JP2004034121A - レーザ加工装置及び加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】安定したパルス判定を実現すると共に、パルス補償の処理時間を短縮し、移動時間を効率化し、高速化する。
【解決手段】トリガコントローラ60が、所定の発振条件に従って、レーザ発振器20のトリガ信号を生成すると共に、パルス判定装置42の出力に応じて、トリガ信号を制御する。
【選択図】 図7
【解決手段】トリガコントローラ60が、所定の発振条件に従って、レーザ発振器20のトリガ信号を生成すると共に、パルス判定装置42の出力に応じて、トリガ信号を制御する。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を加工対象物に照射して加工を行なうレーザ加工装置及び加工方法に係り、特に、プリント配線基板を加工するレーザ穴開け機に用いるのに好適な、安定したパルス判定が可能なレーザ加工装置及び加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板の穴開け用のレーザ加工機等に使用されているパルスレーザにおいて、そのレーザパルスは、通常(正常時)は、図1(A)に示す如く、所定のパルス高Hで発振される。しかしながら、稀に、図1(B)に示す如く、一部のパルスのパルス高が0となって抜けてしまうミスパルスや、図1(C)に示す如く、一部のパルスの強度が低くなるウィークパルス、又は、強度が高くなるストロングパルスが存在する。特に、プリント配線基板穴開け用のレーザ加工機において、この現象が生じると、基板の穴が不完全なものとなり、不良品となってしまう。
【0003】
即ち、プリント配線基板へのビア加工において、図2に示す如く、樹脂層10の下に銅ランド12が形成された樹脂加工の場合のように、多数のパルスで穴を開ける場合、図2(A)に示すような正常なパルス列であれば、正常な加工穴が開けられるのに対して、図2(B)に示す如く、ウィークパルスを含む場合には、十分な穴を開けることができない。
【0004】
又、図3に示す如く、樹脂層10の上に銅層14が形成された銅加工の場合のように、一発のパルスで穴を開ける場合にも、図3(A)に示すような正常なパルスであれば、正常な加工穴が開くのに対して、ウィークパルスの場合には、図3(B)に示す如く、小さな穴しか開かない。
【0005】
そこで、出願人は、特許第2858236号や特許第2864005号において、レーザパルスのパルスエネルギを全ショットについて観察し、ミスパルスが生じた場合、図2(C)や図3(C)に示す如く、レーザパルスのショット数を追加し、不良品の生成を防ぐことを提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来は、図4に示す如く、レーザ発振器20にトリガ信号を送るトリガ発生器30と、フォトデテクタ40によって検知されるレーザ光のエネルギに応じてパルスの良否を判定するパルス判定装置42が、制御装置50を介して接続されていたため、レーザ発振とパルス観察のタイミング調整がうまくいかない場合があった。
【0007】
図4において、6は加工対象物(ワーク)、8はワーク搬送用ステージ、22はミラー、24はビームスプリッタ(例えばハーフミラー)、52はレーザビーム走査用のXYスキャナである。
【0008】
又、従来は、照射完了と同時に、図5に示す如く前記パルス判定装置42の出力による補償を全く行なわないか、あるいは図6に示す如く毎回補償のための判定を行なっていたため、図5の場合には、加工処理時間は短いものの、補償を行なうことができず、一方、図6の場合には、補償は可能であるが、必ず加工条件判断処理時間がかかり、加工処理全体では処理時間が長くなるという問題点を有していた。
【0009】
図5において、C1は制御装置(C)50からXYスキャナ52に対する穴位置▲1▼への移動の指示、S1はXYスキャナ(S)52によるレーザビームの穴位置▲1▼への移動、C2は制御装置50からトリガ発生器30への照射指示、T1はトリガ発生器(T)30からレーザ発振器20への照射トリガ信号出力、C3は制御装置50からXYスキャナ52に対する穴位置▲2▼への移動指示、S2はXYスキャナ52の穴位置▲2▼への移動、C4は制御装置50からトリガ発生器30への照射指示、T2はトリガ発生器30からレーザ発振器20への照射トリガ信号出力、▲1▼、▲2▼、▲3▼は穴位置を示す。
【0010】
又、図6において、C1〜C4、S1〜S2、T1〜T2は図5と同じ、R1は判定結果(ここではOK)を取得して制御装置50へ通知、C5はXYスキャナ52に対する穴位置▲3▼への移動指示、S3はXYスキャナ52によるレーザビームの穴位置▲3▼への移動、R2は判定結果(ここではNG)を取得して制御装置50へ通知、C6はNG確認に基づくXYスキャナ52に対する穴位置▲2▼への移動指示、S4はXYスキャナ52によるレーザビームの穴位置▲2▼への移動、C7はトリガ発生器30へのリトリガ照射指示、T3はリトリガ照射のためのトリガ信号出力、C8はXYスキャナ52に対する穴位置▲3▼への移動指示、S5はXYスキャナ52によるレーザビームの穴位置▲3▼への移動、R3は判定結果(ここではOK)を取得して制御装置50へ通知、C9はトリガ発生器30への照射指示、T4は照射トリガ信号出力を示す。
【0011】
ここでは、T2の判定結果R2でNGが判明したときに、XYスキャナ52は既に穴位置▲2▼から▲3▼への移動中なのに、S4で再び穴位置▲2▼に戻って再度トリガ信号T3を出力しており、効率が悪い。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、レーザ発振とパルス観察のタイミング調整を迅速に行なえるようにすることを第1の課題とする。
【0013】
本発明は、又、判断処理時間の影響を少なくして、加工補償を迅速に行なえるようにすることを第2の課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トリガ信号に従って、所定の周波数で発振するレーザ発振器と、 レーザのパルスエネルギを検知する判定手段と、所定の発振条件に従って、前記トリガ信号を生成すると共に、前記パルス判定手段の出力に応じて、トリガ信号を制御するトリガコントローラとを備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
又、前記パルス判定手段の出力が良である時は、前記トリガコントローラが次の設定されたトリガ信号を出力し、否である時は、同じ設定のトリガ信号を追加して再度出力するようにしたものである。
【0016】
又、前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の動作タイミング信号も出力するようにしたものである。
【0017】
又、前記トリガコントローラが、設定されたパルス数レーザ発振させた後、発振完了信号を出力するようにしたものである。
【0018】
又、前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の検出結果を無視して発振完了信号を出力するようにしたものである。
【0019】
あるいは、前記トリガコントローラが、トリガ信号発生後、まず、発振完了信号を出力し、次いで、前記パルス判定手段の検出結果を出力するようにしたものである。
【0020】
あるいは、前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の検出手段が可である時は、発振完了信号を出力し、不可である時は、トリガ信号を再度発生するようにしたものである。
【0021】
又、前記のいずれかが選択可能とされたトリガコントローラを備えたレーザ加工装置を提供するものである。
【0022】
本発明は、又、複数の目標を設定可能なレーザ走査手段と、複数のリトリガ必要位置を記憶しておくバッファとを更に備え、移動処理時に次の目標位置への軌跡を算出するレーザ加工装置を提供するものである。
【0023】
又、トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工するレーザ加工方法が、トリガ信号発生後、まず、発振完了信号を出力し、次いで、レーザのパルスエネルギの判定結果を出力するリトリガ通知モードを有するようにしたものである。
【0024】
又、トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工するレーザ加工方法が、レーザのパルスエネルギの判定結果が良である時は、発振完了信号を出力し、否である時は、トリガ信号を再度発生するリトリガ処理モードを有するようにしたものである。
【0025】
又、レーザ加工方法が、少なくとも前記のリトリガ通知モードと、前記のリトリガ処理モードを選択可能としたものである。
【0026】
更に、レーザ加工方法が、パルスエネルギの判定結果を無視して発振完了信号を出力するリトリガ無モードも選択可能としたものである。
【0027】
又、トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工するレーザ加工方法が、複数のリトリガ必要位置を記憶しておき、次の目標位置への移動処理時に、次の次の目標位置への軌跡を算出するようにしたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
本実施形態は、図4に示したようなレーザ加工装置において、単純なトリガ発生器30の代りに、図7に示す如く、制御装置50から入力される所定の発振条件に従って、トリガ信号を生成するだけでなく、パルス判定装置42の出力に応じて、トリガ信号を生成し、更に、該パルス判定装置42の動作タイミング信号も出力するトリガコントローラ60を設けたものである。
【0030】
前記レーザ発振器(例えばCO2レーザ)20は、トリガコントローラ60からのトリガ信号に従って、所定の発振周波数で発振する。
【0031】
前記トリガコントローラ60は、図8に示す如く、CPU61と、タイマカウンタ62と、DP(デュアルポート)RAM63と、ROM64と、RAM65と、バッファ66と、A/D変換器67と、汎用出力ポート68とを含んで構成されている。
【0032】
このトリガコントローラ60は、図9に示す如く、制御装置50から与えられる発振条件に従ってトリガ信号を生成し、レーザ加工機の発振タイミングを制御する。同時に、パルス判定装置42への動作タイミング信号についても、その設定された遅延時間に応じて、タイミングを制御し出力している。又、パルス判定装置42からのパルスの良否判定信号を受け取り、パルス追加等の処理を行なう。そして、設定されたパルス数レーザ発振した後に、制御装置50に発振完了信号を送信する。
【0033】
前記フォトデテクタ40は、ビームスプリッタ24等により分岐されたレーザ光の一部を受光し、そのパルスエネルギの強度を電圧、電流等の電気信号に変換する。
【0034】
前記パルス判定装置42は、該フェトデテクタ40から出力される電気信号を受け、パルスエネルギが、予め設定された基準値以上か否かを判定し、判定結果をトリガコントローラ60へ出力する。
【0035】
前記制御装置50は、加工が不十分で補償が必要な穴の位置座標を複数記録しておくバッファ51を有している。
【0036】
前記XYスキャナ52の制御装置は、図10に示すようなインターフェース(IF)を有しており、XYそれぞれに目標位置を設定することができる。更に、この目標位置設定用に2組のバッファ(X1,Y1)、(X2,Y2)を持っている。
【0037】
前記XYスキャナ52は、制御装置50から移動命令を受信した際、現在位置と目標位置を比較し、その目標に到達するまでの軌跡(加速区間、定速区間、減速区間)を算出した上で、スキャナの移動を行なう。この軌跡算出時間での待ち時間を無くすため、移動処理時に次回の目標位置の軌跡算出を行なっており、図10に示した2組のバッファは、このために用意している。
【0038】
以下、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
まず、制御装置50により設定された発振周波数、パルス幅、ショット数に応じ、トリガコントローラ60がレーザ発振器20にトリガ信号を出力する。同時に、トリガコントローラ60は、レーザ発振器20へのトリガ信号出力から、設定された遅延時間(以下、判定ディレイと称する)経過後に、パルス判定装置42に動作タイミング信号を出力する。
【0040】
フォトデテクタ40にレーザ光の一部が入射すると、そのパルスエネルギに応じて、その出力電圧(電流)が変化する。パルス判定装置42においては、トリガコントローラ60から動作タイミング信号が入力された時点でのフォトデテクタ40の出力信号が観察され、予め設定された基準値よりも大きい場合、パルスOK信号を、基順値より小さい場合、パルスNG信号をトリガコントローラ60へ出力する。
【0041】
トリガコントローラ60は、トリガパルス出力後、予め設定された遅延時間(以下、判定入力ディレイと称する)経過後、パルス判定装置42からのパルスOK信号を受け取ると、次の設定されたトリガパルスを出力する。一方、パルスNG信号を受け取った場合には、レーザパルスが出力されなかったと判断し、追加のレーザ発振をさせるために、同じ設定のトリガパルス(リトリガパルスと称する)を出力する。
【0042】
トリガコントローラ60は、パルス判定装置42の判定結果を無視するリトリガ無モードと、前記判定結果を取り込み、その結果を制御装置50に通知するリトリガ通知モードと、前記判定結果に応じてリトリガを行うリトリガ処理モードを選択可能とされている。
【0043】
前記リトリガ通知モードでは、トリガコントローラ60は、トリガ信号発生後、すぐに制御装置50に照射完了を通知し、パルス判定装置42から判定結果を得てから、その内容を制御装置50に通知する。
【0044】
前記リトリガ処理モードでは、先にパルス判定回路42の判定結果を取り込み、OK(良)ならば制御装置50に照射完了を通知する。NG(否)ならば、トリガ信号を再び発生させ(リトリガ)、同様に判定結果を確認の上、制御装置50に照射完了を通知する。
【0045】
トリガパルス追加に際しては、連続して照射している間に、図11に示す如く、動作モードを切換えることが可能である。
【0046】
即ち、パルス判定を行う(ステップ100)場合で、設定されたパルス数照射中、最後の1ショット(ステップ120)も含む全ショットのパルス判定を行なう(ステップ122、132)リトリガ処理モードの場合は、NGパルスが存在した場合(ステップ124、132)、全て1ショット追加し(ステップ128、138)、追加したショットに関してもパルス判定を行ない、設定パルス数分のOKパルスが発振されたことが確認された時点で、制御装置50に発振完了信号を送信する(ステップ136)。
【0047】
又、最後の1ショットのパルス判定を行わない(ステップ120)リトリガ通知モードの場合は、設定されたパルス数照射中、最後の1ショット以外は全てパルス判定を行ない(ステップ122)、NGパルスが存在した場合(ステップ124)、全て追加する(ステップ128)。最後の1ショットでは(ステップ120)、トリガ信号出力直後に制御装置50に発振完了信号を送信し(ステップ140)、その後OK判定の場合(ステップ144)、そのまま次の加工へ移行する。NG判定の場合、制御装置50へNG判定を送信し(ステップ146)、制御装置50からの次の指令を待つ。
【0048】
又、パルス判定を行わない(ステップ100)リトリガ無モードの場合は、従来と同様に、パルス判定の結果を反映せず、設定されたパルス数(ステップ110)のトリガパルスを出力し、制御装置50へ発振完了信号を送信する(ステップ114)。
【0049】
このようにして、レーザ発振器20へのトリガ信号と、パルス判定装置42への動作タイミング信号の信号源を同一のものとすることにより、より正確な同期が可能となることで、安定したパルス判定を行なうことができる。又、パルス判定の遅延時間も、パラメータ設定で変更可能となり、フォトデテクタ42の変更等に柔軟に対応可能となる。更に、パルス判定の有無やパルス判定後のトリガパルス追加等の動作が切換え可能であるので、加工時間短縮等への対応も容易である。
【0050】
本実施形態におけるトリガコントローラ60の使用モードがリトリガ通知モードである場合のタイミングチャートを図12に、NG部分に対するリトリガ処理有りモードの場合のタイミングチャートを図13に示す。
【0051】
図12では、制御装置50が、C1でXYスキャナ52に対して、図10に示したバッファX1、Y1に保持された次の穴位置▲1▼への移動を指示し、バッファX2、Y2に保持された次の次の穴位置▲2▼への軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52が、S1でビームを穴位置▲1▼へ移動する。移動整定完了後、制御装置50がC2でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60はT1で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0052】
次いで制御装置50は、C3でXYスキャナ52に対して、バッファX2、Y2に記憶された次の穴位置▲2▼への移動を指示し、バッファX1、Y1に記憶された次の次の穴位置▲2▼への軌跡算出を指示する。これによりXYスキャナ52は、S2でビームを穴位置▲2▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R1でパルス判定装置42からトリガ出力T1に対応する照射のエネルギ判定結果(ここではOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0053】
穴位置▲2▼への移動整定完了後、制御装置50は、XYスキャナ52の穴位置移動完了及びトリガコントローラ60からのエネルギ判定結果を受け、C4でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ30は、これを受け、T2で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0054】
制御装置50は、更に、C5で、XYスキャナ52に対して、更新後のバッファX1、Y1に保持された次の穴位置▲3▼への移動を指示すると共に、同じく更新後のバッファX2、Y2に保持された次の次の穴位置▲4▼への軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52は、S3でビームを穴位置▲3▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R2でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここではNG)を取得し、制御装置50へ通知する。今回は判定結果がNGであったため、制御装置50は、これをバッファ51に記憶する。
【0055】
穴位置▲3▼への移動整定完了後、制御装置50は、C6でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60は、これを受け、T3で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0056】
次いで、制御装置50は、C7でXYスキャナ52に対して、更新後のバッファX2、Y2に保持された次の穴位置▲4▼への移動を指示すると共に、同じく更新後のバッファX1、Y1に保持されたNG分の穴位置▲2▼へ戻るための軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52は、S4でビームを穴位置▲4▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R3でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここでOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0057】
穴位置▲4▼への移動整定完了後、制御装置50はC8でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60は、これを受け、T4で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0058】
次いで制御装置50は、C9でXYスキャナ52に対して、更新後のバッファX1、Y1に保持された次の穴位置▲2▼への移動を指示すると共に、同じく更新後のバッファX2、Y2に保持された次の次の穴位置への軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52は、S5でビームを穴位置▲2▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R4でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここではOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0059】
穴位置▲2▼への移動整定完了後、制御装置50は、C10でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60はこれを受け、T5で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0060】
次いで制御装置50は、C11で、XYスキャナ52に対して、更新後のバッファX2、Y2に保持された次の穴位置▲5▼への移動を指示すると共に、やはり更新後のバッファX1、Y1に保持された次の次の穴位置▲6▼への軌跡算出を指示する。
【0061】
これによりXYスキャナ52は、S6でビームを穴位置▲5▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R5でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここではOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0062】
図12に示すリトリガ通知モードでは、毎回リトリガ処理を行なわず、リトリガ通知のみで次の処理に移っているので、基板の加工にかかる時間を削減できる。但し、同じ位置でNGを出した場合には、戻る距離が長くなっていく。
【0063】
一方、図13に示すリトリガ処理モードでは、図12と同様にして、制御装置50からC10でトリガコントローラ60へのリトリガ照射指示終了後、トリガコントローラ60は、T5で、リトリガ照射のための照射トリガ信号を出力する。このT5は、図12のR5も含むため長くなっている。
【0064】
このリトリガ処理モードでは、判断処理時間が最低限必要となるが、NGの場合、そのままトリガコントローラ60で処理を継続して実施することができる。
【0065】
なお、図12及び13では、移動と計算処理を無駄にしないように制御しているが、計算は無駄にし、移動だけを無駄にしないように制御することも可能である。
【0066】
前記実施形態においては、パルス判定装置42に参照値を設定していたが、参照値を設定する位置は、これに限定されず、例えば制御装置50でも構わない。
【0067】
又、前記実施形態においては、バッファが2つとされていたが、1ブロックの穴数分のバッファを用いることも可能である。この場合には、バッファに蓄えられたリトリガが必要な穴位置に対し、巡回セールスマン問題(TSP)等の最適パスアルゴリズムを利用して、再度加工順序の最適化を図ることも可能である。
【0068】
なお、前記実施形態においては、本発明が、レーザ穴開け機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、レーザ切断機やマーキングマシン等、レーザ加工機一般に同様に適用できることは明らかである。レーザの種類もCO2レーザに限定されず、UVレーザ等、他のレーザにも適用できる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、トリガコントローラによりトリガ信号を生成すると共に、パルス判定手段の出力に応じてトリガ信号を制御するようにしたので、レーザ発振とパルス観察のタイミングを容易に調整することができ、安定したパルス判定が可能となる。
【0070】
又、トリガコントローラがリトリガを発生するようにしたので、処理時間を短縮し、移動時間を効率化すると共に、高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パルスレーザのミスパルス、ウィークパルス、ストロングパルスを示すタイムチャート
【図2】基板へのビア加工における追加パルスの例を示すタイムチャート及び断面図
【図3】同じく銅加工における追加パルスの例を示すタイムチャート及び断面図
【図4】従来のレーザ加工機の全体構成を示す、一部光路図を含むブロック図
【図5】従来の追加パルス補償がない場合のタイミングチャート
【図6】同じく追加パルス補償がある場合のタイミングチャート
【図7】本発明の実施形態における全体構成を示す、一部光路を示すブロック図
【図8】前記実施形態で用いられているトリガコントローラの構成例を示す回路図
【図9】同じく各部信号波形の例を示すタイムチャート
【図10】同じくXYスキャナのインターフェースを示す線図
【図11】同じくトリガコントローラの全体の処理手順を示す流れ図
【図12】同じくリトリガ通知モードの一例のタイミングチャート
【図13】同じくリトリガ処理モードの一例のタイミングチャート
【符号の説明】
6…ワーク(加工対象物)
8…ワーク搬送用ステージ
20…レーザ発振器
40…フォトデテクタ
42…パルス判定装置
50…制御装置
52…XYスキャナ
60…トリガコントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を加工対象物に照射して加工を行なうレーザ加工装置及び加工方法に係り、特に、プリント配線基板を加工するレーザ穴開け機に用いるのに好適な、安定したパルス判定が可能なレーザ加工装置及び加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板の穴開け用のレーザ加工機等に使用されているパルスレーザにおいて、そのレーザパルスは、通常(正常時)は、図1(A)に示す如く、所定のパルス高Hで発振される。しかしながら、稀に、図1(B)に示す如く、一部のパルスのパルス高が0となって抜けてしまうミスパルスや、図1(C)に示す如く、一部のパルスの強度が低くなるウィークパルス、又は、強度が高くなるストロングパルスが存在する。特に、プリント配線基板穴開け用のレーザ加工機において、この現象が生じると、基板の穴が不完全なものとなり、不良品となってしまう。
【0003】
即ち、プリント配線基板へのビア加工において、図2に示す如く、樹脂層10の下に銅ランド12が形成された樹脂加工の場合のように、多数のパルスで穴を開ける場合、図2(A)に示すような正常なパルス列であれば、正常な加工穴が開けられるのに対して、図2(B)に示す如く、ウィークパルスを含む場合には、十分な穴を開けることができない。
【0004】
又、図3に示す如く、樹脂層10の上に銅層14が形成された銅加工の場合のように、一発のパルスで穴を開ける場合にも、図3(A)に示すような正常なパルスであれば、正常な加工穴が開くのに対して、ウィークパルスの場合には、図3(B)に示す如く、小さな穴しか開かない。
【0005】
そこで、出願人は、特許第2858236号や特許第2864005号において、レーザパルスのパルスエネルギを全ショットについて観察し、ミスパルスが生じた場合、図2(C)や図3(C)に示す如く、レーザパルスのショット数を追加し、不良品の生成を防ぐことを提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来は、図4に示す如く、レーザ発振器20にトリガ信号を送るトリガ発生器30と、フォトデテクタ40によって検知されるレーザ光のエネルギに応じてパルスの良否を判定するパルス判定装置42が、制御装置50を介して接続されていたため、レーザ発振とパルス観察のタイミング調整がうまくいかない場合があった。
【0007】
図4において、6は加工対象物(ワーク)、8はワーク搬送用ステージ、22はミラー、24はビームスプリッタ(例えばハーフミラー)、52はレーザビーム走査用のXYスキャナである。
【0008】
又、従来は、照射完了と同時に、図5に示す如く前記パルス判定装置42の出力による補償を全く行なわないか、あるいは図6に示す如く毎回補償のための判定を行なっていたため、図5の場合には、加工処理時間は短いものの、補償を行なうことができず、一方、図6の場合には、補償は可能であるが、必ず加工条件判断処理時間がかかり、加工処理全体では処理時間が長くなるという問題点を有していた。
【0009】
図5において、C1は制御装置(C)50からXYスキャナ52に対する穴位置▲1▼への移動の指示、S1はXYスキャナ(S)52によるレーザビームの穴位置▲1▼への移動、C2は制御装置50からトリガ発生器30への照射指示、T1はトリガ発生器(T)30からレーザ発振器20への照射トリガ信号出力、C3は制御装置50からXYスキャナ52に対する穴位置▲2▼への移動指示、S2はXYスキャナ52の穴位置▲2▼への移動、C4は制御装置50からトリガ発生器30への照射指示、T2はトリガ発生器30からレーザ発振器20への照射トリガ信号出力、▲1▼、▲2▼、▲3▼は穴位置を示す。
【0010】
又、図6において、C1〜C4、S1〜S2、T1〜T2は図5と同じ、R1は判定結果(ここではOK)を取得して制御装置50へ通知、C5はXYスキャナ52に対する穴位置▲3▼への移動指示、S3はXYスキャナ52によるレーザビームの穴位置▲3▼への移動、R2は判定結果(ここではNG)を取得して制御装置50へ通知、C6はNG確認に基づくXYスキャナ52に対する穴位置▲2▼への移動指示、S4はXYスキャナ52によるレーザビームの穴位置▲2▼への移動、C7はトリガ発生器30へのリトリガ照射指示、T3はリトリガ照射のためのトリガ信号出力、C8はXYスキャナ52に対する穴位置▲3▼への移動指示、S5はXYスキャナ52によるレーザビームの穴位置▲3▼への移動、R3は判定結果(ここではOK)を取得して制御装置50へ通知、C9はトリガ発生器30への照射指示、T4は照射トリガ信号出力を示す。
【0011】
ここでは、T2の判定結果R2でNGが判明したときに、XYスキャナ52は既に穴位置▲2▼から▲3▼への移動中なのに、S4で再び穴位置▲2▼に戻って再度トリガ信号T3を出力しており、効率が悪い。
【0012】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、レーザ発振とパルス観察のタイミング調整を迅速に行なえるようにすることを第1の課題とする。
【0013】
本発明は、又、判断処理時間の影響を少なくして、加工補償を迅速に行なえるようにすることを第2の課題とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、トリガ信号に従って、所定の周波数で発振するレーザ発振器と、 レーザのパルスエネルギを検知する判定手段と、所定の発振条件に従って、前記トリガ信号を生成すると共に、前記パルス判定手段の出力に応じて、トリガ信号を制御するトリガコントローラとを備えることにより、前記課題を解決したものである。
【0015】
又、前記パルス判定手段の出力が良である時は、前記トリガコントローラが次の設定されたトリガ信号を出力し、否である時は、同じ設定のトリガ信号を追加して再度出力するようにしたものである。
【0016】
又、前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の動作タイミング信号も出力するようにしたものである。
【0017】
又、前記トリガコントローラが、設定されたパルス数レーザ発振させた後、発振完了信号を出力するようにしたものである。
【0018】
又、前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の検出結果を無視して発振完了信号を出力するようにしたものである。
【0019】
あるいは、前記トリガコントローラが、トリガ信号発生後、まず、発振完了信号を出力し、次いで、前記パルス判定手段の検出結果を出力するようにしたものである。
【0020】
あるいは、前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の検出手段が可である時は、発振完了信号を出力し、不可である時は、トリガ信号を再度発生するようにしたものである。
【0021】
又、前記のいずれかが選択可能とされたトリガコントローラを備えたレーザ加工装置を提供するものである。
【0022】
本発明は、又、複数の目標を設定可能なレーザ走査手段と、複数のリトリガ必要位置を記憶しておくバッファとを更に備え、移動処理時に次の目標位置への軌跡を算出するレーザ加工装置を提供するものである。
【0023】
又、トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工するレーザ加工方法が、トリガ信号発生後、まず、発振完了信号を出力し、次いで、レーザのパルスエネルギの判定結果を出力するリトリガ通知モードを有するようにしたものである。
【0024】
又、トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工するレーザ加工方法が、レーザのパルスエネルギの判定結果が良である時は、発振完了信号を出力し、否である時は、トリガ信号を再度発生するリトリガ処理モードを有するようにしたものである。
【0025】
又、レーザ加工方法が、少なくとも前記のリトリガ通知モードと、前記のリトリガ処理モードを選択可能としたものである。
【0026】
更に、レーザ加工方法が、パルスエネルギの判定結果を無視して発振完了信号を出力するリトリガ無モードも選択可能としたものである。
【0027】
又、トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工するレーザ加工方法が、複数のリトリガ必要位置を記憶しておき、次の目標位置への移動処理時に、次の次の目標位置への軌跡を算出するようにしたものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0029】
本実施形態は、図4に示したようなレーザ加工装置において、単純なトリガ発生器30の代りに、図7に示す如く、制御装置50から入力される所定の発振条件に従って、トリガ信号を生成するだけでなく、パルス判定装置42の出力に応じて、トリガ信号を生成し、更に、該パルス判定装置42の動作タイミング信号も出力するトリガコントローラ60を設けたものである。
【0030】
前記レーザ発振器(例えばCO2レーザ)20は、トリガコントローラ60からのトリガ信号に従って、所定の発振周波数で発振する。
【0031】
前記トリガコントローラ60は、図8に示す如く、CPU61と、タイマカウンタ62と、DP(デュアルポート)RAM63と、ROM64と、RAM65と、バッファ66と、A/D変換器67と、汎用出力ポート68とを含んで構成されている。
【0032】
このトリガコントローラ60は、図9に示す如く、制御装置50から与えられる発振条件に従ってトリガ信号を生成し、レーザ加工機の発振タイミングを制御する。同時に、パルス判定装置42への動作タイミング信号についても、その設定された遅延時間に応じて、タイミングを制御し出力している。又、パルス判定装置42からのパルスの良否判定信号を受け取り、パルス追加等の処理を行なう。そして、設定されたパルス数レーザ発振した後に、制御装置50に発振完了信号を送信する。
【0033】
前記フォトデテクタ40は、ビームスプリッタ24等により分岐されたレーザ光の一部を受光し、そのパルスエネルギの強度を電圧、電流等の電気信号に変換する。
【0034】
前記パルス判定装置42は、該フェトデテクタ40から出力される電気信号を受け、パルスエネルギが、予め設定された基準値以上か否かを判定し、判定結果をトリガコントローラ60へ出力する。
【0035】
前記制御装置50は、加工が不十分で補償が必要な穴の位置座標を複数記録しておくバッファ51を有している。
【0036】
前記XYスキャナ52の制御装置は、図10に示すようなインターフェース(IF)を有しており、XYそれぞれに目標位置を設定することができる。更に、この目標位置設定用に2組のバッファ(X1,Y1)、(X2,Y2)を持っている。
【0037】
前記XYスキャナ52は、制御装置50から移動命令を受信した際、現在位置と目標位置を比較し、その目標に到達するまでの軌跡(加速区間、定速区間、減速区間)を算出した上で、スキャナの移動を行なう。この軌跡算出時間での待ち時間を無くすため、移動処理時に次回の目標位置の軌跡算出を行なっており、図10に示した2組のバッファは、このために用意している。
【0038】
以下、本実施形態の作用を説明する。
【0039】
まず、制御装置50により設定された発振周波数、パルス幅、ショット数に応じ、トリガコントローラ60がレーザ発振器20にトリガ信号を出力する。同時に、トリガコントローラ60は、レーザ発振器20へのトリガ信号出力から、設定された遅延時間(以下、判定ディレイと称する)経過後に、パルス判定装置42に動作タイミング信号を出力する。
【0040】
フォトデテクタ40にレーザ光の一部が入射すると、そのパルスエネルギに応じて、その出力電圧(電流)が変化する。パルス判定装置42においては、トリガコントローラ60から動作タイミング信号が入力された時点でのフォトデテクタ40の出力信号が観察され、予め設定された基準値よりも大きい場合、パルスOK信号を、基順値より小さい場合、パルスNG信号をトリガコントローラ60へ出力する。
【0041】
トリガコントローラ60は、トリガパルス出力後、予め設定された遅延時間(以下、判定入力ディレイと称する)経過後、パルス判定装置42からのパルスOK信号を受け取ると、次の設定されたトリガパルスを出力する。一方、パルスNG信号を受け取った場合には、レーザパルスが出力されなかったと判断し、追加のレーザ発振をさせるために、同じ設定のトリガパルス(リトリガパルスと称する)を出力する。
【0042】
トリガコントローラ60は、パルス判定装置42の判定結果を無視するリトリガ無モードと、前記判定結果を取り込み、その結果を制御装置50に通知するリトリガ通知モードと、前記判定結果に応じてリトリガを行うリトリガ処理モードを選択可能とされている。
【0043】
前記リトリガ通知モードでは、トリガコントローラ60は、トリガ信号発生後、すぐに制御装置50に照射完了を通知し、パルス判定装置42から判定結果を得てから、その内容を制御装置50に通知する。
【0044】
前記リトリガ処理モードでは、先にパルス判定回路42の判定結果を取り込み、OK(良)ならば制御装置50に照射完了を通知する。NG(否)ならば、トリガ信号を再び発生させ(リトリガ)、同様に判定結果を確認の上、制御装置50に照射完了を通知する。
【0045】
トリガパルス追加に際しては、連続して照射している間に、図11に示す如く、動作モードを切換えることが可能である。
【0046】
即ち、パルス判定を行う(ステップ100)場合で、設定されたパルス数照射中、最後の1ショット(ステップ120)も含む全ショットのパルス判定を行なう(ステップ122、132)リトリガ処理モードの場合は、NGパルスが存在した場合(ステップ124、132)、全て1ショット追加し(ステップ128、138)、追加したショットに関してもパルス判定を行ない、設定パルス数分のOKパルスが発振されたことが確認された時点で、制御装置50に発振完了信号を送信する(ステップ136)。
【0047】
又、最後の1ショットのパルス判定を行わない(ステップ120)リトリガ通知モードの場合は、設定されたパルス数照射中、最後の1ショット以外は全てパルス判定を行ない(ステップ122)、NGパルスが存在した場合(ステップ124)、全て追加する(ステップ128)。最後の1ショットでは(ステップ120)、トリガ信号出力直後に制御装置50に発振完了信号を送信し(ステップ140)、その後OK判定の場合(ステップ144)、そのまま次の加工へ移行する。NG判定の場合、制御装置50へNG判定を送信し(ステップ146)、制御装置50からの次の指令を待つ。
【0048】
又、パルス判定を行わない(ステップ100)リトリガ無モードの場合は、従来と同様に、パルス判定の結果を反映せず、設定されたパルス数(ステップ110)のトリガパルスを出力し、制御装置50へ発振完了信号を送信する(ステップ114)。
【0049】
このようにして、レーザ発振器20へのトリガ信号と、パルス判定装置42への動作タイミング信号の信号源を同一のものとすることにより、より正確な同期が可能となることで、安定したパルス判定を行なうことができる。又、パルス判定の遅延時間も、パラメータ設定で変更可能となり、フォトデテクタ42の変更等に柔軟に対応可能となる。更に、パルス判定の有無やパルス判定後のトリガパルス追加等の動作が切換え可能であるので、加工時間短縮等への対応も容易である。
【0050】
本実施形態におけるトリガコントローラ60の使用モードがリトリガ通知モードである場合のタイミングチャートを図12に、NG部分に対するリトリガ処理有りモードの場合のタイミングチャートを図13に示す。
【0051】
図12では、制御装置50が、C1でXYスキャナ52に対して、図10に示したバッファX1、Y1に保持された次の穴位置▲1▼への移動を指示し、バッファX2、Y2に保持された次の次の穴位置▲2▼への軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52が、S1でビームを穴位置▲1▼へ移動する。移動整定完了後、制御装置50がC2でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60はT1で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0052】
次いで制御装置50は、C3でXYスキャナ52に対して、バッファX2、Y2に記憶された次の穴位置▲2▼への移動を指示し、バッファX1、Y1に記憶された次の次の穴位置▲2▼への軌跡算出を指示する。これによりXYスキャナ52は、S2でビームを穴位置▲2▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R1でパルス判定装置42からトリガ出力T1に対応する照射のエネルギ判定結果(ここではOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0053】
穴位置▲2▼への移動整定完了後、制御装置50は、XYスキャナ52の穴位置移動完了及びトリガコントローラ60からのエネルギ判定結果を受け、C4でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ30は、これを受け、T2で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0054】
制御装置50は、更に、C5で、XYスキャナ52に対して、更新後のバッファX1、Y1に保持された次の穴位置▲3▼への移動を指示すると共に、同じく更新後のバッファX2、Y2に保持された次の次の穴位置▲4▼への軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52は、S3でビームを穴位置▲3▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R2でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここではNG)を取得し、制御装置50へ通知する。今回は判定結果がNGであったため、制御装置50は、これをバッファ51に記憶する。
【0055】
穴位置▲3▼への移動整定完了後、制御装置50は、C6でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60は、これを受け、T3で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0056】
次いで、制御装置50は、C7でXYスキャナ52に対して、更新後のバッファX2、Y2に保持された次の穴位置▲4▼への移動を指示すると共に、同じく更新後のバッファX1、Y1に保持されたNG分の穴位置▲2▼へ戻るための軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52は、S4でビームを穴位置▲4▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R3でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここでOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0057】
穴位置▲4▼への移動整定完了後、制御装置50はC8でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60は、これを受け、T4で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0058】
次いで制御装置50は、C9でXYスキャナ52に対して、更新後のバッファX1、Y1に保持された次の穴位置▲2▼への移動を指示すると共に、同じく更新後のバッファX2、Y2に保持された次の次の穴位置への軌跡算出を指示する。これにより、XYスキャナ52は、S5でビームを穴位置▲2▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R4でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここではOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0059】
穴位置▲2▼への移動整定完了後、制御装置50は、C10でトリガコントローラ60に照射を指示する。トリガコントローラ60はこれを受け、T5で照射トリガ信号をレーザ発振器20に出力する。
【0060】
次いで制御装置50は、C11で、XYスキャナ52に対して、更新後のバッファX2、Y2に保持された次の穴位置▲5▼への移動を指示すると共に、やはり更新後のバッファX1、Y1に保持された次の次の穴位置▲6▼への軌跡算出を指示する。
【0061】
これによりXYスキャナ52は、S6でビームを穴位置▲5▼へ移動する。この間、トリガコントローラ60は、R5でパルス判定装置42からエネルギ判定結果(ここではOK)を取得し、制御装置50へ通知する。
【0062】
図12に示すリトリガ通知モードでは、毎回リトリガ処理を行なわず、リトリガ通知のみで次の処理に移っているので、基板の加工にかかる時間を削減できる。但し、同じ位置でNGを出した場合には、戻る距離が長くなっていく。
【0063】
一方、図13に示すリトリガ処理モードでは、図12と同様にして、制御装置50からC10でトリガコントローラ60へのリトリガ照射指示終了後、トリガコントローラ60は、T5で、リトリガ照射のための照射トリガ信号を出力する。このT5は、図12のR5も含むため長くなっている。
【0064】
このリトリガ処理モードでは、判断処理時間が最低限必要となるが、NGの場合、そのままトリガコントローラ60で処理を継続して実施することができる。
【0065】
なお、図12及び13では、移動と計算処理を無駄にしないように制御しているが、計算は無駄にし、移動だけを無駄にしないように制御することも可能である。
【0066】
前記実施形態においては、パルス判定装置42に参照値を設定していたが、参照値を設定する位置は、これに限定されず、例えば制御装置50でも構わない。
【0067】
又、前記実施形態においては、バッファが2つとされていたが、1ブロックの穴数分のバッファを用いることも可能である。この場合には、バッファに蓄えられたリトリガが必要な穴位置に対し、巡回セールスマン問題(TSP)等の最適パスアルゴリズムを利用して、再度加工順序の最適化を図ることも可能である。
【0068】
なお、前記実施形態においては、本発明が、レーザ穴開け機に適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、レーザ切断機やマーキングマシン等、レーザ加工機一般に同様に適用できることは明らかである。レーザの種類もCO2レーザに限定されず、UVレーザ等、他のレーザにも適用できる。
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、トリガコントローラによりトリガ信号を生成すると共に、パルス判定手段の出力に応じてトリガ信号を制御するようにしたので、レーザ発振とパルス観察のタイミングを容易に調整することができ、安定したパルス判定が可能となる。
【0070】
又、トリガコントローラがリトリガを発生するようにしたので、処理時間を短縮し、移動時間を効率化すると共に、高速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パルスレーザのミスパルス、ウィークパルス、ストロングパルスを示すタイムチャート
【図2】基板へのビア加工における追加パルスの例を示すタイムチャート及び断面図
【図3】同じく銅加工における追加パルスの例を示すタイムチャート及び断面図
【図4】従来のレーザ加工機の全体構成を示す、一部光路図を含むブロック図
【図5】従来の追加パルス補償がない場合のタイミングチャート
【図6】同じく追加パルス補償がある場合のタイミングチャート
【図7】本発明の実施形態における全体構成を示す、一部光路を示すブロック図
【図8】前記実施形態で用いられているトリガコントローラの構成例を示す回路図
【図9】同じく各部信号波形の例を示すタイムチャート
【図10】同じくXYスキャナのインターフェースを示す線図
【図11】同じくトリガコントローラの全体の処理手順を示す流れ図
【図12】同じくリトリガ通知モードの一例のタイミングチャート
【図13】同じくリトリガ処理モードの一例のタイミングチャート
【符号の説明】
6…ワーク(加工対象物)
8…ワーク搬送用ステージ
20…レーザ発振器
40…フォトデテクタ
42…パルス判定装置
50…制御装置
52…XYスキャナ
60…トリガコントローラ
Claims (14)
- トリガ信号に従って、所定の周波数で発振するレーザ発振器と、
レーザのパルスエネルギを検知する判定手段と、
所定の発振条件に従って、前記トリガ信号を生成すると共に、前記パルス判定手段の出力に応じて、トリガ信号を制御するトリガコントローラと、
を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。 - 前記パルス判定手段の出力が良である時は、前記トリガコントローラが次の設定されたトリガ信号を出力し、否である時は、同じ設定のトリガ信号を追加して再度出力することを特徴とする請求項1に記載のレーザ加工装置。
- 前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の動作タイミング信号も出力するようにされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ加工装置。
- 前記トリガコントローラが、設定されたパルス数レーザ発振させた後、発振完了信号を出力するようにされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレーザ加工装置。
- 前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の検出結果を無視して発振完了信号を出力するようにされていることを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
- 前記トリガコントローラが、トリガ信号発生後、まず、発振完了信号を出力し、次いで、前記パルス判定手段の検出結果を出力するようにされていることを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
- 前記トリガコントローラが、前記パルス判定手段の検出結果が良である時は、発振完了信号を出力し、否である時は、トリガ信号を再度発生するようにされていることを特徴とする請求項4に記載のレーザ加工装置。
- 請求項5乃至7のいずれかが選択可能とされたトリガコントローラを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
- 複数の目標を設定可能なレーザ走査手段と、
複数のリトリガ必要位置を記憶しておくバッファとを更に備え、
次の目標位置への移動処理時に、次の次の目標位置への軌跡を算出することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のレーザ加工装置。 - トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工する際に、
トリガ信号発生後、まず、発振完了信号を出力し、
次いで、レーザのパルスエネルギの判定結果を出力するリトリガ通知モードを有することを特徴とするレーザ加工方法。 - トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工する際に、
レーザのパルスエネルギの判定結果が良である時は、発振完了信号を出力し、否である時は、トリガ信号を再度発生するリトリガ処理モードを有することを特徴とするレーザ加工方法。 - 少なくとも請求項10に記載のリトリガ通知モードと、請求項11に記載のリトリガ処理モードを選択可能としたことを特徴とするレーザ加工方法。
- 更に、パルスエネルギの判定結果を無視して発振完了信号を出力するリトリガ無モードも選択可能としたことを特徴とする請求項12に記載のレーザ加工方法。
- トリガ信号に従って発生されるレーザにより加工対象物を加工する際に、
複数のリトリガ必要位置を記憶しておき、
次の目標位置への移動処理時に、次の次の目標位置への軌跡を算出することを特徴とするレーザ加工方法。
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