JP2004175713A - 被覆オリゴ糖類粉末、成形体および成形体の製造方法 - Google Patents
被覆オリゴ糖類粉末、成形体および成形体の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】直接オリゴ糖類の粉末材料を混合して、前記の打錠障害がほとんどなく、圧縮成型でき、その成形体では長期の吸湿性を抑制でき、オリゴ糖類を高含有させることができるオリゴ糖類の粉末およびそれを用いた圧縮成形体を提供する。
【解決手段】粉末中に、オリゴ糖類(a1)20〜94重量%を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)6〜80重量%を被覆させてなる平均粒径10〜500μmの油性成分被覆オリゴ糖類粉末。さらに、成形体100重量部中に、A成分;前記の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を10〜94重量部用いて、オリゴ糖類純分が10〜60重量部となるように、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.1〜10重量部と、を有効成分として含有するオリゴ糖類圧縮成形体。
【選択図】 なし
【解決手段】粉末中に、オリゴ糖類(a1)20〜94重量%を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)6〜80重量%を被覆させてなる平均粒径10〜500μmの油性成分被覆オリゴ糖類粉末。さらに、成形体100重量部中に、A成分;前記の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を10〜94重量部用いて、オリゴ糖類純分が10〜60重量部となるように、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.1〜10重量部と、を有効成分として含有するオリゴ糖類圧縮成形体。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油性成分被覆オリゴ糖類粉末、圧縮成形体およびその用途に関する。さらに詳細には、健康食品素材や健康補助食品さらには医薬部外品として摂取するのに好適なオリゴ糖類を主成分として含有する油性成分被覆オリゴ糖類粉末、その粉末を含有する成形体、その用途および成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸湿性成分を使用する際に、吸湿抑制をしていないと困る場合があった。例えば、食塩等の塩類、キシリトール等の糖アルコール粉末では、湿度が高い場所にさらされると吸湿してべとつきを起こし、場合によっては、潮解するのでこれらの吸湿成分を含んだ粉末や固形物が商品化できない問題がある。これらの問題を改善するために、吸湿性物質を油性成分で表面に被覆処理して吸湿性を抑制することが知られている。例えば、特開昭63−313599号公報(特許文献1)には、糖類粉状体に被覆剤として融点40℃以上の脂質粉状体を接触・衝突とさせ前記の糖類粉状体の表面に前記の脂質粉状体を付着・被覆し、前記の糖類粉状体を芯物質として脂質により被覆された糖類を製造する吸湿性の改善された粉末糖類の製造法が開示されている。
【0003】
また、オリゴ糖類は、少糖類で単糖類と多糖類との中間に位置して一定少数の単糖類分子のグリコシル結合からなり、構成糖類の分子数により二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類として知られており、結合様式により還元性少糖類(マルトース型)、非還元性少糖類(トレハロース型)がある。オリゴ糖類は、整腸作用や免疫力向上作用があることが知られている。
【0004】
また、このオリゴ糖類を含有する錠剤として製造するため、例えば、特開平11−243907号公報(特許文献2)には、室温で固体の脂質で被覆したキシリトール粉末を直接圧縮成型して錠剤を製造する方法が開示されている。
前記の特開昭63−313599号公報(特許文献1)の技術には、(糖類粉状体重量/脂質粉状体重量)が0.1〜1000であることが記載されている。この比率が0.1〜50の場合、脂質含量が過剰となり、圧縮成形体に用いると(特に高含有に用いると)、スティッキングなどの打錠障害が発生しやすくなり好ましくない。また95〜1000の比率においては、脂質含量が不足しており、十分に吸湿を抑制することができず、スティッキングなどの打錠障害が発生しやすい。また、仮に成形体ができあがっても、できあがった成形体の表面はすぐにべとべとになり、商品価値がなくなってしまうという問題がある。
【0005】
また、特開平11−243907号公報(特許文献2)には、糖アルコールであるキシリトールに限定してあり、オリゴ糖類の成形体や吸湿性の制御についての記載はない。また、室温で固体の脂質含量が0.1〜6.0重量%と記載されているが脂質含量が不足しており、十分に吸湿を抑制することができない。常温に放置しておくと、経時的に吸湿を起こし、流動性が悪くなる。また、成形体を作る際、打錠障害が発生しやすい。仮に成形体が形状を成したとしても、表面のべとつきが大きく、商品価値がなくなってしまうという問題点がある。
したがって、未だ圧縮成型するのに十分満足できるような吸湿体の粉末が得られていないのが現状である。
【0006】
特開2002−241266号公報(特許文献3)には(a)プロポリス、糖類、果汁粉末、植物抽出物及び調味料からなる群から選ばれる少なくとも1種の原料粉体と(b)吸湿しても固結し難い原料粉体とを予備混合し、次いで、これを(c)打錠用の他の原料粉体と混合して原料粉体混合物を調製し、これを打錠することを特徴とするタブレットの製造方法が開示されている。しかしながら、この方法は、吸湿性の成分を高含有にすると、打錠障害が発生しやすい。また、仮に錠剤が形成されたとしても、形状を成した成形体は、経時的に表面のべとつきが大きくなり、そのため商品価値がなくなってしまうという問題点がある。
【0007】
前記の打錠の障害としては、例えば、キャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキング、クラムシェル等が挙げられる。
以上のような状況で、
(1)吸湿防止性に優れる、
(2)オリゴ糖類を高含有できる、
(3)直接圧縮成型できる、
等の物性に優れた、成形体に使用できるオリゴ糖類の粉末が望まれていたが、未だ十分に商品化でき、長期に吸湿性を抑制できる成形体が得られていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−313599号公報(第1−4頁)
【特許文献2】特開平11−243907号公報(第2−5頁)
【特許文献3】特開2002−241266号公報(第1−4頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前処理の粉砕工程を必要とせず、直接オリゴ糖類の粉末材料を混合して、前記の打錠障害がほとんどなく、圧縮成型でき、その成形体では長期の吸湿性を抑制でき、オリゴ糖類を高含有させることができるオリゴ糖類の粉末を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、前記の粉末オリゴ糖類の粉末を含有する成型体およびその用途を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、前記の粉末オリゴ糖類の粉末を含有する成型体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、粉末中に、オリゴ糖類(a1)所定量を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)を所定量被覆させてなる油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造し、その油性成分被覆オリゴ糖類粉末の特定量と、賦型剤と、滑沢剤を特定量用いて圧縮成型すると、前記の問題点が解決できることの知見を得て、本発明を完成した。すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔6〕である。
[1]粉末中に、オリゴ糖類(a1)20〜94重量%を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)6〜80重量%を被覆させてなる平均粒径10〜500μmの油性成分被覆オリゴ糖類粉末。
[2]オリゴ糖類(a1)が、キシロオリゴ糖であり、油性成分が動植物油脂の硬化物である前記[1]記載の油性成分被覆オリゴ糖類粉末。
【0011】
[3]成形体100重量部中に、A成分;前記[1] または2記載の油性成分被覆オリゴ糖類粉末10〜94重量部を用い、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部と、を主成分として含有し、かつオリゴ糖類純度として成型体100重量部中に10〜70重量部を含有することを特徴とするオリゴ糖類圧縮成形体。
〔4〕成形体100重量部中に、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌末0.01〜20重量部を有効成分として含有する前記〔3〕のオリゴ糖類圧縮成形体。
〔5〕前記[3]または[4]に記載の成形体が、錠剤硬度3〜20kgfである成形体。
〔6〕前記[3]〜[5]に記載の成形体が、食品用、健康食品用、医薬品用、医薬部外用である成形体。
【0012】
〔7〕次の工程I、IIを行い、成形体100重量部中にオリゴ糖純分として10〜60重量部含有させることを特徴とする圧縮成型体の製造方法。
工程I;芯材として粉末中に、オリゴ糖類(a1)の粉末20〜94重量%を含むようにして、前記のオリゴ糖類(a1)の粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉体6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記の芯材の表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造する。
工程II;成形体100重量部中に、前記のA成分の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を用いてオリゴ糖純分が10〜70重量部となるようにして、前記のA成分と、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部とを予め混合し、その混合粉末を直接圧縮成型する。
[8] 次の工程I、III、IVを行い、成形体100重量部中にオリゴ糖純分として10〜60重量部含有させ、かつビフィズス菌末を0.01〜20重量%有効成分として含有させることを特徴とする圧縮成型体の製造方法。
工程I;芯材として粉末中に、オリゴ糖類(a1)の粉末20〜94重量%を含むようにして、前記のオリゴ糖類(a1)の粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉体6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記の芯材の表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造する。
工程III;芯材として粉末中に、ビフィズス菌の粉末20〜94重量%を含むようにして、その粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉末6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記それぞれの芯材表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油脂被覆ビフィズス菌末を製造する。
工程IV;成形体100重量部中に、前記のA成分の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を用いてオリゴ糖純分が10〜70重量部となるようにして、前記のA成分と、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌末0.01〜20重量%とを予め混合し、その混合粉末を直接圧縮成型する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の油性成分被覆オリゴ糖類粉末は、粉末中に、オリゴ糖類(a1)20〜94重量%を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)6〜80重量%を被覆させてなる平均粒径10〜500μmであることを特徴とする。
ここで、芯材の原料に用いる吸湿性のオリゴ糖類としては、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、スタキオースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖などが挙げられる。好ましくは、キシロオリゴ糖である。前記の糖類の形態は、粉末であって、平均粒径およそ10〜500μmのオリゴ糖類粉末である。芯材の平均粒径10μmより小さい場合には、表面積が大きくなり、吸湿しやすくなり、平均粒径が500μmより大きい場合には、ハンドリング性が悪くなるので好ましくない。より好ましくは、芯材の平均粒径が50μm〜200μmのオリゴ糖類粉末である。
粉体中におけるa1の芯材の含量は、20〜94重量%、好ましくは70〜94重量%、さらに好ましくは、80〜90重量%である。芯材の含量が、20重量%より少ない場合には、錠剤に用いた際に低含量になるため好ましくなく、含量が94重量%より大きい場合には、吸湿が完全に抑制できないため好ましくない。通常市販品は、他の不純物を含むこともあり、吸湿性を抑制するため等の取り扱い性を改善するために他の成分で希釈しているものがある。オリゴ糖類の純度としては20〜95%程度で使用できるが、本発明の効果の1つである、成形体中に、オリゴ糖類の含量を多くするためには純度としては好ましくは50〜95%である。
【0014】
また、本発明で用いる油性成分(a2)に用いる原料としては、食用油脂、脂肪酸エステル、ワックス、ろう、高級アルコール、その他の脂質などが挙げられる。本発明で用いる融点40℃以上の油性成分(a2)としては、前記の食用油脂、脂肪酸エステル、ワックス、ろう、高級アルコール、その他の脂質などの中で融点が40℃以上であればよく、前記の成分の分別したもの、水素添加した硬化物等が挙げられる。前記の成分は、適宜一種単独で、または二種以上のものを配合して選ぶことができる。
原料食用油脂としては、豚脂、牛脂、鶏油、鯨油、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、肝油、大豆油、綿実油、サフラワー油、米油、コーン油、ナタネ油、パーム油、シソ油、エゴマ油、カカオ脂、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油、乳脂肪、バターなど、および、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成トリグリセリドなどを配合した油脂が挙げられる。これらの融点の低い食用油脂は、前記の融点40℃以上の油性成分として例示した成分の融点の高いものと配合して融点を40℃以上にして使用してもよい。
【0015】
脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ワックスとしては、カルナバワックス、ライスワックスが挙げられ、ろうとしては、ミツロウ等が挙げられる。
高級アルコールとしては炭素数20ないし38の直鎖、もしくは分岐鎖を持つアルコールである。このようなものとしては、例えば、エイコサノール(炭素数20)、ドコサノール(炭素数22)、運動能力増強などの生理活性があるヘキサコサノール(炭素数26)、オクタコサノール(炭素数28)、トリアコンタノール(=ミリシルアルコール、炭素数30)、テトラトリアコンタノール(炭素数34)などが挙げられる。
【0016】
またさらに、その他の脂質などの例としては、具体的には、例えば、グリコシルセラミド、オクタコサノール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、フィトステロール、リコピン、β−カロチン、ルテインなどが挙げられる。
a2成分の油性成分は、その融点が40℃以下の場合は、常温で融解する可能性があり、良好な被覆物を得ることができない。
好ましくは、融点40℃以上の動植物油脂の硬化物が挙げられ、さらに好ましくは、大豆油、サフラワー油、ナタネ油、パーム油等の硬化油が挙げられる。
【0017】
また、本発明のオリゴ糖類圧縮成形体は、成形体100重量部中に、A成分;前記の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を10〜94重量部用いて、オリゴ糖類純分が10〜60重量部となるように、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.1〜10重量部と、を主成分として含有することを特徴とする。
オリゴ糖類圧縮成形体中の前記油性成分被覆オリゴ糖類粉末の含量は10〜94重量部、好ましくは、20〜70重量部である。
成形体中の油性成分被覆オリゴ糖類粉末の含量は、前記のオリゴ糖類粉末に用いる純度やオリゴ糖類粉末中のオリゴ糖の含量にもよるが、10重量部より少ないと、目的とするオリゴ糖類を所定量摂取する場合に含量が少なくなり多量に摂取しなければならなくなる。油性成分被覆オリゴ糖類粉末の含量が94重量部より多い場合には、打錠障害などが発生しやすくなり、成型体の歩留まりが低くなる。
本発明では、粉末中におけるオリゴ糖類の純度が高く、また含量が多い場合には、それを配合した成形体中のオリゴ糖類の含量が多くなるので好ましい。
【0018】
本発明で用いるB成分の賦型剤としては、乳糖、デキストリン、結晶セルロース、でんぷん、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール等の還元糖;粉糖、果糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖類;アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガム等のガム質;カゼインナトリウム、脱脂粉乳、乳蛋白、乳清蛋白などの蛋白質が挙げられる。それらの中でも好ましくは、乳糖、デキストリン、結晶セルロース、マルチトール等が挙げられる。前記の賦型剤の配合量は、成型体100部中に、5〜90重量部であり、好ましくは10〜80重量部さらに好ましくは、20〜50重量部である。前記の配合量が5重量部より少ない場合は、成型体が能率よく得られにくい。またさらに、90重量部より多い場合は、その他に配合する有効成分が少なくなってしまう点から好ましくない。
【0019】
本発明で用いるC成分の滑沢剤としては、通常滑沢剤として公知のものが使用できるが、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、脂肪酸グリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸カルシウム塩やマグネシウム塩、硬化油、ワックス等が挙げられる。それらの中でも好ましくは、ショ糖脂肪酸エステルや、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。前記の滑沢剤の配合量は、成型体100重量部中に、0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは、0.5〜3重量部である。前記の配合量が0.01重量部より少ない場合は、型離れが悪くなり成型体が能率よく得られにくく、10重量部より多い場合は、成形体中の粉末の結着性が悪くなる。
【0020】
本発明のオリゴ糖類圧縮成形体には、100重量部中には、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌0.01〜20重量部を有効成分として含有させることが整腸作用の点から好ましい。ここで使用する油脂被覆ビフィズス菌とは、腸内の細菌を好ましい状態にする点から、便通をよくするなど生理効果が望まれるので含有させて摂取させる。
【0021】
<油性成分被覆オリゴ糖類粉末の製造方法および油脂被覆ビフィズス菌の製造方法>
次に油性成分被覆オリゴ糖類粉末の製造方法および油脂被覆ビフィズス菌の製造方法について説明する。
油性成分被覆オリゴ糖類粉末や油脂被覆ビフィズス菌粉末は、オリゴ糖類やビフィズス菌の粉末を芯材として、その粉末の表面に、被覆剤として前記の融点40℃以上の油性成分を用いて被覆物を作製することができる。
粉末被覆にあたっては、芯物質と融点40℃以上の油性成分の粉状体とを互いに接触・衝突させる方法が挙げられる。具体的には公知のミキサー、ボールミル、電気乳鉢、効能率粉体混合装置、高速気流の対流により粉体を混合接触させる装置等を使用し、これにより粉体を互いに接触・衝突させるとともに、装置内壁および補助具と接触・衝突させ油性成分を芯物質に付着・被覆させる。使用する油性成分の粉体平均粒径は0.1μm〜1mmが好ましく、芯物質の粉末と同程度またはそれ以下の粒径であることが好ましい。被覆される粉末と油性成分の比率{(粉末/油性成分)の重量比}はそれぞれ20/80〜94/6、好ましくは、50/50〜90/10である。オリゴ糖類やビフィズス菌と油性成分の比率{(粉末/油性成分)の重量比}はそれぞれ20/80よりオリゴ糖類やビフィズス菌が少ない場合には、目的とする成分の含量が少なくなり、摂取するためには多く配合しなければならない。また比率{(粉末/油性成分)の重量比}が95/5よりオリゴ糖類やビフィズス菌が多い場合には、被覆効率が悪くなる。特にビフィズス菌の場合には圧縮成形した際の圧力で死滅したり、空気に多く触れることで死滅したりするので好ましくない。なお、被覆の際に、オリゴ糖類の粉末とビフィズス菌末を混合しておき、同時に油性成分で被覆しても構わないし、オリゴ糖類の粉末とビフィズス菌末をそれぞれ別々に油性成分で被覆してから混合して用いてもよい。
【0022】
<成形体の製造方法>
前記のA成分、B成分、C成分およびD成分を配合したものは、直接圧縮成型して打錠成形体を得ることができる。打錠成形体の製造方法としては、例えば、前記の各成分の粉末をできるだけ均一に混合し、打錠機に直接フィードして打錠する方法が挙げられる。
ここで、前記打錠機としては、特に限定されないが、ロータリー打錠機コレクト12HU(菊水製作所製)等の打錠機が挙げられ、低圧力で、成形することができる。その圧力としては、例えば98MPa(1t/cm2)程度の低圧力で成形が可能である。
【0023】
本発明の打錠成形体の錠剤硬度は、3〜20kgfで、好ましくは5〜15kgfである。3kgfより低い場合は、得られた成形物が製造ライン上もしくは流通上で壊れやすくなり好ましくない。また、20kgfより高い場合は、硬すぎて、テクスチャーが悪いばかりでなく内容物が溶出しにくいことから吸収率が悪くなる可能性もあり、好ましくない。なお、このようにして得られた成形体の大きさは、特に限定されないが、オリゴ糖類の摂取量、その他の配合物の配合量や摂取回数により、適宜選択することが好ましい。例えば、服用の点から、1錠の大きさは通常直径5〜20mmが好ましく、またその重量は200〜2000mgが好ましい。また前記成形体の形状は、丸型、四角型、六角型、円柱型さらには碁石型等様々あるが特に限定されるものではない。
【0024】
<その他成分の説明>
また、本発明の粉末オリゴ糖類含有成形体には、発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、呈味料、香料、着色料、ビタミン類、ミネラル類等を挙げることができる。その配合量は、本発明の粉末オリゴ糖類含有成形体100重量部中、通常0.01〜80重量、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0025】
本発明の油性成分被覆オリゴ糖類粉末は、前記のように打錠成型体として錠剤またはチュアブルな食品、健康補助食品、医薬部外品等として、適用することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の油性成分被覆オリゴ糖類粉末は、吸湿性を抑制でき、取り扱いやすいのでそのまま圧縮成形用の成分として使用できる。
また、本発明の粉末オリゴ糖類含有圧縮成形体は、特定形状のオリゴ糖類粉末を油性成分で被覆しているものを配合成分とするので、打錠障害なしに圧縮成形物中にオリゴ糖類を高含有に配合することでき、かつ直接打錠することができ、容易に成形体を製造することができる。
また、本発明の粉末オリゴ糖類製剤組成物の直接打錠成形体は、錠剤またはチュアブルな食品、健康補助食品、医薬部外品等として、好適に適用することができる。
【0027】
【実施例】
本発明を具体例に基づいて、さらに詳細に説明する。
次に用いた試験方法、評価方法を示す。
1.粒子径の測定方法;乾式粒度分布測定機(島津製作所製、商品名、SLAD2100)を用いて、平均粒径を測定した。
【0028】
2.圧縮成形体の製造条件と評価
2.1打錠条件;
試料粉末を用いて、回転式打錠機8F3型(菊水製作所(株)製)を使用して、直径が10mmφ、14Rの杵、上杵位置3.0mm、打錠圧、98MPa(1.0t/cm2)で、錠剤重量500mg /1錠の条件で打錠した。
2.2打錠性の評価試験方法;
前記の打錠条件で10錠成形し、次の打錠障害の各項目について、目視で観察して各個数を計測し、各項目全てに対して、0個の場合;打錠性○、1個の場合;△、2〜10個の場合;×として示した。
キャッピング;錠剤の凸部が帽子状に剥離する現象をいう。
ラミネーティング;錠剤が層状に割れる現象をいう
バインディング; 錠剤の表面の一部が、杵、臼またはロールに付着する現象をいう。
スティッキング;杵、臼面に粉末が付着し、錠剤の表面が曇りを生じる現象をいう。
2.3錠剤の吸湿性評価方法
錠剤を成形後、常温にて1年間アルミパウチに入れ保管し、とりだし官能試験により、錠剤表面のべとつき具合を測定した。その錠剤10錠中に1錠でもべとついた場合を×、べとつきがなく錠剤表面がさらさらの場合を○として示した。
【0029】
3.錠剤硬度の測定方法
成形して得られた錠剤は、富山産業(株)製の錠剤硬度計TH−203CPを使用して、その硬度を測定し、各錠剤につき10錠の測定平均値を示した。
【0030】
比較例1
オリゴ糖類粉末〔サントリー(株)商品名キシロオリゴ糖、純度95%、平均粒径150μm〕90重量%、油性成分として融点30℃のナタネ硬化油(部分水素添加油)10重量%を用いて、奈良ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)で5分間処理して油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。得られた粉末の流動性は悪く、吸湿性も防止できなかった。
【0031】
実施例1
オリゴ糖類粉末〔サントリー(株)商品名キシロオリゴ糖、純度95%、平均粒径150μm〕94重量%、b2成分の融点40℃以上の油性成分としてナタネ極度硬化油粉末(日本油脂(株)製、融点67℃、粒径10μm)6重量%を用いて、奈良ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)で5分間処理して油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。得られた被覆粉末の流動性は良好で、吸湿性も抑制された。結果を表1に示す。得られた10錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれも観察されず良好であった。
【0032】
実施例2〜7
実施例1と同様にして表1に示す配合組成で油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
比較例3
オリゴ糖粉末(サントリー(株)製、商品名キシロオリゴ95P)そのまま52.6重量%と乳糖(旭化成(株)製、商品名SUPER−TAB)42.4重量%、油脂被覆ビフィズス菌末(日本油脂(株)製、後述)2.0重量%、香料2.0重量%、滑沢剤としてショ糖脂肪酸エステル(第一製薬工業(株)社製、商品名DKエステルF−20W)1.0重量%を配合し、回転式打錠機8F3型(菊水製作所(株)製)を用いて、前記の打錠成形条件により圧縮成型して成形体を得た。なお、混合粉末の流動性は悪く、打錠操作も困難であった。なお打錠圧力は一定の98MPa(1.0t/cm2)であった。
得られた10錠は、いずれもスティッキングが観察され、不良な状態の錠剤であった。結果を表2に示す。
【0035】
実施例8
A成分として表1に示した前記の実施例1の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を56重量%(キシロオリゴ糖純分として50重量%)、B成分の賦形剤として乳糖(旭化成(株)製、商品名SUPER−TAB)21.0重量%、油脂被覆ビフィズス菌末(日本油脂(株)製、後述)20.0重量%、香料2.0重量%、滑沢剤として、ショ糖脂肪酸エステル〔第一製薬工業(株)社製、商品名DKエステルF−20W〕1.0重量部を配合し、前記の方法に準じて成形体を得た。
なお、混合粉末の流動性はよく、打錠操作も容易であった。なおまた、打錠圧力は一定の98MPa(1.0t/cm2)であった。
得られた10錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれも観察されず良好な状態の錠剤であった。結果を表2に示す。
【0036】
実施例9〜29、比較例2〜9
表2、3、4、5および6に示したように、A成分、B成分の賦形剤、およびC成分の滑沢剤、さらにD成分の油脂被覆ビフィズス菌末、その他成分の香料を配合し、前記の方法に準じて成形体を得た。結果を表2、3、4、5および6に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
なお表中で用いた略号は次のとおりである。
賦形剤(乳糖);SUPER−TAB;平均粒径120μmの乳糖(市販品;ラクトースレプリノ、レプリノフーズ社製)
滑沢剤;ショ糖脂肪酸エステル〔第一工業製薬(株)製、商品名「DKエステル F−20W」〕
ステアリン酸Mg;ステアリン酸マグネシウム
*1は錠剤成型物は得られなかった。
*2は錠剤成型物キャッピングが発生し正しい錠剤の硬度は得られなかった。
【0043】
製造例1;油脂被覆ビフィズス菌末の製造
ビフィズス菌粉末〔森永乳業(株)粒径約50μm〕50重量%、b2成分の融点40℃以上の油性成分としてナタネ極度硬化油粉末(日本油脂(株)製、融点67℃、粒径10μm)50重量%を用いて、奈良ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)で5分間処理して油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。得られた被覆粉末の流動性は良好で、吸湿性も抑制された。
【0044】
以上の結果から、本発明の組成である実施例1〜7は、組成の範囲外である比較例1に比べて、流動性、吸湿性防止の点で優れていることが分かる。また、本発明の組成である実施例8〜29は、組成の範囲外である比較例2〜9に比べて、成形された成形物の表面吸湿性防止効果および連続打錠適性の点で優れていることが分かる
【発明の属する技術分野】
本発明は、油性成分被覆オリゴ糖類粉末、圧縮成形体およびその用途に関する。さらに詳細には、健康食品素材や健康補助食品さらには医薬部外品として摂取するのに好適なオリゴ糖類を主成分として含有する油性成分被覆オリゴ糖類粉末、その粉末を含有する成形体、その用途および成形体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸湿性成分を使用する際に、吸湿抑制をしていないと困る場合があった。例えば、食塩等の塩類、キシリトール等の糖アルコール粉末では、湿度が高い場所にさらされると吸湿してべとつきを起こし、場合によっては、潮解するのでこれらの吸湿成分を含んだ粉末や固形物が商品化できない問題がある。これらの問題を改善するために、吸湿性物質を油性成分で表面に被覆処理して吸湿性を抑制することが知られている。例えば、特開昭63−313599号公報(特許文献1)には、糖類粉状体に被覆剤として融点40℃以上の脂質粉状体を接触・衝突とさせ前記の糖類粉状体の表面に前記の脂質粉状体を付着・被覆し、前記の糖類粉状体を芯物質として脂質により被覆された糖類を製造する吸湿性の改善された粉末糖類の製造法が開示されている。
【0003】
また、オリゴ糖類は、少糖類で単糖類と多糖類との中間に位置して一定少数の単糖類分子のグリコシル結合からなり、構成糖類の分子数により二糖類、三糖類、四糖類、五糖類、六糖類として知られており、結合様式により還元性少糖類(マルトース型)、非還元性少糖類(トレハロース型)がある。オリゴ糖類は、整腸作用や免疫力向上作用があることが知られている。
【0004】
また、このオリゴ糖類を含有する錠剤として製造するため、例えば、特開平11−243907号公報(特許文献2)には、室温で固体の脂質で被覆したキシリトール粉末を直接圧縮成型して錠剤を製造する方法が開示されている。
前記の特開昭63−313599号公報(特許文献1)の技術には、(糖類粉状体重量/脂質粉状体重量)が0.1〜1000であることが記載されている。この比率が0.1〜50の場合、脂質含量が過剰となり、圧縮成形体に用いると(特に高含有に用いると)、スティッキングなどの打錠障害が発生しやすくなり好ましくない。また95〜1000の比率においては、脂質含量が不足しており、十分に吸湿を抑制することができず、スティッキングなどの打錠障害が発生しやすい。また、仮に成形体ができあがっても、できあがった成形体の表面はすぐにべとべとになり、商品価値がなくなってしまうという問題がある。
【0005】
また、特開平11−243907号公報(特許文献2)には、糖アルコールであるキシリトールに限定してあり、オリゴ糖類の成形体や吸湿性の制御についての記載はない。また、室温で固体の脂質含量が0.1〜6.0重量%と記載されているが脂質含量が不足しており、十分に吸湿を抑制することができない。常温に放置しておくと、経時的に吸湿を起こし、流動性が悪くなる。また、成形体を作る際、打錠障害が発生しやすい。仮に成形体が形状を成したとしても、表面のべとつきが大きく、商品価値がなくなってしまうという問題点がある。
したがって、未だ圧縮成型するのに十分満足できるような吸湿体の粉末が得られていないのが現状である。
【0006】
特開2002−241266号公報(特許文献3)には(a)プロポリス、糖類、果汁粉末、植物抽出物及び調味料からなる群から選ばれる少なくとも1種の原料粉体と(b)吸湿しても固結し難い原料粉体とを予備混合し、次いで、これを(c)打錠用の他の原料粉体と混合して原料粉体混合物を調製し、これを打錠することを特徴とするタブレットの製造方法が開示されている。しかしながら、この方法は、吸湿性の成分を高含有にすると、打錠障害が発生しやすい。また、仮に錠剤が形成されたとしても、形状を成した成形体は、経時的に表面のべとつきが大きくなり、そのため商品価値がなくなってしまうという問題点がある。
【0007】
前記の打錠の障害としては、例えば、キャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキング、クラムシェル等が挙げられる。
以上のような状況で、
(1)吸湿防止性に優れる、
(2)オリゴ糖類を高含有できる、
(3)直接圧縮成型できる、
等の物性に優れた、成形体に使用できるオリゴ糖類の粉末が望まれていたが、未だ十分に商品化でき、長期に吸湿性を抑制できる成形体が得られていないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開昭63−313599号公報(第1−4頁)
【特許文献2】特開平11−243907号公報(第2−5頁)
【特許文献3】特開2002−241266号公報(第1−4頁)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前処理の粉砕工程を必要とせず、直接オリゴ糖類の粉末材料を混合して、前記の打錠障害がほとんどなく、圧縮成型でき、その成形体では長期の吸湿性を抑制でき、オリゴ糖類を高含有させることができるオリゴ糖類の粉末を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、前記の粉末オリゴ糖類の粉末を含有する成型体およびその用途を提供することにある。
さらに、本発明の別の目的は、前記の粉末オリゴ糖類の粉末を含有する成型体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の問題点に鑑み、鋭意検討した結果、粉末中に、オリゴ糖類(a1)所定量を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)を所定量被覆させてなる油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造し、その油性成分被覆オリゴ糖類粉末の特定量と、賦型剤と、滑沢剤を特定量用いて圧縮成型すると、前記の問題点が解決できることの知見を得て、本発明を完成した。すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔6〕である。
[1]粉末中に、オリゴ糖類(a1)20〜94重量%を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)6〜80重量%を被覆させてなる平均粒径10〜500μmの油性成分被覆オリゴ糖類粉末。
[2]オリゴ糖類(a1)が、キシロオリゴ糖であり、油性成分が動植物油脂の硬化物である前記[1]記載の油性成分被覆オリゴ糖類粉末。
【0011】
[3]成形体100重量部中に、A成分;前記[1] または2記載の油性成分被覆オリゴ糖類粉末10〜94重量部を用い、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部と、を主成分として含有し、かつオリゴ糖類純度として成型体100重量部中に10〜70重量部を含有することを特徴とするオリゴ糖類圧縮成形体。
〔4〕成形体100重量部中に、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌末0.01〜20重量部を有効成分として含有する前記〔3〕のオリゴ糖類圧縮成形体。
〔5〕前記[3]または[4]に記載の成形体が、錠剤硬度3〜20kgfである成形体。
〔6〕前記[3]〜[5]に記載の成形体が、食品用、健康食品用、医薬品用、医薬部外用である成形体。
【0012】
〔7〕次の工程I、IIを行い、成形体100重量部中にオリゴ糖純分として10〜60重量部含有させることを特徴とする圧縮成型体の製造方法。
工程I;芯材として粉末中に、オリゴ糖類(a1)の粉末20〜94重量%を含むようにして、前記のオリゴ糖類(a1)の粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉体6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記の芯材の表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造する。
工程II;成形体100重量部中に、前記のA成分の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を用いてオリゴ糖純分が10〜70重量部となるようにして、前記のA成分と、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部とを予め混合し、その混合粉末を直接圧縮成型する。
[8] 次の工程I、III、IVを行い、成形体100重量部中にオリゴ糖純分として10〜60重量部含有させ、かつビフィズス菌末を0.01〜20重量%有効成分として含有させることを特徴とする圧縮成型体の製造方法。
工程I;芯材として粉末中に、オリゴ糖類(a1)の粉末20〜94重量%を含むようにして、前記のオリゴ糖類(a1)の粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉体6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記の芯材の表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造する。
工程III;芯材として粉末中に、ビフィズス菌の粉末20〜94重量%を含むようにして、その粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉末6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記それぞれの芯材表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油脂被覆ビフィズス菌末を製造する。
工程IV;成形体100重量部中に、前記のA成分の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を用いてオリゴ糖純分が10〜70重量部となるようにして、前記のA成分と、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌末0.01〜20重量%とを予め混合し、その混合粉末を直接圧縮成型する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の油性成分被覆オリゴ糖類粉末は、粉末中に、オリゴ糖類(a1)20〜94重量%を芯材として含み、前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)6〜80重量%を被覆させてなる平均粒径10〜500μmであることを特徴とする。
ここで、芯材の原料に用いる吸湿性のオリゴ糖類としては、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、スタキオースオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、アガロオリゴ糖などが挙げられる。好ましくは、キシロオリゴ糖である。前記の糖類の形態は、粉末であって、平均粒径およそ10〜500μmのオリゴ糖類粉末である。芯材の平均粒径10μmより小さい場合には、表面積が大きくなり、吸湿しやすくなり、平均粒径が500μmより大きい場合には、ハンドリング性が悪くなるので好ましくない。より好ましくは、芯材の平均粒径が50μm〜200μmのオリゴ糖類粉末である。
粉体中におけるa1の芯材の含量は、20〜94重量%、好ましくは70〜94重量%、さらに好ましくは、80〜90重量%である。芯材の含量が、20重量%より少ない場合には、錠剤に用いた際に低含量になるため好ましくなく、含量が94重量%より大きい場合には、吸湿が完全に抑制できないため好ましくない。通常市販品は、他の不純物を含むこともあり、吸湿性を抑制するため等の取り扱い性を改善するために他の成分で希釈しているものがある。オリゴ糖類の純度としては20〜95%程度で使用できるが、本発明の効果の1つである、成形体中に、オリゴ糖類の含量を多くするためには純度としては好ましくは50〜95%である。
【0014】
また、本発明で用いる油性成分(a2)に用いる原料としては、食用油脂、脂肪酸エステル、ワックス、ろう、高級アルコール、その他の脂質などが挙げられる。本発明で用いる融点40℃以上の油性成分(a2)としては、前記の食用油脂、脂肪酸エステル、ワックス、ろう、高級アルコール、その他の脂質などの中で融点が40℃以上であればよく、前記の成分の分別したもの、水素添加した硬化物等が挙げられる。前記の成分は、適宜一種単独で、または二種以上のものを配合して選ぶことができる。
原料食用油脂としては、豚脂、牛脂、鶏油、鯨油、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、肝油、大豆油、綿実油、サフラワー油、米油、コーン油、ナタネ油、パーム油、シソ油、エゴマ油、カカオ脂、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油、乳脂肪、バターなど、および、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成トリグリセリドなどを配合した油脂が挙げられる。これらの融点の低い食用油脂は、前記の融点40℃以上の油性成分として例示した成分の融点の高いものと配合して融点を40℃以上にして使用してもよい。
【0015】
脂肪酸エステルとしては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
ワックスとしては、カルナバワックス、ライスワックスが挙げられ、ろうとしては、ミツロウ等が挙げられる。
高級アルコールとしては炭素数20ないし38の直鎖、もしくは分岐鎖を持つアルコールである。このようなものとしては、例えば、エイコサノール(炭素数20)、ドコサノール(炭素数22)、運動能力増強などの生理活性があるヘキサコサノール(炭素数26)、オクタコサノール(炭素数28)、トリアコンタノール(=ミリシルアルコール、炭素数30)、テトラトリアコンタノール(炭素数34)などが挙げられる。
【0016】
またさらに、その他の脂質などの例としては、具体的には、例えば、グリコシルセラミド、オクタコサノール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルイノシトール、フィトステロール、リコピン、β−カロチン、ルテインなどが挙げられる。
a2成分の油性成分は、その融点が40℃以下の場合は、常温で融解する可能性があり、良好な被覆物を得ることができない。
好ましくは、融点40℃以上の動植物油脂の硬化物が挙げられ、さらに好ましくは、大豆油、サフラワー油、ナタネ油、パーム油等の硬化油が挙げられる。
【0017】
また、本発明のオリゴ糖類圧縮成形体は、成形体100重量部中に、A成分;前記の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を10〜94重量部用いて、オリゴ糖類純分が10〜60重量部となるように、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.1〜10重量部と、を主成分として含有することを特徴とする。
オリゴ糖類圧縮成形体中の前記油性成分被覆オリゴ糖類粉末の含量は10〜94重量部、好ましくは、20〜70重量部である。
成形体中の油性成分被覆オリゴ糖類粉末の含量は、前記のオリゴ糖類粉末に用いる純度やオリゴ糖類粉末中のオリゴ糖の含量にもよるが、10重量部より少ないと、目的とするオリゴ糖類を所定量摂取する場合に含量が少なくなり多量に摂取しなければならなくなる。油性成分被覆オリゴ糖類粉末の含量が94重量部より多い場合には、打錠障害などが発生しやすくなり、成型体の歩留まりが低くなる。
本発明では、粉末中におけるオリゴ糖類の純度が高く、また含量が多い場合には、それを配合した成形体中のオリゴ糖類の含量が多くなるので好ましい。
【0018】
本発明で用いるB成分の賦型剤としては、乳糖、デキストリン、結晶セルロース、でんぷん、マルチトール、ラクチトール、キシリトール、エリスリトール等の還元糖;粉糖、果糖、ショ糖、ブドウ糖などの糖類;アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガム等のガム質;カゼインナトリウム、脱脂粉乳、乳蛋白、乳清蛋白などの蛋白質が挙げられる。それらの中でも好ましくは、乳糖、デキストリン、結晶セルロース、マルチトール等が挙げられる。前記の賦型剤の配合量は、成型体100部中に、5〜90重量部であり、好ましくは10〜80重量部さらに好ましくは、20〜50重量部である。前記の配合量が5重量部より少ない場合は、成型体が能率よく得られにくい。またさらに、90重量部より多い場合は、その他に配合する有効成分が少なくなってしまう点から好ましくない。
【0019】
本発明で用いるC成分の滑沢剤としては、通常滑沢剤として公知のものが使用できるが、例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン、脂肪酸グリセリド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸カルシウム塩やマグネシウム塩、硬化油、ワックス等が挙げられる。それらの中でも好ましくは、ショ糖脂肪酸エステルや、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。前記の滑沢剤の配合量は、成型体100重量部中に、0.01〜10重量部であり、好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは、0.5〜3重量部である。前記の配合量が0.01重量部より少ない場合は、型離れが悪くなり成型体が能率よく得られにくく、10重量部より多い場合は、成形体中の粉末の結着性が悪くなる。
【0020】
本発明のオリゴ糖類圧縮成形体には、100重量部中には、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌0.01〜20重量部を有効成分として含有させることが整腸作用の点から好ましい。ここで使用する油脂被覆ビフィズス菌とは、腸内の細菌を好ましい状態にする点から、便通をよくするなど生理効果が望まれるので含有させて摂取させる。
【0021】
<油性成分被覆オリゴ糖類粉末の製造方法および油脂被覆ビフィズス菌の製造方法>
次に油性成分被覆オリゴ糖類粉末の製造方法および油脂被覆ビフィズス菌の製造方法について説明する。
油性成分被覆オリゴ糖類粉末や油脂被覆ビフィズス菌粉末は、オリゴ糖類やビフィズス菌の粉末を芯材として、その粉末の表面に、被覆剤として前記の融点40℃以上の油性成分を用いて被覆物を作製することができる。
粉末被覆にあたっては、芯物質と融点40℃以上の油性成分の粉状体とを互いに接触・衝突させる方法が挙げられる。具体的には公知のミキサー、ボールミル、電気乳鉢、効能率粉体混合装置、高速気流の対流により粉体を混合接触させる装置等を使用し、これにより粉体を互いに接触・衝突させるとともに、装置内壁および補助具と接触・衝突させ油性成分を芯物質に付着・被覆させる。使用する油性成分の粉体平均粒径は0.1μm〜1mmが好ましく、芯物質の粉末と同程度またはそれ以下の粒径であることが好ましい。被覆される粉末と油性成分の比率{(粉末/油性成分)の重量比}はそれぞれ20/80〜94/6、好ましくは、50/50〜90/10である。オリゴ糖類やビフィズス菌と油性成分の比率{(粉末/油性成分)の重量比}はそれぞれ20/80よりオリゴ糖類やビフィズス菌が少ない場合には、目的とする成分の含量が少なくなり、摂取するためには多く配合しなければならない。また比率{(粉末/油性成分)の重量比}が95/5よりオリゴ糖類やビフィズス菌が多い場合には、被覆効率が悪くなる。特にビフィズス菌の場合には圧縮成形した際の圧力で死滅したり、空気に多く触れることで死滅したりするので好ましくない。なお、被覆の際に、オリゴ糖類の粉末とビフィズス菌末を混合しておき、同時に油性成分で被覆しても構わないし、オリゴ糖類の粉末とビフィズス菌末をそれぞれ別々に油性成分で被覆してから混合して用いてもよい。
【0022】
<成形体の製造方法>
前記のA成分、B成分、C成分およびD成分を配合したものは、直接圧縮成型して打錠成形体を得ることができる。打錠成形体の製造方法としては、例えば、前記の各成分の粉末をできるだけ均一に混合し、打錠機に直接フィードして打錠する方法が挙げられる。
ここで、前記打錠機としては、特に限定されないが、ロータリー打錠機コレクト12HU(菊水製作所製)等の打錠機が挙げられ、低圧力で、成形することができる。その圧力としては、例えば98MPa(1t/cm2)程度の低圧力で成形が可能である。
【0023】
本発明の打錠成形体の錠剤硬度は、3〜20kgfで、好ましくは5〜15kgfである。3kgfより低い場合は、得られた成形物が製造ライン上もしくは流通上で壊れやすくなり好ましくない。また、20kgfより高い場合は、硬すぎて、テクスチャーが悪いばかりでなく内容物が溶出しにくいことから吸収率が悪くなる可能性もあり、好ましくない。なお、このようにして得られた成形体の大きさは、特に限定されないが、オリゴ糖類の摂取量、その他の配合物の配合量や摂取回数により、適宜選択することが好ましい。例えば、服用の点から、1錠の大きさは通常直径5〜20mmが好ましく、またその重量は200〜2000mgが好ましい。また前記成形体の形状は、丸型、四角型、六角型、円柱型さらには碁石型等様々あるが特に限定されるものではない。
【0024】
<その他成分の説明>
また、本発明の粉末オリゴ糖類含有成形体には、発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を配合することができる。その他の成分としては、呈味料、香料、着色料、ビタミン類、ミネラル類等を挙げることができる。その配合量は、本発明の粉末オリゴ糖類含有成形体100重量部中、通常0.01〜80重量、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0025】
本発明の油性成分被覆オリゴ糖類粉末は、前記のように打錠成型体として錠剤またはチュアブルな食品、健康補助食品、医薬部外品等として、適用することができる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の油性成分被覆オリゴ糖類粉末は、吸湿性を抑制でき、取り扱いやすいのでそのまま圧縮成形用の成分として使用できる。
また、本発明の粉末オリゴ糖類含有圧縮成形体は、特定形状のオリゴ糖類粉末を油性成分で被覆しているものを配合成分とするので、打錠障害なしに圧縮成形物中にオリゴ糖類を高含有に配合することでき、かつ直接打錠することができ、容易に成形体を製造することができる。
また、本発明の粉末オリゴ糖類製剤組成物の直接打錠成形体は、錠剤またはチュアブルな食品、健康補助食品、医薬部外品等として、好適に適用することができる。
【0027】
【実施例】
本発明を具体例に基づいて、さらに詳細に説明する。
次に用いた試験方法、評価方法を示す。
1.粒子径の測定方法;乾式粒度分布測定機(島津製作所製、商品名、SLAD2100)を用いて、平均粒径を測定した。
【0028】
2.圧縮成形体の製造条件と評価
2.1打錠条件;
試料粉末を用いて、回転式打錠機8F3型(菊水製作所(株)製)を使用して、直径が10mmφ、14Rの杵、上杵位置3.0mm、打錠圧、98MPa(1.0t/cm2)で、錠剤重量500mg /1錠の条件で打錠した。
2.2打錠性の評価試験方法;
前記の打錠条件で10錠成形し、次の打錠障害の各項目について、目視で観察して各個数を計測し、各項目全てに対して、0個の場合;打錠性○、1個の場合;△、2〜10個の場合;×として示した。
キャッピング;錠剤の凸部が帽子状に剥離する現象をいう。
ラミネーティング;錠剤が層状に割れる現象をいう
バインディング; 錠剤の表面の一部が、杵、臼またはロールに付着する現象をいう。
スティッキング;杵、臼面に粉末が付着し、錠剤の表面が曇りを生じる現象をいう。
2.3錠剤の吸湿性評価方法
錠剤を成形後、常温にて1年間アルミパウチに入れ保管し、とりだし官能試験により、錠剤表面のべとつき具合を測定した。その錠剤10錠中に1錠でもべとついた場合を×、べとつきがなく錠剤表面がさらさらの場合を○として示した。
【0029】
3.錠剤硬度の測定方法
成形して得られた錠剤は、富山産業(株)製の錠剤硬度計TH−203CPを使用して、その硬度を測定し、各錠剤につき10錠の測定平均値を示した。
【0030】
比較例1
オリゴ糖類粉末〔サントリー(株)商品名キシロオリゴ糖、純度95%、平均粒径150μm〕90重量%、油性成分として融点30℃のナタネ硬化油(部分水素添加油)10重量%を用いて、奈良ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)で5分間処理して油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。得られた粉末の流動性は悪く、吸湿性も防止できなかった。
【0031】
実施例1
オリゴ糖類粉末〔サントリー(株)商品名キシロオリゴ糖、純度95%、平均粒径150μm〕94重量%、b2成分の融点40℃以上の油性成分としてナタネ極度硬化油粉末(日本油脂(株)製、融点67℃、粒径10μm)6重量%を用いて、奈良ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)で5分間処理して油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。得られた被覆粉末の流動性は良好で、吸湿性も抑制された。結果を表1に示す。得られた10錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれも観察されず良好であった。
【0032】
実施例2〜7
実施例1と同様にして表1に示す配合組成で油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
比較例3
オリゴ糖粉末(サントリー(株)製、商品名キシロオリゴ95P)そのまま52.6重量%と乳糖(旭化成(株)製、商品名SUPER−TAB)42.4重量%、油脂被覆ビフィズス菌末(日本油脂(株)製、後述)2.0重量%、香料2.0重量%、滑沢剤としてショ糖脂肪酸エステル(第一製薬工業(株)社製、商品名DKエステルF−20W)1.0重量%を配合し、回転式打錠機8F3型(菊水製作所(株)製)を用いて、前記の打錠成形条件により圧縮成型して成形体を得た。なお、混合粉末の流動性は悪く、打錠操作も困難であった。なお打錠圧力は一定の98MPa(1.0t/cm2)であった。
得られた10錠は、いずれもスティッキングが観察され、不良な状態の錠剤であった。結果を表2に示す。
【0035】
実施例8
A成分として表1に示した前記の実施例1の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を56重量%(キシロオリゴ糖純分として50重量%)、B成分の賦形剤として乳糖(旭化成(株)製、商品名SUPER−TAB)21.0重量%、油脂被覆ビフィズス菌末(日本油脂(株)製、後述)20.0重量%、香料2.0重量%、滑沢剤として、ショ糖脂肪酸エステル〔第一製薬工業(株)社製、商品名DKエステルF−20W〕1.0重量部を配合し、前記の方法に準じて成形体を得た。
なお、混合粉末の流動性はよく、打錠操作も容易であった。なおまた、打錠圧力は一定の98MPa(1.0t/cm2)であった。
得られた10錠のキャッピング、ラミネーティング、バインディング、スティッキングはいずれも観察されず良好な状態の錠剤であった。結果を表2に示す。
【0036】
実施例9〜29、比較例2〜9
表2、3、4、5および6に示したように、A成分、B成分の賦形剤、およびC成分の滑沢剤、さらにD成分の油脂被覆ビフィズス菌末、その他成分の香料を配合し、前記の方法に準じて成形体を得た。結果を表2、3、4、5および6に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
【表5】
【0041】
【表6】
【0042】
なお表中で用いた略号は次のとおりである。
賦形剤(乳糖);SUPER−TAB;平均粒径120μmの乳糖(市販品;ラクトースレプリノ、レプリノフーズ社製)
滑沢剤;ショ糖脂肪酸エステル〔第一工業製薬(株)製、商品名「DKエステル F−20W」〕
ステアリン酸Mg;ステアリン酸マグネシウム
*1は錠剤成型物は得られなかった。
*2は錠剤成型物キャッピングが発生し正しい錠剤の硬度は得られなかった。
【0043】
製造例1;油脂被覆ビフィズス菌末の製造
ビフィズス菌粉末〔森永乳業(株)粒径約50μm〕50重量%、b2成分の融点40℃以上の油性成分としてナタネ極度硬化油粉末(日本油脂(株)製、融点67℃、粒径10μm)50重量%を用いて、奈良ハイブリダイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)で5分間処理して油性成分被覆オリゴ糖類粉末を得た。得られた被覆粉末の流動性は良好で、吸湿性も抑制された。
【0044】
以上の結果から、本発明の組成である実施例1〜7は、組成の範囲外である比較例1に比べて、流動性、吸湿性防止の点で優れていることが分かる。また、本発明の組成である実施例8〜29は、組成の範囲外である比較例2〜9に比べて、成形された成形物の表面吸湿性防止効果および連続打錠適性の点で優れていることが分かる
Claims (8)
- 粉末中に、オリゴ糖類(a1)20〜94重量%を芯材として含み、
前記の芯材の表面に融点40℃以上である油性成分(a2)6〜80重量%を被覆させてなる平均粒径10〜500μmの油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)。 - オリゴ糖類(a1)が、キシロオリゴ糖であり、油性成分が動植物油脂の硬化物である請求項1記載の油性成分被覆オリゴ糖類粉末。
- 成形体100重量部中に、A成分;請求項1または2記載の油性成分被覆オリゴ糖類粉末10〜94重量部を用い、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部と、を主成分として含有し、かつオリゴ糖類純分として成型体100重量部中に10〜70重量部を含有することを特徴とするオリゴ糖類圧縮成形体。
- 成形体100重量部中に、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌末0.01〜20重量部を有効成分として含有する請求項3記載のオリゴ糖類圧縮成形体。
- 請求項3または4に記載の成形体が、錠剤硬度3〜20kgfである成形体。
- 請求項3〜5に記載の成形体が、食品用、健康食品用、医薬用、医薬部外品用である成形体。
- 次の工程I、IIを行い、成形体100重量部中にオリゴ糖純分として10〜60重量部含有させることを特徴とする圧縮成型体の製造方法。
工程I;芯材として粉末中に、オリゴ糖類(a1)の粉末20〜94重量%を含むようにして、前記のオリゴ糖類(a1)の粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉体6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記の芯材の表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造する。
工程II;成形体100重量部中に、前記のA成分の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を用いてオリゴ糖純分が10〜70重量部となるようにして、前記のA成分と、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部とを予め混合し、その混合粉末を直接圧縮成型する。 - 次の工程I、III、IVを行い、成形体100重量部中にオリゴ糖純分として10〜60重量部含有させ、かつビフィズス菌末を0.01〜20重量%有効成分として含有させることを特徴とする圧縮成型体の製造方法。
工程I;芯材として粉末中に、オリゴ糖類(a1)の粉末20〜94重量%を含むようにして、前記のオリゴ糖類(a1)の粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉体6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記の芯材の表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油性成分被覆オリゴ糖類粉末(A成分)を製造する。
工程III;芯材として粉末中に、ビフィズス菌の粉末20〜94重量%を含むようにして、その粉末と融点40℃以上である油性成分(a2)の粉末6〜80重量%とを互いに接触衝突させて前記それぞれの芯材表面に油性成分を被覆させてなる平均粒径10〜500μm油脂被覆ビフィズス菌末を製造する。
工程IV;成形体100重量部中に、前記のA成分の油性成分被覆オリゴ糖類粉末を用いてオリゴ糖純分が10〜70重量部となるようにして、前記のA成分と、B成分;賦型剤5〜90重量部とおよび、C成分;滑沢剤0.01〜10重量部、さらにD成分;油脂被覆ビフィズス菌末0.01〜20重量%とを予め混合し、その混合粉末を直接圧縮成型する。
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