JP2004014597A - 金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】窒化アルミニウムと金属化層との接合強度が高く、金属化層及び窒化アルミニウムにクラックがなく、金属化層が低抵抗率である、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を提供すること。
【解決手段】窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートに導体高融点金属として、平均粒径2μm以上、4μm以下(好ましくは、2.5μm以上、3.5μm以下)のW粉末とWO3粉末とを含有し、それ以外の無機物粉末を混合しないペーストを塗布した後、全体を同時に焼結して金属化層を有するか、該セラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に前記ペーストを充填した後、全体を同時に焼結する。
【選択図】 なし
【解決手段】窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートに導体高融点金属として、平均粒径2μm以上、4μm以下(好ましくは、2.5μm以上、3.5μm以下)のW粉末とWO3粉末とを含有し、それ以外の無機物粉末を混合しないペーストを塗布した後、全体を同時に焼結して金属化層を有するか、該セラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に前記ペーストを充填した後、全体を同時に焼結する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体やIC用の基板、パッケージ材料として有用な、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム焼結体は熱伝導率が高いため放熱性に優れると共に、電気絶縁性や機械的強度にも優れているため、発熱量の大きな半導体やICを搭載する基板、パッケージ材料として用いられることが多い。
【0003】
窒化アルミニウムを基板やパッケージとして用いる場合には、この窒化アルミニウムの表面及び/又は内部に金属化層を形成することが必要となる。
ところが、窒化アルミニウムは金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難と考えられてきた。そこで、従来から、濡れ性を改善し、金属化した時の金属化層と窒化アルミニウム焼結体との接着強度を確保するために、様々な接着増強用成分が検討されてきた。
【0004】
このような接着増強用成分を配合してなる金属化層形成材料を用いることにより、窒化アルミニウム焼結体母材と金属化層との接合強度を高めている従来例を挙げると次の通りである。
【0005】
(特開平8−109084号公報)
Mo、W、Taから選ばれた1種以上の金属に、Al及び希土類元素から選ばれた1種以上、ならびにTi、Zr、Hfから選ばれた1種以上からなる接着増強用成分を添加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高めている。
【0006】
(特開昭63−115393号公報)
W及び/又はMoの金属に、SiO2、Al2O3、CaOを主成分とし、これに必要に応じてMgO、BaO、B2O3のいずれか1種以上を混合した接着増強用成分を添加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高めている。
【0007】
(特開昭63−195183号公報)
W及び/又はMoの金属に、CaO、BaO、SrO、Y2O3、CeO2、Gd2O3の1種以上と、Al2O3、AlNの一種以上とからなる接着増強用成分を添加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高めている。
【0008】
(特開平6−116068号公報)
Mo、W、Taから選ばれた1種以上を含有する第1の金属化層に第2の金属化層を積層し、第2の金属化層には少なくともSiO2又はAl2O3を含有した接着増強用成分を含ませることにより接合強度を高めている。
【0009】
また、例えば特開昭61−291480号公報には、金属化層をW.Mo及びこれらの硼化物、炭化物から選ばれた1種または2種の100重量部と窒化アルミニウムまたは、窒化アルミニウム基材と同成分の0.1〜50重量部とからなるように構成することにより、接合強度を高めることが記載されている。さらに、特開平4−83783号公報には、金属化層を平均粒径10乃至1.5μmのW粉末に窒化アルミニウム質焼結体と実質的に同一組成からなる無機物を3.0乃至10.0重量%含有した構成とすることにより、接合強度を高めることが記載されている。
【0010】
一方で、近年金属化層には低抵抗化が要求されることが多い。特にパッケージや回路基板として金属化層を有する窒化アルミニウムを用いる場合、これらに実装する半導体やICの動作周波数が高くなっており、1×1010Hz以上となることもある。パッケージや回路基板はこの高周波信号を流す必要があるが、このような高周波信号の伝送にあたっては、金属化層での導体損失が大きな問題となる。そのため、導体損失の低減、すなわち低抵抗化が昨今特に強く要求されている。
【0011】
ところが、従来取られていた方策によれば、金属化層中に金属という導体と、接着増強用成分という絶縁体とが混在することになり、金属化層の低抵抗化には限界があった。また、単に低抵抗にするためには、金属化層の厚みを厚くする方法が考えられるが、昨今の高周波化に伴う導体損失の低減を実現するには、単位体積あたりの抵抗率を減少する必要があり、金属化層の厚みを厚くする方法は用いることができない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、金属化層の単位体積あたりの抵抗率を減少させ、同時に窒化アルミニウムとの接合強度も高めることができる、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体、及び製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次の構成を有する。
(1)窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートに導体高融点金属の粉末と無機物の粉末とを含むペーストを塗布した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金属がWであり、前記無機物がWO3であり、前記W粉末及びWO3粉末の平均粒径が2μm以上、4μm以下であり、それ以外の無機物の粉末を混合しないことを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(2)前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(1)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0014】
(3)前記WO3粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(4)前記WO3粉末の含有量が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0015】
(5)窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に導体高融点金属の粉末と無機物の粉末とを含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金属がWであり、前記無機物がWO3であり、前記W粉末及び前記WO3粉末の平均粒径が2μm以上、4μm以下であり、それ以外の無機物粉末を混合しないことを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0016】
(6)前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(5)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(7)前記WO3粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(5)又は(6)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(8)W粉末とWO3粉末との合量を100重量%として、前記WO3粉末が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする上記(5)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を構成する窒化アルミニウム焼結体母材は、窒化アルミニウム粉末を主成分とし、これに焼結助剤として広く知られているイットリウム、希土類金属、アルカリ金属等の化合物の粉末を0.1〜10wt%程度添加した焼結用粉末を成形し、焼結して得られる。
【0018】
成形方法としては、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤を混合し、これを造粒した後、プレス等で成形を行っても良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシートを作製しても良い。また、押し出し法等も適用することができる。
【0019】
ただし、多層構造とするためには、窒化アルミニウムと金属化層を焼結前に積層し、同時焼成する必要がある。この場合、プレス成形では困難であるためグリーンシートを用いることが多い。また、スルーホールやビアを形成する場合もプレス成形では困難であるので、グリーンシートを用いて、同時焼成を行うのが一般的である。以下では、主にグリーンシートを用いた同時焼成による作製方法について説明する。
【0020】
グリーンシートには必要に応じて、パンチ等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホールには後述する組成のペーストが充填される。充填する方法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用することができる。更に、必要に応じて回路配線等を同様に後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー塗りなど周知の方法を適用することができる。
【0021】
本発明においてビア、回路配線形成に用いるペーストは、導体粉末、導体の酸化物粉末、樹脂結合剤及び溶剤からなる。通常用いる接着増強用の無機物は混合しない。本発明では前記導体粉末としてW粉末を用いる。本グリーンシートは窒化アルミニウムと導体形成用組成物とを同時に焼結する必要があるが、窒化アルミニウム粉末とW粉末とは焼結温度を近くすることができ、さらに熱膨張率も近いため、導体粉末としてWを用いることが好ましいからである。また、導体の酸化物粉末としては、WO3を用いる。
【0022】
従来、窒化アルミニウムは金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難と考えられてきた。そこで、濡れ性を改善し、金属化した時の窒化アルミニウムとの接着強度を確保するために、接着増強用成分としてペーストに無機物を混合することが検討されてきた。通常この無機物は10重量%以上添加される。これは体積に換算すると30〜50体積%を占めることとなり、これが金属化層の単位体積あたりの抵抗率を低下するには、大きな妨げとなっていた。
【0023】
昨今、金属化層の低抵抗率化への要求が高まっているが、本発明者等は、この要求に対応するには、無機物の添加無しに窒化アルミニウムの金属化を行うことが必要不可欠と考え、窒化アルミニウムと金属との接合メカニズムから見直すこととした。その結果、窒化アルミニウムと金属との接合は、接着増強用成分が介在することによる接合メカニズムと、窒化アルミニウム粒子とW粒子とが機械的に噛み合うインターロックによる接合メカニズムがあることが判った。さらに、窒化アルミニウムと金属との接合強度に対して、粒子同士のインターロックメカニズムの寄与度が大きいことが判った。すなわち,接着増強用成分である無機物を混合しなくても、窒化アルミニウムと金属の接合は基本的には可能であることが判った。
【0024】
しかし、接着増強用成分無しに充分な強度を持った状態で金属化するには、ペースト中に混合するW粒径やペーストの状態を厳密に制御しなければならない。その詳細については、主にグリーンシートに設けたスルーホールにペーストを充填した後に同時焼成によって金属化する方法を取り上げ、以下に説明する。
【0025】
スルーホールに様々なWペーストを充填する実験を繰り返した結果、接着増強用成分無しで金属化層が窒化アルミニウムと充分な強度で接合するためには、少なくとも焼結後のWの粒径を窒化アルミニウム粒子の粒径と同程度の大きさにする必要があることが判った。しかし,これだけでは金属化層や窒化アルミニウムにクラックが生じたり、接合強度が低下したりする不良が多発し、歩留まりを向上することができなかった。これらの不良発生原因を調査した結果、窒化アルミニウム母材と金属化層部分の焼結開始温度、すなわち収縮開始温度が大きく異なるのが最大の原因であることを突き止めたのである。
【0026】
一般的にW粉末は平均粒径1〜1.5μm程度のものが用いられるが、これらの平均粒径のWでは、焼結開始温度が窒化アルミニウムの焼結温度に比べて低い。例えば、1800〜1900℃で焼結する窒化アルミニウムを考えると、窒化アルミニウムは1700〜1800℃で焼結が開始されるのに対して、Wは1400〜1500℃で焼結が開始される。
【0027】
このように、窒化アルミニウムとWの焼結開始温度が大きく異なると、例えばスルーホールに充填したペーストを考えると、窒化アルミニウム母材が焼結開始、すなわち収縮開始するより前に、ペースト部分が収縮開始することになる。そのため、スルーホール周辺の結合が弱い部分にクラックが生じやすくなる。例えば、スルーホールに充填したペーストに不均一部分があればビア内部にクラックが生じ、窒化アルミニウム母材に何かしらの欠陥があれば母材にクラックが生じる。ビア、窒化アルミニウムの両方ともに欠陥が無い場合は、母材とビアの界面でクラックが生じることになる。これらのクラックの発生が接合強度の低下に直結しているのである。
【0028】
また同様に、印刷された金属化層を考えても、金属化層周辺にクラックが生じやすく、これに起因して接合強度も低下する。このクラックやクラックに伴う接合強度の低下を避けるためには、窒化アルミニウムとWペースト部分の焼結開始温度を近づける必要がある。基本的にはWの焼結温度を高くして、窒化アルミニウムの焼結開始温度に近づける必要があり、一般的に用いる粒径より粗いW粉末を使用する必要がある。
【0029】
使用するW粉末の平均粒径としては2μm以上、4μm以下が好ましい。異なる粒径のW粉末を数種類混合して用いることも多いが、その場合、2μm以上、4μm以下の粒径のWを50wt%以上用いることが好ましい。W粉末の平均粒径が2μmより小さくなると、前述のように、Wの焼結開始温度が窒化アルミニウムの焼結温度に比べて、かなり低くなるため用いることができない。
【0030】
焼結開始温度が異なると前述のようにビア内部、窒化アルミニウム母材、母材とビアの界面のいずれか、若しくは全てでクラックが生じるが、W粉末の粒径が小さくなればなるほど窒化アルミニウム母材で生じるクラックが特徴的となる。粒径の細かいW粉末の焼結開始温度では、窒化アルミニウム母材では樹脂結合剤が焼失しているものの窒化アルミニウム粒子は粒成長やネックグロース等は生じておらず、非常に脆い状態となっている。そのため、W部分の収縮開始による応力によって容易にクラックが生じるものと考えられる。ここで生じたクラックはビアの周辺に三日月状に入るのが特徴である。
【0031】
また、粒径の細かいW粉末では、スルーホールにペーストを充填する場合、粉末の嵩密度が低くなることに起因して、ペースト内のWの充填密度が低くなるという問題も有する。この場合、焼結時の収縮が極端に大きくなるため、窒化アルミニウム母材の収縮率と大きく異なるようになり、ビアにクラックが生じやすくなる。また、W粒径が細かいと凝集を避けることができず、スルーホールに均一にWを充填できなくなり、同様にクラックが生じやすくなる。一般的には、W粉末の平均粒径が1μmより小さくなると、Wの充填密度が極端に低くなったり,凝集が起こりやすくなったりするため、ビア内に生じるクラックを避けることが出来ない。
【0032】
一方、W粉末の粒径が4μmより大きくなるとWの焼結性が劣化し、窒化アルミニウムの焼結温度でWの焼結が充分に行われない。そのため、クラックは生じないものの接合強度が低い。また、ビア部分が焼結されていないため、気密性が求められる場合は対応することができない。
【0033】
これらWの平均粒径が2μm以上、4μm以下の粉末を使用した場合、焼結後の平均粒径が同様に2μm以上、5μm以下となる。一般的に、粉末を焼結した場合、粉末が粒成長するため、粉末の平均粒径より焼結後の平均粒径が大きくなるのが普通である。しかしながら、Wは難焼結材であり、窒化アルミニウムの窒素中等の焼結雰囲気、焼結温度では、焼結があまり進まない。
【0034】
W粉末の粒子同士の一部が接合してはいるものの、粒全体が成長している構造とはならない。そのため、平均粒径としては焼結前とほぼ同じとなる。この構造は焼結体内部では顕著である。焼結体表面に形成されたWでは,ある程度粒成長した構造とはなっており、粒同士も密に結合されてはいるが、焼結体内部と大差はない粒径となっている。
【0035】
このように焼結後のWの平均粒径が2μm以上、5μm以下である場合、窒化アルミニウムの焼結後の平均粒径も同様に2〜5μmとなるのが一般的であり、Wと同等の粒径となる。そのため、窒化アルミニウム粒とW粒同士のインターロック効果を強く得ることができる。
【0036】
このように、クラックやクラックに伴う接合強度の低下を避けるためには、平均粒径が2μm以上、4μm以下のW粉末を使用することが必要であるが、更に実験を重ねると、これらの粗いW粉末を利用すると、金属化層の一部に焼結状態の悪い部分が発生することが、どうしても避けられないことが判った。例えば、基板厚み方向の中心部等に焼結状態の悪い部分が多発することが判った。焼結状態の悪い部分が金属化層中に存在すると、金属化層の接合強度が弱くなる場合があるので、このような焼結状態の悪い部分を無くす必要がある。そのためには、粗いW粉末の焼結性を向上させる必要がある。
【0037】
Wの焼結性を向上させる最も簡単な方法は粒径の小さいW粉末を一部混合することである。微粒W粉末の粒径、混合量を最適な値にすることによって、クラックが生じず、かつ、粗いW粉末の焼結性を向上できると考えられる。しかし、実際に様々な粒径の微粒W粉末を用いて、微粒W粉末の添加量最適化実験を行ったところ、粗いW粉末の焼結性は向上したものの、逆にクラックの発生を止めることはできなかった。
【0038】
そこで、クラックが発生する原因を調査したところ、クラックは窒化アルミニウムとWの焼結開始温度に起因したものではなく、Wのスルーホール内の充填密度が低いことに起因するものであることが判った。
【0039】
前述したように、微粒W粉末は粉末の嵩密度が低いことに起因して、スルーホールの充填密度を上げることができない。粗いW粉末を用いた時も微粒W粉末を混合すると、充填密度に悪影響を及ぼし、スルーホール内の充填密度を充分に上げることができない。そのため、窒化アルミニウム母材の相対密度とスルーホールの充填密度とが大きく異なるようになり、密度の低いスルーホールの収縮が大きくなるために、クラックを避けることができないのである。
【0040】
このように、平均粒径2μm以上、4μm以下といった粗いW粉末では焼結状態の悪い部分をなくすことはできず、また、粗いW粉末の焼結性を向上するために、微粒W粉末を混合すると、スルーホールの内の充填密度が低くなり、ビアクラックを避けることができない。これを解決するには、スルーホールにWペーストを充填するときには粉末の粒径が粗く、焼結時には粒径が小さくなるような材料を用いればよい。そこで、本発明者等はそのような材料がないか探索した結果、Wの酸化物であるWO3を用いれば良いことを見出した。
【0041】
窒化アルミニウムはN2等の非酸化性雰囲気で焼結される。また、一般的に1800〜1900℃で焼結されるため、カーボン製ヒータを搭載した焼結炉を用いる。そのため、N2の中にカーボンを含んだ雰囲気となる。そして、WO3は1000℃から1200℃の間でN2中のカーボンと還元反応してWとCOとになり、COは気体であるため焼結体外へ放出され、スルーホール中にはWだけが残る。同様な現象はN2に微量のH2を混合した場合等にも認められる。このようにWO3からWになる際には粉末粒径が、酸素が抜けたことにより減少する。実験的には粒径が半分以下になることが確認された。すなわち、WO3粉末を用いれば、スルーホールにペーストを充填するときは粒径が粗いため、充填密度を充分に高くすることができ、一方、焼結時にはWO3粉末が還元されるのに伴って、粉末の粒径が減少するため、粉末の焼結性が向上し、粗いW粉末の焼結性を上げることが可能になるのである。
【0042】
使用するWO3の平均粒径は、W粉末と同様に2μm以上、4μm以下が好ましい。WO3の平均粒径が2μmより小さいときは、粉末の嵩密度が低いことに関連して、スルーホール中のW及びWO3の充填密度を上げることができず、ビアのクラックを無くすことができない。一方、WO3の平均粒径が4μmより大きいときは、窒化アルミニウムの焼結中にWO3が還元されても、粒径が充分小さくならず、Wの焼結性を上げることができない。その結果、金属化層中に焼結が不充分な場所ができるのを無くすことができない。
【0043】
これに類似した技術が、特開平4−188892号公報、特開昭63−35480号公報、特公昭30−2285号公報等に開示されている。これらは、導体金属粉末の焼結性を向上させたり、炭化を防止したり、接着強度を上昇させる目的で、酸化物粉末を使用している。
【0044】
しかし、いずれの公報にも、スルーホールの金属化ペーストの充填密度を向上させるために、粗い規定された粒径を有する粉末を使用することについての記述は無い。特に窒化アルミニウムにおいては、前述のように規定された粒径を有するもので無いと、充填密度が上げられず、クラックを避けることができないのである。
【0045】
W粉末の平均粒径は、さらに好ましくは、2.5μm以上、3.5μm以下が望ましい。W粒径を数種類混合して用いることも多いが、その場合、2.5μm以上、3.5μm以下の粒径のWを50wt%以上用いることが好ましい。一般的にWは平均粒径に対して、ある程度ブロードな粒度分布を持っている。この粒度分布の広がりは粉末ロットによって、ある程度上下する。
【0046】
通常、平均粒径を中心に1〜2μm程度の幅を持っているが、場合によっては2〜3μm程度に広がることもある。その場合、W粉末の平均粒径が2.5μmより小さいと、粒度分布が大きかった場合、分布の中の小さなW粉末が起点となって金属化層にクラックが生じることがある。平均粒径が2μm以上であっても、分布の中の小さなW粉末が低い温度で焼結、すなわち収縮開始してしまうからである。
【0047】
一方、W粉末の平均粒径が3.5μmより大きいと、粒度分布が大きかった場合、平均粒径が4μm以下であっても、分布の中の大きな粉末が未焼となることがある。これらを避けるには、W粉末の平均粒径を、2.5μm以上、3.5μm以下とすることが好ましい。
この平均粒径2.5μm以上、3.5μm以下のW粉末を焼結すると焼結後の平均粒径が同様に2・5μm以上、4μm以下となる。
【0048】
混合するWO3粉末は、Wと同様にさらに好ましくは平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることが望ましい。その理由はWについて述べたのと同じである。
また、ペースト中に混合するWO3の割合は、ペースト中のW粉末とWO3粉末との合量を100重量%として、前記WO3粉末が5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。WO3粉末が5重量%より少なければ、還元されて粒径が小さいWとなる量が少なすぎるため、粗いW粉末の焼結性を充分に上げることができない。逆にWO3粉末が50重量%より多ければ、還元されて粒径が小さいWとなる量が多すぎるため、還元後のスルーホール中のW充填密度が大きく低下してしまう。そのため、粗いW粉末の焼結性を向上することは可能ではあるが、スルーホール中のW充填密度が低いことに起因して、ビアにクラックが生じるのを避けることができない。
【0049】
これらの粉末をエチルセルロース、ニトロセルロース等の樹脂結合剤とブチルカルビトール、テルピネオール等の溶剤に分散させることによってペーストを得る。通常樹脂結合剤は、W粉末やマッチング用ガラス等の粉末を100重量部とした場合、1〜3重量部混合し、溶剤は3〜15重量部程度混合する。
【0050】
混合方法について述べると、まず粉末と溶剤だけをポットミルやボールミル、ライカイ機等を用いて混合する。その後、三本ロール等を用いて樹脂結合剤を混合する。この混合の際、特にポットミル、ボールミル、ライカイ機を用いる時に、これらの使用機材から無機物が混入することを避けることができない。例えば、ポットミルでは中に入れるメディアであるボールが無機物、一般的にはアルミナで出来ており、ボールミルではボールとポットのインナーが無機物で出来ている。またライカイ機は鉢と混合棒が無機物で出来ている。これらの混合機は,無機物同士が衝突、引きずることにより、粉末や溶剤に剪断力を与えて混合するが、この衝突、引きずりの際に無機物自体が摩耗し、ペースト中に混入していくのである。
【0051】
前述のように無機物としてはアルミナを用いるのが一般的であるが,粉末として意図的にアルミナ等を混合していなくても、アルミナ等の無機物の混入は不可避である。混入量は使用する混合機や混合時間によって差があるが、1重量%以下となるのが一般的である。そのため、焼結後の窒化アルミニウムの金属化層を分析すると、1重量%以下の無機物が観察されるのを避けることができない。
【0052】
このようにスルーホールにWペーストを充填した後、回路印刷を行い、必要に応じてグリーンシートを積層する。積層はシートをモールド中にセットした後に、プレス機により50〜80℃程度に熱しながら、5〜10MPa程度の圧力を10〜20分程度かけて熱圧着することによって行う。シート間には必要に応じて溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0053】
積層したシートは、任意の形に切断された後に焼結される。焼結に先立ち、窒化アルミニウムのグリーンシートの樹脂結合剤、可塑剤、及びペーストの媒体を除去するために、例えば300〜800℃というような温度で脱脂処理をしてもよい。
【0054】
焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。焼結温度、焼結時間は、焼結後の窒化アルミニウム焼結体が熱伝導率等の特性が所望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1600〜2000℃であり、焼結時間は1〜5時間程度に設定される。
【0055】
前記のごとく、本発明の製造方法によれば、金属化層を有する窒化アルミニウム基板の金属化層の単位体積あたりの抵抗率を減少させつつ、金属化層内にクラックが発生するのを防ぎ、同時に金属化層と窒化アルミニウムとの接合強度も高めることができる。また、無機物としてW単体を用いたペーストによる金属化では、金属化層中の一部に焼結が十分でない部分が存在するのを避けることが困難であったが、本発明の方法によれば、金属化層中に生じるクラックを防ぎつつ金属化層の焼結性を上げることができるため、均一かつ充分に焼結した金属層を得ることができる。
【0056】
また、今まで主に述べてきたグリーンシートを用いた同時焼結法によらなくても、例えば、窒化アルミニウム基板単体を一旦焼結した後に、本発明の金属化層を実現するペーストを基板に塗布し、非酸化雰囲気中、1600〜2000℃で焼結することによっても、金属化層の単位体積あたりの抵抗率が小さく、金属化層内にクラックの発生がなく、同時に窒化アルミニウムとの接合強度も高い金属化層を有する窒化アルミニウム基板を得ることができる。
【0057】
【実施例】
以下では、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
[実施例1]
97重量部の窒化アルミニウム粉末と3重量部のY203粉末とを混合し、これに樹脂結合剤としてポリビニルブチラールを、また、可塑剤としてジブチルフタレートを、それぞれ10重量部及び5重量部混合して、ドクターブレード法にて0.5mm厚のグリーンシートを成形した。これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにてφ0.3mmのスルーホールを形成した。
【0059】
一方で、W粉末とWO3粉末とを重量比で80:20の割合で混合し、この混合粉末を100重量部として、5重量部の溶媒であるブチルカルビトールに分散させてペーストを作製した。混合にはポットミルと三本ロールを用いた。
使用したW粉末及びWO3粉末のそれぞれの平均粒径を表1に示す。
【0060】
このペーストをスクリーン印刷機にてスルーホールに充填した。
さらに、同じペーストに5重量部のブチルカルビトールを混合して粘度を低下させ、スクリーン印刷機にて325メッシュ、乳剤厚20μmのスクリーンを用いて回路印刷を行った。
【0061】
次に、印刷後のシートを2枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを2枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、カーボンヒータ製の焼結炉を用いて窒素雰囲気中で1800℃、3時間の条件で焼結を行った。焼結後、窒化アルミニウム上の回路配線の部分には10μmの厚みの金属化層が形成されており、ビア部分にはφ0.25mmのスルーホールに金属化層が形成されていた。
この状態で、回路印刷部分及びビア部分におけるクラックの発生の有無を40倍の顕微鏡で確認した。
【0062】
次に、この金属化層が形成された窒化アルミニウム基板の金属化層の上に、無電解めっき法にて厚み3〜5μmのNiめっき層を形成した。次いで800℃のホーミングガス中でめっき層をアニールし、次にφ0.5mm、引っ張り強度500MPaのFe−Ni−Co合金ピンを銀ろうを用いてろう付けした。ろう付け温度は800℃、雰囲気は水素と窒素との混合ガス雰囲気とした。
【0063】
次に、窒化アルミニウム基板を固定し、Fe−Ni−Co合金ピンを引っ張って強度を測定し、破壊モードを観察した。さらに,回路印刷部分及びビア部分でのクラックの発生の有無を確認するために、断面を研磨し、電子顕微鏡(1000倍)によって確認した。また、焼結後のWの粒径を電子顕微鏡にて確認した。
これらの評価結果をペースト配合内容と同様に表1に示す。
【0064】
表1に示された結果から明らかなように、本発明で規定する数値範囲内のW粉末の平均粒径では回路印刷面、ビア部分ともにクラックは生じていなかった。一方、本発明の範囲外のものに関しては、W粉末の粒径が細かいものについては、ビアにクラックが認められた。
【0065】
引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明で規定する数値範囲内の平均粒径を有するものでは、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。−方、本発範囲外のペースト配合では、接合強度が20MPaより低く、強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。
【0066】
【表1】
【0067】
[実施例2]
W粉末のロットを変更して、実施例1と同様な実験を行い、W粉末ロットによって引っ張り強度、金属化層のクラックがどう影響を受けるかを調べた。使用したW粉末ロット数はそれぞれの平均粒径に対して10ロットである。これらのロットに対して、実施例1と同じ評価を行った。その中で引っ張り強度が一番低かったロットの結果を表2に示す。
【0068】
表2に示されるように、本発明の範囲外のものに関しては、W粉末の平均粒径が細かいものについては、ビアにクラックが認められた。一方、本発明の範囲内のW粉末の平均粒径であっても、W粉末粒径が2.5μmより小さいものには、ビアにクラックが認められた。
【0069】
また、引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明の範囲外のペースト配合では、接合強度が20MPaより低く、強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。一方、本発明の範囲内のW粉末粒径、焼結後のWの平均粒径であっても、W粉末粒径が2.5μmより小さいもの、3.5μmより大きいものに関しては、接合強度が20MPaより低く、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。W粉末粒径が2.5μm以上、3.5μm以下のものは、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。
【0070】
【表2】
【0071】
[実施例3]
実施例1ではWO3粉末の平均粒径を3μmに固定して、W粉末粒径の影響を確認したが、逆にW粉末の平均粒径を3μmに固定して、WO3粉末粒径の影響を調べた。調査方法は実施例1と同じとした。
これらの評価結果を同様に表3に示す。なお、表3に示した焼結後のW粒径はビアのクラック部分を除いた粒径の平均値を示している。
【0072】
表3に示されるように、本発明の範囲内のWO3粉末の平均粒径では回路印刷面及びビア部分ともにクラックは生じていなかった。一方、本発明の範囲外のものに関しては、WO3粉末の細かいものについては、ビアにクラックが認められた。ただし、クラックを除くW部分は充分に粒成長している様子が観察された。一方、WO3粉末の粗いものについては、粒成長の様子がほとんど観察されなかった。特にビアの中心部付近に完全に未焼結である部分が認められた。
【0073】
また、引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明の範囲内の平均粒径では、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。一方、本発明の範囲外のペースト配合では、接合強度が20MPaより低く、強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。
【0074】
【表3】
【0075】
[実施例4]
WO3粉末のロットを変更して、実施例3と同様な実験を行い、WO3粉末ロットによって引っ張り強度、金属化層のクラックがどう影響を受けるかを調べた。使用したWO3粉末ロット数はそれぞれの粒径に対して10ロットである。これらのロットに対して、実施例3と同じ評価を行った。その中で引っ張り強度が一番低かったロットの結果を同様に表4に示す。なお、表4に示した焼結後のW粒径はビアのクラック部分を除いた粒径の平均値を示している。
【0076】
表4に示されるように、本発明の範囲内のWO3粉末の平均粒径では回路印刷面及びビア部分ともにクラックは生じていなかった。一方、本発明の範囲外のものに関しては、WO3粉末の細かいものについては、ビアにクラックが認められた。ただし、クラックを除くW部分は充分に粒成長している様子が観察された。一方、WO3粉末の粗いものについては、粒成長の様子がほとんど観察されなかった。特にビアの中心部付近に完全に未焼結である部分が認められた。
【0077】
また、引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明の範囲内の平均粒径では、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。一方、本発明特許範囲内のWO3粉末粒径であっても、WO3粉末粒径が2.5μmより小さいもの、3.5μmより大きいものに関しては、接合強度が20MPaより低く、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。WO3粉末粒径が2.5μm以上、3.5μm以下のものは、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。
【0078】
【表4】
【0079】
[実施例5]
実施例1の試料5と同じ平均粒径が3.0μmのW粉末、WO3粉末を用い、WO3のペーストへの混合量を変化させて、その影響を調べた。変化させた割合を表5に示す。実験方法等は実施例1と同じとした。
実施例1と同様に各試料のピンの引っ張り強度、ビア部分のクラックを測定した。結果を表5に示した。
【0080】
表5に示されるように、ペースト中のW粉末とWO3粉末との合量を100重量%として、前記WO3粉末が5重量%以上、50重量%以下であれば、引っ張り強度は20MPa以上であり、クラックも生じなかった。一方、本発明の範囲外のWO3含有量では、ビアにクラツクが認められ、接合強度が20MPaより低かった。強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。
【0081】
【表5】
【0082】
【発明の効果】
本発明のように、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造するに際して、導体高融点金属として平均粒径が2μm以上、4μm以下、より好ましくは2.5μm以上、3.5μm以下である熱膨張率が窒化アルミニウムの熱膨張率に近いW粉末と、このW粉末と同程度の粒径のWO3粉末とを含有するペーストを用いて金属化層を形成することにより、金属化層の焼結が均一かつ十分に行われ、金属化層及び窒化アルミニウムにおけるクラックの発生がなく、金属化層と窒化アルミニウムとの密着強度が高く、金属化層の単位体積あたりの抵抗率の低くい金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。得られた金属化層を有する窒化アルミニウムは、低抵抗率が要求される用途、例えば高周波用途のIC用の基板、パッケージ材料として好適に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体やIC用の基板、パッケージ材料として有用な、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化アルミニウム焼結体は熱伝導率が高いため放熱性に優れると共に、電気絶縁性や機械的強度にも優れているため、発熱量の大きな半導体やICを搭載する基板、パッケージ材料として用いられることが多い。
【0003】
窒化アルミニウムを基板やパッケージとして用いる場合には、この窒化アルミニウムの表面及び/又は内部に金属化層を形成することが必要となる。
ところが、窒化アルミニウムは金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難と考えられてきた。そこで、従来から、濡れ性を改善し、金属化した時の金属化層と窒化アルミニウム焼結体との接着強度を確保するために、様々な接着増強用成分が検討されてきた。
【0004】
このような接着増強用成分を配合してなる金属化層形成材料を用いることにより、窒化アルミニウム焼結体母材と金属化層との接合強度を高めている従来例を挙げると次の通りである。
【0005】
(特開平8−109084号公報)
Mo、W、Taから選ばれた1種以上の金属に、Al及び希土類元素から選ばれた1種以上、ならびにTi、Zr、Hfから選ばれた1種以上からなる接着増強用成分を添加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高めている。
【0006】
(特開昭63−115393号公報)
W及び/又はMoの金属に、SiO2、Al2O3、CaOを主成分とし、これに必要に応じてMgO、BaO、B2O3のいずれか1種以上を混合した接着増強用成分を添加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高めている。
【0007】
(特開昭63−195183号公報)
W及び/又はMoの金属に、CaO、BaO、SrO、Y2O3、CeO2、Gd2O3の1種以上と、Al2O3、AlNの一種以上とからなる接着増強用成分を添加したものを金属化層の形成材料とすることにより接合強度を高めている。
【0008】
(特開平6−116068号公報)
Mo、W、Taから選ばれた1種以上を含有する第1の金属化層に第2の金属化層を積層し、第2の金属化層には少なくともSiO2又はAl2O3を含有した接着増強用成分を含ませることにより接合強度を高めている。
【0009】
また、例えば特開昭61−291480号公報には、金属化層をW.Mo及びこれらの硼化物、炭化物から選ばれた1種または2種の100重量部と窒化アルミニウムまたは、窒化アルミニウム基材と同成分の0.1〜50重量部とからなるように構成することにより、接合強度を高めることが記載されている。さらに、特開平4−83783号公報には、金属化層を平均粒径10乃至1.5μmのW粉末に窒化アルミニウム質焼結体と実質的に同一組成からなる無機物を3.0乃至10.0重量%含有した構成とすることにより、接合強度を高めることが記載されている。
【0010】
一方で、近年金属化層には低抵抗化が要求されることが多い。特にパッケージや回路基板として金属化層を有する窒化アルミニウムを用いる場合、これらに実装する半導体やICの動作周波数が高くなっており、1×1010Hz以上となることもある。パッケージや回路基板はこの高周波信号を流す必要があるが、このような高周波信号の伝送にあたっては、金属化層での導体損失が大きな問題となる。そのため、導体損失の低減、すなわち低抵抗化が昨今特に強く要求されている。
【0011】
ところが、従来取られていた方策によれば、金属化層中に金属という導体と、接着増強用成分という絶縁体とが混在することになり、金属化層の低抵抗化には限界があった。また、単に低抵抗にするためには、金属化層の厚みを厚くする方法が考えられるが、昨今の高周波化に伴う導体損失の低減を実現するには、単位体積あたりの抵抗率を減少する必要があり、金属化層の厚みを厚くする方法は用いることができない。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、金属化層の単位体積あたりの抵抗率を減少させ、同時に窒化アルミニウムとの接合強度も高めることができる、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体、及び製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次の構成を有する。
(1)窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートに導体高融点金属の粉末と無機物の粉末とを含むペーストを塗布した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金属がWであり、前記無機物がWO3であり、前記W粉末及びWO3粉末の平均粒径が2μm以上、4μm以下であり、それ以外の無機物の粉末を混合しないことを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(2)前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(1)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0014】
(3)前記WO3粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(4)前記WO3粉末の含有量が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする上記(1)〜(4)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0015】
(5)窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に導体高融点金属の粉末と無機物の粉末とを含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金属がWであり、前記無機物がWO3であり、前記W粉末及び前記WO3粉末の平均粒径が2μm以上、4μm以下であり、それ以外の無機物粉末を混合しないことを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0016】
(6)前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(5)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(7)前記WO3粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする上記(5)又は(6)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
(8)W粉末とWO3粉末との合量を100重量%として、前記WO3粉末が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする上記(5)記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を構成する窒化アルミニウム焼結体母材は、窒化アルミニウム粉末を主成分とし、これに焼結助剤として広く知られているイットリウム、希土類金属、アルカリ金属等の化合物の粉末を0.1〜10wt%程度添加した焼結用粉末を成形し、焼結して得られる。
【0018】
成形方法としては、窒化アルミニウム粉末と焼結助剤粉末にポリビニルブチラール(PVB)等の樹脂結合剤、ジブチルフタレート(DBP)等の可塑剤を混合し、これを造粒した後、プレス等で成形を行っても良いし、混合後、ドクターブレード法でグリーンシートを作製しても良い。また、押し出し法等も適用することができる。
【0019】
ただし、多層構造とするためには、窒化アルミニウムと金属化層を焼結前に積層し、同時焼成する必要がある。この場合、プレス成形では困難であるためグリーンシートを用いることが多い。また、スルーホールやビアを形成する場合もプレス成形では困難であるので、グリーンシートを用いて、同時焼成を行うのが一般的である。以下では、主にグリーンシートを用いた同時焼成による作製方法について説明する。
【0020】
グリーンシートには必要に応じて、パンチ等を用いてスルーホールを形成する。このスルーホールには後述する組成のペーストが充填される。充填する方法としては、スクリーン印刷など周知の方法を適用することができる。更に、必要に応じて回路配線等を同様に後述する組成のペーストを塗布して形成する。塗布方法としては、スクリーン印刷、刷毛塗り、スピンローラー塗りなど周知の方法を適用することができる。
【0021】
本発明においてビア、回路配線形成に用いるペーストは、導体粉末、導体の酸化物粉末、樹脂結合剤及び溶剤からなる。通常用いる接着増強用の無機物は混合しない。本発明では前記導体粉末としてW粉末を用いる。本グリーンシートは窒化アルミニウムと導体形成用組成物とを同時に焼結する必要があるが、窒化アルミニウム粉末とW粉末とは焼結温度を近くすることができ、さらに熱膨張率も近いため、導体粉末としてWを用いることが好ましいからである。また、導体の酸化物粉末としては、WO3を用いる。
【0022】
従来、窒化アルミニウムは金属との濡れ性に劣るため、金属化が困難と考えられてきた。そこで、濡れ性を改善し、金属化した時の窒化アルミニウムとの接着強度を確保するために、接着増強用成分としてペーストに無機物を混合することが検討されてきた。通常この無機物は10重量%以上添加される。これは体積に換算すると30〜50体積%を占めることとなり、これが金属化層の単位体積あたりの抵抗率を低下するには、大きな妨げとなっていた。
【0023】
昨今、金属化層の低抵抗率化への要求が高まっているが、本発明者等は、この要求に対応するには、無機物の添加無しに窒化アルミニウムの金属化を行うことが必要不可欠と考え、窒化アルミニウムと金属との接合メカニズムから見直すこととした。その結果、窒化アルミニウムと金属との接合は、接着増強用成分が介在することによる接合メカニズムと、窒化アルミニウム粒子とW粒子とが機械的に噛み合うインターロックによる接合メカニズムがあることが判った。さらに、窒化アルミニウムと金属との接合強度に対して、粒子同士のインターロックメカニズムの寄与度が大きいことが判った。すなわち,接着増強用成分である無機物を混合しなくても、窒化アルミニウムと金属の接合は基本的には可能であることが判った。
【0024】
しかし、接着増強用成分無しに充分な強度を持った状態で金属化するには、ペースト中に混合するW粒径やペーストの状態を厳密に制御しなければならない。その詳細については、主にグリーンシートに設けたスルーホールにペーストを充填した後に同時焼成によって金属化する方法を取り上げ、以下に説明する。
【0025】
スルーホールに様々なWペーストを充填する実験を繰り返した結果、接着増強用成分無しで金属化層が窒化アルミニウムと充分な強度で接合するためには、少なくとも焼結後のWの粒径を窒化アルミニウム粒子の粒径と同程度の大きさにする必要があることが判った。しかし,これだけでは金属化層や窒化アルミニウムにクラックが生じたり、接合強度が低下したりする不良が多発し、歩留まりを向上することができなかった。これらの不良発生原因を調査した結果、窒化アルミニウム母材と金属化層部分の焼結開始温度、すなわち収縮開始温度が大きく異なるのが最大の原因であることを突き止めたのである。
【0026】
一般的にW粉末は平均粒径1〜1.5μm程度のものが用いられるが、これらの平均粒径のWでは、焼結開始温度が窒化アルミニウムの焼結温度に比べて低い。例えば、1800〜1900℃で焼結する窒化アルミニウムを考えると、窒化アルミニウムは1700〜1800℃で焼結が開始されるのに対して、Wは1400〜1500℃で焼結が開始される。
【0027】
このように、窒化アルミニウムとWの焼結開始温度が大きく異なると、例えばスルーホールに充填したペーストを考えると、窒化アルミニウム母材が焼結開始、すなわち収縮開始するより前に、ペースト部分が収縮開始することになる。そのため、スルーホール周辺の結合が弱い部分にクラックが生じやすくなる。例えば、スルーホールに充填したペーストに不均一部分があればビア内部にクラックが生じ、窒化アルミニウム母材に何かしらの欠陥があれば母材にクラックが生じる。ビア、窒化アルミニウムの両方ともに欠陥が無い場合は、母材とビアの界面でクラックが生じることになる。これらのクラックの発生が接合強度の低下に直結しているのである。
【0028】
また同様に、印刷された金属化層を考えても、金属化層周辺にクラックが生じやすく、これに起因して接合強度も低下する。このクラックやクラックに伴う接合強度の低下を避けるためには、窒化アルミニウムとWペースト部分の焼結開始温度を近づける必要がある。基本的にはWの焼結温度を高くして、窒化アルミニウムの焼結開始温度に近づける必要があり、一般的に用いる粒径より粗いW粉末を使用する必要がある。
【0029】
使用するW粉末の平均粒径としては2μm以上、4μm以下が好ましい。異なる粒径のW粉末を数種類混合して用いることも多いが、その場合、2μm以上、4μm以下の粒径のWを50wt%以上用いることが好ましい。W粉末の平均粒径が2μmより小さくなると、前述のように、Wの焼結開始温度が窒化アルミニウムの焼結温度に比べて、かなり低くなるため用いることができない。
【0030】
焼結開始温度が異なると前述のようにビア内部、窒化アルミニウム母材、母材とビアの界面のいずれか、若しくは全てでクラックが生じるが、W粉末の粒径が小さくなればなるほど窒化アルミニウム母材で生じるクラックが特徴的となる。粒径の細かいW粉末の焼結開始温度では、窒化アルミニウム母材では樹脂結合剤が焼失しているものの窒化アルミニウム粒子は粒成長やネックグロース等は生じておらず、非常に脆い状態となっている。そのため、W部分の収縮開始による応力によって容易にクラックが生じるものと考えられる。ここで生じたクラックはビアの周辺に三日月状に入るのが特徴である。
【0031】
また、粒径の細かいW粉末では、スルーホールにペーストを充填する場合、粉末の嵩密度が低くなることに起因して、ペースト内のWの充填密度が低くなるという問題も有する。この場合、焼結時の収縮が極端に大きくなるため、窒化アルミニウム母材の収縮率と大きく異なるようになり、ビアにクラックが生じやすくなる。また、W粒径が細かいと凝集を避けることができず、スルーホールに均一にWを充填できなくなり、同様にクラックが生じやすくなる。一般的には、W粉末の平均粒径が1μmより小さくなると、Wの充填密度が極端に低くなったり,凝集が起こりやすくなったりするため、ビア内に生じるクラックを避けることが出来ない。
【0032】
一方、W粉末の粒径が4μmより大きくなるとWの焼結性が劣化し、窒化アルミニウムの焼結温度でWの焼結が充分に行われない。そのため、クラックは生じないものの接合強度が低い。また、ビア部分が焼結されていないため、気密性が求められる場合は対応することができない。
【0033】
これらWの平均粒径が2μm以上、4μm以下の粉末を使用した場合、焼結後の平均粒径が同様に2μm以上、5μm以下となる。一般的に、粉末を焼結した場合、粉末が粒成長するため、粉末の平均粒径より焼結後の平均粒径が大きくなるのが普通である。しかしながら、Wは難焼結材であり、窒化アルミニウムの窒素中等の焼結雰囲気、焼結温度では、焼結があまり進まない。
【0034】
W粉末の粒子同士の一部が接合してはいるものの、粒全体が成長している構造とはならない。そのため、平均粒径としては焼結前とほぼ同じとなる。この構造は焼結体内部では顕著である。焼結体表面に形成されたWでは,ある程度粒成長した構造とはなっており、粒同士も密に結合されてはいるが、焼結体内部と大差はない粒径となっている。
【0035】
このように焼結後のWの平均粒径が2μm以上、5μm以下である場合、窒化アルミニウムの焼結後の平均粒径も同様に2〜5μmとなるのが一般的であり、Wと同等の粒径となる。そのため、窒化アルミニウム粒とW粒同士のインターロック効果を強く得ることができる。
【0036】
このように、クラックやクラックに伴う接合強度の低下を避けるためには、平均粒径が2μm以上、4μm以下のW粉末を使用することが必要であるが、更に実験を重ねると、これらの粗いW粉末を利用すると、金属化層の一部に焼結状態の悪い部分が発生することが、どうしても避けられないことが判った。例えば、基板厚み方向の中心部等に焼結状態の悪い部分が多発することが判った。焼結状態の悪い部分が金属化層中に存在すると、金属化層の接合強度が弱くなる場合があるので、このような焼結状態の悪い部分を無くす必要がある。そのためには、粗いW粉末の焼結性を向上させる必要がある。
【0037】
Wの焼結性を向上させる最も簡単な方法は粒径の小さいW粉末を一部混合することである。微粒W粉末の粒径、混合量を最適な値にすることによって、クラックが生じず、かつ、粗いW粉末の焼結性を向上できると考えられる。しかし、実際に様々な粒径の微粒W粉末を用いて、微粒W粉末の添加量最適化実験を行ったところ、粗いW粉末の焼結性は向上したものの、逆にクラックの発生を止めることはできなかった。
【0038】
そこで、クラックが発生する原因を調査したところ、クラックは窒化アルミニウムとWの焼結開始温度に起因したものではなく、Wのスルーホール内の充填密度が低いことに起因するものであることが判った。
【0039】
前述したように、微粒W粉末は粉末の嵩密度が低いことに起因して、スルーホールの充填密度を上げることができない。粗いW粉末を用いた時も微粒W粉末を混合すると、充填密度に悪影響を及ぼし、スルーホール内の充填密度を充分に上げることができない。そのため、窒化アルミニウム母材の相対密度とスルーホールの充填密度とが大きく異なるようになり、密度の低いスルーホールの収縮が大きくなるために、クラックを避けることができないのである。
【0040】
このように、平均粒径2μm以上、4μm以下といった粗いW粉末では焼結状態の悪い部分をなくすことはできず、また、粗いW粉末の焼結性を向上するために、微粒W粉末を混合すると、スルーホールの内の充填密度が低くなり、ビアクラックを避けることができない。これを解決するには、スルーホールにWペーストを充填するときには粉末の粒径が粗く、焼結時には粒径が小さくなるような材料を用いればよい。そこで、本発明者等はそのような材料がないか探索した結果、Wの酸化物であるWO3を用いれば良いことを見出した。
【0041】
窒化アルミニウムはN2等の非酸化性雰囲気で焼結される。また、一般的に1800〜1900℃で焼結されるため、カーボン製ヒータを搭載した焼結炉を用いる。そのため、N2の中にカーボンを含んだ雰囲気となる。そして、WO3は1000℃から1200℃の間でN2中のカーボンと還元反応してWとCOとになり、COは気体であるため焼結体外へ放出され、スルーホール中にはWだけが残る。同様な現象はN2に微量のH2を混合した場合等にも認められる。このようにWO3からWになる際には粉末粒径が、酸素が抜けたことにより減少する。実験的には粒径が半分以下になることが確認された。すなわち、WO3粉末を用いれば、スルーホールにペーストを充填するときは粒径が粗いため、充填密度を充分に高くすることができ、一方、焼結時にはWO3粉末が還元されるのに伴って、粉末の粒径が減少するため、粉末の焼結性が向上し、粗いW粉末の焼結性を上げることが可能になるのである。
【0042】
使用するWO3の平均粒径は、W粉末と同様に2μm以上、4μm以下が好ましい。WO3の平均粒径が2μmより小さいときは、粉末の嵩密度が低いことに関連して、スルーホール中のW及びWO3の充填密度を上げることができず、ビアのクラックを無くすことができない。一方、WO3の平均粒径が4μmより大きいときは、窒化アルミニウムの焼結中にWO3が還元されても、粒径が充分小さくならず、Wの焼結性を上げることができない。その結果、金属化層中に焼結が不充分な場所ができるのを無くすことができない。
【0043】
これに類似した技術が、特開平4−188892号公報、特開昭63−35480号公報、特公昭30−2285号公報等に開示されている。これらは、導体金属粉末の焼結性を向上させたり、炭化を防止したり、接着強度を上昇させる目的で、酸化物粉末を使用している。
【0044】
しかし、いずれの公報にも、スルーホールの金属化ペーストの充填密度を向上させるために、粗い規定された粒径を有する粉末を使用することについての記述は無い。特に窒化アルミニウムにおいては、前述のように規定された粒径を有するもので無いと、充填密度が上げられず、クラックを避けることができないのである。
【0045】
W粉末の平均粒径は、さらに好ましくは、2.5μm以上、3.5μm以下が望ましい。W粒径を数種類混合して用いることも多いが、その場合、2.5μm以上、3.5μm以下の粒径のWを50wt%以上用いることが好ましい。一般的にWは平均粒径に対して、ある程度ブロードな粒度分布を持っている。この粒度分布の広がりは粉末ロットによって、ある程度上下する。
【0046】
通常、平均粒径を中心に1〜2μm程度の幅を持っているが、場合によっては2〜3μm程度に広がることもある。その場合、W粉末の平均粒径が2.5μmより小さいと、粒度分布が大きかった場合、分布の中の小さなW粉末が起点となって金属化層にクラックが生じることがある。平均粒径が2μm以上であっても、分布の中の小さなW粉末が低い温度で焼結、すなわち収縮開始してしまうからである。
【0047】
一方、W粉末の平均粒径が3.5μmより大きいと、粒度分布が大きかった場合、平均粒径が4μm以下であっても、分布の中の大きな粉末が未焼となることがある。これらを避けるには、W粉末の平均粒径を、2.5μm以上、3.5μm以下とすることが好ましい。
この平均粒径2.5μm以上、3.5μm以下のW粉末を焼結すると焼結後の平均粒径が同様に2・5μm以上、4μm以下となる。
【0048】
混合するWO3粉末は、Wと同様にさらに好ましくは平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることが望ましい。その理由はWについて述べたのと同じである。
また、ペースト中に混合するWO3の割合は、ペースト中のW粉末とWO3粉末との合量を100重量%として、前記WO3粉末が5重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。WO3粉末が5重量%より少なければ、還元されて粒径が小さいWとなる量が少なすぎるため、粗いW粉末の焼結性を充分に上げることができない。逆にWO3粉末が50重量%より多ければ、還元されて粒径が小さいWとなる量が多すぎるため、還元後のスルーホール中のW充填密度が大きく低下してしまう。そのため、粗いW粉末の焼結性を向上することは可能ではあるが、スルーホール中のW充填密度が低いことに起因して、ビアにクラックが生じるのを避けることができない。
【0049】
これらの粉末をエチルセルロース、ニトロセルロース等の樹脂結合剤とブチルカルビトール、テルピネオール等の溶剤に分散させることによってペーストを得る。通常樹脂結合剤は、W粉末やマッチング用ガラス等の粉末を100重量部とした場合、1〜3重量部混合し、溶剤は3〜15重量部程度混合する。
【0050】
混合方法について述べると、まず粉末と溶剤だけをポットミルやボールミル、ライカイ機等を用いて混合する。その後、三本ロール等を用いて樹脂結合剤を混合する。この混合の際、特にポットミル、ボールミル、ライカイ機を用いる時に、これらの使用機材から無機物が混入することを避けることができない。例えば、ポットミルでは中に入れるメディアであるボールが無機物、一般的にはアルミナで出来ており、ボールミルではボールとポットのインナーが無機物で出来ている。またライカイ機は鉢と混合棒が無機物で出来ている。これらの混合機は,無機物同士が衝突、引きずることにより、粉末や溶剤に剪断力を与えて混合するが、この衝突、引きずりの際に無機物自体が摩耗し、ペースト中に混入していくのである。
【0051】
前述のように無機物としてはアルミナを用いるのが一般的であるが,粉末として意図的にアルミナ等を混合していなくても、アルミナ等の無機物の混入は不可避である。混入量は使用する混合機や混合時間によって差があるが、1重量%以下となるのが一般的である。そのため、焼結後の窒化アルミニウムの金属化層を分析すると、1重量%以下の無機物が観察されるのを避けることができない。
【0052】
このようにスルーホールにWペーストを充填した後、回路印刷を行い、必要に応じてグリーンシートを積層する。積層はシートをモールド中にセットした後に、プレス機により50〜80℃程度に熱しながら、5〜10MPa程度の圧力を10〜20分程度かけて熱圧着することによって行う。シート間には必要に応じて溶剤や接着剤を塗布してもよい。
【0053】
積層したシートは、任意の形に切断された後に焼結される。焼結に先立ち、窒化アルミニウムのグリーンシートの樹脂結合剤、可塑剤、及びペーストの媒体を除去するために、例えば300〜800℃というような温度で脱脂処理をしてもよい。
【0054】
焼結は非酸化性雰囲気中で行うが、窒素雰囲気中で行うのが好ましい。焼結温度、焼結時間は、焼結後の窒化アルミニウム焼結体が熱伝導率等の特性が所望の値となるように設定される。一般的に焼結温度は1600〜2000℃であり、焼結時間は1〜5時間程度に設定される。
【0055】
前記のごとく、本発明の製造方法によれば、金属化層を有する窒化アルミニウム基板の金属化層の単位体積あたりの抵抗率を減少させつつ、金属化層内にクラックが発生するのを防ぎ、同時に金属化層と窒化アルミニウムとの接合強度も高めることができる。また、無機物としてW単体を用いたペーストによる金属化では、金属化層中の一部に焼結が十分でない部分が存在するのを避けることが困難であったが、本発明の方法によれば、金属化層中に生じるクラックを防ぎつつ金属化層の焼結性を上げることができるため、均一かつ充分に焼結した金属層を得ることができる。
【0056】
また、今まで主に述べてきたグリーンシートを用いた同時焼結法によらなくても、例えば、窒化アルミニウム基板単体を一旦焼結した後に、本発明の金属化層を実現するペーストを基板に塗布し、非酸化雰囲気中、1600〜2000℃で焼結することによっても、金属化層の単位体積あたりの抵抗率が小さく、金属化層内にクラックの発生がなく、同時に窒化アルミニウムとの接合強度も高い金属化層を有する窒化アルミニウム基板を得ることができる。
【0057】
【実施例】
以下では、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
[実施例1]
97重量部の窒化アルミニウム粉末と3重量部のY203粉末とを混合し、これに樹脂結合剤としてポリビニルブチラールを、また、可塑剤としてジブチルフタレートを、それぞれ10重量部及び5重量部混合して、ドクターブレード法にて0.5mm厚のグリーンシートを成形した。これを金型を使用して100mm×100mmに打ち抜いた後、パンチャーにてφ0.3mmのスルーホールを形成した。
【0059】
一方で、W粉末とWO3粉末とを重量比で80:20の割合で混合し、この混合粉末を100重量部として、5重量部の溶媒であるブチルカルビトールに分散させてペーストを作製した。混合にはポットミルと三本ロールを用いた。
使用したW粉末及びWO3粉末のそれぞれの平均粒径を表1に示す。
【0060】
このペーストをスクリーン印刷機にてスルーホールに充填した。
さらに、同じペーストに5重量部のブチルカルビトールを混合して粘度を低下させ、スクリーン印刷機にて325メッシュ、乳剤厚20μmのスクリーンを用いて回路印刷を行った。
【0061】
次に、印刷後のシートを2枚重ねて積層した。積層はモールドにシートを2枚重ねてセットし、プレス機にて50℃に熱しつつ、10MPaの圧力で2分間熱圧着することで行った。その後、窒素雰囲気中で600℃にて脱脂を行い、カーボンヒータ製の焼結炉を用いて窒素雰囲気中で1800℃、3時間の条件で焼結を行った。焼結後、窒化アルミニウム上の回路配線の部分には10μmの厚みの金属化層が形成されており、ビア部分にはφ0.25mmのスルーホールに金属化層が形成されていた。
この状態で、回路印刷部分及びビア部分におけるクラックの発生の有無を40倍の顕微鏡で確認した。
【0062】
次に、この金属化層が形成された窒化アルミニウム基板の金属化層の上に、無電解めっき法にて厚み3〜5μmのNiめっき層を形成した。次いで800℃のホーミングガス中でめっき層をアニールし、次にφ0.5mm、引っ張り強度500MPaのFe−Ni−Co合金ピンを銀ろうを用いてろう付けした。ろう付け温度は800℃、雰囲気は水素と窒素との混合ガス雰囲気とした。
【0063】
次に、窒化アルミニウム基板を固定し、Fe−Ni−Co合金ピンを引っ張って強度を測定し、破壊モードを観察した。さらに,回路印刷部分及びビア部分でのクラックの発生の有無を確認するために、断面を研磨し、電子顕微鏡(1000倍)によって確認した。また、焼結後のWの粒径を電子顕微鏡にて確認した。
これらの評価結果をペースト配合内容と同様に表1に示す。
【0064】
表1に示された結果から明らかなように、本発明で規定する数値範囲内のW粉末の平均粒径では回路印刷面、ビア部分ともにクラックは生じていなかった。一方、本発明の範囲外のものに関しては、W粉末の粒径が細かいものについては、ビアにクラックが認められた。
【0065】
引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明で規定する数値範囲内の平均粒径を有するものでは、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。−方、本発範囲外のペースト配合では、接合強度が20MPaより低く、強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。
【0066】
【表1】
【0067】
[実施例2]
W粉末のロットを変更して、実施例1と同様な実験を行い、W粉末ロットによって引っ張り強度、金属化層のクラックがどう影響を受けるかを調べた。使用したW粉末ロット数はそれぞれの平均粒径に対して10ロットである。これらのロットに対して、実施例1と同じ評価を行った。その中で引っ張り強度が一番低かったロットの結果を表2に示す。
【0068】
表2に示されるように、本発明の範囲外のものに関しては、W粉末の平均粒径が細かいものについては、ビアにクラックが認められた。一方、本発明の範囲内のW粉末の平均粒径であっても、W粉末粒径が2.5μmより小さいものには、ビアにクラックが認められた。
【0069】
また、引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明の範囲外のペースト配合では、接合強度が20MPaより低く、強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。一方、本発明の範囲内のW粉末粒径、焼結後のWの平均粒径であっても、W粉末粒径が2.5μmより小さいもの、3.5μmより大きいものに関しては、接合強度が20MPaより低く、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。W粉末粒径が2.5μm以上、3.5μm以下のものは、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。
【0070】
【表2】
【0071】
[実施例3]
実施例1ではWO3粉末の平均粒径を3μmに固定して、W粉末粒径の影響を確認したが、逆にW粉末の平均粒径を3μmに固定して、WO3粉末粒径の影響を調べた。調査方法は実施例1と同じとした。
これらの評価結果を同様に表3に示す。なお、表3に示した焼結後のW粒径はビアのクラック部分を除いた粒径の平均値を示している。
【0072】
表3に示されるように、本発明の範囲内のWO3粉末の平均粒径では回路印刷面及びビア部分ともにクラックは生じていなかった。一方、本発明の範囲外のものに関しては、WO3粉末の細かいものについては、ビアにクラックが認められた。ただし、クラックを除くW部分は充分に粒成長している様子が観察された。一方、WO3粉末の粗いものについては、粒成長の様子がほとんど観察されなかった。特にビアの中心部付近に完全に未焼結である部分が認められた。
【0073】
また、引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明の範囲内の平均粒径では、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。一方、本発明の範囲外のペースト配合では、接合強度が20MPaより低く、強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。
【0074】
【表3】
【0075】
[実施例4]
WO3粉末のロットを変更して、実施例3と同様な実験を行い、WO3粉末ロットによって引っ張り強度、金属化層のクラックがどう影響を受けるかを調べた。使用したWO3粉末ロット数はそれぞれの粒径に対して10ロットである。これらのロットに対して、実施例3と同じ評価を行った。その中で引っ張り強度が一番低かったロットの結果を同様に表4に示す。なお、表4に示した焼結後のW粒径はビアのクラック部分を除いた粒径の平均値を示している。
【0076】
表4に示されるように、本発明の範囲内のWO3粉末の平均粒径では回路印刷面及びビア部分ともにクラックは生じていなかった。一方、本発明の範囲外のものに関しては、WO3粉末の細かいものについては、ビアにクラックが認められた。ただし、クラックを除くW部分は充分に粒成長している様子が観察された。一方、WO3粉末の粗いものについては、粒成長の様子がほとんど観察されなかった。特にビアの中心部付近に完全に未焼結である部分が認められた。
【0077】
また、引っ張り強度及び破壊モードについては、本発明の範囲内の平均粒径では、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。一方、本発明特許範囲内のWO3粉末粒径であっても、WO3粉末粒径が2.5μmより小さいもの、3.5μmより大きいものに関しては、接合強度が20MPaより低く、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。WO3粉末粒径が2.5μm以上、3.5μm以下のものは、引っ張り強さ20MPaで金属化層とFe−Ni−Co線とのろう付け部分が破断した。これより、窒化アルミニウムと金属化層との接合強度は20MPa以上であることが判る。
【0078】
【表4】
【0079】
[実施例5]
実施例1の試料5と同じ平均粒径が3.0μmのW粉末、WO3粉末を用い、WO3のペーストへの混合量を変化させて、その影響を調べた。変化させた割合を表5に示す。実験方法等は実施例1と同じとした。
実施例1と同様に各試料のピンの引っ張り強度、ビア部分のクラックを測定した。結果を表5に示した。
【0080】
表5に示されるように、ペースト中のW粉末とWO3粉末との合量を100重量%として、前記WO3粉末が5重量%以上、50重量%以下であれば、引っ張り強度は20MPa以上であり、クラックも生じなかった。一方、本発明の範囲外のWO3含有量では、ビアにクラツクが認められ、接合強度が20MPaより低かった。強度の低いペーストは、ビアの真上の金属化層内で破壊していた。
【0081】
【表5】
【0082】
【発明の効果】
本発明のように、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造するに際して、導体高融点金属として平均粒径が2μm以上、4μm以下、より好ましくは2.5μm以上、3.5μm以下である熱膨張率が窒化アルミニウムの熱膨張率に近いW粉末と、このW粉末と同程度の粒径のWO3粉末とを含有するペーストを用いて金属化層を形成することにより、金属化層の焼結が均一かつ十分に行われ、金属化層及び窒化アルミニウムにおけるクラックの発生がなく、金属化層と窒化アルミニウムとの密着強度が高く、金属化層の単位体積あたりの抵抗率の低くい金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。得られた金属化層を有する窒化アルミニウムは、低抵抗率が要求される用途、例えば高周波用途のIC用の基板、パッケージ材料として好適に用いることができる。
Claims (8)
- 窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートに導体高融点金属の粉末と無機物の粉末とを含むペーストを塗布した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金属がWであり、前記無機物がWO3であり、前記W粉末及びWO3粉末の平均粒径が2μm以上、4μm以下であり、それ以外の無機物の粉末を混合しないことを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 前記WO3粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 前記WO3粉末の含有量が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 窒化アルミニウムを主成分とするセラミックスグリーンシートにスルーホールを穿孔し、該スルーホール内部に導体高融点金属の粉末と無機物の粉末とを含むペーストを充填した後、全体を同時に焼結することにより、金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体を製造する方法において、前記ペーストに含まれる導体高融点金属がWであり、前記無機物がWO3であり、前記W粉末及び前記WO3粉末の平均粒径が2μm以上、4μm以下であり、それ以外の無機物粉末を混合しないことを特徴とする金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 前記W粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする請求項5記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- 前記WO3粉末の平均粒径が2.5μm以上、3.5μm以下であることを特徴とする請求項5または6記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
- W粉末とWO3粉末との合量を100重量%として、前記WO3粉末が5重量%以上、50重量%以下であることを特徴とする請求項5記載の金属化層を有する窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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CN114222446A (zh) * | 2021-12-30 | 2022-03-22 | 无锡天杨电子有限公司 | 一种双面陶瓷覆铜板的大电流过孔的金属化方法 |
-
2002
- 2002-06-04 JP JP2002162548A patent/JP2004014597A/ja active Pending
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