JP2004174849A - インクジェットヘッドの記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】階調に応じてノズルから1又は複数のインク滴を順次吐出して記録媒体に記録するマルチドロップ方式において、1階調目を第1ドロップD1と大2ドロップD2の2ドロップで形成する。そして、1画素を(n+1)ドロップで形成する。例えば、1画素を、0を含む8階調表現する場合において、2階調目は3ドロップで形成し、7階調目は8ドロップで形成する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、階調に応じてノズルから1又は複数のインク滴を順次吐出して記録媒体に記録するマルチドロップ方式のインクジェットヘッドの記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクを吐出して記録媒体へ直接着弾させる記録方法であるが、この記録方法は、インク滴の形成方法と吐出発生方法により、コンティニアス方式とオンディマンド方式に一般的に分類される。そして、オンディマンド方式は、吐出発生手段によってバブルジェット方式とピエゾ方式に大きく分類される。
【0003】
インクを吐出するためのエネルギーを発生するためのエネルギー発生手段としては、発熱抵抗体を有する電気熱変換素子によって液体を加熱させるもの、ピエゾ素子などの電気機械変換体を用いたものなどがある。ここで、インクジェット記録装置で階調を出す方式には、画像信号の1画素を2値記録の1画素に対応させ、これを決められた閾値によって2値化し階調を表現するディザ法や複数の液滴を記録媒体上に同一箇所に着弾させて1つの画素を形成し着弾液滴の個数の多少により階調を得るマルチドロップ方式がある。ディザ法は、画像解像度の低下を伴う。これに対して、マルチドロップ方式は、小さな液滴のインクジェットヘッドを選ぶことで高階調の印字が行える点で優れている。
【0004】
しかしながら、マルチドロップ方式において、インクを吐出させる駆動方法によっては、第1ドロップのみ初めから吐出速度が遅い液滴である場合や、液滴が小さいために第1ドロップが空気抵抗の影響を受けさらに吐出速度が低下し、第1ドロップで形成される1階調目は記録媒体へ着弾する時点で液滴が不安定となり着弾位置からずれて印字品質の低下を招く可能性がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
例えば、マルチドロップ方式において1画素(ドット)を7ドロップで形成する場合の吐出駆動電圧波形は図5に示すような電圧波形となり、階調数は、1ドロップ〜7ドロップと0(白)との8階調となる。例えば、図6に示すように、インク圧力室1、オリフィスプレート2、ノズル3及び電気機械変換体であるピエゾ素子からなるインクジェットヘッドにおいて、ノズル3から1画素のインクをマルチドロップ方式で記録媒体4上に吐出させる駆動方法として、図7に示す駆動波形を印加する方法がある。なお、図7においてt1、t2、t3は1階調目の駆動波形を示し、t4、t5、t6は2階調目の駆動波形を示している。
【0006】
すなわち、第1ドロップは、先ず、t1において、負電圧を印加することでピエゾが変形してインク圧力室2の体積が大きくなりインクを充填する。次に、t2及びt3において、一気にインク圧力室2の体積が小さくなるようにピエゾを変形させ図6の(a)に示すように第1ドロップのインク滴5を吐出させる。同様にt4において負電圧を印加することでピエゾが変形してインク圧力室2の体積が大きくなり、t5及びt6において一気にインク圧力室2の体積が小さくなるようにピエゾを変形させ図6の(b)に示すように第2ドロップのインク滴6を吐出させる。
【0007】
7ドロップ吐出を行う場合は、これを6回繰り返すこととなる。しかしながら、第1ドロップと第2ドロップで吐出速度と吐出体積が著しく異なっていることがわかった。図8に一例ではあるが、吐出速度とドロップ数の関係を示した。第1ドロップと第2ドロップ〜第7ドロップとで吐出速度に差がある。この例では、第1ドロップは吐出速度が約5m/sec程度で第2ドロップ以降に比べて吐出速度が遅くなっていることが分かる。また、吐出体積においては、通常が1ドロップ当たり6plとした場合、第1ドロップについては約4plと小さくなる。
【0008】
この原因は、第1ドロップと第2ドロップの駆動波形に起因している。先ず、第1ドロップのt1の電圧は、0Vから−V1に変化するのに対して、第2ドロップのt4の電圧は、+V1から−V1に一気に大きく変化するため、インク圧力室2が大きく広がる。このようにインク充填エネルギーが大きくなることで、吐出エネルギーが大きくなる。
【0009】
従って、第1ドロップのみが吐出速度が小さく、第2ドロップ〜第7ドロップまでは吐出速度が略一定になる。このように第1ドロップの吐出速度及び吐出体積が小さくなってしまっているので、第1ドロップのみを吐出する、すなわち1階調を形成するために記録媒体に着弾した場合、位置ズレが生じ、印字不良を起す場合が発生する。それに加え、吐出速度が遅いとさらに飛翔中の空気抵抗により、吐出したインク滴の速度が遅くなり、記録媒体4への着弾が不安定となり印字品質が低下することになる。
【0010】
そこで本発明は、マルチドロップ方式によって階調記録を行う場合に、最初に記録媒体に着弾するドロップについて吐出速度及び吐出体積が減衰することなく記録媒体に安定的に着弾でき、これにより、1階調目であっても良好な印字品質を保持できるインクジェットヘッドの記録方法を提供する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、階調に応じてノズルから1又は複数のインク滴を順次吐出して記録媒体に記録するマルチドロップ方式のインクジェットヘッドにおいて、1階調目を2ドロップで形成し、かつ、1画素を(n+1)ドロップ(但し、nは1以上の自然数)で形成することにある。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、インクジェットヘッド記録装置においてマルチドロップ方式で1画素を形成するときの駆動波形を示す。この駆動波形は、1画素を8階調で表現する場合のもので、8階調は、1〜7階調と0(白)を合わせた8階調で、1階調目は第1ドロップと第2ドロップを合成して形成し、2階調目はさらに第3ドロップを合成して形成し、3階調目はさらに第4ドロップを合成して形成し、4階調目はさらに第5ドロップを合成して形成し、5階調目はさらに第6ドロップを合成して形成し、6階調目はさらに第7ドロップを合成して形成し、7階調目はさらに第8ドロップを合成して形成するようになっている。
【0013】
すなわち、1階調目は第1ドロップと第2ドロップの2液滴で形成する。このように1階調目を2液滴にするのは、第1ドロップと第2ドロップの駆動波形に起因しているものである。第1ドロップの吐出速度及び吐出体積が小さくなってしまっているので、第2ドロップを含めることで吐出速度、吐出体積が所定の値となる。
【0014】
実際に、第1ドロップと第2ドロップを観測すると、図2に示すように、インク圧力室1からオリィフィスプレート2のノズル3を介して吐出される第1ドロップD1と第2ドロップD2は、吐出後、記録媒体4に着弾する前に第2ドロップD2が第1ドロップD1に追いついて合体した状態で記録媒体4に着弾する。
【0015】
この状況を具体的に記述する。図3に1階調目の吐出駆動電圧波形を示す。1階調目を2つのドロップで形成すると、第1ドロップのt1の電圧は、0Vから−V1と変化するためインク充填エネルギーが小さく、これにより第1ドロップを吐出させた後、第2ドロップは、+V1から−V1で一気にインク圧力室2が広がるため、インク充填エネルギーが大きくなることで、吐出エネルギーが大きくなる。従って、第2ドロップが第1ドロップに追いつき、吐出速度及び体積が所定の値に近い値を保持でき、記録媒体4に着弾できるのである。
【0016】
また、8階調を表現するのに通常7ドロップで形成されるところを8ドロップで形成するため、所定の総インク量より多くなってしまう。これでは、画像品質を逆に低下させてしまう可能性がある。これを防止するために、図4の(a)に示すような8ドロップの場合と、図4の(b)に示すような7ドロップの場合とで記録媒体4に着弾する総インク量が同量となるようにすることが必要である。
【0017】
一つの手法として、吐出電圧を下げて総インク量が同じなるように調整した。一例として、具体的には、通常、1画素(1ドット)を7ドロップで形成する場合、1ドロップ当り約6.2plとすると、7ドロップでは総インク量が、約4pl+6×約6.2pl=約41.2plとなる。なお、約4plとあるのは、第2ドロップ以降に比べて吐出量が少ない第1ドロップの吐出量である。
【0018】
これに対し、8ドロップでは総インク量が、約4pl+7×約6.2pl=約47.2plとなる。
また、電圧と吐出量との関係は、1V当り約3plの減少となる。従って、8ドロップの場合に吐出電圧を約1.5V電圧を下げることにより、総インク量は、47.2pl−4.5pl=42.7plとなる。
【0019】
図4に示すように、ノズル3から吐出したインクにおいては電圧を下げることで液滴吐出速度及び吐出体積が減少する。しかしながら、7ドロップと8ドロップの総インク量はほぼ等しく保つことができる。
【0020】
従って、1画素をマルチドロップ方式で形成して階調表現を行う場合、1階調目を2ドロップで形成し、かつ、1画素をn+1ドロップで形成することで、吐出速度及び吐出体積を一定にすることが可能となる。結果として、1階調目の吐出速度、吐出体積が減衰することなく、記録媒体4へ安定的に着弾し、1階調目であっても印字品質を損なわない。また、1画素を形成するnドロップと(n+1)ドロップの総インク量が一定となるように、液滴吐出駆動電圧を下げることで、良好な画像品質を保持できる。
【0021】
さらに、電圧を下げることにより印字抜けを防止できる。印字抜けの原因としてはメニスカスの乱れによるノズル先端のオリフィスからの気泡巻き込みが考えられる。電圧を下げることにより、吐出時のメニスカスの動作範囲が小さくなるため、気泡の巻き込みが発生にくくなり、結果として印字抜けを防止できる。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、マルチドロップ方式によって階調記録を行う場合に、最初に記録媒体に着弾するドロップについて吐出速度及び吐出体積が減衰することなく記録媒体に安定的に着弾でき、これにより、1階調目であっても良好な印字品質を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるマルチドロップ方式で1画素を形成するときの駆動波形を示す図。
【図2】同実施の形態における第1ドロップと第2ドロップの吐出状態を示す図。
【図3】同実施の形態における1階調目の吐出駆動電圧波形を示す図。
【図4】マルチドロップ方式における8ドロップの場合と7ドロップの場合の着弾総インク量を説明するための図。
【図5】従来の7ドロップのマルチドロップ方式で1画素を形成するときの駆動波形を示す図。
【図6】従来における第1ドロップと第2ドロップの吐出状態を示す図。
【図7】従来における1階調目と2階調目の吐出駆動電圧波形を示す図。
【図8】マルチドロップ方式における吐出速度とドロップ数の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1…インク圧力室
3…ノズル
4…記録媒体
D1,D2…インク吐出のドロップ
Claims (2)
- 階調に応じてノズルから1又は複数のインク滴を順次吐出して記録媒体に記録するマルチドロップ方式のインクジェットヘッドにおいて、
1階調目を2ドロップで形成し、かつ、1画素を(n+1)ドロップ(但し、nは1以上の自然数)で形成することを特徴とするインクジェットヘッドの記録方法。 - nドロップで1画素を形成する場合の総インク量に対し、(n+1)ドロップで1画素を形成する場合の総インク量が略等しくなるように液滴吐出駆動電圧を低下させることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの記録方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002342675A JP2004174849A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | インクジェットヘッドの記録方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002342675A JP2004174849A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | インクジェットヘッドの記録方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004174849A true JP2004174849A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32704672
Family Applications (1)
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JP2002342675A Pending JP2004174849A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | インクジェットヘッドの記録方法 |
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JP (1) | JP2004174849A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007022073A (ja) * | 2005-06-16 | 2007-02-01 | Toshiba Tec Corp | インクジェットヘッドの駆動方法及び駆動装置 |
JP2016087893A (ja) * | 2014-10-31 | 2016-05-23 | 株式会社東芝 | インクジェットヘッド、及び、印刷装置 |
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-
2002
- 2002-11-26 JP JP2002342675A patent/JP2004174849A/ja active Pending
Cited By (5)
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