JP2004107771A - 密着性にすぐれた硬質被膜およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車等エンジンの排気ガス中のCO2、NOx低減及び燃費向上のための燃料直接噴射やEGR(排ガス再循環)等が適用されたときの過酷な条件や工具使用条件下でも密着性に優れた硬質被膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなり、結晶相の割合が95%〜99.5%で残部が非晶質相である硬質被膜。本硬質被膜はPVD法により金属蒸気、反応ガスと基材を接触させることにより製造する。
【選択図】 なし
【解決手段】金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなり、結晶相の割合が95%〜99.5%で残部が非晶質相である硬質被膜。本硬質被膜はPVD法により金属蒸気、反応ガスと基材を接触させることにより製造する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種産業機械、輸送機器等のエンジン、自動車エンジンの摺動部材、特にカム・シムのシム(カムフォロア)、ピストンリングおよび工具を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
往復動内燃機関に使用されるピストンリングには高度な耐摩耗特性が要求される。それ故、ピストンリングに耐摩耗特性を付与することを目的として、摺動面に硬質クロムめっき層を形成させたピストンリングが内燃機関用ピストンリングとして従来から多用されてきた。ところで、近年、内燃機関がますます高速化、高出力化する趨勢にあり、したがってピストンリングの使用条件もますます過酷なものとなってきている。そのため、たとえば特開平7−286261号公報ではCrNとCr2Nの混合からなる被膜が開示されており、耐摩耗性の観点から適切なピストンリング用被覆層を提示している。また、特願2001−064998号においては金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなる被膜を基材上に被覆してなる摺動部材を好適とし、特に該被膜の結晶相の割合が5%から95%で、残部を非晶質相であることを特徴とする上記混合組織よりなる被膜を有する摺動部材としている。この被膜は耐摩耗性に優れているが、密着力について十分とはいえないことがわかった。
【0003】
一方、内燃機関の動弁機構であるカム・シムについてはカムでは合金鋳鉄、シムでは合金鋼の浸炭焼入れ材が一般には使用されている。表面粗さの低減を図るため、シムに高硬度薄膜をコーティングした例が特開平5−163909号公報に開示されている。これはシムに形成された高硬度の被膜により相手側のカム面を鏡面化して摩擦抵抗を低減するものである。該高硬度薄膜としてTiNが好適である旨記載されている。
【0004】
また、工具については耐摩耗性を向上するため各種成分系被膜が検討されている。たとえば特開平7−18416号公報ではTiN層とその上にTiAlN層を設けた2層構造の被膜を開示しているが、密着力の記述はない。
【0005】
このように、ピストンリング、シム等の耐摩耗性を向上するためピストンリングではクロムめっきに加え、CrN被膜等、シムではTiN被膜等、工具ではTiAlN被膜等が検討されてきた。
【特許文献1】特開平7−286261号公報
【特許文献2】特開平5−163909号公報
【特許文献3】特開平7−18416号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらの被膜は環境保全および省エネルギーの観点から重要な、自動車排気ガス中のCO2、NOx低減及び燃費向上のための燃料直接噴射やEGR(排ガス再循環)が適用されたときの過酷な条件、および工具の使用条件に必要な密着力が見込めなかった。そこで本発明は自動車排気ガス中のCO2、NOx低減及び燃費向上のための燃料直接噴射やEGR(排ガス再循環)等の過酷な摩耗条件や工具使用条件でも密着性よく基材に被覆できる硬質被膜を得ることを目的とするものである。なお、自動車以外の内燃機関でも同様に過酷な条件が求められており、そのためにも十分な密着性のある硬質被膜を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなり、結晶相の割合が95%〜99.5%で、残部が非晶質相である密着性にすぐれた硬質被膜、第2に上記硬質被膜を用いたことを特徴とするピストンリング、第3に上記硬質被膜を用いたことを特徴とするカム・シムのシム、第4に上記硬質被膜を用いたことを特徴とする工具、第5に上記記載の硬質被膜においてPVD法により金属蒸気、反応ガスと基材を接触させることにより形成することを特徴とする硬質被膜の製造方法を提供することで上記課題を解決する。
【0008】
【実施の形態】
金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなる被膜においては被膜の破壊で重要な転位の移動は結晶相内で起こる。転位が結晶粒界に移動したとしても結晶粒界が非晶質相であるため転位の移動がそこで阻止される。したがって硬度(強度)が上昇する。その他の破壊に関わる重要な要素としてはクラックの発生が挙げられるが、クラックの発生は非晶質相で起こると考えられ、その大きさは結晶粒界のため限定される。このようにして高硬度(高強度)の被膜が得られる。
【0009】
ところで、金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなる被膜においては、結晶相の割合が95%〜99.5%で、残部が非晶質相である被膜を基材上に被覆してなる硬質被膜は密着性がよく、上記課題を解決できる。結晶相が95%未満では非晶質相が多すぎて密着力が十分ではない。また、結晶相が99.5%より大きいと結晶相および非晶質相の混合組織の上述の効果が十分でなくなり、硬度が低下し、摩耗しやすくなる。
【0010】
より好ましくは結晶相としてCrまたはTiの窒化物または炭化物または炭窒化物、非晶質相としてSiの窒化物または炭化物または炭窒化物を選択すれば効果的である。
【0011】
これらの被膜は自動車エンジン用摺動部材、特にピストンリング、カム・シムのシムおよび工具に適用すると効果が顕著に現われる。
【0012】
これらの被膜の作製方法については、PVD法、好ましくは減圧された窒素ガス雰囲気中あるいはメタン等炭化水素ガス雰囲気中で金属クロムまたは金属チタンまたはシリコン等を混合した金属蒸気の蒸着過程で結晶相である金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物、非晶質相である金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物の混合組織を生成させることにより形成できる。
【0013】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はそれらによりなんら束縛されるものではない。
【0014】
【実施例1】
金属の窒化物として、Crの窒化物とSiの窒化物を選び、Cr−Siの混合金属を用い、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にて成膜した。具体的にはCrとSiを混合したターゲットを用意し、アーク式イオンプレーティング法にて以下の条件で成膜した。
【0015】
アーク電流:150A
バイアス電圧:100V
N2圧力:2.66Pa
【0016】
ここで、ターゲットのCr、Siの混合割合を適当に変え、結晶相、非晶質相の割合を変えてみた。そのときの結晶相の割合を変化させた被膜の密着性をクロムめっき材、TiNコーティング材を100として評価した相対密着力の関係を表1に示す。その結果、結晶相の割合が94.5%であると、相対密着力が90以下となり、通常用いられているクロムめっき、TiNコーティングの密着力よりも小さくなり適当ではない。一方、結晶相の割合が95.5%であると、相対密着力が110以上となり、十分な密着力があるとわかった。したがって密着力の観点から、結晶相の割合は95%以上必要である。
【0017】
【表1】
【0018】
また、結晶相の割合と相対摩耗量の関係を表1に示す。摩擦摩耗試験条件および方法をそれぞれ表2、図1に示す。試験の結果、結晶相の割合が95%以下で相対摩耗量は20以下となる。他方、結晶相の割合が98%になると、相対摩耗量は50以上となるが、相対密着力は115以上で密着力は優れていた。また、結晶相の割合が99.5%では相対摩耗量は60以上となるが、相対密着力は115以上であり、高密着力である。さらに、結晶相の割合が99.8%では、相対摩耗量はクロムめっき、TiN被膜以上に大きくなるため不適とした。
【0019】
【表2】
【0020】
【実施例2】
金属の窒化物として、Tiの窒化物とSiの窒化物を選び、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にて成膜した。その結果、Tiの窒化物が結晶相、Siの窒化物が非晶質相の複合被膜を得ることができた。結晶相の割合は96%であった。密着力を測るとクロムめっきに対して112、TiN被膜に対して108であり、従来材よりも高い密着力が得られた。
【0021】
【実施例3】
金属の炭窒化物として、Tiの炭窒化物とSiの窒化物を選び、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にて成膜した。その結果、TiCNが結晶相、Siの窒化物が非晶質相の複合被膜を得ることができた。結晶相の割合は97%であった。この被膜の密着力を測定したところ、クロムめっきに対して115、TiN被膜に対して110であり、従来材よりも高い密着力が得られた。
【0022】
【実施例4】
金属の炭窒化物として、Crの炭窒化物とSiの窒化物を選び、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にてCrSiCN被膜を成膜した。その結果、CrCNが結晶相、Siの窒化物が非晶質相の複合被膜を得ることができた。結晶相の割合は97.5%であった。この被膜を実施例1と同様にして密着力を測定した。その結果、クロムめっきに対して117、TiN被膜に対して113であり、従来材よりも高い密着力が得られた。
【0023】
【発明の効果】
本発明により自動車排気ガス中のCO2、NOx低減のための燃料直接噴射やEGR(排ガス再循環)等が適用された場合の過酷な摩耗条件や工具使用条件でも従来以上の密着性が得られる被膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は摩擦摩耗試験方法を示す図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種産業機械、輸送機器等のエンジン、自動車エンジンの摺動部材、特にカム・シムのシム(カムフォロア)、ピストンリングおよび工具を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
往復動内燃機関に使用されるピストンリングには高度な耐摩耗特性が要求される。それ故、ピストンリングに耐摩耗特性を付与することを目的として、摺動面に硬質クロムめっき層を形成させたピストンリングが内燃機関用ピストンリングとして従来から多用されてきた。ところで、近年、内燃機関がますます高速化、高出力化する趨勢にあり、したがってピストンリングの使用条件もますます過酷なものとなってきている。そのため、たとえば特開平7−286261号公報ではCrNとCr2Nの混合からなる被膜が開示されており、耐摩耗性の観点から適切なピストンリング用被覆層を提示している。また、特願2001−064998号においては金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなる被膜を基材上に被覆してなる摺動部材を好適とし、特に該被膜の結晶相の割合が5%から95%で、残部を非晶質相であることを特徴とする上記混合組織よりなる被膜を有する摺動部材としている。この被膜は耐摩耗性に優れているが、密着力について十分とはいえないことがわかった。
【0003】
一方、内燃機関の動弁機構であるカム・シムについてはカムでは合金鋳鉄、シムでは合金鋼の浸炭焼入れ材が一般には使用されている。表面粗さの低減を図るため、シムに高硬度薄膜をコーティングした例が特開平5−163909号公報に開示されている。これはシムに形成された高硬度の被膜により相手側のカム面を鏡面化して摩擦抵抗を低減するものである。該高硬度薄膜としてTiNが好適である旨記載されている。
【0004】
また、工具については耐摩耗性を向上するため各種成分系被膜が検討されている。たとえば特開平7−18416号公報ではTiN層とその上にTiAlN層を設けた2層構造の被膜を開示しているが、密着力の記述はない。
【0005】
このように、ピストンリング、シム等の耐摩耗性を向上するためピストンリングではクロムめっきに加え、CrN被膜等、シムではTiN被膜等、工具ではTiAlN被膜等が検討されてきた。
【特許文献1】特開平7−286261号公報
【特許文献2】特開平5−163909号公報
【特許文献3】特開平7−18416号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、これらの被膜は環境保全および省エネルギーの観点から重要な、自動車排気ガス中のCO2、NOx低減及び燃費向上のための燃料直接噴射やEGR(排ガス再循環)が適用されたときの過酷な条件、および工具の使用条件に必要な密着力が見込めなかった。そこで本発明は自動車排気ガス中のCO2、NOx低減及び燃費向上のための燃料直接噴射やEGR(排ガス再循環)等の過酷な摩耗条件や工具使用条件でも密着性よく基材に被覆できる硬質被膜を得ることを目的とするものである。なお、自動車以外の内燃機関でも同様に過酷な条件が求められており、そのためにも十分な密着性のある硬質被膜を得ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなり、結晶相の割合が95%〜99.5%で、残部が非晶質相である密着性にすぐれた硬質被膜、第2に上記硬質被膜を用いたことを特徴とするピストンリング、第3に上記硬質被膜を用いたことを特徴とするカム・シムのシム、第4に上記硬質被膜を用いたことを特徴とする工具、第5に上記記載の硬質被膜においてPVD法により金属蒸気、反応ガスと基材を接触させることにより形成することを特徴とする硬質被膜の製造方法を提供することで上記課題を解決する。
【0008】
【実施の形態】
金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなる被膜においては被膜の破壊で重要な転位の移動は結晶相内で起こる。転位が結晶粒界に移動したとしても結晶粒界が非晶質相であるため転位の移動がそこで阻止される。したがって硬度(強度)が上昇する。その他の破壊に関わる重要な要素としてはクラックの発生が挙げられるが、クラックの発生は非晶質相で起こると考えられ、その大きさは結晶粒界のため限定される。このようにして高硬度(高強度)の被膜が得られる。
【0009】
ところで、金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなる被膜においては、結晶相の割合が95%〜99.5%で、残部が非晶質相である被膜を基材上に被覆してなる硬質被膜は密着性がよく、上記課題を解決できる。結晶相が95%未満では非晶質相が多すぎて密着力が十分ではない。また、結晶相が99.5%より大きいと結晶相および非晶質相の混合組織の上述の効果が十分でなくなり、硬度が低下し、摩耗しやすくなる。
【0010】
より好ましくは結晶相としてCrまたはTiの窒化物または炭化物または炭窒化物、非晶質相としてSiの窒化物または炭化物または炭窒化物を選択すれば効果的である。
【0011】
これらの被膜は自動車エンジン用摺動部材、特にピストンリング、カム・シムのシムおよび工具に適用すると効果が顕著に現われる。
【0012】
これらの被膜の作製方法については、PVD法、好ましくは減圧された窒素ガス雰囲気中あるいはメタン等炭化水素ガス雰囲気中で金属クロムまたは金属チタンまたはシリコン等を混合した金属蒸気の蒸着過程で結晶相である金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物、非晶質相である金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物の混合組織を生成させることにより形成できる。
【0013】
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はそれらによりなんら束縛されるものではない。
【0014】
【実施例1】
金属の窒化物として、Crの窒化物とSiの窒化物を選び、Cr−Siの混合金属を用い、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にて成膜した。具体的にはCrとSiを混合したターゲットを用意し、アーク式イオンプレーティング法にて以下の条件で成膜した。
【0015】
アーク電流:150A
バイアス電圧:100V
N2圧力:2.66Pa
【0016】
ここで、ターゲットのCr、Siの混合割合を適当に変え、結晶相、非晶質相の割合を変えてみた。そのときの結晶相の割合を変化させた被膜の密着性をクロムめっき材、TiNコーティング材を100として評価した相対密着力の関係を表1に示す。その結果、結晶相の割合が94.5%であると、相対密着力が90以下となり、通常用いられているクロムめっき、TiNコーティングの密着力よりも小さくなり適当ではない。一方、結晶相の割合が95.5%であると、相対密着力が110以上となり、十分な密着力があるとわかった。したがって密着力の観点から、結晶相の割合は95%以上必要である。
【0017】
【表1】
【0018】
また、結晶相の割合と相対摩耗量の関係を表1に示す。摩擦摩耗試験条件および方法をそれぞれ表2、図1に示す。試験の結果、結晶相の割合が95%以下で相対摩耗量は20以下となる。他方、結晶相の割合が98%になると、相対摩耗量は50以上となるが、相対密着力は115以上で密着力は優れていた。また、結晶相の割合が99.5%では相対摩耗量は60以上となるが、相対密着力は115以上であり、高密着力である。さらに、結晶相の割合が99.8%では、相対摩耗量はクロムめっき、TiN被膜以上に大きくなるため不適とした。
【0019】
【表2】
【0020】
【実施例2】
金属の窒化物として、Tiの窒化物とSiの窒化物を選び、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にて成膜した。その結果、Tiの窒化物が結晶相、Siの窒化物が非晶質相の複合被膜を得ることができた。結晶相の割合は96%であった。密着力を測るとクロムめっきに対して112、TiN被膜に対して108であり、従来材よりも高い密着力が得られた。
【0021】
【実施例3】
金属の炭窒化物として、Tiの炭窒化物とSiの窒化物を選び、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にて成膜した。その結果、TiCNが結晶相、Siの窒化物が非晶質相の複合被膜を得ることができた。結晶相の割合は97%であった。この被膜の密着力を測定したところ、クロムめっきに対して115、TiN被膜に対して110であり、従来材よりも高い密着力が得られた。
【0022】
【実施例4】
金属の炭窒化物として、Crの炭窒化物とSiの窒化物を選び、PVD法の1種であるイオンプレーティング法にてCrSiCN被膜を成膜した。その結果、CrCNが結晶相、Siの窒化物が非晶質相の複合被膜を得ることができた。結晶相の割合は97.5%であった。この被膜を実施例1と同様にして密着力を測定した。その結果、クロムめっきに対して117、TiN被膜に対して113であり、従来材よりも高い密着力が得られた。
【0023】
【発明の効果】
本発明により自動車排気ガス中のCO2、NOx低減のための燃料直接噴射やEGR(排ガス再循環)等が適用された場合の過酷な摩耗条件や工具使用条件でも従来以上の密着性が得られる被膜を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は摩擦摩耗試験方法を示す図である。
Claims (5)
- 金属の窒化物または金属の炭化物または金属の炭窒化物よりなる結晶相および非晶質相の混合組織よりなり、結晶相の割合が95%〜99.5%で、残部が非晶質相である密着性にすぐれた硬質被膜。
- 請求項1に記載の硬質被膜を用いたことを特徴とするピストンリング。
- 請求項1に記載の硬質被膜を用いたことを特徴とするカム・シムのシム。
- 請求項1に記載の硬質被膜を用いたことを特徴とする工具。
- 請求項1ないし4の何れかに一項記載の硬質被膜においてPVD法により金属蒸気、反応ガスと基材を接触させることにより形成することを特徴とする硬質被膜の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002274916A JP2004107771A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 密着性にすぐれた硬質被膜およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002274916A JP2004107771A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 密着性にすぐれた硬質被膜およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004107771A true JP2004107771A (ja) | 2004-04-08 |
Family
ID=32271259
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JP2002274916A Pending JP2004107771A (ja) | 2002-09-20 | 2002-09-20 | 密着性にすぐれた硬質被膜およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004107771A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008014228A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-01-24 | Teikoku Piston Ring Co Ltd | 内燃機関用ピストンリング |
-
2002
- 2002-09-20 JP JP2002274916A patent/JP2004107771A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008014228A (ja) * | 2006-07-06 | 2008-01-24 | Teikoku Piston Ring Co Ltd | 内燃機関用ピストンリング |
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