JP2004103404A - イオン導電性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】開放電圧が高く長期間使用しても開放電圧が低下しない湿式太陽電池を提供する。
【解決手段】色素が吸着した半導体層を含む感光層が導電性支持体上に保持された光電変換素子からなる負極と対向電極との間に電荷移動層が設けられた構造を有する湿式太陽電池において、電荷移動相として、3,4−ジヒドロピロール2−オンのような分子内に下記式
【化1】
(但し、上記式中の窒素原子に水素原子は結合しない。)
で示される基を有するアミド化合物及び1,2−ジメチルプロピルイミダゾリウムヨウ化物、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等のような電解質を含有してなるイオン導電性組成物を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】色素が吸着した半導体層を含む感光層が導電性支持体上に保持された光電変換素子からなる負極と対向電極との間に電荷移動層が設けられた構造を有する湿式太陽電池において、電荷移動相として、3,4−ジヒドロピロール2−オンのような分子内に下記式
【化1】
(但し、上記式中の窒素原子に水素原子は結合しない。)
で示される基を有するアミド化合物及び1,2−ジメチルプロピルイミダゾリウムヨウ化物、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウムヨウ化物、ヨウ化リチウム、ヨウ化カリウム等のような電解質を含有してなるイオン導電性組成物を用いる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン導電性組成物、更に詳しくは光電池の電荷移動層として好適に使用することができるイオン導電性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽光発電は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などを放出しないエネルギー源として注目されており、さまざまな太陽電池が研究開発され、その一部が実用化されている。このような太陽電池の一つとして色素増感による酸化物半導体を用いた湿式太陽電池が知られている(非特許文献1参照)。この湿式太陽電池には、色素が吸着した半導体層を含む感光層が導電性支持体上に保持された光電変換素子からなる負極と対向電極との間に電荷移動層が設けられた構造を有し、光照射によって励起された色素の電子が半導体、導電性支持体、及び外部回路を通って対極に流れることにより電流が発生する。該湿式太陽電池は比較的高いエネルギー変換効率が得られしかも安価で製造できるという特長を有しているが、その変換効率は十分とは言えない。
【0003】
湿式太陽電池の変換効率を上げる方法として、電解液に4−tert−ブチルピリジンや2−ビニルピリジンを加えて開放電圧を上昇させることにより変換効率を改善する方法が知られている(非特許文献2参照)。しかしながら、該方法は、開放電圧向上効果の持続性が十分でなく、また、変換効率の向上も十分とは言えなかった。
【0004】
また、湿式太陽電池の電解液にカルボン酸類を添加することにより安定性を著しく向上させることができるという報告がなされている(非特許文献3参照。)が、そのときの開放電圧の向上効果は低く、短絡電流は増加するものの変換効率の向上の点では十分とはいえなかった。
【0005】
【非特許文献1】
Nature, vol.353, page737, 1991
【非特許文献2】
J. phys. chem. B, vol.101, page2576(1997)
【非特許文献3】
J. The Electrochem. Soc., vol.147(8), page3049(2000)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光電変換効率、特に開放電圧および耐久性の優れた光電気化学電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、芳香族ヘテロ環系化合物(上記4−tert−ブチルピリジンもこのような化合物に含まれる)に着目し、様々な芳香族ヘテロ環系化合物を電解液に添加したときの湿式太陽電池性能を評価したところ、特定のアミド化合物を添加した場合には、4−tert−ブチルピリジンや2−ビニルピリジン、更にはカルボン酸類を添加したときよりも高い開放電圧を示し、その耐久性も高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、分子内に下記式
【0009】
【化5】
【0010】
(但し、上記式で示される基の窒素原子に直接水素原子が結合することはない。)
で示される3価の基を有するアミド化合物及び電解質を含有してなることを特徴とするイオン導電性組成物である。
【0011】
また、他の本発明は、上記イオン導電性組成物を用いた電荷移動層を具備する光化学電池である。
【0012】
発明は理論に拘束されるものではないが、本発明の優れた効果が発現する機構は次のようなものであると考えられる。即ち、従来の湿式太陽電池においては、負極において半導体層に流れ込んだ電子の全てが導電性支持体に流れずにその一部が漏れ電流(暗電流ともいう)として電荷移動相中のI2またはI3 −に流れて開放電圧が低下するのに対し、本発明のイオン導電性組成物を電荷移動層に用いた湿式太陽電池においては、本発明のイオン導電性組成物に含まれる前記アミド化合物が半導体の色素が吸着していない部分に吸着することにより上記のような漏れ電流の発生が抑制されて、開放電圧が向上するものと思われる。このような効果は4−tert−ブチルピリジン、2−ビニルピリジン、カルボン酸類等を用いた場合にも得られるが、これら化合物に比べて前記アミド化合物は化合物側の吸着サイト近傍の電子密度や立体構造が、半導体側の漏れ電流を発生させやすいサイトに吸着するのに適度であるため、このようなサイトが選択的にふさがれ、漏れ電流発生防止効果(別言すれば、開放電圧向上効果)が高くなっているものと推測される。また、アミド化合物自体或いは吸着した状態でのアミド化合物が安定であるため、開放電圧向上効果が長期間安定して持続すると考えられる。さらに、一般に半導体に化合物が吸着されると抵抗が上昇し、短絡電流が低下する傾向があるが、前記アミド化合物は特定の吸着サイトに選択的に吸着するため短絡電流低下率が他の化合物を用いたときよりも小さくなっているものと思われる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン導電性組成物は、分子内に下記式
【0014】
【化6】
【0015】
(但し、上記式で示される基の窒素原子に直接水素原子が結合することはない。)
で示される3価の基を有するアミド化合物及び電解質を含有してなる。上記アミド化合物が添加された電解質を含むイオン導電性組成物を電荷移動層として用いることにより、光電池の開放電圧を高くし、変換効率を高くすると共にその効果を長期間安定して持続することが可能となる。
【0016】
本発明で使用するアミド化合物は、分子内に上記式で示される3価の基{=N−C(=O)−基}(但し、上記式で示される基の窒素原子に直接水素原子が結合することはない。)を有すること、即ち、N二置換アミド化合物であることを必須とする。同じアミド化合物であっても窒素原子に1または2個の水素原子が直接結合しているアミド化合物{別言すれば、H2N−C(=O)−基または−HN−C(=O)−基を有するアミド化合物}を使用した場合には、恐らく窒素原子の電子密度が低下するため、あるいは、水素が障害となるために半導体への選択的な吸着が起こり難くなることが原因と思われるが、このような効果を得ることはできない。
【0017】
本発明で使用するアミド化合物は、上記式で示される基を有するアミド化合物であれば特に限定されないが、開放電圧向上効果およびその効果の持続性の高さの観点から、上記式で示される基における窒素原子の半経験的分子軌道法PM3法で求められる電荷が−0.095〜−0.175(e.u.)であり、当該基における酸素原子の半経験的分子軌道法PM3法で求められる電荷が−0.225〜−0.265(e.u.)であるアミド化合物を使用するのが好適である。
【0018】
なお、窒素原子および酸素原子の電子密度を求めるのに使用する半経験的分子軌道法PM3法とはJ.P.Stewartらが1989年に発表した分子軌道計算方法で、MOPACとして広く利用されている分子軌道計算用プログラムで利用可能である。
【0019】
本発明においては、上記したような効果が特に高いという理由から、下記式
【0020】
【化7】
【0021】
(式中、下記式
【0022】
【化8】
【0023】
で示される環は、環員数5或いは6の単環式へテロ環または炭素数5〜6の環が2〜5個縮合した縮合へテロ環であり、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基または置換若しくは非置換のアリール基であり、aは0〜4の整数であり、aが2以上のときRは互いに異なっていてもよい。)
で示されるアミド化合物を使用するのが特に好適である。
【0024】
前記式における下記
【0025】
【化9】
【0026】
で示される環の内、好適な環を具体的に例示すると、次のような環を挙げることができる。
【0027】
【化10】
【0028】
また、前記式における好適なRを具体的に例示すると、非置換アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基が、置換アルキル基としてはベンジル基が、非置換アリール基としてはフェニル基およびナフチル基が、置換アリール基としてはこれら非置換アリール基の1〜4個の水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素、塩素等のハロゲン原子等で置換されたものを挙げることができる。これらの中でも、炭素数3〜5の直鎖或いは分岐の非置換アルキル基またはフェニル基が特に好適である。
前記式で示される3価の基を有するアミド化合物のうち、本発明で好適に使用できるものを具体的に示せば、下記構造の化合物を挙げることができる。
【0029】
【化11】
【0030】
本発明のイオン導電性組成物で使用する電解質は、水その他の溶媒に溶解したときの溶液がイオン電導性を示すような物質であれば特に限定されず、湿式太陽電池等の光化学電池で従来使用されている電解質を使用が何ら制限なく使用できる。本発明においては、溶解度や高濃度における粘度上昇が少なく高イオン伝導性であるという理由から、リチウムヨウ化物、ナトリウムヨウ化物、カリウムヨウ化物などの金属ヨウ化物、アルキルアンモニウムヨウ化物、四級ピリジニウムヨウ化物又は四級イミダゾリウムヨウ化物を使用するのが特に好適である。これら電解質は単独で或いは異なった種類のものを混合して使用することができる。
本発明のイオン導電性組成物に含まれる前記アミド化合物と電解質との量比は特に限定されないが、湿式太陽電池の電荷移動層として使用する場合には、アミド化合物の添加量が少量では開放電圧の向上効果は十分でなく、添加量が多すぎると短絡電流量が小さくなり光電流変換効率の低下を招くという理由から、本発明のイオン導電性組成物に含まれる電解質の合計モル数に対する前記アミド化合物のモル数は、電解質の合計モル数を1としたときに0.001〜0.1、特に0.003〜0.007となるモル数であるのが好適である。なお、上記アミド系化合物は、1種類の化合物を用いても異なる複数の化合物を混合して用いてもよい。
本発明のイオン導電性組成物は溶媒を含んでいてもよい。かかる溶媒としては、前記アミド化合物及び電解質と反応せずにこれらを溶解または分散させることができるものであれば特に限定されず、例えば従来の湿式太陽電池の電解移動層で用いられる溶媒が制限無く使用できる。このような溶媒を具体的に例示すれば、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートのカーボネート類、アセトニトリルやメトキシアセトニトリルやプロピオニトリルなどのニトリル類、及びこれらの混合物を挙げることができる。これら溶媒の使用量は特に限定されないが、湿式太陽電池等の光学電池の電荷移動層として使用する場合には、電解質1重量部に対して1〜30重量部、特に5〜15重量部使用するのが好適である。
さらに本発明のイオン導電性組成物は、上記のような溶媒を加えた上に、アクリロイル基やメタクリロイル基のような重合性基を持つ化合物、例えばアクリロニトリルやメタクリロニトリル等を加えて重合して架橋構造を有するてマトリックスを構成し、該マトリックスに本発明の導電性組成物(溶媒を含んでいてもよい)を保持させた形で使用することもできる。
本発明のイオン導電性組成物は、湿式太陽電池に代表される光化学電池の電荷移動層として好適に使用することができる。そして、本発明のイオン導電性組成物を電荷移動層として用いた本発明の光化学電池は、開放電圧が高く光電変換効率に優れ、高い耐久性を持つという特長を有する。
以下、図面を参照して本発明の光化学電池について更に詳しく説明する。図1に代表的な本発明の光化学電池1の模式図を示す。該光化学電池1は、基本的には従来の湿式太陽電池と同様の構造を有し、光電変換素子2と、電荷移動層3と、対向電極4とで構成されている。上記光電変換素子2は、負極として作用する。該光電変換素子2は、例えばガラスからなる基板5a上に例えばITO等の導電性物質から成る導電層6が形成された導電性支持体7と、感光層8とから成る。また、上記対向電極4は、ガラス等の基板5b上に金属膜9が積層された構造を有する。なお、上記感光層8は図2に示すように色素10が吸着した半導体11からなり、上記電荷移動層3は本発明のイオン導電性組成物で構成されている。
本発明の光化学電池で使用する各構成部材は、従来の光化学電池で使用されているものと特に変わることは無い。例えば、導電性支持体としては光透過性及び電気導電性を有するもの、具体的にはガラスもしくは透明プラスチック基板にITOや酸化亜鉛等の導電性の金属酸化物を塗布したものが好適に使用できる。
【0031】
また、感光層を構成する半導体としては、TiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5等が使用でき、中でも製造コストと原材料確保とエネルギー変換効率の点からTiO2微粒子が特に好適に使用できる。また、色素としては、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号および、特開平7−249790号明細書等に記載された錯体色素、より具体的には、シス−ジシアネート−ビス−2、2’−ジピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)等が使用できる。なお、上記感光層の形成は、例えば、ゾル−ゲル法等により作製した平均粒子径1〜1000nmの半導体微粒子に分散媒を加え調製した分散液を導電性支持体に塗布後、乾燥して焼結した後に含浸法当により色素を吸着させる方法等が挙げられる。用いる分散媒としては水、有機溶媒、あるいはその混合物などが特に制限無く用いることができる。また、必要に応じて界面活性剤などを分散液に添加しても良い。塗布する方法としては、ブレード法、印刷法、スプレー法などを用いることができる。焼成は空気中あるいは不活性ガス中で300〜700℃で行い感光層を形成する。膜厚は厚いほど半導体層中の色素の量が多くなり光の吸収が強くなるが、導電性支持体までの距離が増し電気抵抗が大きくなるために、感光層の厚みは0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmである。
【0032】
また、対向電極としてはガラスもしくは透明プラスチック基板上に金属を蒸着またはスパッタリングによって金属薄膜を形成したものが好適に使用できる。このような部材を用いた場合には、感光層の支持体側から入射した光が対向電極で反射するので、光の利用効率が高くなる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。下記実施例及び比較例で使用したアミド化合物を以下に示す。
【0034】
【化12】
【0035】
なお、上記各化合物の合成方法または入手先を以下に示す。
【0036】
化合物A(実施例1で使用):Chemische Berichte、volume 103 、1970、page 3783〜3790の記載に従って合成した。
【0037】
化合物B(実施例2で使用):Bulletin of Societe de France、1964、page 748〜751の記載に従って合成した。
【0038】
化合物C(実施例3で使用):Journal of Chemical Society perkin Transactions 2、1986、page 1589〜1592の記載に従って合成した。
【0039】
化合物D(比較例で使用):Aldrich社製。
【0040】
これら化合物A〜Dの窒素原子の電荷密度および酸素原子の電荷密度を表1に示す。なお、何れの電荷密度も半経験的分子軌道法PM3で求めた値である。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例1〜3及び比較例1
電解液に添加するアミド化合物としてそれぞれ上記した化合物を用いて光化学電池を作成し、その評価を行った。その結果を表1に示す。なお、光化学電池の作製は、“色素増感太陽電池の最新技術”(シーエムシー社、2001)の44〜53項に記載された方法、或いはインターネット上の東北大学多元物質科学研究所のホームページ(kuroppe.icrs.tohoku.ac.jp/ ̄masaki/wet_cell/main−j.htm)に掲載された方法等に基づき下記(1)〜(4)の手順で作製した。また、得られた光化学電池の光電変換効率は、下記(5)に示すようにして測定した。
【0043】
(1) 半導体電極の作製
和光純薬工業株式会社から購入したチタンイソプロポキサイド125mlを0.1Mの硝酸水溶液750mlに攪拌しながらゆっくり滴下した。80度8時間攪拌後室温まで放冷後、オートクレーブを用いて225℃で12時間水熱処理を行い酸化チタンの含有量が11重量%になるよう調整した。得られたコロイド溶液1重量部に和光純薬株式会社製Triton−Xを0.02〜0.05重量部加え均一な分散液とした。フッ素をドープした酸化スズ透明電極付ガラス基板にこの分散液をブレード法で塗布し100℃で1時間乾燥した後、450℃で1時間焼成した。その後0.1Mの四塩化チタン水溶液を一滴滴下し一晩放置した。その後水洗し、再び100℃で1時間乾燥した後、450℃で1時間焼成し作製した。
【0044】
(2) 色素の固定
色素の固定はルテニウム増感色素(シス−ジシアネート−ビス−2、2‘−ジピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)0.3mmol含むエタノール溶液に上記チタニア板を一晩浸漬し固定した。
【0045】
(3) 電解液の調整
電解液はアセトニトリルにヨウ化リチウム、1、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、ヨウ素、及び各実施例及び比較例で使用する種芳香族へテロ環系化合物をアセトニトリルにヨウ化リチウム0.3M、1、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物0.5M、ヨウ素0.05M、各種芳香族へテロ環系化合物0.5Mとなるように添加して調製した。
【0046】
(4) 光化学電池の作製
前記(2)で作製したチタニア基板を光電変換素子とし、対向電極として白金をスパッタしたガラス基板を用いた。スペーサーをはさんで電極をはさみ、注入口2箇所を残しエポキシ系接着剤で周りを封止後、電解液を注入し、注入後注入口をエポキシ系接着剤で封止した。この後電極にリード線を取り付けて光化学電池とした。
【0047】
(5)光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプの光をAM1.5フィルターとUVカットフィルターを通した擬似太陽光を作製した光化学電池に照射し発電性能の測定を行った。また、寿命試験として240時間の照射前後の光電変換効率を測定した。これらによって得られた光電気化学電池の開放電圧、短絡電圧、変換効率をまとめて表2に示す。尚、劣化の度合いを表す数値として
変換効率低下度 =(240時間後変換効率/初期変換効率) X 100を求め、どの程度低下したかの指標とした。
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示されるように、比較例の光化学電池に比べて実施例の光化学電池は開放電圧が高く(その結果光電変換効率も高くなっている)、また240時間後においても変換効率も劣化が少なくなっている。
【0050】
【発明の効果】
本発明により開放電圧および耐久性の向上に優れた光電気化学電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、代表的な本発明の光化学電池の模式図である。
【図2】本図は、図1に示す光化学電池の感光層の構造を示す図である。
【符号の説明】
1・・・光化学電池
2・・・光電変換素子
3・・・電荷移動層
4・・・対向電極4
5a、5b・・・基板
6・・・導電層
7・・・導電性支持体
8・・・感光層
9・・・金属膜
10・・・色素
11・・・半導体11
【発明の属する技術分野】
本発明は、イオン導電性組成物、更に詳しくは光電池の電荷移動層として好適に使用することができるイオン導電性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
太陽光発電は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素などを放出しないエネルギー源として注目されており、さまざまな太陽電池が研究開発され、その一部が実用化されている。このような太陽電池の一つとして色素増感による酸化物半導体を用いた湿式太陽電池が知られている(非特許文献1参照)。この湿式太陽電池には、色素が吸着した半導体層を含む感光層が導電性支持体上に保持された光電変換素子からなる負極と対向電極との間に電荷移動層が設けられた構造を有し、光照射によって励起された色素の電子が半導体、導電性支持体、及び外部回路を通って対極に流れることにより電流が発生する。該湿式太陽電池は比較的高いエネルギー変換効率が得られしかも安価で製造できるという特長を有しているが、その変換効率は十分とは言えない。
【0003】
湿式太陽電池の変換効率を上げる方法として、電解液に4−tert−ブチルピリジンや2−ビニルピリジンを加えて開放電圧を上昇させることにより変換効率を改善する方法が知られている(非特許文献2参照)。しかしながら、該方法は、開放電圧向上効果の持続性が十分でなく、また、変換効率の向上も十分とは言えなかった。
【0004】
また、湿式太陽電池の電解液にカルボン酸類を添加することにより安定性を著しく向上させることができるという報告がなされている(非特許文献3参照。)が、そのときの開放電圧の向上効果は低く、短絡電流は増加するものの変換効率の向上の点では十分とはいえなかった。
【0005】
【非特許文献1】
Nature, vol.353, page737, 1991
【非特許文献2】
J. phys. chem. B, vol.101, page2576(1997)
【非特許文献3】
J. The Electrochem. Soc., vol.147(8), page3049(2000)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、光電変換効率、特に開放電圧および耐久性の優れた光電気化学電池を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく、芳香族ヘテロ環系化合物(上記4−tert−ブチルピリジンもこのような化合物に含まれる)に着目し、様々な芳香族ヘテロ環系化合物を電解液に添加したときの湿式太陽電池性能を評価したところ、特定のアミド化合物を添加した場合には、4−tert−ブチルピリジンや2−ビニルピリジン、更にはカルボン酸類を添加したときよりも高い開放電圧を示し、その耐久性も高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、分子内に下記式
【0009】
【化5】
【0010】
(但し、上記式で示される基の窒素原子に直接水素原子が結合することはない。)
で示される3価の基を有するアミド化合物及び電解質を含有してなることを特徴とするイオン導電性組成物である。
【0011】
また、他の本発明は、上記イオン導電性組成物を用いた電荷移動層を具備する光化学電池である。
【0012】
発明は理論に拘束されるものではないが、本発明の優れた効果が発現する機構は次のようなものであると考えられる。即ち、従来の湿式太陽電池においては、負極において半導体層に流れ込んだ電子の全てが導電性支持体に流れずにその一部が漏れ電流(暗電流ともいう)として電荷移動相中のI2またはI3 −に流れて開放電圧が低下するのに対し、本発明のイオン導電性組成物を電荷移動層に用いた湿式太陽電池においては、本発明のイオン導電性組成物に含まれる前記アミド化合物が半導体の色素が吸着していない部分に吸着することにより上記のような漏れ電流の発生が抑制されて、開放電圧が向上するものと思われる。このような効果は4−tert−ブチルピリジン、2−ビニルピリジン、カルボン酸類等を用いた場合にも得られるが、これら化合物に比べて前記アミド化合物は化合物側の吸着サイト近傍の電子密度や立体構造が、半導体側の漏れ電流を発生させやすいサイトに吸着するのに適度であるため、このようなサイトが選択的にふさがれ、漏れ電流発生防止効果(別言すれば、開放電圧向上効果)が高くなっているものと推測される。また、アミド化合物自体或いは吸着した状態でのアミド化合物が安定であるため、開放電圧向上効果が長期間安定して持続すると考えられる。さらに、一般に半導体に化合物が吸着されると抵抗が上昇し、短絡電流が低下する傾向があるが、前記アミド化合物は特定の吸着サイトに選択的に吸着するため短絡電流低下率が他の化合物を用いたときよりも小さくなっているものと思われる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のイオン導電性組成物は、分子内に下記式
【0014】
【化6】
【0015】
(但し、上記式で示される基の窒素原子に直接水素原子が結合することはない。)
で示される3価の基を有するアミド化合物及び電解質を含有してなる。上記アミド化合物が添加された電解質を含むイオン導電性組成物を電荷移動層として用いることにより、光電池の開放電圧を高くし、変換効率を高くすると共にその効果を長期間安定して持続することが可能となる。
【0016】
本発明で使用するアミド化合物は、分子内に上記式で示される3価の基{=N−C(=O)−基}(但し、上記式で示される基の窒素原子に直接水素原子が結合することはない。)を有すること、即ち、N二置換アミド化合物であることを必須とする。同じアミド化合物であっても窒素原子に1または2個の水素原子が直接結合しているアミド化合物{別言すれば、H2N−C(=O)−基または−HN−C(=O)−基を有するアミド化合物}を使用した場合には、恐らく窒素原子の電子密度が低下するため、あるいは、水素が障害となるために半導体への選択的な吸着が起こり難くなることが原因と思われるが、このような効果を得ることはできない。
【0017】
本発明で使用するアミド化合物は、上記式で示される基を有するアミド化合物であれば特に限定されないが、開放電圧向上効果およびその効果の持続性の高さの観点から、上記式で示される基における窒素原子の半経験的分子軌道法PM3法で求められる電荷が−0.095〜−0.175(e.u.)であり、当該基における酸素原子の半経験的分子軌道法PM3法で求められる電荷が−0.225〜−0.265(e.u.)であるアミド化合物を使用するのが好適である。
【0018】
なお、窒素原子および酸素原子の電子密度を求めるのに使用する半経験的分子軌道法PM3法とはJ.P.Stewartらが1989年に発表した分子軌道計算方法で、MOPACとして広く利用されている分子軌道計算用プログラムで利用可能である。
【0019】
本発明においては、上記したような効果が特に高いという理由から、下記式
【0020】
【化7】
【0021】
(式中、下記式
【0022】
【化8】
【0023】
で示される環は、環員数5或いは6の単環式へテロ環または炭素数5〜6の環が2〜5個縮合した縮合へテロ環であり、Rは、置換若しくは非置換のアルキル基または置換若しくは非置換のアリール基であり、aは0〜4の整数であり、aが2以上のときRは互いに異なっていてもよい。)
で示されるアミド化合物を使用するのが特に好適である。
【0024】
前記式における下記
【0025】
【化9】
【0026】
で示される環の内、好適な環を具体的に例示すると、次のような環を挙げることができる。
【0027】
【化10】
【0028】
また、前記式における好適なRを具体的に例示すると、非置換アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基が、置換アルキル基としてはベンジル基が、非置換アリール基としてはフェニル基およびナフチル基が、置換アリール基としてはこれら非置換アリール基の1〜4個の水素原子がメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはフッ素、塩素等のハロゲン原子等で置換されたものを挙げることができる。これらの中でも、炭素数3〜5の直鎖或いは分岐の非置換アルキル基またはフェニル基が特に好適である。
前記式で示される3価の基を有するアミド化合物のうち、本発明で好適に使用できるものを具体的に示せば、下記構造の化合物を挙げることができる。
【0029】
【化11】
【0030】
本発明のイオン導電性組成物で使用する電解質は、水その他の溶媒に溶解したときの溶液がイオン電導性を示すような物質であれば特に限定されず、湿式太陽電池等の光化学電池で従来使用されている電解質を使用が何ら制限なく使用できる。本発明においては、溶解度や高濃度における粘度上昇が少なく高イオン伝導性であるという理由から、リチウムヨウ化物、ナトリウムヨウ化物、カリウムヨウ化物などの金属ヨウ化物、アルキルアンモニウムヨウ化物、四級ピリジニウムヨウ化物又は四級イミダゾリウムヨウ化物を使用するのが特に好適である。これら電解質は単独で或いは異なった種類のものを混合して使用することができる。
本発明のイオン導電性組成物に含まれる前記アミド化合物と電解質との量比は特に限定されないが、湿式太陽電池の電荷移動層として使用する場合には、アミド化合物の添加量が少量では開放電圧の向上効果は十分でなく、添加量が多すぎると短絡電流量が小さくなり光電流変換効率の低下を招くという理由から、本発明のイオン導電性組成物に含まれる電解質の合計モル数に対する前記アミド化合物のモル数は、電解質の合計モル数を1としたときに0.001〜0.1、特に0.003〜0.007となるモル数であるのが好適である。なお、上記アミド系化合物は、1種類の化合物を用いても異なる複数の化合物を混合して用いてもよい。
本発明のイオン導電性組成物は溶媒を含んでいてもよい。かかる溶媒としては、前記アミド化合物及び電解質と反応せずにこれらを溶解または分散させることができるものであれば特に限定されず、例えば従来の湿式太陽電池の電解移動層で用いられる溶媒が制限無く使用できる。このような溶媒を具体的に例示すれば、エチレンカーボネートやプロピレンカーボネートのカーボネート類、アセトニトリルやメトキシアセトニトリルやプロピオニトリルなどのニトリル類、及びこれらの混合物を挙げることができる。これら溶媒の使用量は特に限定されないが、湿式太陽電池等の光学電池の電荷移動層として使用する場合には、電解質1重量部に対して1〜30重量部、特に5〜15重量部使用するのが好適である。
さらに本発明のイオン導電性組成物は、上記のような溶媒を加えた上に、アクリロイル基やメタクリロイル基のような重合性基を持つ化合物、例えばアクリロニトリルやメタクリロニトリル等を加えて重合して架橋構造を有するてマトリックスを構成し、該マトリックスに本発明の導電性組成物(溶媒を含んでいてもよい)を保持させた形で使用することもできる。
本発明のイオン導電性組成物は、湿式太陽電池に代表される光化学電池の電荷移動層として好適に使用することができる。そして、本発明のイオン導電性組成物を電荷移動層として用いた本発明の光化学電池は、開放電圧が高く光電変換効率に優れ、高い耐久性を持つという特長を有する。
以下、図面を参照して本発明の光化学電池について更に詳しく説明する。図1に代表的な本発明の光化学電池1の模式図を示す。該光化学電池1は、基本的には従来の湿式太陽電池と同様の構造を有し、光電変換素子2と、電荷移動層3と、対向電極4とで構成されている。上記光電変換素子2は、負極として作用する。該光電変換素子2は、例えばガラスからなる基板5a上に例えばITO等の導電性物質から成る導電層6が形成された導電性支持体7と、感光層8とから成る。また、上記対向電極4は、ガラス等の基板5b上に金属膜9が積層された構造を有する。なお、上記感光層8は図2に示すように色素10が吸着した半導体11からなり、上記電荷移動層3は本発明のイオン導電性組成物で構成されている。
本発明の光化学電池で使用する各構成部材は、従来の光化学電池で使用されているものと特に変わることは無い。例えば、導電性支持体としては光透過性及び電気導電性を有するもの、具体的にはガラスもしくは透明プラスチック基板にITOや酸化亜鉛等の導電性の金属酸化物を塗布したものが好適に使用できる。
【0031】
また、感光層を構成する半導体としては、TiO2、ZnO、SnO2、Fe2O3、WO3、Nb2O5等が使用でき、中でも製造コストと原材料確保とエネルギー変換効率の点からTiO2微粒子が特に好適に使用できる。また、色素としては、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号および、特開平7−249790号明細書等に記載された錯体色素、より具体的には、シス−ジシアネート−ビス−2、2’−ジピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)等が使用できる。なお、上記感光層の形成は、例えば、ゾル−ゲル法等により作製した平均粒子径1〜1000nmの半導体微粒子に分散媒を加え調製した分散液を導電性支持体に塗布後、乾燥して焼結した後に含浸法当により色素を吸着させる方法等が挙げられる。用いる分散媒としては水、有機溶媒、あるいはその混合物などが特に制限無く用いることができる。また、必要に応じて界面活性剤などを分散液に添加しても良い。塗布する方法としては、ブレード法、印刷法、スプレー法などを用いることができる。焼成は空気中あるいは不活性ガス中で300〜700℃で行い感光層を形成する。膜厚は厚いほど半導体層中の色素の量が多くなり光の吸収が強くなるが、導電性支持体までの距離が増し電気抵抗が大きくなるために、感光層の厚みは0.1〜100μm、好ましくは1〜50μmである。
【0032】
また、対向電極としてはガラスもしくは透明プラスチック基板上に金属を蒸着またはスパッタリングによって金属薄膜を形成したものが好適に使用できる。このような部材を用いた場合には、感光層の支持体側から入射した光が対向電極で反射するので、光の利用効率が高くなる。
【0033】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。下記実施例及び比較例で使用したアミド化合物を以下に示す。
【0034】
【化12】
【0035】
なお、上記各化合物の合成方法または入手先を以下に示す。
【0036】
化合物A(実施例1で使用):Chemische Berichte、volume 103 、1970、page 3783〜3790の記載に従って合成した。
【0037】
化合物B(実施例2で使用):Bulletin of Societe de France、1964、page 748〜751の記載に従って合成した。
【0038】
化合物C(実施例3で使用):Journal of Chemical Society perkin Transactions 2、1986、page 1589〜1592の記載に従って合成した。
【0039】
化合物D(比較例で使用):Aldrich社製。
【0040】
これら化合物A〜Dの窒素原子の電荷密度および酸素原子の電荷密度を表1に示す。なお、何れの電荷密度も半経験的分子軌道法PM3で求めた値である。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例1〜3及び比較例1
電解液に添加するアミド化合物としてそれぞれ上記した化合物を用いて光化学電池を作成し、その評価を行った。その結果を表1に示す。なお、光化学電池の作製は、“色素増感太陽電池の最新技術”(シーエムシー社、2001)の44〜53項に記載された方法、或いはインターネット上の東北大学多元物質科学研究所のホームページ(kuroppe.icrs.tohoku.ac.jp/ ̄masaki/wet_cell/main−j.htm)に掲載された方法等に基づき下記(1)〜(4)の手順で作製した。また、得られた光化学電池の光電変換効率は、下記(5)に示すようにして測定した。
【0043】
(1) 半導体電極の作製
和光純薬工業株式会社から購入したチタンイソプロポキサイド125mlを0.1Mの硝酸水溶液750mlに攪拌しながらゆっくり滴下した。80度8時間攪拌後室温まで放冷後、オートクレーブを用いて225℃で12時間水熱処理を行い酸化チタンの含有量が11重量%になるよう調整した。得られたコロイド溶液1重量部に和光純薬株式会社製Triton−Xを0.02〜0.05重量部加え均一な分散液とした。フッ素をドープした酸化スズ透明電極付ガラス基板にこの分散液をブレード法で塗布し100℃で1時間乾燥した後、450℃で1時間焼成した。その後0.1Mの四塩化チタン水溶液を一滴滴下し一晩放置した。その後水洗し、再び100℃で1時間乾燥した後、450℃で1時間焼成し作製した。
【0044】
(2) 色素の固定
色素の固定はルテニウム増感色素(シス−ジシアネート−ビス−2、2‘−ジピリジル−4、4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II)0.3mmol含むエタノール溶液に上記チタニア板を一晩浸漬し固定した。
【0045】
(3) 電解液の調整
電解液はアセトニトリルにヨウ化リチウム、1、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、ヨウ素、及び各実施例及び比較例で使用する種芳香族へテロ環系化合物をアセトニトリルにヨウ化リチウム0.3M、1、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物0.5M、ヨウ素0.05M、各種芳香族へテロ環系化合物0.5Mとなるように添加して調製した。
【0046】
(4) 光化学電池の作製
前記(2)で作製したチタニア基板を光電変換素子とし、対向電極として白金をスパッタしたガラス基板を用いた。スペーサーをはさんで電極をはさみ、注入口2箇所を残しエポキシ系接着剤で周りを封止後、電解液を注入し、注入後注入口をエポキシ系接着剤で封止した。この後電極にリード線を取り付けて光化学電池とした。
【0047】
(5)光電変換効率の測定
500Wのキセノンランプの光をAM1.5フィルターとUVカットフィルターを通した擬似太陽光を作製した光化学電池に照射し発電性能の測定を行った。また、寿命試験として240時間の照射前後の光電変換効率を測定した。これらによって得られた光電気化学電池の開放電圧、短絡電圧、変換効率をまとめて表2に示す。尚、劣化の度合いを表す数値として
変換効率低下度 =(240時間後変換効率/初期変換効率) X 100を求め、どの程度低下したかの指標とした。
【0048】
【表2】
【0049】
表2に示されるように、比較例の光化学電池に比べて実施例の光化学電池は開放電圧が高く(その結果光電変換効率も高くなっている)、また240時間後においても変換効率も劣化が少なくなっている。
【0050】
【発明の効果】
本発明により開放電圧および耐久性の向上に優れた光電気化学電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、代表的な本発明の光化学電池の模式図である。
【図2】本図は、図1に示す光化学電池の感光層の構造を示す図である。
【符号の説明】
1・・・光化学電池
2・・・光電変換素子
3・・・電荷移動層
4・・・対向電極4
5a、5b・・・基板
6・・・導電層
7・・・導電性支持体
8・・・感光層
9・・・金属膜
10・・・色素
11・・・半導体11
Claims (4)
- 請求項1乃至3の何れかに記載のイオン導電性組成物を用いた電荷移動層を具備する光化学電池。
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