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JP2004190560A - ピストンリング - Google Patents

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JP2004190560A
JP2004190560A JP2002358952A JP2002358952A JP2004190560A JP 2004190560 A JP2004190560 A JP 2004190560A JP 2002358952 A JP2002358952 A JP 2002358952A JP 2002358952 A JP2002358952 A JP 2002358952A JP 2004190560 A JP2004190560 A JP 2004190560A
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Masaki Moronuki
正樹 諸貫
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Riken Corp
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Abstract

【課題】ピストンリングに被覆された非晶質硬質炭素膜の欠け、剥離を防止する。
【解決手段】Cr含有鉄系合金からなる母材(1)に、アンモニアガスと水素ガスを用いたラジカル窒化法により形成された窒化層(2)、金属もしくは炭化物中間層及び非晶質硬質炭素膜(3)を順次形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は自動車用エンジンなどの内燃機関に使用されるピストンリングに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に自動車用エンジンではTOP、2ND、OILの3本のリングが使用されている。
従来、自動車用ピストンリングの材料としては鋳鉄、炭素鋼、ステンレス鋼などが使用されている。また、それらの材料に加えてCrめっき、ガス窒化、溶射やイオンプレーティングによるTiN、CrN皮膜などの表面処理が適用されている。
【0003】
一般的に行われている窒化にはガス窒化、塩浴窒化、イオン窒化の三種がある。窒化処理を行うと窒素原子が母材表面から内部に向かって拡散し、10から300μm程度の厚さの拡散層、数μmから15μm程度の鉄窒化物からなる化合物層が最表面に形成される。硬度は化合物層表面が最も高く内部に向かって減少する分布を示す。
アンモニアガスを用いたガス窒化はHV1100から1200程度の表面硬度が得られ、浸炭処理(SCM415材でHv700から800程度)に比べ硬く、耐摩耗性に優れることからピストンリングをはじめとし、シリンダライナ、タペット、ロッカーアーム、バルブなど多数のエンジン部品に広く採用されている。
【0004】
ここで窒化鉄の種類について説明すると、Fe−N二元系の窒化鉄にはζ相、ε相、相があり、これらが窒化層表面の化合物層を形成している(例えば非特許文献1。)表1はこれらの相の物性について示したものである。
【0005】
【表1】
Figure 2004190560
(非特許文献1より)
【0006】
ζ相は脆い化合物であるが、短時間処理では窒化層に現れない。ε相は窒化層表面に白層として現れる。ガス窒化おいてε相はNを多量に固溶し、脆いので実用的には出来るだけ少なくすることが好ましいとされている。相は最も低位の窒化鉄で、白層の中にε相と共存している。白層の直下は侵入拡散したNがα−Fe中に過飽和に固溶し、拡散層を形成している。
【0007】
ガス窒化層上に非晶質硬質炭素膜を形成したピストンリングが特許文献2、特許文献3などに開示されている。特許文献2では5〜150μmの厚さに形成されたガス窒化層上に硬質皮膜が0.5〜30μmの厚さで形成されている。この硬質皮膜はSi、Ti、W、Cr、Mo、Nb、Vの群から選ばれた1又は2以上の元素の炭化物が分散したダイヤモンドライクカーボンから形成されている。
【0008】
特許文献3ではピストンリングの全表面に形成したガス窒化層上に、厚さ0.5〜30μmの下地皮膜を介してダイヤモンドライクカーボン皮膜を形成している。下地皮膜はSi、Ti、W、Cr、Mo、Nb、及びVの群から選ばれた1又は2以上の元素:70原子%以上100原子%未満、残部:炭素、又は前記1又は2以上の元素:100原子%からなっている。しかしながら、ガス窒化層表面の化合物層などの組織に関する記述は無い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
Crを含有した鉄系材料、いわゆるマルテンサイト系ステンレス系材料、例えばSUS440B(C0.75−0.95%、Si1.00%以下、Mn1.00%以下、P0.040%以下、S0.030%以下、Ni0.60%以下、Cr16.00−18.00%、Mo0.75%以下)を母材とするピストンリングに、NHガスを用いたガス窒化処理を行うと、NHガスはHとNに熱分解し、母材表面での接触分解により生成したNは材料表面から侵入拡散して化合物層(白層)とこれに続く拡散層が形成される。
【0010】
図3、4、5はそれぞれガス窒化したTOPリング、2NDリング、OILリングの外周表面上に非晶質硬質炭素膜をコーティングした時の断面組織について示したものである。図3のTOPリングの場合にはリング母材30の全周にわたって窒化層31が形成されている様子がわかる。ガス窒化直後には全周にわたって窒化層31とその表面に薄く化合物層32が形成される。外周面と側面はラップ加工などにより仕上げされるため、化合物層32は除去されるが、外周面から側面にかけてのコーナー部分は機械加工されないため、化合物層32が残った状態となる。このように摺動面脇の部分に化合物層32が残った表面に高い内部応力を持つ硬質皮膜、例えば非晶質硬質炭素膜33をコーティング処理すると、化合物層が脆いために外力が作用するとその部分に欠けを生じやすいという問題があった。
【0011】
図4は2NDリングの場合について示したものであるが、図3のTOPリングの場合と同様に外周部から側面にかけての部分に化合物層32が確認できる。この場合にも摺動面はラップ加工により仕上げされるため化合物層32は除去されるが、外周面から側面にかけてのコーナー部分では除去されない。このような表面の2NDリング外周面に非晶質硬質炭素皮膜33をコーティング処理すると、エンジン内で摺動中に化合物層上に非晶質硬質炭素膜33が形成された部分において欠けを生じるという問題があった。
【0012】
2NDリング外周面には摺動面以外に摺動しないテーパ部がある。ガス窒化後の化合物層除去はメタライト処理と呼ばれるリン酸―硫酸水溶液により行われるが、処理後の表面にはFeなどを主体とした金属酸化物や炭化物の不溶解成分であるスマットが形成され、これが除去されずに残る場合がある。
このようにスマットが残るテーパ部に非晶質硬質炭素膜33をコーティングすると、皮膜と母材との密着が悪く、皮膜をコーティング処理した直後に剥離を発生するという問題があった。
【0013】
図5はガス窒化したOILリングの断面組織について示したものである。母材30に窒化層31が形成されており、外周摺動面では窒化層31のみの表面となっているが、側面では化合物層32が残った状態となっている。このような表面に非晶質硬質炭素膜33を形成すると、エンジンでの摺動中に外周面から側面にかけての部分で化合物層が薄く残った部分において欠けを発生するという問題があった。
【0014】
また、母材としてSWRS82A(C0.80−0.85%、Si0.12−0.32%、Mn0.30−0.60%、P0.025%以下、S0.025%以下、Cu0.20%以下)などの炭素鋼を使用することもできるが、母材硬度が約HV600程度と窒化層に比べて低いため、HV2000以上の硬度を有する非晶質硬質炭素膜の下地として使用した場合、母材の塑性変形により窒化層に比べて高面圧下で剥離しやすいという問題があった。
【0015】
上記した三種以外の窒化法にプラズマ窒化法がある。プラズマ窒化法はNガスとHガスにより、処理物に負のバイアス電圧を印加して、発生するプラズマにより加熱と窒化の両方を行うものである。このため処理部材を高温に加熱保持するため、プラズマ電流密度を高くする必要がある。この様なプラズマ中では窒素分子イオンなどのイオン密度が高く、運動エネルギーも高いため、部材表面でのイオン衝撃が強い。その結果、部材表面の面粗度は悪化し、化合物層も形成される。
【0016】
金属部材を加熱し、アンモニアガスと水素ガスを用い、特定の電流密度でグロー放電を励起してイオン窒化するラジカル窒化法が開示されている(例えば特許文献1参照。)
この方法によれば窒化反応への寄与が大きいとされる活性種(ラジカル)を発生させ、窒素分子イオンがほとんど存在しない状態の低イオン密度のプラズマを発生させる。このような低イオン密度プラズマは母材に与えるイオン衝撃も少ないため、母材表面の面粗度の悪化を抑えることができ、化合物層の形成を制御することが可能である。このような低イオン密度のプラズマでは部材を加熱保持することが出来ないため、加熱用のヒーターを別途設ける必要がある。
【0017】
また、ラジカル窒化法が適用可能な金属部材としてS15CKなどの肌焼鋼、S45C等の構造用鋼、SUP10等のばね鋼、SUJ2等の軸受鋼、SACM1等の窒化鋼、SKD61等の熱間加工用鋼、SKD11等の冷間加工用鋼、SKH51等の高速度鋼、SUS301等の耐熱鋼、SCr20等の機械部品鋼、SUS410等の耐熱耐酸鋼などが挙げられているが、材料中のCr含有量について述べられていない。
【0018】
【特許文献1】
特許2947445号公報
【特許文献2】
特開平11−166625号公報
【特許文献3】
特開2000−120870号公報
【非特許文献1】
「鉄鋼便覧(第3版)」VI 二次加工・表面処理・熱処理・溶接、丸善、昭和57年、p.569−570
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記非晶質硬質炭素膜の欠け、剥離の問題を解決すべくなされたものであり、少なくとも外周面あるいは両側面と外周面に窒化層を有する内燃機関用のピストンリングにおいて、Cr含有鉄系合金からなる母材に、アンモニアガスと水素ガスを用いたラジカル窒化法により形成された窒化層、金属もしくは炭化物中間層及び非晶質硬質炭素膜を順次形成したことを特徴とする。このピストンリングを実施例に対応する図1、図2で説明すると、本発明によるピストンリングは、母材1にCr含有鉄系合金を使用し、アンモニアガスと水素ガスを用いたラジカル窒化法により形成した窒化層2上に金属もしくは炭化物中間層(写真では判別不能)と、非晶質硬質炭素膜3を被覆したことを特徴とする。本発明のピストンリングは特許文献2,3のピストンリングと比較すると、窒化層がラジカル窒化法により形成されているために、化合物層(白層)の形成が避けられ、コーナーでの割れが起こらない。
【0020】
ピストンリング母材であるCr含有鉄系合金中のCr含有量は8〜18%であることが好ましい。ピストンリング母材に形成された窒化層の厚さは20〜100μmであることが好ましい。また、窒化層の表面硬度はHV900以上であることが好ましい。前記金属もしくは炭化物中間層はCr、Ti、WもしくはSi、これらの合金またはそれらの炭化物であることが好ましい。また、金属もしくは炭化物中間層(以下「金属中間層」と言う)の厚さは0.05〜1μmであることが好ましい。特に、望ましい金属中間層の厚さは0.1〜0.3μmと非常に薄いために、金属中間層と非晶質硬質炭素膜の二層構造の合成硬さは高くなり耐摩耗性が優れている。
【0021】
【発明の実施形態】
母材にCrを高濃度に含有したSUS440B(C0.75−0.95%、Si1.00%以下、Mn1.00%以下、P0.040%以下、S0.030%以下、Ni0.60%以下、Cr16.00−18.00%、Mo0.75%以下)を使用し、NHガスとHガスを100対150〜233の容量比で混合し用いて、部材を500℃程度に加熱し、部材に印加するマイナスバイアス電圧を絶対値で500V以下で低密度プラズマにより窒化処理を行う。
【0022】
【作用】
高Cr鋼に、NHガスとHガスを用いて、プラズマ窒化処理を行うと化合物層を形成することなく窒化層のみを形成することができ、部材表面の面粗度の悪化も無い。さらに、窒化層中にはFe−N以外にCr−N相が形成され混合相となるため、摺動部材として優れた耐摩耗性、耐スカッフ性を示す。このようなCr−N相の存在はX線回折により確認することができる。
上述のように低密度プラズマにより形成された窒化層は表面に脆い化合物層が存在せず、面粗度の悪化も無いため、金属中間層非晶質硬質炭素膜をそのまま直接形成することができる。しかしながら、金属中間層の好ましい成分であるCr、Ti、W、Siなどは窒化物のNと非晶質硬質炭素のCとに対する親和力が高いために、窒化層表面に形成する非晶質硬質炭素膜の密着性を高める作用がある。
また、平滑で高硬度の下地表面に形成された非晶質硬質炭素膜は外力による塑性変形も少なくなるため、欠け、剥離の無い状態で使用することができ、非晶質硬質炭素膜の特徴である高硬度(HV2000以上)、低摩擦係数という特徴を生かすことができる。
【0023】
ピストンリングで必要とされる耐摩耗性、耐スカッフ性を満足するために必要なCr−N相を形成するため、母材中のCr含有量は8〜18重量%が好ましい。Cr含有量が8%を下回ると母材の強度が不足し、一方18重量%を超えるとσ相が生成するために好ましくない。
また、窒化層の厚さはピストンリングで必要な耐久性を確保するため、20〜100μmであることが好ましい。さらに窒化層の表面硬度は耐久性の観点と非晶質硬質炭素膜の下地硬度の観点からHV900以上必要である。
【0024】
【実施例】
以下、図面に示す実施例についてさらに詳細に説明する。
【0025】
実施例1(サイドレール)
図1はSUS440B材を母材とし、NHガスとHガスを用いてラジカル窒化処理後の3ピースタイプOILリングのサイドレールの断面組織について示したものである。
図7は窒化装置の概略を示したものである。装置は真空容器72、外部ヒーター71、真空排気系73、部材用治具74、バイアス電源76から構成されている。処理ガスとしてNH、Hガスが使用される。これらのガスはマスフローコントローラ(図示せず)により、流量調整されて真空容器72の内部に導入される。真空容器72中の圧力は真空排気系73の圧力調整弁により調整され100〜400Pa程度の圧力に保持される。処理部材75は外部ヒーター71により所定の温度に加熱保持され、部材用治具74を介してバイアス電源76から直流バイアスを印加し、グロー放電を発生させる。この放電によりNHガス、Hガスは分解し、プラズマ中にNHラジカルが発生する。このNHラジカルにより窒化が進行するが、プラズマ中のイオン化率、エネルギーが低いため、プラズマによる処理部材の温度上昇は少ない。これにより化合物層が無く、表面粗さの悪化の少ない状態で窒化層が形成される。
【0026】
次にこのように面粗度の良い表面にスパッタリングによりCr中間層を形成し、さらに炭化水素、例えばCH、Cなどを用いたプラズマCVD法により非晶質硬質炭素膜を形成する。このように金属中間層を形成することにより、非晶質硬質炭素膜と母材表面との密着性を高められる。
【0027】
非晶質硬質炭素膜は炭化水素ガスを用いたプラズマCVD法以外にカーボンターゲットを用い、炭化水素ガスを併用した反応性スパッタリング法やカーボンカソードを用いた真空アーク放電法などによっても形成することができる。
また、ピストンリングへの適用ではサイドレール以外でもTOPリング、2NDリング、2ピースタイプOILリングの外周摺動面において同様のことが可能である。
【0028】
比較例1(GN−サイドレール)
図6は母材にSUS440B材を使用し、NHガスによるガス窒化処理を行い窒化層31を形成し、外周面にラップ−バフ仕上げを行った後、その表面にSi−C中間層(写真では判別不能)と非晶質硬質炭素膜33をコーティング処理したOILリング用サイドレールの断面組織について示したものである。外周面から側面にかけての面取り部分において化合物層32が残存しており、その上にSiC中間層と非晶質硬質炭素膜33が形成されている。このようなリングを使用してエンジン実験を行うと、化合物層32の残存する付近から非晶質硬質炭素膜33に欠け、剥離が発生する。
【0029】
比較例2(GN−topリング)
図3は母材にSUS440B材を使用し、NHガスによるガス窒化処理を行い、外周面にラップ−バフ仕上げを行った後、その表面にSi−C中間層(図示せず)を含む非晶質硬質炭素膜をコーティング処理したTOPリングの断面組織を示したものである。外周面から側面にかけての面取り部において化合物層32が残存しており、その上にSiC中間層と非晶質硬質炭素膜33が形成されている。このようなリングを使用してエンジン実験を行うと、化合物層32の残存する付近から非晶質硬質炭素膜33に欠け、剥離が発生する。
【0030】
比較例3(GN−2NDリング)
図4は母材にCrを9.5〜10.5%含有したマルテンサイト系ステンレス材を使用し、NHガスによるガス窒化処理を行い、外周面にラップ仕上げを行った後、その表面にSi−C中間層(写真では判別不能)を含む非晶質硬質炭素膜33をコーティング処理した2NDリングの断面組織を示したものである。外周面から側面にかけての面取り部において化合物層32が残存しており、その上にSiC中間層と非晶質硬質炭素膜33が形成されている。このようなリングを使用してエンジン実験を行うと、化合物層32の残存する付近から非晶質硬質炭素膜33に欠け、剥離が発生する。
【0031】
比較例4(GN−DVM)
図5は母材にSUS440B材(引抜材)を使用し、NHガスによるガス窒化処理を行い、外周面にラップ仕上げを行った後、その表面にSi−C中間層(写真では判別不能)と非晶質硬質炭素膜33をコーティング処理した2ピースタイプOILリングの断面組織を示したものである。外周面から側面にかけての部分において化合物層32が残存しており、その上にSiC中間層と非晶質硬質炭素膜33が形成されれいる。このようなリングを使用してエンジン実験を行うと、化合物層32の残存する付近から非晶質硬質炭素膜33に欠け、剥離が発生する。
【0032】
【発明の効果】
従来のガス窒化によるピストンリングでは構造的に脆い化合物層が残るため、その上に内部応力の大きな非晶質硬質炭素膜をコーティングするとエンジン中で使用した時に加わる外力により化合物層上で非晶質硬質炭素膜が欠けるという問題があったが、本発明によるピストンリングでは化合物層が形成されないため、このような欠けを生じることがない。
窒化することにより化合物層が無く、面粗度の良い窒化層を有する外周摺動面が得られることにより、機械加工による仕上げ無しで直接金属中間層と非晶質硬質炭素膜を形成することができるため、窒化処理と非晶質硬質炭素膜の形成を同一装置で行うことも可能である。
また、非晶質硬質炭素膜以外の内部応力の高い硬質皮膜、例えばTiN、CrNといった皮膜に関しても本発明を適用することが可能であり、外周部全体にわたって良好な密着性を有し、耐摩耗性に優れたピストンリングを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す窒化処理後の断面組織図である。
【図2】本発明の実施例を示す断面組織図である。
【図3】従来例によるTOPリングの断面組織図である。
【図4】従来例による2NDリングの断面組織図である。
【図5】従来例による2ピースタイプOILリングの断面組織図である。
【図6】従来例による3ピースタイプOILリング用サイドレールの断面組織図である。
【図7】ラジカル窒化装置の概略図である。
【符号の説明】
1・・・母材
2・・・窒化層
3・・・非晶質硬質炭素膜
30・・・母材
31・・・窒化層
32・・・化合物層
33・・・非晶質硬質炭素膜
71・・・外部ヒーター
72・・・真空容器
73・・・真空排気系
74・・・部材用治具
75・・・処理部材
76・・・バイアス電源

Claims (5)

  1. 少なくとも外周面あるいは両側面と外周面に窒化層を有する内燃機関用のピストンリングにおいて、Cr含有鉄系合金からなる母材に、アンモニアガスと水素ガスを用いたラジカル窒化法により形成された窒化層、金属もしくは炭化物中間層及び非晶質硬質炭素膜を順次形成したことを特徴とするピストンリング。
  2. 前記Cr含有鉄系合金中のCr含有量が8〜18重量%であることを特徴とする請求項1記載のピストンリング。
  3. 前記窒化層が、厚さ20〜100μmを有し、Nを固溶したFe相とNを固溶したCr相とからなることを特徴とする請求項1又は2記載のピストンリング。
  4. 前記窒化層の表面硬度がHV900以上であることを特徴とする請求項1記載のピストンリング。
  5. 前記金属中間層がCr、Ti、W、Siからなる群のうち1種の金属もしくは前記群の金属からなる合金、あるいは前記群の1種以上の金属の炭化物であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項記載のピストンリング。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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