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JP2004001455A - 画像記録装置 - Google Patents

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JP2004001455A JP2003092826A JP2003092826A JP2004001455A JP 2004001455 A JP2004001455 A JP 2004001455A JP 2003092826 A JP2003092826 A JP 2003092826A JP 2003092826 A JP2003092826 A JP 2003092826A JP 2004001455 A JP2004001455 A JP 2004001455A
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Abstract

【課題】ホストコンピュータから転送されてくるデータを用いて画像記録する際に、画像記録途中でデータが滞り画像記録に記録時間差が生じる場合に、この時間差に起因する画像劣化を低減する。
【解決手段】ホストコンピュータからデータフレームの転送が遅れると、シーケンス制御部203はプリントデータの生成が間に合わず画像記録に時間遅れが発生すると判断する。データ処理部201は、時間遅れの発生直前に送信されてきたデータフレームDFを重なりデータcとそれ以外のデータaに分け、重なりデータcを2つの重なりデータc、cに分け、cはデータフレームDFから取り出されて、重なりデータ保持部205に保持された後、時間遅れが発生する後に送信されきた最初のデータフレームDIの先頭部に付加される。このようにして、時間遅れが発生前の画像記録の一部(c)を時間遅れ後に行うことにより画像劣化を低減する。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は画像記録装置の制御に関し、特に記録媒体にインク滴を吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像記録装置の制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等の普及に伴い、ディジタル画像を記録するプリンタ等の記録装置における記録画像の高精細化が進んでいる。記録装置の中でもインクジェット方式の記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置が急速に普及しており、高精細な画像を実現し、且つ低価格なものが求められている。
【0003】
シリアルスキャン型のインクジェット記録装置においては、記録用紙等の記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に記録ヘッドを走査させながら、記録ヘッドの幅で1走査分の画像記録を行い、この1走査分の記録を終えた段階で記録ヘッドの幅分だけ記録媒体を搬送方向に搬送し、次に上記説明した1走査分の画像記録と記録媒体の搬送の動作を順次繰り返し行うことによって、記録媒体上に所望の画像が形成される。
【0004】
従来の記録装置においては、この時、ホストコンピュータから送られてくるデータは、通常、主走査方向に順次のデータ(以下、ラスタデータと称す)であったため、記録ヘッドの幅で1走査(スキャン)分の画像記録を行うためには、記録ヘッドの記録要素の数(例えば、インク吐出ノズル数)に応じて副走査に順次のデータ(以下、カラムデータと称す)に変換する必要があった。そのため、1走査分の画像記録を行うためには、記録装置は、吐出ノズル数分のラスタデータを蓄えるメモリ領域とカラムデータを蓄えるメモリ領域を最低限保持する必要があった。
【0005】
しかしながら、現在、記録装置の高精細化による画質向上が望まれており、記録装置の高精細化が進むほど画像の解像度が上がって画像記録に必要なデータ量が増加する。そのため、記録装置が必要とするメモリ領域も増大し、大容量のメモリは高価なためにそのままコストアップにつながり、その結果、記録装置の低価格化を阻害する要因となっている。
【0006】
この記録装置が必要とするメモリ領域を低減する技術が、特開平11−259248号公報に開示されている。特開平11−259248号公報によれば、最小バッファリングで、ホストコンピュータおよびプリンタ間で等時性データ転送を行うことによって、記録装置が必要とするメモリ容量を低減することができる。
【0007】
すなわち、ホストコンピュータおよびプリンタ間の等時性データ転送においては、1スキャン分の画像データをデータフレームに分割して転送を行う。ホストコンピュータから転送される画像データをプリンタが受信すると、プリンタは、この画像データを処理して一時的にプリンタのメモリ領域に保持する。このメモリ領域には、1スキャンの記録動作中に画像データの分割された1つ以上のデータフレームが格納される。
【0008】
このように、1スキャン分の画像データをデータフレームに分割して転送する等時性データ転送の場合には、プリンタのメモリ領域には1スキャン分の画像データがデータフレーム単位で連続して送信されてくるため、プリンタのメモリ領域のサイズは、1つ以上のデータフレームを格納できるメモリ領域を最小限確保すれば良く、1スキャン分の画像データを格納する必要はない。そのため、従来のように1スキャン分の画像データを格納するメモリ領域を必要としない。
【0009】
したがって、上記説明した等時性データ転送の場合には、記録装置のメモリ領域に1スキャン分の画像データが格納されなくても画像記録に必要な最低限のデータを受信することにより1スキャン分の記録動作を開始することができる。しかも順次送られてくるデータフレームをプリンタのメモリ領域を書き換えながら格納して使用するため、記録ヘッドの走査を中断することなく1スキャン分の画像を形成するとともに、記録装置が必要とするメモリ容量を低減することができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記説明した等時性データ転送の場合には、ホストコンピュータのジョブやタスクを記録装置側から管理することはできないので、何らかの要因でホストコンピュータから記録装置へのデータ転送が滞ってしまう場合がある。
【0011】
このため上記のように1スキャン中に画像記録が中断されると、中断された位置と、中断された位置に隣り合う再開した位置のドット間では、記録媒体に記録される時間に差(記録時間差)を生じることとなる。一般に、記録時間差があると、記録画像には記録時間差に起因する濃度変化が濃度ムラ(記録時間差ムラ)として現れることが知られている。この理由について以下説明する。
【0012】
記録媒体に着弾したインク滴は、記録媒体(例えば、紙)に垂直な方向(記録媒体の厚み方向)および記録媒体の表面に広がる方向に浸透し、インク成分である染料などの色素が記録媒体と物理的および化学的に結合する。
【0013】
ここで、隣接する2つのドットが記録される記録時間(t、t)の時間差(t−t)が短い場合には、通常、記録媒体に後(t)で着弾したインク滴も記録媒体に垂直な方向と記録媒体表面に広がる方向に浸透するが、先(t)に着弾したインク滴が定着した領域にはあまり浸透・定着しない。
【0014】
この理由は、先(t)に着弾したインク滴が未だ浸透しつつある状態にあること、記録媒体とインク成分との化学結合ができる量は有限であることなどである。そのため、後(t)から着弾したインク滴は、先(t)に着弾したインク滴が浸透した領域のさらに下の方へ浸透・定着することになる。
【0015】
一方、隣接する2つのドットが記録される記録時間(t、t)の時間差(t−t)が長い場合には、後(t)から着弾したインク滴は、先(t)に着弾して浸透・定着している領域には、時間差(t−t)が短い場合に比べて多く浸透する。
【0016】
この理由は、先(t)に着弾したインク滴が十分浸透して広がり、あるいはインク滴の揮発成分が蒸発したため、単位面積当たりのインク滴の量が減少し、後(t)から着弾したインク滴が先(t)に着弾したインク滴の領域にまで広がり、浸透できるようになるためである。
【0017】
すなわち、隣接するドットが記録される記録時間の時間差が長いと、記録媒体の表面付近に定着するインク量、すなわち染料などの色素やインク成分、は多く残る。また、その濃度は記録媒体の表面付近に定着する色素の光の吸収に対応するので、時間間隔が長い方が濃度が濃くなってしまう。したがって、1スキャンの途中で記録動作が中断すると中断の前後で記録される画像に濃度ムラが発生し、中断前後の画像の境界が縦スジとなって現れるため画像品位を著しく低下させてしまう。
【0018】
本発明は、上記説明した従来技術の問題点を解決することを出発点としてなされたものであり、その目的は、ホストコンピュータから転送されてくるデータを用いて画像記録を行う際に、たとえ画像記録の途中で転送されてくるデータが滞り画像記録に記録時間差(中断)が生じる場合にも、この時間差に起因する画像品位の低下を低減できる画像記録装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の画像記録装置は、以下の構成を有する。すなわち、複数のノズルを有する記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で主走査方向に走査させて画像記録する画像記録装置であって、1走査分の画像記録中に前記画像記録の中断が発生するのを検出する検出手段と、中断が検出されると、前記中断の前に記録される画像データを、その一部を取り除いて記録し、取り除いた画像データの前記一部を前記中断後に記録するように制御する制御する制御手段と、を有する。
【0020】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の画像記録装置の制御方法は、以下の構成を有する。すなわち、複数のノズルを有する記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で主走査方向に走査させて画像記録する画像記録装置の制御方法であって、1走査分の画像記録中に前記画像記録の中断が発生するのを検出する検出工程と、中断が検出されると、前記中断の前に記録される画像データを、その一部を取り除いて記録し、取り除いた画像データの前記一部を前記中断後に記録するように制御する制御する制御工程と、を有する。
【0021】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の画像記録装置を制御する制御プログラムは、以下の構成を有する。すなわち、複数のノズルを有する記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で主走査方向に走査させて画像記録する画像記録装置を制御する制御プログラムであって、前記制御プログラムは、1走査分の画像記録中に前記画像記録の中断が発生するのを検出する検出工程のプログラムコードと、中断が検出されると、前記中断の前に記録される画像データを、その一部を取り除いて記録し、取り除いた画像データの前記一部を前記中断後に記録するように制御する制御する制御工程のプログラムコードと、を有する。
【0022】
上記目的を達成するための本発明に係る一実施形態の画像記録装置を制御する制御プログラムを格納したコンピュータ可読記憶媒体は、以下の構成を有する。すなわち、複数のノズルを有する記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で主走査方向に走査させて画像記録する画像記録装置を制御する制御プログラムを格納したコンピュータ可読記憶媒体であって、前記制御プログラムは、1走査分の画像記録中に前記画像記録の中断が発生するのを検出する検出工程のプログラムコードと、中断が検出されると、前記中断の前に記録される画像データを、その一部を取り除いて記録し、取り除いた画像データの前記一部を前記中断後に記録するように制御する制御する制御工程のプログラムコードと、を有する。
【0023】
【発明の実施の形態】
以上説明したように本発明は様々な態様によって実施されるが、これらの態様のおのおのは、さらに具体的に言えば、以下のような構成を持つことが望ましい。
【0024】
ここで、例えば、前記画像記録装置は、記録ヘッドのノズル数幅で1走査分の画像を記録するのに必要な画像データを、任意の分割数で分割したデータフレーム単位でホスト装置から受信した画像データに基づいて、前記記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で走査させて画像記録する画像記録装置である。
【0025】
ここで、例えば、前記検出手段は、データフレームを受信してから次のデータフレームを受信するまでの時間が所定時間を超えた場合に、前記画像記録の中断が発生すると判断することが好ましい。
【0026】
ここで、例えば、前記制御手段は、前記中断の検出の前に最後に受信したデータフレームに含まれる画像データの一部を取り除いて前記中断の検出後に最初に受信するデータフレームの先頭に付与し、前記先頭に付与されたデータフレームの先頭部が前記中断前に最後に記録されるデータフレームと同じ領域に記録されるように制御することが好ましい。
【0027】
ここで、例えば、前記受信されたデータフレームに含まれる画像データからプリントデータを生成する生成手段をさらに有することが好ましい。
【0028】
ここで、例えば、前記検出手段は、前記受信されたデータフレームの量と前記プリントデータの量とを比較し、前記画像記録に前記プリントデータの生成が間に合わない場合に前記画像記録の中断が発生すると判断する。
【0029】
ここで、例えば、前記記録ヘッドは、インクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであることが好ましい。
【0030】
ここで、例えば、前記記録ヘッドは、熱エネルギーを利用してインクを吐出する記録ヘッドであって、インクに与える熱エネルギーを発生するための熱エネルギー変換体を備えていることが好ましい。
【0031】
以下に図面を参照して、本発明に係る一実施形態の画像記録装置について説明する。ただし、本実施形態では、画像記録装置として、インクジェット記録方式を用いたインクジェットプリンタを、画像記録装置に画像記録用のデータを送信する上位装置としてパーソナルコンピュータ(以下、パソコンと記す)を例に挙げ説明するが、本発明の範囲を記載例に限定する趣旨のものではない。
【0032】
本明細書において、「記録」(「描画」「印字」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も示すものとする。
【0033】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも示すものとする。
【0034】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(描画)」の定義と同様広く解釈されるべきもので、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を示すものとする。
【0035】
<インクジェットプリンタ本体の概略説明:図10>
図10は、本発明の代表的な実施の形態であるインクジェットプリンタIJRAの構成の概要を示す外観斜視図である。図10において、駆動モータ5013の正逆回転に連動して駆動力伝達ギア5009〜5011を介して回転するリードスクリュー5005の螺旋溝5004に対して係合するキャリッジHCはピン(不図示)を有し、ガイドレール5003に支持されて矢印a,b方向を往復移動する。キャリッジHCには、記録ヘッドIJHとインクタンクITとを内蔵した一体型インクジェットカートリッジIJCが搭載されている。
【0036】
5002は紙押え板であり、キャリッジHCの移動方向に亙って記録用紙Pをプラテン5000に対して押圧する。5007,5008はフォトカプラで、キャリッジのレバー5006のこの域での存在を確認して、モータ5013の回転方向切り換え等を行うためのホームポジション検知器である。
【0037】
5016は記録ヘッドIJHの前面をキャップするキャップ部材5022を支持する部材で、5015はこのキャップ内を吸引する吸引器で、キャップ内開口5023を介して記録ヘッドの吸引回復を行う。5017はクリーニングブレードで、5019はこのブレードを前後方向に移動可能にする部材であり、本体支持板5018にこれらが支持されている。ブレードは、この形態でなく周知のクリーニングブレードが本例に適用できることは言うまでもない。
【0038】
又、5021は、吸引回復の吸引を開始するためのレバーで、キャリッジと係合するカム5020の移動に伴って移動し、駆動モータからの駆動力がクラッチ切り換え等の公知の伝達機構で移動制御される。
【0039】
これらのキャッピング、クリーニング、吸引回復は、キャリッジがホームポジション側の領域に来た時にリードスクリュー5005の作用によってそれらの対応位置で所望の処理が行えるように構成されているが、周知のタイミングで所望の動作を行うようにすれば、本例にはいずれも適用できる。
【0040】
<インクカートリッジ:図11>
なお、上述のように、インクタンクITと記録ヘッドIJHとは一体的に形成されて交換可能なインクカートリッジIJCを構成しても良いが、これらインクタンクITと記録ヘッドIJHとを分離可能に構成して、インクがなくなったときにインクタンクITだけを交換できるようにしても良い。
【0041】
図11は、インクタンクとヘッドとが分離可能なインクカートリッジIJCの構成を示す外観斜視図である。インクカートリッジIJCは、図11に示すように、境界線Kの位置でインクタンクITと記録ヘッドIJHとが分離可能である。インクカートリッジIJCにはこれがキャリッジHCに搭載されたときには、キャリッジHC側から供給される電気信号を受け取るための電極(不図示)が設けられており、この電気信号によって、前述のように記録ヘッドIJHが駆動されてインクが吐出される。
【0042】
なお、図11において、500はインク吐出口列である。また、インクタンクITにはインクを保持するために繊維質状もしくは多孔質状のインク吸収体が設けられている。
【0043】
最初に上記説明したインクジェットプリンタを用いてホストコンピュータから記録装置へのデータ転送が滞った場合における画像記録の中断及び再開処理について説明する。
【0044】
1スキャンの記録動作を開始した後に、ホストコンピュータから記録装置へのデータ転送が滞った場合(画像記録に追いつかなくなった場合)、記録装置では記録ヘッドによる画像記録ができなくなる。この時、記録ヘッドは、次の画像データを受信するまで、その位置に停止するかホームポジション(基準位置)に戻るかして、画像データがメモリ領域に格納されるまで待たなければならない。その後、メモリ領域に十分な画像データが格納された時点で、記録ヘッドの走査が再開され、ホストコンピュータからデータ転送が滞って中断した位置からの記録を再開して1スキャンの画像記録を完成する。
【0045】
[データ転送が滞った場合の画像品位:図3(a)および3(b)]
以上説明したホストコンピュータから記録装置へのデータ転送が滞った場合の画像記録の中断及び再開処理における画像品位の低下について、図3(a)およびBを用いて詳細に説明する。
【0046】
図3(a)において、1スキャン分の画像データをn個のデータフレームに分けたとすると、ホストコンピュータから記録装置に送信されてくる1スキャン分の画像データは、図中301、302、・・・、30nの順にデータフレーム単位で送信される。ここで、記録装置は、例えば、データフレーム303までのデータを受信した時点で、記録ヘッドの幅で1走査(スキャン)分の画像記録を開始する。
【0047】
このとき記録媒体には、図3(b)のようにデータフレーム301から順に画像が記録され、画像記録が行われるにつれてメモリ領域内に蓄えられた画像データは消費されるとともに、ホストコンピュータから順次送られてくるデータフレームは、記録装置のメモリ領域の内容を順次書き換えながらメモリ領域内に格納される。
【0048】
次に、記録装置が図3(a)のデータフレーム305まで受信した時点で、ホストコンピュータからのデータ転送が滞ってしまった場合について説明する。
記録装置は、データフレーム305まで受信した時点でホストコンピュータからのデータ転送が滞ると、データフレーム305を用いた画像記録を終了したところで画像記録動作を中断し、記録ヘッドをその位置に停止させるか、基準位置に戻し、ホストコンピュータからデータが転送されてくれるのを待つ。ホストコンピュータからのデータ転送が再開され、データフレーム306以降の画像データが記録装置のメモリ領域内に必要量蓄えられたところで、記録装置は、中断した位置からの画像記録を再開する。
【0049】
しかしながら、図3(b)に示すように、ホストコンピュータからのデータ転送が滞り記録時間に時間差(中断)を生じたデータフレーム305と306を用いて記録される画像305と画像306には、それらの境界近傍に記録されるドット(着弾したインク滴)間に濃度ムラが発生して、画像305と画像306の境界近傍に縦スジとして識別される。この縦スジが画像品位を著しく低下させてしまう。そこで、以下上記説明した画像品位の低下を低減する方法を説明する。
【0050】
<インクジェットプリンタの制御構成:図1>
図1は、インクジェットプリンタの制御構成の一例を示すブロック図である。
【0051】
図1において、101はCPUであり、102はCPU101が実行する制御プログラムおよびその他のテーブルデータ等を格納しておくROMであり、103はホストコンピュータ(図示せず)からインターフェイス104を介して受信したデータを格納する受信バッファおよび後述のプリントデータ生成回路108が生成したプリントデータを格納するプリントバッファ等の領域として用いられるRAMである。
【0052】
105はインクジェットプリンタの制御部であるASICであり、インターフェイス104を介してホストコンピュータ(図示せず)とデータの送受信を行うインターフェイス制御回路106と、RAM103内の受信バッファおよびプリントバッファに対してデータのリード/ライト制御を行うデータ制御回路107と、本実施形態に係るプリントデータの生成を行うプリントデータ生成回路108と、生成されたプリントデータの記録ヘッド111へのデータ転送や記録ヘッドのインクの吐出制御を行うヘッド制御回路109と、記録ヘッド111を搭載したキャリッジを走査させるキャリッジモータ112および記録媒体の給排紙を行う搬送モータ113の駆動を制御する駆動制御回路110とを含む。
【0053】
<インクジェットプリンタの画像記録動作:図8>
次に、図8を用いて、ROM102に格納された制御プログラムに基づいてCPU101が各部を制御しながら行う画像記録動作について説明する。
【0054】
まずステップS100において、図1のインターフェイス104を介してホストコンピュータ(図示せず)から画像データを含む受信データを受信すると、受信データは、ASIC105内のデータ制御回路107によって、インターフェイス制御回路106を介してRAM103内に割り当てられた受信バッファに一旦格納される。
【0055】
次に、ステップS110において、受信バッファに格納された受信データのコマンド解析ならびに受信データに含まれる画像データのプリントデータ処理がプリントデータ生成回路108によって行われ、生成したプリントデータはRAM103内に割り当てられたプリントバッファに蓄えられる。
【0056】
次に、ステップS120において、プリントバッファに必要量のプリントデータが蓄えられたところで、ヘッド制御回路109によって所定のタイミングでプリントバッファからプリントデータが読み出され、記録ヘッド111に転送される。
【0057】
次に、ステップS130において、駆動制御回路110を制御してキャリッジモータ112を駆動させ、記録用紙等の記録媒体の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)に記録ヘッド111を走査させながら、ヘッド制御回路109を制御して記録ヘッド111に駆動パルスを与えることによって、記録媒体上に画像を記録させることにより、記録ヘッドの幅の画像記録が完成する。この1走査分の画像記録を終えた段階で、駆動制御回路110を制御し搬送モータ113を駆動することによって、記録ヘッドの幅分だけ記録媒体を搬送方向に搬送する。
【0058】
<データ転送が滞った場合の処理:図2、図9、図4〜図7>
次に、上記説明した画像記録動作において、ホストコンピュータ(図示せず)からインクジェットプリンタへのデータ転送が滞った場合のプリントデータ生成回路108によって行われる処理について図2、図9、図4〜図7を用いて説明する。
【0059】
(プリントデータ生成回路:図2)
図2は、プリントデータ生成回路108のブロック図である。201はプリントバッファに書き込む画像データを生成するデータ処理部であり、202はプリントバッファへの書き込みアドレス等を制御するプリントバッファ制御部である。203はシーケンス制御部であり、プリントデータ生成回路108全体を制御するとともに、プリントデータの生成が画像記録に間に合うかどうかを判断する。
【0060】
例えば、データフレーム(時間遅れが発生する直前に送信されてきた最後のデータフレーム)を受信してから次のデータフレーム(時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレーム)を受信するまでの時間が予め設定されている所定時間を超えた場合に、これらのデータフレームによって記録される画像間には時間遅れが発生すると判断する。
【0061】
またRAM103に蓄積された受信データ量とプリントデータ量との比較し、その比較結果に基づいてプリントデータの生成が画像記録に間に合うかどうかを判断してもよい。
【0062】
204は境界検知部であり、ホストコンピュータ(図示せず)から送信されてくるデータ転送が滞り画像記録に時間差が生じる場合に、時間差が生じる2つのデータフレーム(時間遅れが発生する直前に送信されてきた最後のデータフレームと時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレーム)間の境界(例えば、図4(a)の405と406の間)を検知し、データフレームの境界に時間差が生じる場合に、後述するデータ重なり部分を管理する。
【0063】
205は重なりデータ保持部であり、時間差が生じるデータフレームに対して後述する重なりデータ処理によって生成した重なりデータの一部を保持する。なお、この重なりデータ保持部205によって保持される重なりデータの一部は、時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレームの先頭に付加される。なお、この重なりデータとは、画像を2度に分けて記録するために元のデータを2つのグループに分けて処理するデータのことをいう。
【0064】
(プリントデータ生成回路の処理:図9A)
図9Aに、プリントデータ生成回路108の処理を示す。
【0065】
まず、ステップS200において、シーケンス制御部203は、RAM103内の受信バッファ蓄積された受信データ量とプリントバッファに蓄積されたプリントデータ量とを比較し、1走査分の画像記録動作を継続して行うために必要となるプリントデータの生成が画像記録に間に合うか否かを判別する。
【0066】
ここで、プリントデータの生成が画像記録に間に合うと判別された場合には、ステップS260に進み、データ処理部201は、受信バッファに蓄積された受信データに含まれる画像データのデータ処理を行ってプリントデータを生成し、プリントバッファに格納してから、次に、ステップS250に進んで一連の作業を終了する。なお、プリントバッファも、走査方向に分割されたフレームを複数持つ(このプリントバッファの格納できる容量は1走査分のデータ量より小さくても構わない)。
【0067】
一方、ステップS200において、シーケンス制御部203がプリントデータの生成が間に合わないと判別した場合には、ステップS210に進み、境界検知部で204は、画像記録の中断前(時間遅れが発生する直前)に、送信されてきた最後のデータフレーム(DF)を検出する。
【0068】
次に、ステップS220に進み、データ処理部201は、時間遅れが発生する直前に送信されてくる最後のデータフレーム(DF)より重なりデータ生成処理を行う。すなわち、データ処理部201は、最後のデータフレーム(DF)を2つのデータ群であるc(重なりデータ)とa(重なりデータ以外のデータ)にまず分ける。続いて、c(重なりデータ)をc(第1の重なりデータ)とc(第2の重なりデータ)に分けることで、2つの重なりデータcとcを含むプリントデータを生成する。
【0069】
このデータフレームのaとcの分け方は、例えば、1データフレームに含まれるカラム数を600とすると、aが500、cを100とする。(つまり、aとcを5対1で分ける。)上記のデータフレームの分け方は一例であり、濃度ムラが目立たない数であればどのような分け方であってもよい。
【0070】
なお第1、第2の重なりデータc、cは重なりデータcを任意の分割方法で2つに分けたものであり、c、cは相互に補完し、c、cを合わせるとcになり(c=c+c)、cまたはcでそれぞれ記録される画像領域はcで記録される画像領域と同じ大きさの画像領域であり、cとcとを重ねて記録された画像はcで記録された画像と同じである(図6参照)。
【0071】
例えば、cを奇数番目のノズルに対応するデータとし、cを偶数番目のノズルに対応するデータとする例や、cからcを千鳥格子の状態で間引く例などが考えられる。
【0072】
次に、ステップS230に進み、重なりデータ生成処理で生成した2つの重なりデータcとcのうち、第1の重なりデータcは、時間遅れが発生する直前に送信されてくる最後のデータフレーム(DF)のa(重なりデータ以外のデータ)とともにプリントバッファに格納され、第2の重なりデータcは、重なりデータ保持部205に保持される。
【0073】
次に、ステップS240に進み、プリントバッファ制御回路202は、重なりデータ保持部205に保持されている第2の重なりデータcをプリントバッファに格納し、さらに時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレーム(DI)の画像データにデータ処理をしてプリントデータを生成し、このプリントデータを第2の重なりデータcが格納されたアドレスに続いてプリントバッファに格納(すなわち、DIの先頭にcを付与)してから、ステップS280に進み一連の作業を終了する。
【0074】
なお、上記の第2の重なりデータcをプリントバッファに格納する方法は一例であり、cのみを格納するようにしてもよい。例えば、時間遅れが発生する直前に送信されてくる最後のデータフレームを405とし、時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレームを406とすると、図9Bに示すように、405に続いてcのみを格納するデータフレーム405aを確保する。データフレーム405aには、cと同じカラム位置となるようにcを格納する。例えば、データフレーム405でcがカラム位置501〜600に格納されていれば、cは図9Bに示すようにデータフレーム405aのカラム位置501〜600に格納され、1〜500カラム位置には、ヌルデータを格納する。
【0075】
(画像記録処理:図4(a)〜図7(d))
次に、上記説明したプリントデータ生成回路10の処理について、図4(a)〜図7(d)を用いて詳細に説明する。
【0076】
図4(a)は、ホストコンピュータ(図示せず)からインクジェットプリンタへのデータ転送の一例であり、1スキャン分の画像データは、n個のデータフレームに分けられてデータフレーム401、402、・・・、40nとして送信されてくる。インクジェットプリンタが受信したデータはRAM103内に割り当てられた受信バッファに一旦格納される。例えば、主走査方向に対して1走査の記録幅が8inchであり、nが8であれば、主走査方向に対応するデータフレームの長さは1inchである。
【0077】
プリントデータ生成回路108は、受信バッファに蓄えられた受信データに含まれる画像データをデータ処理部201で画像処理してプリントデータを生成し、データフレーム401から順にRAM103内のプリントバッファに書き込む。
【0078】
ここで、例えば、データフレーム402までのデータをプリントバッファに格納した時点で、記録ヘッドの幅で1走査分の画像記録を開始するとすれば、記録媒体には図4(b)のようにデータフレーム401から順に画像が記録され、画像記録が行われるにつれてメモリ領域内に蓄えられた画像データは消費されるとともに、ホストコンピュータから順次送られてくるデータフレームは、インクジェットプリンタのメモリ領域の内容を順次書き換えながらメモリ領域内に格納される。
【0079】
次に、インクジェットプリンタが図4(a)のデータフレーム405まで受信した時点で、ホストコンピュータ(図示せず)からのデータ転送が滞ってしまった場合のプリントデータ生成回路108の処理を説明する。
【0080】
図4(a)のデータフレーム405まで受信した時点でホストコンピュータ(図示せず)からのデータ転送が滞りデータフレーム406を受信できない場合には、実際の記録動作が進んでいるにもかかわらずデータフレーム406からプリントデータの生成が画像記録に間に合わないので、シーケンス制御部203は、データフレーム405とデータフレーム406とによって記録される画像に記録時間の時間差が生じると判断する。
【0081】
シーケンス制御部203によって、受信するデータフレーム405とデータフレーム406との境界に時間差(中断)が生じることが検出されると、データ処理部201は、データフレーム405とデータフレーム406に対して以下に説明する重なりデータを生成する処理を行う。なお以下に示す重なりデータの生成は、受信するデータフレーム間で時間差が生じる時のみ行う。
【0082】
図5は、シーケンス制御部203が、データフレーム405まで受信した時点でホストコンピュータ(図示せず)からデータフレーム406の送信が遅れ、データ転送が滞ったと判断した場合の状態を示している。すなわち、データフレーム405は、時間遅れが発生する直前に送信されてくる最後のデータフレーム(DF)であり、データフレーム406は、時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレーム(DI)である。
【0083】
このとき、データ処理部201は、図6(a)に示すように、最後のデータフレーム(DF)であるデータフレーム405のデータを2つのデータ群である、c(重なりデータ)とa(重なりデータ以外のデータ)にまず分ける。続いて、図6(b)に示すように、c(重なりデータ)をc(第1の重なりデータ)とc(第2の重なりデータ)に分けることで、2つの重なりデータ(c、c)を生成する。
【0084】
次に、データ処理部201は、図6(c)に示すように、第2の重なりデータcのみを、データフレーム405より取り出す。すなわち、データ処理部201は、まず重なりデータ以外のデータaをプリントバッファに格納し、続いて同じアドレスのプリントバッファに第1の重なりデータcを格納し、取り出した第2の重なりデータcを重なりデータ保持部205する。
【0085】
なおデータフレーム405から第2の重なりデータcが取り出され、重なりデータ処理されたデータフレーム405(a+c)を用いて、時間遅れが発生する直前の画像記録がなされる。記録ヘッドは記録媒体上にデータフレーム405の画像まで形成したところで記録動作を中断し、一旦、基準位置に戻る。
【0086】
次に、ホストコンピュータ(図示せず)からのデータ転送が再開され、データフレーム406以降のデータが受信されるとデータ処理部201はデータフレーム406の処理を開始する。
【0087】
まず、データ処理部201は、図7(a)に示すように、時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレーム(DI)、すなわちデータフレーム406が受信されると、図7(b)に示すように、データフレーム405から取り出された第2の重なりデータcをデータフレーム406の先頭に付加する。
【0088】
すなわち、データ処理部201はデータフレーム406を受信すると、まず重なりデータ保持部205に保持されている第2の重なりデータcをプリントバッファ制御部202の示すアドレスに書き込む。次に、受信したデータフレーム406の画像データにデータ処理を施しプリントデータを生成してから、このプリントデータを第2の重なりデータcを書き込んだアドレスの後に、続けて書き込む。したがって、データフレーム406の先頭部に第2の重なりデータcが付加された形となる。第2の重なりデータcが付加されたデータフレーム406を用いて、時間遅れが発生する直後の画像記録がなされる。
【0089】
なお第2の重なりデータcが付加されたデータフレーム406以降のプリントデータがプリントバッファに必要量蓄えられたところで記録走査を再開し、中断した位置から実際の記録動作を行う。
【0090】
この時、図7(c)に示すようにデータフレーム405と406によって記録される画像の境界であるcの部分には、上記説明した重なりデータ処理によって中断前に記録されたドット部分(c)と再開後に記録されたドット部分(c)が混在して配置される。したがって、ドット記録の時間差による濃度ムラが低減され、従来問題となっていた縦スジを防止することができ、その結果、良好な画像を提供することができる。
【0091】
なお本実施形態のインクジェットプリンタの代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4723129号明細書、同第4740796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、いわゆるオンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に1対1で対応した液体(インク)内の気泡を形成できるので有効である。
【0092】
この気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0093】
このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4463359号明細書、同第4345262号明細書に記載されているようなものが適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第4313124号明細書に記載されている条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0094】
記録ヘッドの構成としては、上述の各明細書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に熱作用面が屈曲する領域に配置されている構成を開示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4459600号明細書に記載された構成も本発明に含まれるものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通するスロットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギーの圧力波を吸収する開口を吐出部に対応させる構成を開示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成としても良い。
【0095】
加えて、上記の実施形態で説明した記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの記録ヘッドのみならず、装置本体に装着されることで、装置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッドを用いてもよい。
【0096】
また、以上説明した記録装置の構成に、記録ヘッドに対する回復手段、予備的な手段等を付加することは記録動作を一層安定にできるので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこれとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる予備加熱手段などがある。また、記録とは別の吐出を行う予備吐出モードを備えることも安定した記録を行うために有効である。
【0097】
さらに、記録装置の記録モードとしては黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも良いが、異なる色の複色カラー、または混色によるフルカラーの少なくとも1つを備えた装置とすることもできる。
【0098】
以上説明した実施の形態においては、インクが液体であることを前提として説明しているが、室温やそれ以下で固化するインクであっても、室温で軟化もしくは液化するものを用いても良く、あるいはインクジェット方式ではインク自体を30°C以上70°C以下の範囲内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付与時にインクが液状をなすものであればよい。
【0099】
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態から液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化するインクを用いても良い。いずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では既に固化し始めるもの等のような、熱エネルギーの付与によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0100】
このような場合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明においては、上述した各インクに対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0101】
【他の実施形態】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0102】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0103】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0104】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。本発明を上記記憶媒体に適用する場合、その記憶媒体には、先に説明した(図8,9に示す)フローチャートに対応するプログラムコードが格納されることになる。
【0105】
以上説明したように、本実施形態のインクジェットプリンタは、記録ヘッドのノズル数幅の1スキャン分のデータを任意の分割数で分割してホストコンピュータから送られてくる画像データに対し、分割されたデータフレームの画像形成に時間差が生じることを検出し、時間差が生じるデータフレーム間に対して重なりデータを生成することができる。そのため、時間差が生じるデータフレームの境界には生成した重なりデータによって時間差の生じたドットを混在して配置することができるため、時間差による濃度ムラを低減し、画像の劣化を防止することが可能となる。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ホストコンピュータから転送されてくるデータを用いて画像記録を行う際に、たとえ画像記録の途中で転送されてくるデータが滞り画像記録に記録時間差が生じる場合にも、この時間差に起因する画像品位の低下を低減できる画像記録装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のインクジェットプリンタの制御構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るプリントデータ生成回路のブロック図である。
【図3】画像記録の途中で転送されてくる等時性データが滞り画像記録に記録時間差が生じる場合の記録媒体上に記録される画像の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態における、画像記録の途中で転送されてくる等時性データが滞り画像記録に記録時間差が生じる場合の記録媒体上に記録される画像の一例を示す模式図である。
【図5】時間遅れが発生する直前に送信されてくる最後のデータフレームと、時間遅れが発生した後に最初に送信されてくるデータフレームを示す図である。
【図6】本発明の一実施形態における、時間遅れが発生する直前に送信されてくる最後のデータフレームから2つの重なりデータc、cの生成処理を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態における、第2の重なりデータcを時間遅れが発生した直後に送信されてくる最初のデータフレームに付加する処理を説明する図である。
【図8】本発明の一実施形態における、インクジェットプリンタの画像記録処理を説明するフローチャートである。
【図9A】本発明の一実施形態の重なりデータ生成処理を説明するフローチャートである。
【図9B】データフレーム405aに第2の重なりデータcを格納する例を示している。
【図10】本発明の一実施形態のインクジェットプリンタの概略構成を示すブロック図である。
【図11】インクカートリッジの構成を示す外観斜視図である。
【符号の説明】
101…CPU
102…ROM
103…RAM
104…インターフェイス(I/F)
105…ASIC(インクジェットプリンタ制御部)
106…インターフェイス制御回路
107…データ制御回路
108…プリントデータ生成回路
109…ヘッド制御回路
110…駆動回路制御
111…記録ヘッド
112…キャリッジモータ
113…搬送モータ
201…データ処理部
202…プリントバッファ制御部
203…シーケンス制御部
204…境界検知部
205…重なりデータ保持部

Claims (1)

  1. 複数のノズルを有する記録ヘッドを搭載したキャリッジを記録媒体上で主走査方向に走査させて画像記録する画像記録装置であって、
    1走査分の画像記録中に前記画像記録の中断が発生するのを検出する検出手段と、
    中断が検出されると、前記中断の前に記録される画像データを、その一部を取り除いて記録し、取り除いた画像データの前記一部を前記中断後に記録するように制御する制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする画像記録装置。
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