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JP2004028753A - レーダ装置 - Google Patents

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JP2004028753A JP2002184371A JP2002184371A JP2004028753A JP 2004028753 A JP2004028753 A JP 2004028753A JP 2002184371 A JP2002184371 A JP 2002184371A JP 2002184371 A JP2002184371 A JP 2002184371A JP 2004028753 A JP2004028753 A JP 2004028753A
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Abstract

【課題】縦振動信号と横振動信号の直流オフセット量を制御することにより、目的の走査領域を均一に測定する。
【解決手段】レーダ装置は、レーザ光を送出するレーザダイオード7と、縦横に振動することにより、レーザダイオード7から送出されたレーザ光を用いて2次元走査を行うスキャナ6と、スキャナ6を介して送出されたレーザ光の反射信号を受信するフォトダイオード8と、スキャナ6の縦振動信号と横振動信号とを制御する制御装置4eとを備える。制御装置4eは、所定時間ごとに縦振動信号と横振動信号の直流オフセット量を所定量ずつ変化させて走査観測時間内で少なくとも半周期の変化をさせることにより、2次元走査領域内で観測ポイントの均一な測定結果を得ることができる。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2次元スキャナを用いて車両周囲に存在する障害物や先行車までの距離や形状を検出するレーダ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
レーダ装置には、特開平9−101474号公報に開示されているようなマイクロスキャナなどの2次元スキャナを使用する方法が知られている。この2次元スキャナを用いた方法では、正弦波信号によりスキャナのミラーを駆動させるため、直線的な走査を行うラスタースキャンとは異なり、正弦波的な走査のリサージュスキャンを行うことになる。従来のレーダ装置によりリサージュスキャンを行ったときの走査結果を図12、図13に示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
リサージュスキャンを行う場合、図12に示すように、スキャナを振動させる縦振動周波数と横振動周波数との関係に応じて走査領域内の測定ポイントに疎と密の部分が生じることがある。測定ポイントの疎の領域は常に同じではなく、縦振動と横振動の波長の位相変化によって走査領域内で移動するため、均一な測定結果が必要とされるレーダ装置(測距装置)に使用するには問題があった。また、縦振動周波数と横振動周波数との関係により、図13に示すように、定在波が立つ状態になることもある。この場合、定在波の周波数が小さいと、測定ポイントの疎の領域が広くなり、測定できる領域が小さくなるという問題もあった。
【0004】
本発明の目的は、縦振動信号と横振動信号の直流オフセット量を制御することにより、目的の走査領域を均一に測定するレーダ装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によるレーダ装置は、信号を送出する信号送出装置と、縦横に振動することにより、信号送出装置から送出された信号を用いて対象物を2次元走査するスキャナと、スキャナを介して送出された前記信号の反射信号を受信する信号受信装置と、スキャナの縦振動信号および横振動信号のうちの少なくとも一方の直流分をオフセットさせる量を変化させるオフセット制御を行う制御装置とを備え、制御装置は、所定時間ごとに縦振動信号と横振動信号のうちの少なくとも一方の直流オフセット量を所定量ずつ変化させて走査観測時間内で少なくとも半周期の変化をさせることにより、上記目定を達成する。
【0006】
【発明の効果】
本発明によるレーダ装置によれば、縦横の振動により2次元走査を行うスキャナの縦振動信号および横振動信号のうちの少なくとも一方の直流オフセット量を、所定時間ごとに所定量ずつ変化させて走査観測時間内に少なくとも半周期の変化をさせるので、2次元走査観測領域内で観測ポイントの疎の領域が生じることがなく、観測ポイントの均一な測定結果を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
レーダ装置としては、赤外光を用いるレーザレーダや電磁波を用いる電波レーダなどがある。レーダ方式には、短時間のパルス信号を送信し、物標に反射して戻ってきたパルス信号を受信するまでの時間を測定して距離を算出するパルス方式や、三角波を用いて周波数変調や振幅変調した連続波を送信し、反射信号の周波数変位や位相変位により距離を算出するCW方式がある。以下では、光学式スキャナを赤外レーザレーダ装置に用いて、パルス方式を採用した方法について説明する。
【0008】
図1は、本発明によるレーダ装置の第1の実施の形態の構成を示す図である。レーダ装置1は、信号送信部2と、信号受信部3と、信号処理部4とを備える。信号送信部2は、スキャナ駆動部5と、スキャナ6と、レーザダイオード7と、反射ミラー10と、温度検出部25とを備える。レーザダイオード7は、後述する信号処理部4の送信パルス発生部4aから送信される発光命令信号に基づいて、赤外線レーザ光(以下、レーザ光と呼ぶ)を送出する。送出されたレーザ光は、反射ミラー10で反射されてスキャナ6に入射される。スキャナ駆動部5がスキャナ6を縦・横に振動させることにより、レーザ光を用いた2次元スキャンが行われる。スキャナ駆動部5とスキャナ6については後述する。また、スキャナ温度検出部25は、スキャナ6の温度を検出する。検出した温度は、スキャナ6の共振周波数を補正するために用いられる。
【0009】
信号受信部3は、フォトダイオード8と光学レンズ9とを備える。信号送信部2から送出されたレーザ光は、物標で反射して、光学レンズ9を介してフォトダイオード8で受光される。反射レーザ光をフォトダイオード8で受光すると、受光した旨の信号が信号処理部4の距離検出部4dに送信される。
【0010】
信号処理部4は、CPU、ROM、RAM等により構成され、内部で行う機能上、送信パルス発生部4aと、送信方位検出部4bと、オフセット調整部4cと、距離検出部4dと、先行車認識ロジック部4eとを有し、物標までの距離や物標の方位、形状などを算出する。送信パルス発生部4aは、信号送信部2のレーザダイオード7にレーザ光を送出させる発光命令信号を送信する。距離検出部4dは、この発光命令信号が送出されてから、信号受信部3のフォトダイオード8が物標に反射して戻ってきたレーザ光を受光し、受光した信号が信号処理部4に送られてくるまでの時間差に基づいて、物標までの距離を算出する。距離の算出では、回路内の信号送受信の遅延時間を考慮に入れた補正が行われる。
【0011】
図2は、レーザダイオード7からレーザ光を送出させるために信号処理部4から送信されるトリガ信号(発光命令)と、レーザダイオード7から送出される発光パルスと、フォトダイオード8が反射光を受光したときの受光信号との時間関係を示す図である。レーザ光を送出させるために、信号処理部4の送信パルス発生部4aからパルス幅τのトリガ信号が信号送信部2に送信されると、信号送信部2のレーザダイオード7は、トリガ信号に同期してパルス幅τの赤外線パルス光(以下、パルス光と呼ぶ)を所定の方向に向けて送出する。送出されたパルス光は物標が存在する場合には物標で反射して、信号受信部3の光学レンズを通してフォトダイオード8で受光される。パルス光を送出してから反射光が受光されるまでの時間をΔt、光速をcとすると、レーダ装置と物標までの距離Dは次式(1)にて算出される。
D=c・Δt/2 …(1)
上述したように、実際の距離算出に際しては、式(1)で算出される距離Dに対して、回路内の信号送受信の遅延時間などにより生じる計測距離の誤差を考慮した補正が行われる。
【0012】
信号処理部4内の送信方位検出部4bは、レーザダイオード7にレーザ光を送出させる信号を送信した時点でのスキャナ6内のミラー面の角度に基づいて、レーザ光の送出方位を検出して物標方位を算出する。パルス光の送受信は、信号送信部2のスキャナ駆動部5によりスキャナ6を駆動させてパルス光を送出する方向を変えながら所定回数行われる。このとき、信号送信部2から送出されたパルス光の中には、物標が存在せずに反射しないものもある。従って、物標に反射して信号受信部3で受光したパルス光の送出時点でのスキャナ6のミラー面の角度に基づいて、物標の方位を算出する。
【0013】
オフセット調整部4cは、スキャナ6を駆動するための縦駆動信号と横駆動信号のオフセット振幅を設定し、設定したオフセット振幅に基づいたオフセット制御信号をスキャナ駆動部5に送る。スキャナ駆動部5は、このオフセット制御信号に基づいてスキャナ6を駆動させる。オフセット振幅の設定方法については後述する。先行車認識ロジック4eは、所定の観測時間内にスキャナ6を用いて行われる2次元走査により得られた物標までの距離・方位等の2次元情報に基づいて、車両認識ロジックなどを用いて先行車の同定を行う。得られた先行車情報や障害物情報などは、自車両と先行車両との距離が設定車間距離となるように先行車追従制御を行うACCコントローラ(Adaptive Cruise Control)としての車両側CPUに送信される。
【0014】
図3は、スキャナ6の詳細な構成を示す図である。本実施の形態では、スキャナ6として、ダブルジンバル型マイクロスキャナを用いる。ミラー11は、両側から2本の横梁12Aを介してミラーサポート部13に支えられており、横梁12Aを含むミラーサポート部13全体が、横梁12Aと直交する向きの2本の縦梁12Bにより挟み込まれる形でスキャナ台座基板14に支えられている。スキャナ台座基板14の外側には、2対の永久磁石15が配置されており、縦方向および横方向の磁界がスキャナ基板14の全体に印加される。
【0015】
ミラー11の裏面外枠とミラーサポート部13の裏面外枠には、図示しないコイルが配線されている。このコイルに流す電流量と永久磁石から印加される磁界によってミラー11の端部およびミラーサポート部13の端部にローレンツ力が発生する。これにより、横梁12A,縦梁12Bをそれぞれ軸とする縦振動,横振動の共振振動が発生し、ミラー11で反射したレーザ光を用いた2次元走査を行うことができる。
【0016】
図4は、スキャナ駆動部5の詳細な構成を示す図である。本実施の形態では、横駆動周波数が縦駆動周波数よりも低いものとして説明する。スキャナ駆動部5は、縦駆動信号発生器16と、横駆動信号発生器17と、直流オフセット変調器19と、利得可変増幅器20a,20bとを備える。以下、縦駆動信号発生器16により発振される正弦波の縦振動信号を縦駆動信号、横駆動信号発生器17により発振される正弦波の横振動信号を横駆動信号と呼ぶ。縦駆動信号発生器16で発振された縦駆動信号の正弦波は、信号処理部4から入力される制御信号に応じた周波数に調整されて、利得可変増幅器20aに出力される。同様に、横駆動信号発生器17で発振された横駆動信号の正弦波は、信号処理部4から入力される制御信号に応じた周波数に調整されて、利得可変増幅器20bに出力される。
【0017】
利得可変増幅器20a,20bはそれぞれ、入力された各々の駆動周波数の信号を、信号処理部4から送られてくる振動振幅制御信号に基づいた各々の増幅率にて増幅する。両駆動信号のうち、縦駆動信号はスキャナ6に送られ、周波数の低い横駆動信号は、直流オフセット変調器19に送られる。直流オフセット変調器19は、入力された横駆動信号に対して、信号処理部4から送られてくるオフセット制御信号に基づいてオフセット変調を行い、オフセット変調後の横駆動信号をスキャナ6に送る。
【0018】
縦駆動信号発生器16と横駆動信号発生器17で発振される縦横の駆動信号は、スキャナ6の共振周波数付近の周波数に初期設定されている。この共振周波数は、スキャナ6の1次共振、2次共振などのいずれの共振周波数でもよい。信号処理部4は、スキャナ駆動部5に指令を送ることにより、縦横の駆動信号のうち、周波数の低い方の駆動信号の直流分を、走査観測時間内にて所定量ずつ増加または減少させるオフセット制御を行う。具体的には、縦横の駆動信号のうち、周波数の低い方の駆動信号の直流オフセット量を所定時間ごとに所定量ずつ変化させることにより、走査観測時間内で少なくとも半周期変化させる。ここでの走査観測時間とは、所定面積の2次元走査領域をスキャンするのに要する時間をいう。なお、縦駆動信号の周波数と横駆動信号の周波数との大小関係は、レーダ装置のスキャン特性により定まるものである。
【0019】
縦駆動信号発生器16で発振される縦駆動信号をA1・sin(ω1・t+α)、横駆動信号発生器17で発振される横駆動信号をA2・sin(ω2・t+β)、走査観測時間をTすると、オフセット制御後の縦駆動信号V(t)、横駆動信号H(t)は、それぞれ式(2)〜(5)で表される。ただし、縦駆動信号より横駆動信号の周波数が低いものとし、式(2),(3)は、三角波関数を用いてオフセット制御を行ったときの結果を、式(4),(5)は、正弦波関数を用いてオフセット制御を行ったときの結果を示す。なお、以下では、三角波関数を用いたオフセット制御を三角波変調、正弦波関数を用いたオフセット制御を正弦波変調と呼ぶ。
≪三角波変調を行う場合≫
Figure 2004028753
ただし、nは、T>t− n・T>0を満たす整数、A2’は振幅変調後の横駆動信号振幅、A3は所望の横スキャン振幅を得るための定数である。
≪正弦変調を行う場合≫
Figure 2004028753
【0020】
図5(a)は、オフセット制御前の横駆動信号を示す図、図5(b)は、三角波変調を行った後の横駆動信号を示す図であり、図6(a)はオフセット制御前の横駆動信号を示す図、図6(b)は正弦変調を行った後の横駆動信号を示す図である。定数A3の一例を挙げると、目的のスキャン幅を40度としたとき、縦横の駆動信号の周波数比(ω1/ω2)が整数で、かつ、奇数である場合には、オフセット振動振幅A3を64/(ω1/ω2)とし、横駆動信号振幅A2’を20−32(ω1/ω2)に設定する。また、周波数比(ω1/ω2)が偶数の場合には、オフセット振動振幅A3を32/(ω1/ω2)とし、横駆動信号振幅A2’を20−16(ω1/ω2)に設定する。すなわち、オフセット変調部4cは、縦駆動信号の周波数と横駆動信号の周波数の比に基づいて、オフセット振動振幅A3を設定し、オフセット振動振幅A3に応じて横駆動信号振幅A2’を設定する。これにより、均一なスキャンを実現することができる。
【0021】
図7は、本発明によるレーダ装置の信号処理部4により行われる制御の一実施の形態の手順を示すフローチャートである。ステップS10以下の処理は、信号処理部4にスキャン開始命令の信号が入力されることにより始まる。以下、ステップS10から順に説明する。ステップS10では、スキャナ温度検出部25によりスキャナ6の温度を検出する。スキャナ6の温度を検出するとステップS20に進む。ステップS20では、スキャナ6を駆動するための縦駆動信号の周波数f1と横駆動信号の周波数f2とを、それぞれスキャナ6の共振周波数付近の周波数に初期設定する。スキャナ6の共振周波数は、ステップS10で検出したスキャナ6の温度に応じて補正した値である。
【0022】
共振周波数をスキャナ6の温度に応じて補正する理由について説明しておく。スキャナ6の共振周波数は、スキャナ6の周辺温度の変化等の影響によって遷移することがある。すなわち、スキャナ6の温度変化によって、スキャナ6の共振周波数が変化し、スキャン領域(観測領域)が減少することがある。これを防ぐために、ステップS10で検出したスキャナ6の温度に基づいて、温度変化分に対応する共振周波数変化を考慮した補正を行う。スキャナ6の温度変化と共振周波数の変化との関係は、予め実験等により求めておく。これにより、スキャナ6の温度が変化することによって、スキャン領域が減少するのを防ぐことができる。
【0023】
ステップS20で、縦駆動周波数f1と横駆動周波数f2とをそれぞれスキャナ6の共振周波数付近の周波数に初期設定すると、ステップS30に進む。ステップS30では、上述したように、縦駆動信号と横駆動信号の周波数比に基づいて、直流オフセット振幅A3を設定する。直流オフセット振幅A3を設定すると、ステップS40に進む。ステップS40では、縦駆動周波数f1と横駆動周波数f2とを比較していずれの周波数が低いかを判定し、低周波である駆動信号の振動振幅を直流オフセット振幅A3と所望のスキャン幅に応じて設定する(式(3),(5)参照)。また、高周波である駆動信号は、所望のスキャン幅に応じて設定する(式(2),(4)参照)。縦駆動信号および横駆動信号の振幅をそれぞれ設定するとステップS50に進む。
【0024】
ステップS50では、縦横の振動振幅が所望のスキャン幅となっているか否か、すなわちスキャン角度が適正か否かを判定する。スキャン角度が適正ではないと判定するとステップS60に進む。ステップS60では、縦・横の駆動信号のうち低周波の駆動信号の振幅を再調整してステップS50に戻る。一方、ステップS50にて、スキャン角度が適正であると判定するとステップS70に進む。ステップS70では、送信パルス発生部4aから信号送信部2のレーザダイオード7に発光命令を送る。発光命令を受けたレーザダイオード7は、パルス光を送出することにより、2次元スキャンが開始される。
【0025】
上述した制御によれば、スキャナ6の温度を検出し(ステップS10)、スキャナ6を駆動するための縦駆動周波数f1と横駆動周波数f2とをそれぞれ、温度補正後のスキャナ6の共振周波数付近の周波数に初期設定する(ステップS20)。この縦駆動周波数f1と横駆動周波数f2との比に基づいて、オフセット振幅A3を設定して、低周波数の駆動信号に直流オフセット制御を行う(ステップS30〜ステップS40)。これにより、2次元走査観測領域内で観測ポイントが疎となる領域の発生を抑制した2次元観測を行うことができる。
【0026】
ステップS70で送信パルス発生部4aから発光命令が送出された後、レーザダイオード7からパルス光が送出されて測距が開始されるが、測距開始後に、スキャナ6の共振周波数が、周辺温度の変化などの影響により遷移することがある。従って、所定の2次元走査領域内で観測を行うためには、スキャナ6の共振周波数の変化に応じて、スキャナ6の駆動条件を変更する必要がある。この制御方法を図8の制御フローチャートを用いて説明する。
【0027】
図8に示すフローチャートによる制御は、測距を開始してから適宜行うものである。すなわち、図7に示すフローチャートのステップS70の発光命令後に測距が開始されるが、この後に適宜行われるものである。従って、所定の時間ごとに行ってもよいし、所定の制御前、または制御後ごとに行うようにしてもよい。以下、ステップS100から順に説明していく。
【0028】
ステップS100では、パルス光を送出する方向、すなわちスキャン角度が適正か否かを判定する。スキャン角度が適正であると判定すると本フローチャートによる処理を終了し、測距を継続する。適正ではないと判定するとステップS110に進む。ステップS110では、スキャナ温度検出部25によりスキャナ6の温度を検出する。スキャナ6の温度を検出するとステップS120に進む。
【0029】
ステップS120では、駆動周波数初期設定時の温度、すなわち、図7に示すフローチャートのステップS10で検出したスキャナ6の温度と、ステップS110で検出したスキャナ6の温度との差Δtが、所定値ΔTmp以下であるか否かを判定する。温度変化Δtが、所定値ΔTmp以下であると判定するとステップS140に進み、所定値ΔTmpより大きいと判定するとステップS130に進む。ステップS130では、スキャナ6の温度変化が大きいので、駆動周波数の微調整や振幅変調は行わずに、縦・横駆動周波数の再設定を行う。すなわち、ステップS110で検出した温度に基づいて、縦・横駆動周波数の再設定を行い、ステップS100に戻る。
【0030】
一方、ステップS140では、駆動信号の振幅増幅率に余裕があるか否かを判定する。すなわち、走査観測領域が限られていることから、駆動信号の振幅増幅率にも制限があるので、現在の振幅増幅率と所定の制限値とを比較することにより、振幅増幅率に余裕があるか否かを判定する。振幅増幅率に余裕があると判定するとステップS160に進み、余裕がないと判定するとステップS150に進む。ステップS150では、駆動信号の振幅を調整することができないので、縦駆動周波数f1と横駆動周波数f2とをそれぞれ調整して、ステップS100に戻る。一方、ステップS160では、駆動信号の振幅増幅率を増加させて、ステップS100に戻る。
【0031】
図8に示すフローチャートによる制御によれば、測距開始後に、スキャナ6の温度変化に伴って共振周波数が変動しても、随時、駆動信号の振幅増幅率や駆動周波数の調整を行うので、所定の2次元走査領域内で観測を行うことができる。これにより、2次元観測領域内で観測ポイントの疎と密の部分が生じるのを防ぐことができ、均一なスキャン動作を維持することができる。
【0032】
本実施の形態におけるレーダ装置を用いて、正弦波的な走査であるリサージュスキャンにより2次元走査を行ったときの結果を図9に示す。また、6つのミラー面を有するポリゴンミラーを備えた従来のレーダ装置を用いて、直線的なラスタースキャンを行ったときの走査結果を図10に示す。従来のレーダ装置を用いて2次元走査を行ったときの結果を示す図10,図12,図13と比較しても明らかなように、本実施の形態におけるレーダ装置によれば、縦方向および横方向ともに、走査領域内で均一な走査が行われている。この時の走査領域の縦方向の分割数、すなわち、縦方向の測定ポイント数は、レーザダイオード7から送出する発光パルス数を制御することによって変更することができる。すなわち、発光パルス数を増やせば、縦方向の分割数を増やすことができ、より緻密な測定を行うことができる。
【0033】
また、パルス光を送出する時間間隔を縦駆動周期の整数分の1になるように設定すると、走査領域の縦方向の分割数を走査領域全体で統一することができる。例えば、パルス光を送出する時間間隔を縦駆動周波数f1を有する波動(駆動信号)の周期の40分の1に設定すると、縦方向の分割数は21となる。同様に、走査領域の横方向の分割数も発光パルス数を制御することにより変更することができる。例えば、パルス光を送出する時間間隔を横駆動周波数f2を有する波動の周期の400分の1に設定すると、横方向の分割数は201となる。
【0034】
−変形例−
図11は、図1に示すレーダ装置に用いられる反射ミラー10の代わりに1次元スキャンミラー26を用いたレーダ装置の構成を示す図である。1次元スキャンミラー26は、信号処理部4内に設けられた1次元スキャナ駆動部27により駆動され、走査観測時間内で1周期の振動を行う。2次元スキャナ6は、1次元スキャンミラー26で走査されたレーザ光が全て入射されるように、ミラー面積を広げたものを用いる。これにより、擬似的に低周波数の駆動信号によるスキャンにオフセット制御を行う効果が得られ、2次元観測領域内で観測ポイントの疎と密の部分が生じるのを防いで均一なスキャン動作を実現することができる。
【0035】
本実施の形態におけるレーダ装置によれば、縦・横の振動により2次元走査を行うスキャナの縦駆動信号または横駆動信号の直流オフセット量を、所定時間ごとに所定量ずつ変化させることにより、走査観測時間内に少なくとも半周期のオフセット量の変化をさせる制御を行うので、2次元走査観測領域内で観測ポイントの疎の領域が生じることがなく、均一な測定結果を得ることができる。オフセット振幅は、縦駆動周波数と横駆動周波数の比に応じて設定し、周波数の低い方の駆動信号の駆動振幅を変化させるので、観測ポイントの均一な測定結果を得ることができる。走査観測時間内に少なくとも半周期するオフセット振動の信号形態を、三角波などによるリニア変調や、正弦波などによる正弦波変調を用いることにより、観測時間内に均一な測定結果を得ることができる。
【0036】
また、スキャナの温度に基づいて、縦振動周波数と横振動周波数とを補正するので、スキャナの温度変化による走査領域の減少を防ぐことができる。さらに、パルス光を送出する時間間隔をスキャナの縦駆動信号の周期の整数分の1に設定することにより、走査領域の縦の分割数を統一することができ、同様に、スキャナの横振動信号の周期の整数分の1に設定することにより、走査領域の横の分割数を統一することができる。
【0037】
本発明は、上述した一実施の形態に限定されることはない。例えば、スキャナ6の駆動方式は上述した方法に限られず、静電方式、圧電方式、電磁方式などの駆動方式を用いてもよい。また、梁12A,12Bの裏側に磁歪膜を装着して、交流磁界を印加することにより、曲げやねじれを発生させて縦・横の振動を発生させることもできる。
【0038】
上述した一実施の形態では、縦駆動信号および横駆動信号のうち、周波数の低い信号に対してオフセット制御を行うようにしたが、双方の駆動信号に対してオフセット制御を行うようにすることもできる。さらに、赤外光を用いるレーザレーダ以外に、可視光を用いるレーザレーダ、電波を用いる電波レーダ、超音波を用いる超音波レーダ、その他のレーダ装置に採用することもできる。
【0039】
特許請求の範囲の構成要素と一実施の形態の構成要素との対応関係は次の通りである。すなわち、レーザダイオード7が信号送出装置を、スキャナ6がスキャナを、フォトダイオード8が信号受信装置を、オフセット調整部4cが制御装置を、温度検出部25が温度検出装置をそれぞれ構成する。なお、本発明の特徴的な機能を損なわない限り、各構成要素は上記構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるレーダ装置の一実施の形態の構成を示す図
【図2】光パルスの送受信信号のタイミングを示す図
【図3】一実施の形態におけるレーダ装置のスキャナの構成を示す図
【図4】一実施の形態におけるレーダ装置のスキャナ駆動部の構成を示す図
【図5】図5(a)は、オフセット制御を行わない場合の横駆動信号を示す図であり、図5(b)は三角波変調によるオフセット制御後の横駆動信号を示す図
【図6】図6(a)は、オフセット制御を行わない場合の横駆動信号を示す図であり、図6(b)は正弦変調によるオフセット制御後の横駆動信号を示す図
【図7】一実施の形態におけるレーダ装置がスキャン動作を開始してから発光パルスを送出するまでの制御手順を示すフローチャート
【図8】一実施の形態におけるレーダ装置がスキャン角度の調整を行うときの制御手順を示すフローチャート
【図9】一実施の形態におけるレーダ装置によってリサージュスキャンを行ったときの走査結果を示す図
【図10】従来のレーダ装置によりラスタースキャンを行ったときの走査結果を示す図
【図11】本発明によるレーダ装置の変形構成例を示す図
【図12】従来のレーダ装置によりリサージュスキャンを行ったときの走査結果を示す図
【図13】従来のレーダ装置によりリサージュスキャンを行ったときの走査結果を示す図
【符号の説明】
1…レーダ装置、2…信号送信部、3…信号受信部、4…信号処理部、4a…送信パルス発生部、4b…送信方位検出部、4c…オフセット調整部、4d…距離検出部、4e…先行車認識ロジック部、5…スキャナ駆動部、6…スキャナ、7…レーザダイオード、8…フォトダイオード、9…光学レンズ、10…反射ミラー、11…ミラー面、12A…横梁、12B…縦梁、13…ミラーサポート部、14…スキャナ台座基板、15…永久磁石、16…縦駆動信号発生器、17…横駆動信号発生器、19…直流オフセット変調器、20a,20b…利得可変増幅器、25…温度検出部、26…1次元スキャンミラー、27…1次元スキャナ駆動部

Claims (9)

  1. 信号を送出する信号送出装置と、
    縦横に振動することにより、前記信号送出装置から送出された前記信号を用いて対象物を2次元走査するスキャナと、
    前記スキャナを介して送出された前記信号の反射信号を受信する信号受信装置と、
    前記スキャナの縦振動信号および横振動信号のうちの少なくとも一方の直流分をオフセットさせる量を変化させるオフセット制御を行う制御装置とを備え、
    前記制御装置は、所定時間ごとに前記縦振動信号および前記横振動信号のうちの少なくとも一方の直流オフセット量を所定量ずつ変化させて走査観測時間内で少なくとも半周期の変化をさせることを特徴とするレーダ装置。
  2. 請求項1に記載のレーダ装置において、
    前記制御装置は、前記縦振動信号と前記横振動信号のうち、周波数の低い振動信号に対して前記オフセット制御を行うことを特徴とするレーダ装置。
  3. 請求項2に記載のレーダ装置において、
    前記制御装置は、前記縦振動信号の周波数と前記横振動信号の周波数との比に基づいて、前記オフセット制御を行うための直流オフセット振幅を設定し、前記直流オフセット振幅に基づいて、周波数の低い振動信号の振幅を設定することを特徴とするレーダ装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のレーダ装置において、
    前記オフセット制御を三角波関数を用いて行うことを特徴とするレーダ装置。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のレーダ装置において、
    前記オフセット制御を正弦波関数を用いて行うことを特徴とするレーダ装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のレーダ装置において、
    前記スキャナの温度を検出する温度検出装置をさらに備え、
    前記温度検出装置により検出した温度に基づいて、前記縦振動信号および前記横振動信号の周波数を補正することを特徴とするレーダ装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のレーダ装置において、
    前記信号送出装置が前記信号を送出する時間間隔は、前記スキャナの前記縦振動信号の周期の整数分の1であることを特徴とするレーダ装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のレーダ装置において、
    前記信号送出装置が前記信号を送出する時間間隔は、前記スキャナの前記横振動信号の周期の整数分の1であることを特徴とするレーダ装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載のレーダ装置において、
    前記信号は、赤外線パルス光であることを特徴とするレーダ装置。
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