JP2004103624A - トランス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】一次コイル、二次コイルとして、エッジワイズコイルを用い、小型で高結合性のトランス及び、その製造方法を提供すること。
【解決手段】2個のエッジワイズコイル1a,1bの層間に、平角導体の厚さとほぼ等しい間隙を設け、その間隙に、別個のエッジワイズコイル1a,1bの平角導体の層が交互に配置されるように、組み立てる。これによって、漏れインダクタンスを少なくするともに結合性を向上することができる。また、一次コイルと二次コイル間の絶縁を確保するために、コイル表面に強化絶縁を施す。
【選択図】 図1
【解決手段】2個のエッジワイズコイル1a,1bの層間に、平角導体の厚さとほぼ等しい間隙を設け、その間隙に、別個のエッジワイズコイル1a,1bの平角導体の層が交互に配置されるように、組み立てる。これによって、漏れインダクタンスを少なくするともに結合性を向上することができる。また、一次コイルと二次コイル間の絶縁を確保するために、コイル表面に強化絶縁を施す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器などに使用されるトランス及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施して得られる、ヘリカルコイルを用い、結合定数が向上したトランスと、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施して得られるヘリカルコイルは、エッジワイズコイルと称され、断面が円形の導体を用いた、従来のコイルに比較して、その特殊な巻線方法によりコスト高になるものの、次のような利点があり、種々の用途に用いられている。
【0003】
従来のコイルは、導体断面が円形のため、コイル断面における導体の占積率を67%以上にすることが不可能であり、殆どの場合、巻線にボビンが必要である。これに対し、エッジワイズコイルは、コイル断面における導体の占積率を100%に近づけることが可能であり、通常は巻線にボビンを必要としない。
【0004】
また、従来のコイルでは、導体を多層に巻線して用いることが多く、コイル内部の熱が放出され難く、温度上昇の程度が大きい。これに対し、エッジワイズコイルでは、巻線が1層で済むので、熱が速やかに放出され、温度上昇が少ない。
【0005】
また、従来のコイルでは、1ターン当たりの浮遊容量は小さいが、折り返し部が存在すると、折り返し部に大きな容量があるため、等価回路上、大きなCが存在する。これに対し、エッジワイズコイルでは、1ターン当たりの浮遊容量が小さく折り返し部がないため、等価回路上、大きなCは存在せず、優れた周波数特性を発現する。
【0006】
このような特長を有するエッジワイズコイルは、トランスにも用いられている。図5は、従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける、一次コイルと二次コイルの配置例を示した図である。この例では、径が比較的大きいエッジワイズコイル6aの中に、径が比較的小さいエッジワイズコイル6bが嵌合するように、2個のエッジワイズを同心に配置して、電磁的な結合を確保している。
【0007】
また、図6は、図5に示した例とは別の、従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける、一次コイルと二次コイルの配置例を示した図で、図6(a)は斜視図、図6(b)は正面図である。この例では、径がほぼ同一の2個のエッジワイズコイル7a、7bを、中心軸が一致するように、中心軸方向に並べて配置し、電磁的な結合を確保している。
【0008】
前記の従来例では、いずれのエッジワイズコイルも、層間を密着させて巻線を行い、コイルの小型化を図っているが、いずれの例も、一次コイルと二次コイルの間の絶縁を確保するため、2個のエッジワイズコイルの間に、一定の距離を設ける必要がある。このため、一次コイルと二次コイルの間の結合性が低下し、漏れインダクタンスが大きくなるという欠点がある。
【0009】
また、2個のエッジワイズコイルの間に一定の空隙を設けて配置することは、それだけトランス全体の容積を増加することに繋がり、機器の小型化を阻害する結果となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の技術的な課題は、エッジワイズコイルを用いた従来より小型のトランスで、及びその製造方法を提供し、併せて、このトランスを組み込む電子機器の小型化に寄与することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、エッジワイズコイルを用いたトランスにおける、一次コイルと二次コイルの配置と、それらの組立て方法を検討した結果なされたものである。
【0012】
即ち、本発明は、平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施してなる、いわゆるエッジワイズコイルを2個用いて、一次コイル及び二次コイルとしたトランスにおいて、前記2個のエッジワイズコイルが、導体の層間に、ほぼ前記平角導体の厚さの間隙を有し、前記エッジワイズコイルの一方の導体の層間に、前記エッジワイズコイルの他方の導体が配置され、前記エッジワイズコイルを構成する平角導体の、軸方向に垂直な面の少なくとも一部が、交互に重なり合うように配置してなることを特徴とするトランスである。
【0013】
また、本発明は、前記2個のエッジワイズコイルのそれぞれが、ほぼ同じ幅と厚さの平角導体から構成され、ほぼ同一の巻線径を有し、巻線の中心がほぼ同じ位置に配置されてなることを特徴とする、前記のトランスである。
【0014】
また、本発明は、前記平角導体は、強化絶縁が施されてなることを特徴とする、前記のトランスである。
【0015】
また、本発明は、塗装処理により強化絶縁が施されてなることを特徴とする、前記のトランスである。
【0016】
また、本発明は、平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施し、導体の層間に、ほぼ該平角導体の厚さの間隙を有するエッジワイズコイルを、2個作製する工程と、前記エッジワイズコイルの一方の第1層の平角導体を、他方のエッジワイズコイルの、第1層の平角導体と第2層の平角導体の層間に、2個のエッジワイズコイルの巻線の中心がほぼ一致する位置まで挿入し、前記2個のエッジワイズコイルを、各エッジワイズコイルの巻線中心ないしその近傍の位置を軸として、相互に反対方向に回転させることで、前記エッジワイズコイルを構成する平角導体の、軸方向に垂直な面の少なくとも一部を、交互に重なり合うように配置して、2個のエッジワイズコイルを組み立てる工程を含むことを特徴とするトランスの製造方法である。
【0017】
本発明によるトランスにおいては、一次コイルと二次コイルの導体が交互に配置され、巻線の中心をほぼ共有しているので、実質的に2個のコイルが同一の空間に配置されることになる。このため、漏れインダクタンスを極めて小さくすることが可能であり、結合性を向上することも可能となる。
【0018】
また、一次コイルと二次コイルが密着して配置されることになり、絶縁が問題となるが、コイルに強化絶縁を施すことで、この問題に対処できる。強化絶縁は、巻線を行う前の平角導体に施してもよいが、エッジワイズコイルでは、巻線工程でコイルの外側に大きな伸び変形が加わるので、予め絶縁の厚さを調整しておく必要がある。
【0019】
また、本発明に用いるエッジワイズコイルでは、層間にほぼ導体の厚さと同じ間隙があるので、コイル全体に塗装を施すのが容易である。従って、巻線を行ってから、塗装による強化絶縁を施すようにすることで、前記のように平角導体の絶縁厚さを調整する煩雑さを回避することができる。
【0020】
絶縁に用いる材料には、一般的に高分子材料が用いられるが、材質は絶縁性や塗装の作業性に優れているものであれば、特に限定されるものではなく、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタンなどが挙げられる。
【0021】
また、2個のエッジワイズコイルの組立てには、本発明に用いるエッジワイズコイルの構造的な特徴から、いずれかのエッジワイズコイルの第1層の平角導体を、他方のエッジワイズコイルの第1層と第2層の間隙に挿入し、2個のエッジワイズコイルの中心をほぼ一致させた状態で、巻線の中心を回転軸として互いに反対方向に回転させるという方法を用いることができる。この方法は、ねじ込みに近い方法であり、これによって、一次コイルと二次コイルの相対的な位置を任意に設定できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について例を挙げ、図を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明のトランスに用いるエッジワイズの一例を示す図で、図1(a)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す斜視図、図1(b)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す正面図である。
【0024】
図1に示したように、本発明では、第1のエッジワイズコイル1aと、第2のエッジワイズコイル1bの、それぞれの平角導体の層が、互いに他方の導体の層間に配置された状態となっている。なお、図1(b)では、識別のため、第2のエッジワイズコイル側にハッチングを施した。
【0025】
また、図2は、図1における、第1のエッジワイズコイル1aと、第2のエッジワイズコイル1bとを、それぞれ個別に示した斜視図である。図2において、2aは第1のエッジワイズコイル1aの、一方の端末部、2bは第1のエッジワイズコイル1bの、一方の端末部を示す。
【0026】
図1、図2に示したように、2個のエッジワイズコイル1a,1bは、同一サイズの平角導体からなり、巻線の径も同一で、巻線の層間には、ほぼ平角導体の厚さに対応した間隙が形成されている。そして、このエッジワイズコイルの例では、巻線工程が終了した後、全体にポリアミドイミドなどを塗装、硬化して強化絶縁を施すことができる。
【0027】
図3は、2個のエッジワイズコイルを組み立てる際の状態の平面図である。ここでは、第1のエッジワイズコイル1aの一方の端末部2aの層と、隣接する平角導体の層との間の間隙に、第2のエッジワイズコイル1bの一方の端末部2bを、両端末がほぼ直交する方向から挿入し、2個のエッジワイズコイルの巻線の中心が、ほぼ一致する位置まで、押し込む。その後、少なくともいずれか一方のエッジワイズコイルを、巻線の中心を軸として回転させることで、2個のエッジワイズコイルの組立てが完了する。
【0028】
図4は、前記の組立て工程を終了したエッジワイズコイルを用いて、表面実装型トランスを構成した例を示す図で、図4(a)は、平面図、図4(b)は、側面図、図4(c)は、正面図である。ここでは、組立て後のエッジワイズコイル3に、ポリイミド樹脂フィルムなどからなる絶縁体5を介して、EI型のMn−Zn系フェライトコア4を組み付け、エッジワイズコイルの4箇所の端末それぞれに、折り曲げ加工を施し、表面実装用の端子とした。
【0029】
この例では、コイルに組み付ける磁心として、EI型のMn−Zn系フェライトを用いたが、磁心の形状としては、EE型など各種の形状が使用できることは勿論である。また、磁心の材質としては、前記のMn−Zn系フェライトの他に、高透磁率の各種材料を用いることができる。具体的には、Ni−Zn系フェライトのようなセラミックスの他、パーマロイ、珪素鋼板、アモルファス合金薄帯などの積層体が使用できる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、小型で、かつ結合性が高い、エッジワイズコイルを用いたトランス及びその製造方法が得られる。このトランスを用いることで、従来のエッジワイズコイルを用いていた機器類の、小型化や高性能化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトランスに用いるエッジワイズの一例を示す図、図1(a)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す斜視図、図1(b)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す正面図。
【図2】第1のエッジワイズコイルと、第2のエッジワイズコイルとを、それぞれ個別に示した斜視図。
【図3】2個のエッジワイズコイルを組み立てる際の状態の平面図。
【図4】エッジワイズコイルを用いて、表面実装型トランスを構成した例を示す図、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図、図4(c)は正面図。
【図5】従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける一次コイルと二次コイルの配置例を示した図。
【図6】従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける一次コイルと二次コイルの配置例を示した図、図6(a)は斜視図、図6(b)は正面図。
【符号の説明】
1a,1b,6a,6b,7a,7b エッジワイズコイル
2a,2b 端末部
3 組立て後のエッジワイズコイル
4 EI型のMn−Zn系フェライトコア
5 絶縁体
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種電子機器などに使用されるトランス及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施して得られる、ヘリカルコイルを用い、結合定数が向上したトランスと、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施して得られるヘリカルコイルは、エッジワイズコイルと称され、断面が円形の導体を用いた、従来のコイルに比較して、その特殊な巻線方法によりコスト高になるものの、次のような利点があり、種々の用途に用いられている。
【0003】
従来のコイルは、導体断面が円形のため、コイル断面における導体の占積率を67%以上にすることが不可能であり、殆どの場合、巻線にボビンが必要である。これに対し、エッジワイズコイルは、コイル断面における導体の占積率を100%に近づけることが可能であり、通常は巻線にボビンを必要としない。
【0004】
また、従来のコイルでは、導体を多層に巻線して用いることが多く、コイル内部の熱が放出され難く、温度上昇の程度が大きい。これに対し、エッジワイズコイルでは、巻線が1層で済むので、熱が速やかに放出され、温度上昇が少ない。
【0005】
また、従来のコイルでは、1ターン当たりの浮遊容量は小さいが、折り返し部が存在すると、折り返し部に大きな容量があるため、等価回路上、大きなCが存在する。これに対し、エッジワイズコイルでは、1ターン当たりの浮遊容量が小さく折り返し部がないため、等価回路上、大きなCは存在せず、優れた周波数特性を発現する。
【0006】
このような特長を有するエッジワイズコイルは、トランスにも用いられている。図5は、従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける、一次コイルと二次コイルの配置例を示した図である。この例では、径が比較的大きいエッジワイズコイル6aの中に、径が比較的小さいエッジワイズコイル6bが嵌合するように、2個のエッジワイズを同心に配置して、電磁的な結合を確保している。
【0007】
また、図6は、図5に示した例とは別の、従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける、一次コイルと二次コイルの配置例を示した図で、図6(a)は斜視図、図6(b)は正面図である。この例では、径がほぼ同一の2個のエッジワイズコイル7a、7bを、中心軸が一致するように、中心軸方向に並べて配置し、電磁的な結合を確保している。
【0008】
前記の従来例では、いずれのエッジワイズコイルも、層間を密着させて巻線を行い、コイルの小型化を図っているが、いずれの例も、一次コイルと二次コイルの間の絶縁を確保するため、2個のエッジワイズコイルの間に、一定の距離を設ける必要がある。このため、一次コイルと二次コイルの間の結合性が低下し、漏れインダクタンスが大きくなるという欠点がある。
【0009】
また、2個のエッジワイズコイルの間に一定の空隙を設けて配置することは、それだけトランス全体の容積を増加することに繋がり、機器の小型化を阻害する結果となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の技術的な課題は、エッジワイズコイルを用いた従来より小型のトランスで、及びその製造方法を提供し、併せて、このトランスを組み込む電子機器の小型化に寄与することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の課題を解決するため、エッジワイズコイルを用いたトランスにおける、一次コイルと二次コイルの配置と、それらの組立て方法を検討した結果なされたものである。
【0012】
即ち、本発明は、平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施してなる、いわゆるエッジワイズコイルを2個用いて、一次コイル及び二次コイルとしたトランスにおいて、前記2個のエッジワイズコイルが、導体の層間に、ほぼ前記平角導体の厚さの間隙を有し、前記エッジワイズコイルの一方の導体の層間に、前記エッジワイズコイルの他方の導体が配置され、前記エッジワイズコイルを構成する平角導体の、軸方向に垂直な面の少なくとも一部が、交互に重なり合うように配置してなることを特徴とするトランスである。
【0013】
また、本発明は、前記2個のエッジワイズコイルのそれぞれが、ほぼ同じ幅と厚さの平角導体から構成され、ほぼ同一の巻線径を有し、巻線の中心がほぼ同じ位置に配置されてなることを特徴とする、前記のトランスである。
【0014】
また、本発明は、前記平角導体は、強化絶縁が施されてなることを特徴とする、前記のトランスである。
【0015】
また、本発明は、塗装処理により強化絶縁が施されてなることを特徴とする、前記のトランスである。
【0016】
また、本発明は、平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施し、導体の層間に、ほぼ該平角導体の厚さの間隙を有するエッジワイズコイルを、2個作製する工程と、前記エッジワイズコイルの一方の第1層の平角導体を、他方のエッジワイズコイルの、第1層の平角導体と第2層の平角導体の層間に、2個のエッジワイズコイルの巻線の中心がほぼ一致する位置まで挿入し、前記2個のエッジワイズコイルを、各エッジワイズコイルの巻線中心ないしその近傍の位置を軸として、相互に反対方向に回転させることで、前記エッジワイズコイルを構成する平角導体の、軸方向に垂直な面の少なくとも一部を、交互に重なり合うように配置して、2個のエッジワイズコイルを組み立てる工程を含むことを特徴とするトランスの製造方法である。
【0017】
本発明によるトランスにおいては、一次コイルと二次コイルの導体が交互に配置され、巻線の中心をほぼ共有しているので、実質的に2個のコイルが同一の空間に配置されることになる。このため、漏れインダクタンスを極めて小さくすることが可能であり、結合性を向上することも可能となる。
【0018】
また、一次コイルと二次コイルが密着して配置されることになり、絶縁が問題となるが、コイルに強化絶縁を施すことで、この問題に対処できる。強化絶縁は、巻線を行う前の平角導体に施してもよいが、エッジワイズコイルでは、巻線工程でコイルの外側に大きな伸び変形が加わるので、予め絶縁の厚さを調整しておく必要がある。
【0019】
また、本発明に用いるエッジワイズコイルでは、層間にほぼ導体の厚さと同じ間隙があるので、コイル全体に塗装を施すのが容易である。従って、巻線を行ってから、塗装による強化絶縁を施すようにすることで、前記のように平角導体の絶縁厚さを調整する煩雑さを回避することができる。
【0020】
絶縁に用いる材料には、一般的に高分子材料が用いられるが、材質は絶縁性や塗装の作業性に優れているものであれば、特に限定されるものではなく、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタンなどが挙げられる。
【0021】
また、2個のエッジワイズコイルの組立てには、本発明に用いるエッジワイズコイルの構造的な特徴から、いずれかのエッジワイズコイルの第1層の平角導体を、他方のエッジワイズコイルの第1層と第2層の間隙に挿入し、2個のエッジワイズコイルの中心をほぼ一致させた状態で、巻線の中心を回転軸として互いに反対方向に回転させるという方法を用いることができる。この方法は、ねじ込みに近い方法であり、これによって、一次コイルと二次コイルの相対的な位置を任意に設定できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について例を挙げ、図を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明のトランスに用いるエッジワイズの一例を示す図で、図1(a)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す斜視図、図1(b)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す正面図である。
【0024】
図1に示したように、本発明では、第1のエッジワイズコイル1aと、第2のエッジワイズコイル1bの、それぞれの平角導体の層が、互いに他方の導体の層間に配置された状態となっている。なお、図1(b)では、識別のため、第2のエッジワイズコイル側にハッチングを施した。
【0025】
また、図2は、図1における、第1のエッジワイズコイル1aと、第2のエッジワイズコイル1bとを、それぞれ個別に示した斜視図である。図2において、2aは第1のエッジワイズコイル1aの、一方の端末部、2bは第1のエッジワイズコイル1bの、一方の端末部を示す。
【0026】
図1、図2に示したように、2個のエッジワイズコイル1a,1bは、同一サイズの平角導体からなり、巻線の径も同一で、巻線の層間には、ほぼ平角導体の厚さに対応した間隙が形成されている。そして、このエッジワイズコイルの例では、巻線工程が終了した後、全体にポリアミドイミドなどを塗装、硬化して強化絶縁を施すことができる。
【0027】
図3は、2個のエッジワイズコイルを組み立てる際の状態の平面図である。ここでは、第1のエッジワイズコイル1aの一方の端末部2aの層と、隣接する平角導体の層との間の間隙に、第2のエッジワイズコイル1bの一方の端末部2bを、両端末がほぼ直交する方向から挿入し、2個のエッジワイズコイルの巻線の中心が、ほぼ一致する位置まで、押し込む。その後、少なくともいずれか一方のエッジワイズコイルを、巻線の中心を軸として回転させることで、2個のエッジワイズコイルの組立てが完了する。
【0028】
図4は、前記の組立て工程を終了したエッジワイズコイルを用いて、表面実装型トランスを構成した例を示す図で、図4(a)は、平面図、図4(b)は、側面図、図4(c)は、正面図である。ここでは、組立て後のエッジワイズコイル3に、ポリイミド樹脂フィルムなどからなる絶縁体5を介して、EI型のMn−Zn系フェライトコア4を組み付け、エッジワイズコイルの4箇所の端末それぞれに、折り曲げ加工を施し、表面実装用の端子とした。
【0029】
この例では、コイルに組み付ける磁心として、EI型のMn−Zn系フェライトを用いたが、磁心の形状としては、EE型など各種の形状が使用できることは勿論である。また、磁心の材質としては、前記のMn−Zn系フェライトの他に、高透磁率の各種材料を用いることができる。具体的には、Ni−Zn系フェライトのようなセラミックスの他、パーマロイ、珪素鋼板、アモルファス合金薄帯などの積層体が使用できる。
【0030】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、小型で、かつ結合性が高い、エッジワイズコイルを用いたトランス及びその製造方法が得られる。このトランスを用いることで、従来のエッジワイズコイルを用いていた機器類の、小型化や高性能化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトランスに用いるエッジワイズの一例を示す図、図1(a)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す斜視図、図1(b)は、2個のエッジワイズコイルを組み立てた状態を示す正面図。
【図2】第1のエッジワイズコイルと、第2のエッジワイズコイルとを、それぞれ個別に示した斜視図。
【図3】2個のエッジワイズコイルを組み立てる際の状態の平面図。
【図4】エッジワイズコイルを用いて、表面実装型トランスを構成した例を示す図、図4(a)は平面図、図4(b)は側面図、図4(c)は正面図。
【図5】従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける一次コイルと二次コイルの配置例を示した図。
【図6】従来のエッジワイズコイルを用いたトランスにおける一次コイルと二次コイルの配置例を示した図、図6(a)は斜視図、図6(b)は正面図。
【符号の説明】
1a,1b,6a,6b,7a,7b エッジワイズコイル
2a,2b 端末部
3 組立て後のエッジワイズコイル
4 EI型のMn−Zn系フェライトコア
5 絶縁体
Claims (5)
- 平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施してなる、2個のヘリカルコイルを、一次コイル及び二次コイルとしたトランスにおいて、前記2個のヘリカルコイルは、平角導体の層間に、ほぼ前記平角導体の厚さの間隙を有し、前記ヘリカルコイルの一方の平角導体の層間に、前記ヘリカルコイルの他方の平角導体が配置され、前記平角導体の、軸方向に垂直な面の少なくとも一部が、交互に重なり合うように配置してなることを特徴とするトランス。
- 前記2個のヘリカルコイルのそれぞれは、ほぼ同じ幅と厚さの平角導体から構成され、ほぼ同一の巻線径を有し、巻線の中心がほぼ同じ位置に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のトランス。
- 前記平角導体は、強化絶縁が施されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のトランス。
- 前記ヘリカルコイルは、塗装処理により強化絶縁が施されていることを特徴とする、請求項1または請求項2のいずれかに記載のトランス。
- 平角導体の幅方向に一定の曲率で曲げ加工を施し、平角導体の層間に、ほぼ該平角導体の厚さの間隙を有するヘリカルコイルを、2個作製する工程と、前記ヘリカルコイルの一方の第1層の平角導体を、他方のヘリカルコイルの、第1層の平角導体と第2層の平角導体の層間に、2個のヘリカルコイルの巻線の中心がほぼ一致する位置まで挿入し、前記2個のヘリカルコイルを、各ヘリカルコイルの巻線の中心の位置ないしはその近傍を軸として、相互に反対方向に回転させることで、前記ヘリカルコイルを構成する平角導体の、軸方向に垂直な面の少なくとも一部が、交互に重なり合うように配置して、2個のヘリカルコイルを組み立てる工程を含むことを特徴とするトランスの製造方法。
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