【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は、電動パワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の電動パワーステアリング装置は、舵輪の操作によりステアリングシャフトに発生する操舵トルクその他を検出し、その検出信号に基づいて電動モータを駆動してステアリングシャフトを回転させ、操舵力を補助するものである。
【0003】
車輪の舵角を変更する操舵機構は、ラック・ピニオン式運動変換機構を使用する構成では、車両の進行方向に対して左右方向に移動するラック軸と、このラック軸に噛合するピニオンギアを備え、ステアリングシャフトの回転をピニオンギアに伝達し、ピニオンギアに噛合するラック軸をその軸方向、即ち車両の進行方向に対して左右方向に移動させて車輪の舵角を変更する構成を備えている。
【0004】
ラック・ピニオン式運動変換機構のラック軸の軸方向の移動可能な長さは、その構造から規定されており、ラック軸のストロークエンドには停止部材が配置され、ラック軸が移動限界を越えて移動することを停止させるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
通常のステアリング操作では、ラック軸が停止部材に当接しても、ラック軸の移動速度が低いために当接時の衝撃荷重は小さいから、モータや動力伝達系の各機構に障害を与えることはない。
【0006】
また、ラック・ピニオン式運動変換機構には、ステアリングシャフトに連結されているピニオンギアとラックギアとのギア比を操舵角の増加に応じて大きくなるように可変に構成した、バリアブルギアレシオを備えたラック・ピニオン式運動変換機構がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
これは、例えば車庫入れの場合のように、車が殆ど停止している状態で舵輪を大きく操作する「据え切り」時には舵輪操作が重くなるが、バリアブルギアレシオを備えたラック・ピニオン式運動変換機構によれば、操舵角の増加に応じてギア比が大きくなるから、舵輪を軽く操作することができるものである。
【0008】
【特許文献1】
実開昭63−23184号公報
【0009】
【特許文献2】
特開平08−11728号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このような、操舵角の増加に応じてギア比が大きくなるバリアブルギアレシオを備えたラック・ピニオン式運動変換機構は、操舵角が大きいとき、即ちラック軸が移動するときの移動端(以下、ストロークエンドという)の付近ではピニオンギアとラックギアとのギア比が大きくなる。
【0011】
このため、車輪が縁石に乗り上げたり、車両整備中等で、外部から車輪が回転させられたような場合には、車輪の回転によりラック軸が軸方向に移動してこれに噛み合うピニオン軸が回転し、操舵補助力を供給する電動モータを回転させることになるが、バリアブルギアレシオを備えたラック・ピニオン式運動変換機構では、ラック軸がストロークエンド付近にあるときは、車輪からの回転によるラック軸の移動量が一定であっても、ピニオン軸の回転角が相対的に大きくなり、ピニオンギアとラックギアとのギア比が大きい程大きくなる。
【0012】
即ち、ラック軸の移動速度が一定であってもギア比が大きくなるストロークエンド付近では、モータがより高速で回転し、モータ慣性力もより大きくなる。このため、ラック軸がストロークエンド付近にあるときに、前記したように、車輪が縁石に乗り上げたり車両整備中等で、外部から車輪が高速で回転させられてラック軸が停止部材に衝突したときに発生する衝撃荷重は、ピニオンギアとラックギアとのギア比が大きい程大きく、衝撃荷重によりモータや動力伝達系の各機構が損傷してしまう可能性が高い。
【0013】
この発明は、上記課題を解決し、バリアブルギアレシオを備えたラック・ピニオン式運動変換機構を備えた電動パワーステアリング装置において、車輪からの回転によりラック軸が移動して停止部材に衝突したときに発生する衝撃荷重を緩和し、モータや動力伝達系の各機構に損傷を与えることがない電動パワーステアリング装置の提供を目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するもので、請求項1の発明は、舵輪と、前記舵輪が装着される舵輪軸と、操舵補助力を供給する電動モータを備え、前記舵輪軸の回転をラック・ピニオン式運動変換機構を介してステアリングギアに伝達して車輪の舵角を変更する電動パワーステアリング装置において、前記ラック・ピニオン式運動変換機構は、ピニオンとラックとの間のギア比が操舵角の増加に応じて大きくなるバリアブルギアレシオ機構を備え、ラックの移動端に衝撃吸収機構を備えた停止部材が配置されていることを特徴とする。
【0015】
そして、前記電動モータは、ブラシレスモータを使用する。
【0016】
そして、前記電動パワーステアリング装置は、操舵補助力を供給する電動モータを含む減速機構が、前記舵輪軸と前記ラック・ピニオン式運動変換機構のピニオン軸とを連結する連結部材よりも舵輪側に配置されているコラムタイプの電動パワーステアリング装置とすることができる。
【0017】
また、前記電動パワーステアリング装置は、操舵補助力を供給する電動モータを含む減速機構が、前記舵輪軸と前記ラック・ピニオン式運動変換機構のピニオン軸とを連結する連結部材よりもラック・ピニオン式運動変換機構側に配置されているピニオンタイプの電動パワーステアリング装置とすることもできる。
【0018】
前記衝撃吸収機構を備えた停止部材は、ラックの端部に固定された弾性変形可能な衝撃吸収部材とラックハウジング側に固定された当接部材とから構成するとよい。
【0019】
また、前記衝撃吸収機構を備えた停止部材は、ラックの端部に固定された当接部材とラックハウジング側に固定された弾性変形可能な衝撃吸収部材とから構成してもよい。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、この発明を実施するに適したコラムタイプの電動パワーステアリング装置10の構成の一例を示す斜視図で、11は舵輪、12は上部舵輪軸12aと下部舵輪軸12bとが同軸に配置された舵輪軸、13は舵輪軸ハウジング、14は電動モータ、15は電動モータ14の回転を下部舵輪軸12bに伝達する減速機構、20はラック・ピニオン式運動変換機構を示す。
【0022】
上部舵輪軸12aと下部舵輪軸12bとは、図示されていないトーションバーにより結合されており、舵輪11から上部舵輪軸12aを経て下部舵輪軸12bに伝達される操舵トルクがトーションバーにより検出され、検出された操舵トルクに基づいて電動モータ14の出力が制御される。
【0023】
上部舵輪軸12aと下部舵輪軸12bとから構成される舵輪軸12は、舵輪軸ハウジング13の内部に回転自在に支承されており、舵輪軸ハウジング13は、車室内部の所定位置に下部を前方に向けて傾斜した状態に固定されている。
【0024】
ラック・ピニオン式運動変換機構20は、長手方向を車両の左右方向として車両前部のエンジンルーム内にほぼ水平に配置され、軸方向に移動自在なラック軸21と、ラック軸21の軸心に対して斜めに支承されてラック軸21の歯部に噛合する歯部を備えたピニオン軸22、及びラック軸21とピニオン軸22を支承するハウジング26から構成される。
【0025】
ピニオン軸22と下部舵輪軸12bの下部とは、2個の自在継手16、17、及び連結軸18から構成される連結部材19で連結されている。また、ラック軸21の端部にはタイロッド24及び25が結合され、図示しない公知のステアリングギアを介して車輪の舵角を変更するように構成されている。
【0026】
上記したコラムタイプの電動パワーステアリング装置10の特徴点は、電動モータ14及び減速機構15が、連結部材19よりも舵輪11側にある舵輪軸12に配置されている点にある。
【0027】
図2は、この発明を実施するに適したピニオンタイプの電動パワーステアリング装置40の構成の一例を示す斜視図である。図1に示すコラムタイプの電動パワーステアリング装置10との構成上の相違点、即ち特徴点は、電動モータ14を含む減速機構15が、連結部材19よりもラック・ピニオン式運動変換機構20側に配置されている点にある。
【0028】
図1に示すコラムタイプの電動パワーステアリング装置と対応する構成部材には同一符号を付して詳細な説明は省略するが、上部舵輪軸12aと下部舵輪軸12bとから構成される舵輪軸12は、舵輪軸ハウジング13の内部に回転自在に支承されており、舵輪軸ハウジング13は、車室内部の所定位置に下部を前方に向けて傾斜した状態に固定されている。
【0029】
そして、ラック・ピニオン式運動変換機構20は、長手方向を車両の左右方向として車両前部のエンジンルーム内にほぼ水平に配置され、軸方向に移動自在なラック軸21と、ラック軸21の軸心に対して斜めに支承されてラック軸21の歯部に噛合する歯部を備えたピニオン軸22、及びラック軸21とピニオン軸22を支承するハウジング26から構成されている。
【0030】
ピニオン軸22と下部舵輪軸12bの下部とは、2個の自在継手16、17、及び連結軸18から構成される連結部材19で連結され、連結部材19とピニオン軸22との間に電動モータ14及び減速機構15が配置されている。
【0031】
図3は、ハウジングの一部を切欠いて内部構成を示したラック・ピニオン式運動変換機構20の構成を示す正面図、図4はその端部に配置された衝撃吸収機構38の構成を示す断面図、図5はラック軸のラック歯のピッチ構成を説明する正面図である。
【0032】
このラック・ピニオン式運動変換機構は、図1により説明したコラムタイプの電動パワーステアリング装置10、及び図2により説明したピニオンタイプの電動パワーステアリング装置40のいずれにも適用されるものである。
【0033】
ラック・ピニオン式運動変換機構20は、バリアブルギアレシオを備えたラック・ピニオン式運動変換機構であり、図6の特性図に示すように、操舵角θに対するギア比εが操舵角θの増加に応じて大きくなるように構成されている。
【0034】
この構成により、通常の車両走行中の操舵領域では、ギア比εが小さく通常のステアリング操作を維持することができる。そして、車庫入れの場合のように車が殆ど停止している状態で操向ハンドルを大きく操作する「据え切り」時のような操舵領域(ストロークエンド付近)では、ギア比εが大きいから電動モータの出力が小さく十分な補助トルクが供給されていなくとも、操向ハンドルを軽く操作することができる。
【0035】
以下、図3及び図4を参照してラック・ピニオン式運動変換機構20の構成、衝撃吸収機構38の構成、及びその動作を説明する。
【0036】
ハウジング26は、ギアケース部26aとラックコラム部26bとから構成される。ギアケース部26aはピニオン軸22を回転自在に支承するもので、また、ラックコラム部26bはラック軸21を軸方向に移動自在に支承するもので、軸方向両端部にはそれぞれ滑り軸受であるラックブッシュ31(32)が配置されており、ラック軸21を軸方向に移動自在に支承する。
【0037】
ラック軸21は、中空の円筒部材で構成され、軸方向に添ってピニオン軸22の歯部に噛合するラック歯21aが形成される。具体的には、図5に示すようにラック軸21のラック歯21aは、中央部分21a1では通常のピッチに形成され、ストロークエンド付近21a2ではピッチが細かくなるように形成されている。
【0038】
ラック軸21の軸方向両端部には、ボールジョイント27、28が取付けられ、ボールジョイント27、28にはそれぞれタイロッド24及び25の端部が回動自在に結合されている。また、ボールジョイント27、28の周囲には防塵用のブーツ29、30が配置され、ラックコラム部26bに取付けられている。
【0039】
ラックコラム部26bの軸方向両端部には、ラックブッシュ31(32)の外側に金属製のリングからなる当接部材33、34が焼き嵌め等の適宜の手段で固定されている。
【0040】
また、ボールジョイント27、28のラック軸21側の端部には、前記当接部材33、34に対向してリング状の衝撃吸収部材35、36が固定されている。衝撃吸収部材35、36は、例えばゴムリングのような弾性変形可能な衝撃吸収部材、或いは皿ばねとゴムリングを組み合わせて構成された弾性変形可能な衝撃吸収部材から構成されており、当接部材33、34と衝撃吸収部材35、36とで衝撃吸収機構38が構成される。
【0041】
次に、ラック・ピニオン式運動変換機構20の動作を説明する。ピニオン軸22の回転により、ピニオン軸22の歯部に噛合するラック歯21aを備えたラック軸21が、図3で矢印a方向に移動すると、ラック軸21の両端部にボールジョイント27、28を介して結合されたタイロッド24及び25も矢印a方向に移動し、図示しない車輪転向機構を介して車輪の向きを変更する。
【0042】
ラック軸21が、矢印a方向にストロークエンドまで移動すると、ボールジョイント27の端部に固定されている衝撃吸収部材35が、ラックコラム部26bの端部に固定されている当接部材33に当接し、ラック軸21の矢印a方向移動は停止される。
【0043】
ラック軸21がストロークエンド付近にあるとき、車輪が縁石に乗り上げたり、車両整備中等で外部から車輪が高速回転させられたような場合は、車輪からの回転によりラック軸21が矢印a方向に高速移動して衝撃吸収部材35が当接部材33に激しく衝突するが、当接部材33の衝突により衝撃吸収部材35が弾性変形して衝撃を吸収するので、電動モータや動力伝達系の各機構に損傷を与えることがない。
【0044】
ラック軸21が、矢印aと反対方向にストロークエンドまで移動するときは、ボールジョイント28の端部に固定されている衝撃吸収部材36が、ラックコラム部26bの端部に固定されている当接部材34に当接し、ラック軸21の矢印aと反対方向の移動は停止される。
【0045】
車両整備中等で外部から車輪が高速回転させられたような場合は、車輪からの回転によりラック軸21が矢印aと反対方向に高速移動して衝撃吸収部材36が当接部材34に激しく衝突するが、此の場合も、当接部材34と衝撃吸収部材36とで衝撃吸収機構38が構成されているので、電動モータや動力伝達系の各機構に与える衝撃が吸収され、損傷を与えることがない。
【0046】
上記した衝撃吸収機構は、ラック軸21の端部にボールジョイントを介して衝撃吸収部材が固定され、ラックコラム部の端部に当接部材が固定されるものとして説明したが、これと反対にラック軸の端部にボールジョイントを介して当接部材が固定され、ラックコラム部の端部に衝撃吸収部材が固定される構成であってもよい。
【0047】
以上説明したラック・ピニオン式運動変換機構は、電動モータにロータコイル給電用のブラシを備えたブラシモータを使用する電動パワーステアリング装置のほか、ブラシを備えていないブラシレスモータを使用する電動パワーステアリング装置にも適用することができる。
【0048】
ブラシレスモータは、同一出力のブラシモータに比較して小型で、慣性力を小さくすることができるから、ブラシレスモータを使用することで衝撃吸収機構と当接部材との衝突時の衝撃を一層軽減でき、電動モータや動力伝達系の各機構に与える衝撃を更に緩和することができるばかりでなく、衝撃吸収機構を小さく構成することが可能になる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したとおり、この発明の電動パワーステアリング装置は、バリアブルギアレシオ機構を備えたラック・ピニオン式運動変換機構を備えたものであり、そのラックの移動端に衝撃吸収機構を配置したものであるから、ラックがその移動端において衝撃吸収機構に衝突して停止するときの衝撃荷重が吸収されるから電動モータや動力伝達系の各機構に損傷を与えることがない。
【0050】
また、操舵補助力を供給する電動モータとして、同一出力のブラシ付モータよりも小型のブラシレスモータを使用するときは、モータの慣性力が小さいからラックが移動端で衝撃吸収機構に衝突して停止するときの衝撃荷重を更に軽減することができる。これにより電動モータや動力伝達系の各機構に損傷を与えることがないばかりでなく、衝撃吸収機構を小さくできるから、電動パワーステアリング装置全体をコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施するに適したコラムタイプの電動パワーステアリング装置の構成の一例を示す斜視図。
【図2】この発明を実施するに適したピニオンタイプの電動パワーステアリング装置の構成の一例を示す斜視図。
【図3】ラック・ピニオン式運動変換機構のハウジングの一部を切欠いて内部を示した正面図。
【図4】ラック・ピニオン式運動変換機構の衝撃吸収装置の構成を示す断面図。
【図5】ラック軸の構成を示す正面図。
【図6】バリアブルギアレシオを備えたラック・ピニオン式運動変換機構の操舵角θに対するギア比εの関係を説明する特性図。
【符号の説明】
10 コラムタイプの電動パワーステアリング装置
11 舵輪
12 舵輪軸
12a 上部舵輪軸
12b 下部舵輪軸
13 舵輪軸ハウジング
14 電動モータ
15 減速機構
16、17 自在継手
18 連結軸
20 ラック・ピニオン式運動変換機構
21 ラック軸
21a ラック歯
22 ピニオン軸
24、25 タイロッド
26 ハウジング
26a ギアケース部
26b ラックコラム部
27、28 ボールジョイント
29、30 防塵用のブーツ
31、32 ラックブッシュ
33、34 当接部材
35、36 衝撃吸収部材
38 衝撃吸収機構
40 ピニオンタイプの電動パワーステアリング装置[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to an electric power steering device.
[0002]
[Prior art]
An electric power steering device for a vehicle detects steering torque and the like generated on a steering shaft by operating a steering wheel, and drives an electric motor based on the detection signal to rotate the steering shaft to assist the steering force. is there.
[0003]
The steering mechanism that changes the steering angle of the wheels, in a configuration using a rack and pinion type motion conversion mechanism, includes a rack shaft that moves left and right with respect to the traveling direction of the vehicle, and a pinion gear that meshes with the rack shaft. The rotation of the steering shaft is transmitted to the pinion gear, and the rack shaft meshing with the pinion gear is moved in the axial direction, that is, in the left-right direction with respect to the traveling direction of the vehicle, to change the steering angle of the wheel. .
[0004]
The axially movable length of the rack and pinion type motion conversion mechanism in the axial direction is defined by its structure, a stop member is arranged at the stroke end of the rack shaft, and the rack shaft exceeds the movement limit. It is configured to stop moving (for example, see Patent Document 1).
[0005]
In normal steering operation, even if the rack shaft comes into contact with the stop member, the impact load at the time of contact is small because the moving speed of the rack shaft is low. Absent.
[0006]
In addition, the rack-pinion type motion conversion mechanism has a variable gear ratio, wherein the gear ratio between the pinion gear connected to the steering shaft and the rack gear is variably configured to increase as the steering angle increases. -There is a pinion-type motion conversion mechanism (for example, see Patent Document 2).
[0007]
This is because a rack and pinion type motion conversion mechanism equipped with a variable gear ratio, although the steering operation becomes heavy when the steering wheel is largely operated while the vehicle is almost stopped, such as in the case of garage parking, is used. According to this, the gear ratio increases as the steering angle increases, so that the steering wheel can be operated lightly.
[0008]
[Patent Document 1]
JP-A-63-23184 [0009]
[Patent Document 2]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 08-11728
[Problems to be solved by the invention]
Such a rack and pinion type motion conversion mechanism having a variable gear ratio in which the gear ratio increases in accordance with an increase in the steering angle has a moving end (hereinafter referred to as stroke) when the steering angle is large, that is, when the rack shaft moves. Near the end), the gear ratio between the pinion gear and the rack gear increases.
[0011]
For this reason, in the case where a wheel rides on a curb, or when a wheel is externally rotated during vehicle maintenance or the like, the rotation of the wheel causes the rack shaft to move in the axial direction and the pinion shaft meshing with the rack shaft to rotate. However, in the rack-pinion type motion conversion mechanism equipped with a variable gear ratio, when the rack shaft is near the stroke end, the rotation of the rack shaft due to rotation from the wheels is performed. Even if the amount of movement is constant, the rotation angle of the pinion shaft becomes relatively large, and becomes larger as the gear ratio between the pinion gear and the rack gear becomes larger.
[0012]
That is, even when the moving speed of the rack shaft is constant, the motor rotates at a higher speed near the stroke end where the gear ratio increases, and the motor inertia force also increases. Therefore, when the rack shaft is near the stroke end, as described above, when the wheel is rotated at high speed from the outside and the rack shaft collides with the stop member, for example, when the wheel runs on the curb or during vehicle maintenance, etc. The generated impact load increases as the gear ratio between the pinion gear and the rack gear increases, and there is a high possibility that each mechanism of the motor and the power transmission system will be damaged by the impact load.
[0013]
SUMMARY OF THE INVENTION The present invention solves the above-described problems, and in an electric power steering device including a rack and pinion type motion conversion mechanism having a variable gear ratio, the rack shaft moves due to rotation from wheels and collides with a stop member. It is an object of the present invention to provide an electric power steering apparatus that reduces an impact load that is caused and does not damage each mechanism of a motor and a power transmission system.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
The present invention solves the above-mentioned problems, and the invention of claim 1 includes a steering wheel, a steering wheel shaft to which the steering wheel is mounted, and an electric motor that supplies a steering assist force, and controls rotation of the steering wheel shaft by a rack. In an electric power steering device that changes the steering angle of a wheel by transmitting the steering angle to a steering gear via a pinion-type motion conversion mechanism, the gear ratio between the pinion and the rack is such that the gear ratio between the pinion and the rack is equal to the steering angle. A variable gear ratio mechanism that increases with an increase is provided, and a stop member provided with a shock absorbing mechanism is arranged at a moving end of the rack.
[0015]
The electric motor uses a brushless motor.
[0016]
In the electric power steering device, a speed reduction mechanism including an electric motor that supplies a steering assist force is disposed on a steering wheel side with respect to a connecting member that connects the steering wheel shaft and a pinion shaft of the rack and pinion type motion conversion mechanism. Column-type electric power steering apparatus.
[0017]
Further, in the electric power steering device, a speed reduction mechanism including an electric motor that supplies a steering assist force is a rack and pinion type rather than a connecting member that connects the steering wheel shaft and a pinion shaft of the rack and pinion type motion conversion mechanism. A pinion type electric power steering device arranged on the motion conversion mechanism side can also be used.
[0018]
The stop member provided with the shock absorbing mechanism may include an elastically deformable shock absorbing member fixed to an end of the rack and a contact member fixed to the rack housing.
[0019]
Further, the stop member provided with the shock absorbing mechanism may include a contact member fixed to an end of the rack and an elastically deformable shock absorbing member fixed to the rack housing.
[0020]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described.
[0021]
FIG. 1 is a perspective view showing an example of the configuration of a column-type electric power steering device 10 suitable for carrying out the present invention, wherein 11 is a steering wheel, and 12 is an upper steering wheel shaft 12a and a lower steering wheel shaft 12b arranged coaxially. , A reference numeral 13 denotes a steering wheel shaft housing, 14 denotes an electric motor, 15 denotes a reduction mechanism for transmitting the rotation of the electric motor 14 to the lower steering wheel shaft 12b, and 20 denotes a rack and pinion type motion conversion mechanism.
[0022]
The upper steering shaft 12a and the lower steering shaft 12b are connected by a torsion bar (not shown), and the steering torque transmitted from the steering wheel 11 to the lower steering wheel shaft 12b via the upper steering shaft 12a is detected by the torsion bar. The output of the electric motor 14 is controlled based on the detected steering torque.
[0023]
A steering wheel shaft 12 composed of an upper steering wheel shaft 12a and a lower steering wheel shaft 12b is rotatably supported inside a steering wheel shaft housing 13, and the steering wheel shaft housing 13 has a lower portion forward at a predetermined position in the vehicle interior. It is fixed in a state inclined toward.
[0024]
The rack and pinion type motion conversion mechanism 20 is disposed substantially horizontally in the engine room at the front of the vehicle with the longitudinal direction being the left-right direction of the vehicle, and the rack shaft 21 is movable in the axial direction. It is composed of a pinion shaft 22 having a tooth portion which is supported obliquely with respect to the tooth portion of the rack shaft 21 and a housing 26 which supports the rack shaft 21 and the pinion shaft 22.
[0025]
The pinion shaft 22 and the lower part of the lower steering wheel shaft 12b are connected by a connecting member 19 including two universal joints 16, 17 and a connecting shaft 18. Also, tie rods 24 and 25 are connected to the end of the rack shaft 21 so as to change the steering angle of the wheels via a known steering gear (not shown).
[0026]
The feature of the above-described column type electric power steering device 10 is that the electric motor 14 and the speed reduction mechanism 15 are arranged on the steering wheel shaft 12 closer to the steering wheel 11 than the connecting member 19.
[0027]
FIG. 2 is a perspective view showing an example of a configuration of a pinion type electric power steering device 40 suitable for carrying out the present invention. The difference in configuration from the column-type electric power steering device 10 shown in FIG. 1, that is, the feature is that the speed reduction mechanism 15 including the electric motor 14 is closer to the rack-pinion type motion conversion mechanism 20 than the connecting member 19. It is located at the point.
[0028]
The components corresponding to those of the column type electric power steering apparatus shown in FIG. 1 are denoted by the same reference numerals, and detailed description thereof will be omitted. However, the steering wheel shaft 12 including the upper steering wheel shaft 12a and the lower steering wheel shaft 12b is The steering wheel shaft housing 13 is rotatably supported inside the steering wheel shaft housing 13, and the steering wheel shaft housing 13 is fixed to a predetermined position inside the vehicle cabin with its lower part inclined forward.
[0029]
The rack and pinion type motion conversion mechanism 20 is disposed substantially horizontally in the engine room at the front of the vehicle with the longitudinal direction being the left-right direction of the vehicle, and a rack shaft 21 movable in the axial direction, and a shaft of the rack shaft 21. It is composed of a pinion shaft 22 having a tooth portion which is supported obliquely with respect to the center and meshes with a tooth portion of the rack shaft 21, and a housing 26 which supports the rack shaft 21 and the pinion shaft 22.
[0030]
The pinion shaft 22 and the lower part of the lower steering wheel shaft 12b are connected by a connecting member 19 composed of two universal joints 16 and 17 and a connecting shaft 18, and an electric motor is provided between the connecting member 19 and the pinion shaft 22. 14 and a speed reduction mechanism 15 are arranged.
[0031]
FIG. 3 is a front view showing a configuration of a rack and pinion type motion conversion mechanism 20 in which a part of a housing is cut away to show an internal configuration, and FIG. 4 is a cross-section showing a configuration of a shock absorbing mechanism 38 disposed at an end thereof. FIG. 5 and FIG. 5 are front views for explaining the pitch configuration of the rack teeth of the rack shaft.
[0032]
This rack and pinion type motion conversion mechanism is applied to both the column type electric power steering device 10 described with reference to FIG. 1 and the pinion type electric power steering device 40 described with reference to FIG.
[0033]
The rack and pinion type motion conversion mechanism 20 is a rack and pinion type motion conversion mechanism having a variable gear ratio, and as shown in the characteristic diagram of FIG. 6, the gear ratio ε with respect to the steering angle θ increases as the steering angle θ increases. It is configured to be large.
[0034]
With this configuration, the gear ratio ε is small and the normal steering operation can be maintained in the steering region during normal vehicle running. In a steering region (near the stroke end) such as when the steering wheel is largely operated while the vehicle is almost stopped, such as in a garage, the gear ratio ε is large. , The steering wheel can be operated lightly even if sufficient auxiliary torque is not supplied.
[0035]
Hereinafter, the configuration of the rack-pinion type motion conversion mechanism 20, the configuration of the shock absorbing mechanism 38, and the operation thereof will be described with reference to FIGS.
[0036]
The housing 26 includes a gear case 26a and a rack column 26b. The gear case 26a rotatably supports the pinion shaft 22, and the rack column 26b supports the rack shaft 21 movably in the axial direction. Sliding bearings are provided at both ends in the axial direction. A rack bush 31 (32) is arranged, and supports the rack shaft 21 movably in the axial direction.
[0037]
The rack shaft 21 is formed of a hollow cylindrical member, and has rack teeth 21 a that mesh with the teeth of the pinion shaft 22 along the axial direction. Specifically, as shown in FIG. 5, the rack teeth 21a of the rack shaft 21 are formed so as to have a normal pitch in the central portion 21a1, and to be narrow in the vicinity of the stroke end 21a2.
[0038]
Ball joints 27 and 28 are attached to both ends of the rack shaft 21 in the axial direction, and ends of tie rods 24 and 25 are rotatably connected to the ball joints 27 and 28, respectively. Dustproof boots 29 and 30 are arranged around the ball joints 27 and 28, and are attached to the rack column 26b.
[0039]
At both ends in the axial direction of the rack column portion 26b, abutment members 33 and 34 made of a metal ring are fixed to the outside of the rack bush 31 (32) by appropriate means such as shrink fitting.
[0040]
Further, ring-shaped shock absorbing members 35 and 36 are fixed to the ends of the ball joints 27 and 28 on the rack shaft 21 side, facing the contact members 33 and 34. Each of the shock absorbing members 35 and 36 is formed of an elastically deformable shock absorbing member such as a rubber ring, or an elastically deformable shock absorbing member formed by combining a disc spring and a rubber ring. An impact absorbing mechanism 38 is constituted by the impact absorbing members 33 and 34 and the impact absorbing members 35 and 36.
[0041]
Next, the operation of the rack and pinion type motion conversion mechanism 20 will be described. When the rack shaft 21 having the rack teeth 21a meshing with the teeth of the pinion shaft 22 is moved in the direction of arrow a in FIG. 3 by the rotation of the pinion shaft 22, ball joints 27 and 28 are attached to both ends of the rack shaft 21. The tie rods 24 and 25 that are connected to each other also move in the direction of arrow a, and change the direction of the wheels via a wheel turning mechanism (not shown).
[0042]
When the rack shaft 21 moves to the stroke end in the direction of arrow a, the shock absorbing member 35 fixed to the end of the ball joint 27 contacts the contact member 33 fixed to the end of the rack column 26b. Then, the movement of the rack shaft 21 in the direction of arrow a is stopped.
[0043]
When the rack shaft 21 is near the stroke end and the wheel runs on a curb, or when the wheel is rotated at high speed from outside during maintenance of the vehicle, the rack shaft 21 rotates at high speed in the direction of arrow a due to the rotation from the wheel. The shock absorbing member 35 moves and collides violently with the contact member 33. However, the collision of the contact member 33 causes the shock absorbing member 35 to be elastically deformed and absorb the shock. No damage.
[0044]
When the rack shaft 21 moves to the stroke end in the direction opposite to the arrow a, the shock absorbing member 36 fixed to the end of the ball joint 28 is fixed to the end of the rack column 26b. The movement of the rack shaft 21 in the direction opposite to the arrow a is stopped when it comes into contact with the member 34.
[0045]
When the wheels are rotated at a high speed from the outside during vehicle maintenance or the like, the rack shaft 21 moves at a high speed in a direction opposite to the arrow a due to the rotation from the wheels, and the shock absorbing member 36 collides violently with the contact member 34. However, also in this case, since the shock absorbing mechanism 38 is configured by the contact member 34 and the shock absorbing member 36, the shock given to each mechanism of the electric motor and the power transmission system is absorbed, and damage may be caused. Absent.
[0046]
In the above-described shock absorbing mechanism, the shock absorbing member is fixed to the end of the rack shaft 21 via a ball joint, and the contact member is fixed to the end of the rack column portion. A configuration in which a contact member is fixed to an end of the rack shaft via a ball joint and an impact absorbing member is fixed to an end of the rack column portion may be employed.
[0047]
The rack and pinion type motion converting mechanism described above is an electric power steering device using a brushless motor having no brush, in addition to an electric power steering device using a brush motor having a brush for supplying a rotor coil to the electric motor. Can also be applied.
[0048]
Brushless motors are smaller and have less inertia compared to brush motors of the same output, so using a brushless motor can further reduce the impact of a collision between the shock absorbing mechanism and the abutting member. In addition, not only can the impact applied to each mechanism of the electric motor and the power transmission system be further reduced, but also the impact absorbing mechanism can be made smaller.
[0049]
【The invention's effect】
As described above, the electric power steering apparatus of the present invention includes the rack and pinion type motion conversion mechanism including the variable gear ratio mechanism, and the shock absorbing mechanism is disposed at the moving end of the rack. In addition, since the impact load when the rack collides with the impact absorbing mechanism at its moving end and stops is absorbed, there is no damage to each mechanism of the electric motor and the power transmission system.
[0050]
Also, when using a brushless motor smaller than a brushed motor of the same output as the electric motor that supplies the steering assist force, the rack collides with the shock absorbing mechanism at the moving end and stops because the inertia of the motor is small. In this case, the impact load can be further reduced. As a result, not only the electric motor and the respective mechanisms of the power transmission system are not damaged, but also the shock absorbing mechanism can be made smaller, so that the entire electric power steering device can be made compact.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing an example of the configuration of a column-type electric power steering device suitable for carrying out the present invention.
FIG. 2 is a perspective view showing an example of a configuration of a pinion type electric power steering device suitable for carrying out the present invention.
FIG. 3 is a front view showing the inside of the rack and pinion type motion conversion mechanism with a portion cut away.
FIG. 4 is a cross-sectional view showing a configuration of an impact absorbing device of the rack and pinion type motion conversion mechanism.
FIG. 5 is a front view showing a configuration of a rack shaft.
FIG. 6 is a characteristic diagram illustrating a relationship between a steering ratio θ and a gear ratio ε of a rack and pinion type motion conversion mechanism having a variable gear ratio.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 10 Column type electric power steering apparatus 11 Steering wheel 12 Steering wheel shaft 12a Upper steering wheel shaft 12b Lower steering wheel shaft 13 Steering wheel shaft housing 14 Electric motor 15 Reduction mechanisms 16, 17 Universal joint 18 Connecting shaft 20 Rack / pinion type motion conversion mechanism 21 Rack shaft 21a Rack teeth 22 Pinion shafts 24, 25 Tie rod 26 Housing 26a Gear case 26b Rack column 27, 28 Ball joint 29, 30 Dustproof boot 31, 32 Rack bush 33, 34 Contact member 35, 36 Shock absorbing member 38 Shock absorbing mechanism 40 Pinion type electric power steering device