JP2004032848A - モータ制御装置、及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】3相インバータに給電される電源電流の過剰状態(過電流)が検出可能で、かつ安価なモータ制御装置を実現する。
【解決手段】式(4)に従って、モータ3の消費電力Pを推定する。ここで、式(4)が可用なのは、モータ制御装置100のd軸電流指令値Id * が恒常的に0に設定されているためである。また、指令値(q軸電圧Vq * )が時間に対して大幅に急変することは無いものと仮定している。例えば、車載用の電動パワーステアリング装置等では、通常、この様な仮定が常に成り立っている。したがって、電源電流推定部13では次式(5)に従って、電源電流Ibの値を推定することができる。力率ηの値は経験的に最適値を求めておくことができる。
P≒Iq ×Vq * …(4)
Ib=P/(η×Vb) (0<η≦1) …(5)
【選択図】 図1
【解決手段】式(4)に従って、モータ3の消費電力Pを推定する。ここで、式(4)が可用なのは、モータ制御装置100のd軸電流指令値Id * が恒常的に0に設定されているためである。また、指令値(q軸電圧Vq * )が時間に対して大幅に急変することは無いものと仮定している。例えば、車載用の電動パワーステアリング装置等では、通常、この様な仮定が常に成り立っている。したがって、電源電流推定部13では次式(5)に従って、電源電流Ibの値を推定することができる。力率ηの値は経験的に最適値を求めておくことができる。
P≒Iq ×Vq * …(4)
Ib=P/(η×Vb) (0<η≦1) …(5)
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、前記3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置に関し、特にそのインバータに給電される電流の値を推定する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置においては、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)を検出する手段等として、電源、インバータ、又はこの両者を接続する接続配線に設けられた電流計(電流センサ)が用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、その様な従来構成においては、上記の電流計(電流センサ)を具備する必要があるため、その分のコストアップは不可避であった。また、上記の電流計を省略(廃止)すれば、インバータに給電される電流の量が不明となるので、過剰電流状態を検出することができなくなり、よって、適切な異常処置を取ることは困難となる。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)が検出可能で、かつ安価なモータ制御装置を実現することである。
【0005】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の効果】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、第1の手段は、3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、この3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置において、ブラシレス直流モータのdq座標平面上のモータ電流Iとモータ電圧Vの両値に基づいて、ブラシレス直流モータが消費する電力Pを推定する電力推定手段と、電源電圧Vbと電力Pの両値に基づいて、3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定する電源電流推定手段とを設けることである。
【0006】
上記のモータ電流Iやモータ電圧Vには、実際の測定値の他にも、電流指令値I* や電圧指令値V* 等を用いることができる。以下、各変数の右肩に添える「*」なる記号は、指令値を表すものである。
モータ電流の測定値や電圧指令値等の値(例:実効値|I|、|V* |等)は、例えば、次式(1)や次式(2)等の周知の演算手順により求めることができる。
【数1】
|I|=〔{(Iq )2 +(Id )2 }/2〕1/2 …(1)
【数2】
|V* |=〔{(Vq * )2 +(Vd * )2 }/2〕1/2 …(2)
(記号)
Iq : q軸電流の測定値
Id : d軸電流の測定値
Vq * : q軸電圧の指令値
Vd * : d軸電圧の指令値
勿論、これらの各変数には、実際の物理的な測定値を用いても良いし、制御用の指令値を用いても良い。これらを選択する際には、各種センサ(各相毎の電圧計や電流計等)の有無等に係わるシステム構成や、演算方式等の実現容易性や、CPUオーバヘッドや、所望の値の推定精度等を総合的に加味して、適当な変数を任意に用いることができる。
ただし、指令値が時間に対して大幅に急変することは無いものと仮定する。不連続かつ大幅に指令値が急変する場合等では、測定値の代りに指令値を用いることはできない。
【0007】
例えば上記の電力推定手段では、次式(3)の様にして、電力P(の実効値)を推定することができる。Pの値がそのまま必要な場合には、各変数の符号(位相)に付いても考慮すれば良い。
尚、通常、回生電力により過電流が生じることはないので、電力Pの実効値さえ判っていれば良い場合が多い。
【数3】
|P|=|I| ×|V|,
|P|≒|I| ×|V* |,
|P|≒|I* |×|V|,
|P|≒|I* |×|V* | …(3)
【0008】
ただし、式(1)、式(2)等からも判る様に、界磁電流を使用しない通常の、定常的にId * ≒0,Vd * ≒0等とするモータ制御装置においては、上記の式(3)の代わりに、次式(4)を代替させることができる。
【数4】
P≒Iq ×Vq ,
P≒Iq ×Vq * ,
P≒Iq * ×Vq ,
P≒Iq * ×Vq * …(4)
【0009】
これらの式を用いれば、上記の電源電流推定手段では次式(5)に従って、3相インバータ2に給電される電源電流Ibの値を推定することができる。
【数5】
Ib=P/(η×Vb) (0<η≦1) …(5)
ここで、上記の係数ηは力率である。電源とインバータ間の配線等により生じ得る電圧降下分が、この係数ηの値に若干影響する場合も有る。しかしながら、その様な場合にも、この力率ηの値は、経験的に最適値を求めておくことができる。
【0010】
例えば、以上の様な手段により、3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定すれば、3相インバータに給電される電源電流を直接測定する電流計を具備する必要が無くなる。このため、本発明によれば、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)が検出可能で、かつ安価なモータ制御装置を実現することができる。
【0011】
また、本発明の第2の手段は、3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、この3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置において、ブラシレス直流モータに関する出力トルク推定値Th と角速度測定値ωの両値に基づいて、ブラシレス直流モータが消費する電力Pを推定する電力推定手段と、電源電圧Vbと電力Pの両値に基づいて、3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定する電源電流推定手段とを設けることである。
【0012】
この第2の手段を上記の第1の手段と比較した場合、電力推定手段における、電力Pの推定方式が異なるだけである。
即ち、電力Pは次式(6)を用いても推定することができる。
【数6】
P = Th ×ω,
Th = K×I,
ω = dθ/dt …(6)
ただし、θはモータの回転角であり、ブラシレス直流モータ制御用の回転角センサから入力することができる。また、測定値Iは上記の第1の手段と同様の処理手順(例:式(1))に従って、例えば、Iq ,Id 等から求めることができる。上記の定数Kはモータ定数(トルク定数)である。
【0013】
また、上記の式(1)や式(6)等から出力トルク推定値Th を求める方式の他にも、出力トルクの指令値T* を式(6)の出力トルク推定値Th の代替変数として使用する方式が適用可能である。
【0014】
例えば、以上の様な手段によっても、上記の式(1)、式(5)、式(6)等から3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定できるので、3相インバータに給電される電源電流を直接測定する電流計を具備する必要が無くなる。このため、本発明の第2の手段によっても、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)が検出可能で、かつ安価なモータ制御装置を実現することができる。
【0015】
また、本発明の第3の手段は、車両の運転者の操舵を補助するアシストトルクを出力する電動パワーステアリング装置において、上記の何れか1つのモータ制御装置と、電源電流Ib(推定値)を用いて異常(過電流)に関する判定を行う異常判定手段と、異常判定手段により異常(過電流)が検出された時に、モータ制御装置によるブラシレス直流モータの3相駆動制御を停止する緊急制御停止手段とを設けることである。
【0016】
例えば、この様な電動パワーステアリング装置においては、モータに過剰な電流が流れる等して、不測の操舵が実施される等の恐れがない。即ち、この様な電動パワーステアリング装置においては、十分な安全性を従来よりも安価で獲得することができる。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
〔第1実施例〕
図1に、本発明の実施例に係わるモータ制御装置100のシステム構成図を示す。
モータ制御装置100は、図略のCPU、ROM、RAM等を有する図略のコンピュータを具備し、3相インバータ2は、図略のバッテリー、PWM変換器、PMOS駆動回路等から構成され、チョッパ制御により駆動電流を正弦波にしてモータ3に電力を供給する。モータ3はブラシレス直流モータで3相駆動制御される。
【0018】
電圧計(電圧センサ)1を経由して、電源電流Ibが3相インバータ2に供給される。モータ3には、3相インバータ2よりU,V,Wの3相に対する各モータ駆動電流Iu,Iv,Iwが供給される。回転角センサ4はモータ3の回転角θを出力する。
【0019】
また、図1の3相変換部11、2相変換部12、及び電源電流推定部13等は、上記の図略のコンピュータを制御するソフトウェアにより実現されている。
例えば、3相変換部11は、回転角θ、指令電圧Vq* ,Vd* を入力し、これらに基づいて、周知のdq逆変換を実行し、更に、2相→3相変換を実行して、各相毎の電圧指令値Vu* ,Vv* ,Vw* を出力する。
【0020】
図2は、本実施例におけるモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラムである。d軸とq軸の各電流指令値(Id* ,Iq* )は、「トルク指令」の指令値に基づいて決定される。通常は、Id* =0である。
【0021】
以下、本発明の特徴部分を具現する電源電流推定部13の動作について、図2を用いて説明する。
図2のフローチャートは、モータ制御装置100の電源電流推定部13で実行する処理手順を例示するものである。
【0022】
電源電流推定部13で実行する処理手順としては、まず最初に、ステップ131により、測定値(電源電圧Vb,q軸電流Iq )を入力する。
ステップ132では、指令値(q軸電圧Vq * )を入力する。
ステップ135では、式(4)(2行目)に従って、モータ3の消費電力Pを推定する。
【0023】
ここで、式(4)が可用なのは、前にも言及した様に、図1のモータ制御装置100のd軸電流指令値Id * が恒常的に0に設定されているためである。また、指令値(q軸電圧Vq * )が時間に対して大幅に急変することは無いものと仮定している。また、追従性(応答性)の高いモータ制御装置では、実測値と指令値との間に大きな差異があるケースは殆ど無い。例えば、車載用の電動パワーステアリング装置等では、通常、この様な仮定(指令値の連続性や、系の応答性等)が常に成り立っている。上記の手順は、これらの仮定条件が容易に成り立つ系において、特に有効であり、それらの場合に、高い推定精度が期待できる。
【0024】
ステップ137では、式(5)に従って、電源電流Ibの値を推定する。
ステップ139では、求めた電源電圧Ibを所定の記憶領域に出力する。
例えばこの様な構成にしたがって、電源電圧Ibの推定値を常時算出することができるため、効果的に過電流等の異常を監視することができる。
【0025】
図3は、モータ制御装置100における本発明の効果を例示するグラフである。例えば上記のモータ制御装置100を用いれば、本発明の作用により、この様に高い精度で電源電圧Ibの推定値を実施できることが判る。
【0026】
〔第2実施例〕
上記の第1実施例では、前述の式(4)に基づいてモータの消費電力Pを求める処理手順を例示したが、本第2実施例では、その他の処理手順によってモータの消費電力Pを求める実施形態を例示する。この方法は、前記の本発明の第2の手段に対応するものである。
【0027】
即ち、例えば図1のモータ制御装置100においては式(1)に基づいてモータ電流Iを求めることができ、更に、モータ3の回転角θからモータ3の回転角速度ω(=dθ/dt)を求めることができるので、前述の図1のモータ制御装置100においては、モータの消費電力Pを、式(4)の代りに前述の式(6)を用いて求めることができる。モータ電流Iの符号(向き)は、モータ3の回転角速度ωを増加させる方向を正の向きとする。
【0028】
例えばこの様な方式を採用すれば、モータ電流Iや回転角速度ωを実測値に基づいて算出できるため、q軸電流指令値Iq * 等の指令値の与え方(仮定されるべき連続性等)とは無関係に、常に電源電流Ibをより正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わるモータ制御装置100のシステム構成図。
【図2】モータ制御装置100の電源電流推定部13で実行する処理手順を例示するフローチャート。
【図3】モータ制御装置100における本発明の効果を例示するグラフ。
【符号の説明】
100 … モータ制御装置
1 … 電圧計(電圧センサ)
2 … 3相インバータ
3 … ブラシレス直流モータ
4 … 回転角センサ
11 … 3相変換部
12 … 2相変換部
13 … 電源電流推定部
Ib … 電源電流
Vb … 電源電圧
I … モータ電流(瞬時交流電流)
V … モータ電圧(瞬時交流電圧)
I* … 電流指令値
V* … 電圧指令値
Iq * … q軸電流の指令値
Id * … d軸電流の指令値
Vq * … q軸電圧の指令値
Vd * … d軸電圧の指令値
P … モータ消費電力(推定値)
η … 力率
θ … モータ回転角
ω … モータ回転角速度(=dθ/dt)
Th … 出力トルク推定値
K … モータ定数(トルク定数)
【発明の属する技術分野】
本発明は、3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、前記3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置に関し、特にそのインバータに給電される電流の値を推定する手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置においては、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)を検出する手段等として、電源、インバータ、又はこの両者を接続する接続配線に設けられた電流計(電流センサ)が用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、その様な従来構成においては、上記の電流計(電流センサ)を具備する必要があるため、その分のコストアップは不可避であった。また、上記の電流計を省略(廃止)すれば、インバータに給電される電流の量が不明となるので、過剰電流状態を検出することができなくなり、よって、適切な異常処置を取ることは困難となる。
【0004】
本発明は、上記の課題を解決するために成されたものであり、その目的は、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)が検出可能で、かつ安価なモータ制御装置を実現することである。
【0005】
【課題を解決するための手段、並びに、作用及び発明の効果】
上記の課題を解決するためには、以下の手段が有効である。
即ち、第1の手段は、3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、この3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置において、ブラシレス直流モータのdq座標平面上のモータ電流Iとモータ電圧Vの両値に基づいて、ブラシレス直流モータが消費する電力Pを推定する電力推定手段と、電源電圧Vbと電力Pの両値に基づいて、3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定する電源電流推定手段とを設けることである。
【0006】
上記のモータ電流Iやモータ電圧Vには、実際の測定値の他にも、電流指令値I* や電圧指令値V* 等を用いることができる。以下、各変数の右肩に添える「*」なる記号は、指令値を表すものである。
モータ電流の測定値や電圧指令値等の値(例:実効値|I|、|V* |等)は、例えば、次式(1)や次式(2)等の周知の演算手順により求めることができる。
【数1】
|I|=〔{(Iq )2 +(Id )2 }/2〕1/2 …(1)
【数2】
|V* |=〔{(Vq * )2 +(Vd * )2 }/2〕1/2 …(2)
(記号)
Iq : q軸電流の測定値
Id : d軸電流の測定値
Vq * : q軸電圧の指令値
Vd * : d軸電圧の指令値
勿論、これらの各変数には、実際の物理的な測定値を用いても良いし、制御用の指令値を用いても良い。これらを選択する際には、各種センサ(各相毎の電圧計や電流計等)の有無等に係わるシステム構成や、演算方式等の実現容易性や、CPUオーバヘッドや、所望の値の推定精度等を総合的に加味して、適当な変数を任意に用いることができる。
ただし、指令値が時間に対して大幅に急変することは無いものと仮定する。不連続かつ大幅に指令値が急変する場合等では、測定値の代りに指令値を用いることはできない。
【0007】
例えば上記の電力推定手段では、次式(3)の様にして、電力P(の実効値)を推定することができる。Pの値がそのまま必要な場合には、各変数の符号(位相)に付いても考慮すれば良い。
尚、通常、回生電力により過電流が生じることはないので、電力Pの実効値さえ判っていれば良い場合が多い。
【数3】
|P|=|I| ×|V|,
|P|≒|I| ×|V* |,
|P|≒|I* |×|V|,
|P|≒|I* |×|V* | …(3)
【0008】
ただし、式(1)、式(2)等からも判る様に、界磁電流を使用しない通常の、定常的にId * ≒0,Vd * ≒0等とするモータ制御装置においては、上記の式(3)の代わりに、次式(4)を代替させることができる。
【数4】
P≒Iq ×Vq ,
P≒Iq ×Vq * ,
P≒Iq * ×Vq ,
P≒Iq * ×Vq * …(4)
【0009】
これらの式を用いれば、上記の電源電流推定手段では次式(5)に従って、3相インバータ2に給電される電源電流Ibの値を推定することができる。
【数5】
Ib=P/(η×Vb) (0<η≦1) …(5)
ここで、上記の係数ηは力率である。電源とインバータ間の配線等により生じ得る電圧降下分が、この係数ηの値に若干影響する場合も有る。しかしながら、その様な場合にも、この力率ηの値は、経験的に最適値を求めておくことができる。
【0010】
例えば、以上の様な手段により、3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定すれば、3相インバータに給電される電源電流を直接測定する電流計を具備する必要が無くなる。このため、本発明によれば、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)が検出可能で、かつ安価なモータ制御装置を実現することができる。
【0011】
また、本発明の第2の手段は、3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、この3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置において、ブラシレス直流モータに関する出力トルク推定値Th と角速度測定値ωの両値に基づいて、ブラシレス直流モータが消費する電力Pを推定する電力推定手段と、電源電圧Vbと電力Pの両値に基づいて、3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定する電源電流推定手段とを設けることである。
【0012】
この第2の手段を上記の第1の手段と比較した場合、電力推定手段における、電力Pの推定方式が異なるだけである。
即ち、電力Pは次式(6)を用いても推定することができる。
【数6】
P = Th ×ω,
Th = K×I,
ω = dθ/dt …(6)
ただし、θはモータの回転角であり、ブラシレス直流モータ制御用の回転角センサから入力することができる。また、測定値Iは上記の第1の手段と同様の処理手順(例:式(1))に従って、例えば、Iq ,Id 等から求めることができる。上記の定数Kはモータ定数(トルク定数)である。
【0013】
また、上記の式(1)や式(6)等から出力トルク推定値Th を求める方式の他にも、出力トルクの指令値T* を式(6)の出力トルク推定値Th の代替変数として使用する方式が適用可能である。
【0014】
例えば、以上の様な手段によっても、上記の式(1)、式(5)、式(6)等から3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定できるので、3相インバータに給電される電源電流を直接測定する電流計を具備する必要が無くなる。このため、本発明の第2の手段によっても、インバータに給電される電流の過剰状態(過電流)が検出可能で、かつ安価なモータ制御装置を実現することができる。
【0015】
また、本発明の第3の手段は、車両の運転者の操舵を補助するアシストトルクを出力する電動パワーステアリング装置において、上記の何れか1つのモータ制御装置と、電源電流Ib(推定値)を用いて異常(過電流)に関する判定を行う異常判定手段と、異常判定手段により異常(過電流)が検出された時に、モータ制御装置によるブラシレス直流モータの3相駆動制御を停止する緊急制御停止手段とを設けることである。
【0016】
例えば、この様な電動パワーステアリング装置においては、モータに過剰な電流が流れる等して、不測の操舵が実施される等の恐れがない。即ち、この様な電動パワーステアリング装置においては、十分な安全性を従来よりも安価で獲得することができる。
以上の本発明の手段により、前記の課題を効果的、或いは合理的に解決することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
〔第1実施例〕
図1に、本発明の実施例に係わるモータ制御装置100のシステム構成図を示す。
モータ制御装置100は、図略のCPU、ROM、RAM等を有する図略のコンピュータを具備し、3相インバータ2は、図略のバッテリー、PWM変換器、PMOS駆動回路等から構成され、チョッパ制御により駆動電流を正弦波にしてモータ3に電力を供給する。モータ3はブラシレス直流モータで3相駆動制御される。
【0018】
電圧計(電圧センサ)1を経由して、電源電流Ibが3相インバータ2に供給される。モータ3には、3相インバータ2よりU,V,Wの3相に対する各モータ駆動電流Iu,Iv,Iwが供給される。回転角センサ4はモータ3の回転角θを出力する。
【0019】
また、図1の3相変換部11、2相変換部12、及び電源電流推定部13等は、上記の図略のコンピュータを制御するソフトウェアにより実現されている。
例えば、3相変換部11は、回転角θ、指令電圧Vq* ,Vd* を入力し、これらに基づいて、周知のdq逆変換を実行し、更に、2相→3相変換を実行して、各相毎の電圧指令値Vu* ,Vv* ,Vw* を出力する。
【0020】
図2は、本実施例におけるモータ制御装置100の制御ブロック・ダイアグラムである。d軸とq軸の各電流指令値(Id* ,Iq* )は、「トルク指令」の指令値に基づいて決定される。通常は、Id* =0である。
【0021】
以下、本発明の特徴部分を具現する電源電流推定部13の動作について、図2を用いて説明する。
図2のフローチャートは、モータ制御装置100の電源電流推定部13で実行する処理手順を例示するものである。
【0022】
電源電流推定部13で実行する処理手順としては、まず最初に、ステップ131により、測定値(電源電圧Vb,q軸電流Iq )を入力する。
ステップ132では、指令値(q軸電圧Vq * )を入力する。
ステップ135では、式(4)(2行目)に従って、モータ3の消費電力Pを推定する。
【0023】
ここで、式(4)が可用なのは、前にも言及した様に、図1のモータ制御装置100のd軸電流指令値Id * が恒常的に0に設定されているためである。また、指令値(q軸電圧Vq * )が時間に対して大幅に急変することは無いものと仮定している。また、追従性(応答性)の高いモータ制御装置では、実測値と指令値との間に大きな差異があるケースは殆ど無い。例えば、車載用の電動パワーステアリング装置等では、通常、この様な仮定(指令値の連続性や、系の応答性等)が常に成り立っている。上記の手順は、これらの仮定条件が容易に成り立つ系において、特に有効であり、それらの場合に、高い推定精度が期待できる。
【0024】
ステップ137では、式(5)に従って、電源電流Ibの値を推定する。
ステップ139では、求めた電源電圧Ibを所定の記憶領域に出力する。
例えばこの様な構成にしたがって、電源電圧Ibの推定値を常時算出することができるため、効果的に過電流等の異常を監視することができる。
【0025】
図3は、モータ制御装置100における本発明の効果を例示するグラフである。例えば上記のモータ制御装置100を用いれば、本発明の作用により、この様に高い精度で電源電圧Ibの推定値を実施できることが判る。
【0026】
〔第2実施例〕
上記の第1実施例では、前述の式(4)に基づいてモータの消費電力Pを求める処理手順を例示したが、本第2実施例では、その他の処理手順によってモータの消費電力Pを求める実施形態を例示する。この方法は、前記の本発明の第2の手段に対応するものである。
【0027】
即ち、例えば図1のモータ制御装置100においては式(1)に基づいてモータ電流Iを求めることができ、更に、モータ3の回転角θからモータ3の回転角速度ω(=dθ/dt)を求めることができるので、前述の図1のモータ制御装置100においては、モータの消費電力Pを、式(4)の代りに前述の式(6)を用いて求めることができる。モータ電流Iの符号(向き)は、モータ3の回転角速度ωを増加させる方向を正の向きとする。
【0028】
例えばこの様な方式を採用すれば、モータ電流Iや回転角速度ωを実測値に基づいて算出できるため、q軸電流指令値Iq * 等の指令値の与え方(仮定されるべき連続性等)とは無関係に、常に電源電流Ibをより正確に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係わるモータ制御装置100のシステム構成図。
【図2】モータ制御装置100の電源電流推定部13で実行する処理手順を例示するフローチャート。
【図3】モータ制御装置100における本発明の効果を例示するグラフ。
【符号の説明】
100 … モータ制御装置
1 … 電圧計(電圧センサ)
2 … 3相インバータ
3 … ブラシレス直流モータ
4 … 回転角センサ
11 … 3相変換部
12 … 2相変換部
13 … 電源電流推定部
Ib … 電源電流
Vb … 電源電圧
I … モータ電流(瞬時交流電流)
V … モータ電圧(瞬時交流電圧)
I* … 電流指令値
V* … 電圧指令値
Iq * … q軸電流の指令値
Id * … d軸電流の指令値
Vq * … q軸電圧の指令値
Vd * … d軸電圧の指令値
P … モータ消費電力(推定値)
η … 力率
θ … モータ回転角
ω … モータ回転角速度(=dθ/dt)
Th … 出力トルク推定値
K … モータ定数(トルク定数)
Claims (3)
- 3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、前記3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置において、
前記ブラシレス直流モータのdq座標平面上のモータ電流Iとモータ電圧Vの両値に基づいて、前記ブラシレス直流モータが消費する電力Pを推定する電力推定手段と、
前記電源電圧Vbと前記電力Pの両値に基づいて、前記3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定する電源電流推定手段と
を有する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 3相インバータに印加される電源電圧Vbを測定する電圧計を備え、前記3相インバータを用いてブラシレス直流モータを3相駆動制御するモータ制御装置において、
前記ブラシレス直流モータに関する出力トルク推定値Th と角速度測定値ωの両値に基づいて、前記ブラシレス直流モータが消費する電力Pを推定する電力推定手段と、
前記電源電圧Vbと前記電力Pの両値に基づいて、前記3相インバータに給電される電源電流Ibの値を推定する電源電流推定手段と
を有する
ことを特徴とするモータ制御装置。 - 車両の運転者の操舵を補助するアシストトルクを出力する電動パワーステアリング装置において、
請求項1又は請求項2に記載のモータ制御装置と、
前記電源電流Ib(推定値)を用いて異常(過電流)に関する判定を行う異常判定手段と、
前記異常判定手段により異常(過電流)が検出された時に、前記モータ制御装置による前記ブラシレス直流モータの3相駆動制御を停止する緊急制御停止手段と
を有する
ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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JP2002182594A JP2004032848A (ja) | 2002-06-24 | 2002-06-24 | モータ制御装置、及び電動パワーステアリング装置 |
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2002
- 2002-06-24 JP JP2002182594A patent/JP2004032848A/ja active Pending
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