JP2004027013A - 接着性に優れたガスバリア性ラミネート用接着剤及びラミネートフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定のエポキシ樹脂組成物を主成分とする、特定の添加剤を含有する接着剤が高ガスバリア性、速硬化性および各種ポリマー、紙、金属などに対する好適な接着性を有しており、ラミネート用接着剤として有用である。
【選択図】 無
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高ガスバリア性、速硬化性、および各種ポリマー、紙、金属などのフィルム材料に対し好適な接着性を有しているラミネート用接着剤およびそれを用いたラミネートフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、包装材料としてその強度、商品保護性、作業適性、印刷等による宣伝効果等の理由から、異種のポリマー材料を組み合わせた複合フレキシブルフィルムが主流になってきている。このような複合フィルムは一般には、商品保護の役割を有する外層となる熱可塑性プラスチックフィルム層などとシーラント層となる熱可塑性プラスチックフィルム層などからなり、これらの貼り合わせには、積層フィルム層に接着剤を塗布してシーラント層を接着させるドライラミネート法や、必要に応じて積層フィルム層にアンカーコート剤を塗布し溶融したシーラント層となるプラスチックフィルムを圧着してフィルム状に積層させる押出しラミネート法が行なわれている。また、これらの方法で使用する接着剤は、接着性能が高い点から、一般には水酸基等の活性水素基を有する主剤とイソシアネート基を有する硬化剤からなる二液型ポリウレタン系接着剤が主流となっている。
【0003】
しかしながらこれらの二液型ポリウレタン系接着剤は、一般にその硬化反応がそれほど速いものではないことから、十分な接着性を確保するために張り合わせ後に1日〜5日間の長時間におよぶエージングによる硬化促進を行う必要があった。また、イソシアネート基を有する硬化剤を使用することから、硬化後に未反応のイソシアネート基が残存した場合、この残存イソシアネート基は大気中の水分と反応して二酸化炭素を発生することから積層フィルム内に気泡が発生する等の問題があった。
【0004】
また、ポリウレタン系接着剤のガスバリア性は高いものではないことから、包装材料にガスバリア性が要求される場合にはPVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナ(Al2O3)やシリカ(Si)などを蒸着した無機蒸着フィルム層などの各種ガスバリア層を別途積層させる必要があり、積層フィルムの製造コストやラミネートにおける作業工程で不利を被るものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高ガスバリア性機能を有しており、速硬化性、および各種ポリマー、紙、金属などに対する接着性に優れたガスバリア性ラミネート用接着剤およびそれを用いたガスバリア性ラミネートフィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のエポキシ樹脂組成物を主成分とする、特定の添加剤を含有する接着剤が高ガスバリア性、速硬化性および各種ポリマー、紙、金属などに対する好適な接着性を有している事を見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明は、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を主成分とするラミネート用接着剤であって、該接着剤にシランカップリング剤が含有され、かつ、該ラミネート用接着剤により形成されるエポキシ樹脂硬化物中に(1)式に示される骨格構造が30重量%以上含有されることを特徴とするラミネート用接着剤、および該ラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルムに関するものである。
【化2】
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のラミネート接着剤はエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤を主成分とし、これらにより形成されるエポキシ樹脂硬化物中に上記(1)の骨格構造が30重量%以上、好ましくは45重量%以上、より好ましくは50重量%以上含有されることを特徴としている。接着層を形成するエポキシ樹脂硬化物中に上記(1)の骨格構造が高いレベルで含有されることにより、高いガスバリア性が発現する。以下に、エポキシ樹脂硬化物を形成するエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤について説明する。
【0009】
本発明のラミネート用接着剤において、エポキシ樹脂は脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよいが、高いガスバリア性の発現を考慮した場合には芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂が好ましく、上記(1)の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂がより好ましい。
【0010】
具体的にはメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂などが使用できるが、中でもメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂およびレゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂が好ましい。
【0011】
更に、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂やメタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することがより好ましく、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分として使用することが特に好ましい。
【0012】
また、柔軟性や耐衝撃性、耐湿熱性などの諸性能を向上させるために、上記の種々のエポキシ樹脂を適切な割合で混合して使用することもできる。
【0013】
本発明におけるエポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類とエピハロヒドリンの反応により得られる。例えば、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂は、メタキシリレンジアミンにエピクロルヒドリンを付加させることで得られる。
ここで、前記グリシジルアミン部位は、キシリレンジアミン中のジアミンの4つの水素原子と置換できる、モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位を含む。モノ−、ジ−、トリ−および/またはテトラ−グリシジルアミン部位の各比率はメタキシリレンジアミンとエピクロルヒドリンとの反応比率を変えることで変更することができる。例えば、メタキシリレンジアミンに約4倍モルのエピクロルヒドリンを付加反応させることにより、主としてテトラグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂が得られる。
【0014】
前記エポキシ樹脂は、各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対し過剰のエピハロヒドリンを水酸化ナトリウム等のアルカリ存在下、20〜140℃、好ましくはアルコール類、フェノール類の場合は50〜120℃、アミン類の場合は20〜70℃の温度条件で反応させ、生成するアルカリハロゲン化物を分離することにより合成される。
生成したエポキシ樹脂の数平均分子量は各種アルコール類、フェノール類およびアミン類に対するエピハロヒドリンのモル比により異なるが、約80〜4000であり、約200〜1000であることが好ましく、約200〜500であることがより好ましいい。
【0015】
本発明のラミネート用接着剤において、エポキシ樹脂硬化剤は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物または複素環式化合物のいずれであってもよく、ポリアミン類、フェノール類、酸無水物またはカルボン酸類などの一般に使用され得るエポキシ樹脂硬化剤を使用することができる。これらのエポキシ樹脂硬化剤は、ラミネートフィルムの使用用途およびその用途における要求性能に応じて選択することが可能である。
【0016】
具体的には、ポリアミン類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族アミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香環を有する脂肪族アミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジアミン、ノルボルデンジアミンなどの脂環式アミン、ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族アミンが挙げられる。
また、これらのポリアミン類を原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との変性反応物、エピクロルヒドリンとの付加反応物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類とのとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などが使用できる。
【0017】
フェノール類としてはカテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどの多置換基モノマー、およびレゾール型フェノール樹脂などが挙げられる。
また、酸無水物またはカルボン酸類としてはドデセニル無水コハク酸、ポリアジピン酸無水物などの脂肪族酸無水物、(メチル)テトラヒドロ無水フタル酸、(メチル)ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂環式酸無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの芳香族酸無水物、およびこれらのカルボン酸などが使用できる。
【0018】
高いガスバリア性の発現を考慮した場合には、芳香族部位を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤が好ましく、上記(1)の骨格構造を分子内に含むエポキシ樹脂硬化剤がより好ましい。
具体的にはメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン、およびこれらを原料とするエポキシ樹脂またはモノグリシジル化合物との変性反応物、エピクロルヒドリンとの付加反応物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物、これらのポリアミン類との反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物と、一価のカルボン酸および/またはその誘導体との反応生成物などを使用することがより好ましい。
【0019】
高いガスバリア性および各種材料との良好な接着性を考慮した場合には、エポキシ樹脂硬化剤として、下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物を用いることが特に好ましい。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体
【0020】
前記(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、アジピン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸などのカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などが挙げられ、特にアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体が好ましい。
また、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、安息香酸などの炭素数1〜8の一価のカルボン酸およびそれらの誘導体、例えばエステル、アミド、酸無水物、酸塩化物などを上記多官能性化合物と併用して前記ポリアミンと反応させてもよい。
【0021】
また、エポキシ樹脂硬化剤を合成する反応における反応比は、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比が0.3〜0.95の範囲が好ましい。0.3より少ない比率では、エポキシ樹脂硬化剤中に十分な量のアミド基が生成せず、高いレベルのガスバリア性が発現しない。また、0.95より高い範囲ではエポキシ樹脂と反応するアミノ基の量が少なくなり、優れた塗膜性能が発現せず、さらに高粘度となるため塗装時の作業性も低下する。
反応により導入されるアミド基部位は高い凝集力を有しており、エポキシ樹脂硬化剤中に高い割合でアミド基部位が存在することにより、より高い酸素バリア性および金属やコンクリート、プラスチックなどの基材への良好な接着強度が得られる。
【0022】
本発明のラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルムは、ラミネート直後に300mm/minの剥離速度でT型剥離をした場合のフィルム材料間の初期粘着力が30 g/15mm以上であることが好ましく、40 g/15mm以上であることがより好ましく、50 g/15mm以上であることが特に好ましい。この粘着性が十分でない場合、ラミネートフィルムのトンネリングやフィルムを巻き取る際の巻きズレなどの問題が発生する。
高い粘着性の発現を考慮した場合には、例えばエポキシ樹脂硬化剤であるメタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミンと、該ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物との反応生成物の反応比を、ポリアミン成分に対する多官能性化合物のモル比で0.3〜0.95、好ましくは0.5〜0.95、特に好ましくは0.6〜0.95の範囲とし、反応生成物であるオリゴマーの平均分子量を高くしたエポキシ樹脂硬化剤を使用することが好ましい。
【0023】
本発明のラミネート用接着剤の主成分であるエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の配合割合については、一般にエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との反応によりエポキシ樹脂硬化物を作製する場合の標準的な配合範囲であってよい。具体的には、エポキシ樹脂中のエポキシ基の数に対するエポキシ樹脂硬化剤中の活性水素数の比が0.5〜5.0、好ましくは0.8〜3.0の範囲である。
【0024】
また、本発明のラミネート用接着剤には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリウレタン系樹脂組成物、ポリアクリル系樹脂組成物、ポリウレア系樹脂組成物等の熱硬化性樹脂組成物を混合してもよい。
【0025】
本発明のラミネート用接着剤に含有されるシランカップリング剤は、アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を含むアルコキシシラン化合物、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシジル基を含むアルコキシシラン化合物、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基を含むアルコキシシラン化合物である。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
アミノ基を含むアルコキシシラン化合物あるいは(メタ)アクリロイキシ基を含むアルコシシシラン化合物を添加することで接着剤の主成分であるエポキシ基と反応し、一方、グリシジル基を含むアルコシシシラン化合物はエポキシ硬化剤と反応し、エポキシ樹脂硬化物組成を保持してガスバリア性を維持しながら、フィルムへの接着性が向上する。
【0026】
本発明のラミネート用接着剤には、必要に応じて、酸素捕捉機能を有する化合物等を添加してもよい。酸素捕捉機能を有する化合物としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等が挙げられる。
【0027】
本発明のラミネート用接着剤には各種フィルム材料に塗布時の表面の湿潤を助けるために、必要に応じてシリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良い。適切な湿潤剤としては、ビックケミー社から入手しうるBYK331、BYK333、BYK348、BYK381などがある。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。
【0028】
本発明のラミネート用接着剤には各種フィルム材料に塗布直後の各種フィルム材料に対する粘着性を向上させるために、必要に応じてキシレン樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂などの粘着付与剤を添加しても良い。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0029】
また、本発明のラミネート用接着剤により形成される接着層のガスバリア性、耐衝撃性、耐熱性などの諸性能を向上させるために、ラミネート用接着剤の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤を添加しても良い。
フィルムの透明性を考慮した場合には、このような無機フィラーが平板状であることが好ましい。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。
【0030】
さらに、本発明のラミネート用接着剤により形成される接着層のプラスチックフィルム、金属箔、紙などの各種フィルム材料に対する接着性を向上させるために、ラミネート用接着剤の中にチタンカップリング剤などを添加しても良い。これらを添加する場合には、接着剤組成物の全重量を基準として0.01重量%〜5.0重量%の範囲が好ましい。
【0031】
本発明のラミネート用接着剤によりラミネートされ得るフィルム材料としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ナイロン6、ナイロン6,6、メタキシレンアジパミドなどのポリアミド系フィルム、ポリ(メタ)アクリル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体けん化物(EVOH)系フィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、カートンなどの紙類、アルミや銅などの金属箔、およびこれらの材料に各種ポリマーによるコーティングを施した施したり、酸素捕捉機能を付与したフィルムなどが使用できる。酸素捕捉機能を付与させる方法としては、例えば、ヒンダードフェノール類、ビタミンC、ビタミンE、有機燐化合物、没食子酸、ピロガロール等の酸素と反応する低分子有機化合物や、コバルト、マンガン、ニッケル、鉄、銅等の遷移金属化合物等を含む組成物を少なくとも一部に使用する方法等が挙げられる。
これらのフィルム材料の厚さとしては10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、プラスチックフィルムの場合は一軸ないし二軸方向に延伸されているものでもよい。
【0032】
これらのフィルム材料の表面には、膜切れやはじきなどの欠陥のない接着層が形成されるように必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されることが望ましい。このような処理は各種フィルム材料に対する接着層の良好な接着を促進する。また、フィルム材料の表面に適切な表面処理がなされた後で、必要に応じて印刷層を設けることもできる。印刷層を設ける際には、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、オフセット印刷機等の従来のポリマーフィルムへの印刷に用いられてきた一般的な印刷設備が同様に適用され得る。また、印刷層を形成するインキについても、アゾ系、フタロシアニン系などの顔料、ロジン、ポリアミド樹脂、ポリウレタンなどの樹脂、メタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの溶剤等から形成される従来のポリマーフィルムへの印刷層に用いられてきたインキが同様に適用され得る。
【0033】
これらのフィルム材料の中で、シーラント層となる可撓性ポリマーフィルム層については、良好なヒートシール性の発現を考慮し、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系フィルムを選択することが好ましい。これらのフィルムの厚さは、10〜300μm程度、好ましくは10〜100μm程度が実用的であり、フィルムの表面には火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が実施されていてもよい。
【0034】
本発明のラミネート用接着剤を使用して、各種フィルム材料をラミネートする場合には、ドライラミネート、ノンソルベントラミネート、押出しラミネート等公知のラミネート法を用いることが可能である。
【0035】
本発明のラミネート用接着剤をフィルム材料に塗布し、ラミネートする場合には、接着層となるエポキシ樹脂硬化反応物を得るのに十分な接着剤組成物の濃度および温度で実施されるが、これは開始材料およびラミネート方法の選択により変化し得る。すなわち、接着剤組成物の濃度は選択した材料の種類およびモル比、ラミネート方法などにより、溶媒を用いない場合から、ある種の適切な有機溶媒および/または水を用いて約5重量%程度の組成物濃度に希釈する場合までの様々な状態をとり得る。適切な有機溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチルなどの非水溶性系溶媒、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−プロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−プロポキシ−2−プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール類、N, N−ジメチルホルムアミド、N, N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンなどの非プロトン性極性溶媒などが挙げられるがメタノール、酢酸エチル、2−プロパノールなどの比較的低沸点の溶媒が好ましい。また、溶媒を使用した場合には塗布後の溶媒乾燥温度は室温から約140℃までの様々なものであってよい。接着剤組成物をポリマーフィルムに塗布する際の塗装形式としては、ロール塗布やスプレー塗布、エアナイフ塗布、浸漬、はけ塗りなどの一般的に使用される塗装形式のいずれも使用され得る。ロール塗布またはスプレー塗布が好ましい。例えば、ポリウレタン系接着剤成分をポリマーフィルムに塗布し、ラミネートする場合と同様のロールコートあるいはスプレー技術および設備が適用され得る。
【0036】
続いて、各ラミネート方法での具体的な操作について説明する。
ドライラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に本発明のラミネート用接着剤の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布後、溶剤を乾燥させ直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合、ラミネート後に必要に応じて室温〜60℃で一定時間のエージングを行ない、硬化反応を完了することが望ましい。一定時間のエージングを行なうことにより、十分な反応率でエポキシ樹脂硬化反応物が形成され、高いガスバリア性が発現する。
【0037】
また、ノンソルベントラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に予め40℃〜100℃程度に加熱しておいた本発明のラミネート用接着剤を40℃〜120℃に加熱したグラビアロールなどのロールにより塗布後、直ちにその表面に新たなフィルム材料を貼り合わせることによりラミネートフィルムを得ることができる。この場合もドライラミネート法の場合と同様にラミネート後に必要に応じて一定時間のエージングを行なうことが望ましい。
【0038】
押出しラミネート法の場合には、基材となるフィルム材料に接着補助剤(アンカーコート剤)として本発明のラミネート用接着剤の主成分であるエポキシ樹脂およびエポキシ樹脂硬化剤の有機溶剤および/または水による希釈溶液をグラビアロールなどのロールにより塗布し、室温〜140℃で溶剤の乾燥、硬化反応を行なった後に、押出し機により溶融させたポリマー材料をラミネートすることによりラミネートフィルムを得ることができる。溶融させるポリマー材料としては低密度ポリエチレン樹脂や直線状低密度ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂などのポリオレフィン系樹脂が好ましい。
【0039】
本発明のラミネート用接着剤を各種フィルム材料等に塗布、乾燥、貼り合わせ、熱処理した後の接着層の厚さは0.1〜100μm、好ましくは0.5〜10μmが実用的である。0.1μm未満では十分なガスバリア性および接着性が発揮し難く、一方100μmを超えると均一な厚みの接着層を形成することが困難になる。
【0040】
本発明のラミネート用接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する事を特徴としていることから、本発明のラミネート用接着剤により形成されるラミネートフィルムは、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナ(Al2O3)やシリカ(Si)などを蒸着した無機蒸着フィルム層などの一般に使用されているガスバリア性材料を使用することなく非常に高いレベルのガスバリア性が発現するが、これら従来のガスバリア性材料とシーラント材料とを貼り合せる接着剤として併用することにより、得られるフィルムのガスバリア性を著しく向上させることもできる。また、本発明のラミネートフィルム中の接着剤層を形成するエポキシ樹脂硬化物は、靭性、耐湿熱性に優れることから、耐衝撃性、耐レトルト処理性などに優れたガスバリア性ラミネートフィルムが得られる。
【0041】
【実施例】
以下に本発明の実施例を紹介するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0042】
<エポキシ樹脂硬化剤>
反応容器に1molのメタキシリレンジアミンを仕込んだ。窒素気流下60℃に昇温し、0.93molのアクリル酸メチルを1時間かけて滴下した。滴下終了後120℃で1時間攪拌し、さらに、生成するメタノールを留去しながら3時間で160℃まで昇温した。100℃まで冷却し、固形分濃度が70重量%になるように所定量のメタノールを加え、エポキシ樹脂硬化剤を得た。
【0043】
また、ガスバリア性、ラミネート強度等の評価方法は以下の通りである。
<酸素透過率 (cc/m2・day・atm)>
酸素透過率測定装置(モダンコントロール社製、OX−TRAN10/50A)を使用して、ラミネートフィルムの酸素透過率を23℃、相対湿度60%の条件下で測定した。また、高湿度下での酸素透過率については23℃、相対湿度80%、90%の各条件下で測定した。
<初期粘着性 (g/15mm)>
ラミネートフィルムの貼り合わせ直後の粘着力をT型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
<ラミネート強度 (g/15mm)>
JISK−6854に指定されている方法を用い、ラミネートフィルムのラミネート強度をT型剥離試験により100mm/minの剥離速度で測定した。
<ボイル後のラミネート強度 (g/15mm)>
ラミネートフィルムを90℃の湯に30分間浸積した後に、JISK−6854に指定されている方法を用い、ラミネートフィルムのラミネート強度をT型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
<レトルト後のラミネート強度 (g/15mm)>
ラミネートフィルムを121℃の加圧釜中で30分間処理した後に、JISK−6854に指定されている方法を用い、ラミネートフィルムのラミネート強度をT型剥離試験により300mm/minの剥離速度で測定した。
【0044】
実施例1
メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂(三菱ガス化学(株)製; TETRAD−X)を50重量部およびエポキシ樹脂硬化剤を117重量部含むメタノール/酢酸エチル=1/1溶液(固形分濃度;30重量%)を作製し、そこにγ−アミノプロピルトリメトキシシラン 1.6重量部、アクリル系湿潤剤(ビック・ケミー社製;BYK381)を0.02重量部加え、よく攪拌し、塗布液を得た。
この塗布液を厚み20μmの延伸ポリプロピレンフィルムにバーコーターNo.3を使用して塗布し(塗布量:3 g/m2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた後、厚み30μmのポリプロピレンフィルムをニップロールにより貼り合わせ、35℃で1日間エージングすることによりラミネートフィルムXを得た。その際に、貼り合わせ直後の粘着性を評価した。また、得られたラミネートフィルムXについてそのガスバリア性を評価した。
一方、前記塗布液を厚み20μmの6−ナイロンフィルムにバーコーターNo.3を使用して塗布し(塗布量:3 g/m2(固形分))、85℃で10秒乾燥させた後、厚み30μmのポリプロピレンフィルムをニップロールにより貼り合わせ、60℃で1日間エージングすることによりラミネートフィルムYを得た。ラミネートフィルムYについて、ラミネート強度、ボイル処理及びレトルト処理後のラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
尚、接着層(エポキシ樹脂硬化物)中の(1)式に示される骨格構造の含有率は60.4重量%であった。
【0045】
実施例2
γ−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを1.6重量部用いた以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムX,Yを作製し、ガスバリア性とラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
【0046】
実施例3
γ−アミノプロピルトリメトキシシランの代わりにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを1.6重量部用いた以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムX,Yを作製し、ガスバリア性とラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
【0047】
比較例
γ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法でラミネートフィルムX,Yを作製し、ガスバリア性とラミネート強度を評価した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】
本発明のラミネート用接着剤は各種フィルム材料に対する好適な接着性能に加え、高いガスバリア性を有する事を特徴としていることから、ガスバリア性能と接着性能を1つの層に兼備させることが可能になる。その結果、従来の包装材料用ラミネートフィルムの場合、ガスバリア機能を有する層と、該層とシーラント層との接着のために塗工される接着層を別途使用する必要があったが、本発明のラミネート用接着剤を使用することにより、ガスバリア層を別途設けることなく高いガスバリア性を有する包装材料用ラミネートフィルムを作製する事が可能となる。また、PVDCコート層やポリビニルアルコール(PVA)コート層、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム層、メタキシリレンアジパミドフィルム層、アルミナ(Al2O3)やシリカ(Si)などを蒸着した無機蒸着フィルム層などの従来のガスバリア性フィルムとシーラント層との接着のための接着層として使用することも可能であり、その場合にはフィルムのガスバリア性を著しく向上させることができる。
Claims (8)
- 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、パラアミノフェノールから誘導されたグリシジルアミン部位および/またはグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールAから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラックから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂、レゾルシノールから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂から選ばれる少なくとも1つである請求項1に記載のラミネート用接着剤。
- 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂、および/またはビスフェノールFから誘導されたグリシジルエーテル部位を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1に記載のラミネート用接着剤。
- 前記エポキシ樹脂が、メタキシリレンジアミンから誘導されたグリシジルアミン部位を有するエポキシ樹脂を主成分とするものである請求項1に記載のラミネート用接着剤。
- 前記エポキシ樹脂硬化剤が下記の(A)と(B)の反応生成物、または(A)、(B)および(C)の反応生成物である請求項1〜4のいずれかに記載のラミネート用接着剤。
(A)メタキシリレンジアミンまたはパラキシリレンジアミン
(B)ポリアミンとの反応によりアミド基部位を形成しオリゴマーを形成し得る、少なくとも1つのアシル基を有する多官能性化合物
(C)炭素数1〜8の一価カルボン酸および/またはその誘導体 - 前記エポキシ樹脂硬化剤がメタキシリレンジアミンと、アクリル酸、メタクリル酸および/またはそれらの誘導体との反応生成物である請求項1〜4のいずれかに記載のラミネート用接着剤。
- 前記シランカップリング剤が、アミノ基、グリシジル基および(メタ)アクリロキシ基から選ばれる少なくとも1種の基を含むアルコキシシラン化合物である請求項1〜6のいずれかに記載のラミネート用接着剤。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のラミネート用接着剤を使用して作製したラミネートフィルム。
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JP2017189880A (ja) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | 凸版印刷株式会社 | 発光体保護フィルム、波長変換シート及びバックライトユニット |
WO2017179513A1 (ja) * | 2016-04-11 | 2017-10-19 | 凸版印刷株式会社 | バリアフィルム積層体及びその製造方法、波長変換シート、バックライトユニット、並びにエレクトロルミネッセンス発光ユニット |
JP2017226090A (ja) * | 2016-06-20 | 2017-12-28 | 凸版印刷株式会社 | バリアフィルム積層体及びその製造方法、波長変換シート、バックライトユニット、並びにエレクトロルミネッセンス発光ユニット |
-
2002
- 2002-06-25 JP JP2002185149A patent/JP2004027013A/ja active Pending
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