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JP2004142105A - 切断機の傾斜ストッパ装置 - Google Patents

切断機の傾斜ストッパ装置 Download PDF

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JP2004142105A JP2002306226A JP2002306226A JP2004142105A JP 2004142105 A JP2004142105 A JP 2004142105A JP 2002306226 A JP2002306226 A JP 2002306226A JP 2002306226 A JP2002306226 A JP 2002306226A JP 2004142105 A JP2004142105 A JP 2004142105A
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Abstract

【課題】幅狭形のベースを有する切断機であっても切断機本体を傾斜切り位置に精確に位置決めすることができる傾斜ストッパ装置を提供する。
【解決手段】切断機本体の切断進行方向左側にストッパ部材11を移動可能に設け、ベース2の切断進行方向左側にストッパ受け部12aを設け、切断機本体を傾動させた状態でストッパ部材を移動させてストッパ受け部に当接させることにより切断機本体を傾斜切り位置に位置決めする構成とする。
【選択図】    図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば携帯用のマルノコ等の切断機において、鋸刃を有する切断機本体を傾斜切り位置を位置決めするための傾斜ストッパ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のストッパ装置に関する技術としては、例えば特開2001−232515号公報に開示された技術が提供されている。図9〜図11は、この従来のストッパ装置を備えた切断機50を示している。なお、図9は同公報の図1を、図10は図3を、図11は図6をそれぞれ援用している。また、図9に示すように、切断機50を図示右側へ移動させることにより切断材Wが切断されていく。以下、切断機50の移動方向に関して、切断作業が進行していく方向を切断進行方向という。
この切断機50は、いわゆる携帯マルノコと称される切断機であって、切断材Wの上面に載せ掛けるベース51と、このベース51に傾動可能に支持された切断機本体52を備えている。切断機本体52は、図示省略した電動モータにより回転する鋸刃53を備えている。この鋸刃53の下側ほぼ半分の範囲は、開閉式のセーフティカバー54により覆われている。この鋸刃53およびセーフティカバー54は、ベース51に設けた矩形の窓部51aを経てベース51の下面側に突き出されている。
【0003】
また、切断機本体52は、ベース51の前部と後部に設けた傾動支持ブラケット55,56を介して、切断進行方向に対して一定の範囲で左右方向に傾動可能な状態でベース51に支持されている。切断機本体52は、図10に示すように鋸刃53をベース51に対して直交させた位置(直角切り位置)と、この直角切り位置から図11に示すように図示反時計回り方向(切断進行方向に向かって切断機本体52の上部を右側へ変位させる方向)へ一定の範囲で傾斜させた位置(傾斜切り位置)との間を傾動可能に支持されている。切断機本体52を直角切り位置に位置させることによりいわゆる直角切り(切断材Wの切断面が上面に対して直角になる切断形態)を行うことができ、傾斜切り位置に位置させることによりいわゆる傾斜切り(切断材Wの切断面が上面に対して傾斜する切断形態)を行うことができる。
このように設けられた切断機本体52の前側傾動支持部の近傍(傾動支持ブラケット55付近)には、ストッパ部材57が設けられている。図11に示すようにこのストッパ部材57をベース51の上面に当接させることにより、切断機本体52の傾斜切り位置を位置決めできるようになっていた。また、通常この種のストッパ部材にはボルトが用いられることが多く、この場合にはボルトのねじ込み量を調整することにより切断機本体の傾斜角度を精確に位置決めすることができた。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−232515号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のストッパ部材57では、以下のような問題があった。すなわち、この種の切断機には、いわゆる際切りマルノコあるいはプランジマルノコと称され、ベース51の図10および図11において符号Aで示した範囲(鋸刃53に対して切断機本体52が位置する側とは反対側の範囲)に相当する部分を有しないベース(以下、幅狭形のベースという)を備えたものが提供されている。この幅狭形のベースを備えた切断機によれば、鋸刃に対して切断進行方向右側にベースが存在しないため、例えば床材の切断作業において鋸刃をより壁際に接近させることができ、これにより壁際により近い部位を切断できるようになる。
ところが、この幅狭形のベースの場合には上記ストッパ部材57を当接させる部分が存在しないため、このストッパ部材57(傾斜ストッパ装置)をこの種の切断機に適用することができない。このため、従来は幅狭形のベースを備えた切断機では、この種の傾斜ストッパ装置を備えたものが提供されていなかった。
そこで、本発明は、幅狭形のベースを備えた切断機にも適用することができる傾斜ストッパ装置であって、切断機本体の傾斜切り位置を精確に位置決めするための傾斜ストッパ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するめの手段】
このため、本願発明は、前記請求項に記載した構成の傾斜ストッパ装置とした。
請求項1記載の傾斜ストッパ装置によれば、鋸刃に対して切断機本体の切断進行方向左側に設けたストッパ部材が、鋸刃に対してベースの切断進行方向左側に設けたストッパ受け部に当接して切断機本体が傾斜切り位置に位置決めされるので、鋸刃に対して切断進行方向右側の範囲に相当する部分を有しない幅狭形のベースを有する切断機であっても切断機本体の傾斜切り位置を精確に位置決めすることができる。
請求項2記載の傾斜ストッパ装置によれば、ストッパ部材若しくはストッパ受け部の一方または双方を非ストッパ位置に位置させた状態では、切断機本体は切断進行方向右側および左側のいずれの方向にも何ら規制を受けることなく傾動させることができる。これに対してストッパ部材若しくはストッパ受け部の一方または双方をストッパ位置に位置させた状態では、ストッパ部材がストッパ受け部に当接することにより切断機本体の切断進行方向左側(直角切り位置側)への傾動動作が規制され、これにより切断機本体が傾斜切り位置に位置決めされる。このことから、請求項2記載の傾斜ストッパ装置によっても、幅狭形のベースを備えた切断機において切断機本体を傾斜切り位置で精確に位置決めすることができる。
請求項3記載の傾斜ストッパ装置によれば、鋸刃に対して切断進行方向右側の範囲に相当する部分を有しない幅狭形のベースを有する形態の切断機であっても、切断機本体を複数の傾斜切り位置(例えば30゜または45゜または60゜)に精確に位置決めすることができ、傾斜角度は作業に合わせて任意に選択することができる。
請求項4記載の傾斜ストッパ装置によれば、鋸刃に対して切断進行方向右側において切断機本体に設けたストッパ部材が、鋸刃に対して切断進行方向右側においてベースに設けたストッパ受け部に当接することにより切断機本体が傾斜切り位置に位置決めされるので、鋸刃に対して切断進行方向左側の範囲に相当する部分を有しない幅狭形のベースを有する切断機であっても切断機本体の傾斜切り位置を精確に位置決めすることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態を図1〜図8に基づいて説明する。図1は、以下説明する本実施形態の傾斜ストッパ装置10を備えた切断機1を示している。この切断機1は、いわゆる携帯マルノコと称される切断機であって、切断材Wに載置するベース2と、円形の鋸刃31を有する切断機本体30を備えている。この切断機は、図1において右側へ移動させることにより切断が進行する。そこで、以下の説明では図1において右側へ移動する方向を切断進行方向という。また、切断機本体30および鋸刃31の傾動方向に関して、鋸刃31の上部側を切断進行方向右側へ変位させる方向を単に切断進行方向右側ともいい、鋸刃31の上部側を切断進行方向左側へ変位させる方向を単に切断進行方向左側ともいう。
ベース2は、前記した幅狭形のベースであって、鋸刃31に対して切断進行方向右側の範囲に相当する部分(図10および図11における範囲A)を有していない。
切断機本体30は、鋸刃31を覆うブレードケース32を備えている。このブレードケース32の切断進行方向前端部および後端部は、相互に同軸に設けられた傾動支軸33,34を介してベース2の上面に支持されている。これにより、切断機本体30は、図4に示すように鋸刃31をベース2に対して直交させた直角切り位置(図中実線で示す位置)と、鋸刃31の上部側を切断進行方向右側へ移動させる方向に傾斜させた傾斜切り位置(図中二点鎖線で示す位置、例えば45゜)との間を傾動させることができる。
ベース2の切断進行方向前側(図1において右端側)には、傾動支持板21が上方へ張り出すように設けられている。一方、ブレードケース32の切断進行方向前側であって、後述するサブベース38の切断進行方向前端部には、傾動板39が設けられている。この傾動板39は、上記傾動支持板21に面方向へ移動可能な状態で重ね合わせられている。傾動板39と傾動支持板21との相対位置は固定ねじ40を締め込むことにより固定され、これにより鋸刃31が直角切り位置または傾斜切り位置または両位置間の任意の位置で傾動不能に固定される。固定ねじ40を緩めると、傾動板39ひいてはブレードケース32が直角切り位置と傾斜切り位置との間で傾動可能となる。
【0008】
ブレードケース32の裏面側には、モータケース35aが一定の範囲で上下動可能に取り付けられている。このモータケース35aに駆動モータ35が内蔵されている。この駆動モータ35により回転する出力軸37はブレードケース32内に突き出されており、この突き出し部分に鋸刃31が装着されている。
ブレードケース32に対する鋸刃31および駆動モータ35の上下動支持構造については、この種の切断機において公知の技術であり、本実施形態において特に変更を要しないので詳しい説明は省略するが、図2に示すように鋸刃31および駆動モータ35をブレードケース32に対して上昇端まで移動させると、鋸刃31はほぼその全体がブレードケース32の内部に収容された状態となり、ベース2の下面側に突き出さない状態となる。一方、鋸刃31および駆動モータ35をブレードケース32に対して下降端まで移動させると、鋸刃31はその下側半分ほどがベース2の下面側へ突き出された状態となる。鋸刃31がベース2の下面側へ突き出された状態でのみ、当該切断機1により切断作業を行うことができる。
ブレードケース32に対する鋸刃31および駆動モータ35の上下方向の位置は、固定ねじ35bを締め込むことにより任意の位置で固定することができ、これにより鋸刃31のベース2の下面側への突き出し量を調整して切り込み深さの調整を行うことができる。
モータケース35aの上面側には作業者が把持するためのハンドル36が一体に設けられている。また、図示は省略されているが、切断機本体30とブレードケース32との間には圧縮ばねが介装されている。この圧縮ばねによって、切断機本体30はブレードケース32に対して上方へ移動する方向へ付勢されている。作業者がハンドル36を把持して駆動モータ35を下方へ押し下げることにより鋸刃31を下方へ変位させることができる。作業者が下方への押し下げ操作を止めると、鋸刃31は上記圧縮ばねにより上方へ戻されて、ブレードケース32内に収容される。
【0009】
次に、ブレードケース32の下端には、サブベース38が背面側(切断進行方向左側)へ張り出した状態で一体に設けられている。このサブベース38は、ブレードケース32の下端に沿って設けられている。このサブベース38は、ブレードケース32と一体で傾動する。すなわち、鋸刃31が直角切り位置に位置する状態では、このサブベース38はベース2に対してほぼ重ね合わせ状態(平行)に位置し、鋸刃31が傾斜切り位置に位置する状態では、鋸刃31と同じ傾斜角度でベース2に対して傾斜した状態となる。
このサブベース38の切断進行方向前端部に前記傾動板39が上方へ立ち上げ状に設けられている。なお、図5では傾動板39および傾動支持板21等の図示は省略されている。この傾動板39の背面側(図1において左側)であって鋸刃31に対して切断進行方向左側に、本実施形態の傾斜ストッパ装置10が設けられている。この傾斜ストッパ装置10の詳細が図5に示されている。本実施形態では、この傾斜ストッパ装置10により、鋸刃31が直角切り位置から鋸刃31の上部側を切断進行方向右側に変位させる方向に45゜傾斜させた傾斜切り位置に位置決めされる場合を例示する。
【0010】
この傾斜ストッパ装置10は、切断機本体30側のストッパ部材11とベース2側のストッパ突起12を備えている。ストッパ部材11は、作動レバー13の先端に取り付けられている。本実施形態では、ストッパ部材11としてボルト(ねじ)が用いられている。作動レバー13は、支軸14を介してサブベース38の上面に回動可能に取り付けられている。この作動レバー13は、サブベース38の面方向へ回動可能となっている。作動レバー13の後端部には上方へ延びるツマミ部13aが設けられている。作業者は、このツマミ部13aを摘んで作動レバー13を手動操作により回動させることができる。ストッパ部材11の先端側は、サブベース38に設けた挿通溝部38bを経てサブベース38の下面側に突き出されている。上記したように本実施形態では、ストッパ部材11としてボルトが用いられているので、そのねじ込み量を調整することにより切断機本体30の傾斜角度を精度よくするための角度調整をすることができる。
挿通溝部38bは、支軸14を中心とする円弧に沿って形成されている。この挿通溝部38bは、後述する窓部38aに連通している。作動レバー13を回動操作することによりストッパ部材11は、図5に示すように挿通溝部38bの奥部(端部)と窓部38a内に進入した位置との間を移動する。以下、ストッパ部材11の位置に関して、挿通溝部38bの奥部の位置を非ストッパ位置といい、窓部38a内に進入した位置をストッパ位置という。
【0011】
一方、ストッパ突起12は、ベース2の上面に上方へ張り出すように設けられている。このストッパ突起12は、図5に示す状態では、サブベース38の窓部38aを経てサブベース38の上面側へ突き出されている。このストッパ突起12の上端部に平坦なストッパ受け部12aが設けられている。
ストッパ受け部12aは、ブレードケース32ひいては鋸刃31の傾動動作に伴って窓部38aから出没する。すなわち、このストッパ突起12のサブベース38の上面側への突き出し寸法は、鋸刃31の傾斜角度が小さいほど(直角切り位置に近いほど)大きくなり、傾斜角度が大きいほど(傾斜切り位置に近いほど)小さくなり、鋸刃31が傾斜切り位置(直角切り位置から45゜傾斜した位置)若しくは傾斜切り位置よりも若干大きな傾斜角度まで傾動すると、窓部38aから突き出されない状態となる。
鋸刃31が傾斜切り位置若しくはこれよりも大きな傾斜角度で傾斜した状態まで切断機本体30を傾動させて、ストッパ受け部12aが窓部38aよりも下方に位置する状態とすることにより、ストッパ部材11の先端部をストッパ受け部12aに干渉させることなく前記作動レバー13をストッパ位置側へ回動操作することができる。
【0012】
そこで、鋸刃31が傾斜切り位置よりも若干大きな傾斜角度まで傾斜した状態まで切断機本体30を傾斜させた状態で、作動レバー13を回動操作してストッパ部材11をストッパ位置(窓部38a内)に位置させ、然る後切断機本体30を直角切り位置側へ若干戻すことにより、ストッパ部材11の先端部をストッパ受け部12aに当接させることができ、これにより切断機本体30の直角切り位置側への傾動が規制され、従って切断機本体30が傾斜切り位置で位置決めされる。こうして切断機本体30が位置決めされた状態で、固定ねじ40を締め込むことにより切断機本体30が傾斜切り位置で固定される。
以上のように構成した本実施形態の切断機1によれば、鋸刃31に対して切断進行方向左側に設けたストッパ部材11が、ベース2の上面であって、同じく切断進行方向左側に設けたストッパ受け部12aに当接することにより、切断機本体30が傾斜切り位置に位置決めされる。このことから、鋸刃31に対して切断進行方向右側の範囲に相当する部分を有しない幅狭形のベース2を備えた切断機1であっても、切断機本体30を傾斜切り位置に精確に位置決めすることができる。
また、本実施形態の場合、ストッパ部材11としてボルトを用いているので、作動レバー13に対する締め込み量を調整することにより傾斜ストッパ位置の微調整をすることができる。
【0013】
以上説明した実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、幅狭形のベース2を備えた切断機1に適用した場合を例示したが、鋸刃に対して切断進行方向右側の範囲に相当する部分(図10および図11においてAで示す部分)を有する幅広形のベースを備えた切断機にも適用できることは言うまでもない。
また、ブレードケース32に対して駆動モータ35および鋸刃31を上下動させることにより切り込み深さを調整する形態の切断機1を例示したが、駆動モータおよびモータケースがブレードケースの背面側に固定されて鋸刃がブレードケース内で上下動せず、これらが一体でベースに対して上下動させることにより切り込み深さを調整する形態の切断機にも同様に適用することができる。
さらに、一つのストッパ部材11を備える構成を例示したが、複数のストッパ部材を備え、これにより複数の傾斜切り位置に位置決め可能な傾斜ストッパ装置とすることも可能であり、また単一のストッパ部材を複数のストッパ位置に移動可能に設ける一方、この複数のストッパ位置に対応してストッパ突起に複数のストッパ受け部を設けることによっても、切断機本体および鋸刃を複数の傾斜切り位置(例えば、直角切り位置から30゜、45゜、60゜)に位置決めすることができる。
【0014】
図6〜図8には、二つのストッパ部材44,45を備えた第2実施形態の傾斜ストッパ装置42が示されている。この第2実施形態の傾斜ストッパ装置42の場合、前記第1実施形態の傾斜ストッパ装置10の作動レバー13よりも長い作動レバー43を備えている。この作動レバー43は支軸46を介してサブベース38の上面に回動可能に取り付けられている。この作動レバー43に上記二つのストッパ部材44,45が取り付けられている。この二つのストッパ部材44,45のうち、支軸46により近い側のストッパ部材44が小傾斜用のストッパ部材(以下、小傾斜ストッパ部材44という)であり、これよりも回動先端側に取り付けられたストッパ部材45が大傾斜用のストッパ部材(以下、大傾斜ストッパ部材45という)として用いられる。図7および図8に示すように両ストッパ部材44,45の先端側は、サブベース38に設けた挿通溝部38dを経てサブベース38の下面側に突き出されている。小傾斜用のストッパ部材44のサブベース38の下面側への突き出し寸法は、大傾斜用のストッパ部材45のそれよりも小さくなっている。なお、両ストッパ部材44,45には、前記した第1実施形態と同様ボルトが用いられている。
【0015】
本実施形態では、上記小傾斜ストッパ部材44によって鋸刃31が直角切り位置から45゜だけ傾斜した位置(第1傾斜切り位置)に位置決めされ、大傾斜用のストッパ部材45によって鋸刃31が直角切り位置から60゜だけ傾斜した位置(第2傾斜切り位置)に位置決めされる場合について説明する。
一方、ベース2の上面に起立状に設けたストッパ突起47は、その上面に一つのストッパ受け部47aと一つの逃がし部47bを備えている。このストッパ突起47は、前記と同様サブベース38に設けた窓部38cを経てサブベース38の上面側に突き出されるようになっている。窓部38cの大きさは、鋸刃31を直角切り位置に位置させてサブベース38をベース2に重ね合わせ状態に位置させた状態で当該ストッパ突起47の基部を挿通可能な大きさに設定されている。
この点は、前記窓部38aと同様に設定されている。また、第1実施形態と同様、この窓部38cには上記挿通溝部38dが連通されている。
【0016】
このように設けた第2実施形態の傾斜ストッパ装置42によれば、図6中実線で示すように両ストッパ部材44,45を非ストッパ位置に位置させた状態(両ストッパ部材44,45が共に挿通溝部38dに位置する状態)では、両ストッパ部材44,45はいずれもストッパ受け部47aに当接しないので、切断機本体30を直角切り位置に位置させることができる。
固定ねじ40を緩めて切断機本体30を切断進行方向右側へ傾斜させると、サブベース38がブレードケース32と一体で傾動するので、窓部38cが徐々に上方へ変位し、従ってストッパ突起47のサブベース38の上面側への突き出し寸法が徐々に減少していく。切断機本体30を直角切り位置から45゜若しくは45゜よりも若干大きな角度まで傾斜させた状態で、作動レバー43を回動させて小傾斜ストッパ部材44を窓部38c内に進入した第1ストッパ位置に位置させ、この状態で切断機本体30を直角切り位置側に戻すと、図7に示すように小傾斜ストッパ部材44の先端部がストッパ受け部47aに当接し、これにより切断機本体30ひいては鋸刃31が第1傾斜切り位置に位置決めされる。この時、大傾斜ストッパ部材45の先端部は、ストッパ突起47の逃がし部47b内に位置してストッパ受け部47aから外れている。従って、大傾斜ストッパ部材45は非ストッパ位置に位置している。
【0017】
この第1傾斜切り位置から切断機本体30をさらに傾動させて直角切り位置から60゜よりも若干大きな角度まで傾斜した状態とすることにより、大傾斜ストッパ部材45を第2ストッパ位置に位置させることができる。この状態で、切断機本体30を直角切り位置側に戻すと、図8に示すように大傾斜ストッパ部材45がストッパ受け部47aに当接し、これにより切断機本体30ひいては鋸刃31が第2傾斜切り位置に位置決めされる。この時、小傾斜ストッパ部材44の先端部は図示するようにストッパ受け部47aから浮いている。
このように第2実施形態の傾斜ストッパ装置42によれば、両ストッパ部材44,45を非ストッパ位置(挿通溝部38d内)に位置させておくことにより、切断機本体30ひいては鋸刃31を直角切り位置に位置させることができる。この直角切り位置から45゜よりも若干大きな角度まで切断機本体30を傾動させ、この状態で作動レバー43を回動操作して小傾斜ストッパ部材44を第1ストッパ位置に位置させ、然る後切断機本体30を直角切り位置側へ戻して小傾斜ストッパ部材44をストッパ受け部47aに当接させることにより切断機本体30ひいては鋸刃31を直角切り位置から45゜だけ傾斜させた第1傾斜切り位置に位置決めすることができる。
また、切断機本体30を直角切り位置から60゜よりも若干大きな角度まで傾動させ、この状態で作動レバー43をさらに回動操作して大傾斜ストッパ部材45を第2ストッパ位置に位置させ、然る後切断機本体30を直角切り位置側へ戻して大傾斜ストッパ部材45をストッパ受け部47aに当接させることにより切断機本体30ひいては鋸刃31を直角切り位置から60゜だけ傾斜させた第2傾斜切り位置に位置決めすることができる。
【0018】
また、この第2実施形態の傾斜ストッパ装置42によっても、両ストッパ部材44,45にねじを用いているので、これら両ストッパ部材44,45の作動レバー43に対するねじ込み量を調整することにより第1および第2傾斜切り位置の微調整を行うことができる。
以上説明した第1および第2実施形態には、さらに変更を加えることができる。例えば、支軸14,46を介して作動レバー13,43を回動させることによりストッパ部材11,44,45を非ストッパ位置とストッパ位置(第1および第2ストッパ位置)に移動させる構成を例示したが、作動レバーを回動させるのでなく、スライドさせることによりストッパ部材を移動させる構成としてもよい。
また、ストッパ部材11,44,45にねじを用いる構成を例示したが、ピンを用いてもよく、また作動レバー13,43の下面側に突起を設けてストッパ部材としてもよい。
さらに、ストッパ部材側を移動させることにより、直角切り位置と傾斜切り位置の位置決めをし、あるいは複数の傾斜切り位置の位置決めをする構成を例示したが、ストッパ受け部側を非ストッパ位置とストッパ位置若しくは複数のストッパ位置間を移動可能に設けて同様の位置決めをすることもできる。
また、以上例示した傾斜ストッパ装置10,42は切断機本体および鋸刃を傾斜切り位置に位置決めする機能を有するものであったが、これに加えて直角切り位置にも位置決めできるようにすることができる。
【0019】
さらに、以上例示した第1および第2実施形態では、図1に示すようにブレードケース32に対して切断進行方向左側に駆動モータ35、ハンドル36を設けて、作業者が右手でハンドル36を把持して切断作業を行う形態(右手把持タイプ)の一般的な切断機1(携帯用マルノコ)を例示したが、近年では切断作業形態の多様化に伴って図1とは反対側、すなわち鋸刃に対して切断進行方向右側にモータハウジング、ハンドルを設けた左手把持タイプの携帯用マルノコも提供されている。この左手把持タイプの携帯用マルノコでは、切断機本体は鋸刃をベースに対して直行させる直角位置と、鋸刃の上部側を切断進行方向左側へ変位させる方向に傾斜させた傾斜位置との間で傾動させることができる。
このような左手把持タイプの携帯マルノコについても前記例示した第1または第2実施形態の傾斜ストッパ装置10,42を切断進行方向右側に設けることにより同様の作用効果を得ることができる。この左手把持タイプの携帯マルノコにおける傾斜ストッパ装置が請求項4記載の発明の一実施形態に相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す図であり、切断機の平面図である。
【図2】第1実施形態の傾斜ストッパ装置を備えた切断機の側面図である。
【図3】切断機の一部断面正面図である。
【図4】図1の(4)−(4)線矢視図であって、切断機を正面側から見た図である。本図は、切断機本体を直角切り位置と傾斜切り位置に傾斜させた状態における傾斜ストッパ装置を示している。
【図5】傾斜ストッパ装置の斜視図である。
【図6】第2実施形態の傾斜ストッパ装置の平面図である。
【図7】図6の(7)−(7)線矢視図であって、第2実施形態の傾斜ストッパ装置の正面図である。本図は、第1傾斜切り位置に位置決めした状態における傾斜ストッパ装置を示している。
【図8】図6の(7)−(7)線矢視図であって、第2実施形態の傾斜ストッパ装置の正面図である。本図は、第2傾斜切り位置に位置決めした状態における傾斜ストッパ装置を示している。
【図9】
従来の傾斜ストッパ装置を備えた切断機の側面図である。
【図10】
従来の傾斜ストッパ装置を図9の矢印(10)方向から見た図である。本図は、切断機本体を直角切り位置に位置させた状態における傾斜ストッパ装置の様子を示している。
【図11】
従来の傾斜ストッパ装置を図9の矢印(10)方向から見た図である。本図は、切断機本体を傾斜切り位置に位置させた状態における傾斜ストッパ装置の様子を示している。
【符号の説明】
1…切断機
2…ベース(幅狭形)
10…傾斜ストッパ装置(第1実施形態)
11…ストッパ部材
12…ストッパ突起、12a…ストッパ受け部
13…作動レバー
30…切断機本体
31…鋸刃
32…ブレードケース
35…駆動モータ
38…サブベース
38a…窓部(第1実施形態)、38b…挿通溝部(第1実施形態)
38c…窓部(第2実施形態)、38d…挿通溝部(第2実施形態)
40…固定ねじ
42…傾斜ストッパ装置(第2実施形態)
44…小傾斜ストッパ部材(ストッパ部材)
45…大傾斜ストッパ部材(ストッパ部材)
47…ストッパ突起(第2実施形態)
47a…ストッパ受け部、47b…逃がし部
50…切断機(従来)
51…ベース(幅広形)
57…ストッパ部材

Claims (4)

  1. 切断材に載置するベースと、鋸刃を有する切断機本体を備え、該切断機本体は、前記鋸刃を前記ベースに対して直交させる直角切り位置と、前記鋸刃の上部側を切断進行方向右側に変位させる方向に傾斜させた傾斜切り位置との間を傾動可能に前記ベースに支持された切断機における前記切断機本体の前記傾斜切り位置を位置決めするための傾斜ストッパ装置であって、
    前記切断機本体の、前記鋸刃に対して切断進行方向左側の部位にストッパ部材を設ける一方、前記ベースの、前記鋸刃に対して切断進行方向左側の部位にストッパ受け部を設け、該ストッパ受け部若しくは前記ストッパ部材の一方または双方を移動可能に設けて、前記切断機本体の、前記鋸刃の上部側を切断進行方向右側に変位させる方向の傾動動作を許容する一方、前記切断機本体の、前記鋸刃の上部側を切断進行方向左側に変位させる方向の傾動動作については前記ストッパ部材が前記ストッパ受け部に当接して規制されることにより当該切断機本体を前記傾斜切り位置に位置決めする構成とした傾斜ストッパ装置。
  2. 請求項1記載の傾斜ストッパ装置であって、ストッパ部材若しくはストッパ受け部の一方または双方をストッパ位置と非ストッパ位置との間を移動可能に設け、前記非ストッパ位置に位置させた状態では切断機本体を、鋸刃の上部側を切断進行方向右側および左側に変位させる方向へ傾動可能である一方、前記切断進行方向右側に変位させる方向に傾動させた状態で前記ストッパ部材若しくはストッパ受け部の一方または双方をストッパ位置に移動させた状態では、前記ストッパ部材が前記ストッパ受け部に当接して前記切断機本体の切断進行方向左側への傾動が規制されることにより当該切断機本体を傾斜切り位置に位置決めする構成とした傾斜ストッパ装置。
  3. 請求項1または2記載の傾斜ストッパ装置であって、ストッパ部材若しくはストッパ受け部の一方または双方を複数のストッパ位置に移動可能に設けて、切断機本体を複数の傾斜切り位置に位置決め可能な構成とした傾斜ストッパ装置。
  4. 切断材に載置するベースと、鋸刃を有する切断機本体を備え、該切断機本体は、前記鋸刃を前記ベースに対して直交させる直角切り位置と、前記鋸刃の上部側を切断進行方向左側に変位させる方向に傾斜させた傾斜切り位置との間を傾動可能に前記ベースに支持された切断機における前記切断機本体の前記傾斜切り位置を位置決めするための傾斜ストッパ装置であって、
    前記切断機本体の、前記鋸刃に対して切断進行方向右側の部位にストッパ部材を設ける一方、前記ベースの、前記鋸刃に対して切断進行方向右側の部位にストッパ受け部を設け、該ストッパ受け部若しくは前記ストッパ部材の一方または双方を移動可能に設けて、前記切断機本体の、前記鋸刃の上部側を切断進行方向左側に変位させる方向の傾動動作を許容する一方、前記切断機本体の、前記鋸刃の上部側を切断進行方向右側に変位させる方向の傾動動作については前記ストッパ部材が前記ストッパ受け部に当接して規制されることにより当該切断機本体を前記傾斜切り位置に位置決めする構成とした傾斜ストッパ装置。
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