膜厚の比は表2に示すようにした。
尚、本実施例1において、GaN層11aのMgドープ量は1×1020cm−3とし、GaN層11bのSiドープ量は5×1018cm−3とした。
また、各サンプルは1つのGaN層11aと1つのGaN層11bとを1周期として10周期とした。
尚、図2のグラフの縦軸は基準サンプル(比較例)の静電破壊電圧により規格化した値で示している。この基準サンプルはp側コンタクト層をMgが1×1020cm−3ドープされたGaNからなる単層とした以外は実施例1と同様に構成されている。
図2のグラフに示すように、本実施例1のサンプル1〜3のいずれのサンプルについても、静電破壊電圧が比較例より向上していることが確認された。
また、これにより膜厚比を7:3とすることで、静電破壊電圧を最も高くできることが確認された。
実施例1では、超格子p型層と、p型コンタクト層11の間に、不純物濃度が低いAlGaN又はGaN層を形成することができ、これにより、より静電耐圧を高くできる。この低濃度AlGaN又はGaN層は好ましくは0.5μm以下、例えば、0.2μmの膜厚で形成する。この層は、アンドープで形成してもよく、p型不純物、例えばMgをドープしながら形成しても良いが、Mgをドープしながら形成する場合は、隣接する層のMg濃度よりも低くなるようにする。このようにすると、実施例1の素子に比較して、より静電耐圧を高くできる。
その結果を図3、図4に示す。
この図3に示すように、サンプル1〜3においては、順方向電圧を上昇させることがないことが確認され、図4に示すように発光出力についてはサンプル1〜4はいずれも基準サンプルと同等又はそれ以上であることが確認された。
尚、図4のE+18及びE+19は、それぞれ(×1018)及び(×1019)を意味するものであり、単位はcm−3である。
その結果を、図5に示す。
図5に示すように、SiドープGaN層11bにおけるSiドープ量が増加するほど、静電破壊電圧が向上することが確認された。
その結果を図9、図10に示す。
図9に示すように、発光出力及び順方向電圧はSiドープGaN層11bのSiドープ量にはほとんど依存しないことが確認された。
尚、熱処理は、650℃、0.5時間で行った。
その結果を図11に示す。
その結果、SiドープGaN層11bに、5×1018/cm3、1×1019/cm3の比較的ドープ量の多いサンプルについては、熱アニールにより抵抗率の減少が顕著であることが確認された。
また、これらの抵抗率は、p−コンタクト層をp−GaNの単層膜で構成した場合の抵抗率である10Ω・cmより低い値であり、本願のMgドープGaN層11aとSiドープGaN層11bとが交互に積層されてなるコンタクト層は低抵抗化にも有効であることが確認された。
2…バッファ層、
3…アンドープGaN層、
4…n型コンタクト層、
5…アンドープGaN層、
6…SiドープGaN層、
7…アンドープGaN層、
8…GaN/InGaN超格子n型層、
9…多重量子井戸構造の活性層、
10…p−AlGaN/p−InGaN超格子p型層、
11…MgドープGaN/SiドープGaN変調ドープp側コンタクト層、
11a…MgドープGaN層、
11b…SiドープGaN層、
21…nオーミック電極、
22…pオーミック電極、
23…pパッド電極。
Claims (6)
- それぞれ複数の窒化物半導体層からなるp側層とn側層の間に窒化物半導体からなる活性層を有する窒化物半導体素子であって、
前記p側層はpオーミック電極を形成する層としてp型コンタクト層を含み、該p型コンタクト層はp型窒化物半導体層とn型窒化物半導体層とが交互に積層されてなり、
前記p型コンタクト層と上記活性層の間に、p−AlGaNからなる第1層とp−InGaNもしくはp−GaNからなる第2層とを交互に形成してなる超格子p型層をさらに有することを特徴とする窒化物半導体素子。 - 前記p型窒化物半導体層はMgがドープされている請求項1記載の窒化物半導体素子。
- 前記超格子p型層の第1層と第2層にはそれぞれ、前記p型窒化物半導体層より少ない量のMgがドープされている請求項2記載の窒化物半導体素子。
- 前記超格子p型層と前記p型コンタクト層とが接している請求項1〜3のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
- 前記第1層の膜厚と前記第2層の膜厚は、前記n型窒化物半導体層膜厚及び前記p型窒化物半導体層の膜厚より薄い請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
- 前記pオーミック電極は、前記p型コンタクト層上のほぼ全面に形成され、前記p型オーミック電極上の一部にpパッド電極が形成されている請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体素子。
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