JP2004192809A - 外囲器 - Google Patents
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Abstract
【課題】高真空の外囲器を小型な製造装置を用いて簡便で廉価な製造方法にて提供する。
【解決手段】W−In構成の封着方法において、下側の基板と枠との接合をエッジ部分にて行う構成とする。さらに、枠部接合面は面取りを行い、かつ、接合箇所には漏れ性upのため下引き層を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】W−In構成の封着方法において、下側の基板と枠との接合をエッジ部分にて行う構成とする。さらに、枠部接合面は面取りを行い、かつ、接合箇所には漏れ性upのため下引き層を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外囲器及びその製造方法に関し、特に対向配置された基板の間のギャップ内部を真空に維持された外囲器に関する。より詳しくは、外囲器は画像を表示する画像形成装置であり、その封着方法と装置に関し、特に冷陰極電子放出源を用いた平面型画像表示装置をシール材を用いて封着する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、画像表示装置の分野において、対向配置された2枚の基板間の空間が真空にされた外囲器が用いられている。基板には、主に透明な支持体としてガラス基板が用いられる。特に電子放出素子から放出された電子を蛍光体に衝突させ発光させて表示させる画像表示装置の分野では、内部に高い真空度が求められる。電子放出素子としては熱電子源と冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には電界放出型素子(以下FE型素子と略す)、金属/絶縁層/金属型素子(以下MIM素子と略す)、表面伝導型電子放出素子(以下SCE素子と略す)等がある。
【0003】
これら技術について本出願人による先行技術の一部を紹介すると、
・インクジェット形成方式による素子作成に関しては特開平09−102271号公報や特開2000−251665号公報に、
・これらの素子をXYマトリクス形状に配置した例として、特開昭64−031332号公報、特開平07−326311号公報に詳述されている。
・更には配線形成方法に関しては特開平08−185818号公報や、特開平09−050757号公報に、
・駆動方法については特開平06−342636号公報等に詳述されている。
【0004】
また、従来、内部を真空維持する画像表示装置を製造する際には、ガラス部材の間にシール材であるフリットガラスを塗布または載置して、電気炉等の封着炉に入れ、またはホットプレートヒータに載せ(上下からホットプレートヒータで挟む場合もある)、画像表示装置全体を封着温度に加熱して、封着部分のガラス部材を封着ガラスで融着する封着方法が取られている。
【0005】
また、電子源を用いた平面型画像表示装置は、冷陰極電子放出素子等を安定に長時間動作させるために、超高真空を必要とするため、複数の電子放出素子を有する基板とこれに対向する位置に蛍光体を有する基板を枠を挟んでフリットガラスにより封着され、放出ガスを吸着して真空維持するゲッタが具備されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のゲッタには蒸着型と非蒸発型があり、蒸着型ゲッタはBa等を主成分とする合金を、真空ガラス外囲器内で通電あるいは高周波により加熱し、容器内壁に蒸着膜を形成(ゲッタフラッシュ)し、活性なゲッタ金属面により内部で発生したガスを吸着して高真空を維持している。
【0007】
一方、非蒸発型ゲッタは、Ti,Zr,V、Al,Fe等のゲッタ材を配置し、真空中で加熱して、ガス吸着特性を得る「ゲッタ活性化」を行うことにより、放出ガスを吸着することができる。
【0008】
一般に、平面型画像表示装置は、薄いために真空を維持する蒸着型ゲッタの設置領域や瞬時放電のためのフラッシュ領域が十分確保できず、画像表示エリア外の支持枠近傍にそれらを設置している。よって、画像表示の中央部とゲッタ設置領域とのコンダクタンスが小さくなり、電子放出素子や蛍光体の中央部での実効排気速度が小さくなってしまう。電子源と画像表示部材を有する画像表示装置において、好ましくないガスを発生させる部分は、主に電子ビームにより照射される画像表示領域である。そのため、蛍光体及び電子源を高真空で保持したい場合には、放出ガスの発生源である蛍光体や電子源近傍に非蒸発型ゲッタを配置する必要がある。
【0009】
これらの電子放出素子をマトリクス上に配置した電子源基板を用いてパネルを形成した模式図を図8に示す。図8において、80は電子放出素子が多数配置された電子源基板を指し、電子源基板80を片面に持つ81はガラス基板であって、リアプレートと呼ぶ。82はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等が形成されたフェースプレートである。86は支持枠であり、リアプレート81と支持枠86フリットガラスによって接着予め接合させておく。次に、パネル接合材料として不図示のIn膜93を半田付けにて、支持枠86とフェースプレート82に予め設けておく。支持枠86とフェースプレート82へのIn膜93の接合強度を高めるために、同じく不図示の下地層94として銀ペースト膜を設けることが望ましい。さらに、超音波半田ごてを用いて半田付けは行うことで、充分な接合強度が得られる。その後、真空チャンバー中で、In融点以上の温度でIn膜93を介して支持枠86とフェースプレート82を接合することで、封着して、外囲器90を構成する。
【0010】
図8において、87は本発明の電子放出素子に相当する。88、89は、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0011】
一方、フェースプレート82、リアプレート81間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器90を構成することもできる。
【0012】
図8において、非蒸発型ゲッタは、フェースプレート82の画像表示エリア、又は、リアプレートの電子源基板80、或いは両方のガラス基板上に、形成されている(不図示)。
【0013】
さらに低コストの製造プロセスを目的としてフリットガラスによる接着も低融点金属であるInで行う構成も検討されている。Inは、融点が156℃と比較的低く、かつ軟化点=融点での放出ガスが少ない材料である。フリットガラスを用いた場合500℃前後まで加熱する必要があるが、Inであれば200℃までの加熱で充分なためプロセスが簡素化される効果がある。さらに、フリットガラスに含まれる鉛(Pb)を減らす事が環境対策上望ましいとも言える。しかし、検討を行った支持枠86とリアプレート81、フェースプレート82とをInにより各々を接合させる従来の画像表示装置の封着方法では、以下の様な問題点があった。
【0014】
2ヶ所の封着箇所を同じIn材料で封着する場合、同じ温度で融けてしまうので中間に挟まれた支持枠86が固定されないために位置ズレが起こりやすい。特に、両ガラス基板を重ねた状態で横置きにした場合、重力の影響で下基板側に支持枠86が移動してしまうため、接合材料のIn膜93の膜厚が変化する。問題は上基板側のIn膜が厚くなった場合に真空気密性が損なわれる恐れが発生する点である。0〜数十μmの表面凹凸のある基板を接合するために必要なIn厚は200〜400μmであることが、経験的に判っている。さらに、所定のIn厚の接合を得るには、封着前に必要なIn量の倍ぐらいのIn膜を接合面の両側に超音波半田により予め形成しておく。しかし、支持枠86が重力により移動し、In厚み方向に支持枠が偏在し上基板側のIn膜が見かけ上厚くなると、予め設けておいたIn量では真空気密性を保つのに不足してしまうことになる。
【0015】
また、2つ目の問題として材料コストの問題がある。Inを接合材料として用いる場合の材料コストが、フリットガラスを用いない場合、フリットガラスに比べると2桁程度Inの材料コストが高いため、接合材料コストが実質2倍となってしまうという問題がある。低温プロセスにすることで、プロセスコストを下げても、材料コストが上がっては意味がない。真空気密性を確保したまま、使用するIn材料を減らす必要がある。
【0016】
これらの問題は、接合材料としてIn以外の低融点の金属、或は、合金材料を用いる場合も同じように大きな問題となりうる。よって、本明細書では、代表的な接合材料としてInを用いて説明を行っているが、他の金属、或は、合金の接合材料でも同じように本発明が実現される。
【0017】
(発明の目的)
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を改善するものであり、高真空な外囲器を小型な製造装置を用いた簡便で廉価な製造方法にて提供することにある。また結果として、表示品位の良い画像表示装置を廉価に提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の外囲器は、対向配置された第一の基板と第二の基板が周縁部において側壁が両基板に挟まれた状態にて配設され、前記側壁を介して前記第一の基板と前記第二の基板の各々が低融点金属材料よりなる接合部材により封着された外囲器であって、前記第一の基板と前記第二の基板のいずれか一方と前記側壁とが側壁端面エッジ部で接合されるように前記接合部材を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
さらに、前記一方の基板とエッジにて接合される前記側壁端面が、面取りされたエッジ形状を有することが望ましい。
【0020】
さらに、前記一方の基板とエッジにて接合される前記側壁端面と該基板の接合箇所に接合部材の濡れ性を高める処置を施したことが望ましい。
【0021】
さらに、前記側壁端面と該基板の接合箇所に施した接合部材の濡れ性を高める処置とは、濡れ性の良い下引き層をパターン形成したことが望ましい。
【0022】
さらに、前記側壁端面とエッジにて接合される前記一方の基板の接合箇所周辺部に接合部材の流れ防止パターンを形成したことが望ましい。
【0023】
さらに、前記第一の基板がマトリクス配線された複数の電子放出素子が配置された電子源基板であり、前記第二の基板が蛍光膜と該蛍光膜を被覆するメタルバック及び該蛍光膜の間に黒色導電材を有する画像形成部材よりなる対向基板であり、電子放出素子から放出された電子が蛍光膜に衝突することによる発光に基づいて表示を行うことが望ましい。
【0024】
前記電子源は、横型の電界放出型電子放出素子を有することが望ましい。
【0025】
以下、本発明による外囲器の特徴について説明する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を示す。
【0027】
(実施例1)
図1は、本発明による第一の実施例における、In膜93を介して支持枠86とリアプレート81、フェースプレート82各々を接合した外囲器90の周辺部の概略断面構造を示す図である。図1において、電子源を片面に持つ81はガラス基板であって、リアプレートと呼ぶ。82はガラス基板83の内面に蛍光膜とメタルバックが形成されたフェースプレートである。フェースプレート82、リアプレート81間に、スペーサー205と呼ばれる支持体を設置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器90を構成することができる。スペーサー205はリアプレート81に接着剤206によって部分的に接着され、空気乾燥させることで固定されている。リアプレート81に設けられた支持枠86の高さに比べて、スペーサー205の高さが僅かに高くなるよう、それぞれの高さ形状を設定することで、接合後の支持枠86とフェースプレート82間のIn膜93の厚みが決まるようになっている。よって、スペーサー205は、接合後の支持枠86とフェースプレート82間のIn膜93の厚み規定部材としても機能している。
【0028】
支持枠86はリアプレート81上部に設置され重力によって略、固定されている。支持枠外周部の端面リアプレート側は面取りされており、接合部材であるIn膜93が保持されやすい形状を有している。支持枠86の面取りされた面とそれに対向するリアプレート81の接合箇所には、予めInの濡れ性を良くするために下引き層204がパターン形成されている。下引き層204は、AgやTi、Niなどが用いられる。Agの下引き層204は、銀ペーストをスクリーン印刷などにより容易にパターニングが可能である。図1で示すように、支持枠86とリアプレート81の接合を支持枠86の外周エッジ部分にて行うことで、接合に用いられるIn膜93の量を相当量抑えることが可能となる。
【0029】
In膜93は、高温でもガス放出が少なく、低温の融点を持つために金属Inを用いている。金属、或いは合金を接合部材として用いた場合、溶媒やバインダを含んでいないため、融点で溶け出した時の放出ガスは非常に少ないので接合部材として望ましい。まず、支持枠86とフェースプレート82を接合する。図12で示すように、各々の下引き層204部分に超音波半田ゴテによりIn膜93を形成する。この処理により支持枠86とリアプレート81が略、固定される程度でこの接合は充分である。次に、全体を真空装置内で行うプロセスを、本実施例による画像表示装置の封着方法として図13を用いて説明する。支持枠86とフェースプレート82を接合する部分に予めIn膜93を、図12で説明したのと同様の手法にてパターニング形成しておく。まず、対向させたフェースプレート82とリアプレート81の間に一定の間隔を設けた状態で、両基板を保持し真空加熱を行う。基板からガスが放出され、その後室温に戻った時にパネル内部が充分な真空度となるよう、300℃以上の高温で基板真空ベークを行う。この時点で、In膜93は融けた状態であり、融けたInが流れ出さないよう両基板とも充分な水準出しを行っている。基板真空ベークの際には、前述の下引き層204へのInの含浸が一層進み、充分なシール性能を備えた接合界面を形成する。真空ベークの後、Inの融点近傍まで温度を下げた上で、位置決め装置200により、フェースプレート82とリアプレート81との間隔を徐々に縮めていき、両基板の接合、すなわち封着を行う。融点近傍まで温度を下げるのは、融けた状態の液体Inの流動性を抑えて、接合時に不要な流れやはみ出しを防止するためである。
【0030】
図12で説明したリアプレート81と支持枠86の接合部分のIn膜93も同時に融けることで、単に固定された状態であった接合状態が変化し、この接合部分の気密性が確保されることになる。従来ならリアプレート81と支持枠86を接触面全体をInにより接合させていたために、真空加熱時にInが融け出し支持枠86の重みにより圧迫され流れ出してしまい、In厚が薄くなってしまう。さらに融け出す際に支持枠86の横方向位置も移動してしまう。しかし、本発明では、支持枠86とリアプレート81が直接接する構成であるため、支持枠86の高さ位置が変わることもありえないし、さらに、重力による接触面の摩擦力のために支持枠86が移動することがない。
【0031】
次に、本実施例の各構成要素の形成プロセスについて、以下に説明する。まず、リアプレート81の電子源基板80面に、電子放出素子として図11に示すタイプの電子放出素子を作成した。図11(a)は本素子の平面図を、図11(b)は断面図を示している。
【0032】
これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を、図11に示した模式図をもとに説明する。
【0033】
図11において1はガラス等からなる基板であり、その大きさおよびその厚みは、その上に設置される電子放出素子の個数、および個々の素子の設計形状、および電子源の使用時に容器の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持するための耐大気圧構造等の力学的条件等に依存して適宜設定される。
【0034】
ガラスの材質としては、廉価な青板ガラスを使う事が一般的であるが、この上にナトリウムブロック層として、厚さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板等を用いる必要がある。この他にナトリウムが少ないガラスや、石英基板でも作成可能である。本実施例ではプラズマディスプレイ用電気ガラスであるアルカリ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)社製)の材料を用いている。
【0035】
また素子電極2、3の材料としては、一般的な導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、Pt、Ti等の金属やPd−Ag等の金属が好適であり、あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体や、ITO等の透明導電体等から適宜選択され、その膜厚は、好ましくは数百Åから数μmの範囲が適当である。
【0036】
この時の素子電極間隔L、素子電極長さW、素子電極2、3の形状等は、実素子が応用される形態等に応じて適宜設計されるが、間隔Lは好ましくは数千Åから1mmであり、より好ましくは素子電極間に印加する電圧等を考慮して1μmから100μmの範囲である。また、素子電極長さWは、好ましくは電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲である。
【0037】
さらにこの素子電極には、市販の白金Pt等の金属粒子を含有したペーストを、オフセット印刷等の印刷法によって塗布形成する事も可能である。
【0038】
またより精密なパターンを得る目的で、白金Pt等を含有する感光性ペーストを、スクリーン印刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露光、現像するという工程でも形成可能である。
【0039】
この後、素子電極2、3を跨ぐ形で、電子源となる導電性薄膜4を作成する。導電性薄膜としては、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好ましい。またその膜厚は、素子電極2、3へのステップカバレージ、素子電極間の抵抗値、および後述するフォーミング処理条件等を考慮して適宜設定されるが、好ましくは数Åから数千Åであり、特に好ましくは10Åから500Åの範囲とするのが良い。
【0040】
本出願人らの研究によると導電性膜材料には、一般にはパラジウムPdが適しているが、これに限ったものではない。また成膜形成方法も、スパッタ法、溶液塗布後に焼成する方法などが適宜用いられる。
【0041】
ここでは有機パラジウム溶液を塗付後、焼成して酸化パラジウムPdO膜を形成する方法を選んだ。その後水素が共存する還元雰囲気下で通電加熱し、パラジウムPd膜とし、同時に亀裂部を形成した。これが電子放出部5を形成することになる。
【0042】
尚、図示の便宜から、電子放出部5は導電性薄膜4の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0043】
次に、図2でマトリクス状に電子放出素子を有する基板の平面図を示す。
【0044】
(図2−e)図において、21は電子源基板、22、23は素子電極、24はY方向配線、25は絶縁性膜、26はX方向配線、27は表面伝導型電子放出素子膜であり、電子放出部を形成している。
【0045】
以下この素子の作成方法を、(図2−a)から(図2−e)を用いて説明する。
【0046】
(ガラス基板 素子電極形成)
(図2−a)の説明
(図2−a)で素子電極22,23は、ガラス基板21上に、スパッタ法によってまず下引き層としてチタニウムTi5nm、その上に白金Pt40nmを成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した。
本実施例では素子電極の間隔L=10μm、対応する長さW=100μmとした。
【0047】
(下配線形成と絶縁膜形成)
(図2−b)の説明
X配線とY配線の配線材料に関しては、多数の表面伝導型素子にほぼ均等な電圧が供給されるように低抵抗である事が望まれ、材料、膜厚、配線巾等が適宜設定される。
【0048】
共通配線としてのY方向配線(下配線)は、素子電極の一方に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成した。材料には銀Agフォトぺ一ストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光し現像した。この後480℃前後の温度で焼成して配線を形成した。
【0049】
配線の厚さ約10μ、幅幅50μmである。なお終端部は配線取り出し電極として使うために、線幅をより大きくした。
【0050】
(絶縁膜形成)
(図2−c)の説明
上下配線を絶縁するために、層間絶縁層を配置する。後述のX配線(上配線)下に、先に形成したY配線(下配線)との交差部を覆うように、かつ上配線(X配線)と素子電極の他方との電気的接続が可能なように、接続部にコンタクトホールを開けて形成した。
【0051】
工程はPbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光−現像した。これを4回繰り返し、最後に480℃前後の温度で焼成した。この層間絶縁層の厚みは、全体で約30μmであり、幅は150μmである。
【0052】
(上配線形成)
(図2−d)の説明
X方向配線(上配線)は、先に形成した絶縁膜の上に、Agぺ一ストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りしてから、480℃前後の温度で焼成した。上記絶縁膜を挟んでY方向配線(下配線)と交差しており、絶縁膜のコンタクトホール部分で素子電極の他方とも接続されている。
【0053】
この配線によって他方の素子電極は連結されており、パネル化した後は走査電極として作用する。
【0054】
このX方向配線の厚さは、約15μmである。外部駆動回路との引出し配線もこれと同様の方法で形成した。
【0055】
図示していないが、外部駆動回路への引出し端子もこれと同様の方法で形成した。
【0056】
このようにしてXYマトリクス配線を有する基板が形成された。
【0057】
(素子膜形成)
(図2−e)の説明
上記基板を十分にクリーニングした後、撥水剤を含む溶液で表面を処理し、表面が疎水性になるようにした。これはこの後塗布する素子膜形成用の水溶液が、素子電極上に適度な広がりをもって配置されるようにする事が目的である。
【0058】
用いた撥水剤は、DDS(ジメチルジエトキシシラン)溶液をスプレー法にて基板上に散布し、120℃にて温風乾燥した。
【0059】
その後素子電極間にインクジェット塗布方法により、素子膜4を形成した。
【0060】
本工程の模式図を図3に示す。実際の工程では、基板上における個々の素子電極の平面的ばらつきを補償するために、基板上の数箇所に於いてパターンの配置ずれを観測し、観測点間のポイントのずれ量は直線近似して位置補完し、塗付する事によって、全画素の位置ずれをなくして、対応した位置に的確に塗付するように努めた。
【0061】
本実施例では、素子膜としてパラジウム膜を得る目的で、先ず水85:イソプロピルアルコール(IPA)15からなる水溶液に、パラジウム−プロリン錯体0.15重量%を溶解し、有機パラジウム含有溶液を得た。この他若干の添加剤を加えた。
【0062】
この溶液の液滴を、液滴付与手段7として、ピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置を用い、ドット径が60μmとなるように調整して電極間に付与した。その後この基板を空気中にて、350℃で10分間の加熱焼成処理をして酸化パラジウム(PdO)とした。ドットの直径は約60μm、厚みは最大で10nmの膜が得られた。
【0063】
このとき得られた酸化パラジウム膜の平面性、及び均一性が、その後の素子特性に大きく影響する事になる。
【0064】
以上の工程により、素子部分に酸化パラジウム PdO膜が形成された。
【0065】
(還元フォーミング)
《(図3−c)(図4)の説明》:フードフォーミング
フォーミングと呼ばれる本工程に於いて、上記導電性薄膜を通電処理して内部に亀裂を生じさせ、電子放出部を形成する。
【0066】
具体的な方法は、上記基板の周囲の取り出し電極部を残して、基板全体を覆うようにフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部電源より電極端子部からXY配線間に電圧を印加し、素子電極間に通電する事によって、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させることにより、電気的に高抵抗な状態の電子放出部を形成する。
【0067】
この時若干の水素ガスを含む真空雰囲気下で通電加熱すると、水素によって還元が促進され酸化パラジウムPdOがパラジウムPd膜に変化する。
【0068】
この変化時に膜の還元収縮によって、一部に亀裂が生じるが、この亀裂発生位置、及びその形状は元の膜の均一性に大きく影響される。
【0069】
多数の素子の特性ばらつきを抑えるのに、上記亀裂は中央部に起こり、かつなるべく直線状になることがなによりも望ましい。
【0070】
なおこのフォーミングにより形成した亀裂付近からも、所定の電圧下では電子放出が起こるが、現状の条件ではまだ発生効率が非常に低いものである。
【0071】
また得られた導電性薄膜4の抵抗値Rsは、102から107Ωの値である。
【0072】
フォーミング処理に用いた電圧波形について簡単に紹介する。
【0073】
(図4)にこの説明図を示す。
【0074】
印加した電圧はパルス波形を用いたが、パルス波高値が定電圧のパルスを印加する場合(図4−a)と、パルス波高値を増加させながら印加する場合(図4−b)とがある。
【0075】
(図4−a)に於いて、T1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μsec〜10msec、T2を10μsec〜100msecとし、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は適宜選択する。
【0076】
(図4−b)では、T1及びT2の大きさは同様にとり、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)を、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させる。
【0077】
なお、フォーミング処理の終了は、フォーミング用パルスの間に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度のパルス電圧を挿入して素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えばフォーミング処理前の抵抗に対して1000倍以上の抵抗を示した時点で、フォーミングを終了とした。
【0078】
(活性化−カーボン堆積)
《フード活性化と図7の説明》
先に述べたように、この状態では電子発生効率は非常に低いものである。
【0079】
よって電子放出効率を上げるために、上記素子に活性化と呼ばれる処理を行うことが望ましい。
【0080】
この処理は有機化合物が存在する適当な真空度のもとで、前記のフォーミングと同様にフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部からXY配線を通じてパルス電圧を素子電極に繰り返し印加することによって行う。そして炭素原子を含むガスを導入し、それに由来する炭素あるいは炭素化合物を、前記亀裂近傍にカーボン膜として堆積させる工程である。
【0081】
本工程ではカーボン源としてトリニトリルを用い、スローリークバルブを通して真空空間内に導入し、1.3×10−4Paを維持した。導入するトリニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響されるが、1×10−5Pa〜1×10−2Pa程度が好適である。
【0082】
図7の(a)、(b)に、活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示した。印加する最大電圧値は、10〜20Vの範囲で適宜選択される。図7の(a)中、T1は、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。また、図7の(b)中、T1およびT1’はそれぞれ、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T1’、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
【0083】
このとき、素子電極3に与える電圧を正としており、素子電流Ifは、素子電極3から素子電極2へ流れる方向が正である。約60分後に放出電流Ieがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
【0084】
以上の工程で、電子源素子を有する基板を作成する事ができた。
【0085】
(基板特性)
《(図5)(図6)の説明》
上述のような素子構成と製造方法によって作成された本発明に係る電子放出素子の基本特性について図5、図6を用いて説明する。
【0086】
図5は、前述した構成を有する素子の電子放出特性を測定するための測定評価装置の概略図である。
【0087】
電子放出素子の素子電極間を流れる素子電流If、及びアノードへの放出電流Ieの測定にあたっては、素子電極2、3に電源31と電流計30とを接続し、該電子放出素子の上方に電源33と電流計32とを接続したアノード電極34を配置している。図5において、1はガラス基板、2、3は素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、5は電子放出部を示す。また、51は素子に素子電圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2、3間の電子放出部を含む導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。
【0088】
また、本電子放出素子およびアノード電極54は真空装置内に設置され、その真空装置には不図示の排気ポンプおよび真空計等の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空下で本素子の測定評価を行えるようになっている。なお、アノード電極の電圧は1kV〜10kV、アノード電極と電子放出素子との距離Hは2mm〜8mmの範囲で測定した。
【0089】
図5に示した測定評価装置により測定された放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を図6に示す。なお、放出電流Ieと素子電流Ifは大きさが著しく異なるが、図6ではIf、Ieの変化の定性的な比較検討のために、リニアスケールで縦軸を任意単位で表記した。
【0090】
素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieを測定した結果平均0.6μA、電子放出効率は平均0.15%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは5%と良好な値が得られた。
【0091】
本電子放出素子は放出電流Ieに対する三つの特徴を有する。
【0092】
まず第一に、図6からも明らかなように、本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図6中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。すなわち、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子としての特性を示しているのが判る。
【0093】
第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0094】
第三に、アノード電極54に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。すなわち、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0095】
(パネル)
上記のような単純マトリクス配置の電子源基板を用いた電子源、及び、表示等に用いる画像形成装置の一例について、図1と図9を用いて説明する。
【0096】
前述の封着プロセスにより外囲器90を構成した。
【0097】
図9はフェースプレート上に設ける蛍光膜の説明図である。蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる三原色蛍光体の、各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。
【0098】
また、蛍光膜84の内面側には通常メタルバック85が設けられる。メタルバックの目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート86側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加するためのアノード電極として作用すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後A1を真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0099】
フェースプレート82にはリアプレート81と同じくプラズマディスプレイ用電気ガラスであるアルカリ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)社製)の材料を用いている。このガラス材料の場合、ガラスの着色現象は起きないし、板厚を3mm程度にすれば、10kV以上の加速電圧で駆動した場合でも、2次的に発生する軟X線の漏れを抑える遮蔽効果も充分である。
【0100】
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、上下基板の突き当て法などで十分な位置合わせを行う必要がある。
【0101】
封着時の真空度は10のマイナス6乗トール以下の真空度が要求される他、外囲器90の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なう場合もある。これは、外囲器90の封止を行なう直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1X10マイナス5乗ないしは1X10マイナス7乗[Torr]の真空度を維持するものである。
【0102】
(画像表示素子)
《図10の説明》
前述した本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾によって制御され、その中間値によっても電流量が制御され、もって中間調表示が可能になる。
【0103】
また多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の素子に適宜電圧を印加する事が可能となり、各素子をONすることができる。
【0104】
また中間調を有する入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式が挙げられる。
【0105】
以下に具体的な駆動装置について図10に概要を述べる。
【0106】
単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルを利用した、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示用の画像表示装置の構成例を、図10に示す。
【0107】
図10において、101は画像表示パネル、102は走査回路、103は制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は情報信号発生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0108】
電子放出素子を用いた画像表示パネル101のX配線には、走査線信号を印加するXドライバー102が、Y配線には情報信号が印加されるYドライバーの情報信号発生器107が接続されている。
【0109】
電圧変調方式を実施するには、情報信号発生器107として、一定の長さの電圧パルスを発生するが入力されるデータに応じて、適宜パルスの波高値を変調するような回路を用いる。また、パルス幅変調方式を実施するには、情報信号発生器107としては、一定の波高値の電圧パルスを発生するが入力されるデータに応じて、適宜電圧パルスの幅を変調するような回路を用いる
制御回路103は、同期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan,Tsft 及びTmry の各制御信号を発生する。
【0110】
同期信号分離回路106は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と輝度信号成分とを分離するための回路である。この輝度信号成分は、同期信号に同期してシフトレジスタ104に入力される。
【0111】
シフトレジスタ104は、時系列的にシリアルに入力される前記輝度信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換して、制御回路103より送られるシフトクロックに基づいて動作する。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、n個の並列信号として前記シフトレジスタ104より出力される。
【0112】
ラインメモリ105は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、記憶された内容は、情報信号発生器107に入力される。
【0113】
情報信号発生器107は、各々の輝度信号に応じて、電子放出素子の各々を適切に駆動する為の信号源であり、その出力信号はY配線を通じて表示パネル101内に入り、X配線によって選択中の走査ラインとの交点にある各々の電子放出素子に印加される。
【0114】
X配線を順次走査する事によって、パネル全面の電子放出素子を駆動する事が可能になる。
【0115】
以上のように本発明による画像表示装置において、こうして各電子放出素子に、パネル内のXY配線を通じ、電圧を印加することにより電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、アノード電極であるメタルバック85に高圧を印加し、発生した電子ビームを加速し、蛍光膜84に衝突させることによって、画像を表示することができる。
【0116】
ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるものではなく、PAL、HDTVなどでも同じである。
【0117】
(実施例2)
図14に、本発明によるもう一つの実施例を示す。外囲器周辺部の接合部の概略断面構造を示している。本実施例では、図12で説明したように、外囲器全体を真空加熱する前に予めIn膜93を支持枠86とリアプレート81間に形成していない。ワイヤ状のInをリアプレート81上に配置させるだけである。リアプレート81の外周部には、溶け出したIn膜93が流れ出さないように接着剤206にて流れ止めパターンを形成してある。
【0118】
本実施例では、外囲器全体を真空加熱する際に、融け出したInが支持枠86とリアプレート81の接合部材として機能する。接合時に支持枠86が動くことがないために、リアプレート81上に精度良く支持枠86を設置しておくだけで良い。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法に従い外囲器を作製するならば、小型な製造装置を用いた簡便で廉価な方法により高真空な外囲器を提供することができる。
【0120】
また外囲器を画像表示装置として使用するならば結果として、表示品位の良い画像表示素子を形成する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による外囲器90の周辺部の概略断面構造を示す図である。
【図2】マトリクス状に電子放出素子を有する基板の平面図である。
【図3】工程の模式図である。
【図4】フォーミング処理に用いた電圧波形の説明図である。
【図5】本発明に係る電子放出素子の基本特性について説明する図である。
【図6】本発明に係る電子放出素子の基本特性について説明する図である。
【図7】活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示した図である。
【図8】電子放出素子をマトリクス上に配置した電子源基板を用いてパネルを形成した模式図である。
【図9】単純マトリクス配置の電子源基板を用いた電子源、及び、表示等に用いる画像形成装置の一例である。
【図10】単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルを利用した、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示用の画像表示装置の構成例である。
【図11】(a)は本素子の平面図である。
(b)は断面図である。
【図12】下引き層部分に超音波半田ゴテによりIn膜を形成した図である。
【図13】本発明による封着方法の一例を示す概略構成図である。
【図14】外囲器周辺部の接合部の概略断面構造を示す図である。
【符号の説明】
81 リアプレート
82 フェースプレート
86 支持枠
93 In膜
204 下引き層
【発明の属する技術分野】
本発明は、外囲器及びその製造方法に関し、特に対向配置された基板の間のギャップ内部を真空に維持された外囲器に関する。より詳しくは、外囲器は画像を表示する画像形成装置であり、その封着方法と装置に関し、特に冷陰極電子放出源を用いた平面型画像表示装置をシール材を用いて封着する画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、画像表示装置の分野において、対向配置された2枚の基板間の空間が真空にされた外囲器が用いられている。基板には、主に透明な支持体としてガラス基板が用いられる。特に電子放出素子から放出された電子を蛍光体に衝突させ発光させて表示させる画像表示装置の分野では、内部に高い真空度が求められる。電子放出素子としては熱電子源と冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には電界放出型素子(以下FE型素子と略す)、金属/絶縁層/金属型素子(以下MIM素子と略す)、表面伝導型電子放出素子(以下SCE素子と略す)等がある。
【0003】
これら技術について本出願人による先行技術の一部を紹介すると、
・インクジェット形成方式による素子作成に関しては特開平09−102271号公報や特開2000−251665号公報に、
・これらの素子をXYマトリクス形状に配置した例として、特開昭64−031332号公報、特開平07−326311号公報に詳述されている。
・更には配線形成方法に関しては特開平08−185818号公報や、特開平09−050757号公報に、
・駆動方法については特開平06−342636号公報等に詳述されている。
【0004】
また、従来、内部を真空維持する画像表示装置を製造する際には、ガラス部材の間にシール材であるフリットガラスを塗布または載置して、電気炉等の封着炉に入れ、またはホットプレートヒータに載せ(上下からホットプレートヒータで挟む場合もある)、画像表示装置全体を封着温度に加熱して、封着部分のガラス部材を封着ガラスで融着する封着方法が取られている。
【0005】
また、電子源を用いた平面型画像表示装置は、冷陰極電子放出素子等を安定に長時間動作させるために、超高真空を必要とするため、複数の電子放出素子を有する基板とこれに対向する位置に蛍光体を有する基板を枠を挟んでフリットガラスにより封着され、放出ガスを吸着して真空維持するゲッタが具備されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のゲッタには蒸着型と非蒸発型があり、蒸着型ゲッタはBa等を主成分とする合金を、真空ガラス外囲器内で通電あるいは高周波により加熱し、容器内壁に蒸着膜を形成(ゲッタフラッシュ)し、活性なゲッタ金属面により内部で発生したガスを吸着して高真空を維持している。
【0007】
一方、非蒸発型ゲッタは、Ti,Zr,V、Al,Fe等のゲッタ材を配置し、真空中で加熱して、ガス吸着特性を得る「ゲッタ活性化」を行うことにより、放出ガスを吸着することができる。
【0008】
一般に、平面型画像表示装置は、薄いために真空を維持する蒸着型ゲッタの設置領域や瞬時放電のためのフラッシュ領域が十分確保できず、画像表示エリア外の支持枠近傍にそれらを設置している。よって、画像表示の中央部とゲッタ設置領域とのコンダクタンスが小さくなり、電子放出素子や蛍光体の中央部での実効排気速度が小さくなってしまう。電子源と画像表示部材を有する画像表示装置において、好ましくないガスを発生させる部分は、主に電子ビームにより照射される画像表示領域である。そのため、蛍光体及び電子源を高真空で保持したい場合には、放出ガスの発生源である蛍光体や電子源近傍に非蒸発型ゲッタを配置する必要がある。
【0009】
これらの電子放出素子をマトリクス上に配置した電子源基板を用いてパネルを形成した模式図を図8に示す。図8において、80は電子放出素子が多数配置された電子源基板を指し、電子源基板80を片面に持つ81はガラス基板であって、リアプレートと呼ぶ。82はガラス基板83の内面に蛍光膜84とメタルバック85等が形成されたフェースプレートである。86は支持枠であり、リアプレート81と支持枠86フリットガラスによって接着予め接合させておく。次に、パネル接合材料として不図示のIn膜93を半田付けにて、支持枠86とフェースプレート82に予め設けておく。支持枠86とフェースプレート82へのIn膜93の接合強度を高めるために、同じく不図示の下地層94として銀ペースト膜を設けることが望ましい。さらに、超音波半田ごてを用いて半田付けは行うことで、充分な接合強度が得られる。その後、真空チャンバー中で、In融点以上の温度でIn膜93を介して支持枠86とフェースプレート82を接合することで、封着して、外囲器90を構成する。
【0010】
図8において、87は本発明の電子放出素子に相当する。88、89は、表面伝導型電子放出素子の一対の素子電極と接続されたX方向配線及びY方向配線である。
【0011】
一方、フェースプレート82、リアプレート81間に、スペーサーと呼ばれる不図示の支持体を設置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器90を構成することもできる。
【0012】
図8において、非蒸発型ゲッタは、フェースプレート82の画像表示エリア、又は、リアプレートの電子源基板80、或いは両方のガラス基板上に、形成されている(不図示)。
【0013】
さらに低コストの製造プロセスを目的としてフリットガラスによる接着も低融点金属であるInで行う構成も検討されている。Inは、融点が156℃と比較的低く、かつ軟化点=融点での放出ガスが少ない材料である。フリットガラスを用いた場合500℃前後まで加熱する必要があるが、Inであれば200℃までの加熱で充分なためプロセスが簡素化される効果がある。さらに、フリットガラスに含まれる鉛(Pb)を減らす事が環境対策上望ましいとも言える。しかし、検討を行った支持枠86とリアプレート81、フェースプレート82とをInにより各々を接合させる従来の画像表示装置の封着方法では、以下の様な問題点があった。
【0014】
2ヶ所の封着箇所を同じIn材料で封着する場合、同じ温度で融けてしまうので中間に挟まれた支持枠86が固定されないために位置ズレが起こりやすい。特に、両ガラス基板を重ねた状態で横置きにした場合、重力の影響で下基板側に支持枠86が移動してしまうため、接合材料のIn膜93の膜厚が変化する。問題は上基板側のIn膜が厚くなった場合に真空気密性が損なわれる恐れが発生する点である。0〜数十μmの表面凹凸のある基板を接合するために必要なIn厚は200〜400μmであることが、経験的に判っている。さらに、所定のIn厚の接合を得るには、封着前に必要なIn量の倍ぐらいのIn膜を接合面の両側に超音波半田により予め形成しておく。しかし、支持枠86が重力により移動し、In厚み方向に支持枠が偏在し上基板側のIn膜が見かけ上厚くなると、予め設けておいたIn量では真空気密性を保つのに不足してしまうことになる。
【0015】
また、2つ目の問題として材料コストの問題がある。Inを接合材料として用いる場合の材料コストが、フリットガラスを用いない場合、フリットガラスに比べると2桁程度Inの材料コストが高いため、接合材料コストが実質2倍となってしまうという問題がある。低温プロセスにすることで、プロセスコストを下げても、材料コストが上がっては意味がない。真空気密性を確保したまま、使用するIn材料を減らす必要がある。
【0016】
これらの問題は、接合材料としてIn以外の低融点の金属、或は、合金材料を用いる場合も同じように大きな問題となりうる。よって、本明細書では、代表的な接合材料としてInを用いて説明を行っているが、他の金属、或は、合金の接合材料でも同じように本発明が実現される。
【0017】
(発明の目的)
本発明の目的は、このような従来技術の欠点を改善するものであり、高真空な外囲器を小型な製造装置を用いた簡便で廉価な製造方法にて提供することにある。また結果として、表示品位の良い画像表示装置を廉価に提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の外囲器は、対向配置された第一の基板と第二の基板が周縁部において側壁が両基板に挟まれた状態にて配設され、前記側壁を介して前記第一の基板と前記第二の基板の各々が低融点金属材料よりなる接合部材により封着された外囲器であって、前記第一の基板と前記第二の基板のいずれか一方と前記側壁とが側壁端面エッジ部で接合されるように前記接合部材を設けたことを特徴とするものである。
【0019】
さらに、前記一方の基板とエッジにて接合される前記側壁端面が、面取りされたエッジ形状を有することが望ましい。
【0020】
さらに、前記一方の基板とエッジにて接合される前記側壁端面と該基板の接合箇所に接合部材の濡れ性を高める処置を施したことが望ましい。
【0021】
さらに、前記側壁端面と該基板の接合箇所に施した接合部材の濡れ性を高める処置とは、濡れ性の良い下引き層をパターン形成したことが望ましい。
【0022】
さらに、前記側壁端面とエッジにて接合される前記一方の基板の接合箇所周辺部に接合部材の流れ防止パターンを形成したことが望ましい。
【0023】
さらに、前記第一の基板がマトリクス配線された複数の電子放出素子が配置された電子源基板であり、前記第二の基板が蛍光膜と該蛍光膜を被覆するメタルバック及び該蛍光膜の間に黒色導電材を有する画像形成部材よりなる対向基板であり、電子放出素子から放出された電子が蛍光膜に衝突することによる発光に基づいて表示を行うことが望ましい。
【0024】
前記電子源は、横型の電界放出型電子放出素子を有することが望ましい。
【0025】
以下、本発明による外囲器の特徴について説明する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施例を示す。
【0027】
(実施例1)
図1は、本発明による第一の実施例における、In膜93を介して支持枠86とリアプレート81、フェースプレート82各々を接合した外囲器90の周辺部の概略断面構造を示す図である。図1において、電子源を片面に持つ81はガラス基板であって、リアプレートと呼ぶ。82はガラス基板83の内面に蛍光膜とメタルバックが形成されたフェースプレートである。フェースプレート82、リアプレート81間に、スペーサー205と呼ばれる支持体を設置することにより、大面積パネルの場合にも大気圧に対して十分な強度を持つ外囲器90を構成することができる。スペーサー205はリアプレート81に接着剤206によって部分的に接着され、空気乾燥させることで固定されている。リアプレート81に設けられた支持枠86の高さに比べて、スペーサー205の高さが僅かに高くなるよう、それぞれの高さ形状を設定することで、接合後の支持枠86とフェースプレート82間のIn膜93の厚みが決まるようになっている。よって、スペーサー205は、接合後の支持枠86とフェースプレート82間のIn膜93の厚み規定部材としても機能している。
【0028】
支持枠86はリアプレート81上部に設置され重力によって略、固定されている。支持枠外周部の端面リアプレート側は面取りされており、接合部材であるIn膜93が保持されやすい形状を有している。支持枠86の面取りされた面とそれに対向するリアプレート81の接合箇所には、予めInの濡れ性を良くするために下引き層204がパターン形成されている。下引き層204は、AgやTi、Niなどが用いられる。Agの下引き層204は、銀ペーストをスクリーン印刷などにより容易にパターニングが可能である。図1で示すように、支持枠86とリアプレート81の接合を支持枠86の外周エッジ部分にて行うことで、接合に用いられるIn膜93の量を相当量抑えることが可能となる。
【0029】
In膜93は、高温でもガス放出が少なく、低温の融点を持つために金属Inを用いている。金属、或いは合金を接合部材として用いた場合、溶媒やバインダを含んでいないため、融点で溶け出した時の放出ガスは非常に少ないので接合部材として望ましい。まず、支持枠86とフェースプレート82を接合する。図12で示すように、各々の下引き層204部分に超音波半田ゴテによりIn膜93を形成する。この処理により支持枠86とリアプレート81が略、固定される程度でこの接合は充分である。次に、全体を真空装置内で行うプロセスを、本実施例による画像表示装置の封着方法として図13を用いて説明する。支持枠86とフェースプレート82を接合する部分に予めIn膜93を、図12で説明したのと同様の手法にてパターニング形成しておく。まず、対向させたフェースプレート82とリアプレート81の間に一定の間隔を設けた状態で、両基板を保持し真空加熱を行う。基板からガスが放出され、その後室温に戻った時にパネル内部が充分な真空度となるよう、300℃以上の高温で基板真空ベークを行う。この時点で、In膜93は融けた状態であり、融けたInが流れ出さないよう両基板とも充分な水準出しを行っている。基板真空ベークの際には、前述の下引き層204へのInの含浸が一層進み、充分なシール性能を備えた接合界面を形成する。真空ベークの後、Inの融点近傍まで温度を下げた上で、位置決め装置200により、フェースプレート82とリアプレート81との間隔を徐々に縮めていき、両基板の接合、すなわち封着を行う。融点近傍まで温度を下げるのは、融けた状態の液体Inの流動性を抑えて、接合時に不要な流れやはみ出しを防止するためである。
【0030】
図12で説明したリアプレート81と支持枠86の接合部分のIn膜93も同時に融けることで、単に固定された状態であった接合状態が変化し、この接合部分の気密性が確保されることになる。従来ならリアプレート81と支持枠86を接触面全体をInにより接合させていたために、真空加熱時にInが融け出し支持枠86の重みにより圧迫され流れ出してしまい、In厚が薄くなってしまう。さらに融け出す際に支持枠86の横方向位置も移動してしまう。しかし、本発明では、支持枠86とリアプレート81が直接接する構成であるため、支持枠86の高さ位置が変わることもありえないし、さらに、重力による接触面の摩擦力のために支持枠86が移動することがない。
【0031】
次に、本実施例の各構成要素の形成プロセスについて、以下に説明する。まず、リアプレート81の電子源基板80面に、電子放出素子として図11に示すタイプの電子放出素子を作成した。図11(a)は本素子の平面図を、図11(b)は断面図を示している。
【0032】
これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を、図11に示した模式図をもとに説明する。
【0033】
図11において1はガラス等からなる基板であり、その大きさおよびその厚みは、その上に設置される電子放出素子の個数、および個々の素子の設計形状、および電子源の使用時に容器の一部を構成する場合には、その容器を真空に保持するための耐大気圧構造等の力学的条件等に依存して適宜設定される。
【0034】
ガラスの材質としては、廉価な青板ガラスを使う事が一般的であるが、この上にナトリウムブロック層として、厚さ0.5μmのシリコン酸化膜をスパッタ法で形成した基板等を用いる必要がある。この他にナトリウムが少ないガラスや、石英基板でも作成可能である。本実施例ではプラズマディスプレイ用電気ガラスであるアルカリ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)社製)の材料を用いている。
【0035】
また素子電極2、3の材料としては、一般的な導体材料が用いられ、例えばNi、Cr、Au、Mo、Pt、Ti等の金属やPd−Ag等の金属が好適であり、あるいは金属酸化物とガラス等から構成される印刷導体や、ITO等の透明導電体等から適宜選択され、その膜厚は、好ましくは数百Åから数μmの範囲が適当である。
【0036】
この時の素子電極間隔L、素子電極長さW、素子電極2、3の形状等は、実素子が応用される形態等に応じて適宜設計されるが、間隔Lは好ましくは数千Åから1mmであり、より好ましくは素子電極間に印加する電圧等を考慮して1μmから100μmの範囲である。また、素子電極長さWは、好ましくは電極の抵抗値、電子放出特性を考慮して、数μmから数百μmの範囲である。
【0037】
さらにこの素子電極には、市販の白金Pt等の金属粒子を含有したペーストを、オフセット印刷等の印刷法によって塗布形成する事も可能である。
【0038】
またより精密なパターンを得る目的で、白金Pt等を含有する感光性ペーストを、スクリーン印刷等の印刷法で塗布し、フォトマスクを用いて露光、現像するという工程でも形成可能である。
【0039】
この後、素子電極2、3を跨ぐ形で、電子源となる導電性薄膜4を作成する。導電性薄膜としては、良好な電子放出特性を得るために、微粒子で構成された微粒子膜が特に好ましい。またその膜厚は、素子電極2、3へのステップカバレージ、素子電極間の抵抗値、および後述するフォーミング処理条件等を考慮して適宜設定されるが、好ましくは数Åから数千Åであり、特に好ましくは10Åから500Åの範囲とするのが良い。
【0040】
本出願人らの研究によると導電性膜材料には、一般にはパラジウムPdが適しているが、これに限ったものではない。また成膜形成方法も、スパッタ法、溶液塗布後に焼成する方法などが適宜用いられる。
【0041】
ここでは有機パラジウム溶液を塗付後、焼成して酸化パラジウムPdO膜を形成する方法を選んだ。その後水素が共存する還元雰囲気下で通電加熱し、パラジウムPd膜とし、同時に亀裂部を形成した。これが電子放出部5を形成することになる。
【0042】
尚、図示の便宜から、電子放出部5は導電性薄膜4の中央に矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけではない。
【0043】
次に、図2でマトリクス状に電子放出素子を有する基板の平面図を示す。
【0044】
(図2−e)図において、21は電子源基板、22、23は素子電極、24はY方向配線、25は絶縁性膜、26はX方向配線、27は表面伝導型電子放出素子膜であり、電子放出部を形成している。
【0045】
以下この素子の作成方法を、(図2−a)から(図2−e)を用いて説明する。
【0046】
(ガラス基板 素子電極形成)
(図2−a)の説明
(図2−a)で素子電極22,23は、ガラス基板21上に、スパッタ法によってまず下引き層としてチタニウムTi5nm、その上に白金Pt40nmを成膜した後、ホトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングという一連のフォトリソグラフィー法によってパターニングして形成した。
本実施例では素子電極の間隔L=10μm、対応する長さW=100μmとした。
【0047】
(下配線形成と絶縁膜形成)
(図2−b)の説明
X配線とY配線の配線材料に関しては、多数の表面伝導型素子にほぼ均等な電圧が供給されるように低抵抗である事が望まれ、材料、膜厚、配線巾等が適宜設定される。
【0048】
共通配線としてのY方向配線(下配線)は、素子電極の一方に接して、かつそれらを連結するようにライン状のパターンで形成した。材料には銀Agフォトぺ一ストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光し現像した。この後480℃前後の温度で焼成して配線を形成した。
【0049】
配線の厚さ約10μ、幅幅50μmである。なお終端部は配線取り出し電極として使うために、線幅をより大きくした。
【0050】
(絶縁膜形成)
(図2−c)の説明
上下配線を絶縁するために、層間絶縁層を配置する。後述のX配線(上配線)下に、先に形成したY配線(下配線)との交差部を覆うように、かつ上配線(X配線)と素子電極の他方との電気的接続が可能なように、接続部にコンタクトホールを開けて形成した。
【0051】
工程はPbOを主成分とする感光性のガラスペーストをスクリーン印刷した後、露光−現像した。これを4回繰り返し、最後に480℃前後の温度で焼成した。この層間絶縁層の厚みは、全体で約30μmであり、幅は150μmである。
【0052】
(上配線形成)
(図2−d)の説明
X方向配線(上配線)は、先に形成した絶縁膜の上に、Agぺ一ストインキをスクリーン印刷した後乾燥させ、この上に再度同様なことを行い2度塗りしてから、480℃前後の温度で焼成した。上記絶縁膜を挟んでY方向配線(下配線)と交差しており、絶縁膜のコンタクトホール部分で素子電極の他方とも接続されている。
【0053】
この配線によって他方の素子電極は連結されており、パネル化した後は走査電極として作用する。
【0054】
このX方向配線の厚さは、約15μmである。外部駆動回路との引出し配線もこれと同様の方法で形成した。
【0055】
図示していないが、外部駆動回路への引出し端子もこれと同様の方法で形成した。
【0056】
このようにしてXYマトリクス配線を有する基板が形成された。
【0057】
(素子膜形成)
(図2−e)の説明
上記基板を十分にクリーニングした後、撥水剤を含む溶液で表面を処理し、表面が疎水性になるようにした。これはこの後塗布する素子膜形成用の水溶液が、素子電極上に適度な広がりをもって配置されるようにする事が目的である。
【0058】
用いた撥水剤は、DDS(ジメチルジエトキシシラン)溶液をスプレー法にて基板上に散布し、120℃にて温風乾燥した。
【0059】
その後素子電極間にインクジェット塗布方法により、素子膜4を形成した。
【0060】
本工程の模式図を図3に示す。実際の工程では、基板上における個々の素子電極の平面的ばらつきを補償するために、基板上の数箇所に於いてパターンの配置ずれを観測し、観測点間のポイントのずれ量は直線近似して位置補完し、塗付する事によって、全画素の位置ずれをなくして、対応した位置に的確に塗付するように努めた。
【0061】
本実施例では、素子膜としてパラジウム膜を得る目的で、先ず水85:イソプロピルアルコール(IPA)15からなる水溶液に、パラジウム−プロリン錯体0.15重量%を溶解し、有機パラジウム含有溶液を得た。この他若干の添加剤を加えた。
【0062】
この溶液の液滴を、液滴付与手段7として、ピエゾ素子を用いたインクジェット噴射装置を用い、ドット径が60μmとなるように調整して電極間に付与した。その後この基板を空気中にて、350℃で10分間の加熱焼成処理をして酸化パラジウム(PdO)とした。ドットの直径は約60μm、厚みは最大で10nmの膜が得られた。
【0063】
このとき得られた酸化パラジウム膜の平面性、及び均一性が、その後の素子特性に大きく影響する事になる。
【0064】
以上の工程により、素子部分に酸化パラジウム PdO膜が形成された。
【0065】
(還元フォーミング)
《(図3−c)(図4)の説明》:フードフォーミング
フォーミングと呼ばれる本工程に於いて、上記導電性薄膜を通電処理して内部に亀裂を生じさせ、電子放出部を形成する。
【0066】
具体的な方法は、上記基板の周囲の取り出し電極部を残して、基板全体を覆うようにフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部電源より電極端子部からXY配線間に電圧を印加し、素子電極間に通電する事によって、導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質させることにより、電気的に高抵抗な状態の電子放出部を形成する。
【0067】
この時若干の水素ガスを含む真空雰囲気下で通電加熱すると、水素によって還元が促進され酸化パラジウムPdOがパラジウムPd膜に変化する。
【0068】
この変化時に膜の還元収縮によって、一部に亀裂が生じるが、この亀裂発生位置、及びその形状は元の膜の均一性に大きく影響される。
【0069】
多数の素子の特性ばらつきを抑えるのに、上記亀裂は中央部に起こり、かつなるべく直線状になることがなによりも望ましい。
【0070】
なおこのフォーミングにより形成した亀裂付近からも、所定の電圧下では電子放出が起こるが、現状の条件ではまだ発生効率が非常に低いものである。
【0071】
また得られた導電性薄膜4の抵抗値Rsは、102から107Ωの値である。
【0072】
フォーミング処理に用いた電圧波形について簡単に紹介する。
【0073】
(図4)にこの説明図を示す。
【0074】
印加した電圧はパルス波形を用いたが、パルス波高値が定電圧のパルスを印加する場合(図4−a)と、パルス波高値を増加させながら印加する場合(図4−b)とがある。
【0075】
(図4−a)に於いて、T1及びT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1μsec〜10msec、T2を10μsec〜100msecとし、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は適宜選択する。
【0076】
(図4−b)では、T1及びT2の大きさは同様にとり、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)を、例えば0.1Vステップ程度ずつ増加させる。
【0077】
なお、フォーミング処理の終了は、フォーミング用パルスの間に、導電性膜4を局所的に破壊、変形しない程度の電圧、例えば0.1V程度のパルス電圧を挿入して素子電流を測定し、抵抗値を求め、例えばフォーミング処理前の抵抗に対して1000倍以上の抵抗を示した時点で、フォーミングを終了とした。
【0078】
(活性化−カーボン堆積)
《フード活性化と図7の説明》
先に述べたように、この状態では電子発生効率は非常に低いものである。
【0079】
よって電子放出効率を上げるために、上記素子に活性化と呼ばれる処理を行うことが望ましい。
【0080】
この処理は有機化合物が存在する適当な真空度のもとで、前記のフォーミングと同様にフード状の蓋をかぶせて基板との間で内部に真空空間を作り、外部からXY配線を通じてパルス電圧を素子電極に繰り返し印加することによって行う。そして炭素原子を含むガスを導入し、それに由来する炭素あるいは炭素化合物を、前記亀裂近傍にカーボン膜として堆積させる工程である。
【0081】
本工程ではカーボン源としてトリニトリルを用い、スローリークバルブを通して真空空間内に導入し、1.3×10−4Paを維持した。導入するトリニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響されるが、1×10−5Pa〜1×10−2Pa程度が好適である。
【0082】
図7の(a)、(b)に、活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示した。印加する最大電圧値は、10〜20Vの範囲で適宜選択される。図7の(a)中、T1は、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。また、図7の(b)中、T1およびT1’はそれぞれ、電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T1’、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
【0083】
このとき、素子電極3に与える電圧を正としており、素子電流Ifは、素子電極3から素子電極2へ流れる方向が正である。約60分後に放出電流Ieがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了した。
【0084】
以上の工程で、電子源素子を有する基板を作成する事ができた。
【0085】
(基板特性)
《(図5)(図6)の説明》
上述のような素子構成と製造方法によって作成された本発明に係る電子放出素子の基本特性について図5、図6を用いて説明する。
【0086】
図5は、前述した構成を有する素子の電子放出特性を測定するための測定評価装置の概略図である。
【0087】
電子放出素子の素子電極間を流れる素子電流If、及びアノードへの放出電流Ieの測定にあたっては、素子電極2、3に電源31と電流計30とを接続し、該電子放出素子の上方に電源33と電流計32とを接続したアノード電極34を配置している。図5において、1はガラス基板、2、3は素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、5は電子放出部を示す。また、51は素子に素子電圧Vfを印加するための電源、50は素子電極2、3間の電子放出部を含む導電性薄膜4を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は素子の電子放出部5より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。
【0088】
また、本電子放出素子およびアノード電極54は真空装置内に設置され、その真空装置には不図示の排気ポンプおよび真空計等の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空下で本素子の測定評価を行えるようになっている。なお、アノード電極の電圧は1kV〜10kV、アノード電極と電子放出素子との距離Hは2mm〜8mmの範囲で測定した。
【0089】
図5に示した測定評価装置により測定された放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を図6に示す。なお、放出電流Ieと素子電流Ifは大きさが著しく異なるが、図6ではIf、Ieの変化の定性的な比較検討のために、リニアスケールで縦軸を任意単位で表記した。
【0090】
素子電極間に印加する電圧12Vにおける放出電流Ieを測定した結果平均0.6μA、電子放出効率は平均0.15%を得た。また素子間の均一性もよく、各素子間でのIeのばらつきは5%と良好な値が得られた。
【0091】
本電子放出素子は放出電流Ieに対する三つの特徴を有する。
【0092】
まず第一に、図6からも明らかなように、本素子はある電圧(しきい値電圧と呼ぶ、図6中のVth)以上の素子電圧を印加すると急激に放出電流Ieが増加し、一方しきい値電圧Vth以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。すなわち、放出電流Ieに対する明確なしきい値電圧Vthを持った非線形素子としての特性を示しているのが判る。
【0093】
第二に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存するため、放出電流Ieは素子電圧Vfで制御できる。
【0094】
第三に、アノード電極54に捕捉される放出電荷は、素子電圧Vfを印加する時間に依存する。すなわち、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0095】
(パネル)
上記のような単純マトリクス配置の電子源基板を用いた電子源、及び、表示等に用いる画像形成装置の一例について、図1と図9を用いて説明する。
【0096】
前述の封着プロセスにより外囲器90を構成した。
【0097】
図9はフェースプレート上に設ける蛍光膜の説明図である。蛍光膜84は、モノクロームの場合は蛍光体のみから成るが、カラーの蛍光膜の場合は、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスなどと呼ばれる黒色導電材91と蛍光体92とで構成される。ブラックストライプ、ブラックマトリクスが設けられる目的は、カラー表示の場合必要となる三原色蛍光体の、各蛍光体92間の塗り分け部を黒くすることで混色等を目立たなくすることと、蛍光膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。
【0098】
また、蛍光膜84の内面側には通常メタルバック85が設けられる。メタルバックの目的は、蛍光体の発光のうち内面側への光をフェースプレート86側へ鏡面反射することにより輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加するためのアノード電極として作用すること等である。メタルバックは、蛍光膜作製後、蛍光膜の内面側表面の平滑化処理(通常フィルミングと呼ばれる)を行い、その後A1を真空蒸着等で堆積することで作製できる。
【0099】
フェースプレート82にはリアプレート81と同じくプラズマディスプレイ用電気ガラスであるアルカリ成分が少ないPD−200(旭硝子(株)社製)の材料を用いている。このガラス材料の場合、ガラスの着色現象は起きないし、板厚を3mm程度にすれば、10kV以上の加速電圧で駆動した場合でも、2次的に発生する軟X線の漏れを抑える遮蔽効果も充分である。
【0100】
前述の封着を行う際、カラーの場合は各色蛍光体と電子放出素子とを対応させなくてはいけないため、上下基板の突き当て法などで十分な位置合わせを行う必要がある。
【0101】
封着時の真空度は10のマイナス6乗トール以下の真空度が要求される他、外囲器90の封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を行なう場合もある。これは、外囲器90の封止を行なう直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等の加熱法により、外囲器内の所定の位置(不図示)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターは通常Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により、たとえば1X10マイナス5乗ないしは1X10マイナス7乗[Torr]の真空度を維持するものである。
【0102】
(画像表示素子)
《図10の説明》
前述した本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子の基本的特性によれば、電子放出部からの放出電子は、しきい値電圧以上では対向する素子電極間に印加するパルス状電圧の波高値と巾によって制御され、その中間値によっても電流量が制御され、もって中間調表示が可能になる。
【0103】
また多数の電子放出素子を配置した場合においては、各ラインの走査線信号によって選択ラインを決め、各情報信号ラインを通じて個々の素子に上記パルス状電圧を適宜印加すれば、任意の素子に適宜電圧を印加する事が可能となり、各素子をONすることができる。
【0104】
また中間調を有する入力信号に応じて電子放出素子を変調する方式としては、電圧変調方式、パルス幅変調方式が挙げられる。
【0105】
以下に具体的な駆動装置について図10に概要を述べる。
【0106】
単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルを利用した、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示用の画像表示装置の構成例を、図10に示す。
【0107】
図10において、101は画像表示パネル、102は走査回路、103は制御回路、104はシフトレジスタ、105はラインメモリ、106は同期信号分離回路、107は情報信号発生器、Vx及びVaは直流電圧源である。
【0108】
電子放出素子を用いた画像表示パネル101のX配線には、走査線信号を印加するXドライバー102が、Y配線には情報信号が印加されるYドライバーの情報信号発生器107が接続されている。
【0109】
電圧変調方式を実施するには、情報信号発生器107として、一定の長さの電圧パルスを発生するが入力されるデータに応じて、適宜パルスの波高値を変調するような回路を用いる。また、パルス幅変調方式を実施するには、情報信号発生器107としては、一定の波高値の電圧パルスを発生するが入力されるデータに応じて、適宜電圧パルスの幅を変調するような回路を用いる
制御回路103は、同期信号分離回路106より送られる同期信号Tsyncに基づいて、各部に対してTscan,Tsft 及びTmry の各制御信号を発生する。
【0110】
同期信号分離回路106は、外部から入力されるNTSC方式のテレビ信号から、同期信号成分と輝度信号成分とを分離するための回路である。この輝度信号成分は、同期信号に同期してシフトレジスタ104に入力される。
【0111】
シフトレジスタ104は、時系列的にシリアルに入力される前記輝度信号を、画像の1ライン毎にシリアル/パラレル変換して、制御回路103より送られるシフトクロックに基づいて動作する。シリアル/パラレル変換された画像1ライン分のデータ(電子放出素子n素子分の駆動データに相当)は、n個の並列信号として前記シフトレジスタ104より出力される。
【0112】
ラインメモリ105は、画像1ライン分のデータを必要時間の間だけ記憶する為の記憶装置であり、記憶された内容は、情報信号発生器107に入力される。
【0113】
情報信号発生器107は、各々の輝度信号に応じて、電子放出素子の各々を適切に駆動する為の信号源であり、その出力信号はY配線を通じて表示パネル101内に入り、X配線によって選択中の走査ラインとの交点にある各々の電子放出素子に印加される。
【0114】
X配線を順次走査する事によって、パネル全面の電子放出素子を駆動する事が可能になる。
【0115】
以上のように本発明による画像表示装置において、こうして各電子放出素子に、パネル内のXY配線を通じ、電圧を印加することにより電子放出させ、高圧端子Hvを通じ、アノード電極であるメタルバック85に高圧を印加し、発生した電子ビームを加速し、蛍光膜84に衝突させることによって、画像を表示することができる。
【0116】
ここで述べた画像形成装置の構成は、本発明の画像形成装置の一例であり、本発明の技術思想に基づいて種々の変形が可能である。入力信号についてはNTSC方式を挙げたが、入力信号はこれに限られるものではなく、PAL、HDTVなどでも同じである。
【0117】
(実施例2)
図14に、本発明によるもう一つの実施例を示す。外囲器周辺部の接合部の概略断面構造を示している。本実施例では、図12で説明したように、外囲器全体を真空加熱する前に予めIn膜93を支持枠86とリアプレート81間に形成していない。ワイヤ状のInをリアプレート81上に配置させるだけである。リアプレート81の外周部には、溶け出したIn膜93が流れ出さないように接着剤206にて流れ止めパターンを形成してある。
【0118】
本実施例では、外囲器全体を真空加熱する際に、融け出したInが支持枠86とリアプレート81の接合部材として機能する。接合時に支持枠86が動くことがないために、リアプレート81上に精度良く支持枠86を設置しておくだけで良い。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の方法に従い外囲器を作製するならば、小型な製造装置を用いた簡便で廉価な方法により高真空な外囲器を提供することができる。
【0120】
また外囲器を画像表示装置として使用するならば結果として、表示品位の良い画像表示素子を形成する事ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による外囲器90の周辺部の概略断面構造を示す図である。
【図2】マトリクス状に電子放出素子を有する基板の平面図である。
【図3】工程の模式図である。
【図4】フォーミング処理に用いた電圧波形の説明図である。
【図5】本発明に係る電子放出素子の基本特性について説明する図である。
【図6】本発明に係る電子放出素子の基本特性について説明する図である。
【図7】活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示した図である。
【図8】電子放出素子をマトリクス上に配置した電子源基板を用いてパネルを形成した模式図である。
【図9】単純マトリクス配置の電子源基板を用いた電子源、及び、表示等に用いる画像形成装置の一例である。
【図10】単純マトリクス配置の電子源を用いて構成した表示パネルを利用した、NTSC方式のテレビ信号に基づいたテレビジョン表示用の画像表示装置の構成例である。
【図11】(a)は本素子の平面図である。
(b)は断面図である。
【図12】下引き層部分に超音波半田ゴテによりIn膜を形成した図である。
【図13】本発明による封着方法の一例を示す概略構成図である。
【図14】外囲器周辺部の接合部の概略断面構造を示す図である。
【符号の説明】
81 リアプレート
82 フェースプレート
86 支持枠
93 In膜
204 下引き層
Claims (7)
- 対向配置された第一の基板と第二の基板が周縁部において側壁が両基板に挟まれた状態にて配設され、前記側壁を介して前記第一の基板と前記第二の基板の各々が低融点金属材料よりなる接合部材により封着された外囲器であって、前記第一の基板と前記第二の基板のいずれか一方と前記側壁とが側壁端面エッジ部で接合されるように前記接合部材を設けたことを特徴とする外囲器。
- 前記一方の基板とエッジにて接合される前記側壁端面が、面取りされたエッジ形状を有することを特徴とする請求項1記載の外囲器。
- 前記一方の基板とエッジにて接合される前記側壁端面と該基板の接合箇所に接合部材の濡れ性を高める処置を施したことを特徴とする請求項1記載の外囲器。
- 前記側壁端面と該基板の接合箇所に施した接合部材の濡れ性を高める処置とは、濡れ性の良い下引き層をパターン形成したことを特徴とする請求項3記載の外囲器。
- 前記側壁端面とエッジにて接合される前記一方の基板の接合箇所周辺部に接合部材の流れ防止パターンを形成したことを特徴とする請求項1記載の外囲器。
- 前記第一の基板がマトリクス配線された複数の電子放出素子が配置された電子源基板であり、前記第二の基板が蛍光膜と該蛍光膜を被覆するメタルバック及び該蛍光膜の間に黒色導電材を有する画像形成部材よりなる対向基板であり、電子放出素子から放出された電子が蛍光膜に衝突することによる発光に基づいて表示を行うことを特徴とする請求項1記載の外囲器。
- 前記電子源は、横型の電界放出型電子放出素子を有することを特徴とする請求項6記載の外囲器。
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